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発明の名称 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−83516(P2007−83516A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−274458(P2005−274458)
出願日 平成17年9月21日(2005.9.21)
代理人 【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
発明者 坪田 真一 / 石川 博之
要約 課題
コストを低減して容易に且つ最適な駆動電圧パルスのパルス間隔が設定された液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供する。

解決手段
液滴が噴射されるノズルに連通する複数の圧力室と、複数の圧力室に共通する共通液室と、該共通液室内の液体を前記圧力室に供給する供給口と、前記圧力室の一方面に設けられた可撓性電極と、該可撓性電極に一定間隔で対向配置された固定電極とを具備すると共に、前記可撓性電極及び前記固定電極の間に駆動電圧パルスを印加して、これらの間に発生する静電気力によって前記可撓性電極を振動させることにより前記圧力室に圧力変動を発生させて前記ノズルから液滴を吐出させる液体噴射ヘッド210において、連続した液滴の噴射を行う連続した駆動電圧パルスの各パルス間隔が、前記ノズル及び前記供給口の実寸法に基づいてノズル毎又はノズル群毎に設定された設定部151を有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
液滴が噴射されるノズルに連通する複数の圧力室と、複数の圧力室に共通する共通液室と、該共通液室内の液体を前記圧力室に供給する供給口と、前記圧力室の一方面に設けられた可撓性電極と、該可撓性電極に一定間隔で対向配置された固定電極とを具備すると共に、前記可撓性電極及び前記固定電極の間に駆動電圧パルスを印加して、これらの間に発生する静電気力によって前記可撓性電極を振動させることにより前記圧力室に圧力変動を発生させて前記ノズルから液滴を吐出させる液体噴射ヘッドにおいて、
連続した液滴の噴射を行う連続した駆動電圧パルスの各パルス間隔が、前記ノズル及び前記供給口の実寸法に基づいてノズル毎又はノズル群毎に設定された設定部を有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1において、前記ノズルの実寸法が、前記ノズルの長さであることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記ノズルが、液滴が吐出される面側に設けられた小径部と、該小径部よりも大きい内径を有し前記小径部と前記圧力室とを連通する大径部とで構成されていると共に、前記ノズルの長さが、前記小径部の長さであることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記供給口の実寸法が、当該供給口の長さ、幅及び深さであることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記設定部が、前記供給口の実寸法から算出される当該供給口の実際の流路抵抗値と前記供給口の設計中心値から算出される設計上の流路抵抗値との比と、前記ノズルの実寸法と、前記パルス間隔との関係を示す設定テーブルを具備すると共に、当該設定部に保持された前記パルス間隔が、入力された前記流路抵抗値の比と前記ノズルの実寸法とに基づいて設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、1画素印字を最大n回(nは2以上の整数)の連続した液滴の噴射により行われると共に、前記設定部が、各液滴を噴射させるために印加される第1〜第n番目までの各駆動電圧パルスの各パルス間隔を設定することを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記設定部に保持された前記パルス間隔が、前記ノズル毎の前記ノズル及び前記供給口の実寸法に基づいて、当該ノズル毎に設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項8】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記設定部に保持された前記パルス間隔が、複数の前記ノズルで構成される前記ノズル群の中の1つのノズルに対応する前記ノズル及び前記供給口の実寸法に基づいて、当該ノズル群毎に設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかの液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項10】
液滴が噴射されるノズルに連通する複数の圧力室と、複数の圧力室に共通する共通液室と、該共通液室内の液体を前記圧力室に供給する供給口と、前記圧力室の一方面に設けられた可撓性電極と、該可撓性電極に一定間隔で対向配置された固定電極とを具備すると共に、前記可撓性電極及び前記固定電極の間に駆動電圧パルスを印加して、これらの間に発生する静電気力によって前記可撓性電極を振動させることにより前記圧力室に圧力変動を発生させて前記ノズルから液滴を吐出させる液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記ノズル及び前記供給口の実寸法を測定し、測定結果に基づいて連続した液滴の噴射を行う各駆動電圧パルスの各パルス間隔をノズル毎又はノズル群毎に設定することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力室の一方面に設けられた可撓性電極と、可撓性電極に一定間隔をおいて設けられた固定電極との間に電圧を印加することにより、これらの間に発生する静電気力によって可撓性電極を振動させてノズルから液滴を噴射する液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、プリンタ、ファクシミリ、複写機等に用いられるインクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドは、液滴を吐出させるためのメカニズムに応じて各種方式のものが知られている。例えば、発熱素子等によって液体を沸騰させ、そのときに生じる気泡圧で液滴を吐出させるものや、液滴が充填された圧力発生室の容積を、圧電素子の変位によって膨張又は収縮させることでノズルから液滴を吐出させるものなどがある。さらに、例えば、静電気力を利用して圧力発生室の容積を変化させることで、ノズルから液滴を吐出させるようにしたものがある。
【0003】
例えば、静電駆動方式のインクジェット式記録ヘッドとしては、複数のノズルが形成されたノズルプレートと、ノズルに連通するインクキャビティ(圧力室)及びインクリザーバ(共通液室)が形成され、インクキャビティの底面に可撓性電極が設けられたキャビティプレートと、可撓性電極に一定間隔で対向配置された個別電極が設けられた電極基板とが貼り付けられて構成され、上記インクキャビティとインクリザーバとが、ノズルプレートに形成されたインク供給路(供給口)を介して連通させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、一定間隔で対向配置された可撓性電極と固定電極との間に駆動電圧パルスを印加して、これらの間に発生する静電気力によって可撓性電極を振動させて、圧力室の容積を変化させることで、ノズルから液滴を吐出させている。
【0005】
このような駆動電圧パルスの印加周期であるパルス間隔を設定する方法としては、一般的にインク滴を吐出させて記録用紙に印刷を行い、印刷状態を確認することで設定していた。
【0006】
また、インクジェット式記録ヘッドの固有振動に基づいて、駆動電圧パルスのパルス間隔を設定したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、実際にインクを吐出させて、印刷状態を確認しながらパルス間隔を設定すると、インクや記録用紙などのコストがかかると共に設定に時間がかかってしまうという問題がある。
【0008】
また、特許文献2では、高駆動周波数化によって固有振動数を高めると、固有振動波形が急峻になるため、インク圧力変動に応じた適切なタイミングの駆動条件範囲が狭くなるという問題がある。
【0009】
また、固有振動波形が急峻である場合、固有振動数にばらつきがあると適切な駆動条件を設定することが困難になるという問題がある。
【0010】
なお、このような問題は、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、液滴を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0011】
【特許文献1】特開平11−198386号公報(特許請求の範囲、第1図)
【特許文献2】特開2002−67358号公報(第2〜5頁、第1〜4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はこのような事情に鑑み、コストを低減して容易に且つ最適な駆動電圧パルスのパルス間隔が設定された液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液滴が噴射されるノズルに連通する複数の圧力室と、複数の圧力室に共通する共通液室と、該共通液室内の液体を前記圧力室に供給する供給口と、前記圧力室の一方面に設けられた可撓性電極と、該可撓性電極に一定間隔で対向配置された固定電極とを具備すると共に、前記可撓性電極及び前記固定電極の間に駆動電圧パルスを印加して、これらの間に発生する静電気力によって前記可撓性電極を振動させることにより前記圧力室に圧力変動を発生させて前記ノズルから液滴を吐出させる液体噴射ヘッドにおいて、連続した液滴の噴射を行う連続した駆動電圧パルスの各パルス間隔が、前記ノズル及び前記供給口の実寸法に基づいてノズル毎又はノズル群毎に設定された設定部を有することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第1の態様では、駆動条件を設定する際に実際にインク液滴を吐出させる必要がなく、駆動条件設定に必要な工数を低減させることができると共に、インク液滴・紙等の消耗品の使用の削減を行うことができ、コストを低減することができる。また、液体噴射ヘッド内での吐出特性のばらつきを抑えることができ、印刷品質を向上することができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ノズルの実寸法が、前記ノズルの長さであることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第2の態様では、ノズルの長さの実寸法にばらつきがあっても、ノズルの長さに基づいて設定されたパルス間隔で液体噴射ヘッドが駆動されるため、吐出特性のばらつきを抑えて、印刷品質を向上することができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記ノズルが、液滴が吐出される面側に設けられた小径部と、該小径部よりも大きい内径を有し前記小径部と前記圧力室とを連通する大径部とで構成されていると共に、前記ノズルの長さが、前記小径部の長さであることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第3の態様では、特の実寸法にばらつきの生じ易いノズルの小径部の実寸法に基づいて設定されたパルス間隔で液体噴射ヘッドが駆動されるため、吐出特性のばらつきを抑えて、印刷品質を向上することができる。
【0016】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記供給口の実寸法が、当該供給口の長さ、幅及び深さであることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第4の態様では、供給口の長さ、幅及び深さの実寸法にばらつきがあっても、これらに基づいて設定されたパルス間隔で液体噴射ヘッドが駆動されるため、吐出特性のばらつきを抑えて、印刷品質を向上することができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記設定部が、前記供給口の実寸法から算出される当該供給口の実際の流路抵抗値と前記供給口の設計中心値から算出される設計上の流路抵抗値との比と、前記ノズルの実寸法と、前記パルス間隔との関係を示す設定テーブルを具備すると共に、当該設定部に保持された前記パルス間隔が、入力された前記流路抵抗値の比と前記ノズルの実寸法とに基づいて設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第5の態様では、設定部に設定されたパルス間隔が、入力された流路抵抗比とノズルの実寸法に基づいて設定される。
【0018】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、1画素印字を最大n回(nは2以上の整数)の連続した液滴の噴射により行われると共に、前記設定部が、各液滴を噴射させるために印加される第1〜第n番目までの各駆動電圧パルスの各パルス間隔を設定することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第6の態様では、1画素印字を高品質に行うことができる。
【0019】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記設定部に保持された前記パルス間隔が、前記ノズル毎の前記ノズル及び前記供給口の実寸法に基づいて、当該ノズル毎に設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第7の態様では、ノズル毎にノズル及び供給口の実寸法にばらつきがあっても、ノズル毎に設定されたパルス間隔で液体噴射ヘッドが駆動されるため、吐出特性のばらつきを抑えて、印刷品質を向上することができる。
【0020】
本発明の第8の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記設定部に保持された前記パルス間隔が、複数の前記ノズルで構成される前記ノズル群の中の1つのノズルに対応する前記ノズル及び前記供給口の実寸法に基づいて、当該ノズル群毎に設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第8の態様では、ノズル群毎に設定されたパルス間隔で液体噴射ヘッドが駆動されるため、実寸法の測定やパルス間隔の設定の時間を短縮することができる。
【0021】
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第9の態様では、印刷品質を向上してコストを低減した液体噴射装置を実現できる。
【0022】
本発明の第10の態様は、液滴が噴射されるノズルに連通する複数の圧力室と、複数の圧力室に共通する共通液室と、該共通液室内の液体を前記圧力室に供給する供給口と、前記圧力室の一方面に設けられた可撓性電極と、該可撓性電極に一定間隔で対向配置された固定電極とを具備すると共に、前記可撓性電極及び前記固定電極の間に駆動電圧パルスを印加して、これらの間に発生する静電気力によって前記可撓性電極を振動させることにより前記圧力室に圧力変動を発生させて前記ノズルから液滴を吐出させる液体噴射ヘッドの製造方法において、前記ノズル及び前記供給口の実寸法を測定し、測定結果に基づいて連続した液滴の噴射を行う各駆動電圧パルスの各パルス間隔をノズル毎又はノズル群毎に設定することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第10の態様では、駆動条件を設定する際に実際にインク液滴を吐出させる必要がなく、駆動条件設定に必要な工数を低減させることができると共に、インク液滴・紙等の消耗品の使用の削減を行うことができ、コストを低減することができる。また、液体噴射ヘッド内での吐出特性のばらつきを抑えることができ、印刷品質を向上することができる。さらに、パルス間隔の設定は、供給口を形成した時点で実寸法を測定することによって設定することができるため、完成後のヘッド駆動条件設定作業が不要となって、製造工程を簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録装置の概略斜視図である。図1に示すように、液体噴射装置は、インクジェット式記録ヘッド210を有するヘッドユニット200は、インク供給手段を構成するカートリッジ1A及び1Bが着脱可能に設けられ、このヘッドユニット200を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。このヘッドユニット200は、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0024】
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニット200を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
【0025】
ここで、インクジェット式記録ヘッド210について詳細に説明する。なお、図2は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図3は、インクジェット式記録ヘッドの断面図である。
【0026】
図2及び図3に示すように、インクジェット式記録ヘッド210は、いわゆる静電駆動方式のヘッドであり、キャビティ基板10と、このキャビティ基板10の両面にそれぞれ接合されるノズルプレート20及び電極基板30とで構成されている。
【0027】
キャビティ基板10は、例えば、面方位(100)又は(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方面側に開口する圧力室(キャビティ)11がその幅方向に複数並設されている。また、キャビティ基板には、各圧力室11に共通するインク室となる共通液室である共通インク室12が形成されており、この共通インク室12は、後述する供給口23を介して各圧力室11に連通されている。また、共通インク室12の底壁には、共通インク室12にインクを供給するためのインク供給孔13が形成されている。また、キャビティ基板10には、共通インク室12の外側に、後述する個別電極に接続される個別端子部を露出させるための貫通孔14が形成されている。なお、この貫通孔14は、キャビティ基板10の共通インク室12とは反対側の端面まで連続的に形成されていてもよい。
【0028】
なお、各圧力室11の底壁は、圧力室11内に圧力変化を生じさせるための振動板として機能すると共に、この振動板を変位させる静電気力を発生させるための共通電極としての役割を兼ねる可撓性電極15となっている。そして、キャビティ基板10の貫通孔14近傍には、ノズルプレート20の後述する露出孔内に露出されて図示しない駆動配線が接続される共通端子部16が形成されている。
【0029】
ノズルプレート20は、キャビティ基板10と同様に、面方位(100)又は(110)のシリコン単結晶基板からなり、各圧力室11に連通する複数のノズル21が形成されている。そして、このノズルプレート20は、キャビティ基板10の開口面側に接合され、圧力室11及び共通インク室12の一方の面を形成している。また、ノズルプレート20のキャビティ基板10とは反対側の面には、ノズル21に対応する領域に亘って厚さ方向の一部を除去したノズル段差部22が形成されている。
【0030】
ここで、各ノズル21は、インク滴が吐出される面側に設けられて、ノズル段差部22内に開口する略円形の小径部21aと、小径部21aよりも大きい内径を有し小径部21aと圧力室11とを連通する大径部21bとからなる。そして、全てのノズル21(小径部21a)は、ノズル段差部22内に開口しており、本実施形態では、ノズル段差部22内のノズルプレート20の表面がノズル面となる。
【0031】
また、このノズルプレート20のキャビティ基板10との接合面には、圧力室11と共通インク室12との境界に対応する領域に、これら各圧力室11と共通インク室12とを連通する供給口23が形成されている。供給口23は、ノズルプレート20のキャビティ基板10側に設けられた凹部により形成されている。また、ノズルプレート20には、共通インク室12の外側に対応する位置に、キャビティ基板10の貫通孔14に連通し、後述する個別端子部と共に共通端子部16を露出させる露出孔24が形成されている。なお、この露出孔24は、貫通孔14と同様に、共通インク室12とは反対側の端面まで連続的に形成されていてもよい。
【0032】
また、ノズルプレート20の表面、本実施形態では、ノズル段差部22内には、例えば、フッ素含有シランカップリング化合物等からなる撥水撥油性材料からなる撥水撥油膜25が形成されている。これにより、ノズルプレート20の表面(ノズル面)へのインク滴の付着を抑えている。
【0033】
なお、ノズルプレート20のノズル21及び供給口23等は、ノズルプレート20をドライエッチングすることにより形成されている。
【0034】
一方、電極基板30は、シリコン単結晶基板に近い熱膨張率を有する、例えば、ホウ珪酸ガラス等のガラス基板からなり、キャビティ基板10の可撓性電極15側の面に接合されている。この電極基板30の可撓性電極15に対向する領域には、各圧力室11に対応して溝31が形成されている。また、電極基板30には、キャビティ基板10のインク供給孔13に対応する位置には、インク供給孔13に連通するインク導入孔32が形成されている。そして、図示しないインクタンクからこのインク導入孔32及びインク供給孔13を介して共通インク室12にインクが導入されるようになっている。
【0035】
また、各溝31には、各可撓性電極15を変位させる静電気力を発生させるための固定電極である個別電極33が、可撓性電極15との間に所定の間隔を確保した状態でそれぞれ配置されている。また、溝31内には、キャビティ基板10の貫通孔14に対向する領域に、図示しない駆動配線が接続される個別端子部34が形成されており、この個別端子部34と各個別電極33とはリード電極35によって接続されている。なお、図示しないが、これら各個別電極33及び可撓性電極15は絶縁膜によって封止され、また個別端子部34と共通端子部16との間には、接続配線を介して駆動電圧パルスを印加するためのドライバIC141が接続されている。
【0036】
このようなインクジェット式記録ヘッド210では、ドライバIC141によって個別電極33と可撓性電極15との間に駆動電圧を印加すると、これら個別電極33と可撓性電極15との隙間に発生する静電気力によって可撓性電極15が個別電極33側に撓み変形して、圧力室11の容積が拡大し、駆動電圧の印加を解除すると、可撓性電極15が元の状態に復帰して圧力室11の容積が収縮する。そして、このとき発生する圧力室11内の圧力変化によって、圧力室11内のインクの一部が、ノズル21からインク滴として吐出される。
【0037】
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッド210の駆動制御装置について図4を参照して説明する。なお、図4は、インクジェット式記録ヘッドの駆動制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【0038】
駆動制御装置100は、パーソナルコンピュータ等の外部装置110から印刷情報を受け取って、装置全体の制御を行うCPU121を備えたインクジェット制御部120と、インクジェット式記録ヘッド210を備えたヘッドユニット200と、インクジェット制御部120とヘッドユニット200との双方に駆動電源を供給する電源部130とによって構成されている。また、インクジェット式記録ヘッド210に搭載されたドライバIC141と、このドライバIC141に接続された駆動パルス発生部142とからなる電圧パルス発生部140を具備する。
【0039】
電圧パルス発生部140は、インク液滴を吐出させる駆動電圧パルスを可撓性電極15と個別電極33とに印加するものである。
【0040】
図4に示すように、CPU121には、内部バスを介してRAM122、ROM123、キャラクタジェネレータ124及び論理ゲートアレイ125が接続されている。CPU121は、RAM122の記憶領域を作業領域として用い、ROM123内に格納されている制御プログラムを実行して、キャラクタジェネレータ124から発生するキャラクタ情報に基づき、インクジェット式記録ヘッド210を駆動するための制御信号を生成する。
【0041】
生成された制御信号は、論理ゲートアレイ125及びこれに接続された駆動パルス発生部142を介して、印刷情報に対応した駆動制御信号となって、コネクタ150を経由してインクジェット式記録ヘッド210のドライバIC141に供給される。
【0042】
ドライバIC141は、インクジェット式記録ヘッド210に搭載されて、供給された駆動信号と電源部130から供給される駆動電圧及び論理ゲートアレイ125から伝送された制御信号に基づきインクジェット式記録ヘッド210の駆動すべきノズル21に対応する個別電極33と可撓性電極15との間に駆動電圧パルスを所定のタイミングで印加する。
【0043】
この場合、ドライバIC141は、駆動電圧パルス又はグランドレベルを適時選択していずれかを可撓性電極15と個別電極33との間に低インピーダンスで出力する。したがって、可撓性電極15と個別電極33との間に電位差が生じ、可撓性電極15が撓み変形して、ノズル21からインク液滴が吐出される。
【0044】
また、インクジェット式記録ヘッド210には、設定部151が設けられている。設定部151には、詳しくは後述するが、連続したインク滴の吐出を行わせる連続した駆動電圧パルスの印加周期であるパルス間隔がノズル21毎又はノズル群毎に設定されている。なお、本実施形態では、設定部151に、駆動電圧パルスの印加電圧であるパルス電圧及び印加時間であるパルス幅も設定されている。
【0045】
そして、CPU121は、設定部151に設定された駆動電圧パルスのパルス間隔、パルス電圧及びパルス幅を取得し、これらパルス間隔、パルス電圧及びパルス幅に基づいて、電圧パルス発生部140を制御して、インクジェット式記録ヘッド210に駆動電圧パルスを印加させる。
【0046】
このような駆動制御装置100によって、可撓性電極15と個別電極33との間に印加される駆動電圧パルスについて図5に基づいて説明する。なお、図5は、駆動電圧パルスを示す波形図である。
【0047】
図5に示すように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、3回の駆動電圧パルスを連続して印加してインク液滴を3回吐出させて1ドットの画素の印字を行う。そして、駆動電圧パルスの印加電圧はパルス電圧V、印加時間はパルス幅Pw、駆動電圧パルスの印加周期はパルス間隔Pwiで示している。
【0048】
このパルス間隔Pwiは、インクジェット式記録ヘッドのノズル21及び供給口23の実寸法を測定し、測定した実寸法に基づいて設定されている。本実施形態では、ノズル21の実寸法とはノズル21の垂直部の長さLであり、供給口23の実寸法とは供給口23の長さl、供給口23の幅w、供給口23の深さhである。
【0049】
ここで、ノズル21及び供給口23は、ドライエッチングにより形成されるため、設計中心値と実寸法との間に公差が生じてしまう。特に複数のインクジェット式記録ヘッド210を1枚のウェハに同時に形成すると、ウェハの面内で設計中心値と実寸法との間に公差が生じてしまう。このようなノズル21及び供給口23の設計中心値と、測定した実寸法との公差の割合は下記表1のようになる。
【0050】
【表1】


【0051】
そして、このように実寸法と設計中心値とに公差が生じたインクジェット式記録ヘッド210を設計中心値に基づいたパルス間隔で駆動すると、インク滴吐出特性が低下し、印刷品質が低下してしまう。また、複数のノズル21に対するノズル21及び供給口23の実寸法に公差があるため、所定のパルス間隔Pwiでインクジェット式記録ヘッドを駆動すると、各ノズル21でインク滴吐出特性にばらつきが生じ、印刷品質が低下してしまう。このため、本発明では、各ノズル21に対応するノズル21及び供給口23の実寸法を測定し、このノズル21及び供給口23の実寸法に基づいて各ノズル21に対応するパルス間隔Pwiを設定するようにした。なお、ノズル21及び供給口23の実寸法は、例えば、光学顕微鏡で測定することができる。
【0052】
そして、設定部151にノズル21及び供給口23の実寸法に基づいてノズル21毎のパルス間隔Pwiを設定する。
【0053】
このように、設定部151に保持させる駆動電圧パルスのパルス間隔Pwiをノズル21及び供給口23の寸法に基づいて設定することで、駆動条件を設定する際に実際にインク液滴を吐出させる必要がなく、駆動条件設定に必要な工数を低減させることができると共に、インク液滴・紙等の消耗品の使用の削減を行うことができ、コストを低減することができる。また、インクジェット式記録ヘッド内での吐出特性のばらつきを抑えることができ、印刷品質を向上することができる。さらに、このようなパルス間隔Pwiの設定は、供給口23を形成した時点で実寸法を測定することによって設定することができるため、完成後のヘッド駆動条件設定作業が不要となって、製造工程を簡略化することができる。すなわち、本実施形態のパルス間隔Pwiは、インクジェット式記録ヘッド210の製造時の初期設定のものである。
【0054】
なお、設定部151に設定するパルス間隔Pwiは、実際には、供給口23の実寸法から供給口23の流路抵抗値R2を算出し、算出した実寸法の流路抵抗値R2と、供給口23の設計中心値から算出される設計上の流路抵抗値R2中心値とから流路抵抗比R2比を算出し、この流路抵抗比R2比とノズル21の長さLとに基づいてパルス間隔Pwiを設定する。
【0055】
このような供給口23の流路抵抗値R2は、インク粘度μとして下記式1により算出される。また、流路抵抗比R2比は、供給口23の長さの設計中心値l、供給口23の幅の設計中心値w、供給口23の深さの設計中心値hとすると、R2/R2中心値から流路形状に応じて簡易的に、例えば下記式2、式3又は式4により算出することができる。
【0056】
【数1】


【0057】
【数2】


【0058】
【数3】


【0059】
【数4】


【0060】
このように算出された流路抵抗比R2比及び測定されたノズル21の実寸法に基づいて、図6に示す設定テーブルによってパルス間隔Pwiを設定する。なお、図6は、パルス間隔の設定テーブルを示すグラフであり、図6の流路抵抗比R2比は、対数で表示している。
【0061】
また、図6に示す設定テーブルを設定部151に保持させ、設定部151に算出した流路抵抗比R2比及びノズル21の実寸法を入力することで、設定部151にパルス間隔Pwiを設定させるようにしてもよい。
【0062】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、各ノズル21に対応するノズル21及び供給口23の実寸法を測定し、測定結果に基づいてノズル21毎のパルス間隔Pwiを設定するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、複数のノズル21で構成されるノズル群の中の1つのノズル21に対応するノズル21及び供給口23の実寸法を測定し、測定結果に基づいてノズル群毎のパルス間隔を設定するようにしてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドとしてインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドを例に挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般に適用することができる。例えば、液体噴射ヘッドとして、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録装置の概略斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る駆動制御装置のブロック図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る駆動電圧パルスを示す波形図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る設定テーブルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0065】
1A、1B カートリッジ、3 キャリッジ、 10 キャビティ基板、 11 圧力室、 12 共通インク室、 14 貫通孔、 15 可撓性電極、 20 ノズルプレート、 21 ノズル、 21a 小径部、 21b 大径部、 22 ノズル段差部、 23 供給口、 24 露出孔、 25 撥水撥油膜、 30 電極基板、 31 溝、 33 個別電極、 200 ヘッドユニット、 210 インクジェット式記録ヘッド




 

 


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