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発明の名称 印刷装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21933(P2007−21933A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−208390(P2005−208390)
出願日 平成17年7月19日(2005.7.19)
代理人 【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
発明者 片山 敏彦
要約 課題
制御回路の負荷を軽減する。

解決手段
本件の印刷装置は、(A)回転することにより、印刷すべき媒体を搬送する搬送ローラと、(B)前記搬送ローラが回転すると、前記搬送ローラの回転量に応じた信号を出力するロータリーエンコーダと、(C)前記搬送ローラが基準位置にあるときに、信号を出力する原点センサと、(D)前記原点センサと接続され、前記ロータリーエンコーダの出力と、前記原点センサの出力とに基づいて、前記基準位置に対する前記搬送ローラの回転位置を計測する計測回路と、(E)前記計測回路と接続され、前記計測回路から前記回転位置に関する回転位置情報を取得し、前記回転位置情報に基づいて前記搬送ローラの回転を制御する制御回路と、を有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
回転することにより、印刷すべき媒体を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラが回転すると、前記搬送ローラの回転量に応じた信号を出力するロータリーエンコーダと、
前記搬送ローラが基準位置にあるときに、信号を出力する原点センサと、
前記原点センサと接続され、前記ロータリーエンコーダの出力と、前記原点センサの出力とに基づいて、前記基準位置に対する前記搬送ローラの回転位置を計測する計測回路と、
前記計測回路と接続され、前記計測回路から前記回転位置に関する回転位置情報を取得し、前記回転位置情報に基づいて前記搬送ローラの回転を制御する制御回路と
を有する印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記計測回路は、
ロータリーエンコーダの出力に基づいて、カウントを行うものであり、
前記原点センサの出力に応じて、カウント値をリセットする
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記計測回路のカウント値は、所定の範囲内になるように設定されており、
前記カウント値がリセットされた後に前記カウント値をデクリメントする場合、前記カウント値を前記所定の範囲の最大値にする
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の印刷装置であって、
前記計測回路のカウント値は、所定の範囲内に設定されており、
前記カウント値がリセットされる前に前記カウント値が前記所定の範囲の最小値に達したとき、前記ロータリーエンコーダの出力があっても前記カウント値をデクリメントしない
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記計測回路のカウント値は、所定の範囲内に設定されており、
前記カウント値がリセットされる前に前記カウント値が前記所定の範囲の最大値に達したとき、前記ロータリーエンコーダの出力があっても前記カウント値をインクリメントしない
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記計測回路とは別に設けられ、前記ロータリーエンコーダの出力に基づいて、前記搬送ローラの回転量を計測する回路を更に有する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷装置であって、
前記搬送ローラの回転に対する前記計測回路の出力の分解能は、前記搬送ローラの回転量を計測する回路の出力の分解能よりも低い
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記制御回路は、前記回転位置情報に応じた補正値を決定し、決定された補正値に基づいて前記搬送ローラの回転を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記搬送ローラを1回転以上させて前記媒体を搬送する場合、
前記制御回路は、前記搬送ローラの整数回転分に対応する第1補正値と、前記搬送ローラの1回転未満の回転量と前記回転位置情報とに応じた第2補正値との和に基づいて、前記搬送ローラの回転を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
回転することにより、印刷すべき媒体を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラが回転すると、前記搬送ローラの回転量に応じた信号を出力するロータリーエンコーダと、
前記搬送ローラが基準位置にあるときに、信号を出力する原点センサと、
前記原点センサと接続され、前記ロータリーエンコーダの出力と、前記原点センサの出力とに基づいて、前記基準位置に対する前記搬送ローラの回転位置を計測する計測回路と、
前記計測回路と接続され、前記計測回路から前記回転位置に関する回転位置情報を取得し、前記回転位置情報に基づいて前記搬送ローラの回転を制御する制御回路と
を有し、
前記計測回路は、ロータリーエンコーダの出力に基づいてカウントを行うものであり、前記原点センサの出力に応じてカウント値をリセットし、
前記計測回路のカウント値は、所定の範囲内になるように設定されており、
前記カウント値がリセットされた後に前記カウント値をデクリメントする場合、前記カウント値を前記所定の範囲の最大値にし、
前記カウント値がリセットされる前に前記カウント値が前記所定の範囲の最小値に達したとき、前記ロータリーエンコーダの出力があっても前記カウント値をデクリメントせず、
前記カウント値がリセットされる前に前記カウント値が前記所定の範囲の最大値に達したとき、前記ロータリーエンコーダの出力があっても前記カウント値をインクリメントせず、
前記計測回路とは別に設けられ、前記ロータリーエンコーダの出力に基づいて、前記搬送ローラの回転量を計測する回路を更に有し、
前記搬送ローラの回転に対する前記計測回路の出力の分解能は、前記搬送ローラの回転量を計測する回路の出力の分解能よりも低く、
前記制御回路は、前記回転位置情報に応じた補正値を決定し、決定された補正値に基づいて前記搬送ローラの回転を制御し、
前記搬送ローラを1回転以上させて前記媒体を搬送する場合、前記制御回路は、前記搬送ローラの整数回転分に対応する第1補正値と、前記搬送ローラの1回転未満の回転量と前記回転位置情報とに応じた第2補正値との和に基づいて、前記搬送ローラの回転を制御する
ことを特徴とする印刷装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ローラを回転させて媒体を搬送する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタなどの印刷装置では、移動するヘッドからインクを吐出させて媒体(紙、布、OHP用紙など)にドットを形成するドット形成処理と、媒体を搬送方向に搬送する搬送処理とを交互に繰り返して、媒体に印刷画像を印刷する。このような印刷装置には、搬送処理を行うための搬送ローラが設けられている。そして、搬送ローラが所定の回転量で回転すると、媒体が所定の搬送量で搬送される。
但し、搬送処理の際に、目標となる搬送量(目標搬送量)に応じた回転量で搬送ローラが回転されても、目標通りの搬送量で媒体が搬送されないことがある。そこで、このような搬送誤差を軽減するため、目標搬送量を補正することが行われている。
【0003】
更に、搬送処理時に用いられる搬送ローラの周面の場所に応じて搬送誤差が異なるため、用いられる周面に応じて補正値を変えることも行われている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−237154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送処理時に用いられる搬送ローラの周面の場所に応じて補正値を変えるためには、搬送ローラの回転位置を検出する必要がある。但し、ロータリーエンコーダでは、搬送ローラの相対的な回転量は検出できても、搬送ローラの回転位置までは検出できない。このため、ロータリーエンコーダとは別に、原点センサを設ける必要がある。
但し、印刷装置内の制御を司るCPU等の制御回路が原点センサの出力を検出するように構成すると、制御回路の負荷が大きくなり、印刷装置内のその他の処理速度が低下する。
そこで、本発明は、制御回路の負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、回転することにより、印刷すべき媒体を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラが回転すると、前記搬送ローラの回転量に応じた信号を出力するロータリーエンコーダと、前記搬送ローラが基準位置にあるときに、信号を出力する原点センサと、前記原点センサと接続され、前記ロータリーエンコーダの出力と、前記原点センサの出力とに基づいて、前記基準位置に対する前記搬送ローラの回転位置を計測する計測回路と、前記計測回路と接続され、前記計測回路から前記回転位置に関する回転位置情報を取得し、前記回転位置情報に基づいて前記搬送ローラの回転を制御する制御回路と、を有する印刷装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0008】
回転することにより、印刷すべき媒体を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラが回転すると、前記搬送ローラの回転量に応じた信号を出力するロータリーエンコーダと、
前記搬送ローラが基準位置にあるときに、信号を出力する原点センサと、
前記原点センサと接続され、前記ロータリーエンコーダの出力と、前記原点センサの出力とに基づいて、前記基準位置に対する前記搬送ローラの回転位置を計測する計測回路と、
前記計測回路と接続され、前記計測回路から前記回転位置に関する回転位置情報を取得し、前記回転位置情報に基づいて前記搬送ローラの回転を制御する制御回路と
を有する印刷装置。
このような印刷装置によれば、制御回路の負荷を軽減させることができる。
【0009】
かかる印刷装置であって、前記計測回路は、ロータリーエンコーダの出力に基づいて、カウントを行うものであり、前記原点センサの出力に応じて、カウント値をリセットすることが望ましい。これにより、カウント値は、基準位置に対する搬送ローラの回転位置を示すことになる。
【0010】
かかる印刷装置であって、前記計測回路のカウント値は、所定の範囲内になるように設定されており、前記カウント値がリセットされた後に前記カウント値をデクリメントする場合、前記カウント値を前記所定の範囲の最大値にすることが望ましい。これにより、カウント値は、基準位置に対する搬送ローラの回転位置を示すことになる。
【0011】
かかる印刷装置であって、前記計測回路のカウント値は、所定の範囲内に設定されており、前記カウント値がリセットされる前に前記カウント値が前記所定の範囲の最小値に達したとき、前記ロータリーエンコーダの出力があっても前記カウント値をデクリメントしないことが望ましい。これにより、カウント値は、基準位置に対する搬送ローラの回転位置をほぼ示すことになる。
【0012】
かかる印刷装置であって、前記計測回路のカウント値は、所定の範囲内に設定されており、前記カウント値がリセットされる前に前記カウント値が前記所定の範囲の最大値に達したとき、前記ロータリーエンコーダの出力があっても前記カウント値をインクリメントしないことが望ましい。これにより、カウント値は、基準位置に対する搬送ローラの回転位置をほぼ示すことになる。
【0013】
かかる印刷装置であって、前記計測回路とは別に設けられ、前記ロータリーエンコーダの出力に基づいて、前記搬送ローラの回転量を計測する回路を更に有することが望ましい。前記計測回路は、回転途中でリセットされることがあるため、搬送ローラの回転量を計測するのに不向きだからである。
【0014】
かかる印刷装置であって、前記搬送ローラの回転に対する前記計測回路の出力の分解能は、前記搬送ローラの回転量を計測する回路の出力の分解能よりも低いことが望ましい。これにより、回転位置情報のデータ量を軽減できる。
【0015】
かかる印刷装置であって、前記制御回路は、前記回転位置情報に応じた補正値を決定し、決定された補正値に基づいて前記搬送ローラの回転を制御することが望ましい。これにより、搬送誤差を軽減することができ、実際の搬送量を目標搬送量に近づけることができる。
【0016】
かかる印刷装置であって、前記搬送ローラを1回転以上させて前記媒体を搬送する場合、前記制御回路は、前記搬送ローラの整数回転分に対応する第1補正値と、前記搬送ローラの1回転未満の回転量と前記回転位置情報とに応じた第2補正値との和に基づいて、前記搬送ローラの回転を制御することが望ましい。これにより、補正値に関するデータのデータ量を少なくすることができる。
【0017】
===印刷システムの構成===
次に、印刷システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態の記載には、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記録した記録媒体等に関する実施形態も含まれている。
【0018】
図1は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを備えている。プリンタ1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。
【0019】
コンピュータ110にはプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザインタフェースを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。このプリンタドライバは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、このプリンタドライバは、インターネットを介してコンピュータ110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
【0020】
なお、「印刷装置」とは、媒体に画像を印刷する装置を意味し、例えばプリンタ1が該当する。また、「印刷制御装置」とは、印刷装置を制御する装置を意味し、例えば、プリンタドライバをインストールしたコンピュータが該当する。また、「印刷システム」とは、少なくとも印刷装置及び印刷制御装置を含むシステムを意味する。
【0021】
===プリンタの構成===
<インクジェットプリンタの構成について>
図2は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図3Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図3Bは、プリンタ1の全体構成の横断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
【0022】
本実施形態のプリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0023】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタの外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0024】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモータ32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
【0025】
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0026】
検出器群50には、リニアエンコーダ51、ロータリーエンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニアエンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリーエンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙の有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0027】
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。例えば、CPU62は、目標搬送量をユニット制御回路64へ指令し、この指令に基づいてユニット制御回路64は搬送ユニット20の搬送モータ22を駆動する。
【0028】
印刷を行うとき、プリンタ1は、移動方向に沿って移動するヘッドからインクを断続的に吐出させ、紙上にドットを形成するドット形成処理と、紙を搬送方向に搬送する搬送処理と、を交互に繰り返す。この印刷時の動作については、後述する。
【0029】
===紙の搬送===
<搬送ユニットの構成について>
図4は、搬送ユニット20の構成の説明図である。まず、搬送ローラ23の左端側の構成について説明する。
【0030】
搬送ユニット20は、コントローラ60からの搬送指令に基づいて、所定の駆動量にて搬送モータ22を駆動させる。搬送モータ22は、指令された駆動量に応じて回転方向の駆動力を発生する。搬送モータ22は、この駆動力を用いて搬送ローラ23を回転させる。つまり、搬送モータ22が所定の駆動量を発生すると、搬送ローラ23は所定の回転量にて回転する。搬送ローラ23が所定の回転量にて回転すると、紙は所定の搬送量にて搬送される。
紙の搬送量は、搬送ローラ23の回転量に応じて定まる。本実施形態では、搬送ローラ23が1回転すると、紙が1インチ搬送されるものとする。このため、搬送ローラ23が1/4回転すると、紙は1/4インチ搬送されることになる。
したがって、搬送ローラ23の回転量が検出できれば、紙の搬送量も検出可能である。そこで、搬送ローラ23の回転量を検出するため、ロータリーエンコーダ52が設けられている。
【0031】
<ロータリーエンコーダの構成について>
図5は、ロータリーエンコーダの構成の説明図である。
【0032】
ロータリーエンコーダ52は、スケール521と検出部522とを有する。
【0033】
スケール521は、所定の間隔毎に設けられた多数のスリットを有する。このスケール521は、搬送ローラ23に設けられている。つまり、スケール521は、搬送ローラ23が回転すると、一緒に回転する。そして、搬送ローラ23が回転すると、スケール521の各スリットが検出部522を順次通過する。
【0034】
検出部522は、スケール521と対向して設けられており、プリンタ本体側に固定されている。検出部522は、発光ダイオード522Aと、コリメータレンズ522Bと、検出処理部522Cとを有しており、検出処理部522Cは、複数(例えば、4個)のフォトダイオード522Dと、信号処理回路522Eと、2個のコンパレータ522Fa、522Fbとを備えている。
発光ダイオード522Aは、両端の抵抗を介して電圧Vccが印加されると光を発し、この光はコリメータレンズに入射される。コリメータレンズ522Bは、発光ダイオード522Aから発せられた光を平行光とし、スケール521に平行光を照射する。スケールに設けられたスリットを通過した平行光は、固定スリット(不図示)を通過して、各フォトダイオード522Dに入射する。フォトダイオード522Dは、入射した光を電気信号に変換する。各フォトダイオードから出力される電気信号は、コンパレータ522Fa、522Fbにおいて比較され、比較結果がパルスとして出力される。そして、コンパレータ522Faから出力されるA相信号(パルスENC−A)、及びコンパレータ522Fbから出力される及びB相信号(パルスENC−B)が、ロータリーエンコーダ52の出力となる。
【0035】
<ロータリーエンコーダの信号について>
図6Aは、搬送モータ22が正転しているときの出力信号の波形のタイミングチャートである。図6Bは、搬送モータ22が反転しているときの出力信号の波形のタイミングチャートである。
【0036】
図に示された通り、搬送モータ22の正転時および反転時のいずれの場合であっても、A相信号とB相信号は、位相が90度ずれている。搬送モータ22が正転しているとき、すなわち、紙Sが搬送方向に搬送されているときは、A相信号は、B相信号よりも90度だけ位相が進んでいる。一方、搬送モータ22が反転しているとき、すなわち、紙Sが搬送方向とは逆方向に搬送されているときは、A相信号は、B相信号よりも90度だけ位相が遅れている。
【0037】
言い換えると、A相信号及びB相信号に基づいて、搬送ローラ23が正転しているのか、反転しているのかが判別可能である。
例えば、(1)A相信号がLレベルからHレベルに立ち上がった後にB相信号が立ち上がった場合、(2)B相信号が立ち上がった後にA相信号がHレベルからLレベルに立ち下がった場合、(3)A相信号が立ち下がった後にB相信号が立ち下がった場合、(4)B相信号が立ち下がった後にA相信号が立ち上がった場合、いずれの場合も搬送ローラ23が正転していることを示すものである。
また、例えば、(5)B相信号がLレベルからHレベルに立ち上がった後にA相信号が立ち上がった場合、(6)A相信号が立ち上がった後にB相信号がHレベルからLレベルに立ち下がった場合、(7)B相信号が立ち下がった後にA相信号が立ち下がった場合、(8)A相信号が立ち下がった後にB相信号が立ち上がった場合、いずれの場合も搬送ローラ23が反転していることを示すものである。
【0038】
そこで、上記の(1)〜(4)の現象を検出したとき、カウンタ(後述)のカウント値をインクリメントし、上記の(5)〜(8)の現象を検出したとき、カウンタのカウント値をデクリメントすれば、コントローラ60は、カウント値に基づいて、搬送ローラ23の回転量を検出することができる。そして、コントローラ60は、目標搬送量に対応するカウント値になるまで搬送モータ22を駆動し、所望のカウント値になったところで搬送処理を終えれば、目標搬送量にて紙が搬送されることになる。
【0039】
<搬送誤差について>
ところで、ロータリーエンコーダ52は、直接的には搬送ローラ23の回転量を検出するのであって、厳密にいえば、紙Sの搬送量を検出していない。このため、搬送ローラ23の回転量と紙Sの搬送量が一致しない場合、ロータリーエンコーダ52は紙Sの搬送量を正確に検出することができず、搬送誤差(検出誤差)が生じる。搬送誤差が生じる原因としては、例えば、以下の3つが考えられる。
【0040】
まず第1に、搬送ローラの形状による影響が考えられる。例えば、搬送ローラが楕円形状や卵型である場合、搬送ローラの周面の場所に応じて、回転中心までの距離が異なっている。そして、回転中心までの距離が長い部分で媒体を搬送する場合、搬送ローラの回転量に対する搬送量が多くなる。一方、回転中心までの距離が短い部分で媒体を搬送する場合、搬送ローラの回転量に対する搬送量が少なくなる。
【0041】
第2に、搬送ローラの回転軸の偏心が考えられる。この場合も、搬送ローラの周面の場所に応じて、回転中心までの長さが異なっている。このため、たとえ搬送ローラの回転量が同じであっても、搬送ローラの周面の場所に応じて、搬送量が異なることになる。
【0042】
第3に、搬送ローラの回転軸と、ロータリーエンコーダ52のスケール521の中心との不一致が考えられる。この場合、スケール521が偏心して回転することになる。この結果、検出部522が検出するスケール521の場所に応じて、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が異なることになる。例えば、検出されるスケール521の場所が搬送ローラ23の回転軸から離れている場合、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が少なくなるため、搬送量が少なくなる。一方、検出されるスケール521の場所が搬送ローラ23の回転軸から近い場合、検出されたパルス信号に対する搬送ローラ23の回転量が多くなるため、搬送量が多くなる。
【0043】
このような原因によって生じた搬送誤差を補正するため、コントローラ60は、目標搬送量を補正し、補正された目標搬送量にて搬送処理を行う。例えば、目標搬送量Fで搬送処理を行うと搬送誤差により紙がF+δで搬送されてしまう場合、コントローラ60は、目標搬送量Fに補正値−δを加算して目標搬送量を補正し、補正された目標搬送量(F−δ)にて搬送処理を行う。これにより、紙は目標搬送量Fで搬送されることになる。(なお、搬送量Fに対して、補正値−δば微小である。)
<原点センサについて>
搬送誤差の第2及び第3の原因の説明からも理解できる通り、搬送誤差は、搬送処理時に用いられる搬送ローラ23の周面の場所に応じて、異なることになる。
【0044】
図7は、搬送ローラ23の周面の説明図である。既に説明した通り、搬送ローラ23が1回転すると、紙が1インチ搬送される。このため、搬送ローラ23が1/4回転すると、紙は1/4インチ搬送される。図には、搬送ローラ23の周面Aと周面Dとの境界と、従動ローラとの間に紙Sが挟まれている様子が示されている。そして、この状態から搬送ローラ23が1/4回転したとき、搬送ローラの周面Aの部分によって、紙が搬送されるものとする。
【0045】
図8は、搬送誤差の説明用のグラフである。ここでは仮に、目標搬送量が1インチ(搬送ローラ23の1回転分)である場合の搬送誤差をゼロとしている。このような場合であっても、図に示すように、目標搬送量が例えば1/4インチ(搬送ローラ23の1/4回転分)の場合、δ_90の搬送誤差が生じる(紙は(1/4インチ+δ_90)にて搬送される)。また、目標搬送量が1/2インチ(搬送ローラ23の1/2回転分)の場合、搬送誤差はゼロであり、目標搬送量が例えば3/4インチ(搬送ローラ23の3/4回転分)の場合、δ_270の搬送誤差が生じる。
【0046】
つまり、搬送ローラ23の周面Aを用いて搬送処理が行われると、搬送誤差δ_90の搬送誤差が生じる。また、周面Bを用いて搬送処理が行われると搬送誤差−δ_90の搬送誤差が生じ、周面Cを用いて搬送処理が行われると搬送誤差δ_270の搬送誤差が生じ、周面Dを用いて搬送処理が行われると搬送誤差−δ_270の搬送誤差が生じる。このように、搬送処理時に用いられる搬送ローラ23の周面の場所に応じて、搬送誤差が異なることになる。
【0047】
このような搬送誤差を補正するためには、搬送処理時に用いられる搬送ローラ23の周面の場所を特定する必要がある。言い換えると、このような搬送誤差を補正するためには、搬送処理開始時の搬送ローラ23の回転角(回転位置)を少なくとも特定する必要がある。しかし、ロータリーエンコーダ52では、搬送ローラ23の相対的な回転量を検出することはできても、搬送処理開始時の搬送ローラ23の回転角(回転位置)を特定することはできない。
【0048】
そこで、本実施形態では、原点センサ56が設けられている。
図4に示される通り、搬送ローラ23の右端側には、原点センサ56が設けられている。原点センサ56は、スリット561と検出部562とを有する。スリット561は、ロータリーエンコーダ52のスケール521とは異なり、スリットは1つしか設けられていない。そして、検出部562がスリット561を検出したとき、搬送ローラ23が特定の回転位置にあることが検出される。本実施形態では、検出部562がスリット561を検出したとき、搬送ローラは、図7の左図に示すように、搬送ローラ23の周面Aと周面Dとの境界部分が上になるような回転位置になる。この状態の回転位置のことを、原点又は基準位置とよぶ。
【0049】
<回転位置カウンタについて>
本実施形態では、基準位置に対する搬送ローラ23の回転位置を計測するため、回転位置カウンタが設けられている。回転位置カウンタは、ロータリーエンコーダ52の出力信号(A相信号及びB相信号)と原点センサ56の出力信号とに基づいて、カウント値を計数する回路である。
【0050】
図9A及び図9Bは、回転位置カウンタの機能の説明図である。図9Aは、搬送ローラ23が正転しているときの説明図であり、図9Bは、搬送ローラが反転しているときの説明図である。
【0051】
原点センサ56がスリット561を検出すると、原点センサ56はHレベルの信号を出力する。回転位置カウンタは、原点センサ56の出力がLレベルからHレベルになると、カウント値をゼロにリセットする。
そして、回転位置カウンタは、A相信号及びB相信号に基づいて搬送ローラ23の正転・反転を判別し、正転しているならばA相信号又はB相信号の立ち上がり又は立ち下がりに応じてカウント値をインクリメントし、反転しているならばA相信号又はB相信号の立ち上がり又は立ち下がりに応じてカウント値をデクリメントする。
【0052】
回転位置カウンタは、16ビットでカウント値をカウントする。このため、回転位置カウンタは、0〜65535までカウント可能である。但し、カウント値が65535のときに搬送ローラ23が正転方向に1回転することになるわけではない。例えば、カウント値が24000のところで、搬送ローラ23は正転方向に1回転し、原点センサがスリット561を検出し、カウント値がゼロにリセットされる。このため、カウント値がゼロにリセットされた後、逆転時にカウント値をデクリメントする際に、カウント値を65535にすると、カウント値が、搬送ローラ23の回転位置を示さなくなってしまう。
このため、本実施形態の回転位置カウンタには、設定値n(例えば24000)がセットされており、回転位置カウンタは、カウント値がゼロのときにカウント値をデクリメントした場合、設定値n(=24000)からスタートするようになっている。これにより、正転時・逆転時を問わず、カウント値は、搬送ローラ23の回転位置を示すようになる。
【0053】
図10A及び図10Bは、途中で回転方向が変化したときのカウント値の説明図である。図10Aは、正転後に逆転したときの説明図であり、図10Bは、逆転後に正転したときの説明図である。
【0054】
回転方向が変化しない場合、A相信号やB相信号における立ち上がり又は立ち下がりは、A相信号及びB相信号から交互に検出される。しかし、A相信号又はB相信号から連続して立ち上がり又は立ち下がりが検出された場合、回転方向が変化したと考えられる。そこで、A相信号又はB相信号から連続して立ち上がり又は立ち下がりが検出されたとき、それまで正転をしていたならばカウント値をデクリメントし(図10A参照)、それまで逆転をしていたならばカウント値をインクリメントする(図10B参照)。
【0055】
ところで、このようにカウントをすると、カウント値をリセットする直前に、カウント値が1の状態からデクリメントするような事態や、カウント値が設定値と同じn(例えばn=24000)の状態からインクリメントするような事態が生じてしまう。そして、仮に、カウント値が1の状態からデクリメントされてカウント値が24000になったり、カウント値が24000の状態からインクリメントされて0になったりすると、カウント値と実際の搬送ローラ23の回転位置との差が大きくなり、カウント値が搬送ローラ23の回転位置を示さなくなる。一方、後述するように16ビットのカウント値を2ビットに変換するような場合、カウント値が大きく変わらないのであれば、多少のカウント値の誤差は許容される。そこで、本実施形態では、カウント値が1の状態のときにはデクリメントを行わず(図10A参照)、カウント値が設定値と同じnの状態のときにはインクリメントを行わないようにしている(図10B参照)。これにより、正転時・逆転時を問わず、カウント値が、搬送ローラ23の回転位置をほぼ示すようになる。
【0056】
<原点センサと回転位置カウンタの接続状況>
図11Aは、参考例の接続状況の説明図である。この参考例では、原点センサ56は、CPU62に接続されている。そして、CPU62が、前述の回転位置カウンタの機能を果たすことになる。
このような構成の場合、CPU62は、原点センサ56の信号を常に監視する必要がある。なぜならば、原点センサ56の信号がLレベルからHレベルに立ち上がったことを検出しなければ、回転位置カウンタの機能を果たせないからである。しかし、CPU62が原点センサ56の信号を常に監視すると、CPU62の負荷が増えてしまい、他の処理の速度が低下してしまう。一方、CPU62は、搬送ローラ23の回転位置を常に把握する必要は無く、搬送処理を行う際に、その時の搬送ローラ23の回転位置が分かればよい。
【0057】
図11Bは、本実施形態の接続状況の説明図である。本実施形態では、回転位置カウンタの機能を果たす回路71(以下、回転位置カウンタ71という)が、CPU62とは別の回路として設けられている。そして、原点センサ56は回転位置カウンタ71に接続されており、回転位置カウンタ71はCPU62に接続されている。つまり、本実施形態では、原点センサ56は、CPU62に直接的に接続されていない。
【0058】
本実施形態の回転位置カウンタ71には、ロータリーエンコーダ52の出力(A相信号及びB相信号)と、原点センサ56の出力とが入力される。そして、回転位置カウンタ71は、ロータリーエンコーダ52の出力(A相信号及びB相信号)と、原点センサ56の出力とに基づいて、前述のようなカウントをリアルタイムで行う。このため、回転位置カウンタ71のカウント値は、その時点での搬送ローラ23の回転位置を示している。
【0059】
回転位置カウンタ71は、16ビットのカウント値をそのまま出力しても良いし、カウント値に応じた別の信号を出力しても良い。例えば、カウント値が0〜6000の時には「00」を出力し、カウント値が6001〜12000の時には「01」を出力し、カウント値が12001〜18000の時には「10」を出力し、カウント値が18001〜24000の時には「11」を出力しても良い。このようにすれば、回転位置カウンタ71の出力が2ビットになる。なお、回転位置カウンタ71の出力が16ビットであっても2ビットであっても、いずれの出力も、搬送ローラ23の回転位置を示す回転位置情報である。例えば、回転位置情報が「00」の場合、搬送ローラ23の回転位置は、周面Aが上になるような回転位置である。
【0060】
CPU62は、搬送処理時に目標搬送量を補正する際に、回転位置カウンタ71から搬送ローラ23の回転位置情報を取得する。本実施形態では、CPU62は、原点センサ56の信号を常に監視する必要はなく、また、回転位置カウンタ71のカウント値を常に監視するわけでもない。本実施形態のCPU62は、任意のタイミングで、回転位置カウンタ71から回転位置情報を取得するだけでよい。このため、参考例と比べて、本実施形態ではCPU62の負荷が軽減される。
【0061】
なお、本実施形態では、相対カウンタ72が設けられている。相対カウンタ72は、回転位置カウンタ71と同様に、A相信号やB相信号の立ち上がり及び立ち下がりに基づいて、カウント値をインクリメント又はデクリメントするカウンタである。但し、相対カウンタ72は、回転位置カウンタ71とは異なり、カウント値をリセットしない。相対カウンタ72は、目標搬送量(又は補正された目標搬送量)まで紙を搬送する際に用いられる。例えば、搬送処理前の相対カウンタ72のカウント値を取得し、このカウント値に目標搬送量に対応するカウント値を加算し、そのカウント値になるまで搬送モータ22を駆動すれば、目標搬送量にて紙が搬送されることになる。なお、回転位置カウンタ71では、カウント値が途中でリセットされることがあるため、このような用い方はできない。
【0062】
また、本実施形態では、補正値に関するデータがメモリ63に記憶されている。補正値に関するデータとして、搬送ローラの1回転分に対応する補正値C_360が記憶されている。この補正値は、搬送ローラが1回転して紙を1インチ搬送するときに生じる搬送誤差を補正するものである。
また、本実施形態では、搬送処理時に用いられる周面に応じて異なる搬送誤差を補正するためのデータも、メモリ63に記憶されている。この補正値は、搬送ローラの1回転未満の回転量に対応する補正値である。このようなデータとしては、例えば、補正値を算出する関数が挙げられる。この関数によれば、例えば、搬送処理前の搬送ローラ23の回転位置と搬送量とに基づいて補正値を算出することができる。又は、搬送処理前及び補正後の搬送ローラ23の回転位置に基づいて補正値を算出しても良い。また、関数ではなく、補正値テーブルであっても良い。この場合、例えば搬送処理前及び補正後の搬送ローラ23の回転位置をキーとして補正値テーブルを参照すれば、補正値が求められる。
【0063】
以下の説明では、回転位置カウンタ71は、搬送ローラ23の回転位置を示す回転位置情報として、2ビットの情報を出力する。また、搬送ローラが1回転するときの補正値として、補正値C_360がメモリ63に記憶されている。また、図12に示すような補正値テーブルもメモリ63に記憶されている。この補正値テーブルには、搬送処理前及び搬送処理後の搬送ローラ23の回転位置と補正値とが対応付けられている。例えば、搬送処理前の搬送ローラ23の回転位置が周面Aを上にする回転位置であり、搬送処理後の搬送ローラ23の回転位置が周面Bを上にする回転位置の場合、補正値テーブルに基づいて補正値Cabが求められる。
【0064】
===印刷時の処理===
図13は、印刷時の処理のフロー図である。図中の左側には、コンピュータ側で行われる処理が記載されている。プリンタドライバは、これらの処理(S201〜S203)をコンピュータ110のCPUに実行させている。また、図中の右側には、プリンタ側で行われる処理が記載されている。プリンタ側のメモリ63にはプログラムが記憶されており、このプログラムは、これらの処理(S211〜S219)をコントローラ60に実行させている。
図14は、印刷時のヘッド41と紙Sとの位置関係の説明図である。図中の左側には、1回目から6回目までのドット形成処理におけるヘッドの位置が記載されている。ヘッドを示す四角形内の数字は、ドット形成処理の順を示している。説明の便宜上、ヘッドが紙に対して移動しているように描かれているが、同図はヘッドと紙との相対的な位置を示すものであって、実際には紙が搬送方向に搬送されている。
図15は、各搬送処理の際の補正値の説明図である。
以下、これらの図を用いて、印刷時の動作について説明する。
【0065】
まず、ユーザは、印刷に先立って、プリンタの電源をONにする。電源が入ると、プリンタは、所定の初期動作を行った後、印刷待機状態になる(S211)。
次に、ユーザは、アプリケーションソフトで作成した文書・図などの印刷指示を行う。印刷指示が行われると、プリンタドライバが立ち上がり、プリンタドライバは、アプリケーションソフトから、印刷すべき画像データを取得する(S201)。ここでは、プリンタドライバは、図14の右側に示されるような画像データを取得する。
次に、プリンタドライバは、画像データに基づいて、印刷データを生成する(S202)。印刷データには、搬送処理時の目標搬送量を示すデータや、各ドット形成処理時のドット形成状態を示す画素データなどが含まれている。つまり、印刷データを生成する際に、各搬送処理の目標搬送量が決定される。
次に、プリンタドライバは、印刷データをプリンタに送信する(S203)。そして、プリンタ1が印刷データを受信すると、プリンタのコントローラ60は、紙Sを給紙する(S212)。ここでは、給紙処理が終了すると、図14に示すようなヘッド41Aと紙との位置関係になる。
【0066】
そして、コントローラ60は、ヘッド41Aを移動方向に移動させ、画素データに基づくドット形成処理を行う(S213)。すなわち、コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動してキャリッジ31を移動方向に移動させ、移動方向に沿って移動するヘッド41Aからインクを断続的に吐出させ、紙上にドットを形成させる。
【0067】
その後、コントローラ60のCPU62は、回転位置カウンタ71から回転位置情報を取得する(S214)。ここでの最初の説明では、回転位置情報が「00」であるものとする。すなわち、搬送ローラ23の回転位置が周面Aを上にする回転位置であるものとする。
CPU62は、目標搬送量と回転位置情報とに基づいて、補正値を決定する(S215)。最初の搬送処理(1回目のドット形成処理と2回目のドット形成処理との間に行われる搬送処理)の目標搬送量は1/2インチであり、搬送処理前の搬送ローラ23は周面Aを上にする回転位置であるため、CPU62は、搬送処理後の搬送ローラ23が周面Cを上にする回転位置にあることを算出できる。そこで、CPU62は、搬送処理前の回転位置(周面A)及び補正後の回転位置(周面C)をキーとして補正値テーブル(図12)を参照し、補正値をCacに決定する。
【0068】
次に、CPU62は、補正値に基づいて、目標搬送量を補正する(S216)。補正された目標搬送量は、12000+Cacになる。
そして、コントローラ60は、補正された目標搬送量で搬送処理を行う(S217)。つまり、搬送処理は、搬送処理前の相対カウンタ72のカウント値に対して12000+Cacを加算したカウント値になるまで行われる。これにより、搬送誤差を軽減した状態で、紙Sをほぼ1/2インチで搬送することができる。
【0069】
このようにして、コントローラ60は、印刷を終えるまで(S218でYESになるまで)、ドット形成処理(S213)と搬送処理(S214〜S217)とを交互に繰り返す。
【0070】
なお、2回目の搬送処理(2回目のドット形成処理と3回目のドット形成処理との間に行われる搬送処理)の目標搬送量は、1/2インチであり、1回目の搬送処理での目標搬送量と同じである。但し、2回目の搬送処理前の搬送ローラ23は周面Cを上にする回転位置であり、1回目の搬送処理前の状態と異なる。このため、このときの補正値はCcaに決定され、1回目の搬送処理時の補正値Cacとは異なっている。そして、2回目の搬送処理は、搬送処理前の相対カウンタ72のカウント値に対して12000+Ccaを加算したカウント値になるまで行われる。
【0071】
3回目の搬送処理(3回目のドット形成処理と4回目のドット形成処理との間に行われる搬送処理)の目標搬送量は、1インチである。つまり、このときの搬送量は搬送ローラ23の1回転分であり、搬送処理前の搬送ローラ23の回転位置によらず搬送誤差は一定になる。そこで、CPU62は、搬送処理前の搬送ローラ23の回転位置によらず、メモリ63に記憶されている補正値C_360を用いて目標搬送量を補正する。そして、3回目の搬送処理は、搬送処理前の相対カウンタ72のカウント値に対して24000+Ccaを加算したカウント値になるまで行われる。
【0072】
5回目の搬送処理は(5回目のドット形成処理と6回目のドット形成処理との間に行われる搬送処理)の目標搬送量は、3/2インチである。つまり、このときの搬送量は搬送ローラ23の1回転半分である。このときに生じる搬送誤差は、搬送ローラ23の1回転分の搬送誤差と、搬送ローラ23の半回転分の搬送誤差との和になると考えられる。このうち、搬送ローラ23の1回転分の搬送誤差は一定であるため、この搬送誤差に対する補正値は、C_360である。残りの半回転分の搬送誤差は、搬送処理前の搬送ローラ23の回転位置に応じて異なるものになる。ここでは、搬送処理前の搬送ローラ23は周面Bを上にする回転位置であり、搬送処理後の搬送ローラ23は周面Dを上にする回転位置になる。このため、残りの半回転分の搬送誤差に対する補正値は、Cbdになる。したがって、CPU62は、補正値C_360+Cbdに基づいて、目標搬送量を補正する。そして、5回目の搬送処理は、搬送処理前の相対カウンタ72のカウント値に対して36000+C_360+Cbdを加算したカウント値になるまで行われる。
【0073】
なお、上記の説明では、給紙時の搬送ローラ23は周面Aを上にする回転位置であった。もし仮に、給紙時の搬送ローラ23が周面Bを上にする回転位置であれば、各搬送処理時の補正値は、図15の右側の「周面B」の欄に示す通りになる。
【0074】
===まとめ===
(1)前述のプリンタ(印刷装置の一例)は、搬送ローラ23と、ロータリーエンコーダ52と、CPU62(制御回路の一例)とを有している。搬送ローラ23は、回転することにより、紙(印刷すべき媒体の一例)を搬送する。また、ロータリーエンコーダ52は、搬送ローラ23が回転すると、搬送ローラ23の回転量に応じた信号を出力する。CPU62は、ロータリーエンコーダ52により検出された回転量に応じて搬送ローラ23の回転を制御し、紙を目標搬送量にて搬送する。
但し、搬送処理の際に、目標搬送量に応じた回転量で搬送ローラが回転されても、紙が目標搬送量で搬送されないことがある。このような搬送誤差を軽減するため、目標搬送量を補正する必要がある。更に、搬送誤差は、搬送処理時に用いられる搬送ローラ23の周面の場所に応じて異なる。このため、搬送処理時に用いられる搬送ローラ23の周面を特定する必要がある。
そこで、前述のプリンタは、原点センサ56を備えている。この原点センサ56は、搬送ローラ23が基準位置にあるときに、信号を出力する。
【0075】
ところで、図11Aの参考例のように、CPU62が原点センサの出力を検出するように構成すると、CPU62の負荷が大きくなり、印刷装置内のその他の処理の速度が低下する。
そこで、前述のプリンタには、回転位置カウンタ71(計測回路の一例)が設けられている。この回転位置カウンタ71は、原点センサ56と接続され、ロータリーエンコーダ52の出力(A相信号及びB相信号)と、原点センサ56の出力とに基づいて、カウントを行うものである。回転位置カウンタ71のカウント値は、基準位置に対する搬送ローラ23の回転位置を示すものである。
CPU62は、原点センサ56とではなく、回転位置カウンタ71と接続されている(図11B参照)。そして、搬送処理の際に、CPU62は、回転位置カウンタ71から回転位置情報を取得する。このため、CPU62は、原点センサ56の出力を監視する必要がなく、必要なときに回転位置カウンタ71から回転位置情報を取得すればよいので、CPU62の負荷を減らすことができる。
【0076】
(2)前述の回転位置カウンタ71は、ロータリーエンコーダ52の出力に基づいてカウントを行うものであり、原点センサの出力に応じてカウント値をリセットするものである。
これにより、回転位置カウンタ71のカウント値は、基準位置に対する搬送ローラ23の回転位置を示すことになる。
【0077】
(3)前述の回転位置カウンタ71のカウント値は、24000を超えないように設定されている。そして、カウント値がゼロにリセットされた後、搬送ローラが反転した場合(カウント値をデクリメントする場合)、カウント値を24000にする(図9B参照)。
仮に、カウント値がゼロにリセットされた後にカウント値がデクリメントされて、カウント値が65535(16ビットデータの最大値)になってしまうと、回転位置カウンタ71のカウント値が、基準位置に対する搬送ローラ23の回転位置を示さなくなるためである。
【0078】
(4)搬送ローラ23の正転後に回転方向を変えて反転した場合、カウント値をリセットする前に、カウント値が1の状態からデクリメントするような事態が生じる。前述の実施形態では、このような場合、ロータリーエンコーダの出力があっても、回転位置カウンタ71はカウント値をデクリメントしないことにしている(図10A参照)。これにより、カウント値が、搬送ローラ23の回転位置をほぼ示すようになる。
【0079】
(5)また、搬送ローラ23の反転後に回転方向を変えて正転した場合、カウント値をリセットする前に、カウント値が設定値である24000の状態からインクリメントするような状態が生じる。前述の実施形態では、このような場合、ロータリーエンコーダの出力があっても、回転位置カウンタ71はカウント値をインクリメントしないことにしている(図10B参照)。これにより、カウント値が、搬送ローラ23の回転位置をほぼ示すようになる。
【0080】
(6)回転位置カウンタ71は、回転中にカウント値がリセットされることがあるため、搬送処理時の搬送ローラ23の回転量(搬送量)を計測するには向いていない。このため、前述のプリンタには、回転位置カウンタ71とは別に、相対カウンタ72が設けられている(図11B参照)。この相対カウンタ72は、ロータリーエンコーダ52の出力に基づいて搬送ローラ23の回転量を計測する回路になっている。
【0081】
(7)前述の実施形態では、相対カウンタ72では、搬送ローラ23が1/24000回転すると、出力が1つ変化する。一方、回転位置カウンタ71では、搬送ローラ23が1/4回転すると出力が1つ変化する。つまり、搬送ローラ23の回転に対する回転位置カウンタ71の出力の分解能は、相対カウンタ72の出力の分解能よりも、低くなっている。これにより、回転位置カウンタ71の出力する回転位置情報のデータ量を減らすことができる。なお、前述の実施形態では、補正値テーブルを用いて補正値が決定されるが、回転位置情報のデータ量が少ないので、補正値テーブルのデータ量も少なくなる。(仮に、回転位置情報が24000通りになると、補正値テーブルのデータ量が膨大になる。)
(8)前述のCPU62は、回転位置情報に応じた補正値を決定し、決定された補正値に基づいて搬送ローラ23の回転を制御している。例えば、1/2インチの搬送処理を行う場合、回転位置情報が「00」であれば補正値をCacに決定し、回転位置情報が「01」であれば補正値をCbdに決定する。そして、CPU62は、決定された補正値に基づいて目標搬送量を補正し、補正された目標搬送量になるまで前記搬送ローラを回転させている。これにより、搬送誤差を軽減することができ、実際の搬送量を目標搬送量に近づけることができる。
【0082】
(9)前述の実施形態では、搬送ローラ23の1回転分に対応する補正値C_360がメモリ63に記憶されている。また、補正値テーブルには、搬送ローラ23の1回転未満の回転量と回転位置情報とに応じた第2補正値が記憶されている(図12参照)。そして、搬送ローラ23を1回転以上させて紙を搬送する場合、CPU62は、補正値C_360に基づいて搬送ローラ23の整数回転分に対応する補正値(第1補正値の一例)を求め、残りの1回転未満の回転量と回転位置情報とをキーにして補正値テーブルから補正値(第2補正値の一例)を求め、両補正値の和によって目標搬送量を補正する。
【0083】
例えば、前述の実施形態の5回目の搬送処理(5回目のドット形成処理と6回目のドット形成処理との間に行われる搬送処理)では、搬送ローラの1回転半分の搬送量で紙が搬送される。このような場合、CPU62は、1回転分の補正値C_360と、残りの半回転分の回転量と回転位置情報とをキーにして補正値テーブルから求められた補正値Cbdとを加算し、目標搬送量を補正値C_360+Cbdに基づいて補正する。
【0084】
このように補正値を算出できるのは、搬送ローラ23の整数回転分に対応する補正値が回転位置情報によらず一定値にできるからである。
このように補正値を求めることにより、補正値テーブルには1回転未満の回転量に対応する補正値だけを記憶するだけでよいので、メモリに記憶すべきデータ量を減らすことができる。
【0085】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
【0086】
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】印刷システムの全体構成の説明図である。
【図2】プリンタ1の全体構成のブロック図である。
【図3】図3Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図3Bは、プリンタ1の全体構成の横断面図である。
【図4】搬送ユニット20の構成の説明図である。
【図5】ロータリーエンコーダの構成の説明図である。
【図6】図6Aは、搬送モータ22が正転しているときの出力信号の波形のタイミングチャートである。図6Bは、搬送モータ22が反転しているときの出力信号の波形のタイミングチャートである。
【図7】搬送ローラ23の周面の説明図である。
【図8】搬送誤差の説明用のグラフである。
【図9】図9A及び図9Bは、回転位置カウンタの機能の説明図である。図9Aは、搬送ローラ23が正転しているときの説明図であり、図9Bは、搬送ローラが反転しているときの説明図である。
【図10】図10A及び図10Bは、途中で回転方向が変化したときのカウント値の説明図である。図10Aは、正転後に逆転したときの説明図であり、図10Bは、逆転後に正転したときの説明図である。
【図11】図11Aは、参考例の接続状況の説明図である。図11Bは、本実施形態の接続状況の説明図である。
【図12】補正値テーブルの説明図である。
【図13】印刷時の処理のフロー図である。
【図14】印刷時のヘッド41と紙Sとの位置関係の説明図である。
【図15】各搬送処理の際の補正値の説明図である。
【符号の説明】
【0088】
1 プリンタ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ(PFモータ)、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモータ(CRモータ)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニアエンコーダ、52 ロータリーエンコーダ、
521 スケール、 522 検出部、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、56 原点センサ、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路
71 回転位置カウンタ、72 相対カウンタ、
100 印刷システム、
110 コンピュータ、120 表示装置、130 入力装置、140 記録再生装置




 

 


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