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発明の名称 液体噴射装置におけるクリーニング装置、液体噴射装置及びクリーニング方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−83706(P2007−83706A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2006−166319(P2006−166319)
出願日 平成18年6月15日(2006.6.15)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 宮澤 久
要約 課題
スループットをさほど悪化させることなく、フラッシング時のミストの発生を少なく抑えることができる液体噴射装置におけるクリーニング装置、液体噴射装置およびクリーニング方法を提供する。

解決手段
クリーニング装置の昇降手段を構成するスライダ50上には、付勢部品110を介してキャップヘッド90が上方へ付勢された状態で支持されている。キャップ部91がノズル形成面18aに当接したキャッピング状態で、付勢部品110はロック装置によりロックされ、そのときの弾性圧縮状態に保持される。その後、キャップヘッド90がフラッシング位置に下降すると、プラテンギャップ調整機構により調整された記録ヘッド18の高さ位置によらず、ノズル形成面18aとキャップ部91との間隔Yflが略一定となる。この間隔Yflは、フラッシング時に液滴がミストになりにくい距離に設定されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
液体を噴射する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に、前記液体噴射ヘッドをクリーニングするために搭載されるクリーニング装置であって、
前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止する機能と前記液体噴射ヘッドから排出される廃液を受け止める機能とを有するキャッピング手段と、
前記キャッピング手段が前記液体噴射ヘッドに接離するよう前記キャッピング手段を昇降させる昇降手段と、
前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに接近する方向へ付勢する付勢手段と、
前記付勢手段を前記キャッピング手段が前記液体噴射ヘッドに当接して前記ノズル形成面を封止している状態で固定するロック手段と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、
前記昇降手段は、前記ロック手段で前記付勢手段をロックした状態で前記キャッピング手段を下降させて前記液体噴射ヘッドの封止を解くことを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、
前記キャッピング手段を下降させる量は、予め設定された値であることを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、
前記キャッピング手段と前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を払拭するワイピング部材とを有するヘッド当接ユニットを備え、
前記昇降手段は前記ヘッド当接ユニットを昇降させることにより前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに接離させるように構成されており、
前記昇降手段は、前記キャッピング手段が前記ノズル形成面を封止するときの位置にある前記ヘッド当接ユニットを、前記ロック手段による前記付勢手段のロック状態が保持されたまま、前記ノズル形成面に対する前記ワイピング部材による払拭が行われるワイピング位置まで下降させることを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、
前記ヘッド当接ユニットを下降させる量は、ワイピング時における前記ノズル形成面に対する前記ワイピング部材の干渉量を適切な一定値とするために予め設定された一定の値であることを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、
前記キャッピング手段が前記液体噴射ヘッドに当接して封止した空間に負圧を与えて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引する吸引手段を備え、
前記ロック手段は、前記吸引手段による前記液体噴射ヘッドからの液体の吸引中は前記付勢手段のロックを解除させていることを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、
前記液体噴射ヘッドによる液体の噴射が行われない待機時において、前記昇降手段は、前記キャッピング手段を上昇させて前記液体噴射ヘッドのノズル内の液体が乾燥しないように前記ノズル形成面に当接させて封止するキャッピングを行い、当該キャッピング中において前記ロック手段は、前記付勢手段のロックを解除させていることを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、
前記ロック手段は、前記昇降手段が前記キャッピング手段を上昇させて前記液体噴射ヘッドに当接するに先だち前記付勢手段のロックを解除することを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、
前記ロック手段は、前記昇降手段が前記キャッピング手段を上昇させるべきキャッピング時期になると、前記付勢手段のロックを解除することを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、
前記液体噴射ヘッドが媒体に液体を噴射する液体噴射処理中において前記付勢手段は前記ロック手段によるロックがなされた状態に保持されており、液体噴射処理の途中でフラッシング時期になると、前記液体噴射ヘッドと前記キャッピング手段が対向する状態下で前記液体噴射ヘッドによるフラッシングが行われ、前記ロック手段は当該フラッシング中も前記付勢手段をロックさせていることを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、
前記液体噴射装置は、前記液体噴射ヘッドから液体が噴射される媒体の載置面と前記液体噴射ヘッドとのギャップを調整すべく前記液体噴射ヘッドを移動させるギャップ調整手段を備え、前記クリーニング装置は当該液体噴射装置に搭載されるものであることを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【請求項12】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のクリーニング装置とを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項13】
液体を噴射する液体噴射ヘッドのノズル内の液体の乾燥を防ぐためにノズル形成面にキャッピング手段を当接させて該ノズル形成面を封止するとともに、前記ノズル形成面から離間した対向位置に配置された前記キャッピング手段により前記液体噴射ヘッドのノズルから噴射される廃液を受け止める液体噴射装置におけるクリーニング方法において、
液体を噴射する液体噴射ヘッドのノズル内の液体の乾燥を防ぐためにキャッピング手段を上昇させて前記液体噴射ヘッドに当接させることにより前記ノズル形成面を封止する封止段階と、
前記封止の状態にある前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに接近する方向へ付勢している付勢手段を前記キャッピング手段が液体噴射ヘッドに当接して前記ノズル形成面を封止している状態でロックするロック段階と、
前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに当接した位置から前記液体噴射ヘッドから噴射される廃液を受け止めるフラッシング位置まで下降させる下降段階と、
前記フラッシング位置に配置された前記キャッピング手段に向けて前記液体噴射ヘッドのノズルから廃液を噴射するフラッシング段階と、
を備えたことを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置におけるクリーニング装置、液体噴射装置及びクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体噴射装置の1つとして、インクジェット式記録装置が広く知られている。インクジェット式記録装置は、インク滴(液体)を噴射(吐出)する記録ヘッドを備え、記録(印刷)がなされる用紙などの記録媒体の厚みは用途に応じて種々のものが使用される。記録ヘッドから記録媒体上への液滴の噴射は、記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させながら行われるので、使用される記録媒体の厚みが変わると、記録ヘッドと記録媒体表面との間隔が変わって、液滴の着弾位置がずれるなど印刷精度の低下の原因となる。そこで、記録媒体の厚みに応じて記録ヘッドを上下方向に移動させることにより記録ヘッドとプラテン(用紙ガイド部材)とのギャップ(プラテンギャップ)を適正に調整するプラテンギャップ調整手段を備えた記録装置が開示されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0003】
また、インクジェット式記録装置には、液体噴射ヘッドのノズル形成面(ノズルが開口された面)を払拭してインクの汚れを取り除くワイピング機能や、ノズル内の増粘したインクを空吐出により取り除くフラッシング機能や、ノズルからインクを強制的に吸引してノズルの目詰まりを解消する吸引動作機能を実現するクリーニング装置が備えられている(例えば特許文献1〜3)。クリーニング装置は、弾性素材を短冊状に形成したワイピング部材と、ノズルの乾燥を防ぐために記録ヘッドのノズル形成面をキャップするキャッピング手段とを備える。そして、吸引動作の際はノズル形成面をキャップして封止し、その封止された空間に吸引ポンプを駆動して負圧を与えることにより記録ヘッドのノズルから液体を強制的に排出させる。この吸引動作の後に連続して、ノズル形成面に付着した液体を掻き取ったりノズル孔内の液体のメニスカスを整えたりするワイピングが通常一緒に行われる。
【0004】
ところで、プラテンギャップ調整手段によって記録ヘッドが上下方向に位置調整されると、記録ヘッドの高さ位置と、キャッピング手段およびワイピング部材がクリーニング時に配置される高さ位置との間隔が変化することになる。この間隔が変化すると、記録ヘッドのノズル形成面とワイピング部材との接触度合い(干渉量)が変化することになっていた。これによりノズル形成面の払拭作用が不良となったり、またはワイピング部材の弾性作用によってその弾性変形の復元時にむやみに液体を飛散させて記録装置内を汚染させたりするなどの技術的課題があった。
【0005】
この技術的課題を解決するために、特許文献1では、クリーニング時期になるとワイピング部材がノズル形成面に対して一定の干渉量になるようにプラテンギャップ調整手段により印刷中とは異なるプラテンギャップに自動調整するように構成されていた。
【0006】
また、特許文献2には、プラテンギャップの大小によりワイピング部材と記録ヘッドとの干渉量が変化し、ワイピング特性を悪くするような干渉量のときでも好適なクリーニングがなされるように、プラテンギャップの大小に応じてワイピング速度やワイピング回数を変更するインクジェット式記録装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、キャッピング手段とワイピング部材が同じ部材に設けられて一緒に昇降する方式のクリーニング装置が開示されている。このような構成の場合も、プラテンギャップの調整によりワイピング部材の干渉量が同様に変化するので、特許文献1の構成を採用することによりノズル形成面とワイピング部材の干渉量を適切に調整したり、特許文献2の方法を採用することによりワイピング部材によるクリーニングを適切に実施することができるようになる。
【特許文献1】特開平11−115275号公報
【特許文献2】特開2002−264350号公報
【特許文献3】特開2003−127434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献2では、プラテンギャップの大小によりワイピング部材と記録ヘッドとの干渉量が変わるので、ワイピング速度やワイピング回数を変更することによりクリーニング性能については解決される。しかし、プラテンギャップの大小は前記干渉量だけではなく、当然、キャッピング手段と記録ヘッドの距離も変化させる。例えば厚紙に印刷する場合において、プラテンギャップが広くとられるよう記録ヘッドが相対的に上方位置に配置された場合、フラッシング時に記録ヘッドとキャッピング手段との間隔が相対的に広くなる。このように記録ヘッドとキャッピング手段との間隔が広くなって、フラッシング時にノズルから噴射された液滴がキャッピング手段に到達するまでの距離が長くなると、ノズルから噴射された液滴がミストになり易く、浮遊したミストが記録装置内を汚染してしまうという問題があった。この問題は、キャッピング手段とワイピング部材が一つの部材に固定されている特許文献3のクリーニング装置においても同様に言えることである。
【0009】
さらに特許文献1では、プラテンギャップが自動調整されるので、クリーニング時はノズル形成面に対してワイピング部材が一定の接触度合い(干渉量)になるが、ワイピング時期になる度に印刷中とは異なるプラテンギャップに変更する必要があり、印刷のスループットが悪くなるという問題があった。また、クリーニング時期の度にプラテンギャップを変更する方法を、フラッシングの場合にも適用することができるが、この場合も同様に、フラッシング時期になる度に印刷中とは異なるプラテンギャップに変更する必要があるので、同様に印刷のスループットが悪くなるという問題があった。また、特許文献2に記載のような手動操作式のプラテンギャップ調整手段を備えた記録装置においては、クリーニング時期にプラテンギャップを自動で変更する方法を採用することができないという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、その第1の目的は、スループットをさほど悪化させることなく、フラッシング時のミストの発生を少なく抑えることができる液体噴射装置におけるクリーニング装置、液体噴射装置およびクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に、前記液体噴射ヘッドをクリーニングするために搭載されるクリーニング装置であって、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止する機能と前記液体噴射ヘッドから排出される廃液を受け止める機能とを有するキャッピング手段と、前記キャッピング手段が前記液体噴射ヘッドに接離するよう前記キャッピング手段を昇降させる昇降手段と、前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに接近する方向へ付勢する付勢手段と、前記付勢手段を前記キャッピング手段が前記液体噴射ヘッドに当接して前記ノズル形成面を封止している状態で固定するロック手段とを備えたことを特徴とする。なお、液体は、液体噴射法(インクジェット法)の対象となる液体であればよい。例えば、液体は、記録(印刷)に用いられるインクに限らず、電子回路基板の構成要素(例えば配線、素子、画素等)の少なくとも一部を、インクジェット法を少なくとも一部利用して製造するときに液体噴射ヘッドから噴射される特定の機能を有する材料を分散又は溶解された状態で含む液状体も含まれる。
【0012】
まず、クリーニングのために液体噴射ヘッドから液体(廃液)を噴射させる空吐出(フラッシング)は、液体噴射ヘッドと間隔(距離)を開けて対峙するキャッピング手段に向かって行われる。この間隔は、液体噴射装置に備えられたギャップ調整手段による液体噴射ヘッドの前記間隔の方向の位置変更や、液体噴射ヘッドおよびクリーニング装置の組付け位置の前記間隔の方向のばらつきなどが原因で変化する。この間隔が広いほど、フラッシング時に噴射された液滴がミストになり易くなる。本クリーニング装置が装備される液体噴射装置が、例えばギャップ調整手段を備えるものである場合、液体噴射ヘッドは媒体(記録媒体又は基板等)の厚みに応じて媒体載置面に対して位置調整される。ここで、媒体載置面とは、液体噴射ヘッドと媒体の表面との間隔を規定する間隔規定部材(プラテン又はテーブル等)の表面を指す。このようにギャップ調整手段を備えた液体噴射装置に適用された場合、媒体の厚みに応じて位置調整された液体噴射ヘッドは、クリーニング装置(つまりキャッピング手段)に対しても位置を変化させることになる。
【0013】
キャッピング手段が昇降手段により上昇して液体噴射ヘッドに当接する封止位置に配置されたとき、キャッピング手段は付勢手段により液体噴射ヘッドに接近する方向に付勢された状態にあるので、液体噴射ヘッドはしっかり封止される。この封止状態において付勢手段はロック手段により固定(ロック)される。その後、キャッピング手段が下降したとき、その下降したキャッピング手段と液体噴射ヘッドとの距離は、付勢手段がロックされた状態にあることから、液体噴射ヘッドと媒体載置面との間隔によらず略一定に保持される。例えばこの距離が変化していた従来装置においては、液体噴射ヘッドが媒体載置面に最接近した位置にあるときに、下降時のキャッピング手段と液体噴射ヘッドとの距離を両者が接触しない程度に設定する必要があり、この場合、液体噴射ヘッドが媒体載置面から最も離れたとき、下降時のキャッピング手段と液体噴射ヘッドとの距離が遠くなって、噴射した液滴がミストになり易くなることが起こり得た。これに対して、本発明のクリーニング装置では、下降したときのキャッピング手段と液体噴射ヘッドとの距離が略一定であることから、この略一定の距離を、噴射された液滴がミストになりにくい一定以内の距離に設定しておくことが可能となる。この結果、クリーニングのために液体噴射ヘッドから液体(廃液)が噴射(吐出)される空吐出(フラッシング)の際に、キャッピング手段までの距離が遠すぎることがないので、噴射された液滴がミストになりにくく、液体噴射装置内のミストによる汚染を回避し易くなる。また、従来装置のように、ワイピングの際に、ギャップ調整手段を作動させる必要がない。よって、スループットをさほど悪化させることなく、フラッシング時のミストの発生を少なく抑えることができる。
【0014】
また、液体噴射ヘッドの組付け位置のばらつきが原因で、液体噴射ヘッドとキャッピング手段との距離にばらつきがある場合もある。このような場合も、キャッピング手段が液体噴射ヘッドに当接してノズル形成面を封止している状態で付勢手段がロックされることにより、その後のフラッシング時における液体噴射ヘッドとキャッピング手段との距離を略一定に保持できる。よって、このような組付け位置のばらつきが原因で液体噴射ヘッドとキャッピング手段との距離にばらつきがある場合も、ギャップ調整手段を備えた液体噴射装置に適用した場合と同様に、フラッシング時のミストの発生を少なく抑えることができる。
【0015】
なお、付勢手段を固定(ロック)するタイミングは、キャッピング手段が液体噴射ヘッドに当接した封止状態にあるときであればよく、昇降手段がキャッピングする際の最上昇位置にあるときに限らず、キャッピング手段が液体噴射ヘッドから離れる前の下降途中のタイミングであってもよい。また、キャッピング手段の役割としての封止機能には、例えば液体噴射ヘッドのノズル内の液体の乾燥を防ぐためにノズル形成面にキャップをする封止機能や、液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引するためにノズル形成面にキャップをする封止機能などが挙げられる。さらにキャッピング手段による封止は、液体噴射ヘッドのうち液体が噴射される噴射口(ノズル孔)の部分を少なくとも封止できれば足りる。
【0016】
また、本発明のクリーニング装置において、前記昇降手段は、前記ロック手段で前記付勢手段をロックした状態で前記キャッピング手段を下降させて前記液体噴射ヘッドの封止を解くことを特徴とする。
【0017】
これによれば、キャッピング手段が下降して液体噴射ヘッドの封止状態が解除されたときも、その下降したキャッピング手段と液体噴射ヘッドとの距離は、液体噴射ヘッドと媒体載置面との間隔によらず略一定に保持することができる。
【0018】
また、本発明のクリーニング装置において、前記キャッピング手段を下降させる量は、予め設定された値であることを特徴とする。
これによれば、液体噴射ヘッドと媒体載置面との間隔によらず略一定に保持されたキャッピング手段と液体噴射ヘッドとの距離を、噴射された液滴がミストになりにくい一定の距離に設定することで、フラッシング時のミストの発生を少なく抑えることができる。また、キャッピング手段と液体噴射ヘッドとの距離を、キャッピング手段と液体噴射ヘッドとの間に隙間が生じる程度の一定の距離とすれば、キャッピング手段を移動する量を最小限にでき、装置を小型化することができる。
【0019】
また、本発明のクリーニング装置において、前記キャッピング手段と前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を払拭するワイピング部材とを有するヘッド当接ユニットを備え、前記昇降手段は前記ヘッド当接ユニットを昇降させることにより前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに接離させるように構成されており、前記昇降手段は、前記キャッピング手段が前記ノズル形成面を封止するときの位置にある前記ヘッド当接ユニットを、前記ロック手段による前記付勢手段のロック状態が保持されたまま、前記ノズル形成面に対する前記ワイピング部材による払拭が行われるワイピング位置まで下降させることを特徴とする。
【0020】
これによれば、ヘッド当接ユニットは、キャッピング手段がノズル形成面を封止する位置から下降してワイピング位置に配置される。ワイピング位置に下降する際は付勢手段がロックされており、そのときの付勢手段の固定位置は、液体噴射ヘッドと媒体載置面のギャップに応じて変化しているので、ノズル形成面に対するワイピング部材の干渉量が略一定に保持される。したがって、ワイピング時には、液体噴射ヘッドと媒体載置面のギャップによらず、ノズル形成面とワイピング部材との干渉量が常に略一定な適切値になるので、適切なワイピングが行われる。また、従来装置のように、ワイピングの際に、ギャップ調整手段を作動させる必要がない。よって、スループットをさほど悪化させることなく、ワイピングを適切に行うことができる。
【0021】
また、本発明のクリーニング装置において、前記ヘッド当接ユニットを下降させる量は、ワイピング時における前記ノズル形成面に対する前記ワイピング部材の干渉量を適切な一定値とするために予め設定された一定の値であることを特徴とする。
【0022】
これによれば、液体噴射ヘッドと媒体載置面との間隔によらず略一定に保持されたノズル形成面に対するワイピング部材の干渉量を、適切な一定値に設定することができるので、適切なワイピングが行われる。
【0023】
また、本発明のクリーニング装置において、前記キャッピング手段が前記液体噴射ヘッドに当接して封止した空間に負圧を与えて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引する吸引手段を備え、前記ロック手段は、前記吸引手段による前記液体噴射ヘッドからの液体の吸引中は前記付勢手段のロックを解除させていることが好ましい。
【0024】
これによれば、吸引中は付勢手段のロックが解除されているので、吸引動作が適正に行われる。例えば付勢手段がロックされた状態で吸引動作が行われると、吸引動作時に発生する振動によりキャッピング手段の封止が不完全になり易く吸引動作が適正に行われなくなる心配があるが、付勢手段のロックが解除されているので、吸引動作時に発生した振動に応じて付勢手段が伸縮し、キャッピング手段の封止がしっかりなされる。このため、吸引動作が適正に行われ易くなる。
【0025】
さらに、本発明のクリーニング装置において、前記液体噴射ヘッドによる液体の噴射が行われない待機時において、前記昇降手段は、前記キャッピング手段を上昇させて液体噴射ヘッドのノズル内の液体が乾燥しないように前記ノズル形成面に当接させて封止するキャッピングを行い、当該キャッピング中において前記ロック手段は、前記付勢手段のロックを解除させていることが好ましい。
【0026】
これによれば、液体噴射ヘッドのノズル内の液体の乾燥を防止するために、液体の噴射が行われない待機中はキャッピング手段による封止(キャッピング)が行われる。このキャッピング中においては、付勢手段のロックが解除されているので、キャッピングが適正に行われる。
【0027】
また、本発明のクリーニング装置において、前記ロック手段は、前記昇降手段が前記キャッピング手段を上昇させて前記液体噴射ヘッドに当接するに先だち前記付勢手段のロックを解除することが好ましい。
【0028】
これによれば、キャッピングする際は、キャッピング手段が上昇して液体噴射ヘッドに当接するに先立ち付勢手段のロックが解除されるので、当接時には付勢手段の付勢力によってしっかりキャッピングされる。また、例えばキャッピング手段が下降位置にあるときにギャップ調整手段により媒体載置面とのギャップを短くする変更がなされたとしても、付勢手段が変更前のギャップに対応してロックされた状態にあるキャッピング手段が液体噴射ヘッドに強く衝突してしまうことを回避することができる。
【0029】
なお、この場合、前記ロック手段は、前記昇降手段が前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに当接するまで上昇開始させるに先だち前記付勢手段のロックを解除することが好ましい。キャッピング手段を上昇開始させるに先立ち付勢手段のロックを解除すれば、付勢手段のロック解除がタイミングのばらつき等により遅れたときでもキャッピング手段がノズル形成面に衝突することを回避し易くなる。
【0030】
また、前記ロック手段は、前記昇降手段が前記キャッピング手段を上昇させるべきキャッピング時期になると、前記付勢手段のロックを解除することが好ましい。ここで、キャッピング時期とは、ノズル内の液体の乾燥を防ぐ目的のキャッピング(封止)と、ノズルからの液体吸引を目的とするキャッピング(封止)との実施時期うち少なくともいずれか一方の時期を含む。
【0031】
これによれば、封止状態からキャッピング手段が下降されるときにロックされた付勢手段は、次回のキャッピング時期になると、前記ロックが解除される。このため、キャッピングが解除されてから次回キャッピングされるまでの間は、通常のフラッシングの動作をするだけでノズル形成面とキャッピング手段が適切な間隔に保持されるので、フラッシング時に噴射した液滴がミストになりにくくなる。
【0032】
また、本発明のクリーニング装置において、前記液体噴射ヘッドが媒体に液体を噴射する液体噴射処理中において前記付勢手段は前記ロック手段によるロックがなされた状態に保持されており、液体噴射処理の途中でフラッシング時期になると、前記液体噴射ヘッドと前記キャッピング手段が対向する状態下で前記液体噴射ヘッドによるフラッシングが行われ、前記ロック手段は当該フラッシング中も前記付勢手段をロックさせていることが好ましい。
【0033】
これによれば、媒体に対して液体を噴射させる噴射処理中(例えば媒体が印刷媒体であれば印刷媒体に対する印刷処理中)において付勢手段はロック手段によりロックされた状態に保持されている。そして、フラッシング時期になると、液体噴射ヘッドとキャッピング手段のうち少なくとも一方が移動して両者が対向する状態に配置され、液体噴射ヘッドのノズルから液体が噴射(空吐出)されるフラッシングが行われる。このフラッシング時は、液体噴射ヘッドのノズル形成面とキャッピング手段とが遠すぎることのない一定以内の距離に配置されるので、フラッシング時に噴射された液滴がミストになりにくくなる。このため、フラッシングの度にキャッピング手段をノズル形成面に当接させるための余分なキャッピング手段の動作が不要となるので、無駄の少ない効率的な動作を実現することができる。
【0034】
また、本発明のクリーニング装置が搭載される液体噴射装置は、前記液体噴射ヘッドから液体が噴射される媒体の載置面と前記液体噴射ヘッドとのギャップを調整すべく前記液体噴射ヘッドを移動させるギャップ調整手段を備え、クリーニング装置は当該液体噴射装置に搭載されるものであることが好ましい。なお、媒体は、印刷が施される用紙などの記録媒体(印刷媒体)に限定されず、電子回路基板を、インクジェット法を少なくとも一部利用して製造するときに、特定の機能を有する材料を含む液状体が噴射される噴射対象の基板も含まれる。
【0035】
これによれば、液体噴射ヘッドと媒体の載置面(媒体載置面)とのギャップがギャップ調整手段により調整されることにより、媒体(被噴射物)の厚みが変わっても、液体噴射ヘッドと媒体表面との間隔は適切に保持される。そして、このようにギャップ調整手段により液体噴射ヘッドの位置が変わっても、下降したキャッピング手段と液体噴射ヘッドとの距離は、付勢手段が事前にロックされることにより、液体噴射ヘッドと媒体載置面との間隔によらず略一定に保持される。そして、この略一定の距離を、噴射された液滴がミストになりにくい一定以内の距離に設定しておくことにより、空吐出(フラッシング)の際に液体噴射ヘッドから噴射される液滴がミストになりにくく、液体噴射装置内のミストによる汚染を回避し易くなる。また、従来装置のように、ワイピングの際に、ギャップ調整手段を作動させる必要がない。よって、液体噴射装置のスループットをさほど悪化させることなく、フラッシング時のミストの発生を少なく抑えることができる。
【0036】
本発明は液体噴射装置であって、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、上記発明のクリーニング装置を備えたことを特徴とする。
これによれば、スループットをさほど悪化させることなく、フラッシング時のミストの発生を少なく抑えることができる液体噴射装置を提供できる。また、スループットをさほど悪化させることなく、ワイピングを適切に行うことができる液体噴射装置を提供できる。
【0037】
また、本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッドのノズル内の液体の乾燥を防ぐためにノズル形成面にキャッピング手段を当接させて該ノズル形成面を封止するとともに、前記ノズル形成面から離間した対向位置に配置された前記キャッピング手段により前記液体噴射ヘッドのノズルから噴射される廃液を受け止める液体噴射装置におけるクリーニング方法において、液体を噴射する液体噴射ヘッドのノズル内の液体の乾燥を防ぐために前記キャッピング手段を上昇させて前記液体噴射ヘッドに当接させることにより前記ノズル形成面を封止する封止段階と、前記封止の状態にある前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに接近する方向へ付勢している付勢手段を前記キャッピング手段が液体噴射ヘッドに当接して前記ノズル形成面を封止している状態でロックするロック段階と、前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに当接した位置から前記液体噴射ヘッドから噴射される廃液を受け止めるフラッシング位置まで下降させる下降段階と、前記フラッシング位置に配置された前記キャッピング手段に向けて前記液体噴射ヘッドのノズルから廃液を噴射するフラッシング段階と、を備えたことを特徴とする。
【0038】
これによれば、フラッシングの際にノズル形成面とキャッピング手段とを一定以内の距離に配置することが可能となるので、フラッシング時に噴射された液体(廃液)がミストになりにくい。よって、スループットをさほど悪化させることなく、フラッシング時のミストの発生を少なく抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図13に従って説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェット式記録装置の基本構成を示す斜視図である。図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置(以下、記録装置10と称す)は、基体11(本体フレーム)を有していて、この基体11に対してキャリッジ12が往復移動自在に構成されている。基体11の内側にはその左右の側壁に両端が固定された長尺状のガイド軸13が架設されており、キャリッジ12はその挿通孔12aに挿通されたガイド軸13に沿って案内されるとともにタイミングベルト14の一部と固着されている。このため、キャリッジモータ16が駆動すると、タイミングベルト14が駆動され、このタイミングベルト14の駆動によって、キャリッジ12はプラテン15の長手方向と平行な主走査方向(同図のx方向)に往復移動する。
【0040】
キャリッジ12の記録用紙17(媒体(記録媒体))に対向する面(下側面)には、後述する液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッド18と称す)が搭載されており、そのノズル形成面18a(図7〜図9参照)は記録用紙17に対して僅かな隙間をもって対峙するように構成されている。そして、キャリッジ12の上部には、記録ヘッド18に液体としてのインクを供給するブラックのインクカートリッジ19、および例えばイエロー、シアン、マゼンダの3色のインクが個別に収容されたカラー用のインクカートリッジ20が着脱可能に装填されている。これら各インクカートリッジ19,20より記録ヘッド18に対してインクが供給できるように構成されている。記録ヘッド18のノズル形成面18aには、複数列のノズル孔(図示せず)が開口されており、各ノズル孔からインクを吐出可能となっている。
【0041】
基体11においてキャリッジ12の走行領域一端側となる非印刷領域(ホームポジション22)には、クリーニング装置を構成するキャップユニット40(メンテナンスユニット)が配置されている。キャップユニット40は、キャリッジ12に搭載された記録ヘッド18が直上に移動した時にキャッピング手段としてのキャップ部91およびワイピング部材98を上昇して、記録ヘッド18のノズル形成面18aを、キャッピング手段としてのキャップ部91により封止することができるように構成されている。そしてキャップユニット40に隣接した位置には、キャップ部91の内部空間に負圧を与えるための吸引ポンプ25が配置されている。吸引ポンプ25は、本実施形態ではチューブポンプであり、記録用紙17の搬送・排紙用の各ローラ(図示せず)を駆動する紙送りモータ27から減速ギヤ列を介して伝達された駆動力を利用して回転する回転体と、該回転体を収容する円筒体と、回転体の外周に一部巻かれた可撓性のチューブとを有する。そして、この吸引ポンプ25は、回転体が回転することにより該回転体の外周に取着された複数のローラ(押圧部)がチューブを一方向に扱く(押圧しながら移動する)ことによりチューブ内の気体が押し出されその上流側の空間に負圧を発生させるように構成されている。このチューブの吸引側の一端がキャップユニット40のキャップヘッド90の接続管に接続されており、このチューブの排出側の他端がプラテン15の下方に配置された廃液タンク28に接続されている。なお、吸引ポンプ25は回転体がポンプ作用を発生させる一方向とは逆方向の他方向に回転駆動されることによりレリース状態とされる。
【0042】
略四角形状のキャップ部91は、記録装置10の休止期間中における記録ヘッド18のノズル開口の乾燥を防止する蓋体として機能(キャッピング機能)する他、前記吸引ポンプ25からの負圧を記録ヘッド18に作用させる封止された空間を作って、記録ヘッド18よりインクを吸引排出させるクリーニング手段の一部としての機能も備えている。さらに印刷データではない駆動信号によりホームポジション22近傍の位置で記録ヘッド18からインクを吐出してノズル内の増粘したインクや気泡などを排出する空吐出(フラッシング)が行われるときに、このフラッシングにより記録ヘッド18から吐出された液滴を受け止める受け皿の機能をも備えている。
【0043】
そして、キャップヘッド90にはキャップ部91に隣接する印刷領域側に、ゴム素材を短冊状に成形したワイピング部材98が上方に延出して配置され、記録ヘッド18の吸引動作終了後のキャリッジ12がホームポジション22側から印刷領域側へ移動する際に、ノズル形成面18aを払拭できるように構成されている。これにより、例えばクリーニング動作(吸引動作)後においてノズル形成面18aに付着しているインクをワイピング部材98により掻き取ることができる。
【0044】
<プラテンギャップ調整機構>
本実施形態の記録装置10は、記録用紙17の紙厚に応じて記録ヘッド18とプラテン15の間隔であるプラテンギャップを調整できるプラテンギャップ調整機構を装備している。図2は、プラテンギャップ調整機構の構成を示したものである。同図に示すプラテンギャップ調整機構30は、操作部33を紙厚に応じた位置に手動で操作することによりキャリッジ12を紙厚に応じた適切なプラテンギャップとなる高さ位置に位置調整することができる機構である。この機構の構造を説明すると、まずキャリッジ12を図2の紙面に直交する方向に移動可能に案内しているガイド軸13は筒状のパイプからなり、その筒内には中軸13aが回動可能に収納されている。さらにこの中軸13aは、その軸方向の両端(左右端)で基体11を構成する左右の側壁に軸支された偏心軸13bによって支持されている。中軸13aには摺動溝31aを備えた作動レバー31が結合されており、この作動レバー31に形成された摺動溝31aには、基体11に軸支された操作レバー32における被作動端に配置された摺動子32aが摺動可能に挿入されている。
【0045】
操作レバー32の操作側の端部には、これを回動することができる操作部33が取り付けられており、操作部33を利用して操作レバー32を矢印方向に回動させることにより、記録ヘッド18を搭載したキャリッジ12が、上下方向に移動できるように構成されている。すなわち、本実施形態では、操作レバー32を実線で示すように手前に引く(図2において左回転させる)ことにより、作動レバー31は同図において右回転され、これにより偏心軸13bの作用によってキャリッジ12は若干降下する。この結果、記録ヘッド18が下方に移動して、図1に示したプラテン15とのギャップ(プラテンギャップ)が狭められるように作用する。
【0046】
また、操作レバー32を鎖線で示すように直立状態に立てることにより、作動レバー31は同図において左回転され、これにより偏心軸13bの作用によってキャリッジ12は上昇し、この結果、記録ヘッド18が上方に移動して、図1に示したプラテン15とのギャップが広げられるように作用する。
【0047】
なお、本実施形態では、手動操作式のプラテンギャップ調整機構30を用いたが、プラテンギャップを自動調整することができるプラテンギャップ自動調整機構を採用することもできる。プラテンギャップ自動調整機構としては、例えばユーザがホストコンピュータの入力装置を用いて入力した記録媒体種(用紙種)に応じた厚みに対応する適切なプラテンギャップを、メモリに予め記録されたテーブルデータを参照して決定し、その決定したプラテンギャップとなるようモータ等の駆動手段を駆動させるものが挙げられる。例えば特許文献1に記載のプラテンギャップ自動調整機構がこれに該当する。さらに、他の機構としては、記録ヘッドとプラテン間の距離と、記録ヘッドと記録媒体(用紙など)間の距離とを測定し、その測定した2つの距離の差から記録媒体の厚みを算出し、その算出した厚みに応じた適切なプラテンギャップになるように駆動手段を駆動させる自動調整機構を挙げることもできる。この場合、距離の測定方法としては、レーザ式測長器等の計測器を用いる方法や、記録ヘッドを基準位置からプラテンおよび記録媒体に当接するまで個別に下降させ、そのときのモータの回動量(ステップ数等)からそれぞれの下降量を求め、これら2つの下降量の差から記録媒体の厚みを測定する方法などが挙げられる。
【0048】
<キャップユニットの構成>
次に、上述の記録装置10に適用されるキャップユニット40の構成について、図3から図9に基づいて説明する。図3はキャップユニットの分解斜視図、図4はキャップユニットの平面図である。なお、図示はしないが、紙送りモータ27の駆動力を吸引ポンプ25に伝達するための減速ギヤ列(図示せず)および吸引ポンプ25は、キャップユニット40と一体的にユニット化されており、キャップユニット40は、基体11の内側の一端側に配置された吸引ポンプ25の上部を覆うように取付固定されている。また、これらの図において、キャップユニット40を構成するキャップヘッド90の接続管に接続され吸引ポンプ25の一部を構成する可撓性のチューブについては図示を省略している。
【0049】
このキャップユニット40は、その基材となるキャップフレーム41を有しており、このキャップフレーム41が取付部42を介して基体11に取付固定されることにより、キャップユニット40は基体11の内側一端のホームポジション22に相当の位置に配置されている。なお、取付部42には、孔部42aが形成され、この孔部42aに挿通させたネジを、基体11に形成されたネジ孔に螺着させることによりキャップフレーム41は基体11に取付固定される。
【0050】
このキャップフレーム41は、図3および図7〜図9に示すように、その両側壁41a,41bの外観がスロープをなすように形成されていて、該スロープの頂部が設けられている側が、基体11の一端側(図1における右端側)に位置するように配置されている。各両側壁41a,41bには、一対の案内孔(第1の案内孔43、第2の案内孔44)が形成されている。それぞれの案内孔43,44は、記録ヘッド18の移動方向(キャップフレーム41の長手方向)に前記スロープに沿って延びるように形成されている。
【0051】
第1の案内孔43は、両側壁41a,41bの頂部側(基体11の一端側)に位置するものである。この第1の案内孔43には、水平な下段部43a、傾斜部43b、および水平な上段部43cが連続して形成されている。また、第2の案内孔44には、水平な下段部44a、第1傾斜部44b、水平な中段部44c、第2傾斜部44d、および水平な上段部44eが連続して形成されている。なお、両側壁41a,41bは、それぞれの案内孔43,44の形状に倣うように形成されている。このため、両側壁41a,41bのスロープの上部側に、上段部43c,44eがそれぞれ位置している。また、これらの案内孔43,44によって、カムが構成されている。
【0052】
また、キャップフレーム41は、一方の側壁41aのうち、下方の図3における右側には該キャップフレーム41の内部に向かって突出する一方、外側が凹む内方突出部41cが形成されている。それによって、キャップフレーム41の一方の側壁41aの内壁側には、ガイドスロープ45が形成されている。ガイドスロープ45は、後側(図3の左側)が低くなると共に、前側(図3の右側)が高くなるようにスロープ部46が設けられている。
【0053】
また、ガイドスロープ45には、このスロープ部46を登りきった後に、所定長さの平らな頂部47が設けられていて、さらにこの頂部47を通過した部位に、爪係合凹部48が設けられている。この爪係合凹部48は、後述するレバーロックスライダ80の係止爪85が入り込める窪み部分であり、この爪係合凹部48の窪み部分において後端側で鉛直に切り立っている後端壁48aに係止爪85が係止される構成である。
【0054】
キャップフレーム41には、キャップスライダ(以下、スライダ50と称す)がスライド自在に設けられている。スライダ50には、一方の側面51aの前側に第1の支持ピン52、側面51aの後側に第2の支持ピン53が、それぞれ外方に向かうように突出形成されている。同様に、他方の側面51bからも、第1の支持ピン54、第2の支持ピン55が、それぞれ外方に向かうように突出形成されている。このうち、第1の支持ピン52,54は、第1の案内孔43に挿入される部材である。他方の側面51bから突出形成されている第1の支持ピン54は、その突出端部が第1の引張りバネ62を受け止めるバネ受け部56となっている。また、第2の支持ピン53,55は、第2の案内孔44に挿入される部材である。
【0055】
これら第1の支持ピン52,54、および第2の支持ピン53,55が、各案内孔43,44に沿ってスライドすることにより、スライダ50はキャップフレーム41に対してスライド自在となる。これと共に、スライダ50は、記録ヘッド18の移動方向および記録ヘッド18のノズル形成面18aと接離する上下方向へ移動可能に支持されている。なお、これら第1の支持ピン52,54、および第2の支持ピン53,55は、上述のカムに対するカムフォロワを構成している。
【0056】
キャップフレーム41には、第1のバネ受け部60および第2のバネ受け部61が設けられている。第1のバネ受け部60は、図4に示すように、他方の側壁41bの後端側から外方に向かって突出するように設けられている。この第1のバネ受け部60には、第1の引張りバネ62の一端側が掛け渡される。また、第2のバネ受け部61は、図4に示すように、中心線よりも一方の側壁41a側に位置していて、キャップフレーム41の底面を切り欠いて形成された孔部63を囲む縁部から孔部63内に突出するように形成されている。この第2のバネ受け部61には、第2の引張りバネ64の一端側が掛け渡される。
【0057】
なお、本実施形態では、一方の側面51aから突出する第2の支持ピン53が、他方の側面51bから突出する第2の支持ピン55よりも長くなるように形成されている。それによって、キャップフレーム41の一方の側壁41aと、スライダ50の側面51aの間に、後述するレバーロックスライダ80が配置可能なスペースが形成される。また、他方の側面51bから突出する第1の支持ピン54は、バネ受け部56の機能を良好に果たせるように、案内孔43を貫通して、さらに外方に向かって大きく突出している。また、上述の案内孔43,44および支持ピン52〜55は、キャリッジ12の移動を後述するキャップヘッド90の接近・離間動作に変換するための変換手段を構成している。
【0058】
これらスライダ50とキャップフレーム41の間に設けられる第1の引張りバネ62によって、スライダ50が記録ヘッド18の印刷領域側(後側)および下方側に向かって付勢されている。このスライダ50は、一端側(前方側)が高く、他端側(後方側)が低くなる二段形状をなしている(図3参照)。このうち、他端側の低い段は、後述するキャップヘッド90の上下方向への移動を許容すべく、低く形成させたものである。この低い段の底部57には、後述する付勢部品110を所定の固定位置に位置決めするための円弧状の凸条部58が形成されている。凸条部58に位置決めされることにより付勢部品110は、キャップヘッド90の軸心と軸心を一致させた状態に組付けられる。
【0059】
なお、以後の説明では、キャップフレーム41、スライダ50およびキャップヘッド90の一端側を前端側、他端側を後端側、一端側と他端側を結ぶ方向を前後方向として、説明する。
【0060】
また、このスライダ50には、複数の位置決め部が形成されている。このうち、第1の位置決め部65は、低い段と高い段の境界の起立壁66から、後端側に突出するように設けられている。この第1の位置決め部65は、スライダ50の中心線に沿う切り込み溝68を有するとともに下方が開口するように逆さに設けられた袋状部67を有している。この袋状部67の内部はガイド凹部70となっており、キャップヘッド90の後述する回動支持部材101が配置される箇所となる。
【0061】
なお、上述の袋状部67の切り込みと共に、低い段の底部57にも、スライダ50の中心線に沿って切り込み溝71が形成されている。それによって、後述するキャップヘッド90をスライダ50に取り付けることが可能となり、またキャップヘッド90の接続管95をスライダ50の裏面側に突出させることが可能となる。
【0062】
また、第2の位置決め部72は、低い段を囲む一対の側面51a,51bの上端部分が該当する。この第2の位置決め部72には、キャップヘッド90の後述するフランジ部102が衝突し、該フランジ部102を受け止めるように構成されている(図4参照)。
【0063】
また、第3の位置決め部73は、スライダ50の後端側に棒状に一対設けられている。この第3の位置決め部73は、上述の側面51a,51bの上端から、上側に向かって突出すると共に、所定の高さ位置から後側に向かって突出する棒状部分を有している。そして、この棒状の第3の位置決め部73が、キャップヘッド90の後述する位置決め凹部105に差し込まれる。
【0064】
また、図3および図7〜図9に示すように、このスライダ50には、その一端側に上方に向かう突出部材74が形成されている。この突出部材74は、キャリッジ12がホームポジション22へ移動する際に衝突する部分であり、かかるキャリッジ12の衝突によってスライダ50はキャップフレーム41の一端側(前側)に移動し、該スライダ50が持ち上がった状態となる。
【0065】
スライダ50の一方の側面51aと、キャップフレーム41の一方の側壁41aの間のスペースには、レバーロックスライダ80が配置される。このレバーロックスライダ80は、図3および図7〜図9に示すように、その外観が略L字状に形成されている。このレバーロックスライダ80は、前後方向が長手方向となるように配置されるスライド片81と、上下方向が長手方向となるように配置される衝突片82とから構成されている。
【0066】
このうち、スライド片81は、前側が図3で上下方向の幅が狭い幅狭部83、後側が図3で上下方向の幅が広い幅広部84となっている。また、スライド片81の前端側には、下方に向かって鉤状の係止爪85が突出形成されている。係止爪85は、該スライド片81の長手方向と直角をなす係止壁85aを有していて、この係止壁85aによって係止爪85が後端壁48aに係止されることとなる。また、スライド片81のうち、係止爪85が設けられている部位からキャップフレーム41の内側に向かって、バネ受け部86が突出するように設けられている(図3参照)。バネ受け部86には、第2の引張りバネ64の他端側が掛け止めされる。この第2の引張りバネ64によって、レバーロックスライダ80には、後側および下方に向かう付勢力が与えられる。
【0067】
また、スライド片81の幅広部84には、レバー側案内孔87が形成されている。このレバー側案内孔87には、上述のキャップフレーム41の第2の案内孔44の第1傾斜部44b、第2傾斜部44d等と同程度の傾斜角度を有する傾斜部87aと、水平な上段部87bとが設けられている。このレバー側案内孔87には、第2の支持ピン53が挿入される。それによって、該第2の支持ピン53の移動により、第1の引張りバネ62および第2の引張りバネ64の付勢力に抗しつつ、レバーロックスライダ80が押される。
【0068】
また、衝突片82は、スライド片81の後側から上方に向かって突出している部分である。この衝突片82は、記録ヘッド18に設けられた係合部23(図7から図9参照)に衝突する部分であり、かかる衝突によって、衝突片82は、レバーロックスライダ80を図8,図9において反時計回りに回動させる。それによって、スライド片81の係止爪85も反時計回りに回動し、後端壁48aへの係止状態が解かれる。また、この解除と共に、係止爪85がガイドスロープ45を滑りながら、第2の引張りバネ64の付勢力でレバーロックスライダ80が後端側に引っ張られる。なお、係合部23は、図7〜図9に示すように、キャリッジ12の先端側の側方の下部側で、かつ一方の側壁41a側に向かって突出して設けられている。そして、このキャリッジ12の係合部23は、キャリッジ12が印刷位置側に戻るときに、衝突片82に衝突することを可能としている。なお、スライダ50、案内孔43,44を有するキャップフレーム41、ガイドスロープ45、第1の引張りバネ62、第2の引張りバネ64、レバーロックスライダ80等によって、昇降手段(昇降機構)が構成されている。
【0069】
また、スライダ50には、キャップヘッド90が支持されている。このキャップヘッド90は、付勢部品110による上方向の付勢力を受けながら、スライダ50に対して上下動可能に支持されている。付勢部品110は、スライダ50の凸条部58に位置決め固定されるものであって、キャップヘッド90とスライダ50との間に圧縮状態に介装され、スライダ50に対してキャップヘッド90を上方に付勢する機能を有している。付勢部品110の隣接位置には、ソレノイド114の駆動(励消磁)により付勢部品110を弾性圧縮状態でロックさせるとともにそのロック解除を行うロック装置113が設けられている。このロック装置113は、キャップヘッド90が下降してキャップ部91が記録ヘッド18から離間しても、付勢部品110を離間前の当接していたときの弾性圧縮状態にロック(固定)できるように作動する。
【0070】
キャップヘッド90が有しているキャップ部91は、キャリッジ12がホームポジション22側に位置している場合に、記録ヘッド18のノズル形成面18aを封止する部分である。かかる封止を良好に行うために、キャップ部91は、囲い形状に形成された弾性部材、例えばゴム材からなる封止壁92を有している。なお、本実施形態では、封止壁92の囲い形状は、その平面形状が矩形をなすように形成されている。
【0071】
また、キャップ部91のうち、封止壁92で囲まれた内部には、凹部93が設けられて、その凹部93内に吸収部材が収容されている。この凹部93の底部には通孔94が形成されており、この通孔94に接続管95の一端が接続されている。そして、接続管95の他端に可撓性のチューブの一端側が接続されることによりキャップ部91の内側空間が吸引ポンプ25と連通している。
【0072】
キャップヘッド90のうち、封止壁92の前後方向における両隣の一方には、インク受け凹部96が、他方にはガイド部材97がそれぞれ形成されており、さらにインク受け凹部96の後ろ隣(図3において左隣)には、弾性部材、例えばゴム部材からなるワイピング部材98が設けられている。このうち、ワイピング部材98は、記録ヘッド18のノズル形成面18aに付着しているインク廃液を掻き取るためのものである。なお、封止壁92と、ワイピング部材98とは、2色成形によって樹脂成型品であるキャップヘッド90の本体と一体的に設けられている。
【0073】
また、インク受け凹部96は、ワイピング部材98によって掻き取られたインク廃液を受け止める部分である。このインク受け凹部96には、その底部に一対の廃液排出孔99が形成されている。廃液排出孔99は、インク受け凹部96に存在するインク廃液を排出するための孔である。また、この廃液排出孔99を挟んで、インク受け凹部96の反対側(裏面側)には、図示しない廃液吸収材が配置される。それによって、廃液排出孔99を介してインク廃液が滴下し、周辺をインク廃液で汚染するのを防止することが可能となる。
【0074】
また、図4に示すように、ガイド部材97は、薄板のリブ状部材が鉛直方向に立てられた配置で突出形成されたものである。このガイド部材97の突出端部側には、スライダ50の切り込み溝68の内部に配置される係止部100が形成されており、さらにこの係止部100の下端側には左右方向(前後方向および上下方向と直交する方向)に向かって突出する回動支持部材101が突出形成されている。この回動支持部材101が、ガイド凹部70に差し込まれることにより、キャップヘッド90が後端側にずれるのを防止している。
【0075】
キャップヘッド90の封止壁92の左右方向両隣には、フランジ部102が突出形成されている。フランジ部102は、その下面側がスライダ50の第2の位置決め部72と衝突する部分である。そして、かかる衝突により、フランジ部102はキャップヘッド90の下側へのスライドの位置規制を行う。
【0076】
また、キャップヘッド90の後端側には、一対の位置決め凹部105が設けられている。位置決め凹部105は、棒状の第3の位置決め部73が差し込まれる部分である。この位置決め凹部105に第3の位置決め部73が差し込まれると、位置決め凹部105の底壁105aが、付勢部品110の付勢力に抗しながら該第3の位置決め部73と当接することによって、キャップヘッド90が上方に移動するのを規制している。この規制によりキャップヘッド90がスライダ50に対して上下方向に移動できる移動範囲の上限位置が規定されている。
【0077】
また、キャップヘッド90の後端からは、後端リブ106が突出している。後端リブ106は、第2の支持ピン53が中段部44cに位置しているときに、後端壁41dの上端に衝突する部分である。この衝突により、第2の支持ピン53が中段部44cに位置するときの、キャップヘッド90の沈み込みの下限が規制される。
【0078】
次に付勢部品110およびロック装置113の構成について図5,図6に基づいて詳しく説明する。図5は付勢部品およびロック装置を示し、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のA−A線における模式断面図である。また、図6はロック装置の作用を示すもので、図5(a)のB−B線における模式断面図で示している。
【0079】
図5(a),(b)に示すように、付勢部品110は、円筒状の本体111と、該本体111の先端開口から一部突出して挿通された円筒状の可動ロッド112と、可動ロッド112を突出する方向に付勢して本体111内に収容されたコイルバネ119とを備えている。付勢部品110の隣接位置には、付勢部品110の可動ロッド112をロックして可動ロッド112の突出量を固定するロック手段としてのロック装置113が設けられている。ロック装置113は、ソレノイド114(駆動手段)と、ソレノイド114のロッド115の先端部に固着されたスライド板116と、可動ロッド112の外周面に遊嵌されたチョーク部材117とを有した形状をなしている。チョーク部材117は、所定長さの帯状のプレートをその中央部で略円環状に折り曲げた形状をなす環状部117aと、この環状部117aからプレートの両端部を所定の隙間を隔てて平行に延出させた一対の板部117b,117cとを有している。チョーク部材117は、一対の板部117b,117cの隙間を狭める方向に外力を与えることにより、環状部117aが内周径を狭くするよう絞め込みがなされるように構成されている。一方の板部117bには軸部材118が挿通された状態に固着され、その軸の挿入先端部が他方の板部117cの対向面に凹設された所定深さの円穴(図示せず)に一部挿通されている。そして、一対の板部117b,117cは隙間を狭める方向に外力が与えられると、軸部材118の先端部が円穴の深さ方向にさらに挿入されることにより接近可能となっている。また、軸部材118の先端部が一部挿通された板部117cの外面には係合溝117dが形成されており、この係合溝117dにスライド板116の板部117cとの対向面に形成された係合凸部116aが係合している。
【0080】
図6(a),(b)に示すように、係合溝117dは、ソレノイド114の軸線方向に対して下側ほど溝が深くなるような斜状溝に形成されている。一方、係合凸部116aはソレノイド114の軸線方向に対して下側ほどその突出量が大きくなるとともに係合溝117dと同じ傾斜角を有する斜状の凸条に形成されている。また、チョーク部材117は、スライダ50に組付けた状態ではスライダ50に一体に固着され、スライダ50の底部から一定の高さ位置に固定されている。
【0081】
このため、図6(a)に示すように、ソレノイド114が消磁されてスライド板116が下方位置にあるときは、係合凸部116aと係合溝117dとの係合面を介して押し込まれる板部117cの押込み量が少なく、チョーク部材117は可動ロッド112を絞め込むことなく可動ロッド112の移動を許容する。一方、図6(b)に示すように、ソレノイド114が励磁されてスライド板116が上方位置にあるときは、係合凸部116aと係合溝117dとの係合面を介して押し込まれる板部117cの押込み量が多くなって、チョーク部材117は可動ロッド112を環状部117aで絞め込む。この締め込みによって可動ロッド112は移動不能にロックされるようになっている。
【0082】
付勢部品110は、図5(b)に示すように可動ロッド112の先端壁に挿通口112aを有するとともに、本体111の底壁に挿通口111aを有している。キャップヘッド90の接続管95および該接続管95に接続されたチューブは、可動ロッド112の挿通口112aから付勢部品110の内部に引き込まれ、その引き込まれたチューブは本体111の挿通口111aから付勢部品110の外側へ引き出され、さらに吸引ポンプ25の吸引側に接続されている。また、付勢部品110は、特有の初期付勢力を及ぼすと共に、特有のばね定数を有している。この付勢部品110は、封止壁92が記録ヘッド18のノズル形成面18aを良好に封止するように、その付勢力が調整されている。ワイピング部材98は、封止壁92および付勢部品110が存在する軸線からは一定の距離だけ離間して設けられているため、ワイピング部材98に作用する付勢力は、てこの原理から、封止壁92に作用する付勢力よりも弱いものとなっている。なお、図5(b)に示すように、可動ロッド112は下端に形成された係止部112bが本体111の上壁に係合することにより、本体111に対して抜け止めされている。
【0083】
次に、上記のように構成された記録装置10およびキャップユニット40の動作について説明する。
例えば、記録装置10が長時間の休止の後に記録動作を再開する場合、またはユーザが記録不良を認識して、例えばクリーニングスイッチ125(図10参照)を押した場合等においては、記録ヘッド18のクリーニング動作が実行される。このクリーニング動作時には、記録ヘッド18がキャリッジ12と共に、印刷領域からホームポジション22側に移動する。
【0084】
この移動に際しては、突出部材74と係合部23とが係合し、それによって支持ピン52〜55が、それぞれ第1の案内孔43、第2の案内孔44に沿って案内され、キャップフレーム41に対してスライダ50が前方へスライドしながら上昇する。この場合、各支持ピン52〜55は、下段部43a,44aから上段部43c,44eに向かって移動するため、スライダ50は、キャップフレーム41によって持ち上げられていく状態となる。
【0085】
このように、スライダ50が持ち上げられることで、封止壁92がノズル形成面18aに当接し、該ノズル形成面18aを封止する。さらに、記録ヘッド18がホームポジション22での状態から図8に示す吸引ポジションまで移動する。この場合、第2の引張りバネ64の引張り力により、レバーロックスライダ80は、第2の支持ピン53を中心に、図8において時計回りに回動される。それによって、係止爪85が爪係合凹部48に落とし込まれる。
【0086】
かかる落とし込みにより、係止爪85の係止壁85aと、爪係合凹部48の後端壁48aとが係合される。そして、この状態で、吸引ポンプ25が吸引作動する。それによって、ノズル形成面18aとキャップ部91とで囲まれた空間には負圧が与えられ、記録ヘッド18からインクが吸引排出される。このようにして、ノズル開口の目詰まりが解消される。
【0087】
その後、記録ヘッド18が図8に示す吸引ポジションから、印刷領域に向かって、図9に示すワイピングポジションでの初期状態まで移動すると、支持ピン52〜55が、それぞれ第1の案内孔43、第2の案内孔44に沿って案内され、キャップフレーム41に対してスライダ50が後方へスライドしながら下降する。この場合、第2の支持ピン53,55は、上段部44eから中段部44cに移動する。ここで、係止爪85の係止壁85aは、爪係合凹部48の後端壁48aと衝突するが、レバーロックスライダ80は、第2の引張りバネ64により、図8において時計回りの付勢力を受けているため、係止壁85aと後端壁48aとは衝突した状態を維持する。
【0088】
それにより、第2の支持ピン53,55は、中段部44cに位置している状態となり、スライダ50が中間位置に保持されることとなる。この中間位置での保持により、封止壁92によるノズル形成面18aの封止が解除されると共に、ワイピング部材98が記録ヘッド18のノズル形成面18aに摺接可能な高さ位置に配置され、その位置で待機する。
【0089】
そして、記録ヘッド18が図9に示すワイピングポジションでの初期状態から、さらに印刷領域側に移動する際には、ワイピング部材98がノズル形成面18aに摺接し、ノズル形成面18aに付着したインクを掻き取るクリーニング動作(ワイピング)を行う。また、ワイピング部材98によるノズル形成面18aのクリーニング動作実行時には、キャップヘッド90が回動支持部材101を中心として下方側に回動し、後端リブ106が後端壁41dに衝突する。それによって、キャップヘッド90の下方側への回動が規制され、ワイピング部材98が弾性変形しながらノズル形成面18aを摺接する。この場合、インク滴がノズル形成面18aで固まっている場合でも、ワイピング部材98が下方に逃げずに弾性変形して、ノズル形成面18aのクリーニング動作を確実に行う。
【0090】
その後、記録ヘッド18が印刷領域にさらに移動していくと、係合部23が衝突片82に衝突し、レバーロックスライダ80を図9で反時計回りに回動させる。それにより、係止爪85が爪係合凹部48に嵌まり込んだ状態が解かれ、第1の引張りバネ62および第2の引張りバネ64の引張り力によって、それぞれスライダ50およびレバーロックスライダ80が、後端側および下方側に移動する。移動が終了した状態では、支持ピン52〜55は、下段部43a,44aに位置している状態となる。
【0091】
また、本実施形態の記録装置10では、記録用紙17の所定行数または所定枚数の記録を行う毎に、記録ヘッド18が、印字領域から、図7に示すフラッシングポジションに移動する。このフラッシングポジションは、ホームポジション状態の直前に位置しているので、キャップヘッド90は、案内孔43,44に沿って上昇されずに、支持ピン52〜55が下段部43a,44aに位置した下方に位置したままとなっている。このため、封止壁92の上端がノズル形成面18aと離間すると共に、ワイピング部材98もノズル形成面18aと接触しない位置に配置されている。
【0092】
この状態で、記録ヘッド18に印刷データとは関係のない駆動信号が印加されると、記録ヘッド18からキャップ部91に向かってインク滴を空吐出するフラッシングが行われる。その後、ワイピング部材98によるノズル形成面18aのクリーニング動作(ワイピング)は行われずに、記録ヘッド18は、図7に示すフラッシングポジションから、再び印刷領域に移動し、記録ヘッド18による記録動作を再開する。なお、本実施形態では、キャップ部91がノズル形成面18aをノズル孔内のインクの乾燥防止目的で封止するキャッピングポジションは、吸引ポジションと同じ位置となっている。もちろん、キャッピングポジションと吸引ポジションを異なる位置に設定してもよい。
【0093】
図10は、記録装置の電気的構成を示している。なお、図10において、すでに説明したキャリッジ12、キャリッジモータ16、インクカートリッジ19,20、吸引ポンプ25、廃液タンク28、キャップ部91、ワイピング部材98、付勢部品110、ロック用のソレノイド114およびクリーニングスイッチ125については同一符号で示している。
【0094】
図10に示すように、印刷制御部121はホストコンピュータ(図示せず)からの印刷データに基づいてビットマップデータを生成し、このデータに基づいてヘッド駆動制御部122に駆動信号を発生させて、キャリッジ12に搭載された記録ヘッド18からインク滴を吐出させる機能を備えている。このヘッド駆動制御部122は、印刷データに基づく駆動信号の他に、フラッシング制御部123からのフラッシング指令信号を受けてフラッシング操作のための駆動信号を記録ヘッド18に出力するようにも構成されている。
【0095】
クリーニング制御部124は、例えば操作パネル(図示せず)に配置されたクリーニングスイッチ125のオン操作を受けたクリーニング指令検知部126からの指令信号により、クリーニング動作を実行させる機能を備えている。また、クリーニング制御部124は、印刷制御部121を介してホストコンピュータよりクリーニング指令を受けた場合においても、同様にクリーニング動作を実行させる機能を備えている。
【0096】
前記クリーニング制御部124は、クリーニング指令を受けた場合において、ポンプ駆動回路127を制御し、吸引ポンプ25を駆動させる機能を備えている。そして、吸引ポンプ25の駆動動作によりキャップ部91の内部空間(キャップ部91とノズル形成面18aとによって囲まれた空間)に負圧を与え、記録ヘッド18のノズル開口よりインクを吸引排出させるようになされる。また、キャップ部91によるノズル形成面18aの封止を解いた状態で、再び吸引ポンプ25を駆動動作させることにより、キャップ部91に排出されたインク廃液を廃液タンク28に廃棄させることができる。
【0097】
エンコーダ130は、キャリッジ12の移動位置を例えば光学的に検知する機能を有している。このために、図には示されていないが、キャリッジ12の移動方向に沿って多数の光学的なスリットが配置され、キャリッジ12の走査にしたがって、前記各スリットを通過する光の断続数をカウントアップすることにより、キャリッジ12の移動位置が検出されるように構成されている。
【0098】
また、クリーニング制御部124には、エンコーダ130からの信号が供給されるように構成されている。クリーニング制御部124は、クリーニング指令を受付けると、エンコーダ130から入力した信号に基づくキャリッジ12の位置が所定の位置に到達したときに励磁信号を発生させて、この励磁信号をロック駆動回路128に送出することによりソレノイド114を励磁させてロッド115を突出させる機能も備えている。また、クリーニング制御部124は、キャリッジ12がホームポジションに位置する状態において印刷制御部121から印刷開始の旨の指令を受付けたときに、キャリッジ12がホームポジション(キャッピングポジション)から走行を開始するのに先立ち、消磁信号を発生させて、この消磁信号をロック駆動回路128に送出する。この消磁信号に基づいてロック駆動回路128は、ソレノイド114を消磁させ、そのロッド115を退避させるようになっている。
【0099】
キャリッジモータ制御部129にも、エンコーダ130からの信号が供給されるように構成されている。キャリッジモータ制御部129は、エンコーダ130からの信号に基づきキャリッジ12の位置を検出し、キャリッジ12の位置に応じてキャリッジモータ16を駆動制御することによりキャリッジ12の速度制御や走行方向の切換え制御などを行う。
【0100】
また、前記フラッシング制御部123、クリーニング制御部124およびキャリッジモータ制御部129に対しては、タイマ131からそれぞれに対応して設定された設定時間の経過時に制御信号が送出されるように構成されている。このタイマ131は、例えば印刷動作中において、所定時間(例えば10秒)の印刷が続行されたときに、フラッシング制御部123およびキャリッジモータ制御部129に対して制御信号を送出するように作用する。これに基づいてキャリッジモータ制御部129は、キャリッジ12をフラッシングポジションに移動させる動作を実行し、また、フラッシング制御部123はヘッド駆動制御部122に駆動信号を送出して記録ヘッド18にフラッシングを実行させる。
【0101】
また、タイマ131は、前回の吸引動作からの経過時間を計時し、その経過時間が予め設定された設定時間(例えば数時間〜数日)を超えたとき、またはその超えた後の最初の電源投入時に、クリーニング制御部124およびキャリッジモータ制御部129に対して制御信号を送出するように作用する。これに基づいてキャリッジモータ制御部129は、キャリッジ12を吸引ポジション(本実施形態ではキャッピングポジションに同じ)に移動させる動作を実行することによりキャップ部91に記録ヘッド18を封止させる。また、クリーニング制御部124は記録ヘッド18の封止完了直後にポンプ駆動回路127に駆動信号を送出し、吸引ポンプ25を駆動させることにより記録ヘッド18からのインクの吸引動作を実行させる。なお、本実施形態では、キャップユニット40および吸引ポンプ25等によりクリーニング装置が構成される。
【0102】
次に、上記のように構成されたクリーニング装置の作用を説明する。
図11は、ロック装置113により付勢部品110をロックするときの動作を説明するものである。同図(a)がフラッシング時、同図(b)がワイピング時、同図(c)がキャッピング時であり、記録ヘッド18とキャップヘッド90との位置関係をそれぞれ示している。また、図12は、ロック装置113による付勢部品110のロックを解除するときの動作を説明するものである。図13は、図11と同様に、フラッシング時、ワイピング時、キャッピング時における記録ヘッド18とキャップヘッド90との位置関係を示すものであるが、プラテンギャップが大きいときの作用を説明するものである。なお、これら図11〜図13においては、ロック装置113の図示は省略されており、付勢部品110のロック・ロック解除されたときの長さが分かるように模式的に描かれている。
【0103】
図11(a)に示すように、吸引動作時およびキャッピング時には、キャリッジ12は印刷領域内に位置すればそこからフラッシングポジションを過ぎてキャッピングポジションに移動する。この移動過程で、スライダ50は支持ピン52〜55が案内孔43,44に沿って案内されることによりキャリッジ12と共に前方へ移動しながら上昇する。この結果、スライダ50は最上昇位置に到達し、図11(c)に示すように、スライダ50と共にキャップヘッド90も上昇することにより、キャップ部91は付勢部品110により上方へ付勢された状態で記録ヘッド18に当接する。これにより記録ヘッド18はキャップ部91によってしっかり封止される。このキャッピング時において、付勢部品110は同図(c)に示すように圧縮されるが、ロックはされない。このキャッピングの過程がクリーニング方法における封止段階となる。
【0104】
インクを吸引するクリーニング(吸引排出)は、付勢部品110のロックが解除された状態で行われる。これは、吸引ポンプ25を駆動して行われるインク吸引動作時に発生する微振動が原因で、ノズル形成面18aとキャップ部91との間に微小な隙間が発生してキャップ部91内にエアが流入してキャップ部91内の負圧を損ねることになって、インク吸引力が低下することを防ぐためである。したがって、インク吸引時に微振動が発生しても、付勢部品110が弾性伸縮することによって微振動による変位を吸収してノズル形成面18aとキャップ部91がしっかり当接した高い封止状態に維持されるので、適切なインク吸引排出が実施される。このインク吸引排出の過程が、クリーニング方法における吸引段階となる。
【0105】
キャッピング状態からキャップヘッド90が下降するときは、その下降の直前にソレノイド114によりロックされる。ロックの契機(トリガ)となるこの下降のタイミングの検出は、各制御部が管理しており、印刷指令やクリーニング指令などの所定の指令を送出したり受付けることにより認識できるようになっていて、例えば次のタイミングが挙げられる。
(1)キャリッジ12がキャッピングポジションに位置する状態から印刷を開始するとき。
(2)キャリッジ12がキャッピングポジションに位置する状態から印刷以外の目的で移動を開始するとき(初期設定処理など)。
(3)吸引動作後のワイピングを行うとき。
(4)キャリッジ12がキャッピングポジションに位置する状態からフラッシングを行うとき。
【0106】
もちろんこれら(1)〜(4)の動作は記録装置10の機種などによって選択的に採用される機能なので、機種によってはこれらのうち例えば(4)の機能は無くてもよい。
このような動作が実行されるときには、印刷制御部121、クリーニング制御部124、フラッシング制御部123(上記(4)の機能をもつ場合)のいずれかは、キャリッジ12がキャッピングポジションから移動を開始することを事前に認知できる。したがって、クリーニング制御部124は、印刷制御部121、フラッシング制御部123などからの指令やタイマ131からの信号に基づきキャリッジ12のキャッピングポジションからの移動の開始を認識すると、その移動の開始に先立ってロック駆動回路128に励磁信号を送出する。この励磁信号に基づいてロック駆動回路128は、ソレノイド114を励磁させることにより付勢部品110をそのときの弾性圧縮状態にロックする。この付勢部品110のロックに前後してキャリッジモータ制御部129はキャリッジモータ16を駆動させることによりキャリッジ12をキャッピングポジションから移動開始させる。本実施形態では、スライダ50が最上昇位置にあるとき、詳しくはキャリッジモータ16の駆動を開始させる前のタイミングでソレノイド114を励磁させることにより付勢部品110をロックさせている。
【0107】
もちろん、付勢部品110のロックのタイミングは、キャップ部91(つまり封止壁92)がノズル形成面18aに当接してスライダ50に対する上下方向の移動範囲の上限位置よりも下降側に位置し、付勢部品110がとりうる最長の長さよりも弾性圧縮されて短くなった弾性圧縮状態であれば、どのタイミングであってもよい。よって、キャップ部91がノズル形成面18aから離間する前の下降途中のタイミングであってもよく、例えばキャリッジモータ16の駆動を開始してスライダ50が少し下降したタイミングでソレノイド114を励磁させても構わない。この場合、キャリッジモータ16の駆動開始(つまり昇降手段の昇降部(スライダ50)の下降開始)からロックするまでのタイミングは常に揃えた方が好ましい。例えばエンコーダ130からの信号に基づきキャリッジ12がキャッピングポジションから所定量移動して所定位置に到達したことが検出された時に常にソレノイド114を励磁するようにするとよい。この付勢部品110をロックする過程が、クリーニング方法におけるロック段階となる。
【0108】
インク吸引排出が終わった後、図11(b)に示すようにワイピングが行われる際は、付勢部品110が弾性圧縮状態にロックされた状態で、キャリッジ12がキャッピングポジションから移動を開始してワイピングポジションを通過する。プラテンギャップが小さいときは付勢部品110の圧縮量が大きく付勢部品110はかなり短く保持され、逆にプラテンギャップが大きいときは付勢部品110の圧縮量が小さく付勢部品110は少し短く保持される。このように記録ヘッド18の高さ位置がプラテンギャップを紙厚に応じて調整することによって変化しても、キャップ部91がノズル形成面18aに当接したキャッピング状態から下降するときに、ロックされている付勢部品110はキャップ部91がノズル形成面18aから離間しても元の長さに復元することない。よって、付勢部品110は元の長さよりも短な長さにロックされている。この結果、キャリッジ12がキャッピングポジションからワイピングポジションまで移動し、この移動に連動してスライダ50が一定量下降してキャップ部91がワイピング位置に配置されたときのキャップ部91とノズル形成面18aとの間隔は、そのスライダ50の下降量に相当するほぼ一定量となる。この一定量は、正確にはスライダ50の下降量から封止壁92の弾性変形の復元量を差し引いた量となる。本実施形態では、このワイピング時の前記間隔を、ワイピング部材98とノズル形成面18aとの干渉量Ywiを、最適な値としうる一定値に設定している。この一定値の干渉量Ywiの設定は、キャリッジ12がキャッピングポジションからワイピングポジションまで移動するときにこれに連動してスライドしながら下降するスライダ50の下降量を設定することにより行われる。詳しくは、キャップフレーム41に形成された第1の案内孔43および第2の案内孔44の案内孔長さをその設定通りの干渉量Ywiが得られるように設計してその設計通りに形成することにより設定することができる。
【0109】
こうしてキャリッジ12がワイピングポジションを通過する過程で行われるワイピング時には、ワイピング部材98とノズル形成面18aとの干渉量Ywiが、記録ヘッド18の高さ位置(つまりプラテンギャップ)に関係なく、常に略一定の適切な値となることにより、いつも適切なワイピングが実施されることになる。ここで、適切な干渉量Ywiを得るために設定するスライダ50の下降量は、付勢部品110が復元しないようにロックされる本実施形態においては、付勢手段がロックされない従来のクリーニング装置に比べ、仮にロックしなければ復元するはずの復元量分少なく済ませられる。これは第1の案内孔43および第2の案内孔44の長さを短くできることを意味する。なお、ワイピング終了後、キャリッジ12はそのままフラッシングポジションを通過して印刷領域内へ移動し、所定位置に到達すると例えば印刷を開始する。ここで、キャリッジ12がキャッピングポジションからワイピングポジションの初期位置まで移動してキャップヘッド90がワイピング位置まで下降する過程が、クリーニング方法におけるワイピング時の下降段階となる。また、ワイピングの過程が、クリーニング方法におけるワイピング段階となる。
【0110】
上記の説明は、キャッピング状態からインク吸引動作を実施する例であったが、ノズル内のインクの乾燥を防ぐために単にキャップ部91をノズル形成面18aに当接させているだけのキャッピング時においても、キャップ部91の下降開始に先立って付勢部品110はそのときの弾性圧縮状態のままロックされる。例えば記録装置10の電源投入時には、記録ヘッド18はキャッピング状態(図11(c))にあり、初期設定処理のために最初にキャリッジ12が移動するときはキャリッジ12の移動開始に先立って付勢部品110がロックされる。電源投入時に、すでに前回のインク吸引動作から設定時間が経過していたときは、前述のように、インク吸引動作終了後、次のワイピングのためにキャップ部91を下降させる下降開始に先立って付勢部品110はロックされる。このため、電源投入後はキャリッジ12がキャッピングポジション以外の位置(例えば印刷領域内やフラッシング位置、ワイピング位置など)にあるときはいつも、付勢部品110は弾性圧縮状態にロックされている。
【0111】
キャリッジ12が印刷領域内で印刷を実行しているときは、付勢部品110は弾性圧縮されたままロックされている。印刷実行中にフラッシングすべき所定の時期に達すると、タイマ131からフラッシング制御部123およびキャリッジモータ制御部129に信号が送られる。この信号に基づいて、キャリッジモータ制御部129はキャリッジモータ16を駆動制御してキャリッジ12をフラッシングポジションに向かわせるように移動させる。これとともに、フラッシング制御部123は駆動信号を発生させるとともにその駆動信号をヘッド駆動制御回路122に送出し、キャリッジ12がフラッシングポジションに到達した後のタイミングで記録ヘッド18にフラッシングを実行させる。
【0112】
図11(a)に示すように、フラッシング時においてノズル形成面18aとキャップ部91の凹部93内のインク吸収材上面との間隔Yflは、記録ヘッド18の高さ位置(つまりプラテンギャップ)によらず、常に略一定となる。本実施形態では、この略一定となる間隔Yflを、フラッシング時に噴射された液滴がミストにならないように一定以内の距離に設定しており、特にそのうち最も短く済ませられる適切な距離(例えばYfl=2〜4mm内の所定値)に設定している。このフラッシングの過程が、クリーニング方法におけるフラッシング段階となる。通常、下降段階においては、キャリッジ12はフラッシングポジションを通過するのみで、フラッシング段階は下降段階に連続して行われる訳ではなく、下降段階後の印刷実行中にフラッシング時期になるとフラッシングポジションに移動してフラッシングを実施することになる。なお、キャリッジ12がキャッピングポジションからワイピングポジションまで移動してキャップヘッド90が中間位置(ワイピング位置)に配置される過程が、クリーニング方法におけるワイピング時の下降段階となる。
【0113】
ここで、従来のクリーニング装置では、フラッシング時の間隔Yflとして前記適切な距離(例えばYfl=2〜4mm内の所定値)を最低確保しようとすると、記録ヘッドが最下降位置にあるときに必要な間隔Yfl(例えばYfl=2mm)が確保されるようにフラッシングポジションにおけるスライダ50の高さ位置を設定する必要がある。この場合、記録ヘッドが最上昇位置にあるときのフラッシング時の間隔Yflは、プラテンギャップ調整機構30による記録ヘッドの昇降ストローク分(例えば3mm)だけ、最下降時の間隔Yfl(例えば2mm)より長い値(例えば5mm)になるので、フラッシング時に噴射された液滴がキャップ部91に到達するまでの距離(例えば5mm)が長くなる。これにより例えば噴射された液滴がミストになり易くなる。これに対し、本実施形態では、記録ヘッド18の高さ位置によらず間隔Yflは、常に狭めの略一定(例えば2mm)に設定することができるので、どのような値のプラテンギャップに調整されても噴射された液滴がミストになりにくくなる。
【0114】
このように、従来装置であれば、記録ヘッドが最もキャップ部に接近する最下降位置(プラテンギャップが最小になる位置)にあるときのフラッシング時に、必要な間隔(例えば2mm)が確保されるようにフラッシングポジションにおけるスライダの高さを位置設定する。この場合、フラッシング位置までのキャップ部の下降量を比較すると、従来装置ではキャップ部を下降させるときにキャップ部を付勢するバネ(付勢手段)が復元力により伸びるのでその伸び量(復元量)を余分に下降させてはじめて本実施形態における干渉量Ywiと等しくなる。このため、本実施形態のキャップユニット40によれば、同じ干渉量Ywiを得るためにキャッピングポジションからワイピングポジションに至るまでのスライダ50の下降量を、従来装置に比べ少なく済ませることができる。
【0115】
さらには、ワイピングポジションからフラッシングポジションに下降したときの間隔Yflの設定の仕方によって、図11に示すスライダ50の昇降ストローク量Lをどれだけ短くできるかが決まる。従来装置においては、記録ヘッドが最下降しているときのフラッシング時に(バネが最大の長さに伸びたときでも)キャップ部がノズル形成面に接触しない程度の最低限の隙間が確保されるように、フラッシングポジションにおけるスライダの高さを位置設定する必要があった。これに対し、本実施形態によれば、記録ヘッド18が最下降しているときのフラッシング時に、キャップ部91がノズル形成面18aに接触しない程度の最低限の隙間が確保されればよいので、記録ヘッド18が最下降位置にあるときの付勢部品110の圧縮量分(最大圧縮量)だけフラッシングポジションにおけるスライダ50の高さを相対的に高く位置設定することができる。つまり、記録ヘッド18が最下降位置(プラテンギャップが最小になる位置)にあるときにキャップ部91がノズル形成面18aに当接したキャッピング状態において、弾性圧縮された付勢部品110の復元時の長さ(移動範囲の上限にあるときの長さ)を基準としたときの圧縮量分(最大圧縮量)だけ、従来装置よりスライダ50の昇降ストロークを短くすることができる。
【0116】
以上から、スライダ50をキャリッジ12の移動に連動させてスライドさせて昇降させるスライダ方式の昇降手段を備えた本実施形態では、昇降ストロークを短くできることから、スライダ50のキャリッジ移動方向の移動ストローク量が従来装置に比べ短く設定されている。このようにスライダ50の移動ストローク量が短く設定されていることから、キャップユニット40の外形寸法が上下方向にもキャリッジ移動方向(前後方向)にも、従来装置に比べ短くなっており、本実施形態ではキャップユニット40の小型化が図られている。
【0117】
一方、図12に示すように、付勢部品110のロック解除は、キャッピングするときに行う。キャッピングするときは、キャリッジ12は印刷領域からキャッピングポジションまで移動するに際して、同図(a)のフラッシングポジション、同図(b)のワイピングポジション、同図(c)のキャッピングポジションを順次通る。エンコーダ130からの信号により同図(a)に示すフラッシングポジションにキャリッジ12が到達したことが検出されると、ソレノイド114が消磁され、付勢部品110のロックが解除される。このフラッシングポジションを通過するとキャリッジ12はスライダ50に係合してスライダ50と一体的に移動する。同図(b)ではワイピングポジションに到達したときに、すでに付勢部品110の圧縮状態が解除されているので、付勢部品110の圧縮状態(ロック状態)を前提として設定されている間隔がほとんど無くなり、キャップ部91はキャッピングポジションに到達する前に早めにノズル形成面18aに当接する。このようにワイピングポジションで早めに当接しても、記録ヘッド18がすでにワイピング部材98を通過しており、しかもキャップ部91とノズル形成面18aが当接した状態でスライダ50とキャリッジ12が一体的に移動するため、キャップ部91がノズル形成面18aに摺動することもないため、何ら問題はない。そして、キャリッジ12がキャッピングポジションに到達すると、そのままキャッピング状態に保持される。このとき、付勢部品110はロック解除されているので、その付勢力によりキャップ部91はノズル形成面18aをしっかり封止する。
【0118】
また、図13(a)〜(c)に示すように、厚紙に印刷するときなどプラテンギャップが大きいときは、例えば図11に示したプラテンギャップの設定をノーマル紙に印刷するときの中程度のプラテンギャップの設定とすると、この中程度のプラテンギャップのときに比べ、キャッピング時における付勢部品110の圧縮量が小さい。そして、付勢部品110がこのときの圧縮量でロックされ、その後、キャリッジ12がワイピングポジションに移動したワイピング時には、ワイピング部材98とノズル形成面18aとの干渉量Ywiが適正値になる。この結果、適切なワイピングが実施される。さらにその後、キャリッジ12がフラッシングポジションに移動すると、ノーマル紙のときと同じ略一定のフラッシング時の間隔Yfl(例えば3mm)となる。このため、その後、印刷実行中の途中でフラッシング時期になると、そのフラッシング時には間隔Yflが適正値であることから、噴射された液滴がミストになりにくい。
【0119】
以上、上記した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)フラッシング時における記録ヘッド18とキャップ部91との間隔Yflが、記録ヘッド18の昇降位置によらず常に略一定になるので、この略一定の間隔Yflを噴射された液滴がミストになりにくい一定以内の距離に設定することにより、フラッシング時に吐出した液滴がミストになることを効率よく防ぐことができる。したがって、フラッシング時の液滴がミストになることに起因する記録装置10内のミストによる汚染を回避することができる。また、本実施形態の記録装置10では、フラッシングポジションにおけるキャップ部91と記録ヘッド18との位置関係を、付勢部品110が許容範囲内で最も伸びた状態(キャップ部91が移動範囲の上限に位置する状態)においてキャップ部91が、記録ヘッド18に当接するように設定することも可能となる。よって、記録ヘッド18とキャップ部91との略一定の間隔Yflを、従来では設定することができないさらに短な必要最小限の設定とすることができる。これにより、フラッシング時に記録ヘッド18から噴射された液滴が一層ミストになりにくくなるため、記録装置10内のミストによる汚染をより効果的に抑制することができる。
【0120】
また、特許文献1のようにクリーニング時期に印刷中とは異なるプラテンギャップに調整する動作が不要になるので、印刷のスループットを悪化させることもない。さらに、手動操作式のプラテンギャップ調整機構30を備えた記録装置10においても、干渉量Ywiおよび間隔Yflをそれぞれ適切な略一定値にすることができる。
【0121】
(2)さらに、キャリッジ12がキャッピングポジションからフラッシングポジションに至る際のスライダ50の下降量を小さく設定できるので、スライダ50の昇降ストローク量、さらに昇降ストロークを決めるスライダ50のキャリッジ移動方向の移動ストローク量を相対的に短く設定することができる。このため、キャップユニット40の高さ寸法およびキャリッジ移動方向の長さ寸法を短くできるので、キャップユニット40を小型にすることができる。キャップユニット40が小型になればこれが収納される記録装置10の小型化を図ることもできる。
【0122】
(3)ワイピング時における記録ヘッド18とワイピング部材98の干渉量Ywiが略一定になるので、ワイピングの際の拭き取り性がばらつかず、安定的な拭き取り性能を得ることができる。
【0123】
(4)従来装置ではプラテンギャップが変わってもワイピング部材は記録ヘッドと当接する必要があったため、最も大きなプラテンギャップの時においてもワイピング部材が記録ヘッドに当接できるようにワイピング部材を長くしておく必要があった。これに対し、本実施形態によれば、ワイピング部材98と記録ヘッド18の干渉量Ywiは略一定なので、キャップヘッド90のワイピング位置を相対的に高く位置設定することができ、このような設定の採用によりワイピング部材98の長さを短くすることができる。このワイピング部材98の長さの短縮分はスライダ50の昇降ストロークの縮小に寄与し、その分、キャップユニット40を小型にできる。
【0124】
(5)インク吸引動作中は付勢部品110のロックが解除されているので、インク吸引動作中に発生する振動に起因するキャップ部91による封止の洩れを回避することができる。このため、好適にインク吸引排出を行うことができる。
【0125】
(7)特許文献3に記載の従来装置では、クリーニング時期になる度にワイピング部材の干渉量を適切な値に調整すべく印刷中とは異なるプラテンギャップに変更していたので、印刷のスループットを悪化させていた。これに対し、本実施形態によれば、ワイピング時の干渉量Ywiを調整するためのプラテンギャップ調整をする必要がないので、スループットの悪化を回避することができる。また、本実施形態によれば、フラッシング時の間隔Yflを調整するためのプラテンギャップ調整をする必要がないので、フラッシングの面からもスループットの悪化を回避することができる。さらに、本実施形態によれば、手動操作式のプラテンギャップ調整機構30を採用する記録装置10においても、フラッシング時のミストの発生を少なく抑制できるとともに、ワイピング部材98の干渉量Ywiも適切な値とすることができる。
【0126】
尚、発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
(変形例1)上記実施形態では、キャップ部91とワイピング部材98が一つのスライダ50に載った例としたが、キャップ部91とワイピング部材98は両者の位置関係が変わらなければ、別々の部材に支持されていてもよい。
【0127】
(変形例2)前記実施形態では、キャップ部91とワイピング部材98を共にスライダ50に保持していたが、キャップ部91を備えワイピング部材98を備えないクリーニング装置に適用することもできる。キャップ部91を備えるクリーニング装置に適用しても、フラッシング時に噴射した液滴がミストになりにくいというフラッシング時の効果は得られる。
【0128】
(変形例3)前記実施形態では、インク吸引動作の終了後に付勢部品110を伸縮不能にロックさせたが、インク吸引動作開始前に付勢部品110をロックさせても構わない。この場合、インク吸引動作中に発生する振動によってもキャップ部91による封止の気密性が確保されるほど封止壁92に弾性力があれば、付勢部品110がロック状態のままでもインク吸引動作時に発生する振動によってもキャップ部91による封止性能は確保される。
【0129】
(変形例4)前記実施形態では、ワイピング部材98はキャップヘッド90を構成するホルダ(本体)に固定された固定式であり、キャリッジ12を移動させるときにノズル形成面18aからインクの掻き取りを行ったが、ホルダ上にワイピング部材に払拭動作を行わせることが可能なワイパ装置を搭載する構成を採用することもできる。例えば記録ヘッド18のノズル形成面18aに対して一方端から他方端へ向かってワイピング部材を摺接させるように移動させて払拭動作を行わせる駆動機構を有するワイパ装置を採用する。このようなワイパ装置であっても、本発明が適用されたホルダに固定されることによりワイピング部材を適正な高さに位置設定でき、これによりノズル形成面との干渉量を適切な値にすることができ、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0130】
(変形例5)前記実施形態では、記録ヘッドを走査領域端部に位置するクリーニングポジション(キャッピングポジション(吸引ポジション)、ワイピングポジション、フラッシングポジション)に移動させることによりクリーニング装置による記録ヘッドの清掃を行った。これに対し、逆にクリーニング装置を記録ヘッドと相対する位置へ移動させる構成を採用することもできる。例えば記録領域の全域(最大印刷可能幅)に亘って記録ヘッドが複数配列されてヘッド走査機構を有さない方式の記録装置においては、キャップやワイピング部材を記録ヘッドのノズル形成面と相対する位置に移動させる移動手段を設けたクリーニング装置を採用することもできる。このような移動式のクリーニング装置に本発明を適用しても、ワイピング時の干渉量Ywiやフラッシング時の間隔Yflを適切な略一定値に設定できるので、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0131】
(変形例6)前記実施形態では、スライダ50に搭載されたキャップヘッド90がスライダ50の往復移動によりキャリッジ移動方向にスライドしながら昇降するスライド駆動方式の昇降手段を備えたクリーニング装置に本発明を適用したが、キャップヘッドを鉛直方向に昇降させる直動式の昇降手段を備えたクリーニング装置に本発明を適用してもよい。すなわち昇降機構はキャップ部を昇降できる機構であればその機構構成は適宜変更することができる。
【0132】
(変形例7)前記実施形態では、昇降手段を構成するスライダ50の上面に付勢手段である付勢部品110を配置したが、昇降手段と付勢手段の配置関係を上下逆にしてもよい。すなわち、付勢手段により昇降手段を上方へ付勢された状態で支持する。例えば昇降機構をスライダ駆動方式ではなく直動方式とし、この直動方式の昇降機構の底部を構成する支持プレートを、基体11上に配置された付勢手段としての付勢部品を介して上方へ付勢する状態に支持する構成とする。この構成でも、キャップ部が記録ヘッドのノズル形成面に当接した封止位置にあるときに付勢手段をそのときの弾性圧縮状態に固定すれば、記録ヘッドの高さ位置によらず、昇降手段の昇降部に支持されるキャップ部をフラッシング時に常に記録ヘッドから一定内の距離に配置することができ、フラッシング時のミストの発生を効果的に抑制することができる。
【0133】
(変形例8)前記実施形態では、付勢手段として、筒状の本体111と、該本体111に挿通された状態で本体111から一部突出した状態で該本体111に対して突出方向に移動可能な筒状の可動ロッド112と、前記可動ロッド112を突出方向に付勢するように本体111内に収容されたコイルバネ119(バネ部材)とを有した付勢部品110を採用した。しかしながら、付勢手段は、封止壁92およびワイピング部材98を、ノズル形成面18aに対して良好な付勢力を及ぼすものであれば、どのようなものであってもよい。例えばコイルバネなどのバネ部材を単体で付勢手段として用いてもよいし、ゴム等の弾性体を付勢手段として用いることもできる。この場合、ロック手段としては、キャップヘッド90に形成された被係止部と係合してキャッピング時の位置で、スライダ50に対してキャップヘッド90の上方への移動を規制する状態でロックできるように係止部を作動させることができるロック機構を採用する。また、このように付勢手段をロックできるのであれば、キャップヘッド90以外の他の構成部材と係止させることにより付勢手段を間接的にロックさせる構成でもよい。なお、キャップヘッド90の封止壁92がノズル形成面18aを封止した状態において、付勢手段は弾性圧縮状態でなくてもよい。例えば、バネ部材として引張りバネ等を用い、付勢手段を伸張状態でロックするようにしてもよい。
【0134】
(変形例9)前記実施形態では、フラッシングはキャップ部91に対して行ったが、キャップ部に対するフラッシングはしない構成としてもよい。例えば記録装置内において印刷領域の外側領域にフラッシング時の液滴を受け止める受止め部を設け、この受止め部に対してフラッシングを行い、キャップ部は、記録ヘッドのノズル内の液体の乾燥を防ぐ目的のキャッピング機能(封止機能)と、吸引動作時の封止機能のみを受け持つ構成としてもよい。このような構成であっても、ワイピング時においてワイピング部材98と記録ヘッド18のノズル形成面18aとの干渉量Ywiが適切になるので、ワイピングを適切に行うことができるという効果は得られる。
【0135】
(変形例10)上記実施形態では、前記ロック手段は、前記付勢手段のロック位置からの圧縮方向の変形を許容しかつ伸長方向の変形を規制する状態に前記付勢手段をロックするようにしてもよい。例えば付勢手段の上端に当接してその上方への移動を規制する規制部材を上下動可能に設け、付勢手段が弾性圧縮した状態において、該付勢手段の上端に当接している規制部材をそのときの位置でロックするように構成する。規制部材は例えばキャッピング手段と付勢手段との間に配置されていれば、キャッピング手段がノズル形成面に当接して下降する際に付勢手段の上端に接触したまま一緒に下降する。この構成によれば、例えばキャッピング手段が下降位置にあるときにギャップ調整手段により媒体載置面(プラテン15)とのプラテンギャップを短くする変更がなされても、付勢手段(付勢部品または弾性体)は変更前のギャップに対応する圧縮量にロックされたままである。この場合、キャッピング手段が液体噴射ヘッドに当接した際に、付勢手段の弾性圧縮は許容されるので、キャッピングをする際にキャッピング手段が液体噴射ヘッドに強く衝突してしまうことを回避することができる。
【0136】
(変形例11)前記実施形態では、ロック手段を電動式としたが、機械駆動式としてもよい。機械駆動式の例としては、液体噴射ヘッドをクリーニング装置と対向するクリーニング位置に移動させる過程にあるキャリッジ、または昇降手段の昇降部(例えばスライダ50)、あるいはキャップ部を昇降するキャップヘッドのいずれかに係合部を設け、ロック手段(ロック機構)には前記係合部と係合する被係合部を設ける。キャリッジのクリーニング位置への移動過程、昇降部の上昇過程、またはキャップヘッドの上昇過程において、係合部が被係合部に係合して被係合部を移動させることによりロック機構は、リンク機構、カム機構、ギヤ機構の少なくとも1つを備えた動力伝達機構を備える。該動力伝達機構は被係合部が移動されることによりその移動の変位を、キャップヘッドまたは付勢手段(付勢部品)に設けられた被係止部と係止可能に設けられた係止部の移動に変換する。被係合部はバネなどの復帰手段によりロック解除側へ付勢されており、係合部と係合したときは復帰手段の付勢力に抗して移動されるように構成する。このようにロック機構は、係合部と係合して被係合部が移動することによりロック状態に作動し、係合部と被係合部との係合が解除されるとロックが解除されるように作動する。
【0137】
この構成によれば、液体噴射ヘッドをクリーニング装置と対向するクリーニング位置に移動させるために移動するキャリッジ、またはキャッピング手段を上昇させるために昇降手段が作動されたときに上昇する昇降部、あるいはノズル形成面に当接させるために上昇するキャッピング手段のいずれかに設けられた係合部が、前記移動過程または上昇過程において被係合部と係合し、該被係合部を移動させることによりロック機構がロック状態に作動され、付勢手段が弾性圧縮状態にロックされる。また、キャリッジがクリーニング位置から離れる過程、上昇部が下降する過程、キャッピング手段が下降する過程において、係合部と被係合部との係合が解除されることにより、ロック機構がロック解除状態に作動され、付勢手段の弾性圧縮状態のロックが解除される。このようにロック手段(ロック機構)が機械駆動式であると、電動式であれば必要となるロックのための制御を不要にできる。また、電動式で必要な電動アクチュエータを不要にできる他、既存の電動アクチュエータの動力を利用する構成とした場合でもその動力をロック手段に伝達する減速ギヤ列などを不要にすることができる。
【0138】
(変形例12)前記実施形態では、プラテンギャップを調整する手段を有していたが、なくてもよい。一般的にインクジェット式記録装置において、記録ヘッド18とキャップ部91は高さ方向(図1におけるx、y方向に垂直な方向)で多数の部品を介しており、記録ヘッド18とキャップ部91の間隔の公差ばらつきは非常に大きい。プラテンギャップ調整手段がなくても、この公差ばらつきを吸収できるので、ばらつきを考慮せずにスライダ50の下降量を従来装置に比べ少なく設定することができる。
【0139】
(変形例13)前記実施形態では、液体噴射装置を印刷に用いられるインクジェット式記録装置10に具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の液体を噴射する液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。そして、これらの液体噴射装置に装備され、液滴噴射ヘッドのノズル形成面をクリーニングするワイピング部材と、液体噴射ヘッドから液体を空吐出(フラッシング)してその吐出された廃液を受け止める廃液受け止め部とのうち少なくとも一方を有するクリーニング装置に本発明を適用することもできる。
【0140】
(変形例14)前記実施形態では、フラッシング時の間隔Yflをフラッシング時に噴射された液滴がミストになりにくい距離の一例である2mmに設定したが、この間隔Yflを、ノズル形成面18aとキャップ部91の凹部93内のインク吸収材上面との間に隙間が生じる程度のさらに短い距離に設定してもよい。このように間隔Yflを必要最小限の値とすることで、スライダ50の昇降ストローク量Lを最小限にでき、キャップユニット40の小型化を図ることができる。
【0141】
以下、上記実施形態および各変形例から把握される技術的思想を記載する。
(1)請求項1乃至11のいずれか一項において、液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止する機能と前記液体噴射ヘッドから排出される廃液を受け止める機能とをもつキャッピング手段と、前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに当接する封止位置と前記液体噴射ヘッドから離間する離間位置とに昇降させる昇降手段と、本体と該本体に対して突出する方向に移動可能に設けられた可動部と該可動部を本体に対して突出する方向へ付勢する弾性体とを有しており、前記キャッピング手段が前記液体噴射ヘッドに当接したときに前記キャッピング手段を前記液体噴射ヘッドに接近する方向へ付勢する前記弾性体の付勢力に抗して前記可動部が突出方向とは逆方向へ移動することにより弾性変形される付勢手段とを備え、前記ロック手段は、前記キャッピング手段が前記液体噴射ヘッドに当接した状態において前記可動部を固定して前記付勢手段をロックすることを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【0142】
(2)請求項1乃至11及び前記技術的思想(1)のいずれか一項において、前記ロック手段は電動式であり、電動アクチュエータ(114)と、前記電動アクチュエータの作動に基づいて前記付勢手段をロックするロック状態と前記ロックを解除するロック解除状態とに作動されるロック機構(116,117,118)とを有することを特徴とする。
【0143】
これによれば、キャッピング手段が液体噴射ヘッドに当接している所定のタイミングが検出手段(130)により検出されると、その検出結果に基づいて電動アクチュエータが作動され、この作動に基づいてロック機構がロック状態に作動されることにより、付勢手段がロックされる。また、付勢手段のロックを解除すべき所定のタイミングが検出されると、その検出結果に基づいて電動アクチュエータが作動され、この作動に基づいてロック機構がロック解除状態に作動されることにより、付勢手段のロックが解除される。
【0144】
(3)請求項1乃至11及び前記技術的思想(1),(2)のいずれか一項において、前記ロック手段は機械駆動式であり、前記液体噴射ヘッドをクリーニング装置と対向するクリーニング位置に移動させる過程にあるキャリッジ、または昇降手段の昇降部(50)、あるいは前記キャッピング手段のいずれかに設けられた係合部と係合する被係合部を有し、当該係合部と係合して前記被係合部が移動することによりロック状態に作動し、前記係合部と前記被係合部との係合が解除されるとロックが解除されるように作動するロック機構を有することを特徴とする。
【0145】
これによれば、液体噴射ヘッドをクリーニング装置と対向するクリーニング位置に移動させるために移動するキャリッジ、またはキャッピング手段を上昇させるために昇降手段が作動されたときに上昇する昇降部、あるいはノズル形成面に当接させるために上昇するキャッピング手段のうちいずれかに設けられた係合部が、前記移動過程または上昇過程において被係合部と係合し、該被係合部を移動させることによりロック機構がロック状態に作動され、付勢手段がロックされる。また、キャリッジがクリーニング位置から離れる過程、上昇部が下降する過程、キャッピング手段が下降する過程において、係合部と被係合部との係合が解除されることにより、ロック機構がロック解除状態に作動され、付勢手段のロックが解除される。このようにロック手段が機械駆動式であると、電動式であれば必要となるロックのための制御を不要にできる。
【0146】
(4)請求項1乃至11及び前記技術的思想(1)〜(3)のいずれか一項に記載の液体噴射装置におけるクリーニング装置において、前記ロック手段は、前記付勢手段の前記液体噴射ヘッドに接近する方向への変形を許容しかつ前記液体噴射ヘッドから離間する方向への変形を規制する状態に前記付勢手段をロックすることを特徴とする液体噴射装置におけるクリーニング装置。
【0147】
これによれば、例えばキャッピング手段が下降位置にあるときにギャップ調整手段により媒体載置面とのギャップを短くする変更がなされても、付勢手段は変更前のギャップに対応してロックされたままである。この場合、キャッピング手段が液体噴射ヘッドに当接した際に、付勢手段の液体噴射ヘッドに接近する方向への変形は許容されるので、キャッピングをする際にキャッピング手段が液体噴射ヘッドに強く衝突してしまうことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本実施形態の記録装置の概略を説明するための斜視図。
【図2】プラテンギャップ調整機構の側面図。
【図3】キャップユニットの分解斜視図。
【図4】キャップユニットの平面図。
【図5】(a)付勢部品およびロック装置の斜視図、(b)付勢部品の模式側断面図。
【図6】ロック装置の模式側面図を示し、(a)はロック解除状態、(b)はロック状態を示す。
【図7】キャリッジがフラッシングポジションにあるときのキャップユニットの側面図。
【図8】キャリッジが吸引ポジションにあるときのキャップユニットの側面図。
【図9】キャリッジがワイピングポジションにあるときのキャップユニットの側面図。
【図10】記録装置の電気的構成を示すブロック図。
【図11】(a)〜(c)はキャップヘッドの下降時の動作を説明するための模式図。
【図12】(a)〜(c)はキャップヘッドの上昇時の動作を説明するための模式図。
【図13】(a)〜(c)はプラテンギャップが大きいときのキャップユニットの作用を説明するための模式図。
【符号の説明】
【0149】
10…液体噴射装置としての記録装置、12…キャリッジ、17…媒体としての記録用紙、18…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、18a…ノズル形成面、25…クリーニング装置を構成するとともに吸引手段としての吸引ポンプ、40…クリーニング装置を構成するキャップユニット、50…昇降手段を構成するスライダ、90…ヘッド当接ユニットとしてのキャップヘッド、91…キャッピング手段としてのキャップ部、98…ワイピング部材、110…付勢手段としての付勢部品、113…ロック手段としてのロック装置、114…ロック手段を構成するソレノイド、116…ロック手段を構成するスライド板、117…ロック手段を構成するチョーク部材。




 

 


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