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発明の名称 液体噴射ヘッドの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−90821(P2007−90821A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−286612(P2005−286612)
出願日 平成17年9月30日(2005.9.30)
代理人 【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
発明者 松本 泰幸
要約 課題
高精度な位置決めを容易に且つ低コストで行うことができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。

解決手段
シリコン単結晶基板からなる流路形成基板110の一方面にアライメントマーク92を形成する工程と、前記流路形成基板110の前記一方面側に保護基板130を接合する工程と、前記流路形成基板110の前記アライメントマーク92の位置を前記流路形成基板110側に設けられた光学系210を用いて当該流路形成基板110を赤外線により透過させて確認すると共に、露光マスク200の前記マスクマーク201の位置を前記光学系210を用いて確認し、前記流路形成基板110と前記露光マスク200とを相対的に移動させて前記アライメントマーク92と前記マスクマーク201との位置決めを行う工程とを具備する。
特許請求の範囲
【請求項1】
液体が噴射されるノズル開口に連通する圧力発生室が形成されると共に前記圧力発生室に対応して設けられて当該圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段を有するシリコン単結晶基板からなる流路形成基板の一方面にアライメントマークを形成する工程と、前記流路形成基板の前記一方面側に保護基板を接合する工程と、前記流路形成基板の前記アライメントマークの位置を前記流路形成基板側に設けられた光学系を用いて当該流路形成基板を赤外線により透過させて確認すると共に、前記流路形成基板の他方面側に配置されて前記アライメントマークに位置決めされるマスクマークを有し且つ前記圧力発生手段に対応した前記圧力発生室を形成するために用いられる露光マスクの前記マスクマークの位置を前記光学系を用いて確認し、前記流路形成基板と前記露光マスクとを相対的に移動させて前記アライメントマークと前記マスクマークとの位置決めを行う工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記アライメントマークと前記マスクマークとの位置決めを行う工程の後、前記露光マスクを介して前記流路形成基板の他方面側に設けられるマスクパターンを形成するためのレジストの露光を行う工程をさらに具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項3】
請求項2において、前記レジストの露光を行う工程の後、前記流路形成基板の他方面に前記レジストを介して前記マスクパターンを形成すると共に、前記流路形成基板を前記マスクパターンを介してエッチングすることにより、前記圧力発生室を形成する工程をさらに具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記圧力発生手段が、前記流路形成基板の前記一方面側に振動板を介して設けられた圧電素子であると共に、前記保護基板には、前記圧電素子を保持する圧電素子保持部が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特にインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。そして、たわみ振動モードのアクチュエータを使用したものとしては、例えば、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが知られている。
【0003】
また、このような圧電素子は、例えば、湿気等の外部環境に起因して破壊され易いという問題がある。このため、例えば、圧力発生室が形成される流路形成基板に、圧電素子保持部を有する基板を接合し、この圧電素子保持部内に並設された複数の圧電素子を密封するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、圧力発生室が、流路形成基板の圧電素子が形成された一方面とは反対側からマスクパターンを介して異方性エッチングすることにより形成されるが、圧力発生室を形成する際に圧電素子との相対位置を高精度に位置決めする必要がある。このため、流路形成基板の圧電素子が形成される一方面にアライメントマークを設けると共に、流路形成基板の一方面に接合された保護基板にアライメントマークが露出される露出孔を設け、保護基板側から光学系を用いてアライメントマークの位置を確認すると共に、流路形成基板の他方面側に配置されて圧力発生室を形成するためのマスクパターンを形成する際に用いられる露光マスクに設けられたマスクマークの位置を流路形成基板側から他の光学系で確認することで、アライメントマークとマスクマークとの位置決めを行っていた。
【0005】
しかしながら、このようなアライメント方法では、保護基板に露出孔を形成する必要があると共に、アライメントマークを形成する領域に制限があり、アライメントマークを増やしたり、位置を変更するのが困難であるという問題がある。
【0006】
また、アライメントマークを確認するための光学系と、露光マスクに設けられたマスクマークを確認するための光学系との2つの光学系を用いるため、アライメントマークとマスクマークとの位置決めが困難であると共に高精度に位置決めするのに時間がかかってしまうという問題がある。また、アライメントマークとマスクマークとの位置決めに2つの光学系が必要なため、高コストになってしまうという問題がある。
【0007】
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法だけでなく、他の液体を吐出する液体噴射ヘッドの製造方法においても同様に存在する。
【0008】
【特許文献1】特開2002−113857号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、高精度な位置決めを容易に且つ低コストで行うことができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体が噴射されるノズル開口に連通する圧力発生室が形成されると共に前記圧力発生室に対応して設けられて当該圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段を有するシリコン単結晶基板からなる流路形成基板の一方面にアライメントマークを形成する工程と、前記流路形成基板の前記一方面側に保護基板を接合する工程と、前記流路形成基板の前記アライメントマークの位置を前記流路形成基板側に設けられた光学系を用いて当該流路形成基板を赤外線により透過させて確認すると共に、前記流路形成基板の他方面側に配置されて前記アライメントマークに位置決めされるマスクマークを有し且つ前記圧力発生手段に対応した前記圧力発生室を形成するために用いられる露光マスクの前記マスクマークの位置を前記光学系を用いて確認し、前記流路形成基板と前記露光マスクとを相対的に移動させて前記アライメントマークと前記マスクマークとの位置決めを行う工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第1の態様では、流路形成基板と露光マスクとの位置決めを、流路形成基板側から1つの光学系でアライメントマークの位置とマスクマークの位置とを取得して行うことができるため、保護基板にアライメントマークを露出するための露出孔を形成する必要がなく、所望の位置に所定量のアライメントマークを形成することができる。これにより、高精度な位置決めを容易に且つ低コストで行うことができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記アライメントマークと前記マスクマークとの位置決めを行う工程の後、前記露光マスクを介して前記流路形成基板の他方面側に設けられるマスクパターンを形成するためのレジストの露光を行う工程をさらに具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第2の態様では、高精度に位置決めされた露光マスクを用いてレジストの露光を行うことで、圧力発生手段に対応した圧力発生室を高精度に形成することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記レジストの露光を行う工程の後、前記流路形成基板の他方面に前記レジストを介して前記マスクパターンを形成すると共に、前記流路形成基板を前記マスクパターンを介してエッチングすることにより、前記圧力発生室を形成する工程をさらに具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第3の態様では、高精度に位置決めされた露光マスクによって形成されたレジストを用いて、マスクパターンを高精度に形成することができると共に、圧力発生手段に対応した圧力発生室を高精度に形成することができる。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記圧力発生手段が、前記流路形成基板の前記一方面側に振動板を介して設けられた圧電素子であると共に、前記保護基板には、前記圧電素子を保持する圧電素子保持部が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第4の態様では、保護基板によって覆われた圧電素子に対応する圧力発生室を容易に高精度に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
【0015】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、後述するマスク膜52を介して接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
【0016】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)等からなり厚さが例えば、約0.3〜0.4μmの絶縁体膜55が積層形成されている。また、絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.1〜0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約0.5〜5μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とからなる圧電素子300が形成されている。すなわち、本発明では、振動板が絶縁体膜55等の酸化膜を有し、圧電素子300はこの酸化膜上に形成されている。なお、一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、弾性膜50、絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみを残して下電極膜60を振動板としても良い。
【0017】
そして、このような各圧電素子300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
【0018】
また、圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部31を有する保護基板30が、接着剤34等によって接合されている。なお、圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
【0019】
また、保護基板30には、連通部13に対向する領域にリザーバ部32が設けられており、このリザーバ部32は、上述したように、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出されている。
【0020】
また、保護基板30上には、圧電素子300を駆動するための駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とはボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
【0021】
保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0022】
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0023】
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0024】
ここで、インクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図3〜図6を参照して説明する。なお、図3〜図6は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。まず、図3(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、膜厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
【0025】
次いで、図3(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、例えば、スパッタ法等によりジルコニウム(Zr)層を形成後、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。
【0026】
次いで、図3(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。
【0027】
次に、図3(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板10の全面に形成後、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。
【0028】
次に、図4(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなる金属層91を形成し、その後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して金属層91を圧電素子300毎にパターニングすることによってリード電極90を形成する。また、同時に流路形成基板用ウェハ110の所定位置に金属層91を残留させることで、後の工程で露光マスク200に設けられたマスクマーク201に対して位置決めされるアライメントマーク92を形成する。アライメントマーク92を形成する位置は、特に限定されないが、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110を分割して流路形成基板10となる領域以外の位置に設けた。また、アライメントマーク92は、露光マスク200(図5参照)のマスクマーク201(図5参照)と位置決めすることで、露光マスク200と流路形成基板用ウェハ110との位置決めを行うためのものであり、2つ以上設けるのが好ましい。
【0029】
次に、図4(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接着剤34を介して接合する。なお、この保護基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
【0030】
次いで、図4(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、さらにフッ硝酸によってウェットエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。例えば、本実施形態では、約70μm厚になるように流路形成基板用ウェハ110をエッチング加工した。
【0031】
次いで、流路形成基板用ウェハ110をエッチングすることにより、圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14を形成する。詳しくは、図5(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の保護基板30とは反対側の面に亘って、例えば、窒化シリコン(SiN)からなる窒化膜152を新たに形成する。窒化膜152は、例えば、スパッタリング法などにより形成することができる。次に、図5(b)に示すように、窒化膜152上に亘ってレジスト153を形成する。レジスト153は、例えば、スピンコートや噴射などにより塗布することができる。
【0032】
次に、図5(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110と、露光マスク200との位置決めを行う。具体的には、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側に、マスクマーク201が形成された露光マスク200と、赤外線像を取得できる光学系210とを配置し、光学系210によって流路形成基板用ウェハ110を赤外線により透過させて流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130の接合面に設けられたアライメントマーク92の位置を確認すると共に露光マスク200のマスクマーク201の位置を確認して、露光マスク200と流路形成基板用ウェハ110とを流路形成基板用ウェハ110の面方向に相対的に移動させて、アライメントマーク92とマスクマーク201との位置決めを行うことで、露光マスク200と流路形成基板用ウェハ110とを位置決めする。
【0033】
なお、流路形成基板用ウェハ110の表面には、窒化膜152及びレジスト153が形成されているが、光学系210からの赤外線は、シリコン単結晶基板からなる流路形成基板用ウェハ110と共に窒化膜152及びレジスト153を透過することができるため、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130の接合された面に設けられたアライメントマーク92の位置を取得することができる。
【0034】
また、露光マスク200は、露光する際の光を透過する材料、例えば、二酸化シリコン(SiO)等からなり、その一方面に圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等のパターンが形成されたものである。このため、本実施形態の露光マスク200も赤外線を透過するものである。
【0035】
さらに、流路形成基板用ウェハ110と露光マスク200との位置決めは、特にこれに限定されず、例えば、露光マスク200のマスクマーク201に対して光学系210を位置決めして固定し、光学系210を用いて流路形成基板用ウェハ110のアライメントマーク92の位置を確認しながら、流路形成基板用ウェハ110を面方向に移動させることで、アライメントマーク92を露光マスク200のマスクマーク201に位置決めするようにしてもよい。
【0036】
このように、流路形成基板用ウェハ110と露光マスク200との位置決めを、赤外線像を取得することができる1つの光学系210により行うことで、流路形成基板用ウェハ110と露光マスク200との位置決めを容易に且つ高精度に行うことができる。また、保護基板用ウェハ130にアライメントマーク92を露出するための露出孔が不要となるため、製造工程を簡略化することができると共に、アライメントマーク92の位置及び数が制限されることなく、所望の位置に所望の数だけアライメントマーク92を形成することができ、さらに高精度な位置決めを行うことができる。さらに、1つの光学系210によって、流路形成基板用ウェハ110と露光マスク200との位置決めを行うことができるため、コストを低減することができる。
【0037】
次に、図6(a)に示すように、露光マスク200を介してレジスト153を所定形状に露光する。そして、露光したレジストを現像して余分な領域を除去することにより、図6(b)に示すような、所定形状のレジストパターン53を形成する。また、図6(b)に示すように、レジストパターン53を介して窒化膜152をパターニングすることで所定形状のマスク膜52を形成する。なお、マスク膜52は、例えば、窒化膜152をイオンミリングによるドライエッチングやウェットエッチングすることで形成することができる。
【0038】
次に、図6(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をマスク膜52を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチングすることにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14等を形成する。
【0039】
このように、圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14は、流路形成基板用ウェハ110の一方面に形成された圧電素子300に対応して他方面側から形成するが、上述のように、圧電素子300と同じ面側に設けられたアライメントマーク92と、露光マスク200との相対的な位置決めが高精度に行われているため、圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14を圧電素子300に対して高精度な位置で形成することができる。
【0040】
その後は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
【0041】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、アライメントマーク92をリード電極90と同一層で、すなわち、金(Au)からなる金属層91で形成するようにしたが、特にこれに限定されず、アライメントマーク92を、例えば、圧電素子300を構成する下電極膜60や上電極膜80で形成してもよく、また別途金属膜等により形成するようにしてもよい。また、アライメントマーク92は、金属膜等に限定されず、例えば、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子側の面や、弾性膜50及び絶縁体膜55等の一部を除去したものとしてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態1では、アライメントマーク92を、流路形成基板用ウェハ110の流路形成基板10となる領域以外に設けるようにしたが、アライメントマーク92を形成する位置は、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130が接合される面であれば特に限定されるものではない。すなわち、例えば、アライメントマーク92を流路形成基板10が形成される領域に設けるようにしてもよい。
【0043】
また、例えば、上述した実施形態1では、成膜及びリソグラフィ法を応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
【0044】
なお、ノズル開口21からインク滴を吐出する圧力発生手段として圧電素子300を用いて説明したが、圧力発生手段としては圧電素子300に限定されず、例えば、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエータなどを使用することができる。
【0045】
また、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。さらに、本発明は、このような液体噴射ヘッドに圧力発生手段として搭載されるアクチュエータ装置だけでなく、あらゆる装置に搭載されるアクチュエータ装置に適用することができる。例えば、アクチュエータ装置は、上述したヘッドの他に、センサー等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図。
【図2】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図。
【図3】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。
【図4】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。
【図5】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。
【図6】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図。
【符号の説明】
【0047】
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 92 アライメントマーク、 100 リザーバ、 200 露光マスク、 201 マスクマーク、 210 光学系、 300 圧電素子




 

 


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