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発明の名称 液体噴射装置、及び、その制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−76263(P2007−76263A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−269328(P2005−269328)
出願日 平成17年9月16日(2005.9.16)
代理人 【識別番号】100098073
【弁理士】
【氏名又は名称】津久井 照保
発明者 寺前 浩文
要約 課題
計算上のインク消費量と実際のインク消費量との間の誤差を可及的に低減する。

解決手段
吐出カウンタ値に基準液量を乗じて得られるインク消費量に基づいてインクカートリッジのインクが計算上無くなった状態の仮エンドを検出する仮エンド検出工程と、仮エンド検出工程において仮エンドが検出された場合、インクカートリッジ内のインクが実質的に無くなった状態の本エンドが検出されるまでインクカートリッジ内に残っているインクをノズル開口から吐出する検査吐出工程と、記録ヘッド内の温度の上昇率に基づいて本エンドを検出する本エンド検出工程と、検査吐出工程におけるインク消費量を仮エンド時点におけるインクカートリッジ内のインク残量として算出するインク残量算出工程と、算出されたインク残量と満杯状態から本エンドまでの合計消費量との比に基づいて基準液量を補正する基準液量補正工程と、を含む基準液量補正処理を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
液体を貯留する液体貯留部材と、該液体貯留部材に貯留されている液体を圧力室に導入し、圧力発生源を駆動させることにより圧力室内に圧力変動を生じさせてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドと、当該液体噴射ヘッドによる吐出動作を制御する制御手段と、液滴の吐出回数に基準液量を乗ずることにより液体消費量を算出する液体消費量算出手段とを有する液体噴射装置であって、
液体噴射ヘッド内の温度を検出する温度検出手段と、
前記液体消費量算出手段による液体消費量に基づいて、液体貯留部材内の液体が計算上無くなった状態の仮エンドを検出する仮エンド検出手段と、
前記温度検出手段によって検出される温度の上昇率に基づいて、液体貯留部材内の液体が実質的に無くなった状態の本エンドを検出する本エンド検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記仮エンド検出手段によって仮エンドが検出された場合、前記本エンド検出手段によって本エンドが検出されるまで、液体貯留部材内に残っている液体をノズル開口から吐出する検査吐出を行い、
前記液体消費量算出手段は、上記検査吐出における液体消費量を、仮エンド時点における液体貯留部材内の液体残量として算出し、当該液体残量と、液体貯留部材の満杯状態から本エンドまでの合計消費量との比に基づいて、前記基準液量を補正することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記本エンド検出手段は、前記温度検出手段により検出される温度の上昇率が急激に変化する温度上昇変化点に基づいて本エンドを検出することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
液体貯留部材に貯留されている液体を圧力室に導入し、圧力発生源を駆動させることにより圧力室内に圧力変動を生じさせてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドを有し、液滴の吐出回数に基準液量を乗ずることにより液体消費量を算出する液体噴射装置の制御方法であって、
上記液体消費量に基づいて、液体貯留部材内の液体が計算上無くなった状態の仮エンドを検出する仮エンド検出工程と、
前記仮エンド検出工程において仮エンドが検出された場合、液体貯留部材内の液体が実質的に無くなった状態の本エンドが検出されるまで、液体貯留部材内に残っている液体をノズル開口から吐出する検査吐出工程と、
液体噴射ヘッド内の温度の上昇率に基づいて本エンドを検出する本エンド検出工程と、
前記検査吐出工程における液体消費量を、仮エンド時点における液体貯留部材内の液体残量として算出する液体残量算出工程と、
液体残量算出工程において算出された液体残量と、液体貯留部材の満杯状態から本エンドまでの合計消費量との比に基づいて、前記基準液量を補正する基準液量補正工程と、
を含む基準液量補正処理を行うことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
【請求項4】
前記本エンド検出工程では、液体噴射ヘッド内の温度の上昇率が急激に変化する温度上昇変化点に基づいて本エンドを検出することを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置の制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式プリンタ等の液体噴射装置、及び、その制御方法に関するものであり、特に、駆動信号を供給して圧力発生素子を作動させることにより、液体貯留部材に貯留された液体を液滴として吐出する液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置、及び、その制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は液体を液滴として吐出可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、吐出対象物としての記録紙等に対して液体状のインクを吐出・着弾させて記録を行うインクジェット式プリンタ等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレー、プラズマディスプレー、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、或いはFED(面発光ディスプレー)等のディスプレー製造装置においては、色材や電極等の液体状の各種材料を、画素形成領域や電極形成領域等に対して吐出するためのものとして、液体噴射装置が用いられている。
【0003】
この種の液体噴射装置は、液体を貯留した液体貯留部材を着脱可能に搭載し、この液体貯留部材内の液体を液滴として液体噴射ヘッドから吐出するように構成されているのが一般的である。そして、液体貯留部材内の液体が少なくなった場合には、使用者が液体貯留部材の交換のタイミングを把握することができるように、液体貯留部材内の液体の残量を使用者に報知する構成を採ることが望ましい。
【0004】
そのため、例えば、液体噴射ヘッドによる液滴の吐出回数を計数し、この計数値に1滴あたりの液量(設計上の液量)を乗ずることにより液体消費量を算出し、この液体消費量に基づいて液体貯留部材内の液体の残量を使用者に報知するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、液体貯留部材内の液体の残量を検出するセンサ等を別途設ける必要がなく、簡単な構成で液体の残量を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】特開平5−88552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、液体噴射装置によっては、計算上の液体の消費量と、実際の液体の消費量との間に誤差が生じる場合がある。これは、液体噴射装置に搭載される制御基板の個体差等の種々の要因によって、実際に吐出される液滴の液量が設計上の液量(以下、基準液量という)と必ずしも一致しないことに起因すると考えられる。このような誤差が生じると、使用者に対して不正確な液体残量を報知することとなり、これにより使用者が認識する液体貯留部材の交換のタイミングが望ましい交換タイミングから逸脱してしまう。その結果、例えば、液体が残っているにも拘らず液体貯留部材が交換されてしまうことが考えられ、この場合、その分の液体が無駄となってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、計算上の液体の消費量と実際の液体の消費量との間の誤差を可及的に低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体噴射装置の制御方法は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体を貯留する液体貯留部材と、該液体貯留部材に貯留されている液体を圧力室に導入し、圧力発生源を駆動させることにより圧力室内に圧力変動を生じさせてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドと、当該液体噴射ヘッドによる吐出動作を制御する制御手段と、液滴の吐出回数に基準液量を乗ずることにより液体消費量を算出する液体消費量算出手段とを有する液体噴射装置であって、
液体噴射ヘッド内の温度を検出する温度検出手段と、
前記液体消費量算出手段による液体消費量に基づいて、液体貯留部材内の液体が計算上無くなった状態の仮エンドを検出する仮エンド検出手段と、
前記温度検出手段によって検出される温度の上昇率に基づいて、液体貯留部材内の液体が実質的に無くなった状態の本エンドを検出する本エンド検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記仮エンド検出手段によって仮エンドが検出された場合、前記本エンド検出手段によって本エンドが検出されるまで、液体貯留部材内に残っている液体をノズル開口から吐出する検査吐出を行い、
前記液体消費量算出手段は、上記検査吐出における液体消費量を、仮エンド時点における液体貯留部材内の液体残量として算出し、当該液体残量と、液体貯留部材の満杯状態から本エンドまでの合計消費量との比に基づいて、前記基準液量を補正することを特徴とする。
なお、「基準液量」とは、1滴あたりの設計上の液量を意味し、例えば、重量又は体積で表されるものである。
【0009】
上記構成によれば、液体消費量に基づいて仮エンドが検出された場合、液体噴射ヘッド内の温度上昇率に基づいて本エンドが検出されるまで、液体貯留部材内に残っている液体をノズル開口から吐出する検査吐出を行い、検査吐出における液体消費量を、仮エンドと判定された時点における液体貯留部材内の液体残量として算出し、当該液体残量と、液体貯留部材の満杯状態から本エンドまでの合計消費量との比に基づいて基準液量を補正するので、補正後においては、より誤差の少ない基準液量を用いて液体消費量を算出することができる。その結果、計算上の液体消費量と実際の液体消費量との間の誤差を可及的に低減することができ、以て、より正確な液体残量を使用者に対して報知することが可能となる。
【0010】
そして、前記本エンド検出手段は、前記温度検出手段により検出される温度の上昇率が急激に変化する温度上昇変化点に基づいて本エンドを検出することが望ましい。
【0011】
この構成によれば、液体貯留部材内が空の状態で液体噴射ヘッドによる吐出動作を行うと、液体貯留部材内に液体が残っている状態と比較して単位時間あたりのヘッド内の温度変化が急峻となるので、この温度上昇変化点を捉えることで本エンドを精度良く検出することができる。
【0012】
また、本発明の液体噴射装置の制御方法は、液体貯留部材に貯留されている液体を圧力室に導入し、圧力発生源を駆動させることにより圧力室内に圧力変動を生じさせてノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドを有し、液滴の吐出回数に基準液量を乗ずることにより液体消費量を算出する液体噴射装置の制御方法であって、
上記液体消費量に基づいて、液体貯留部材内の液体が計算上無くなった状態の仮エンドを検出する仮エンド検出工程と、
前記仮エンド検出工程において仮エンドが検出された場合、液体貯留部材内の液体が実質的に無くなった状態の本エンドが検出されるまで、液体貯留部材内に残っている液体をノズル開口から吐出する検査吐出工程と、
液体噴射ヘッド内の温度の上昇率に基づいて本エンドを検出する本エンド検出工程と、
前記検査吐出工程における液体消費量を、仮エンド時点における液体貯留部材内の液体残量として算出する液体残量算出工程と、
液体残量算出工程において算出された液体残量と、液体貯留部材の満杯状態から本エンドまでの合計消費量との比に基づいて、前記基準液量を補正する基準液量補正工程と、
を含む基準液量補正処理を行うことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、液体消費量に基づいて仮エンドが検出された場合、液体噴射ヘッド内の温度上昇率に基づいて本エンドが検出されるまで、液体貯留部材内に残っている液体をノズル開口から吐出する検査吐出を行い、検査吐出における液体消費量を、仮エンド時点における液体貯留部材内の液体残量として算出し、当該液体残量と、液体貯留部材の満杯状態から本エンドまでの合計消費量との比に基づいて基準液量を補正するので、補正後においては、より誤差の少ない基準液量を用いて液体消費量を算出することができる。その結果、計算上の液体消費量と実際の液体消費量との間の誤差を可及的に低減することができ、以て、より正確な液体残量を使用者に対して報知することが可能となる。
【0014】
そして、前記本エンド検出工程では、液体噴射ヘッド内の温度の上昇率が急激に変化する温度上昇変化点に基づいて本エンドを検出することが望ましい。
【0015】
この構成によれば、液体貯留部材内が空の状態で液体噴射ヘッドによる吐出動作を行うと、液体貯留部材内に液体が残っている状態と比較して単位時間あたりのヘッド内の温度変化が急峻となるので、この温度上昇変化点を捉えることで本エンドを精度良く検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(インクジェット式プリンタ)を例に挙げて説明する。
【0017】
プリンタ1は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド2が取り付けられると共に、インクカートリッジ3(本発明における液体貯留部材の一種)が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4と、記録ヘッド2の下方に配設されたプラテン5と、記録ヘッド2(キャリッジ4)を記録紙6(吐出対象物の一種)の紙幅方向に移動させるキャリッジ移動機構7と、ヘッド移動方向に直交する方向である紙送り方向に記録紙6を搬送する紙送り機構8等を備えて概略構成されている。ここで、紙幅方向とは、主走査方向であり、紙送り方向とは、副走査方向である。なお、インクカートリッジ3としては、キャリッジ4に装着するタイプでも、或いはプリンタ1の筐体側に装着してインク供給チューブを介して記録ヘッド2に供給するタイプでもよい。
【0018】
キャリッジ4は、主走査方向に架設されたガイドロッド9に軸支された状態で取り付けられており、キャリッジ移動機構7の作動により、ガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するように構成されている。キャリッジ4の主走査方向の位置は、リニアエンコーダ10によって検出され、検出信号が位置情報としてプリンタコントローラの制御部41(図4参照)に送信される。これにより、制御部41はこのリニアエンコーダ10からの位置情報に基づいてキャリッジ4(記録ヘッド2)の走査位置を認識しながら、記録ヘッド2による記録動作(吐出動作)等を制御することができる。
【0019】
また、記録ヘッド2の移動範囲内であってプラテン5よりも外側には、記録ヘッド2の走査起点となるホームポジションが設定してある。このホームポジションには、キャッピング機構11が設けられている。このキャッピング機構11は、キャップ部材11´によって記録ヘッド2のノズル面を封止し、ノズル開口28(図2参照)からのインク溶媒の蒸発を防止する。そして、このキャッピング機構11は、封止状態のノズル面に負圧を与えてノズル開口28からインクを強制的に吸引排出するクリーニング動作に用いられる。また、このキャッピング機構11は、インク滴を空吐出するフラッシング動作時や、後述する検査吐出にも用いられる。具体的には、フラッシング動作や検査吐出時において、キャップ部材11´がノズル開口28から吐出されたインク滴を受ける容器として用いられる。
【0020】
図2は、上記記録ヘッド2の構成を説明する部分断面図である。この記録ヘッド2は、ケース12と、このケース12内に収納される振動子ユニット13と、ケース12の底面(先端面)に接合される流路ユニット14等を備えている。上記のケース12は、例えば、エポキシ系樹脂により作製され、その内部には振動子ユニット13を収納するための収納空部15が形成されている。振動子ユニット13は、図3に示すように、圧力発生源の一種として機能する圧電振動子16と、この圧電振動子16が接合される固定板17と、圧電振動子16に駆動信号等を供給するためのフレキシブルケーブル18とを備えている。
【0021】
圧電振動子16は、圧電体層と電極層とを交互に積層した圧電板を櫛歯状に切り分けることで作製された積層型であって、積層方向に直交する方向に伸縮可能な縦振動モードの圧電振動子である。フレキシブルケーブル18は、TCP(テープキャリアパッケージ)等のフィルム状の配線部材から構成されている。このフレキシブルケーブル18は、固定板17と対向する領域に、圧電振動子16に対して駆動信号を選択的に供給するための駆動IC19を実装している。そして、この駆動IC19には、ヘッド内の温度を検出するための温度検出回路20(図4参照)が内蔵されている。この温度検出回路20は、本発明における温度検出手段として機能し、記録ヘッド2内部の温度、具体的には、吐出動作時の圧電振動子16から発生する熱や、駆動IC19自体からの発熱によって変化する記録ヘッド内の温度を検出し、検出した温度に比例した大きさの信号を制御部41に出力する。
【0022】
流路ユニット14は、流路形成基板21の一方の面にノズルプレート22を、流路形成基板21の他方の面に振動板23をそれぞれ接合して構成されている。この流路ユニット14には、リザーバ24と、インク供給口25と、圧力室26と、ノズル連通口27と、ノズル開口28とが設けられている。そして、リザーバ24からインク供給口25、圧力室26及びノズル連通口27を経てノズル開口28に至る一連のインク流路が、ノズル開口28毎に対応して形成されている。
【0023】
上記ノズルプレート22は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル開口28を列状に穿設した金属製の薄いプレートである。本実施形態では、このノズルプレート22をステンレス製の板材によって構成し、ノズル開口28の列(ノズル列)を複数設けている。そして、1つのノズル列は、例えば180個のノズル開口28によって構成される。そして、本実施形態における記録ヘッド2は、夫々異なる色のインク(本発明における液体の一種)、具体的には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の合計4色のインクを貯留する4つのインクカートリッジ3を装着可能に構成されており、これらの色に対応させて合計4列のノズル列がノズルプレート22に形成されている。なお、本実施形態においては、色毎に別個独立したインクカートリッジ3を用いた例を示しているが、これには限らない。例えば、内部に複数のインク貯留室(本発明における液体貯留部の一種)が区画形成され、各インク貯留室にそれぞれ異なる色のインクを貯留可能なインクカートリッジを用いることもできる。
【0024】
上記振動板23は、支持板29の表面に弾性体膜30を積層した二重構造である。本実施形態では、金属板の一種であるステンレス板を支持板29とし、この支持板29の表面に樹脂フィルムを弾性体膜30としてラミネートした複合板材を用いて振動板23を作製している。この振動板23には、圧力室26の容積を変化させるダイヤフラム部31が設けられている。また、この振動板23には、リザーバ24の一部を封止するコンプライアンス部32が設けられている。
【0025】
上記のダイヤフラム部31は、エッチング加工等によって支持板29を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム部31は、圧電振動子16の先端面が接合される島部33と、この島部33を囲う薄肉弾性部34とからなる。上記のコンプライアンス部32は、リザーバ24の開口面に対向する領域の支持板29を、ダイヤフラム部31と同様にエッチング加工等によって除去することにより作製され、リザーバ24に貯留された液体の圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
【0026】
そして、上記の島部33には圧電振動子16の先端面が接合されているので、この圧電振動子16の自由端部を伸縮させることで圧力室26の容積を変動させることができる。この容積変動に伴って圧力室26内のインクに圧力変動が生じる。そして、記録ヘッド2は、この圧力変動を利用してノズル開口28からインク滴を吐出させるようになっている。
【0027】
図4は、プリンタ1の電気的な構成を示すブロック図である。このプリンタ1は、プリンタコントローラ35とプリントエンジン36とで概略構成されている。プリンタコントローラ35は、ホストコンピュータ等の外部装置からの印刷データ等が入力される外部インタフェース(外部I/F)37と、各種データ等を記憶するRAM38と、各種制御のための制御プログラム等を記憶したROM39と、EEPROMやフラッシュROM等からなる不揮発性記憶素子40と、ROM39に記憶されている制御プログラムに従って各部の統括的な制御を行う制御部41(本発明における制御手段に相当)と、クロック信号を発生する発振回路42と、記録ヘッド2へ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路43(駆動信号発生手段の一種)と、印刷データをドット毎に展開することで得られた吐出データや駆動信号等を記録ヘッド2に出力するための内部インタフェース(内部I/F)44とを備えている。
【0028】
プリントエンジン36は、記録ヘッド2と、キャリッジ移動機構7と、紙送り機構8と、リニアエンコーダ10とから構成されている。記録ヘッド2は、吐出データがセットされるシフトレジスタ46と、シフトレジスタ46にセットされた吐出データをラッチするラッチ回路47と、ラッチ回路47からの吐出データを翻訳してパルス選択データを生成するデコーダ48と、電圧増幅器として機能するレベルシフタ49と、圧電振動子16に対する駆動信号の供給を制御するスイッチ回路50と、圧電振動子16とを備えている。また、記録ヘッド2には、上述したように、ヘッド内の温度を検出する温度検出回路20が設けられている。
【0029】
上記制御部41は、外部装置から送信された印刷データをドットパターンに対応した吐出データに展開して記録ヘッド2に送信する。この場合において、制御部41は、受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードデータに変換し、この中間コードデータを中間バッファに記憶する。そして、制御部41は、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM39内のフォントデータやグラフィック関数等を参照して中間コードデータをドット毎の吐出データ(ドットパターンデータ)に展開する。この展開された吐出データは出力バッファに一旦記憶され、一回の主走査に相当する1行分の吐出データが得られると、この1行分の吐出データは内部I/F44を通じて記録ヘッド2にシリアル伝送される。出力バッファから1行分の吐出データが送信されると、中間バッファの内容が消去されて次の中間コードデータに対する変換が行われる。そして、記録ヘッド2では、受信した吐出データに基づき、インク滴の吐出が行われる。
【0030】
また、制御部41は、本発明における液体消費量算出手段(吐出カウンタ)の一種としても機能し、記録ヘッド2によるインク滴の吐出に応じて、各インクカートリッジ3におけるインク消費量(本発明における液体消費量)を算出する。具体的には、制御部41は、インクカートリッジ3毎に吐出回数をカウントし、そのカウント値に、吐出したインク滴のサイズ(ドットサイズ)に応じた基準液量を乗ずることにより、インク消費量を算出するようになっている。このときの基準液量は、記録モード毎、ドットサイズ毎に個別に設定され、不揮発性記憶素子40にそれぞれ記憶されている。例えば、高解像度モードにおける小ドットのインク滴の基準液量は、2ngに設定されている。したがって、当該ドットの吐出カウント値が1000である場合には、この吐出カウント値に基準液量である2ngを乗ずることで、インク消費量として2000ngが得られる。また、増粘したインクや固化したインク等の不要インクを排出するべくインク滴を強制的に吐出させるフラッシング動作についても基準液量が定められている。
【0031】
制御部41は、上記のようにして算出したインク消費量を、各インクカートリッジ3に対応付けて不揮発性記憶素子40に記憶する。そして、制御部41は、このインク消費量に基づきインクカートリッジ3内のインク残量を算出し、算出したインク残量を、例えば、プリンタ1の筐体表面に設けられた液晶表示部に数値や模式的なグラフィック等として表示させる。制御部41により算出されたインク残量の情報は、外部I/F37を介してホストコンピュータ等の外部装置にも出力される。外部装置では、印刷用ドライバソフトの起動時等に、プリンタ1側からのインク残量情報に基づいて各インクカートリッジ3内のインク残量の表示が行われる。また、制御部41は、インクカートリッジ3内のインクが計算上無くなった(インクエンドとなった)と判定した場合、別途、警告表示等を行う。
【0032】
ところで、吐出カウント値に基づいて算出される計算上のインク消費量と、実際のインク消費量との間には、誤差が生じる場合がある。これは、構成部品や制御基板の個体差等の種々の要因によって、実際に吐出されるインク滴の液量が、設計上の液量である基準液量と必ずしも一致しないことに起因する。この種のプリンタでは、このような誤差を考慮し、基準液量を実際の液量よりも若干多く設定してマージンを採るのが一般的である。このため、計算上でインクエンドと判定された時点では、実際にはインクカートリッジ3内に多少インクが残っている場合が多い。このようにインクが残っているにも拘らずインクカートリッジ3が交換されると、その分のインクが無駄となってしまうという問題があった。
【0033】
このような点に鑑み、本発明を適用したプリンタ1では、プリンタ1に最初に取り付けられたインクカートリッジ3について、計算上インクエンド(以下、仮エンドという)と判断された場合、インクカートリッジ3内に残っているインクが実質的に無くなるまでインク滴を吐出する検査吐出を行い、その結果に基づいて基準液量を補正し、これにより、計算上の液体の消費量と実際の液体の消費量との間の誤差を可及的に低減するようになっている。以下、この点について図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0034】
図5は、本実施形態における基準液量補正処理を説明するフローチャートである。まず、本発明における制御手段として機能する制御部41は、ホストコンピュータ等の外部装置からの印刷命令に応じて、記録ヘッド2による記録動作を開始する(ステップS1)。具体的には、外部装置からの印刷データを吐出データ(ドットパターンデータ)に展開して記録ヘッド2に送信すると共に、吐出データの階調情報に応じて大、中、小の各ドットの大きさに対応した駆動パルスの圧電振動子16への供給を制御する。これにより、記録ヘッド2からは階調情報に応じた液量のインク滴が吐出される。
【0035】
上記記録動作において、制御部41は、インクカートリッジ3毎にインク滴の吐出回数をカウントし、それぞれの吐出カウント値を、不揮発性記憶素子40の吐出カウント値記憶領域に記憶する(ステップS2)。この際、吐出されるインク滴のインク重量は、記録モードや記録するドットの大きさによって異なるので、制御部41は、吐出回数のカウントを、記録モード毎、ドット毎に行う。具体的には、圧電振動子25に供給される各ドットの駆動パルスを個別にカウントする。
【0036】
次に、制御部41は、ステップS3のインク消費量算出工程において、液体消費量算出手段として機能し、上記の吐出カウント値に基づいて各インクカートリッジ3のインク消費量を算出する。即ち、吐出カウント値に基準液量を乗算する処理を、記録モード毎、ドット毎に行うことにより、それぞれ個別にインク消費量を算出し、各インク消費量を合計することにより、対応するインクカートリッジ3のインク消費量とする。そして、算出したインク消費量を、インクカートリッジ3毎に対応させて不揮発性記憶素子40に記憶させる。
【0037】
続いて、ステップS4において、制御部41は、インク消費量算出工程で算出したインク消費量に基づき、インクカートリッジ3内のインクが計算上無くなった仮エンドか否かを判定する仮エンド検出工程を行う。具体的には、計算上のインク消費量が、満量時におけるインクカートリッジ3内のインク量に達したか否かを判定する。そして、何れのインクカートリッジ3についても、仮エンドとなっていないと判定した場合、ステップS2に戻り、以降の処理を繰り返す。一方、上記ステップS4において、何れかのインクカートリッジ3が仮エンドとなった、即ち、インクカートリッジ3内のインクが計算上無くなったと判定された場合、ステップS5の検査吐出工程に移る。
【0038】
ステップS5の検査吐出工程では、記録ヘッド2をキャッピング機構11の上方に移動させて、仮エンドと判定されたインクカートリッジ3に対応するノズル列の全ノズル開口28から、当該カートリッジ内に残っているインクをキャップ部材11′に向けて吐出させる。この際、制御部41は、この検査吐出における吐出回数を、仮エンドまでのカウント値とは別個にカウントする。続いて、ステップS6において、制御部41は、本発明における本エンド検出手段として機能し、インクカートリッジ3内に残っていたインクが実質的に無くなった(本エンド)か否かを判定する本エンド検出工程を行う(ステップS6)。この本エンド検出工程において、制御部41は、温度検出回路20からの温度検出信号に基づいて、単位時間当りの温度上昇率を算出し、この温度上昇率が急激に変化する前後の境界点(温度上昇変化点)を検出することによって本エンドと判定する。
【0039】
図6は、記録ヘッド1内の温度と、吐出動作時間(駆動時間)との関係を示す図である。同図において、時刻Te以前はインクカートリッジ3にインクが残っている状態での吐出動作時の温度変化を示し、時刻Te以降はインクカートリッジ3が空になった状態での吐出動作時の温度変化を示している。同図に示すように、時刻Teを境としてヘッド内の温度上昇率が異なっていることが判る。具体的には、時刻Te以降では、時刻Te以前よりも温度上昇の傾きが急峻になっている。これは、記録ヘッド1の内部(記録ヘッド1のインク流路内)にインクが満たされている状態では、インクによる冷却効果によって温度上昇が抑えられるのに対し、ヘッド内部にインクが無い状態では、インクによる冷却効果が無くなるので温度上昇がより大きくなるためである。したがって、記録ヘッド内部の温度上昇変化点Dを検出することによって、インクカートリッジ3が空になった本エンドと判定することができる。
【0040】
このようにして、ステップS6において本エンドと判定されるまで、つまり、インクカートリッジ3が空になるまで、ステップS5の検査吐出工程が行われる。そして、ステップS6において、本エンドとなった、即ち、インクカートリッジ3が空になったと判定された場合、ステップS7に進み、インク残量算出工程(液体残量算出工程に相当)が行われる。このインク残量算出工程において、液体消費量算出手段としての制御部41は、検査吐出における吐出カウント値と基準液量とに基づき、検査吐出時のインク消費量を算出する。即ち、ここで算出されたインク消費量は、仮エンド時点においてインクカートリッジ3に残っていたインクの残量(液体残量)である。仮エンド時点のインク残量(検査吐出工程におけるインク消費量)を算出したならば、次に、ステップS8において、基準液量補正工程が行われる。この基準液量補正工程において、制御部41は、算出したインク残量Mrと、満杯状態から本エンドまでの合計消費量Ms(=満杯から仮エンドまでの計算上のインク消費量Ma+インク残量Mr)との比に基づいて、上記基準液量を補正する。具体的には、以下の式(1)によって算出される補正値Cv(%)を、各モードの各ドットの基準液量から一律削減して補正する。
Cv=(Mr/Ms)×100 …(1)
【0041】
例えば、10gのインクを貯留するインクカートリッジ3について、満杯から仮エンドまでの計算上のインク消費量Maが10g、仮エンドから本エンドまでのインク消費量(即ち、インク残量)Mrが1gであったとすると、計算上では、合計消費量Msが11gとなる。したがって、この場合、補正値Cvは、式(1)に基づき、(1/11)×100≒9(%)と求められ、制御部41は、基準液量から一律9%を削減する。即ち、基準液量が2(ng)の場合、1.82(ng)に補正されることになる。補正後の基準液量は、不揮発性記憶素子40の対応する領域に上書きされる。
【0042】
このようにして、基準液量補正処理が終了したならば、制御部41は、インクエンドとなった旨を警告する処理を行い、インクエンドとなったインクカートリッジ3の交換をユーザに対して促す。そして、以降のインク消費量の算出時には、補正後の基準液量が使用される。なお、本実施形態においては、プリンタ1に最初に取り付けられたインクカートリッジ3について仮エンドが検出された場合のみ、基準液量補正処理を行う例を示したが、これに限らず、例えば、前回の補正時から規定時間が経過した場合や、規定回数の吐出を行った時点、或いは、規定枚数の記録紙の印刷を行った時点で基準液量補正処理を行うようにすることも可能である。
【0043】
以上のように、インクカートリッジ3について仮エンドが検出された場合、本エンドが検出されるまでインクカートリッジ3に残っているインクをノズル開口から吐出する検査吐出を行い、この検査吐出におけるインク消費量、即ち、仮エンド時点のインク残量Mrを求め、算出したインク残量Mrと、満杯状態から本エンドまでの合計消費量Msとの比に基づいて基準液量を補正するので、補正後においては、より誤差の少ない基準液量を用いてインク消費量を算出することができる。その結果、計算上のインク消費量と実際のインク消費量との間の誤差を可及的に低減することができる。これにより、使用者に対してより正確なインク残量を報知することが可能となる。このため、使用者が認識するインクカートリッジの交換のタイミングを、望ましい交換タイミングに揃えることができる。その結果、インクカートリッジ内のインクを無駄なく使用することができる。
【0044】
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0045】
上記実施形態では、圧力発生源として所謂縦振動モードの圧電振動子16を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図7に示す振動子ユニット54のように、所謂撓み振動モードの圧電振動子55を用いることもできる。この変形例における圧電振動子55は、フレキシブルケーブル56から駆動信号が供給されると、電場と直交する方向に収縮して振動板58を変形させ、これにより圧力室の容積を変動するように構成されている。この変形例におけるフレキシブルケーブル56は、上記フレキシブルケーブル18と同様、圧電振動子55に対して駆動信号を選択的に供給するための駆動IC57を実装しており、この駆動IC57には、記録ヘッド内の温度を検出するための温度検出回路が内蔵されている。したがって、この変形例においても、駆動IC57に実装された温度検出回路によって、吐出動作時の圧電振動子55から発生する熱や駆動IC57自体からの発熱による記録ヘッド内の温度変化を検出することが可能である。また、圧力発生源としては、圧電振動子に限らず、発熱素子等の他の圧力発生源を用いることもできる。
【0046】
また、本発明は、液体貯留部材を使用するものであれば、上記プリンタ以外の液体噴射装置にも適用できる。例えば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】プリンタの構成を説明する斜視図である。
【図2】記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。
【図3】振動子ユニットの構成を説明する斜視図である。
【図4】プリンタの電気的な構成を説明するブロック図である。
【図5】基準液量補正処理を説明するフローチャートである。
【図6】記録ヘッド内の温度と吐出動作時間との関係を示す図である。
【図7】振動子ユニットの変形例を説明する分解斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 プリンタ,2 記録ヘッド,3 インクカートリッジ,4 キャリッジ,12 ケース,13 振動子ユニット,14 流路ユニット,15 収納空部,16 圧電振動子,17 固定板,18 フレキシブルケーブル,19 駆動IC,20 温度検出回路,21 流路形成基板,22 ノズルプレート,23 振動板,24 リザーバ,25 インク供給口,26 圧力室,28 ノズル開口,35 プリンタコントローラ,36 プリントエンジン,37 外部インタフェース,38 RAM,39 ROM,40 不揮発性記憶素子,41 制御部,42 発振回路,43 駆動信号発生回路,44 内部インタフェース,46 シフトレジスタ,47 ラッチ回路,48 デコーダ,49 レベルシフタ,50 スイッチ回路,54 振動子ユニット,55 圧電振動子,56 フレキシブルケーブル,57 駆動IC,58 振動板




 

 


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