米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 繊維;紙;印刷 -> セイコーエプソン株式会社

発明の名称 印刷装置、画像処理装置、印刷方法、および画像処理方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21926(P2007−21926A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−208148(P2005−208148)
出願日 平成17年7月19日(2005.7.19)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 能登 圭一
要約 課題
インクが安定するまでの発色の変化を簡便に補正して画像を印刷する。

解決手段
画像の印刷に際して、印刷時から画像の観察時までの経過時間を推定して推定経過時間として設定しておく。次いで、印刷しようとする画像データを、印刷に使用するインク量のデータに変換する。その後、予め設定しておいた推定経過時間に応じて修正係数を決定し、得られた修正係数でインク量データを補正した後、補正されたインク量データに従って画像を印刷する。こうすれば、推定経過時間に応じて適切な修正係数を設定しておくことで、インクが安定するまでの発色の変化を簡便に補正して、画像を印刷することが可能となる。
特許請求の範囲
【請求項1】
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷装置であって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する推定経過時間取得手段と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する画像データ変換手段と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正するインク量データ補正手段と、
前記補正されたインク量データに基づいて、前記印刷媒体上に前記インクを付着させるインク付着手段と
を備える印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記インク量データ補正手段は、
前記推定経過時間と前記修正係数とが対応付けられた変換テーブルを記憶しておく変換テーブル記憶手段と、
前記変換テーブルを参照して、前記推定経過時間に応じた前記修正係数を取得する修正係数取得手段と
を備えるとともに、
前記取得した修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する手段である印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記インク量データ補正手段は、
前記修正係数が前記推定経過時間の一次関数として記述された修正係数近似式を記憶しておく近似式記憶手段と、
前記修正係数近似式を用いて、前記推定経過時間に応じた前記修正係数を算出する修正係数算出手段と
を備えるとともに、
前記取得した修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する手段である印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記印刷装置は、前記印刷媒体上に複数種類のインクを付着させることによって画像を印刷する装置であり、
前記画像データ変換手段は、前記画像データを、前記インクの種類毎の前記インク量データに変換する手段であり、
前記インク量データ補正手段は、前記推定経過時間に応じて定まる前記インクの種類毎の修正係数に基づいて、前記インク量データを該インクの種類毎に補正する手段であり、
前記インク付着手段は、前記インクの種類毎に補正されたインク量データに基づいて、前記印刷媒体上に前記複数種類のインクを付着させる手段である印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れかに記載の印刷装置であって、
前記インク量データ補正手段は、前記印刷媒体上に付着したインクの乾燥または浸透が完了した時点を基準として、前記画像の印刷から前記推定経過時間が経過した時点での該基準に対する前記修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する手段である印刷装置。
【請求項6】
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷装置が該インクの付着量を制御するために用いる制御データを生成するために、該画像の画像データに所定の画像処理を加える画像処理装置であって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する推定経過時間取得手段と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する画像データ変換手段と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正するインク量データ補正手段と、
前記補正されたインク量データに基づいて前記制御データを生成した後、前記印刷装置に供給する制御データ供給手段と
を備える画像処理装置。
【請求項7】
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷方法であって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する第1の工程と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する第2の工程と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する第3の工程と、
前記補正されたインク量データに基づいて、前記印刷媒体上に前記インクを付着させる第4の工程と
を備える印刷方法。
【請求項8】
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷装置が該インクの付着量を制御するために用いる制御データを生成するために、該画像の画像データに所定の画像処理を加える画像処理方法であって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する工程(A)と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する工程(B)と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する工程(C)と、
前記補正されたインク量データに基づいて前記制御データを生成した後、前記印刷装置に供給する工程(D)と
を備える画像処理方法。
【請求項9】
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する方法を、コンピュータを用いて実現するプログラムであって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する第1の機能と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する第2の機能と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する第3の機能と、
前記補正されたインク量データに基づいて、前記印刷媒体上に前記インクを付着させる第4の機能と
を実現させるプログラム。
【請求項10】
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷装置が該インクの付着量を制御するために用いる制御データを生成するために、該画像の画像データに所定の画像処理を加える方法を、コンピュータを用いて実現するプログラムであって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する機能(A)と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する機能(B)と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する機能(C)と、
前記補正されたインク量データに基づいて画素毎にドットの形成有無を判断した後、得られた判断結果を、前記制御データとして前記印刷装置に供給する機能(D)と
を実現させるプログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体上にインクを付着させて画像を印刷する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを初めとするデジタル技術に進歩によって、今日では、必要に応じて随時、カラー画像を印刷することが可能となっている。カラー画像を印刷する方式には種々のものが存在するが、大部分の印刷装置は、印刷媒体上に何らかの方法でインクを付着させることによって画像を印刷している。このような方式で画像を印刷する場合、印刷直後は、未だインクが印刷媒体上で安定した状態とはなっていないが、印刷後に時間が経過してインクが印刷媒体の中に染み込んだり、あるいは印刷媒体上で乾燥するにつれて、インクが印刷媒体に安定して付着した状態となる。
【0003】
また、印刷直後のインクが印刷媒体の中に染み込んだり、あるいは乾燥するなどして印刷媒体に安定して付着した状態となるまでの間は、インクの発色も刻々と変化することが知られており、特に染料系のインクでは、こうした傾向が強く表れることが知られている。
【0004】
こうした点に鑑みて、長期間使用された印刷装置の較正を行うことに併せて、インクが安定した状態となるまでの発色の変化も補正する技術が提案されている(特許文献1)。かかる技術によれば、画像を印刷してからその画像を観察するまでに、概ね何時間程度経過するかを予め設定して画像を印刷すると、印刷した画像を観察する頃にはちょうど正しい色彩が得られるように、印刷装置を較正することが可能である。
【0005】
【特許文献1】特開2004−158990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、提案されている技術では、インクが印刷媒体に安定した状態で付着するまでの発色の変化を補正するために、所定のテストチャートを印刷して測色値を求めてから印刷装置を較正する必要があり、インクの発色の変化を、必ずしも容易に補正できるわけではないという問題があった。
【0007】
この発明は、従来技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、インクが安定した状態となるまでの発色の変化を簡便に補正して、画像を印刷する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の印刷装置は次の構成を採用した。すなわち、
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷装置であって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する推定経過時間取得手段と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する画像データ変換手段と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正するインク量データ補正手段と、
前記補正されたインク量データに基づいて、前記印刷媒体上に前記インクを付着させるインク付着手段と
を備えることを要旨とする。
【0009】
また、上記の印刷装置に対応する本発明の印刷方法は、
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷方法であって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する第1の工程と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する第2の工程と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する第3の工程と、
前記補正されたインク量データに基づいて、前記印刷媒体上に前記インクを付着させる第4の工程と
を備えることを要旨とする。
【0010】
かかる本発明の印刷装置および印刷方法においては、画像の印刷に先立って、その画像を印刷してから観察するまでの経過時間を推定して、予め設定しておく。そして、印刷しようとする画像の画像データを受け取ると、インク量データ(すなわち、その画像を印刷するために印刷媒体上に付着させるインク量に対応したデータ)に変換する。次いで、予め推定して設定しておいた経過時間(推定経過時間)に応じて定まる修正係数に基づいて、インク量データを補正した後、補正したインク量データに基づいて印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する。
【0011】
こうすれば、推定経過時間に応じて予め適切な修正係数を設定しておくことで、印刷媒体上に付着したインクが安定した状態となるまでの間に発色が変化する現象を、簡便に且つ適切に補正して画像を印刷することが可能となる。
【0012】
また、かかる印刷装置においては、推定経過時間と修正係数とを変換テーブルに対応付けて記憶しておき、インク量データを補正するに際しては、変換テーブルを参照することによって、推定経過時間に応じた修正係数を取得し、この修正係数に基づいてインク量データを補正することとしても良い。
【0013】
このように、推定経過時間と修正係数とを変換テーブルに対応付けて記憶しておけば、推定経過時間に対して正確な修正係数を設定することができ、また、推定経過時間に対応する修正係数を簡単に取得することができる。このため、印刷媒体上のインクが安定した状態となるまでの発色の変化を正確に補正するとともに、迅速に画像を印刷することが可能となるので好ましい。
【0014】
あるいは、修正係数の近似式を、推定経過時間を変数とする一次関数として記述しておき、かかる近似式を用いて、推定経過時間に対応する修正係数を算出することとしても良い。
【0015】
一次関数の近似式であれば、極めて少ない記憶容量で記憶しておくことが可能であり、また、推定経過時間に対する修正係数を迅速に算出することができる。また、経験上、一次関数の近似式であっても、実用上の問題が生じない程度に十分な精度の修正係数を得ることができる。従って、このような方法によれば、記憶容量を節約しながら、印刷媒体上のインクが安定した状態となるまでの発色の変化を十分な精度で補正するとともに、迅速に画像を印刷することが可能となる。
【0016】
また、上述した印刷装置が、印刷媒体上に複数種類のインクを付着させることによって画像を印刷する場合には、画像データをインクの種類毎のインク量データに変換するとともに、推定経過時間に応じてインクの種類毎に得られた修正係数を用いて、インク量データを補正することとしても良い。
【0017】
印刷媒体上に付着したインクが安定した状態となるまでにインクの発色が変化する程度は、インクの種類に応じて異なっている場合が多い。従って、インクの種類毎に修正係数を求め、各種インクのインク量データを、インクの種類毎に得られた修正係数によって補正してやれば、インクが安定になるまでの発色の変化を、インクの種類毎に適切に補正することが可能となるので好適である。
【0018】
また、上述した印刷装置においては、印刷媒体上に付着したインクの乾燥または浸透が完了した時点を基準として、印刷後から推定経過時間が経過した時点での、基準に対する修正係数に基づいて、インク量データを補正することとしても良い。
【0019】
このように、印刷媒体上に付着したインクの乾燥または浸透が完了した時点を基準としておけば、インクが安定した状態になるまでの発色の変化を考慮する場合にだけインク量データを補正すれば良く、補正を行わずに印刷すれば、従来通りの画像を印刷することが可能となるので好ましい。
【0020】
また、印刷装置が画像を印刷する動作を制御する点に着目すれば、本発明の印刷装置あるいは印刷方法は、印刷装置の動作を制御するための制御データを生成する画像処理装置あるいは画像処理方法として把握することも可能である。すなわち、本発明の画像処理装置は、
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷装置が該インクの付着量を制御するために用いる制御データを生成するために、該画像の画像データに所定の画像処理を加える画像処理装置であって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する推定経過時間取得手段と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する画像データ変換手段と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正するインク量データ補正手段と、
前記補正されたインク量データに基づいて前記制御データを生成した後、前記印刷装置に供給する制御データ供給手段と
を備えることを要旨とする。
【0021】
また、上記の画像処理装置に対応する本発明の画像処理方法は、
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷装置が該インクの付着量を制御するために用いる制御データを生成するために、該画像の画像データに所定の画像処理を加える画像処理方法であって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する工程(A)と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する工程(B)と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する工程(C)と、
前記補正されたインク量データに基づいて前記制御データを生成した後、前記印刷装置に供給する工程(D)と
を備えることを要旨とする。
【0022】
かかる本発明の画像処理装置および画像処理方法においては、制御データの生成に先立って、その制御データを用いて画像を印刷してから観察するまでの経過時間を推定して、予め設定しておく。そして、印刷しようとする画像の画像データを受け取ると、その画像を印刷するために印刷媒体上に付着させるインク量に対応したインク量データに変換する。次いで、予め推定して設定しておいた経過時間(推定経過時間)に応じて定まる修正係数に基づいて、インク量データを補正する。そして、補正したインク量データに基づいて制御データを生成した後、印刷装置に出力する。
【0023】
こうすれば、推定経過時間に応じて予め適切な修正係数を設定しておくことで、印刷媒体上に付着したインクが安定した状態となるまでの間にインクの発色が変化する現象を、簡便に且つ適切に補正して画像を印刷することが可能となる。
【0024】
更に本発明は、上述した印刷方法あるいは画像処理方法を実現するためのプログラムをコンピュータに読み込ませ、所定の機能を実行させることにより、コンピュータを用いて実現することも可能である。従って、本発明は次のようなプログラム、あるいは該プログラムを記録した記録媒体としての態様も含んでいる。すなわち、上述した印刷方法に対応する本発明のプログラムは、
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する方法を、コンピュータを用いて実現するプログラムであって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する第1の機能と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する第2の機能と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する第3の機能と、
前記補正されたインク量データに基づいて、前記印刷媒体上に前記インクを付着させる第4の機能と
を実現させることを要旨とする。
【0025】
また、上記のプログラムに対応する本発明の記録媒体は、
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷するプログラムを、コンピュータで読取可能に記録した記録媒体であって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する第1の機能と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する第2の機能と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する第3の機能と、
前記補正されたインク量データに基づいて、前記印刷媒体上に前記インクを付着させる第4の機能と
をコンピュータを用いて実現するプログラムを記憶していることを要旨とする。
【0026】
更に、上述した画像処理方法に対応する本発明のプログラムは、
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷装置が該インクの付着量を制御するために用いる制御データを生成するために、該画像の画像データに所定の画像処理を加える方法を、コンピュータを用いて実現するプログラムであって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する機能(A)と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する機能(B)と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する機能(C)と、
前記補正されたインク量データに基づいて前記制御データを生成した後、前記印刷装置に供給する機能(D)と
を実現させることを要旨とする。
【0027】
また、上記のプログラムに対応する本発明の記録媒体は、
印刷媒体上にインクを付着させることによって画像を印刷する印刷装置が該インクの付着量を制御するために用いる制御データを生成するために、該画像の画像データに所定の画像処理を加えるプログラムを、コンピュータで読取可能に記録した記録媒体であって、
前記画像の印刷に先立って該画像の印刷時から観察時までの経過時間を推定して設定された推定経過時間を取得する機能(A)と、
前記画像の画像データを受け取って、前記インクの付着量に対応したインク量データに変換する機能(B)と、
前記取得した推定経過時間に応じて定まる修正係数に基づいて、前記インク量データを補正する機能(C)と、
前記補正されたインク量データに基づいて前記制御データを生成した後、前記印刷装置に供給する機能(D)と
をコンピュータを用いて実現するプログラムを記憶していることを要旨とする。
【0028】
これらのプログラムをコンピュータに読み込んで、上記の各種機能を実現させれば、インクが安定するまでの発色の変化を簡便に補正して、画像を印刷することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.実施例の概要 :
B.装置構成 :
B−1.全体構成 :
B−2.内部構成 :
B−2−1.スキャナ部の内部構成 :
B−2−2.プリンタ部の内部構成 :
C.画像印刷処理の概要 :
D.観察時期補正処理 :
E.修正係数の設定方法 :
【0030】
A.実施例の概要 :
実施例の詳細な説明に入る前に、図1を参照しながら、実施例の概要について説明しておく。図1は、本実施例の印刷装置10の概要を示した説明図である。図示した印刷装置10は、印刷媒体P上にインク滴を吐出することによって画像を印刷するいわゆるインクジェットプリンタである。
【0031】
印刷装置10の内部では、画像を印刷するために画像データに対して種々の処理が行われるが、これら処理は、幾つかのモジュールに分けて把握することができる。先ず、「画像データ変換モジュール」は、コンピュータやデジタルカメラなどから印刷しようとする画像データを受け取ると、インクの付着量に対応するインク量データに変換する。すなわち、印刷装置10は印刷媒体P上にインクを適切な量だけ付着させることによって画像を印刷することから、画像データに応じて付着させるインク量を決定するのである。「画像データ変換モジュール」は、画像データをインク量データに変換すると、得られたインク量データを「インク量データ補正モジュール」に供給する。
【0032】
一方、「推定経過時間取得モジュール」は推定経過時間を取得した後、「インク量データ補正モジュール」に供給する。ここで推定経過時間とは、画像の印刷に先立って、その画像が印刷されてから実際に観察されるまでの経過時間が推定されて、予め印刷装置10に設定されている時間である。「インク量データ補正モジュール」は、「推定経過時間取得モジュール」から受け取った推定経過時間に基づいて修正係数を決定した後、「画像データ変換モジュール」から供給されたインク量データを修正係数に基づいて補正する。こうしてインク量データを補正したら、「インク付着モジュール」に出力する。「インク付着モジュール」は、補正されたインク量データに基づいて印字ヘッド12からインク滴を吐出することにより印刷媒体P上にインクを付着させて、画像を印刷する。
【0033】
図1に示した印刷装置10では、このように、予め推定経過時間を設定しておき、画像データをインク量データに変換したら、得られたインク量データを、推定経過時間に応じた修正係数によって補正した後、補正されたインク量データに基づいて画像を印刷する。こうすれば、推定経過時間に応じたインクの発色の変化を補正する適切な修正係数を設定しておくことで、印刷媒体P上に付着したインクが安定するまでの発色の変化を簡便に補正して、画像を印刷することが可能となる。以下では、このような印刷装置10について、実施例に基づいて詳しく説明する。
【0034】
B.装置構成 :
B−1.全体構成 :
図2は、本実施例の印刷装置10の外観形状を示す斜視図である。図示されるように、本実施例の印刷装置10は、スキャナ部100と、プリンタ部200と、スキャナ部100およびプリンタ部200の動作を設定するための操作パネル300などから構成されている。スキャナ部100は、印刷画像を読み込んで画像データを生成するスキャナ機能を有しており、プリンタ部200は、画像データを受け取って印刷媒体上に画像を印刷するプリンタ機能を有している。また、スキャナ部100で読み取った画像をプリンタ部200から出力すれば、コピー機能を実現することも可能である。すなわち、本実施例の印刷装置10は、単独でスキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能を実現可能な、いわゆるスキャナ・プリンタ・コピー複合装置(以下、SPC複合装置という)となっている。
【0035】
図3は、印刷画像を読み込むために、印刷装置10の上部に設けられた原稿台カバー102を開いた様子を示す説明図である。図示されているように、原稿台カバー102を上に開くと、透明な原稿台ガラス104が設けられており、その内部には、スキャナ機能を実現するための後述する各種機構が搭載されている。印刷画像を読み込む際には、図示されているように原稿台カバー102を開いて原稿台ガラス104の上に印刷画像を置き、原稿台カバー102を閉じてから操作パネル300上のボタンを操作する。こうすれば、印刷画像を直ちに画像データに変換することが可能となっている。
【0036】
また、スキャナ部100は全体が一体のケース内に収納された構成となっており、スキャナ部100とプリンタ部200とは、印刷装置10の背面側でヒンジ機構204(図4参照)によって結合されている。このため、スキャナ部100の手前側を持ち上げることにより、ヒンジの部分でスキャナ部100のみを回転させることが可能となっている。
【0037】
図4は、スキャナ部100の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。図示するように、本実施例の印刷装置10では、スキャナ部100の手前側を持ち上げることで、プリンタ部200の上面を露出させることが可能である。プリンタ部200の内部には、プリンタ機能を実現するための後述する各種機構や、スキャナ部100を含めて印刷装置10全体の動作を制御するための後述する制御回路260、更には、スキャナ部100やプリンタ部200などに電力を供給するための電源回路(図示は省略)なども設けられている。また、図4に示されているように、プリンタ部200の上面には、開口部202が設けられており、インクカートリッジなどの消耗品の交換や、紙詰まりの処理、軽微な修理などを簡便に行うことが可能となっている。
【0038】
B−2.内部構成 :
図5は、本実施例の印刷装置10の内部構成を概念的に示した説明図である。前述したように、印刷装置10にはスキャナ部100とプリンタ部200とが設けられており、スキャナ部100の内部にはスキャナ機能を実現するための各種構成が搭載され、プリンタ部200の内部にはプリンタ機能を実現するための各種構成が搭載されている。以下では、初めにスキャナ部100の内部構成について説明し、次いでプリンタ部200の内部構成について説明する。
【0039】
B−2−1.スキャナ部の内部構成 :
スキャナ部100は、印刷画像をセットする透明な原稿台ガラス104と、セットされた印刷画像を押さえておくための原稿台カバー102と、セットされた印刷画像を読み込む読取キャリッジ110と、読取キャリッジ110を読取方向(主走査方向)に移動させる駆動ベルト120と、駆動ベルト120に動力を供給する駆動モータ122と、読取キャリッジ110の動きをガイドするガイド軸106などから構成されている。また、駆動モータ122や読取キャリッジ110の動作は、後述する制御回路260によって制御されている。
【0040】
制御回路260の制御の元で駆動モータ122を回転させると、駆動ベルト120を介してその動きが読取キャリッジ110に伝達され、その結果、読取キャリッジ110は、ガイド軸106に導かれながら駆動モータ122の回転角度に応じて読取方向(主走査方向)に移動するようになっている。また、駆動ベルト120は、アイドラプーリ124によって絶えず適度に張った状態に調整されており、このため、駆動モータ122を逆回転させれば回転角度に応じた距離だけ読取キャリッジ110を逆方向に移動させることも可能となっている。
【0041】
読取キャリッジ110の内部には、光源112や、レンズ114、ミラー116、CCDセンサ118などが搭載されている。光源112からの光は原稿台ガラス104に照射され、原稿台ガラス104の上にセットされた印刷画像で反射する。この反射光は、ミラー116によってレンズ114に導かれ、レンズ114によって集光されてCCDセンサ118で検出される。CCDセンサ118は、光の強度を電気信号に変換するフォトダイオードが、読取キャリッジ110の移動方向(主走査方向)と直交する方向に列状に配置されたリニアセンサによって構成されている。このため、読取キャリッジ110を主走査方向に移動させながら、光源112の光を印刷画像に照射し、CCD118によって反射光強度を検出すれば、印刷画像を電気信号に変換することができる。
【0042】
また、光源112は、RGBの3色の発光ダイオードによって構成されており、所定の周期でR色、G色、B色の光を順次、照射することが可能となっており、これに応じてCCD118では、R色、G色、B色の反射光が順次、検出されることになる。一般に、画像の赤色の部分はR色の光を反射するが、G色やB色の光はほとんど反射しないから、R色の反射光は画像のR成分を表したものとなっている。同様に、G色の反射光は画像のG成分を表しており、B色の反射光は画像のB成分を表している。従って、RGB3色の光を所定の周期で切り替えながら印刷画像に照射し、これに同期してCCD118で反射光強度を検出すれば、印刷画像のR成分、G成分、B成分を検出することができ、カラー画像を読み込むことが可能となっている。尚、光源112が照射する光の色を切り替えている間も読取キャリッジ110は移動しているから、RGBの各成分を検出する画像の位置は、厳密には、読取キャリッジ110の移動量に相当する分だけ異なっているが、このずれは、各成分を読み込んだ後に、画像処理によって補正することが可能である。
【0043】
B−2−2.プリンタ部の内部構成 :
次に、プリンタ部200の内部構成について説明する。プリンタ部200には、印刷装置10の全体の動作を制御する制御回路260と、印刷媒体上に画像を印刷するための印刷キャリッジ240と、印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構と、印刷媒体の紙送りを行うための機構などが搭載されている。
【0044】
印刷キャリッジ240は、Kインクを収納するインクカートリッジ242と、Cインク,Mインク,Yインクの各種インクを収納するインクカートリッジ243と、底面側に設けられた印字ヘッド241などから構成されており、印字ヘッド241には、インク滴を吐出するインク吐出ヘッドがインク毎に設けられている。印刷キャリッジ240にインクカートリッジ242,243を装着すると、カートリッジ内の各インクは図示しない導入管を通じて、各色毎のインク吐出ヘッド244ないし247に供給される。尚、図5に示したプリンタ部200では、Cインク,Mインク,Yインクについては一つのインクカートリッジ243に一体に収納されているものとして説明したが、これらインクをそれぞれ別体に形成された専用のインクカートリッジに収納することも可能である。また、これらインクに加えて、濃度の低いCインク(LCインク)や、濃度の低いMインク(LMインク)、更には濃度の低いKインク(LKインク)などを搭載することも可能である。
【0045】
印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構は、印刷キャリッジ240を駆動するためのキャリッジベルト231と、キャリッジベルト231に動力を供給するキャリッジモータ230と、キャリッジベルト231に絶えず適度な張力を付与しておくための張力プーリ232と、印刷キャリッジ240の動きをガイドするキャリッジガイド233と、印刷キャリッジ240の原点位置を検出する原点位置センサ234などから構成されている。後述する制御回路260の制御の元でキャリッジモータ230を回転させると、回転角度に応じた距離だけ印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させることが可能である。まが、キャリッジモータ230を逆回転させれば、印刷キャリッジ240を逆方向に移動させることも可能となっている。
【0046】
印刷媒体の紙送りを行うための機構は、印刷媒体を裏面側から支えるプラテン236と、プラテン236を回転させて紙送りを行う紙送りモータ235などから構成されている。後述する制御回路260の制御の元で紙送りモータ235を回転させれば、回転角度に応じた距離だけ印刷媒体を副走査方向に紙送りすることが可能となっている。
【0047】
制御回路260は、CPUを中心として、ROMや、RAM、デジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器、更には、周辺機器との間でデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェースPIFなどから構成されている。制御回路260は、印刷装置10全体の動作を制御しており、スキャナ部100に搭載された光源112や、駆動モータ122、CCD118とデータをやり取りしながら、これらの動作を制御している。
【0048】
また、キャリッジモータ230および紙送りモータ235を駆動して印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながら、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に駆動信号を供給してインク滴を吐出させる制御も行っている。インク吐出ヘッド244ないし247に供給する駆動信号は、コンピュータ20やデジタルカメラ30などから画像データを読み込んで、後述する画像処理を行うことによって生成する。もちろん、スキャナ部100で読み込んだ画像データに画像処理を施すことにより、駆動信号を生成することも可能である。こうして制御回路260の制御の元で、印刷キャリッジ240を主走査および副走査させながら、インク吐出ヘッド244ないし247からインク滴を吐出して印刷媒体上に各色のインクドットを形成することによって、カラー画像を印刷することが可能となっている。もちろん、制御回路260内で画像処理を行うのではなく、画像処理が施されたデータをコンピュータ20から受け取って、このデータに従って印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながらインク吐出ヘッド244ないし247を駆動することも可能である。
【0049】
また、制御回路260は、操作パネル300ともデータをやり取り可能に接続されており、操作パネル300上に設けられた各種のボタンを操作することにより、スキャナ機能や、プリンタ機能の詳細な動作モードを設定することが可能となっている。また、推定経過時間(すなわち、画像が印刷されてから、実際に観察されるまでの経過時間)も、操作パネル300上のボタンを操作することによって設定することができる。更には、コンピュータ20から、周辺機器インターフェースPIFを介して詳細な動作モードを設定することも可能である。
【0050】
図6は、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に、インク滴を吐出する複数のノズルNzが形成されている様子を示した説明図である。図示するように、各色のインク吐出ヘッドの底面には、各色毎のインク滴を吐出する4組のノズル列が形成されており、1組のノズル列には、48個のノズルNzがノズルピッチkの間隔を空けて千鳥状に配列されている。制御回路260からは、これらノズルNzのそれぞれに駆動信号が供給され、各ノズルNzは駆動信号に従って、それぞれのインクによるインク滴を吐出する。
【0051】
尚、インク吐出ヘッドからインク滴を吐出する方法には、種々の方法を適用することができる。すなわち、ピエゾ素子を用いてインクを吐出する方式や、インク通路に配置したヒータでインク通路内に泡(バブル)を発生させてインク滴を吐出する方法などを用いることができる。また、インクを吐出する代わりに、熱転写などの現象を利用して印刷用紙上にインクドットを形成する方式のプリンタを使用することも可能である。
【0052】
C.画像印刷処理の概要 :
上述したように、プリンタ部200で所望の画像を印刷するためには、画像データに適切な画像処理を施して各ノズルに対する駆動信号を生成し、駆動信号に基づいてドットを形成する必要がある。以下では、かかる処理(画像印刷処理)の概要について説明する。尚、本実施例の印刷装置10では、プリンタ部200に組み込まれた制御回路260内で画像処理を行うが、外部に設けられたコンピュータ20で画像処理を行い、処理済みのデータを周辺機器インターフェースPIFから読み込んで、ドットを形成することも可能である。
【0053】
図7は、本実施例の印刷装置10が、画像データを読み込んで画像を印刷する画像印刷処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、印刷装置に10の制御回路260が、内蔵されているCPUの機能を主に用いて実行する処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0054】
制御回路260は、画像印刷処理を開始すると先ず初めに、画像の観察時期を設定する処理を行う(ステップS100)。すなわち、前述したように、印刷媒体P上に吐出されたインク滴は、印刷媒体Pの中に浸透しながら乾燥して、やがて安定した状態となるが、安定するまでの間はインクの発色が変化していく。従って、インクが安定する前に画像を観察するのであれば、予めこれを考慮して印刷しておかない限り、正しい色彩を表現することはできない。そこで、画像の印刷時に、インクが完全に安定する前に画像を観察することが分かっている場合は、正しい色彩の画像を観察することができるように、ステップS100において、予め画像の観察時期を設定しておくのである。
【0055】
観察時期の設定は、操作パネル300に設けられた液晶画面の表示を確認しながら行うことができる。あるいは、コンピュータ20上でプリンタドライバを起動させて同様な設定を行った後、コンピュータ20から、印刷装置10の周辺機器インターフェースPIFを介してデータを供給することによって設定することも可能である。
【0056】
図8は、操作パネル300の液晶画面上で、画像の観察時期を設定している様子を例示した説明図である。図示されているように、液晶画面上には2つのラジオボタンが設けられており、標準では「設定しない」と表示されたラジオボタンが選択されている。このラジオボタンが選択されている場合(すなわち、標準設定の場合)は、インクが完全に乾燥して安定した状態となったときに、正しい色彩が得られるように画像が印刷される。従って、例えば、印刷画像を観察するのが翌日以降である場合や、あるいは、いつ観察するかが分からない場合などには、標準の設定のまま画像を印刷すればよい。
【0057】
これに対して、印刷直後で、インクが未だ完全には乾ききっていない状態で画像を観察することが明らかな場合や、インクが完全に乾燥した状態となっているかどうかが判断できない場合などには、「設定する」と表示されたラジオボタンを選択する。すると、標準状態ではグレーアウトされていて入力不能となっていた経過時間の設定欄が、入力可能な状態となり、ここの欄にカーソルを移動させて、画像を印刷してから実際に観察するまでのおおよその経過時間を設定する。
【0058】
以上に説明したように、図7のステップS100では、操作パネル300の液晶画面を見ながら、画像の観察時期を設定するか否か、更に、設定する場合は、印刷してから観察するまでのおおよその経過時間(推定経過時間)を設定する処理を行う。
【0059】
このようにして観察時期を設定したら、印刷しようとする画像データの読み込みを行う(ステップS102)。ここでは、画像データはR,G,B各色の階調値によって表現されたRGB画像データであるものとする。
【0060】
次いで、読み込んだ画像データの解像度を、プリンタ部200が印刷するための解像度(印刷解像度)に変換する処理を行う(ステップS104)。読み込んだ画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、隣接する画素の間に補間演算を行って新たな画像データを設定することで、より高い解像度に変換する。逆に、読み込んだ画像データの解像度が印刷解像度よりも高い場合は、隣接する画素の間から一定の割合で画像データを間引くことによって、より低い解像度に変換する。解像度変換処理では、読み込んだ画像データに対して適切な割合で画像データを生成あるいは間引くことによって、読み込んだ解像度を印刷解像度に変換する処理を行う。
【0061】
こうして画像データの解像度を印刷解像度に変換したら、制御回路260は色変換処理を開始する(ステップS106)。色変換処理とは、R,G,Bの階調値の組合せによって表現されているRGBカラー画像データを、印刷にために使用される各色インクのインク量に相当する階調データ(インク量データ)に変換する処理である。前述したように、プリンタ部200では、C,M,Y,Kの4色のインクを用いて画像を印刷しているから、本実施例の色変換処理では、RGB画像データを、CMYKの各色についての階調データに変換する処理を行う。もちろん、C,M,Y,Kの4色に加えて、濃度の薄いCインク(LCインク)や、濃度の薄いMインク(LMインク)、あるいは濃度の薄いKインク(LKインク)などが搭載されている場合には、RGB画像データを、これら淡インクを加えた各色の階調データに変換することとしても良い。
【0062】
色変換処理は、色変換テーブル(LUT)と呼ばれる3次元の数表を参照することによって行われる。図9は、色変換処理のために参照される色変換テーブル(LUT)を概念的に示した説明図である。今、RGB各色の階調値が0〜255の値を取り得るものとして、図9に示すように直交する3軸にR,G,B各色の階調値を取った色空間を考える。すると、全てのRGB画像データは、原点を頂点として一辺の長さが255の立方体(色立体)の内部の点に対応付けることができる。このことから、見方を変えて、色立体をRGB各軸に直角に格子状に細分して色空間内に複数の格子点を生成すると、各格子点は、それぞれがRGB画像データに対応していると考えることができる。そこで、各格子点に、C,M,Y,Kなどの各色インクの使用量に対応する階調値の組合せを予め記憶しておく。こうすれば、格子点に記憶されている階調値を読み出すことによって、RGB画像データを、各色インクのインク量データに迅速に変換することが可能となる。
【0063】
例えば、画像データのR成分がRA、G成分がGA、B成分がBAであったとすると、この画像データは、色空間内のA点に対応づけられる(図9参照)。そこで、色立体を細分する微細な立方体の中から、A点を内包する立方体dVを検出し、この立方体dVの各格子点に記憶されている各色インクの階調値を読み出してやる。そして、これら各格子点の階調値から補間演算すればA点での階調値を求めることができる。あるいは、簡便に、最寄りの格子点の記憶されている各色の階調値を読み出して、この階調値をA点のインク量データとしても良い。何れの方法によるにしても、色変換テーブルを参照することで、RGB画像データを迅速にインク量データに変換することが可能となる。
【0064】
本実施例の画像印刷処理では、色変換処理に続いて、観察時期補正処理を行う(図7のステップS108)。かかる処理では、色変換処理によって得られたインク量データに対して、ステップS100で設定しておいた観察時期に応じた補正を加える処理を行う。観察時期補正処理の詳細については後述する。
【0065】
画像印刷処理では、観察時期補正処理に続いてハーフトーン処理を行う(ステップS110)。ハーフトーン処理とは、次のような処理である。色変換処理でRGB画像データから変換され、更に観察時期補正処理によって補正されたCMYK各色のインク量データは、画素毎に、階調値0から階調値255までの値を取り得るデータである。これに対してプリンタ部200では、ドットを形成することによって画像を表示しているから、それぞれの画素についてはドットを形成するか否かの状態しか取り得ない。そこで、256階調を有するCMYKの階調データを、画素毎にドット形成の有無を表したデータ(ドットデータ)に変換しておく必要がある。ハーフトーン処理とは、このようにCMYKの階調データをドットデータに変換する処理である。
【0066】
ハーフトーン処理を行う手法としては、誤差拡散法やディザ法などの種々の手法を適用することができる。誤差拡散法は、ある画素についてドットの形成有無を判断したことでその画素に発生する階調表現の誤差を、周辺の画素に拡散するとともに、周囲から拡散されてきた誤差を解消するように、各画素についてのドット形成の有無を判断していく手法である。また、ディザ法は、ディザマトリックスにランダムに設定されている閾値とCMYK階調データとを画素毎に比較して、CMYK階調データの方が大きい画素にはドットを形成すると判断し、逆に閾値の方が大きい画素についてはドットを形成しないと判断することで、各画素についてのドットデータを得る手法である。本実施例の画像印刷処理では、何れの方法を用いてハーフトーン処理を行うこともできるが、ここでは、ディザ法を用いてハーフトーン処理を行うものとする。
【0067】
図10は、ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。図示したマトリックスには、縦横それぞれ64画素、合計4096個の画素に、階調値0〜255の範囲から万遍なく選択された閾値がランダムに記憶されている。ここで、閾値の階調値が0〜255の範囲から選択されているのは、本実施例ではCMYK階調データが1バイトデータであり、階調値が0〜255の値を取り得ることに対応するものである。尚、ディザマトリックスの大きさは、図10に例示したように縦横64画素分に限られるものではなく、縦と横の画素数が異なるものも含めて、種々の大きさに設定することが可能である。
【0068】
図11は、ディザマトリックスを参照しながら、画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。尚、かかる判断は、CMYKの各色について行われるが、以下では説明が煩雑となることを避けるために、CMYK階調データの各色を区別することなく、単に階調データと称するものとする。
【0069】
ドット形成有無の判断に際しては、先ず、判断の対象として着目している画素(着目画素)についての階調データの階調値と、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値とを比較する。図中に示した細い破線の矢印は、着目画素の階調データを、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値と比較していることを模式的に表したものである。そして、ディザマトリックスの閾値よりも着目画素の階調データの方が大きい場合には、その画素にはドットを形成するものと判断する。逆に、ディザマトリックスの閾値の方が大きい場合には、その画素にはドットを形成しないものと判断する。図11に示した例では、画像の左上隅にある画素の階調データは「97」であり、ディザマトリックス上でこの画素に対応する位置に記憶されている閾値は「1」である。従って、左上隅の画素については、階調データの方がディザマトリックスの閾値よりも大きいから、この画素にはドットを形成すると判断する。図11中に実線で示した矢印は、この画素にはドットを形成すると判断して、判断結果をメモリに書き込んでいる様子を模式的に表したものである。一方、この画素の右隣の画素については、階調データは「97」、ディザマトリックスの閾値は「177」であり、閾値の方が大きいので、この画素についてはドットを形成しないものと判断する。このように、階調データとディザマトリックスに設定された閾値とを比較することにより、ドットの形成有無を画素毎に決定することができる。ハーフトーン処理(図7のステップS110)では、C,M,Y,Kの各インク量データに対して上述したディザ法を適用することにより、画素毎にドット形成の有無を判断してドットデータを生成する処理を行う。
【0070】
以上のようにして、CMYK階調データをドットデータに変換したら、今度は、インターレース処理を開始する(ステップS112)。インターレース処理とは、印字ヘッド241がドットを形成する順序でドットデータを並び替えて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給する処理である。すなわち、図6に示したように、インク吐出ヘッド244ないし247に設けられたノズルNzは副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けて設けられているから、印刷キャリッジ240を主走査させながらインク滴を吐出すると、副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けてドットが形成されてしまう。そこで全画素にドットを形成するためには、印刷キャリッジ240と印刷媒体との相対位置を副走査方向に移動させて、ノズルピッチkだけ隔たったドット間の画素に新たなドットを形成することが必要となる。このように、実際に画像を印刷する場合には、画像上で上方にある画素から順番にドットを形成しているわけではない。更に、主走査方向に同じ列にある画素についても、一回の主走査でドットを形成するのではなく、画質上の要請から、複数回の主走査に分けてドットを形成することとして、各回の主走査では飛び飛びの位置の画素にドットを形成することも広く行われている。
【0071】
このように、実際に画像を印刷する場合には、画像上で画素の並びの順番に従ってドットを形成しているわけではない。そこで、実際にドットの形成を開始する前に、C,M,Y,Kの各色毎に得られたドットデータを、インク吐出ヘッド244ないし247がドットを形成する順番に並び替えておく。このような処理が、インターレースと呼ばれる処理である。
【0072】
画像印刷処理では、インターレース処理を終了すると、インターレース処理によって得られたデータに基づいて、印刷媒体上にインク滴を吐出して実際にドットを形成する処理(ドット形成処理)を開始する(ステップS114)。すなわち、キャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させながら、順番を並び替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給する。前述したようにドットデータは、各画素にドットを形成するか否かを表したデータであるから、インク吐出ヘッド244ないし247は、ドットデータに従ってインク滴を吐出すれば、各画素に適切にインクドットを形成することができる。
【0073】
そして、一回の主走査が終了したら、今度は、紙送りモータ235を駆動して印刷媒体を副走査方向に紙送りした後、再びキャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させつつ、順番を並べ替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給してドットを形成する。このような操作を繰り返し行うことにより、印刷媒体上には、C,M,Y,Kの各色のドットが適切な分布で形成されて、印刷画像が得られることになる。
【0074】
以上に説明したように、本実施例の印刷装置10では、RGB画像データを受け取ると、該画像データに対して上述した各種の処理を施した後、印刷媒体P上にCMYK各色のインク滴を吐出して画像を印刷する。吐出されたインクは、印刷媒体P上でインクドットを形成するとともに、印刷媒体Pの中に浸透しながらやがて乾燥して安定した状態となる。前述したように、インクが安定した状態となるまでは、インクの発色は少しずつ変化するから、インクが安定した状態となる前に正しい色彩の画像を観察したいと望む場合は、吐出するインク量を補正しておく必要がある。そこで、本実施例の画像印刷処理では、印刷した画像の観察時期を設定しておき(図7のステップS100)、色変換処理によって得られたインク量データに対して、観察時期に応じた補正を行った後(図7のステップS108)、補正後のインク量データに基づいて画像を印刷している。以下では、設定しておいた観察時期に応じて、インク量データを補正する観察時期補正処理について詳しく説明する。
【0075】
D.観察時期補正処理 :
図12は、本実施例の観察時期補正処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、図7を用いて前述した画像印刷処理の中で、印刷装置10の制御回路260によって実行される処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0076】
観察時期補正処理を開始すると、先ず初めに、画像の観察時期が設定されているか否かを判断する(ステップS200)。図8を用いて説明したように、本実施例の画像印刷処理では、印刷装置10の操作パネル300の表示を確認しながらラジオボタンを選択することにより、画像の観察時期を設定するか否かを選択するようになっている。このことから、観察時期補正処理のステップS200では、操作パネル300上の何れのラジオボタンが選択されているかに応じて、観察時期が設定されているか否かを判断する。
【0077】
そして、図8に例示した操作パネル300上で「設定しない」と表示されたラジオボタンが選択されていた場合、すなわち、観察時期が設定されていないと判断された場合は(図12のステップS200:no)、インクが安定するまでの発色の変化を補正する必要は無いと考えられるので、図12に示した観察時期補正処理をそのまま終了する。
【0078】
これに対して、図8の操作パネル300上で「設定する」と表示されたラジオボタンが選択されていた場合、すなわち、観察時期が設定されていると判断された場合は(図12のステップS200:yes)、インクが安定するまでの発色の変化を補正する必要があると考えられる。そこで、同じく図8の操作パネル300から設定された推定経過時間の設定値を取得する(ステップS202)。
【0079】
次いで、取得した推定経過時間に対応する修正係数を取得する(ステップS204)。本実施例の観察時期補正処理においては、修正係数は、推定経過時間に対するテーブルの形式で、制御回路260に内蔵されたROMに予め記憶されている。
【0080】
図13は、推定経過時間に対する修正係数が、CMYKの各色についてテーブルの形式で予め設定されている様子を概念的に示した説明図である。一例として、Cインクについて説明する。Cインクは、印刷媒体P上に吐出されてから24時間を経過すると、ほぼ完全に安定した状態となる。このことと対応して、Cインクの修正係数は、印刷直後では「1.0」よりも小さな値となるが、時間の経過とともにほぼ直線的に増加していき、印刷後から24時間が経過した後は「1.0」で安定した値となる。
【0081】
尚、印刷後、インクが完全に安定な状態となるまでに要する時間は、常に24時間であるとは限らず、インクの種類や印刷媒体との組合せによって種々の値を取り得る。また、印刷後、インクが安定するまでの修正係数は、必ずしも直線的に増加するとは限らず、若干、上に凸な形状で(すなわち、印刷直後は比較的傾きが急で、時間の経過とともに傾きが緩やかになり、最後は修正係数の値「1.0」の直線にほぼ漸近するように)増加する場合もある。図13に示したように、修正係数がテーブルの形式で設定されていれば、推定経過時間に対して曲線的に増加する場合でも、適切な修正係数を設定することができる。もっとも、大まかに見れば、修正係数は推定経過時間に対してほぼ直線的に増加すると言うことができる。従って、推定経過時間を変数とする一次関数によって修正係数を近似することとしても、実用上は大きな弊害が生じることはない。
【0082】
図14は、推定経過時間を変数とする一次関数によって修正係数を算出するための近似式を示した説明図である。図中に示した係数pは、推定経過時間に対する修正係数の傾きを表しており、定数qは、印刷直後の修正係数を表している。このような近似式を用いれば、推定経過時間に対する修正係数を直ちに算出することができる。また、算出した修正係数の値が「1.0」を越えた場合は、修正係数を「1.0」とすればよい。結局、図14に示した近似式を用いて修正係数を算出することとすれば、インクの種類毎に2つの定数p,qを記憶しておけば良いので、メモリ容量を大幅に節約可能でありながら、迅速に修正係数を得ることが可能となる。
【0083】
図12に示した観察時期補正処理のステップS204では、図13に示した変換テーブルを参照することにより、あるいは、図14に示した近似式を用いて算出することにより、ステップS202で取得した推定経過時間に対応する修正係数を取得する処理を行う。尚、図13に示した変換テーブル、あるいは図14に示した近似式の設定方法については後述する。
【0084】
以上のようにして推定経過時間に対応した修正係数を取得したら、色変換処理によって得られたインク量データに修正係数を乗算することによって、インク量データを補正する(ステップS206)。このような観察時期補正処理が行われる結果、観察時期設定処理(図7のステップS100)において、印刷直後に観察する旨が設定されている場合はインク量が少なめに補正され、観察するまでの時間が長くなるほどインク量が増加し、最終的には補正する前のインク量と一致するように、インク量データが補正されることになる。
【0085】
こうしてインク量データを補正したら、図12の観察時期補正処理を抜けて、図7の画像印刷処理に復帰する。前述したように、画像印刷処理では、補正されたインク量データに対してハーフトーン処理が行われ、得られたドットデータに従ってインク滴が吐出されて画像が印刷される。前述したように、インク量データの補正に用いた修正係数は、推定経過時間に対して設定されている。このため、画像の印刷後、推定経過時間が経過した時点で、ちょうど正しい色彩が得られるように画像を印刷することが可能となる。以下では、推定経過時間に対して適切な修正係数を設定する方法について説明する。
【0086】
E.修正係数の設定方法 :
推定経過時間に対する修正係数は、実験的な手法によって設定することができる。修正係数の設定に際しては、先ず、C,M,Y,K各色の画像を印刷し、印刷後、時間の経過とともに色彩が変化する様子を測定する。
【0087】
図15は、インク量を段階的に変えながらCMYK各色の測色用画像を印刷した様子を示している。図中に「%」で示した数値はインク量を相対的に示した値であり、「100%」の画像は最大インク量で印刷された画像であることを示しており、「50%」の画像は最大インク量の半分のインク量で印刷された画像であることを表している。尚、「0%」の画像は、インクが付着していない状態、すなわち印刷用紙の地色のままの画像を表している。修正係数の設定に際しては、このような測色用の画像を印刷して、印刷直後の測色値を測定する。その後は、時間の経過とともに、測色用画像の測色値を測定して、時間の経過による測色値の変化を取得する。
【0088】
図16は、測色用画像の測色値が時間の経過とともに変化する様子を示した説明図である。図15に示したように、測色用画像はC,M,Y,Kの各色の画像が印刷されるが、図16では、一例としてC色の画像についての測定した明度(L*)の変化を示している。尚、ここでは、明度に関する測色値であるL*を測定したが、色彩に関する測色値であるa*、またはb*を測定することも可能である。図16中に示した一点鎖線は、印刷直後に測定した各インク量の画像のL*値を示している。また、図中の破線は、印刷後1時間経過時点で測定したL*値を示している。更に、図中の実線は、印刷後24時間経過時点で測定したL*値を示している。図示されているように、印刷直後は、印刷媒体がインクで湿った状態となっていることに対応して、若干、暗めの(L*値が低い)画像になっているが、時間が経過してインクの乾燥が進むにつれて、L*値が少しずつ上昇して、画像が明るく(L*値が高く)なって行く。そして、印刷後24時間経過した頃に、ほぼ安定したL*値となる。尚、色変換処理によって得られるインク量データは、通常、インクが乾燥した時に正しい色彩が得られるようなインク量データとなっている。
【0089】
今、ある画像を「a%」のインク量で印刷すると、インクが完全に乾燥した状態で正しい色彩が得られるものとする。図16に示した測色結果によれば、印刷後1時間経過したときに正しい色彩が得られるようにするためには、「b%」のインク量で印刷すればよい。また、印刷直後に正しい色彩が得られるようにするためには、「c%」のインク量で印刷すればよい。更に、「a%」の値を変更しながらこうした操作を行えば、印刷後1時間経過したときに正しい色彩を得るためのインク量「b%」、あるいは印刷直後に正しい色彩を得るためのインク量「c%」を求めることができる。こうして、あらゆるインク量「a%」に対応するインク量「b%」、およびあらゆるインク量「a%」に対応するインク量「c%」を求めることができ、これらの関係から、インクが完全に乾燥した時と同等の色彩をインクが乾く前に表現するためには、インク量をどの程度抑制しておけばよいか把握することが可能となる。
【0090】
尚、画像を長時間(例えば24時間以上)放置しても測色値が安定しない場合には、色変換テーブルを設定するために測色したときと同じ時間放置したときの画像を、基準として用いればよい。
【0091】
図17は、インクが完全に乾燥した状態で得られる色彩を、インクが乾く前に表現するためには、インク量をどの程度抑制しておけばよいかを示した説明図である。図中に破線で示した直線は、インク量「a%」とインク量「b%」との対応関係を示している。また、図中に一点鎖線で示した直線は、インク量「a%」とインク量「c%」との対応関係を示している。図示された関係から、印刷後1時間経過した時点で、インクが完全に乾いた状態と同等の色彩を表現するためには、色変換処理で得られたインク量データに、係数「α」を乗算しておけばよいことが分かる。換言すれば、この係数「α」が推定経過時間が1時間の場合に修正係数となっている。同様に、インクが完全に乾いた状態と同等の色彩を、印刷直後に得るためには、色変換処理で得られたインク量データに、係数「β」を乗算しておけばよいことが分かる。従って、この係数「β」が、推定経過時間0時間の時の修正係数となっている。図17では、印刷後1時間経過時点、および印刷直後の結果しか示されていないが、種々の経過時間について同様の操作を行えば、それぞれの経過時間について修正係数を得ることが可能である。
【0092】
図18は、種々の経過時間について、修正係数を求めた結果を示した説明図である。図示されているように、修正係数は、印刷直後についての値が最も小さく、印刷後時間が経過するにつれてほぼ直線的に増加し、修正係数の値が「1.0」になると安定する挙動を示す。図13に示した変換テーブルは、このようにして予め求めておいた修正係数を、推定経過時間に対する変換テーブルの形式で記憶したものである。また、図18に示した経過時間と修正係数との関係を、経過時間を変数とする1次式として近似すれば、図14に示した近似式を得ることができる。そして、これら変換テーブルあるいは近似式を用いれば、推定経過時間から速やかに修正係数を求めることができ、色変換処理によって得られたインク量データに修正係数を乗算することによってインク量データを補正しておけば、インクが完全に乾く前でも、正しい色彩の画像を簡単に印刷することが可能となるのである。
【0093】
以上、各種の実施例について説明したが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本実施例の印刷装置の概要を示した説明図である。
【図2】本実施例の印刷装置の外観形状を示す斜視図である。
【図3】印刷画像を読み込むために印刷装置の上部に設けられた原稿台カバーを開いた様子を示す説明図である。
【図4】スキャナ部の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。
【図5】本実施例の印刷装置の内部構成を概念的に示した説明図である。
【図6】各色のインク吐出ヘッドにインク滴を吐出する複数のノズルが形成されている様子を示した説明図である。
【図7】本実施例の印刷装置が画像データを読み込んで画像を印刷する画像印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】操作パネルの液晶画面上で画像の観察時期を設定している様子を例示した説明図である。
【図9】色変換処理のために参照される色変換テーブル(LUT)を概念的に示した説明図である。
【図10】ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。
【図11】ディザマトリックスを参照しながら画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。
【図12】本実施例の観察時期補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】推定経過時間に対する修正係数がCMYKの各色についてテーブルの形式で予め設定されている様子を概念的に示した説明図である。
【図14】推定経過時間を変数とする一次関数によって修正係数を算出するための近似式を示した説明図である。
【図15】インク量を段階的に変えながらCMYK各色の測色用画像を印刷した様子を示した説明図である。
【図16】測色用画像の測色値が時間の経過とともに変化する様子を示した説明図である。
【図17】インクが完全に乾燥した状態で得られる色彩をインクが乾く前に表現するためにはインク量をどの程度抑制しておけばよいかを示した説明図である。
【図18】種々の経過時間について修正係数を求めた結果を示した説明図である。
【符号の説明】
【0095】
10…印刷装置、 12…インク吐出ヘッド、 100…スキャナ部、
200…プリンタ部、 240…印刷キャリッジ、 241…印字ヘッド、
242…インクカートリッジ、 243…インクカートリッジ、
244…インク吐出ヘッド、 260…制御回路、 300…操作パネル




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013