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発明の名称 インクジェットプリンタ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−83486(P2007−83486A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−273613(P2005−273613)
出願日 平成17年9月21日(2005.9.21)
代理人 【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
発明者 遠藤 宏典 / 小松 伸也
要約 課題
検査領域と印刷ヘッドとの間に所定の電位差を確実に発生させることができる。

解決手段
ヘッド検査ルーチンが繰り返し実行されると検査領域52にインク堆積物90が溜まり、印刷処理ルーチンが繰り返し実行されるとプラテン44のうち検査領域52の周辺にもインク堆積物92が溜まる。ここで、検査ボックス51の周囲に外周溝81が形成され、外周溝81の両側の壁82,83のうち検査ボックス51側の壁82は略垂直な壁であり、検査ボックス51と反対側の壁83は中段に窪み84がありその窪み84より上方には外周溝81の内部空間内にUターンするように折り返された折り返し部85が形成されている。このため、少なくとも折り返し部85の裏側85aにはインクが堆積することはなく、両インク堆積物90,92とは少なくとも折り返し部85の裏側85aで電気的に断絶された状態となる。
特許請求の範囲
【請求項1】
印刷記録液を吐出する複数の吐出孔を備えた印刷ヘッドを検査可能なインクジェットプリンタであって、
前記吐出孔から吐出した印刷記録液が到達可能な検査領域と、
前記吐出孔から印刷記録液を吐出させる印刷ヘッド駆動手段と、
前記検査領域の電気的変化を検出する電気的変化手段と、
前記印刷ヘッドの各吐出孔について、前記検査領域と前記印刷ヘッドとの間に所定の電位差を発生させ吐出前の印刷記録液を帯電させた状態で前記印刷ヘッド駆動手段を制御して前記印刷記録液を前記検査領域へ吐出させたときの前記電気的変化検出手段の検出結果に基づいて、印刷記録液を正常に吐出するか否かのヘッド検査を行う検査制御手段と、
前記検査領域に溜まる印刷記録液堆積物と前記検査領域の周辺に溜まる印刷記録液堆積物とが不連続となるように形成された堆積物断絶部と、
を備えたインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記堆積物断絶部は、前記検査領域の周囲に形成された外周溝である、
請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記外周溝をなす前記検査領域側の壁及び前記検査領域とは反対側の壁の少なくとも一方は略垂直に形成されている、
請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記外周溝をなす前記検査領域側の壁及び前記検査領域とは反対側の壁の少なくとも一方は他方に向かって略水平に延びだした庇部を有する、
請求項2又は3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記外周溝をなす前記検査領域側の壁及び前記検査領域とは反対側の壁の少なくとも一方は該外周溝の空間内にUターンするように折り返された折り返し部を有する、
請求項2又は3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記印刷記録液は、顔料インクである、
請求項4又は5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記外周溝をなす前記検査領域側の壁及び前記検査領域とは反対側の壁の少なくとも一方の上端面は傾斜面である、
請求項2〜6のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記外周溝をなす前記検査領域側の壁及び前記検査領域とは反対側の壁の少なくとも一方は撥水性を有する、
請求項2〜7のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、特に印刷記録液を吐出する複数の吐出孔を備えた印刷ヘッドを検査可能なインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタとしては、印刷ヘッドのノズルから噴射されるインク滴を帯電させ、該帯電したインク滴をノズルに対向するインク滴を受ける部分(検査領域)に飛翔させ、インク滴の飛翔により生じる誘導電圧を検出することによりノズルからインク滴が噴射されているか否かを検査するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭59−120464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種のインクジェットプリンタでは、ノズルからインク滴が噴射されているか否かの検査を繰り返すと、検査領域にインク堆積物が溜まることになる。一方、通常の印刷実行中にはインク滴と一緒にサテライトと呼ばれるインクミストが舞うため、プラテン上にもインク堆積物が溜まる。ここで、検査領域に溜まったインク堆積物とプラテン上のインク堆積物とが繋がると、以下の不具合が生じる。すなわち、ノズルからインク滴が噴射されているか否かの検査を行う際には検査領域と印刷ヘッドとの間に所定の電位差が生じるようにするが、インク堆積物は一般に導電性を有しているため、検査領域に溜まったインク堆積物とプラテン上のインク堆積物とが同電位になり、検査領域と印刷ヘッドとの間に所定の電位差が生じないことがある。特に、プラテンがメカフレームと繋がっていてグランドに接地されている場合には、この問題が深刻となる。
【0004】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、検査領域と印刷ヘッドとの間に所定の電位差を確実に発生させることができるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明のインクジェットプリンタは、
印刷記録液を吐出する複数の吐出孔を備えた印刷ヘッドを検査可能なインクジェットプリンタであって、
前記吐出孔から吐出した印刷記録液が到達可能な検査領域と、
前記吐出孔から印刷記録液を吐出させる印刷ヘッド駆動手段と、
前記検査領域の電気的変化を検出する電気的変化手段と、
前記印刷ヘッドの各吐出孔について、前記検査領域と前記印刷ヘッドとの間に所定の電位差を発生させ吐出前の印刷記録液を帯電させた状態で前記印刷ヘッド駆動手段を制御して前記印刷記録液を前記検査領域へ吐出させたときの前記電気的変化検出手段の検出結果に基づいて、印刷記録液を正常に吐出するか否かのヘッド検査を行う検査制御手段と、
前記検査領域に溜まる印刷記録液堆積物と前記検査領域の周辺に溜まる印刷記録液堆積物とが不連続となるように形成された堆積物断絶部と、
を備えたものである。
【0007】
このインクジェットプリンタでは、印刷ヘッドの各吐出孔について、検査領域と印刷ヘッドとの間に所定の電位差を発生させると共に吐出前の印刷記録液を帯電させた状態で印刷記録液を検査領域へ吐出させたときの検査領域と印刷ヘッドとの電気的変化に基づいて、印刷記録液を正常に吐出するか否かのヘッド検査を行う。また、ヘッド検査を行うことにより検査領域に印刷記録液堆積物が溜まり、印刷媒体への印刷を実行することによりインクミスト等が原因で検査領域の周辺にも印刷記録液堆積物が溜まる。しかし、検査領域に堆積する印刷記録液堆積物と検査領域の周辺に堆積する印刷記録液堆積物とは堆積物断絶部によって不連続になるため、両者は電気的に絶縁されている。このため、検査領域印刷ヘッドとの間に電圧を印加したときに該電圧が検査領域の周辺からリークすることがない。したがって、検査領域印刷ヘッドとの間に所定の電位差を確実に発生させることができる。
【0008】
本発明のインクジェットプリンタにおいて、前記堆積物断絶部は、前記検査領域の周囲に形成された外周溝であってもよい。こうすれば、検査領域に溜まった印刷記録液堆積物と検査領域の周辺に溜まった印刷記録液堆積物は外周溝によって分断されて不連続になる。
【0009】
本発明のインクジェットプリンタにおいて、前記堆積物断絶部が外周溝の場合、該外周溝をなす前記検査領域側の壁及び前記検査領域とは反対側の壁の少なくとも一方は略垂直に形成されていることが好ましい。つまり、外周溝の両側の壁のうちの少なくとも一方を略垂直とすることが好ましい。こうすれば、略垂直の壁には印刷記録液が溜まりにくいため、検査領域に溜まった印刷記録液堆積物と検査領域の周辺に溜まった印刷記録液堆積物はこの略垂直な壁によって分断されて不連続になる。
【0010】
本発明のインクジェットプリンタにおいて、前記堆積物断絶部が外周溝の場合、該外周溝をなす前記検査領域側の壁及び前記検査領域とは反対側の壁の少なくとも一方は他方に向かって略水平に延びだした庇(ひさし)部を有していてもよい。庇部の裏側には印刷記録液が溜まりにくいため、検査領域に溜まった印刷記録液堆積物と検査領域の周辺に溜まった印刷記録液堆積物はこの庇部によって分断されて不連続になる。特に印刷記録液が顔料インクの場合には、略垂直な壁であっても堆積することがあるため、この構造を採用するのが好ましい。
【0011】
本発明のインクジェットプリンタにおいて、前記堆積物断絶部が外周溝の場合、該外周溝をなす前記検査領域側の壁及び前記検査領域とは反対側の壁の少なくとも一方は該外周溝の空間内にUターンするように折り返された折り返し部を有していてもよい。折り返し部の裏側には印刷記録液が溜まりにくいため、検査領域に溜まった印刷記録液堆積物と検査領域の周辺に溜まった印刷記録液堆積物はこの折り返し部によって分断されて不連続になる。特に印刷記録液が顔料インクの場合には、略垂直な壁であっても堆積することがあるため、この構造を採用するのが好ましい。
【0012】
本発明のインクジェットプリンタにおいて、前記堆積物断絶部が外周溝の場合、該外周溝をなす前記検査領域側の壁及び前記検査領域とは反対側の壁の少なくとも一方の上端面は傾斜面であることが好ましい。傾斜面には印刷記録液が溜まりにくいため、検査領域に溜まった印刷記録液堆積物と検査領域の周辺に溜まった印刷記録液堆積物はこの傾斜面によって分断されて不連続になる。
【0013】
本発明のインクジェットプリンタにおいて、前記堆積物断絶部が外周溝の場合、該外周溝をなす前記検査領域側の壁及び前記検査領域とは反対側の壁の少なくとも一方は撥水性を有していることが好ましい。一般に印刷記録液には水が含まれているため、撥水性を持つ壁には印刷記録液が溜まりにくく、検査領域に溜まった印刷記録液堆積物と検査領域の周辺に溜まった印刷記録液堆積物はこの撥水性の壁によって分断されて不連続になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態であるインクジェットプリンタ20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、印刷ヘッド24の説明図であり、図3は、紙送り機構31の説明図であり、図4は、印刷ヘッド検査装置50の構成の概略を示す構成図である。
【0015】
本実施形態のインクジェットプリンタ20は、図1に示すように、印刷ヘッド24やキャリッジ22などにより構成されるプリンタ機構21と、駆動モータ33により駆動される紙送りローラ35を含む紙送り機構31と、プラテン44の右端近傍に形成されたキャップ装置40と、プラテン44上の左端近傍に形成され印刷ヘッド24からインク滴が正常に吐出するか否かを検査する印刷ヘッド検査装置50と、インクジェットプリンタ20全体をコントロールするコントローラ70とを備えている。
【0016】
プリンタ機構21は、キャリッジベルト32とキャリッジモータ34とによりガイド28に沿って左右に往復動するキャリッジ22と、このキャリッジ22に搭載されイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ26と、各インクカートリッジ26から供給された各インクに圧力をかける印刷ヘッド24と、この印刷ヘッド24で加圧されたインク滴を記録紙Sに吐出する出射孔としてのノズル23と、印刷中の記録紙Sを支持する支持部材としてのプラテン44とを備えている。本実施形態では、インクとして顔料インクを使用している。キャリッジ22の近傍には、キャリッジ22の位置を検出するリニア式エンコーダ25が配置されており、このリニア式エンコーダ25を用いてキャリッジ22のポジションが管理可能となっている。インクカートリッジ26は、図示しないが、溶媒としての水に着色剤としての染料又は顔料を含有したシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)などの印刷用に用いる印刷記録液としてのインクを各々収納する容器として構成されており、キャリッジ22に着脱可能に装着されている。
【0017】
ここで、プリンタ機構21の多くの構成要素(キャリッジ22など)については周知であるためその詳細な説明を省略し、以下に本発明と関連性の高い印刷ヘッド24について説明する。印刷ヘッド24には、図2に示すように、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のインクを吐出する複数のノズル23を配列したノズル列43が設けられている。なお、ここでは、すべてのノズルをノズル23と総称し、すべてのノズル列をノズル列43と総称し、シアンのノズル及びノズル列をノズル23C及びノズル列43C、マゼンタのノズル及びノズル列をノズル23M及びノズル列43M、イエローのノズル及びノズル列をノズル23Y及びノズル列43Y、ブラックのノズル及びノズル列をノズル23K及びノズル列43Kと称する。以下ノズル23Kを用いて説明する。この印刷ヘッド24では、180個のノズル23Kを記録紙Sの搬送方向に沿って配列してノズル列43Kを構成している。ノズル23Kには、インク滴を吐出するための駆動素子として圧電素子48が設けられており、この圧電素子48に電圧をかけることによりこの圧電素子48を変形させてインクを加圧しノズル23Kから吐出する。
【0018】
この印刷ヘッド24は、各ノズル23Kをそれぞれ駆動する複数の圧電素子48に対応して設けられた複数のマスク回路47を備えている。マスク回路47には、コントローラ70で生成された原信号ODRVや印刷信号PRTnが入力される。なお、印刷信号PRTnの末尾のnはノズル列に含まれるノズルを特定するための番号であり、本実施形態ではノズル列は180個のノズルからなるため、nは1から180のいずれかの整数値となる。この原信号ODRVは、一画素分の区間内(キャリッジ22が一画素の間隔を横切る時間内)において、図2下部に示すように、第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3との3つの駆動波形からなっている。この3つの駆動波形を繰り返し単位とする原信号ODRVを、本実施形態では1セグメントと称する。マスク回路47は、原信号ODRVや印刷信号PRTnが入力されると、これらの信号に基づいて第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3とのうち必要なパルスを駆動信号DRVn(nの意味するところは印刷信号PRTnのnと同じ)としてノズル23Kの圧電素子48に向けて出力する。具体的には、マスク回路47から圧電素子48に第1パルスP1のみが出力されると、ノズル23Kから1ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには小さいサイズのドット(小ドット)が形成される。また、第1パルスP1と第2パルスP2とが圧電素子48に出力されると、ノズル23Kから2ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには中サイズのドット(中ドット)が形成される。また、第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3とが圧電素子48に出力されると、ノズル23Kから3ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには大きいサイズのドット(大ドット)が形成される。このように、インクジェットプリンタ20では、一画素区間において吐出するインク量を調整することにより3種類のサイズのドットを形成することが可能である。なお、他の色のノズル23C,23M,23Yやノズル列43C,43M,43Yについても上記ノズル23Kやノズル列43Kと同様である。また、印刷ヘッド24は、ここでは圧電素子48を変形させてインクを加圧する方式を採用しているが、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。
【0019】
紙送り機構31は、図3に示すように、給紙トレイ14に載置された記録紙Sを挿入する記録紙挿入口18と、給紙トレイ14に載置された記録紙Sを印刷ヘッド24に供給する給紙ローラ36と、印刷ヘッド24へ記録紙Sやロール紙を搬送する紙送りローラ35と、印刷後の記録紙Sを排紙する排紙ローラ37とを備えている。給紙ローラ36、紙送りローラ35及び排紙ローラ37は、図示しないギヤ機構を介して駆動モータ33(図1参照)により駆動される。なお、給紙ローラ36の回転駆動力と図示しない分離パッドの摩擦抵抗とによって、複数の記録紙Sが一度に給紙されることを防いでいる。
【0020】
印刷ヘッド検査装置50は、本発明の中核をなすものであり、図4に示すように、印刷ヘッド24のノズル23から飛翔したインク滴が着弾可能な検査ボックス51と、検査ボックス51内に設けられ印刷ヘッド24からの所定の距離を隔てて設けられた検査領域52と、この検査領域52と印刷ヘッド24との間に電圧を印加する電圧印加回路53と、検査領域52の電圧を検出する電圧検出回路54とを備えている。ここで、電圧印加回路53は、回路の開閉を行うスイッチSWを有しており、このスイッチSWは後述するヘッド検査ルーチンの実行時にオンにされるが、その他の場合にはオフにされる。
【0021】
検査ボックス51は、プラテン44の印刷可能領域から左側に外れた位置に設けられ(図1参照)、略直方体で上部が開口した筐体であり、撥水性材料であるシリコンゴム製又はフッ素樹脂製である。この検査ボックス51の周囲には外周溝81が形成されている。この外周溝81の両側の壁82,83のうち、検査ボックス51側の壁82は略垂直な壁であり、検査ボックス51と反対側の壁83は中段に窪み84がありその窪み84より上方には外周溝81の内部空間内にUターンするように折り返された折り返し部85が形成されている。この折り返し部85も撥水性材料であるシリコンゴム製又はフッ素樹脂製である。検査領域52は、検査ボックス51の中に設けられ、インク滴が直接着弾する上側インク吸収体55と、この上側インク吸収体55に着弾したあと下方に透過してきたインク滴を吸収する下側インク吸収体56と、上側インク吸収体55と下側インク吸収体56との間に配置されたメッシュ状の電極部材57とにより構成されている。上側インク吸収体55は、電極部材57と同電位となるように導電性を有するスポンジによって作製され、その表面が検査領域52となっている。このスポンジは、着弾したインク滴が速やかに下方に移動可能な透過性の高いものであり、ここではエステル系ウレタンスポンジ(商品名:エバーライトSK−E,ブリジストン(株)製)が用いられている。下側インク吸収体56は、上側インク吸収体55に比べてインクの保持力が高いものであり、フェルトなどの不織布によって作製されており、ここでは不織布(商品名:キノクロス,王子キノクロス(株)製)が用いられている。電極部材57は、ステンレス(例えばSUS)製の金属からなる格子状のメッシュとして形成されている。このため、上側インク吸収体55に一旦吸収されたインクは格子状の電極部材57の隙間を通って下側インク吸収体56に吸収・保持される。電圧印加回路53は、電極部材57が正極、印刷ヘッド24が負極となるように直流電源(例えば400V)と抵抗素子(例えば1MΩ)とを介して両者を電気的に接続している。ここで、電極部材57は、導電性を有する上側インク吸収体55と接触しているため、上側インク吸収体55の表面すなわち検査領域52も電極部材57と同電位となる。
【0022】
電圧検出回路54は、検査領域52の電圧と同視される電極部材57の電圧を検出するように接続され、電極部材57の電圧信号を積分して出力する積分回路54aと、この積分回路54aから出力された信号を反転増幅して出力する反転増幅回路54bと、この反転増幅回路54bから出力された信号をA/D変換してコントローラへ出力するA/D変換回路54cとを備えている。積分回路54aは、1つのインク滴の飛翔・着弾による電圧変化が小さいことから、複数のインク滴の飛翔・着弾による電圧変化を積分することにより大きな電圧変化として出力するものである。反転増幅回路54bは、電圧変化の正負を反転させると共に回路構成によって決まる所定の増幅率で積分回路から出力された信号を増幅して出力するものである。A/D変換回路54cは、反転増幅回路54bから出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換してコントローラ70に出力するものである。
【0023】
キャップ装置40は、図1に示すように、印刷休止中などにノズル23が乾燥するのを防止するためにノズル23を封止するときに利用されるものである。このキャップ装置40は、印刷ヘッド24がキャリッジ22と共に右端(ホームポジションという)まで移動したときに該印刷ヘッド24のノズル形成面を覆うように作動される。また、キャップ装置40には、図示しない吸引ポンプが接続されている。そして、例えば印刷ヘッド検査装置50でノズルのインク詰まりが検出されたときなど、必要に応じて、キャップ装置40で封止された印刷ヘッド24のノズル形成面に吸引ポンプの負圧を作用させてノズル23から詰まったインクを吸引排出させる。なお、吸引排出された廃インクは、図示しない廃液タンクに溜められる。
【0024】
コントローラ70は、図1に示すように、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM73と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM74と、データを書き込み消去可能なフラッシュメモリ75と、外部機器との情報のやり取りを行うインタフェース(I/F)79と、図示しない入出力ポートとを備えている。なお、ROM73には、後述するメインルーチンや予備吐出ルーチン、ヘッド検査ルーチン、印刷処理ルーチンの各処理プログラムが記憶されている。また、RAM74には、印刷バッファ領域が設けられており、この印刷バッファにユーザPC10からI/F79を介して送られてきた印刷データが記憶される。このコントローラ70には、印刷ヘッド検査装置50の電圧検出回路54から出力された電圧信号や、リニア式エンコーダ25からのポジション信号などが図示しない入力ポートを介して入力されるほか、ユーザPC10から出力された印刷ジョブなどがI/F79を介して入力される。また、コントローラ70からは、印刷ヘッド24(マスク回路47や圧電素子48を含む)への制御信号や駆動モータ33への制御信号、キャリッジモータ34への駆動信号、キャップ装置40への動作制御信号などが図示しない出力ポートを介して出力されるほか、ユーザPCへの印刷ステータス情報などがI/F79を介して出力される。
【0025】
次に、こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンタ20の動作について説明する。ここでは、まず、メインルーチンの動作について図5に基づいて説明する。図5は、コントローラ70のCPU72により実行されるメインルーチンのフローチャートである。このルーチンは、インクジェットプリンタ20の電源がオンされたあと所定のタイミングごとに(例えば数msecごとに)CPU72により実行される。このルーチンが開始されると、CPU72は、まず、印刷待ち状態の印刷データが存在するか否かを判定する(ステップS100)。ここでは、ユーザPC10から受信した印刷データは、RAM74に形成された印刷バッファ領域に格納されて印刷待ち状態の印刷データとなるため、印刷データを受信したときに印刷中の場合だけでなく直ちに印刷可能な場合であっても印刷待ち状態の印刷データとなる。そして、ステップS100で印刷待ち状態の印刷データが存在しないときには、そのままこのメインルーチンを終了する。一方、ステップS100で、印刷待ち状態の印刷データが存在したときには、ヘッド検査ルーチンを実行する(ステップS110)。
【0026】
このヘッド検査ルーチンは、印刷ヘッド24に配置されたすべてのノズル23の詰まりの有無を検査する処理である。図6は、このヘッド検査ルーチンのフローチャートである。このルーチンが開始されると、CPU72は、電圧印加回路53のスイッチSWを入れて検査領域52と印刷ヘッド24との間に所定の電位差を発生させると共に、今回の検査位置つまりノズル23からインクを吐出する検査領域52の位置を取得する(ステップS300)。ここでは、インクの吐出により検査領域52の表面にインクに含まれる固形物が堆積することがあるため、ヘッド検査を行うごとに検査位置を変更するように設定されている。図7は、印刷ヘッド検査処理における検査位置の説明図である。図7では複数の検査位置p1,p2,p3,p4が設定され、1回のヘッド検査においては、検査位置の違いによる誘電電圧の検出値のばらつきが生じないように、各ノズル列43で同じ検査位置にインクを吐出するよう設定されている。例えば、今回のヘッド検査を検査位置p1で行う場合には、最初にノズル列43Yを検査位置p1に対向するように位置決めしてそのノズル列43Yに含まれる各ノズル23Yからインク滴を吐出し、次にノズル列43Mを検査位置p1に対向するように位置決めしてそのノズル列43Mに含まれる各ノズル23Mからインク滴を吐出し、その後ノズル列43C,43Kについても同様にして検査位置p1にて各ノズル23C,23Kからインク滴を吐出する。また、ある検査位置だけにインクの固形分が堆積し過ぎないように、次回の検査位置は今回の検査位置とは別の位置にインクを吐出するようになっている。例えば、今回のヘッド検査を検査位置p1で行った場合には次回のヘッド検査は検査位置p2で行う、という具合である。さて、図6に戻り、ステップS300で今回の検査位置を取得したあと、CPU72はキャリッジモータ34を駆動して印刷ヘッド24のノズル列43のうち検査対象となるノズル列43が今回の検査位置に対向するようにキャリッジ22を移動し(ステップS310)、検査対象となるノズル列43のうち1つのノズル23のマスク回路47及び圧電素子48(図2参照)を介してそのノズル23から帯電したインク滴を吐出させる(ステップS320)。
【0027】
ここで、帯電したインク滴が印刷ヘッド24のノズル23から飛翔して上側インク吸収体55からなる検査領域52に至る場合の電極部材57における電圧の変化について図8に基づいて説明する。図8は静電誘導によって誘導電圧が生じる原理の説明図である。図8(a)に示すように、印刷ヘッド24でノズル23から飛翔する前のインク滴は電圧印加回路53によって負に帯電している。また、印刷ヘッド24と検査領域52とは距離を隔てて配置されると共に両者間に所定の電位差が発生していることから、両者間には所定の電界強度(=電位差/距離)が生じている。このため、図8(b)に示すように、この負に帯電したインク滴がノズル23から飛翔して上側インク吸収体55へ近づくにつれ、静電誘導によって上側インク吸収体55の表面には正電荷が増加する。この結果、印刷ヘッド24と電極部材57との間の電圧は、静電誘導によって生じる誘導電圧により当初の電圧値よりも高くなる。その後、図8(c)に示すように、負に帯電したインク滴が上側インク吸収体55に達すると、インク滴の負電荷により上側インク吸収体55の正電荷が中和される。この結果、印刷ヘッド24と電極部材57との間の電圧は当初の電圧値を下回る。その後、印刷ヘッド24と電極部材57との間の電圧は印加されている電圧値に戻る。このときの出力信号の振幅は、印刷ヘッド24から上側インク吸収体55(検査領域52)までの距離に依存するほか、飛翔するインク滴の有無やその大きさにも依存する。このため、ノズル23が詰まってインク滴が飛翔しなかったりインク滴が所定の大きさより小さかったりしたときには、出力信号の振幅が通常時に比べて小さくなるため、出力信号の振幅に基づいてノズル23の詰まりの有無を判定することができる。本実施形態では、インク滴が所定の大きさであっても1ショット分のインク滴による出力信号の振幅が極めて小さいことから、駆動波形を表す1セグメントの第1〜第3パルスP1,P2,P3のすべてを出力する操作を8回行うことにより24ショット分のインク滴を吐出する。これにより、出力信号は24ショット分のインク滴による積分値となるため、電圧検出回路54からは十分大きな出力波形が得られる。なお、電圧検出回路54から出力される信号は、反転増幅回路54bを経由することから振幅の向きが逆転する。
【0028】
図6に戻り、このように検査対象となるノズル列43のうちの1つのノズル23のマスク回路47や圧電素子48を介してそのノズル23から帯電したインク滴を吐出させたあと、CPU72は電圧検出回路54から出力された信号の振幅すなわち出力レベルが閾値Vthr以上か否かを判定する(ステップS330)。この閾値Vthrは、図9に示すように、24ショット分のインクが正常に吐出されたときに出力レベルが超えるように、また24ショット分のインクが正常に吐出されなかったときにはノイズ等によって超えることのないように、経験的に定められた値である。そして、ステップS330で出力レベルが閾値Vthr未満だったときには、今回のノズル23に詰まりなどの異常が生じているとみなし、そのノズル23を特定する情報(例えばどのノズル列の何番目のノズルかを示す情報)をRAM74の所定領域に記憶する(ステップS340)。このステップS340のあと又はステップS330で出力レベルが閾値Vthr以上のとき(つまり今回のノズル23が正常だったとき)、CPU72は現在検査中のノズル列43に含まれるすべてのノズル23について検査を行ったか否かを判定し(ステップS350)、現在検査中のノズル列に未検査のノズル23があるときには、検査対象となるノズル23を未検査のものに更新し(ステップS360)、その後再びステップS320以降の処理を行う。一方、ステップS350で現在検査中のノズル列43に含まれるすべてのノズル23について検査を行ったときには、印刷ヘッド24に含まれるすべてのノズル列43について検査を行ったか否かを判定し(ステップS370)、未検査のノズル列43が存在するときには、検査対象となるノズル列43を未検査のノズル列43に更新し(ステップS380)、その後再びステップS310以降の処理を行う。一方、ステップS370で印刷ヘッド24に含まれるすべてのノズル列43について検査を行ったときには、電圧印加回路53のスイッチSWをオフにし(ステップS390)、このヘッド検査ルーチンを終了する。このルーチンを実行することにより、RAM74の所定領域には、印刷ヘッド24に配列された全ノズル23のうち異常が発生しているノズル23がある場合にはそのノズル23を特定する情報が記憶され、異常が発生しているノズル23がない場合には何も記憶されない。
【0029】
さて、図5のメインルーチンに戻り、上述したヘッド検査ルーチン(ステップS110)を実行したあと、印刷ヘッド24に配列された全ノズル23のうち異常が発生しているノズル23があるか否かをRAM74の所定領域の記憶内容に基づいて判定し(ステップS120)、異常が発生しているノズル23があるときには、詰まりが原因となっていることを考慮して印刷ヘッド24のクリーニングを行うが、その前にクリーニングを行った回数が所定回数(例えば3回)未満か否かを判定する(ステップS130)。そして、クリーニングを行った回数が所定回数未満のときには、印刷ヘッド24のクリーニングを実行する(ステップS140)。具体的には、キャリッジモータ34を駆動して印刷ヘッド24がキャップ装置40と対向するホームポジションに来るまでキャリッジ22を移動させ、キャップ装置40を作動してキャップ装置40が印刷ヘッド24のノズル形成面を覆うようにした後、ノズル形成面に図示しない吸引ポンプの負圧を作用させてノズル23から詰まったインクを吸引排出させる。このクリーニングを実行した後、ノズル23の異常が解消されたか否かを調べるため再びステップS110に戻る。なお、このステップS130では、異常が発生していたノズル23のみを再検査してもよいが、何らかの原因でクリーニング時に正常だったノズル23に詰まりが発生することも考えられることから、印刷ヘッド24のすべてのノズル23について再検査を行う。一方、ステップS130でクリーニングを行った回数が所定回数以上だったときには、クリーニングを行ったとしても異常が発生したノズル23は正常化しないとみなし、図示しない操作パネルにエラーメッセージを表示し(ステップS150)、このメインルーチンを終了する。
【0030】
一方、ステップS120で異常が発生しているノズル23がなかったときには、印刷処理ルーチンを実行する(ステップS160)。この印刷処理ルーチンは、図10に示すように、印刷データを印刷する処理である。ここでは、「双方向印刷」を例に説明する。このルーチンが開始されると、CPU72は、まず、給紙処理を実行する(ステップS400)。給紙処理は、駆動モータ33の駆動により給紙ローラ36(図4参照)を回転駆動させ給紙トレイ14に載置された記録紙Sを紙送りローラ35まで搬送する処理である。次に、CPU72は、キャリッジモータ34の駆動によりキャリッジ22をホームポジションなどから図1において左方向に移動させながら印刷ヘッド24からインクを吐出させ印刷データに基づいて往路印刷を実行する(ステップS410)。続いて、CPU72は、現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべき印刷データがあるか否かを判定し(ステップS420)、現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべきデータがあるときには、紙送りローラ35を回転駆動し記録紙Sを所定量搬送する搬送処理を実行し(ステップS430)、キャリッジモータ34の駆動によりキャリッジ22を図1において右方向に移動させながら印刷ヘッド24からインクを吐出させ印刷データに基づいて復路印刷を実行する(ステップS440)。続いて、CPU72は、現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべき印刷データがあるか否かを判定し(ステップS450)、現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべきデータがあるときには、紙送りローラ35を回転駆動し記録紙Sを所定量搬送する搬送処理を実行し(ステップS460)、ステップS410〜S450の処理を実行する。一方、ステップS420又はステップS450で現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべき印刷データがないときには、CPU72は、記録紙Sを排紙する排紙処理を実行する(ステップS470)。排紙処理は、排紙ローラ37を回転駆動し、記録紙Sを排紙トレイに排出する処理である。ステップS470のあと、CPU72は、印刷すべき次のページがあるか否かを判定し(ステップS480)、印刷すべき次のページがあるときには、ステップS400〜S470の処理を実行し、印刷すべき次のページがないときには、この印刷処理ルーチンを終了する。また、図5のメインルーチンも、この印刷処理ルーチンが終了したあと終了する。
【0031】
ここで、メインルーチンを繰り返し実行したあとの検査領域52及びその周辺の状況について、図11に基づいて説明する。図11は検査領域52及びその周辺の状況の説明図である。メインルーチンが繰り返し実行されると、それに伴ってヘッド検査ルーチンや印刷処理ルーチンも何度も繰り返し実行される。そして、ヘッド検査ルーチンが繰り返しされると、検査領域52にはインク滴が何度も吐出されるため、当初は上側インク吸収体55に一旦吸収されたインクは格子状の電極部材57の隙間を通って下側インク吸収体56に吸収・保持されていたものが、次第にインクが上側インク吸収体55の表面で乾いて堆積するようになり、検査領域52にはインク堆積物90が溜まっていく。また、印刷処理ルーチンが繰り返し実行されると、インク滴に伴ってサテライトと呼ばれるインクミストが飛散するため、当初はプラテン44上には何も付着していなかったものが、次第にプラテン44のうち印刷用紙に覆われていない領域にはインクミストが付着し乾いて堆積するようになるため、プラテン44のうち検査領域52の周辺にもインク堆積物92が溜まっていく。ここで、プラテン44は、インクジェットプリンタ20のメカフレーム80(図1参照)を介してグランドに接地されている。また、両インク堆積物90,92はいずれも導電性を有しているため、両インク堆積物90,92が繋がってしまうと検査領域52の電位はグランド電位と一致することになり、ヘッド検査ルーチンにおいて電圧印加回路53のスイッチSWを入れたときに電圧がリークし、検査領域52と印刷ヘッド24との間に所定の電位差を発生させることができなくなる。しかし、本実施形態では、検査ボックス51の周囲に外周溝81が形成され、外周溝81の両側の壁82,83のうち検査ボックス51側の壁82は撥水性の略垂直な壁であり、検査ボックス51と反対側の壁83は中段に窪み84がありその窪み84より上方には外周溝81の内部空間内にUターンするように折り返された撥水性の折り返し部85が形成されている。このため、染料インクに比べて流動性の悪い顔料インクであっても、少なくとも折り返し部85の裏側85aにはインクが堆積することはない。したがって、検査領域52のインク堆積物90と検査領域52の周辺のプラテン44上のインク堆積物92とは少なくとも折り返し部85の裏側85aで不連続となり、電気的に絶縁された状態となる。なお、折り返し部85の奥壁83aもインクは堆積しにくいし、インク堆積量が少なければ検査ボックス51側の垂直な壁82にもインクは堆積しにくい。このため、これらの部位でも両インク堆積物90,92は不連続となり得る。また、外周溝81の溝幅や折り返し部85の大きさなどは、インク堆積量や強度などを考慮して適宜決定すればよい。
【0032】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の検査領域52が本発明の検査領域に相当し、マスク回路47及び圧電素子48が印刷ヘッド駆動手段に相当し、電圧検出回路54が電気的変化検出手段に相当し、CPU72が検査制御手段に相当し、外周溝81(そのうちの特に折り返し部85)が堆積物断絶部に相当する。また、本実施形態の顔料インクが本発明の印刷記録液に相当し、ノズル23が吐出孔に相当し、電圧印加回路53が電位差発生手段に相当する。
【0033】
以上詳述した本実施形態のインクジェットプリンタ20によれば、検査領域52のインク堆積物90と検査領域52の周辺のプラテン44上のインク堆積物92とは少なくとも折り返し部85の裏側85aで不連続となり、電気的に絶縁された状態となるため、電圧印加回路53のスイッチSWを入れたときに電圧がリークすることはなく、検査領域52と印刷ヘッド24との間に所定の電位差を確実に発生させることができる。したがって、ヘッド検査ルーチンを長期にわたって安定に実施することができる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0035】
例えば、上述した実施形態の検査ボックス51の周辺の構造に代えて、図12の構造を採用してもよい。図12の構造は、検査ボックス51側の垂直な壁82の上端面を傾斜面(外側に向かって下り傾斜となる面)とした以外は上述した実施形態と同様の構造である。このため、同じ構成要素については同じ符号を付しその説明を省略する。この構造によれば、上述した実施形態の作用効果に加えて、更に壁82の上端面にもインクが堆積しにくいため、検査領域52のインク堆積物90と検査領域52の周辺のインク堆積物92とはこの壁82の上端面でも不連続となり得る。
【0036】
あるいは、上述した実施形態の検査ボックス51の周辺の構造に代えて、図13の構造を採用してもよい。図13の構造は、折り返し部85の代わりに検査ボックス51とは反対側の壁83(奥壁83a)から検査ボックス51に向かって水平に延び出した庇(ひさし)部86を形成した以外は上述した実施形態と同様の構造である。このため、同じ構成要素については同じ符号を付しその説明を省略する。この構造によれば、少なくとも庇部86の裏側86aにはインクが堆積することはほとんどないため、検査領域52のインク堆積物90と検査領域52の周辺のプラテン44上のインク堆積物92とは少なくともこの庇部86の裏側86aで不連続となり、電気的に絶縁された状態となる。したがって、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0037】
あるいは、上述した実施形態の検査ボックス51の周辺の構造に代えて、図14の構造を採用してもよい。図14の構造は、検査ボックス51の周囲に外周溝181を形成し、外周溝181の両側の壁182,183のうち検査ボックス51と反対側の壁183は略垂直な壁とし、検査ボックス51側の壁182は上端に外周溝181の内部空間内にUターンするように折り返された折り返し部185を形成したものである。このため、上述した実施形態と同様、少なくとも折り返し部185の裏側185aにはインクが堆積することはなく、検査領域52のインク堆積物90と検査領域52の周辺のプラテン44上のインク堆積物92とは少なくとも折り返し部185の裏側185aで不連続となり、電気的に絶縁された状態となる。したがって、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0038】
あるいは、上述した実施形態の検査ボックス51の周辺の構造に代えて、図15の構造を採用してもよい。図15の構造は、検査ボックス51の周囲に外周溝281を形成し、外周溝281の両側の壁282,283を共に略垂直に形成したものである。この構造は、顔料インクを使用する場合には略垂直な壁282,283にも比較的早期にインクが堆積することからあまり適さないが、染料インクを使用する場合には顔料インクに比べて流動性が高いため略垂直な壁282,283にインクが堆積しにくい。このため、染料インクを使用する場合には、検査領域52のインク堆積物90と検査領域52の周辺のプラテン44上のインク堆積物92とは外周溝281の壁282,283で不連続となり電気的に絶縁された状態となる。したがって、電圧印加回路53のスイッチSWを入れたときに電圧がリークすることはなく、検査領域52と印刷ヘッド24との間に所定の電位差を確実に発生させることができる。もちろん、染料インクを使用する場合に図11〜図14の構造を採用してもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、検査ボックス51や折り返し部85を撥水性材料で作製したが、図11の構造を採用するのであれば、格別撥水性を有さない材料で作製しても上述した実施形態の効果を得ることはでき。但し、より顕著な効果を得るには上述した実施形態のように撥水性材料を用いることが好ましい。この点は図11〜図14の構造においても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】インクジェットプリンタ20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】印刷ヘッド24の説明図である。
【図3】紙送り機構31の説明図である。
【図4】印刷ヘッド検査装置50の構成の概略を示す構成図である。
【図5】メインルーチンのフローチャートである。
【図6】ヘッド検査ルーチンのフローチャートである。
【図7】ヘッド検査処理における検査位置の説明図である。
【図8】静電誘導によって誘導電圧が生じる原理の説明図である。
【図9】閾値Vthrの一例を示す説明図である。
【図10】印刷処理ルーチンのフローチャートである。
【図11】検査領域52及びその周辺の状況の説明図である。
【図12】検査領域52及びその周辺の状況の説明図である。
【図13】検査領域52及びその周辺の状況の説明図である。
【図14】検査領域52及びその周辺の状況の説明図である。
【図15】検査領域52及びその周辺の状況の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
14 給紙トレイ、18 記録紙挿入口、20 インクジェットプリンタ、21 プリンタ機構、22 キャリッジ、23,23Y,23M,23C,23K ノズル、24 印刷ヘッド、25 リニア式エンコーダ、26 インクカートリッジ、28 ガイド、31 紙送り機構、32 キャリッジベルト、33 駆動モータ、34 キャリッジモータ、35 紙送りローラ、36 給紙ローラ、37 排紙ローラ、40 キャップ装置、43,43Y,43M,43C,43K ノズル列、44 プラテン、47 マスク回路、48 圧電素子、50 印刷ヘッド検査装置、51 検査ボックス、52 検査領域、53 電圧印加回路、54 電圧検出回路、54a 積分回路、54b 反転増幅回路、54c A/D変換回路、55 上側インク吸収体、56 下側インク吸収体、57 電極部材、70 コントローラ、72 CPU、73 ROM、74 RAM、75 フラッシュメモリ、79 インタフェース(I/F)、80 メカフレーム、81 外周溝、82 壁、83 壁、83a 奥壁、84 窪み、85 折り返し部、85a 折り返し部の裏側、86 庇部、86a 庇部の裏側、90 インク堆積物、92 インク堆積物。




 

 


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