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発明の名称 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21911(P2007−21911A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−207597(P2005−207597)
出願日 平成17年7月15日(2005.7.15)
代理人 【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
発明者 柳澤 功 / 稲岡 靖雄 / 大脇 寛成 / 五十嵐 義弘
要約 課題
ノズルプレートと接合部材とが高精度に位置決め固定され、且つノズルプレートの除電を良好に行うことができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。

解決手段
液体噴射ヘッド本体200のノズルプレート208と接合部材300とがそれぞれ導電材料からなると共にこれらノズルプレート208と接合部材300とが接着層350を介して接合され、且つノズルプレート208と接合部材300とが接着層350の少なくとも一部に含まれる粒状固体351に当接した状態で固定されると共に、当該接着層350の少なくとも一部が金属微粉末を含有するペースト接着剤で形成された導電接着層353で構成されノズルプレート208と接合部材300とが導電接着層353を介して電気的に接続されているようにする。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数のノズルが形成されたノズルプレートを有する液体噴射ヘッド本体と、前記ノズルに対応する領域に開口を有し前記液体噴射ヘッド本体の前記ノズルプレート側に接着される接合部材とを有し、
前記液体噴射ヘッド本体の前記ノズルプレートと前記接合部材とがそれぞれ導電材料からなると共にこれらノズルプレートと接合部材とが接着層を介して接合され、且つ前記ノズルプレートと前記接合部材とが前記接着層の少なくとも一部に含まれる粒状固体に当接した状態で固定されると共に、当該接着層の少なくとも一部が金属微粉末を含有するペースト接着剤で形成された導電接着層で構成され前記ノズルプレートと前記接合部材とが当該導電接着層を介して電気的に接続されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1において、前記導電接着層が、前記接合部材周縁部の、隣接する前記液体噴射ヘッド本体間に対応する領域に設けられ、前記接着層の前記導電接着層以外の部分が、絶縁性を有する粒状固体を含有する接着剤からなる絶縁接着層で構成されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1において、前記接着層が前記導電接着層のみで構成され、且つ当該導電接着層を形成する前記ペースト接着剤が粒状固体を含有していることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記ペースト接着剤の主剤が、エポキシ樹脂であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記接合部材が、前記液体噴射ヘッド本体の前記ノズルプレート側に当該液体噴射ヘッド本体を実質的に覆うように設けられるカバーヘッドであることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記液体噴射ヘッドを複数有すると共に前記液体噴射ヘッドの前記ノズルプレート側にこれら複数の液体噴射ヘッドを実質的に覆うように設けられるカバーヘッドをさらに有し、且つ前記接合部材が前記カバーヘッドの内側に設けられて複数の前記液体噴射ヘッドが所定の間隔で位置決め固定される固定板であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記接合部材がプレス加工によって形成されたものであることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかの液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルプレートに穿設されたノズルから液滴を吐出する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、ノズルと連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板上に設けられた圧電素子の変位によりノズルからインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧電素子、あるいは発熱素子等によって液体に圧力を付与することで、ノズルから液滴を吐出する液体噴射ヘッドが知られており、その代表例としては、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。また、このようなインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、インクに圧力を付与するための圧力変換素子等を有するインク室本体上に、インク滴が吐出されるノズルを有するノズルプレートが接合され、このノズルプレート上に、例えば、接着剤等からなる接着層を介して接合部材である保護プレートが接合された構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、このような構造のインクジェット式記録ヘッドでは、各ノズルと紙などの記録媒体との距離が異なると、各ノズルから吐出されるインク滴の飛行距離が変わり、インク滴が記録媒体の所定位置に着弾せず、印刷品位の低下の原因となってしまうという問題がある。
【0004】
上記特許文献1に記載のインクジェット式記録ヘッドのように、インク室本体及びノズルプレート上に、例えば、接着剤からなる接着層を介して保護プレートを接合した場合、ノズルプレートと保護プレートとを高精度に位置決めすることが難しく、結果として各ノズルと記録媒体との距離が均一にならずに上述したような印刷品質の低下を招いてしまうという問題がある。また、このように接着剤からなる接着層を介してノズルプレート及びインク室本体と保護プレートとを接着すると、接着時に未硬化の接着剤が意図しない場所に流れ出してしまい、様々な弊害が生じる虞もある。なお、接着層としてフィルム接着剤を用いることもあるが、このようなフィルム接着剤を用いるとノズルプレートと保護プレートとの間隔は比較的均一にすることはできるかもしれないが、何れにしても高精度な位置決めは難しいため印刷品質の低下を招いてしまう。また、フィルム接着剤を用いた場合、コストが高くなってしまうという問題もある。
【0005】
さらに、このようなインクジェット式記録ヘッドでは、記録紙などの記録媒体や外部からの静電気によってインクジェット式記録ヘッドを構成する金属部品が帯電し、インクに圧力を付与するための圧力変換素子等や、この圧力変換素子等を駆動するためのドライバIC等が破壊されてしまう虞がある。ノズルプレートが金属材料等で形成されている場合は、特にこのような問題が生じやすい。例えば、特許文献1に記載のインクジェット式記録ヘッドでは、保護プレートとグランドラインとの導通を取り、ノズルプレートの帯電を抑えている。このような構造によってもノズルプレートの帯電をある程度防止することはできるが、ノズルプレートが金属材料等の導電材料で形成されている場合には、保護プレートのみをグランドラインに接続しても、ノズルプレートの除伝を十分に行うことができない虞がある。
【0006】
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、勿論、インク以外を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0007】
【特許文献1】特開平5−201000号公報(第1図、第3〜第4頁等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、ノズルプレートと接合部材とが高精度に位置決め固定され、且つノズルプレートの除電を良好に行うことができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、複数のノズルが形成されたノズルプレートを有する液体噴射ヘッド本体と、前記ノズルに対応する領域に開口を有し前記液体噴射ヘッド本体の前記ノズルプレート側に接着される接合部材とを有し、前記液体噴射ヘッド本体の前記ノズルプレートと前記接合部材とがそれぞれ導電材料からなると共にこれらノズルプレートと接合部材とが接着層を介して接合され、且つ前記ノズルプレートと前記接合部材とが前記接着層の少なくとも一部に含まれる粒状固体に当接した状態で固定されると共に、当該接着層の少なくとも一部が金属微粉末を含有するペースト接着剤で形成された導電接着層で構成され前記ノズルプレートと前記接合部材とが当該導電接着層を介して電気的に接続されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第1の態様では、各ノズルと記録媒体との距離が略均一になり印刷品質が向上すると共に、ノズルプレートと接合部材とが電気的に確実に接続されるため、ノズルプレートを比較的容易且つ確実に除電することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記導電接着層が、前記接合部材周縁部の、隣接する前記液体噴射ヘッド本体間に対応する領域に設けられ、前記接着層の前記導電接着層以外の部分が、絶縁性を有する粒状固体を含有する接着剤からなる絶縁接着層で構成されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第2の態様では、ノズルプレートと接合部材とが、比較的広い領域に形成された絶縁接着層によって高精度に位置決めされた状態で固定され、且つ導電接着層によって電気的に確実に接続される。また、導電接着層がインクと接触することがないため、電気分解が発生することもない。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記接着層が前記導電接着層のみで構成され、且つ当該導電接着層を形成する前記ペースト接着剤が粒状固体を含有していることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第3の態様では、ノズルプレートと接合部材とが、導電接着層によって電気的に確実に接続され、且つ高精度に位置決めされた状態で固定される。
【0012】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記ペースト接着剤の主剤が、エポキシ樹脂であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第4の態様では、ノズルプレートと接合部材とが良好に接着固定される。
【0013】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記接合部材が、前記液体噴射ヘッド本体の前記ノズルプレート側に当該液体噴射ヘッド本体を実質的に覆うように設けられるカバーヘッドであることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第5の態様では、カバーヘッドがグランドラインに接続され、このカバーヘッドを介してノズルプレートが良好に除電される。
【0014】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記液体噴射ヘッドを複数有すると共に前記液体噴射ヘッドの前記ノズルプレート側にこれら複数の液体噴射ヘッドを実質的に覆うように設けられるカバーヘッドをさらに有し、且つ前記接合部材が前記カバーヘッドの内側に設けられて複数の前記液体噴射ヘッドが所定の間隔で位置決め固定される固定板であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第6の態様では、固定板がグランドラインに接続され、この固定板を介してノズルプレートが良好に除電される。
【0015】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記接合部材がプレス加工によって形成されたものであることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第7の態様では、接合部材に設けられる開口部分にバリが生じてしまった場合でも、ノズルプレートと接合部材とを良好に接合される。
【0016】
本発明の第8の態様は、第1〜7の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第8の態様では、液滴を良好に吐出することができ且つ静電気による不良の発生を防止し、信頼性及び耐久性を向上した液体噴射装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの組立斜視図であり、図3は、その要部断面図である。
【0018】
図示するように、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド1(以下、記録ヘッドという)は、カートリッジケース100と、インクジェット式記録ヘッド本体200(以下、記録ヘッド本体という)と、固定板300と、カバーヘッド400とで構成されている。カートリッジケース100は、インク供給手段であるインクカートリッジ(図示なし)がそれぞれ装着されるカートリッジ装着部101を有する。また、カートリッジケース100の底面には、一端が各カートリッジ装着部101に開口し、他端が記録ヘッド本体200側に開口する複数のインク連通路102が設けられている。さらに、カートリッジ装着部101のインク連通路102の開口部分には、インクカートリッジに挿入されるインク供給針103が固定されている。
【0019】
このようなカートリッジケース100の底面側には、所定間隔で位置決めされた複数、本実施形態では4つの記録ヘッド本体200(4つ(複数)の記録ヘッド本体200で「記録ヘッドユニット」と適宜記載する)が固定されている。これら記録ヘッド本体200は、本実施形態では、各色のインクに対応して設けられ、固定板300に位置決め接着された状態でカートリッジケース100の底面側に設けられている。
【0020】
ここで、記録ヘッド本体200の構成について説明する。図4は、記録ヘッド本体の分解斜視図であり、図5は、記録ヘッド本体の断面図である。図4及び図5に示すように、記録ヘッド本体200を構成する流路形成基板201は、本実施形態では、シリコン単結晶基板からなり、その一方面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる弾性膜202が形成されている。この流路形成基板201には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の圧力発生室203が形成されている。例えば、本実施形態では、流路形成基板201に、圧力発生室203が幅方向に並設された列が2列形成されている。また、各列の圧力発生室203の長手方向外側には、後述する保護基板に設けられるリザーバ部と連通し、各圧力発生室203の共通のインク室となるリザーバ204を構成する連通部205が形成されている。また、連通部205は、インク供給路206を介して各圧力発生室203の長手方向一端部とそれぞれ連通されている。
【0021】
また、流路形成基板201の開口面側には、各圧力発生室203のインク供給路206とは反対側で連通するノズル207が穿設されたノズルプレート208が接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。このノズルプレート208は、例えば、金属材料等の導電材料によって形成されており、本実施形態では、ノズルプレート208の材料として、ステンレス鋼(SUS)を用いている。
【0022】
一方、流路形成基板201の表面に形成された弾性膜202上には、例えば、白金、イリジウム等の金属材料からなる下電極膜209と、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層210と、例えば、イリジウム等の金属材料からなる上電極膜211とからなる圧電素子212が形成されている。
【0023】
さらに、このような圧電素子212が形成された流路形成基板201上には、圧電素子212に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部213を有する保護基板214が接合されている。また、この保護基板214には、上述したように流路形成基板201の連通部205と連通されて各圧力発生室203の共通のインク室となるリザーバ204を構成するリザーバ部215が形成されている。
【0024】
また、保護基板214上には、各圧電素子212を駆動するための駆動IC216が実装されている。この駆動IC216の各端子は、図示しないが、ボンディングワイヤ等を介して各圧電素子212の個別電極から引き出されたリード電極と接続されている。そして、駆動IC216の各端子には、図1に示すような、フレキシブルプリントケーブル(FPC)等の外部配線217が接続され、この外部配線217を介して印刷信号等の各種信号が供給されるようになっている。
【0025】
さらに、保護基板214上のリザーバ204に対応する領域には、コンプライアンス基板218が接合されている。このコンプライアンス基板218には、リザーバ204に対応する領域に、他の領域よりも厚さが薄く可撓部219が設けられており、リザーバ204内の圧力変化が、この可撓部219が変形することで吸収されるようになっている。また、コンプライアンス基板218には、リザーバ204に連通するインク導入口220が形成されている。
【0026】
さらに、コンプライアンス基板218上には、このインク導入口220に連通すると共にカートリッジケース100のインク連通路102に連通するインク供給連通路221が設けられたヘッドケース222が接合されている。そして、これらインク連通路102、インク供給連通路221及びインク導入口220を介してインクがリザーバ204内に供給されるようになっている。またこのヘッドケース222には、駆動IC216に対向する領域に、厚さ方向に貫通する駆動IC保持部223が設けられており、図示しないが、この駆動IC保持部223内には各駆動IC216を覆うようにポッティング剤が充填される。
【0027】
なお、このような記録ヘッド本体200は、リザーバ204からノズル207に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC216からの記録信号に従い、圧力発生室203に対応するそれぞれの圧電素子212に電圧を印加し、弾性膜202及び圧電素子212をたわみ変形させて各圧力発生室203内のインクに圧力を付与することにより、ノズル207からインク滴を吐出させる。
【0028】
そして、このような記録ヘッド本体200は、図6に示すように、所定間隔で高精度に位置決めされた状態で固定板300に接着固定されている。この固定板300には、ノズル207を露出する露出開口部301が、例えば、各記録ヘッド本体200に対応して設けられており、各記録ヘッド本体200を構成するノズルプレート208の周縁部に接着層350を介して接合されている。また、固定板300は、ノズルプレート208と同様に、例えば、金属材料等の導電材料からなる。なお、本実施形態では、固定板300の材料として、ノズルプレート208と同一の材料であるステンレス鋼(SUS)を用いている。すなわち、ノズルプレート208と固定板300とは、何れも導電性を有している。また、固定板300の形成方法は、特に限定されないが、プレス加工によって形成すればよい。プレス加工で固定板300を形成した場合、露出開口部301の周囲にバリが生じるが、後述するようにこのバリは除去しなくてもよいため、製造効率が向上する。
【0029】
また、各記録ヘッド本体200のノズルプレート208と固定板300とを接着する接着層350は、本実施形態では、樹脂材料等の主材料に絶縁性を有する材料からなる粒状固体351が混練された絶縁接着層352と、樹脂材料等の主材料に金属微粉末が混練されたペースト接着剤からなる導電接着層353とで構成されている。そして、各ノズルプレート208と固定板300とはこの導電接着層353を介して導通が図られている。すなわち、各ノズルプレート208と固定板300とは、絶縁接着層352の粒状固体351に当接して所定位置に位置決めされた状態で固定され、且つ導電接着層353によって電気的に接続されている。
【0030】
ここで、図7に示すように、接着層350は、本実施形態では、固定板300の周縁部の、隣接する記録ヘッド本体200間、すなわち、露出開口部301間に対応する領域に設けられる導電接着層353と、この導電接着層353以外の領域、具体的には、固定板300の各開口301の周縁部に設けられた絶縁接着層352とで構成されている。
【0031】
この絶縁接着層352に含まれる粒状固体351の材料は、ノズルプレート208と固定板300との接合時に潰されない程度の剛性を有するものであればよく、例えば、本実施形態では、二酸化シリコン(シリカ)を用いている。また、粒状固体351の形状は、特に限定されないが、球状であることが好ましい。また、この絶縁接着層352には、直径の異なる複数種類の粒状固体351が含有されていることが好ましく、本実施形態では、直径が最大で5μm程度の複数種類の粒状固体351が含有されている。
【0032】
一方、導電接着層353に含まれる金属微粉末の種類(材料)は、特に限定されないが、比較的導電性の高い金属であることが好ましく、例えば、本実施形態では、銀(Ag)を用いている。
【0033】
また、絶縁接着層352及び導電接着層353の主材料は、特に限定されないが、何れもインクに対する耐性(耐インク性)を有するものであることが好ましく、例えば、エポキシ樹脂が好適に用いられる。また、導電接着層353の抵抗値は10Ω以下、特に2Ω以下となっていることが好ましい。なお、導電接着層353の抵抗値は、金属微粉末の含有量によって調整すればよい。
【0034】
このような構成では、絶縁接着層352によってノズルプレート208と固定板300とを高精度に位置決めした状態で固定することができ、且つ導電接着層353によって、これらノズルプレート208と固定板300とを電気的に良好に接続することができる。そして、固定板300は、図示しないグランドラインと電気的に接続されているため、例えば、紙送りによる摩擦等によってもノズルプレート208が帯電するのを確実に防止することができる。したがって、ノズルプレート208の帯電に起因して、すなわち、ノズルプレート208に蓄積された静電気によって、圧電素子212等が破壊されてしまうのを確実に防止することができる。また本実施形態では、ノズル207が露出される固定板300の露出開口部301の周囲には、絶縁接着層352が設けられているため、導電接着層353がインクに接触することがなく、導電接着層353に含まれる金属が電気分解することもない。
【0035】
また、ノズルプレート208と固定板300との間隔は、実質的に絶縁接着層352に含まれる粒状固体351の直径によって決まるが、両者を接着する際の加圧力を変化させることで、各記録ヘッド本体200を構成する各部材が有する僅かな厚みの違いなどによってノズル207と紙面への距離が異なっていることがあったとしても、これらの間隔、すなわち絶縁接着層352の厚さを調整することができる。特に、本実施形態では、絶縁接着層352に直径の異なる複数種類の粒状固体351を含有させているため、ノズルプレート208と固定板300との間隔をより容易に調整することができる。また、ノズルプレート208と固定板300との面方向での位置合わせも容易に行うことができる。
【0036】
これにより、各記録ヘッド本体200のノズルプレート208と固定板300とを高精度に位置決めして、各ノズル207と記録媒体との距離を略均一とすることができる。すなわち、記録ヘッドユニットとして各ノズル207から記録媒体までのインク滴の飛行距離を略一定とすることができる。したがって、印刷品質が大幅に向上する。
【0037】
さらに、絶縁接着層352が粒状固体351を含有することによって、接着層350は少なくとも粒状固体351の最大粒径以上の厚さで形成されるため、接着層350(基材である樹脂材料)の流れ出し量が大幅に抑えられるため、意図しない場所に接着層350が付着することによる弊害の発生を防止することができる。
【0038】
また、このようにノズルプレート208と固定板300との間には所定の間隔が確保されるため、固定板300をプレス加工によって露出開口部301の周囲にバリが生じていても、固定板300のバリが生じている面にノズルプレート208を接合することで、両者を良好に接合することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、絶縁接着層352と導電接着層353とからなる接着層350によってノズルプレート208と固定板300とを接合するようにしたが、これに限定されず、例えば、銀(Ag)等の金属微粉末を含有するペースト接着剤で形成される導電接着層のみからなる接着層によって、これらノズルプレート208と固定板300とを接合するようにしてもよい。ただし、この場合には、導電接着層となるペースト接着剤に、上述したような粒状固体が混練する。
【0040】
なお、このように固定板300に固定された複数の記録ヘッド本体200の周囲には、図1及び図2に示すように、これら複数の記録ヘッド本体200をインク等から保護するためのカバーヘッド400が設けられている。このカバーヘッド400は、固定板300の露出開口部301に対応して開口部401を有するが、それ以外の領域では実質的に記録ヘッド本体200を覆って設けられている。
【0041】
カバーヘッド240の材料は、特に限定されず、ノズルプレート208等と同様に、例えば、金属材料等の導電性材料を用いてもよい。導電性材料を用いてカバーヘッド400を形成した場合、固定板300とカバーヘッド400とを電気的に接続し、カバーヘッド400にグランドラインを接続するようにしてもよい。また、このような構成とする場合には、ノズルプレート208と固定板300との接合と同様に、接着層によってカバーヘッド400と固定板300とを接合するのが望ましい。
【0042】
このようなカバーヘッド400は、本実施形態では、記録ヘッド本体200が固定されたカートリッジケース100に固定されている。詳しくは、図2及び図3に示すように、カバーヘッド400は、記録ヘッド本体200側の端部にフランジ部402を有し、このフランジ部402には、当該フランジ部402を貫通する固定孔403が設けられている。一方、カートリッジケース100の記録ヘッド本体200側の面には、カバーヘッド400の固定孔403に対応する位置に突起部104が設けられている。そして、このカートリッジケース100の突起部104をカバーヘッド400の固定孔403に挿入し、この突起部104の先端を加熱してかしめることによって、カバーヘッド400をカートリッジケース100に固定している。
【0043】
なお、このような構成の記録ヘッド1は、インクジェット式記録装置に搭載される。図8は、インクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図8に示すように、記録ヘッド本体を有する記録ヘッド1A及び1Bには、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられてキャリッジ3に搭載される。記録ヘッド1A,1Bが搭載されたキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1が搭載されたキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
【0044】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、各記録ヘッド本体200のノズルプレート208に接合される接合部材として、固定板300を例示したが、接合部材はこれに限定されず、例えば、カバーヘッド400が接合部材として機能するようにしてもよい。すなわち、固定板300を設けずに、各記録ヘッド本体200を導電材料からなるカバーヘッド400に接着層350を介して接合するようにしてもよい。
【0045】
また、上述の本実施形態では、絶縁接着層352に、直径の異なる複数種類の粒状固体351を意図的に含有させるようにしたが、勿論、この絶縁接着層352には、略均一な直径の粒状固体を含有させるようにしてもよい。このような絶縁接着層であっても、ノズルプレート208と固定板300(接合部材)とを高精度に位置決めして良好に接合することができる。
【0046】
なお、上述の実施形態では、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドを例示して本発明を説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】実施形態1に係る記録ヘッドの組立斜視図である。
【図3】実施形態1に係る記録ヘッドの要部断面図である。
【図4】実施形態1に係る記録ヘッド本体の要部の分解斜視図である。
【図5】実施形態1に係る記録ヘッド本体の断面図である。
【図6】実施形態1に係る記録ヘッドの要部を示す断面図である。
【図7】接着層の形成領域を示す平面図である。
【図8】実施形態1に係る記録装置の概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1 記録ヘッド、 100 カートリッジケース、 200 記録ヘッド本体、 300 固定板、 350 接着層、 351 粒状固体、 352 絶縁接着層、 353 導電接着層、 400 カバーヘッド




 

 


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