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発明の名称 インクミスト誘導装置、記録装置、および液体噴射装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−76283(P2007−76283A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−269757(P2005−269757)
出願日 平成17年9月16日(2005.9.16)
代理人 【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
発明者 阿南 彰
要約 課題
インクミストの発生による他の部材の汚損を防止するインクミスト誘導装置を提供すること。

解決手段
インクミスト誘導装置300は、記録ヘッド106と対向する位置に配設された電極(304)と、該電極(304)に電圧を印加する電圧印加手段(309)とを備えたインクミスト誘導装置300であって、該電圧印加手段(309)を作動させることによって、前記記録ヘッド106からインク滴が吐出される際に発生するインクミストを、前記電極側へ誘導して吸着させることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
記録ヘッドと対向する位置に配設された電極と、
該電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備えたインクミスト誘導装置であって、
該電圧印加手段を作動させることによって、前記記録ヘッドからインク滴が吐出される際に発生するインクミストを、前記電極側へ誘導して吸着させることを特徴とするインクミスト誘導装置。
【請求項2】
請求項1において、前記記録ヘッドと前記電極との間において、前記インク滴およびインクミストを吸収するインク吸収材が設けられていることを特徴とするインクミスト誘導装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記電圧印加手段は、所定の記録モードのときに、前記電極に電圧を印加しないように構成されていることを特徴とするインクミスト誘導装置。
【請求項4】
請求項3において、前記所定の記録モードは、縁有り記録モード、あるいは大ドット記録モードであることを特徴とするインクミスト誘導装置。
【請求項5】
請求項3または4において、前記電圧印加手段は、前記所定の記録モードに加え、内蔵バッテリによって記録装置が動作を行うときに、前記電極に電圧を印加しないように構成されていることを特徴とするインクミスト誘導装置。
【請求項6】
記録ヘッドにより被記録媒体に記録を実行する記録部と、
該記録部からインク滴が吐出される際に発生するインクミストを、電極側へ誘導するインクミスト誘導装置とを備えた記録装置であって、
該インクミスト誘導装置は、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載された前記インクミスト誘導装置を備えていることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
液体噴射ヘッドと対向する位置に配設された電極と、
該電極に電圧を印加する電圧印加手段とを具備する液体ミスト誘導装置を備えた液体噴射装置であって、
前記電圧印加手段を作動させることによって、前記液体噴射ヘッドから液体滴が吐出される際に発生する液体ミストを、前記電極側へ誘導して吸着させることを特徴とする液体噴射装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドと対向する位置に配設された電極と、該電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備えたインクミスト誘導装置、該インクミスト誘導装置を備えた記録装置、および液体ミスト誘導装置を備えた液体噴射装置に関する。
【0002】
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録用紙等の被記録媒体へ液体滴としてのインクを噴射して被記録媒体への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、液体を被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。また、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
従来、インクジェット記録装置として特許文献1に記載されたものが提案されている。この記録装置は、記録ヘッドに設けられたノズル開口からインク滴を吐出させると共に、電圧印加手段により電圧が印加された電極を、記録ヘッドと、該記録ヘッドと対向する位置とに設けて電場を発生させていた。そして、前記吐出されたインク滴の飛翔を安定させていた。言い換えると、前記吐出されたインク滴の飛翔を安定させるため、電極に電圧を印加することよって電場を発生させて、該インク滴を誘導していた。
【0004】
【特許文献1】特開平11−320890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電極に電圧を印加するのは、記録ヘッドから吐出されたインク滴の飛翔を安定させる目的の限りであって、記録ヘッドからインク滴が吐出される際に発生する、所謂、インクミストについては、何ら対策が設けられていなかった。
ここで、本願において「インク滴」とは、1〜2pl(ピコリットル)程度の分量を有し、記録ヘッド側に電圧が印加された電極がない場合、記録ヘッドのノズル開口から吐出される際、ノズル開口との摩擦によって(+)プラスにチャージされるものをいう。
一方、「インクミスト」とは、記録ヘッドのノズル開口から「インク滴」が吐出される際に発生するものであって、概ね1pl以下の分量を有し、記録ヘッド側に電圧が印加された電極がない場合、ノズル開口との摩擦によって(−)マイナスにチャージされるものをいう。
さらに、「インクミスト」は、被記録媒体等に付着せずに空気中に舞う虞がある。「インクミスト」が空気中を舞うか否かは、該「インクミスト」の大きさ、重量、速度、付着目標までの距離等によって決まる。
【0006】
従って、「インク滴」と性質の異なる「インクミスト」について、何ら対策が設けられていない場合は、前記「インクミスト」が空気中を舞って、記録ヘッドから吐出される領域およびその周辺において、他の部材が汚損される虞が生じる。
また、特開平11−320890号公報では、インク滴を確実に誘導するために、前記電圧印加手段により電極に印加される電圧は、1〜2kV(キロボルト)と非常に高く設定されていた。さらに、ノズル開口からインク滴を吐出する記録中は、画一的に前記電圧印加手段を作動させるので、消費する電力量は多大な量であった。そのため、経済的な面、環境面において相応しくなかった。
【0007】
そこで、本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、インクミストの発生による他の部材の汚損を防止するインクミスト誘導装置を提供すること。さらに、記録ヘッドからインク滴が吐出される際に発生するインクミストを、電圧印加手段によって電極に電圧を印加することによって誘導するインクミスト誘導装置であって、前記電圧印加手段のような不必要な消費電力を削減することができるインクミスト誘導装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、記録ヘッドと対向する位置に配設された電極と、該電極に電圧を印加する電圧印加手段とを備えたインクミスト誘導装置であって、該電圧印加手段を作動させることによって、前記記録ヘッドからインク滴が吐出される際に発生するインクミストを、前記電極側へ誘導して吸着させることを特徴とするインクミスト誘導装置である。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、該電圧印加手段を作動させることによって、前記記録ヘッドからインク滴が吐出される際に発生する「インクミスト」を、前記電極側へ誘導して吸着させる。即ち、前記記録ヘッドから吐出される「インク滴」ではなく、空気中を舞う虞のある「インクミスト」に対して前記電極側への誘導を行う。従って、該「インクミスト」が空気抵抗等によって、失速して空気中に舞う虞のある状態であっても、確実に該「インクミスト」を前記電極側へ誘導して吸着させることができる。即ち、該「インクミスト」が空気中に浮遊する虞がない。その結果、「インクミスト」によって、他の部材が汚損される虞がない。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記記録ヘッドと前記電極との間において、前記インク滴およびインクミストを吸収するインク吸収材が設けられていることを特徴とするインクミスト誘導装置である。
【0011】
例えば、前記「インクミスト」を前記電極側へ誘導した際、該「インクミスト」が電極に直に吸着されて、該電極が汚損される虞がある。
そこで、本発明の第2の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記記録ヘッドと前記電極との間において、前記インク滴およびインクミストを吸収するインク吸収材が設けられている。従って、前記「インクミスト」を前記電極側へ誘導した際、該「インクミスト」をインク吸収材に吸着させることができる。その結果、前記電極が汚損される虞がない。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記電圧印加手段は、所定の記録モードのときに、前記電極に電圧を印加しないように構成されていることを特徴とするインクミスト誘導装置である。
【0013】
例えば、前記電圧印加手段を作動させても、記録モードによっては、さほど効果的でない場合がある。このような場合は、ただ単に消費電力が大きいだけであり、該電圧印加手段は前記電極に電圧を印加しない状態となるのが望ましい。
そこで、本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、前記電圧印加手段は、所定の記録モードのときに、前記電極に電圧を印加しないように構成されている。従って、該電圧印加手段は前記電極に電圧を印加しない状態となった分の電力量の消費を抑えることができる。即ち、記録モードに応じて、前記電圧印加手段は、適宜に休止状態になることによって、電力の使用量を節約することができる。
【0014】
ここで、「所定の記録モード」とは、「インクミスト」が空気中に舞う虞のない記録モードをいう。「インクミスト」が空気中を舞うか否かは、該「インクミスト」の大きさ、重量、速度、付着目標までの距離等によって決まるものである。
【0015】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記所定の記録モードは、縁有り記録モード、あるいは大ドット記録モードであることを特徴とするインクミスト誘導装置である。
該「縁有り記録モード」は、所謂「縁無し記録モード」と違って「インク滴」が被記録媒体の縁から外れてプラテンの打ち捨て溝へ向かって吐出されることがない。従って、「インク滴」が吐出される際に発生する「インクミスト」も、被記録媒体の縁から外れてプラテンの打ち捨て溝へ向かって飛翔することが殆どない。即ち、「インクミスト」は、被記録媒体の縁から外れることによって前記付着目標までの距離が延びて、延びた距離の分だけ空気抵抗を余分に受ける虞がないので、失速して空気中を舞う虞が殆どない。
【0016】
また、前記「大ドット記録モード」は、記録ヘッドから吐出される「インク滴」が通常より大きいので、「インクミスト」の発生する虞がない。仮に発生したとしても、通常より「大きいインク滴」と「インクミスト」との間には、通常より大きいクーロン力が発生するため、両者は直ちに引き寄せられ一体となる。
従って、「縁有り記録モード」、および「大ドット記録モード」のときは、前記電圧印加手段は休止状態となって、電力の使用量を節約するのが好ましい。
【0017】
そこで、本発明の第4の態様によれば、第3の態様と同様の作用効果に加え、前記「所定の記録モード」は、「縁有り記録モード」、あるいは「大ドット記録モード」であることを特徴とする。従って、「縁有り記録モード」、あるいは「大ドット記録モード」のとき、該電圧印加手段は休止状態となった分の電力量の無駄な消費を抑えることができる。
【0018】
本発明の第5の態様は、第3または第4の態様において、前記電圧印加手段は、前記所定の記録モードに加え、内蔵バッテリによって記録装置が動作を行うときに、前記電極に電圧を印加しないように構成されていることを特徴とするインクミスト誘導装置である。
【0019】
内蔵バッテリによって記録装置が動作を行う場合、消費できる電力量は、該内蔵バッテリ内に蓄積された電力量に限られる。そして、限られた電力量で多数量の被記録媒体に記録しなければならない場合がある。
そこで、本発明の第5の態様によれば、第3または第4の態様と同様の作用効果に加え、前記電圧印加手段は、前記所定の記録モードに加え、内蔵バッテリによって記録装置が動作を行うときに、前記電極に電圧を印加しないように構成されている。従って、前記電圧印加手段は、前記電極に電圧を印加しない状態となった分の電力量の消費を抑えることができる。即ち、消費できる電力量が限られた状態では、前記電圧印加手段は画一的に休止状態になることによって、電力の使用量を節約することができる。その結果、限られた電力量で効率よく前記多数量の被記録媒体に対して記録を実行することができる。
【0020】
本発明の第6の態様は、記録ヘッドにより被記録媒体に記録を実行する記録部と、該記録部からインク滴が吐出される際に発生するインクミストを、電極側へ誘導するインクミスト誘導装置とを備えた記録装置であって、該インクミスト誘導装置は、上記第1から第5の態様のいずれかに記載された前記インクミスト誘導装置を備えていることを特徴とする記録装置である。
本発明の第6の態様によれば、記録装置は、上記第1から第5の態様のいずれかに記載された前記インクミスト誘導装置を備えているので、記録装置において、上記第1から第5の態様のいずれかと同様の作用効果を得ることができる。
【0021】
本発明の第7の態様は、液体噴射ヘッドと対向する位置に配設された電極と、該電極に電圧を印加する電圧印加手段とを具備する液体ミスト誘導装置を備えた液体噴射装置であって、前記電圧印加手段を作動させることによって、前記液体噴射ヘッドから液体滴が吐出される際に発生する液体ミストを、前記電極側へ誘導して吸着させることを特徴とする液体噴射装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本発明に係る記録装置の概略を示す全体斜視図である。また、図2に示すのは、本発明に係る記録装置の概略を示す全体平面図である。
記録装置100の本体の背面側には、被記録媒体としての用紙P(図3参照)が積層される給紙カセット101が、着脱可能に設けられている。給紙カセット101の最上位に積層された用紙Pは、給送用モータ104によって駆動する給送ローラ(図示せず)によりピックアップされて、用紙ガイド103に案内されながら搬送方向の下流側の搬送ローラ(図示せず)へと給送される。搬送ローラまで給送された用紙Pは、搬送用モータ(図示せず)によって駆動する搬送ローラにより、さらに搬送方向の下流側の記録部143へと搬送される。記録部143は、用紙Pを下方から支持するプラテン105と、プラテン105の上方側に対向するように設けられたキャリッジ107とによって構成される。そのうち、キャリッジ107は、主走査方向へ延びたキャリッジガイド軸(図示せず)に案内されながらキャリッジモータ102によって駆動する。さらに、キャリッジ107の底面部には、用紙Pへ向かってインクを吐出する記録ヘッド106が設けられている。記録部143で記録された用紙Pは、さらに下流側へと搬送され排紙ローラ(図示せず)によって記録装置100の正面側から排出される。
【0023】
また、記録装置100の本体の下方には、インクカートリッジ(図示せず)が装填され、インク供給針(図示せず)を介してインク供給路(図示せず)へとインクが供給される。さらに、インク供給チューブ110を介してキャリッジ107の記録ヘッド106まで供給される。そして、記録ヘッド106のフラッシング時、およびクリーニング時には、1桁側に設けられ、記録部143の吐出特性を維持する吐出特性維持部としてのインク吸引装置200においてインクの吐出・吸引動作が行われる。
【0024】
さらに、プラテン105の記録ヘッド106と対向する面には、凹部状のプラテン凹部105aが形成されている。プラテン凹部内の上側には、インクを吸収するインク吸収材308が配設され、一方のプラテン凹部105aの下側(底側)には、液体ミスト誘導装置の一例であって後述するインクミスト誘導装置300を構成する電極板304が配設されている。
【0025】
図3に示すのは、本発明に係るインクミスト誘導装置の概略図である。
図3に示す如く、記録装置100には、インクミスト誘導装置300が設けられている。インクミスト誘導装置300は、電気部309、および電極板304から構成されている。このうち、電気部309は、電流を発生させる回路としてのASIC(Application
Specific Integrated Circuit)307、ASIC307から流れる電気を高電圧にする高電圧回路305、およびASIC307から高電圧回路305への電気の流れる状態/流れを止めた状態、即ち高電圧回路305の作動のON/OFF状態を切り替える制御部306とから構成されている。ここで、制御部306の位置は、高電圧回路305の電流の流れる方向の上流側に限らず、高電圧回路305の下流側であってもよいのは勿論である。該下流側であっても電極板304より上流側であれば、電極板304への電圧印加のON/OFFを切り替えることができるからである。
【0026】
また、記録ヘッド106の下面には、インク滴を吐出するノズル開口301からなるノズル開口列302が設けられ、記録ヘッド106の下面であるノズル開口形成面303と対向する位置には、電極板304が設けられている。電極板304は、高電圧回路305と電気的に接続され、高電圧回路305は、電極板304に電圧を印加するように設けられている。電極板304の具体的な位置は、プラテン105に形成された凹部内に配設されたシート状のインク吸収材308(図1参照)の下側である。即ち、記録時において、記録ヘッド側からプラテン側へ向かって、ノズル開口形成面303、用紙P、インク吸収材308、電極板304の順で並ぶ。
【0027】
制御部306がON状態のとき、ASIC307から高電圧回路305へ電気が流れる。そして、高電圧回路305は、電極板304に4〜4000Vの電圧を印加する。従って、電極板304の周りの空間において、電場を発生させることができる。このとき、電極板304は、(+)プラスチャージであるので、電極板304の周りの空間において(−)マイナスチャージのものをクーロン力によって引き寄せることができる。
【0028】
通常、記録時において、記録ヘッド106のノズル開口列302から「インク滴」が吐出され、「インク滴」が吐出される際に「インクミスト」が発生する。そして、「インク滴」は用紙Pに着弾して、一方の「インクミスト」は用紙Pに付着する。
ところが、所謂「縁無し記録モード」において、用紙Pの側端および上下端を記録する場合、一部の「インク滴」および「インクミスト」が用紙Pに着弾あるいは付着せずに用紙Pの側端および上下端から外側へ外れて、プラテン凹部105aに配設されたインク吸収材308へ向かって飛翔する。このとき、「インク滴」および「インクミスト」の飛翔距離が延びるため、延びた距離の分だけ「インク滴」および「インクミスト」は、空気抵抗を余分に受ける。さらにこのとき、「インク滴」および「インクミスト」のうち、「インクミスト」は、「インク滴」と比べて分量が小さいため、空気抵抗の影響を受けやすい。従って、「インクミスト」は、失速して空気中に浮遊する虞が生じる。
ここで、「インク滴」とは、1〜2pl(ピコリットル)程度の分量を有し、記録ヘッド側に電圧が印加された電極がない場合、記録ヘッド106のノズル開口301から吐出される際、ノズル開口301との摩擦によって(+)プラスにチャージされるものをいう。
一方、「インクミスト」とは、記録ヘッド106のノズル開口301から「インク滴」が吐出される際に発生するものであって、概ね1pl以下の分量を有し、記録ヘッド側に電圧が印加された電極がない場合、ノズル開口301との摩擦によって(−)マイナスにチャージされるものをいう。
さらに、「インクミスト」は、用紙等に付着せずに空気中に舞う虞がある。「インクミスト」が空気中を舞うか否かは、該「インクミスト」の大きさ、重量、速度、付着目標までの距離等によって決まる。
【0029】
このように、「インクミスト」が発生しやすい「縁無し記録モード」のときに、電極板304の周りの空間において、前述した電場を発生させると、「インクミスト」を電極板304へ誘導することができる。即ち、「インクミスト」の(−)マイナスチャージと電極板304の(+)プラスチャージとがクーロン力によって互いに引き合うため、結果として、「インクミスト」が電極板側に引き寄せられる。従って、「インクミスト」を電極板304の手前に配設されたインク吸収材308に吸着させることができる。その結果、「インクミスト」が空気中を浮遊しないので、記録部周辺が汚損される虞がない。
尚、インク滴および電極板304の両者は(+)プラスチャージであるため、互いに反発する力、即ち、インク滴を失速させる力が作用するが、インク滴は失速する前に用紙Pあるいはインク吸収材308へ着弾する。このとき、電極板304の電圧値を、分量の大きいインク滴には作用しにくく、分量の小さいインクミストのみに作用するように設定するのが望ましい。言い換えると、電場の影響を受けやすいインクミストのみに作用する最低限の電圧値に設定するのが望ましい。この場合の電圧値は、インクミストの分量はインク滴の分量と比較して非常に小さいので、従来技術におけるインク滴を誘導する際に必要な電圧値と比較して非常に低く設定することができる。
【0030】
本実施形態のインクミスト誘導装置300は、記録ヘッド106と対向する位置に配設された電極としての電極板304と、電極板304に電圧を印加する電圧印加手段としての電気部309とを備えたインクミスト誘導装置300であって、電圧印加手段である電気部309を作動させることによって、記録ヘッド106から「インク滴」が吐出される際に発生する「インクミスト」を、電極板側へ誘導して吸着させることを特徴とする。即ち、記録ヘッド106から吐出される「インク滴」ではなく、空気中を舞う虞のある「インクミスト」に対して電極板側への誘導を行う。
【0031】
その結果、「インクミスト」が空気抵抗等によって、失速して空気中に舞う虞のある状態であっても、確実に「インクミスト」を電極板側へ誘導して吸着させることができる。即ち、「インクミスト」が空気中に浮遊する虞がない。従って、「インクミスト」によって、記録部周辺の他の部材が汚損される虞がない。
【0032】
例えば、「インクミスト」を電極板側へ誘導した際、「インクミスト」が電極板304に直に吸着されて、電極板304が汚損される虞がある。
そこで、本実施形態のインクミスト誘導装置300は、記録ヘッド106と電極板304との間において、「インク滴」および「インクミスト」を吸収するインク吸収材308が設けられていることを特徴とする。
その結果、「インクミスト」を電極板側へ誘導した際、「インクミスト」をインク吸収材308に吸着させることができる。従って、電極板304が汚損される虞がない。
【0033】
ところが、記録モードによっては、「インクミスト」が空気中に浮遊する虞が、そもそもない場合がある。例えば、「縁有り記録モード」や「大ドット記録モード」である。「縁有り記録モード」は、常に用紙端より内側に対して「インク滴」を吐出する。従って、「インク滴」が吐出される際に生じる「インクミスト」は、用紙端より内側で発生する。即ち、「インク滴」および「インクミスト」の飛翔距離が延びることがない。従って、「インクミスト」が空気中に浮遊する虞がない。一方、「大ドット記録モード」は、ノズル開口301から吐出される「インク滴」が通常より大きく、「インクミスト」の発生する虞がない。仮に発生したとしても、通常より「大きいインク滴」と「インクミスト」との間には、通常より大きいクーロン力が発生するため、両者は直ちに引き寄せられ一体となる。
【0034】
このような「インクミスト」が空気中に浮遊する虞がない記録モードでは、電極板304の周りの空間において、前述した電場を発生させてもさほど作用効果を得ることができない。電極板304に電圧を印加したとき、消費する電力量Pは、一般に以下の式で与えられ、
P = I・V・t (P:電力量、I:電流、V:電圧、t:時間)
電力量Pは、電圧Vに比例する。従って、電極板304に高電圧を印加すれば、消費する電力量は大きくなる。このとき、前述した電場を発生させるのが効果的でないのであれば、消費する電力量の大部分は不必要であると言える。
そこで、制御部306は、ユーザが「記録モード」を選定したときに、該記録モードに応じて自動で高電圧回路305の作動状態であるON/OFFの切り替えをするように設けられている。
【0035】
記録が実行される際、先ず、ユーザは、記録モードを選定する。次に、記録データが記録部143へ送られると共に、用紙Pが搬送ローラによって記録部143まで搬送される。このとき、選定された記録モードが「縁無し記録モード」である場合、制御部306が高電圧回路305をON状態にすると共に、用紙Pに対してノズル開口301からインク滴が吐出されて記録が開始される。即ち、高電圧回路305が作動して電極板304の周りの空間において、前述した電場を生じさせた状態で、ノズル開口301からインク滴が吐出される。そして、記録終了と共に制御部306が高電圧回路305をOFF状態にする。
ここで、「インクミスト」をインク吸収材308に確実に吸着させるため、記録終了後、一定のタイムラグを設けた後に高電圧回路305を休止状態であるOFF状態にしてもよいのは勿論である。
【0036】
一方、選定された記録モードが「縁有り記録モード」あるいは「大ドット記録モード」である場合、該モードが選定された時点より、制御部306が高電圧回路305をOFF状態に切り替える。従って、記録を開始しても、高電圧回路305が作動しないので電極板304の周りの空間において、前述した電場は生じない。
【0037】
また、本実施形態において、電圧印加手段である電気部309は、「所定の記録モード」のときに、電極板304に電圧を印加しないように構成されていることを特徴とする。具体的には、電気部309は、制御部306によって高電圧回路305を休止状態であるOFF状態にする。
その結果、電圧印加手段である電気部309は電極板304に電圧を印加しない状態となった分の電力量の消費を抑えることができる。即ち、記録モードに応じて、電圧印加手段である電気部309は、適宜に休止状態であるOFF状態になることによって、電力の使用量を節約することができる。
【0038】
ここで、「所定の記録モード」とは、「インクミスト」が空気中に舞う虞のない記録モードをいう。「インクミスト」が空気中を舞うか否かは、「インクミスト」の大きさ、重量、速度、付着目標までの距離等によって決まるものである。
【0039】
「縁有り記録モード」は、所謂「縁無し記録モード」と違ってインク滴が用紙Pの縁から外れてプラテン凹部105aの一部である打ち捨て溝へ向かって吐出されることがない。従って、インク滴が吐出される際に発生するインクミストも、用紙Pの縁から外れてプラテン凹部105aの一部である打ち捨て溝へ向かって飛翔することが殆どない。即ち、「インクミスト」は、用紙Pの縁から外れることによって前記付着目標までの距離が延びて、延びた距離の分だけ空気抵抗を余分に受ける虞がないので、失速して空気中を舞う虞が殆どない。
【0040】
また、「大ドット記録モード」は、記録ヘッド106のノズル開口301から吐出される「インク滴」が通常より大きいので、「インクミスト」の発生する虞がない。仮に発生したとしても、通常より「大きいインク滴」と「インクミスト」との間には、通常より大きいクーロン力が発生するため、両者は直ちに引き寄せられ一体となる。
従って、「縁有り記録モード」、および「大ドット記録モード」のときは、電圧印加手段である電気部309はOFF状態となって、電力の使用量を節約するのが好ましい。
【0041】
そこで、本実施形態の「所定の記録モード」は、「縁有り記録モード」、あるいは「大ドット記録モード」であることを特徴とする。
その結果、「縁有り記録モード」、あるいは「大ドット記録モード」のとき、電気部309はOFF状態となった分の電力量の無駄な消費を抑えることができる。
【0042】
また、記録装置100が携帯・持ち運び可能であれば、記録装置内部に内蔵バッテリ(図示せず)を備えている場合がある。この場合、制御部306は、上記「所定の記録モード」が選定されるか否かに関わらず、内蔵バッテリによって記録装置100が動作を行う場合、高電圧回路305を自動でOFF状態にするように設けられている。
【0043】
内蔵バッテリによって記録装置100が動作を行う場合、消費できる電力量は、該内蔵バッテリ内に蓄積された電力量に限られる。そして、限られた電力量で多数量の用紙Pに記録しなければならない場合がある。即ち、用紙Pに記録を実行するためには、電力を、給送用モータ104、キャリッジモータ102等に対して優先的に費やす必要がある。
上記のような場合において、制御部306は、高電圧回路305をOFF状態にするので、OFF状態にした分の電力量の消費を抑えることができる。
【0044】
本実施形態の電圧印加手段である電気部309は、「所定の記録モード」に加え、内蔵バッテリによって記録装置100が動作を行うときに、電極板304に電圧を印加しないように構成されていることを特徴とする。具体的には、電気部309は、制御部306によって高電圧回路305をOFF状態にする。
その結果、電気部309は、電極板304に電圧を印加しない状態となった分の電力量の消費を抑えることができる。即ち、消費できる電力量が限られた状態では、電気部309は画一的にOFF状態になることによって、電力の使用量を節約することができる。従って、限られた電力量で効率よく多数量の用紙Pに対して記録を実行することができる。
【0045】
本実施形態の記録装置100は、記録ヘッド106により被記録媒体としての用紙Pに記録を実行する記録部143と、記録部143から「インク滴」が吐出される際に発生する「インクミスト」を、電極板側へ誘導するインクミスト誘導装置300とを備えた記録装置100であって、上記のいずれかに記載のインクミスト誘導装置300を備えていることを特徴とする。
【0046】
その結果、上記インクミスト誘導装置300で得られる作用効果と同様の作用効果を記録装置100において得ることができる。
【0047】
尚、本発明において、「インクミスト」は、「インク滴」が吐出される際にノズル開口で発生したものだけでなく、ノズル開口から吐出された分量の大きい「インク滴」が空気抵抗によって「インク滴」の一部から分離して発生した(−)マイナスチャージの分量の小さいインク滴を含むのは勿論である。
また、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る記録装置の概略を示す全体斜視図
【図2】本発明に係る記録装置の概略を示す全体平面図
【図3】本発明に係るインクミスト誘導装置の概略図
【符号の説明】
【0049】
100 記録装置、101 給紙カセット、102 キャリッジモータ、
103 用紙ガイド、104 給送用モータ、105 プラテン、
105a プラテン凹部、106 記録ヘッド、107 キャリッジ、
110 インク供給チューブ、143 記録部、200 インク吸引装置、
300 インクミスト誘導装置、301 ノズル開口、302 ノズル開口列、
303 ノズル開口形成面、304 電極板、305 高電圧回路、306 制御部、
307 ASIC、308 インク吸収材、309 電気部、P 用紙




 

 


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