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発明の名称 印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21811(P2007−21811A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−204523(P2005−204523)
出願日 平成17年7月13日(2005.7.13)
代理人 【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
発明者 蜜澤 豊彦
要約 課題
インクの乾燥時間の差による画像への光沢ムラの発生を抑える。

解決手段
ノズルが往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて画像を形成する際に、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動されたノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の移動方向における両側の移動開始位置のうち、ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、ノズルを移動させる第2画像形成モードと、のいずれか一方の画像形成モードにて画像を形成させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
(a)移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズル、
(b)前記ノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて前記画像を形成する際に、
ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、
ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、のいずれか一方の画像形成モードにて画像を形成させるためのコントローラ、
(c)を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記第1画像形成モードでは、前記移動動作にてノズルが移動される移動領域を一定にすることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にすることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記移動領域は、複数回の移動動作において前記画像を形成するために前記ノズルが移動しなければならない領域をすべて含む領域であって、前記移動方向における距離が最短となる領域であることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の印刷装置において、
前記第1画像形成モードでは、往路及び復路のうちいずれか一方向への移動の際にインクを吐出することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記ノズルが移動可能な領域内であって、前記移動方向における前記媒体の外側の領域に、前記ノズルから強制的にインクを吐出させるためのインク排出領域を有し、
所定時間が経過した後の移動動作において、前記画像を形成するために前記ノズルが移動した後に前記ノズルが前記インク排出領域に移動されて強制的にインクが吐出され、
前記移動領域は、前記インク排出領域への移動を含む移動動作における移動領域であることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置において、
前記インク排出領域にて強制的にインクが吐出される動作が実行されない前記移動動作では、前記ノズルの移動を停止させることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にすることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項5に記載の印刷装置において、
すべての前記移動動作の際に、前記インク排出領域にて強制的にインクを吐出させることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にすることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の印刷装置において、
前記1画像形成モードと、前記第2画像形成モードとを、ユーザーに選択させるための画像形成モード選択部を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
(a)移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズル、
(b)前記ノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて前記画像を形成する際に、
ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、
ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、のいずれか一方の画像形成モードにて画像を形成させるためのコントローラ、
(c)を有し、
(d)前記第1画像形成モードでは、前記移動動作にてノズルが移動される移動領域を一定し、
(e)前記移動領域は、複数回の移動動作において、前記画像を形成するために前記ノズルが移動しなければならない領域をすべて含む領域であって、前記移動方向における距離が最短となる領域であり、
(f)前記第1画像形成モードでは、往路及び復路のうちいずれか一方向への移動の際にインクを吐出し、
前記ノズルが移動可能な領域内であって、前記移動方向における前記媒体の外側の領域に、前記ノズルから強制的にインクを吐出させるためのインク排出領域を有し、
所定時間が経過した後の移動動作において、前記画像を形成するために前記ノズルが移動した後に前記ノズルが前記インク排出領域に移動されて強制的にインクが吐出され、
前記移動領域は、前記インク排出領域への移動を含む移動動作における移動領域であり、
前記インク排出領域にて強制的にインクが吐出される動作が実行されない前記移動動作では、前記ノズルの移動を停止させることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にし、
(g)前記1画像形成モードと、前記第2画像形成モードとを、ユーザーに選択させるための画像形成モード選択部を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズルを有する印刷装置にて、前記ノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて前記画像を形成する際に、
ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、
ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、
のいずれか一方の画像形成モードにて画像を形成させる機能を実現するためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
(A)コンピュータと、
(B)このコンピュータに接続され、
(a)移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズル、
(b)前記ノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に 所定の解像度にて前記画像を形成する際に、
ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一 定である第1画像形成モードと、
ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した 後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始 位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、 前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、のいずれか一方の画像形成モードに て画像を形成させるためのコントローラ、
(c)を有する印刷装置と、
(C)を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項12】
移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて前記画像を形成する際に、
ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、
ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、
の画像形成モードのうちユーザーにより選択された画像形成モードを特定するステップと、
特定された画像形成モードにて画像を形成するステップと、
を有することを特徴とする印刷方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズルを有する印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズルを有する印刷装置としては、例えばインクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタは、画像を印刷すべき用紙を搬送方向に搬送する搬送動作と、ノズルが設けられたキャリッジを搬送方向と交差する移動方向に往復移動させつつ、ノズルからインクを吐出させるインク吐出動作とを交互に繰り返して画像を印刷する。このとき、キャリッジは、必ずしも移動方向における用紙の全幅に亘って移動させる必要はない。すなわち、印刷すべき画像が、用紙の全領域に存在しないような場合には、画像を形成するために必要な領域のみキャリッジが移動すればよい。このため、画像のある領域を印刷するために実行した移動動作の次の移動動作にて画像を形成するためにキャリッジが移動しなければならない区間の両端のうち、前の移動動作にてキャリッジが停止した位置から、より短時間に移動可能な端側にキャリッジを移動させることとして、印刷速度を高めている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−34469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなインクジェットプリンタでは、1回の移動動作にてキャリッジが移動する距離が、複数回の移動動作において相違する場合があり、この場合には、キャリッジの移動時間が相違することになる。このとき、複数回の移動動作の間において、ある移動動作にて形成されたドットと次の移動動作にて形成されたドットとが隣接する場合には、後からインクが吐出される際に先に吐出されてドットを形成しているインクの乾燥時間が相違する。このように、1つの画像の中で、後にインクが吐出される際に先に吐出されているインクの乾燥状態が相違すると、印刷された画像表面の光沢が相違してしまい、印刷された画像を見る角度によっては、一部の領域の反射の違いにより均一な画質の画像に見えない。このため、特に画質を重視する画像を印刷する際には、所望の画像を印刷することができない畏れがあるという課題があった。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インクの乾燥時間の差による画像への光沢ムラの発生を抑えることが可能な印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主たる発明は、(a)移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズル、(b)前記ノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて前記画像を形成する際に、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、のいずれか一方の画像形成モードにて画像を形成させるためのコントローラ、(c)を有することを特徴とする印刷装置である。
【0006】
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0008】
(a)移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズル、(b)前記ノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて前記画像を形成する際に、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、のいずれか一方の画像形成モードにて画像を形成させるためのコントローラ、(c)を有することを特徴とする印刷装置。
【0009】
このような印刷装置によれば、第1画像形成モードと、第2画像形成モードとの、いずれの画像形成モードでも、所定の解像度にて画像を印刷することが可能である。このとき第1画像形成モードは、画像を形成する際に複数回実行される移動動作において、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定なので、いずれの移動動作の際にも、同一条件の下で画像が形成されるため全領域に亘って均一な画像が形成される。すなわち、互いに異なる移動動作にて隣接して形成されるドット間において、後にドットが形成される際に、先に吐出されたインクの乾燥状態の相違による画像表面の光沢ムラの発生を抑えることが可能である。また、第2画像形成モードは、ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させるので、第1画像形成モードより短時間に印刷することが可能である。
【0010】
かかる印刷装置において、前記第1画像形成モードでは、前記移動動作にてノズルが移動される移動領域を一定にすることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にすることが望ましい。
このような印刷装置によれば、各移動動作にてノズルが移動される移動領域を一定にすることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を容易に一定にすることが可能である。
【0011】
かかる印刷装置において、前記移動領域は、複数回の移動動作において前記画像を形成するために前記ノズルが移動しなければならない領域をすべて含む領域であって、前記移動方向における距離が最短となる領域であることが望ましい。
このような印刷装置によれば、移動領域には、複数回の移動動作において画像を形成するためにノズルが移動しなければならない領域がすべて含まれているので、画像が欠けることなく、印刷すべき画像の全領域を印刷することが可能である。また、移動領域は、移動方向における距離が最短となるように設定されるので、画像が欠けることなく、均一な画像を短時間にて印刷することが可能である。
【0012】
かかる印刷装置において、前記第1画像形成モードでは、往路及び復路のうちいずれか一方向への移動の際にインクを吐出することが望ましい。
このような印刷装置によれば、ノズルからインクが吐出される際には、ノズルが同じ方向に移動していることになる。すなわち、ノズルの移動方向における媒体上のいずれの位置であっても、ある移動動作にてノズルが通過した後、次の移動動作にてノズルが通過するまでの時間が一定となる。このため、往路及び復路のいずれの方向に移動している際にもインクを吐出する場合と比較して、より均一な画像を印刷することが可能である。
【0013】
かかる印刷装置において、前記ノズルが移動可能な領域内であって、前記移動方向における前記媒体の外側の領域に、前記ノズルから強制的にインクを吐出させるためのインク排出領域を有し、所定時間が経過した後の移動動作において、前記画像を形成するために前記ノズルが移動した後に前記ノズルが前記インク排出領域に移動されて強制的にインクが吐出され、前記移動領域は、前記インク排出領域への移動を含む移動動作における移動領域であることが望ましい。
インクを吐出するノズルは、安定してインクを吐出させるために、所定時間毎に強制的にインクが吐出させる場合があるが、強制的にインクを吐出させる位置は、当然のことながら媒体の外側の領域である。このため、ノズルから強制的にインクを吐出する際には、画像を形成する媒体から外れたインク排出領域にノズルを移動させるため、他の移動動作より移動距離が長くなる。このため、インク排出領域への移動を含む移動動作における移動領域を、第1画像形成モードにおいてノズルが移動する一定の領域とすることにより、ノズルから強制的にインクを吐出する動作を含む移動動作と、ノズルから強制的にインクを吐出する動作を含まない移動動作と、においてノズルを移動させるための制御を共通にしたので容易に制御することが可能である。
【0014】
かかる印刷装置において、前記インク排出領域にて強制的にインクが吐出される動作が実行されない前記移動動作では、前記ノズルの移動を停止させることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にすることが望ましい。
このような印刷装置によれば、ノズルの移動を停止させるだけで、ノズルから強制的にインクを吐出する動作を含む移動動作と、ノズルから強制的にインクを吐出する動作を含まない移動動作と、の間であっても、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にすることが可能である。
【0015】
かかる印刷装置において、すべての前記移動動作の際に、前記インク排出領域にて強制的にインクを吐出させることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にすることとしてもよい。
このような印刷装置によれば、いずれの移動動作時も、同じ動作を繰り返すことになるため、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を確実に一定にすることが可能である。また、各移動動作時にノズルからインクを強制的に吐出させることにより、常にインクを良好に吐出可能な状態にノズルを保つことが可能であり、より均一な画像を印刷することが可能である。
【0016】
かかる印刷装置において、前記1画像形成モードと、前記第2画像形成モードとを、ユーザーに選択させるための画像形成モード選択部を有することが望ましい。
このような印刷装置によれば、ユーザーは印刷する画像に応じて、所望の画像形成モードにて画像を印刷することが可能である。例えば、より高画質にて画像を印刷したい場合には画像形成モード選択部にて第1画像形成モードを選択し、高速にて画像を印刷したい場合には画像形成モード選択部にて第2画像形成モードを選択することが可能である。
【0017】
また、(a)移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズル、(b)前記ノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて前記画像を形成する際に、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、のいずれか一方の画像形成モードにて画像を形成させるためのコントローラ、(c)を有し、(d)前記第1画像形成モードでは、前記移動動作にてノズルが移動される移動領域を一定し、(e)前記移動領域は、複数回の移動動作において、前記画像を形成するために前記ノズルが移動しなければならない領域をすべて含む領域であって、前記移動方向における距離が最短となる領域であり、(f)前記第1画像形成モードでは、往路及び復路のうちいずれか一方向への移動の際にインクを吐出し、前記ノズルが移動可能な領域内であって、前記移動方向における前記媒体の外側の領域に、前記ノズルから強制的にインクを吐出させるためのインク排出領域を有し、所定時間が経過した後の移動動作において、前記画像を形成するために前記ノズルが移動した後に前記ノズルが前記インク排出領域に移動されて強制的にインクが吐出され、前記移動領域は、前記インク排出領域への移動を含む移動動作における移動領域であり、前記インク排出領域にて強制的にインクが吐出される動作が実行されない前記移動動作では、前記ノズルの移動を停止させることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にし、(g)前記1画像形成モードと、前記第2画像形成モードとを、ユーザーに選択させるための画像形成モード選択部を有することを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、既述のほぼすべての効果を奏するため、本発明の目的がより有効に達成される。
【0018】
また、移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズルを有する印刷装置にて、前記ノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて前記画像を形成する際に、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、のいずれか一方の画像形成モードにて画像を形成させる機能を実現するためのコンピュータプログラムも実現可能である。
【0019】
また、(A)コンピュータと、(B)このコンピュータに接続され、(a)移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズル、(b)前記ノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて前記画像を形成する際に、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、のいずれか一方の画像形成モードにて画像を形成させるためのコントローラ、(c)を有する印刷装置と、(C)を有することを特徴とする印刷システムも実現可能である。
【0020】
また、移動方向に移動されつつインクを吐出して画像を形成するためのノズルが前記移動方向に往復移動する移動動作を複数回実行して媒体に所定の解像度にて前記画像を形成する際に、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定である第1画像形成モードと、ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動された前記ノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の前記移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、前記ノズルを移動させる第2画像形成モードと、の画像形成モードのうちユーザーにより選択された画像形成モードを特定するステップと、特定された画像形成モードにて画像を形成するステップと、を有することを特徴とする印刷方法も実現可能である。
【0021】
===印刷装置の概要===
本発明にかかる印刷装置の一実施例として、インクジェットプリンタと、このインクジェットプリンタに接続されたコンピュータと、を有する印刷システムを例にとり、その概要について説明する。ここでは、印刷装置を、印刷システムとしているが、インクジェットプリンタ単体でも印刷装置を構成しうる。
【0022】
<印刷システム>
図1は、印刷システム100の構成を説明する図である。印刷システム100とは、インクジェットプリンタ1と、このインクジェットプリンタ1の動作を制御する印刷制御装置とを少なくとも含むシステムのことである。本実施形態の印刷システム100は、インクを吐出して媒体に画像を形成することにより印刷するインクジェットプリンタ(以下、プリンタという)1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有している。
【0023】
プリンタ1は、紙、布、フィルム、OHP用紙等の媒体に画像を印刷する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。
【0024】
<プリンタドライバ>
図2は、プリンタドライバが行う基本的な処理の概略的な説明図である。
コンピュータ110では、当該コンピュータ110に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ102やアプリケーションプログラム104、プリンタドライバ111などのコンピュータプログラムが動作している。ビデオドライバ102は、アプリケーションプログラム104やプリンタドライバ111からの表示命令に従って、例えばユーザーインターフェース等を表示装置120に表示する機能を有する。アプリケーションプログラム104は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザーは、アプリケーションプログラム104のユーザーインターフェースを介して、アプリケーションプログラム104により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム104は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ111に画像データを出力する。
【0025】
プリンタドライバ111は、アプリケーションプログラム104から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンタ1に出力する。ここで、印刷データとは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと単位領域データとを有するデータである。また、コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。また、「単位領域」とは、用紙等の媒体上に仮想的に定められた矩形状の領域を指し、印刷解像度に応じて大きさや形が定められる。例えば、印刷解像度が720dpi(移動方向)×720dpi(搬送方向)の場合、単位領域は、約35.28μm×35.28μm(≒1/720インチ×1/720インチ)の大きさの正方形状の領域になる。理想的にインク滴が吐出されると、この単位領域の中心位置にインク滴が着弾し、その後インク滴が広がって、単位領域にドットが形成される。そして、単位領域データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する単位領域に関するデータであり、例えば、ある単位領域に対応する用紙S上の位置に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
【0026】
プリンタドライバ111は、アプリケーションプログラム104から出力された画像データを印刷データに変換するために、解像度変換処理部112と、色変換処理部114と、ハーフトーン処理部116と、ラスタライズ処理部118とを備えている。
【0027】
解像度変換処理部112は、アプリケーションプログラム104から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、媒体としての用紙Sに印刷する際の解像度に変換する解像度変換処理を行う。解像度変換処理とは、例えば、紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム104から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。以下、画像データを解像度変換処理したRGBデータをRGB画像データと呼ぶ。
【0028】
色変換処理部114は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する色変換処理を行う。色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYKデータの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバが参照することによって行われる。なお、CMYKデータは、インクジェットプリンタ1が有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理により、各単位領域についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。以下、RGB画像データを色変換処理したCMYKデータをCMYK画像データと呼ぶ。
【0029】
ハーフトーン処理部116は、高階調数のデータを、インクジェットプリンタ1が形成可能な階調数のデータに変換するハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理とは、例えば、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換する処理のことである。
【0030】
ラスタライズ処理部118は、マトリクス状の画像データを、インクジェットプリンタ1に転送すべきデータ順に変更するラスタライズ処理を行う。これによりラスタライズ処理されたデータが、インクジェットプリンタ1に出力される。
【0031】
<プリンタドライバによる設定>
図3は、プリンタドライバ111のユーザーインターフェースの説明図である。このプリンタドライバ111のユーザーインターフェースは、ビデオドライバ102を介して、表示装置120に表示される。ユーザーは、入力装置130を用いて、画像形成モード選択部としてのユーザーインターフェースによりプリンタドライバ111の各種の設定を行うことができる。
【0032】
ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度(印刷する画像のドット間隔)、印刷する媒体の種類及びサイズ、及び、きれい、高精細、高品位等の印刷モード、など各種印刷条件を選択することができる。プリンタドライバ111は、選択された印刷条件に応じて上述したデータ変換処理を行い、画像データを印刷データに変換する。
【0033】
<プリンタ>
図4は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図5Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図5Bは、プリンタ1の全体構成の縦断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
【0034】
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及び制御部60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、制御部60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラとしての制御部60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、用紙Sに画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果を制御部60に出力する。制御部60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0035】
搬送ユニット20は、紙等の媒体を所定方向(以下、搬送方向という)に搬送するものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータともいう)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された用紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラである。プラテン24は、印刷中の用紙Sを支持する。排紙ローラ25は、用紙Sをプリンタ1の外部に排出するローラためのであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
【0036】
キャリッジユニット30は、ヘッド41を所定の移動方向に移動させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータともいう)と、を有する。キャリッジ31は、移動方向に設けられたガイド部46に沿って往復移動可能である。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を移動方向に移動させるためのモータである。
【0037】
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。ヘッド41は、複数のノズルを有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。このヘッド41は、キャリッジ31に設けられている。そのため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中に滴状のインク(以下、インク滴という)を断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドット列(ラスタライン)が用紙に形成される。
【0038】
図6は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル列411(K)と、シアンインクノズル列411(C)と、マゼンタインクノズル列411(M)と、イエローインクノズル列411(Y)が形成されている。各ノズル列は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個備えている。各ノズル列の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、用紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=4である。各ノズル列のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯180)。各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)とピエゾ素子(不図示)が設けられており、ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張されて、ノズルからインク滴が吐出される。
【0039】
また、プリンタ1には、キャリッジ31の移動可能な領域であって、用紙Sが搬送される領域の外側の所定位置にインク排出領域としてのインク排出部70が設けられている。インク排出部70は、ヘッド41に設けられたノズルの目詰まり等を防止するためにノズルから強制的にインクを吐出させる動作を実行させる際に、インクが吐出される領域である。インク排出部70は器状をなし、内部にはインクを吸収するための吸収体が設けられている。インク排出部70と対向する位置に移動してきたキャリッジ側に上昇してヘッド41を覆うキャップ機能を有しており、キャリッジ31が移動する際にはヘッド41から離れる方向に降下することが可能に形成されている。そして、プリンタ1が印刷していない状態では、インク排出部70は上昇してヘッド41を覆いノズル内のインクが乾燥することを防止している。このため、インク排出部70は、プリンタ1が印刷していない際にキャリッジ31が待機する位置、所謂ホームポジション側に設けられている。
【0040】
また、前記インク排出部70は、必ずしもキャップ機能を有している必要はない。すなわち、例えばノズルの目詰まり防止などのためにインクを吐出する、所謂フラッシング等の際にインクを吐出する領域としてインク排出部70を備え、この領域とは別にヘッドを覆うためのキャップ機構を設けても良い。このとき、インク排出部は、ホームポジション側であれば、用紙Sが搬送される領域と前記キャップ機構との間に、また、反ホームポジション側であれば前記用紙Sが搬送される領域の外側に、設けることが望ましい。このような位置にインク排出部を設けることにより、キャリッジ31をキャップ機構まで移動しなくてもフラッシングを行うことができる為、スループットを向上させることが可能である。
【0041】
以下の説明では、ホームポジション側にインク排出部70がある場合について説明する。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、及び、光学センサ54、等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出センサ53は、印刷される用紙Sの先端の位置を検出するためのものである。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている。光学センサ54は、発光部から用紙Sに照射された光の反射光を受光部が検出することにより、用紙の有無を検出する。
【0042】
制御部60は、プリンタの制御を行うための制御部である。制御部60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0043】
===印刷方法===
<印刷動作について>
図7は、印刷時の処理の概要を示すフロー図である。以下に説明される各処理は、制御部60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各処理を実行するためのコードを有する。
【0044】
印刷命令受信(S001):まず、制御部60は、コンピュータ110からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する。この印刷命令は、コンピュータ110から送信される印刷データのヘッダに印刷条件等の情報と共に含まれている。そして、制御部60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙処理・搬送処理・ドット形成処理等を行う。このとき、インターフェース部61を介して受信した印刷データに含まれる画像データがメモリ63内の受信バッファに取り込まれる。そして、受信バッファに取り込まれた画像データは、キャリッジ31が1回移動する移動動作の際に印刷される領域毎に、メモリ63内に設けられたイメージバッファに順次記憶される。
【0045】
給紙処理(S002):給紙処理とは、印刷すべき用紙Sをプリンタ内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置ともいう)に用紙Sを位置決めする処理である。制御部60は、給紙ローラ21や搬送ローラ23を回転させ、用紙Sを印刷開始位置に位置決めする。
【0046】
ドット形成処理(S003):ドット形成処理とは、移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、用紙S上にドットを形成する処理である。制御部60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31を移動方向に移動させ、キャリッジ31の移動中に、イメージバッファの画像データに含まれる単位領域毎の単位領域データに基づいてヘッド41からインクを吐出させる。ヘッド41から吐出されたインク滴が用紙S上に着弾すれば、用紙S上にドットが形成される。移動するヘッド41からインクが断続的に吐出されるので、用紙S上には移動方向に沿った複数のドットからなるドット列(ラスタライン)が形成される。
【0047】
搬送処理(S004):搬送処理とは、用紙Sをヘッド41に対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。制御部60は、搬送ローラ23を回転させて用紙Sを搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、次のドット形成処理時にドットを形成することが可能になる。
【0048】
排紙判断(S005):制御部60は、印刷中の用紙Sの排出(排紙)の判断を行う。印刷中の用紙に印刷すべきデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、制御部60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットにて構成される画像を徐々に用紙に印刷する。
【0049】
排紙処理(S006):印刷中の用紙に印刷すべきデータがなくなれば、制御部60は、排紙ローラを回転させることにより、その用紙を排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
【0050】
印刷終了判断(S007):次に、制御部60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の用紙に印刷を行うのであれば、印刷を続行し、次の用紙の給紙処理を開始する。次の用紙に印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
【0051】
===印刷モード===
本実施形態の印刷システムでは、画像を印刷する際の印刷モードとして、「はやいモード」「きれいモード」「高精細モード」「高品位モード」を有している。そして、これらの印刷モードは、ユーザーにより前述したユーザーインターフェースから指定される。「はやいモード」は、例えば360dpi×360dpi(移動方向の解像度×搬送方向の解像度)の印刷解像度にて画像を印刷する印刷モードである。「はやいモード」は、他の印刷モードと比較して画質は多少劣るが印刷速度が速いためテキスト等を印刷するのに適している印刷モードである。
【0052】
「高精細モード」は、例えば1440dpi×720dpi(移動方向の解像度×搬送方向の解像度)の印刷解像度にて画像を印刷する印刷モードである。「高精細モード」は、「はやいモード」「きれいモード」と比較して解像度が高く写真等の画像を印刷する際に適している。
【0053】
「きれいモード」は、例えば720dpi×720dpi(移動方向の解像度×搬送方向の解像度)の印刷解像度にて画像を印刷する印刷モードである。「きれいモード」は、「高精細モード」ほどの解像度はなく、「はやいモード」ほど印刷速度は速くないが、「はやいモード」より高画質な画像を「高精細モード」より短時間で印刷することが可能である。
【0054】
「高品位モード」は、例えば1440dpi×720dpi(移動方向の解像度×搬送方向の解像度)の印刷解像度にて画像を印刷する印刷モードである。「高品位モード」は、「高精細モード」と解像度は変わらないが、画像の全領域に亘って光沢にムラの発生を小さく抑えて印刷することが可能である。このため、画像が印刷された紙面を傾けて斜めの角度から画像を見ても、反射光の差が「高精細モード」より小さく、より良好な画像を印刷することが可能である。このため、写真等の画像を特に高画質に印刷したい場合等に用いられる。
【0055】
ところで、「高品位モード」と「高精細モード」とによって印刷された画像の違いとして現れる光沢のムラは、インクの乾燥時間に起因している。1つの画像は、用紙Sが断続的に搬送される間に、用紙の搬送方向に所定の幅を有するヘッド41が設けられたキャリッジ31が搬送方向と交差する方向に往復移動されつつノズルからインクを吐出することにより印刷される。すなわち、用紙Sが搬送される搬送動作と、キャリッジ31が移動されつつノズルからインクを吐出する移動動作とが繰り返し実行されることになる。このとき、「高精細モード」では、印刷速度を高めるために、キャリッジ31の1回の移動動作にて画像を形成する画像領域、及びキャリッジが移動しなければならない必須移動領域を予め算出する。ここで必須移動領域は、例えば、キャリッジ31が定速にて移動する際の移動速度や、移動速度まで加速する時間や、停止する際に減速する時間、その時の加速度などに基づいて算出される。
【0056】
そして、ある移動動作においてキャリッジ31が停止する位置から、次の移動動作にて画像を形成するために移動しなければならない必須移動領域に対する移動開始位置への移動が、より短時間にて行われるようにキャリッジ31を移動させている。すなわち、「高精細モード」では、複数回実行されるキャリッジ31の移動動作毎の所要時間が必ずしも一定でない場合がある。このため、各移動動作にてドットを形成する際に、ある移動動作にてインクが吐出されるときに、インクが着弾される位置に隣接する位置に既に形成されているドットの乾燥状態が、各移動動作によって相違する場合がある。
【0057】
また、プリンタ1は、常にすべてのノズルからインクを吐出しているわけではない。すなわち、画像データに応じて所定のノズルからインクを吐出している。このため、しばらくの間インクを吐出しないノズルも存在する。このようにインクを吐出しないまま時間が経過すると、ノズルが目詰まりしたり、ノズルの周りにてインクが固まる場合があり、このような場合には、良好にインク滴が吐出されない畏れがある。このため、予め設定された一定時間毎に、キャリッジ31の移動方向において用紙Sの領域の外側に設けられているインク排出部70にキャリッジ31を移動させて、強制的にすべてのノズルからインクを吐出させる、所謂定期フラッシングを実行する。このため、1つの画像や1枚の用紙に画像を印刷するときに、定期フラッシングの実行間隔のしきい値として設定された時間が経過した際には、フラッシングが実行されるため、その前後の移動動作にて形成されたラスタラインの乾燥時間は、他の移動動作にて形成されたラスタラインの乾燥時間と大きく異なることになる。
【0058】
高画質の画像を印刷する場合には、ある移動動作にて形成され、搬送方向に隣接する2本のラスタライン間に、後の移動動作にてラスタラインが形成されることにより画像が形成される、所謂インターレース方式にて印刷される。このため、既に形成されているドットのインクが乾燥しないうちに、隣接する位置に、インクが吐出される場合と、ほぼ乾燥した後に隣接する位置に、インクが吐出される場合とがある。このように、ドットを形成する際に既に隣接する位置に形成されているドットの乾燥状態が相違すると、インクが乾燥した際の画像表面の凹凸の状態が異なり、印刷された画像の光沢にムラが生じる場合がある。すなわち、1つの画像や一枚の用紙に画像を形成する間に、複数回実行されるキャリッジ31の移動動作の所要時間が、移動動作毎に相違したり、フラッシングが実行されたりすると、画像に光沢ムラが生じてしまう場合がある。このような光沢ムラの発生を抑えるために「高品位モード」が設けられている。
【0059】
高品位モードは、1つの画像、又は1枚の用紙に画像を形成する際に実行されるすべての移動動作の時間が予め算出され、算出された移動動作の時間のうち、最も長くかかる移動動作の時間に、すべての移動動作の時間を合わせるものである。このため、本実施形態では、1つの画像や一枚の用紙に画像を形成する際にフラッシングが実行される場合には、フラッシングのためにキャリッジ31が移動する距離も含めて最も広い移動範囲にてキャリッジ31を往復移動させると共に、フラッシングを実行しない印刷動作時には、移動動作毎にインク排出部70にて、フラッシングに要する時間と同じ時間だけ停止させることとしている。また、1つの画像、又は1枚の用紙に画像を形成する際にフラッシングが実行されない場合には、ノズルが移動しなければならない領域をすべて含む領域であって、距離が最短となる領域にてキャリッジ31を往復移動させることとしている。
【0060】
ここでは、本発明の主な特徴部分となる「高品位モード」と「高精細モード」とについて詳述する。
【0061】
===高品位モードにおける印刷動作===
第1画像形成モードとしての「高品位モード」の印刷は、前述したユーザーインターフェース(図3参照)から「高品位モード」を指定して印刷指令を入力することにより、プリンタ1が印刷指令信号を受信して実行される。
【0062】
図8は、高品位モードが設定された際の印刷処理を説明するための図である。図9は、定間隔移動動作の処理を説明するための図である。図10は、高品位モードにおけるキャリッジの移動を説明するための図である。
【0063】
制御部60は、印刷指令信号を受信すると(S100)、印刷指令信号に含まれた「高品位モード」を示す情報に基づいて、印刷すべき印刷モードを「高品位モード」と特定する(S101)。
そして、制御部60は、受信バッファに蓄積された画像データに基づいて画像を印刷するために必要な所要時間を算出する(S102)。このとき、まず、画像を印刷する際に複数回実行されるキャリッジ31の移動動作の、それぞれの移動動作にて画像を形成するためにキャリッジ31が移動しなければならない必須移動領域が算出される。次に、算出された必須移動領域をすべて含み距離が最短となる領域を特定し、複数回の移動動作を、すべて特定した領域でキャリッジ31を往復移動させたときに必要な所要時間を算出する。
【0064】
次に、算出された所要時間と、前述した定期フラッシングの間隔としてプリンタ1に設定されている時間Tとを比較する(S104)。このとき、算出された所要時間が定期フラッシングの実行間隔のしきい値として設定されている時間Tより短い場合には(Yes)、この画像を印刷する間に定期フラッシングする必要がないため、算出された必須移動領域をすべて含み距離が最短となる領域を、キャリッジ31の移動領域として設定する(S106)。図11は、定期フラッシングを実行しない高品位モードにおけるキャリッジの移動を説明するための図である。図示するように、設定されたキャリッジ31の移動領域において、キャリッジ31を往復動作させつつ、画像データに基づいてノズルからインクを吐出させる移動動作と、用紙Sの搬送動作とを繰り返して画像を印刷する(S108)。
【0065】
一方、算出された所要時間が定期フラッシングの実行間隔のしきい値として設定されている時間Tより長い場合には(No)、この画像を印刷する間に定期フラッシングする必要があるため、算出されたすべての必須移動領域と、キャリッジ31がインク排出部70まで移動するために必要な領域と、を含み移動方向における距離が最短となる領域をキャリッジ31の移動領域として設定する(S110)。そして、設定されたキャリッジ31の移動領域において、キャリッジ31を往復動作させつつ、画像データに基づいてノズルからインクを吐出させる移動動作と、用紙Sの搬送動作とを繰り返して画像を印刷する(S112)。このとき、定期フラッシングの設定されている時間Tを経過した直後の移動動作にてフラッシングを実行し、その他の移動動作の際には、キャリッジをインク排出部70にて、前記フラッシングに要する時間と同じだけ停止させる。このようにして、各移動動作にかかる時間を一定にした印刷動作を、以下、定間隔移動印刷という。
【0066】
定間隔移動動作は、移動動作毎にインクの乾燥時間が相違したときに発生する光沢ムラを抑えるために、キャリッジ31の移動動作を一定の周期にて実行するものである。このため、各移動動作にてキャリッジ移動方向における所定の位置に吐出されたインクの乾燥時間がより等しくなるように、本実施形態では、キャリッジ31の往復動作のうち、一方向のみの移動の際にインクを吐出することとする。
【0067】
また、本実施形態のプリンタ1は、印刷していない際にキャリッジ31が待機する待機位置は、インク排出部70の位置である。このため、キャリッジ移動方向においてインク排出部70側から反インク排出部70側へのキャリッジ31の移動の際にインクを吐出する。すなわち、キャリッジ31の移動開始位置は、インク排出部70上となる。一方、キャリッジ31の移動終了位置は、画像データに基づいて算出される。すなわち、キャリッジ31の移動終了位置は、前述したように、必須移動領域をすべて含み距離が最短となる領域の最も反インク排出部70側の位置である。
【0068】
定間隔移動動作を実行する際には、制御部60は、まず、定期フラッシングの時間間隔を測定するためのタイマーをリセットして再スタートする(S200)。次に、用紙Sを印刷データに基づいて、印刷を開始する初期位置に移動させる(S202)。そして、最初の移動動作を開始する(S204)。すなわち、インク排出部70の上方となるホームポジションからキャリッジ31を移動させつつ、画像データに基づいてインクを吐出し、最初の移動動作にて形成すべき画像を形成し始める。その後、設定された移動終了位置に到達した後ホームポジション、すなわちインク排出部70上にキャリッジ31を移動させる(S206)。
【0069】
このとき、制御部60はイメージバッファに印刷すべき画像データが存在するか否かを検出する(S208)。検出した結果、印刷すべき画像データが存在しない場合には、用紙Sを排紙してプリンタは待機状態となる(S210)。また、検出した結果、印刷すべき画像データが存在する場合には、タイマーの値と、定期フラッシングの周期として設定された時間Tとを比較する(S212)。比較した結果、タイマーの値が設定された時間Tより小さい場合には、インク排出部70上にて、フラッシングのために要する時間だけ停止させる(S214)。また、比較した結果、タイマーの値が設定された時間Tより大きい場合には、フラッシングを実行し(S216)、その後タイマーをリセットして再スタートする(S218)。すなわち、本実施形態のプリンタでは、1つの画像、及び、1枚の用紙Sに画像を形成する際におけるすべての移動動作において、移動領域を一定とし、また、フラッシングの有無にかかわらず、インク排出部70上にて費やす時間を等しくしたので、各移動動作にて形成される画像の乾燥時間が一定となり、画像表面の光沢ムラの発生を抑えることが可能である。
【0070】
そして、フラッシングを実行するか、フラッシングに相当する時間だけキャリッジ31を停止させた後に、用紙Sを所定量搬送して(S220)、次の移動動作を開始する(S204)。このように、イメージバッファに画像データが存在する場合には、S204〜S220の処理を繰り返し実行する。
【0071】
===高精細モードにおける印刷動作===
第2画像形成モードとしての「高精細モード」の印刷は、前述したユーザーインターフェース(図3参照)から「高精細モード」を指定して印刷指令を入力することにより、プリンタ1が印刷指令信号を受信して実行される。
【0072】
図12は、高精細モードが設定された際の印刷処理を説明するための図である。図13は、高精細モードにおけるキャリッジの移動を説明するための図である。
【0073】
制御部60は、印刷指令信号を受信すると(S300)、印刷指令信号に含まれた「高精細モード」を示す情報に基づいて、印刷すべき印刷モードを「高精細モード」と特定する(S301)。
そして、制御部60は、定期フラッシングの時間間隔を測定するためのタイマーをリセットして再スタートする(S302)。次に、用紙Sを印刷データに基づいて、印刷を開始する初期位置に移動させる(S304)。
【0074】
次に、イメージバッファに蓄積された画像データに基づいて、最初の移動動作にて画像を形成する画像領域を算出する(S306)。すなわち、キャリッジの移動方向において形成される画像の端部の位置が算出される。算出された画像領域に画像を形成するためにキャリッジ31が移動しなければならない必須移動領域を算出する(S308)。この必須移動距離は、例えば、キャリッジが定速にて移動する際の移動速度や、移動速度まで加速する時間や、停止する際に減速する時間、その時の加速度などに基づいて算出される。算出された必須移動領域の両端部のうちホームポジションから遠い側の端部の位置をメモリに記憶する(S310)。このホームポジションから遠い側の端部の位置は、最初の移動動作においてキャリッジ31が移動領域を移動する際の移動終了位置である。
そして、キャリッジ31を移動させつつインクを吐出する動作を開始する(S312)。このとき、インク排出部70の上方となるホームポジションからキャリッジ31を移動させつつ、画像データに基づいてインクを吐出し、最初の移動動作にて形成すべき画像を形成する。
【0075】
画像を形成する間に制御部60はタイマーの値と、定期フラッシングの実行間隔のしきい値として設定されている時間Tとを比較する(S314)。比較した結果、タイマーの値が設定されている時間Tより小さい場合には、イメージバッファに印刷すべき画像データが存在するか否かを検出する(S324)。検出した結果、印刷すべき画像データが存在しない場合には、用紙Sを排紙してプリンタ1は待機状態となる(S344)。
【0076】
また、検出した結果、印刷すべき画像データが存在する場合には、イメージバッファに蓄積された画像データに基づいて、次の移動動作にて画像を形成する画像領域を算出する(S326)。算出された次の画像領域に画像を形成するためにキャリッジ31が移動しなければならない必須移動領域を算出する(S328)。算出された次の必須移動領域の両端部の位置のうち、メモリに記憶されている移動終了位置から、より短時間にて到達可能な端部を特定する(S330)。特定された端部の位置は、次の移動動作の移動開始位置となり、他方の端部が次の移動領域をキャリッジ31が移動する際の移動終了位置となる。そして、次の移動領域をキャリッジ31が移動する際の移動終了位置を、メモリに記憶されている移動終了位置と書き換える(S332)。
【0077】
次に、用紙Sを所定量搬送させ(S334)、キャリッジ31を特定した移動開始位置に移動させる(S336)。そして、次の移動領域においてキャリッジを移動させつつインクを吐出する動作を開始する(S312)。その後、上述したS314以降の処理を実行する。
【0078】
また、タイマーの値と、定期フラッシングの実行間隔のしきい値として設定されている時間Tとを比較した結果、タイマーの値が設定されている時間Tより大きい場合には、キャリッジをインク排出部70上に移動させ(S316)、フラッシングを実行する(S318)。その後、タイマーをリセットして再スタートさせ(S320)、イメージバッファに印刷すべき画像データが存在するか否かを検出する(S322)。
検出した結果、印刷すべき画像データが存在しない場合には、用紙Sを排紙してプリンタ1は待機状態となる(S344)。また、検出した結果、印刷すべき画像データが存在する場合には、用紙Sを所定量搬送させる(S338)。
【0079】
次に、イメージバッファに蓄積された画像データに基づいて、次の移動動作にて画像を形成する画像領域を算出する(S340)。算出された次の画像領域に画像を形成するためにキャリッジ31が移動しなければならない必須移動領域を算出する(S342)。
算出された必須移動領域の両端部のうちホームポジションから遠い側の端部の位置をメモリに記憶する(S310)。その後、上述したS312以降の処理を実行する。
【0080】
上述したように、本実施形態の印刷システムによれば、高品位モードと、高精細モードとの、いずれの印刷モードでも、所定の解像度にて画像を印刷することが可能である。このとき高品位モードは、画像を形成する際に複数回実行される移動動作において、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定なので、いずれの移動動作の際にも、同一条件の下でドットが形成されるため全域に亘って均一な画像が形成される。特に、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間が一定なので、各移動動作にて吐出されたインクと、次の移動動作にて吐出されたインクとが、同条件にて接触するので、これらのインクにより形成される画像表面への光沢ムラの発生を抑えることが可能である。
【0081】
また、高精細モードは、ある移動動作にて形成すべき画像の領域に応じて移動されたノズルが停止した後、次の移動動作にて形成すべき画像の領域の移動方向における両側の移動開始位置のうち、前記ノズルが停止した位置からの移動時間が短い側の移動開始位置に、ノズルを移動させるので、高品位モードより短時間に印刷することが可能である。
【0082】
また、高品位モードでは、1つの画像又は1枚の用紙に画像を形成する間に定期フラッシングが実行されない場合には、移動動作にてノズルが移動される移動領域を一定にすることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にすることとしたので、光沢ムラの発生を抑えつつ、短時間にて画像を形成することが可能である。
【0083】
また、複数回の移動動作において、画像を形成するためにノズルが移動しなければならない必須移動領域をすべて含む領域であって、距離が最短となる領域を移動領域としたので、画像が欠けることなく、印刷すべき画像の全領域を印刷することが可能である。
【0084】
また、各移動動作において、キャリッジ31が一方向に移動する際のみノズルからインクを吐出させたので、ノズルの移動方向における用紙上のいずれの位置であっても、ある移動動作にてノズルが通過した後、次の移動動作にてノズルが通過するまでの時間が一定となる。このため、往路及び復路のいずれの方向に移動している際にもインクを吐出する場合と比較して、より均一な画像を印刷することが可能である。
【0085】
インクを良好に吐出させるために定期フラッシングを実行する位置は、当然のことながら用紙Sの外側の領域である。このため、定期フラッシングの際には、画像を形成する用紙Sから外れたインク排出部70にキャリッジ31移動するため、他の移動動作より移動距離が長くなる。このため、インク排出部70への移動を含む領域をノズルが移動する一定の移動領域としたので、定期フラッシングを含む移動動作と、定期フラッシングを含まない移動動作と、におけるキャリッジ31を移動させるための制御は共通である。このため、キャリッジ31を移動させるための制御が容易である。
【0086】
さらに、定期フラッシングが実行されない移動動作では、定期フラッシングに要する時間に相当する間、ノズルの移動を停止させることにより、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を一定にすることとしたので、ノズルの移動を停止させるだけで、定期フラッシングを含む移動動作と、定期フラッシングを含まない移動動作と、の間であっても、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間をより正確に一定にすることが可能である。
【0087】
本実施形態においては、定期フラッシングを行わない移動動作においては、定期フラッシングを実行するために要する時間に相当する時間、キャリッジ31を停止させる例について説明したが、すべての移動動作の際に、フラッシングを実行してもよい。図14は定間隔移動動作にて移動動作毎にフラッシングする際の処理を説明するための図である。
【0088】
図示するように、定間隔移動動作にて移動動作毎にフラッシングする際には、制御部60は、まず、用紙を印刷データに基づいて、印刷を開始する初期位置に移動させる(S400)。そして、最初の移動動作を開始する(S402)。すなわち、インク排出部70の上方となるホームポジションからキャリッジ31を移動させつつ、画像データに基づいてインクを吐出し、最初の移動動作にて形成すべき画像を形成し始める。その後、設定された移動終了位置に到達した後ホームポジション、すなわちインク排出部70上にキャリッジ31を移動させる(S404)。
【0089】
このとき、制御部60はイメージバッファに印刷すべき画像データが存在するか否かを検出する(S406)。検出した結果、印刷すべき画像データが存在しない場合には、用紙Sを排紙してプリンタは待機状態となる(S408)。また、検出した結果、印刷すべき画像データが存在する場合には、フラッシングを実行した後に(S410)、用紙Sを所定量搬送して(S412)、次の移動動作を開始する(S402)。このように、イメージバッファに画像データが存在する場合には、S402〜S412の処理を繰り返し実行する。
【0090】
この場合には、いずれの移動動作時も、同じ動作を繰り返すことになるため、ある移動動作における移動開始から次の移動動作における移動開始までの時間を確実に一定にすることが可能である。また、各移動動作時にフラッシングすることにより、ノズルの状態を常に良好に保つことが可能であり、より均一な画像を印刷することが可能である。
【0091】
また、定期フラッシングを実行しない移動動作における移動領域を、定期フラッシングを実行する移動動作における移動領域とを等しくする例について説明したが、移動領域は必ずしも等しくする必要はない。例えば、定期フラッシングを実行しない移動動作においては、キャリッジ31が必須移動領域における移動終了位置に到達した際に、定期フラッシングを実行する移動動作と所要時間が等しくなるように、キャリッジ31を停止させもよい。
【0092】
また、本実施形態の印刷システム100は、高品位モードと、高精細モードとを、ユーザーに選択させるためのユーザーインターフェースを有することとしたので、ユーザーは印刷する画像に応じて、所望の印刷モードにて画像を印刷することが可能である。例えば、より高画質にて画像を印刷したい場合にはユーザーインターフェースにて高品位モードを選択し、比較的高画質の画像を比較的高速で印刷したい場合には高精細モードを選択することが可能である。
【0093】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主として印刷システムについて記載されているが、その中には、プリンタ1、印刷装置、印刷方法等の開示が含まれていることは言うまでもない。すなわち、上記実施形態においては、印刷装置をインクジェットプリンタ1を有する印刷システムとして説明したが、インクジェットプリンタ1が、例えば印刷モードを設定可能な画像形成モード選択部を有していれば、プリンタ単体であっても実現可能である。例えば、画像形成モード選択部は、プリンタに設けられた液晶ディスプレイとプリンタに設けられた入力ボタンやタッチパネルなどである。
【0094】
また、本実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部又は全部をソフトウェアによって置き換えてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアによって置き換えてもよい。
【0095】
また、印刷装置(インクジェットプリンタ1)側にて行っていた処理の一部をホストコンピュータ110側にて行ってよく、また印刷装置(インクジェットプリンタ1)とホストコンピュータ110の間に専用の処理装置を介設して、この処理装置にて処理の一部を行わせるようにしてもよい。
【0096】
また、一実施形態としての印刷システム等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0097】
<ノズルについて>
上記実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、インクを吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に気泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【0098】
<インクについて>
上記実施形態は、プリンタ1のノズルから染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出するインクは、このようなインクに限られるものではない。
【0099】
<印刷に用いるインク色について>
前述の実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを用紙S上に吐出してドットを形成する多色印刷を例に説明したが、インク色はこれに限るものではない。例えばこれらインク色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)及びライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)等のインクを用いても良い。また、逆に、上記4つのインク色のいずれか一つだけを用いて単色印刷を行っても良い。
【0100】
<インクを吐出するキャリッジ移動方向について>
前述の実施形態では、キャリッジ31の往方向の移動時にのみインクを吐出する単方向印刷を例に説明したが、これに限るものではなく、キャリッジ31の往復たる双方向移動時にインクを吐出する所謂双方向印刷を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】印刷システムの構成を説明するための図である。
【図2】プリンタドライバが行う基本的な処理の概略的な説明図である。
【図3】プリンタドライバのユーザーインターフェースの説明図である。
【図4】プリンタの全体構成のブロック図である。
【図5】図5Aは、プリンタの全体構成の概略図である。また、図5Bは、プリンタの全体構成の縦断面図である。
【図6】ヘッドの下面におけるノズルの配列を示す説明図である。
【図7】印刷時の処理の概要を示すフロー図である。
【図8】高品位モードが設定された際の印刷処理を説明するための図である。
【図9】定間隔移動動作の処理を説明するための図である。
【図10】高品位モードにおけるキャリッジの移動を説明するための図である。
【図11】定期フラッシングを実行しない高品位モードにおけるキャリッジの移動を説明するための図である。
【図12】高精細モードが設定された際の印刷処理を説明するための図である。
【図13】高精細モードにおけるキャリッジの移動を説明するための図である。
【図14】定間隔移動動作にて移動動作毎にフラッシングする際の処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0102】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)、20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、
22 搬送モータ、23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、50 検出器群、
51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、53 紙検出センサ、
54 光学センサ、60 制御部、61 インターフェース部、
62 CPU、 63 メモリ、64 ユニット制御回路,70 インク排出部、
100 印刷システム、110 コンピュータ、111 プリンタドライバ、
112 解像度変換処理部、114 色変換処理部、116 ハーフトーン処理部、
118 ラスタライズ処理部、120 表示装置、130 入力装置、
140 記録再生装置、411 ノズル列、411(K) ブラックインクノズル列、
411(M)マゼンタインクノズル列、411(C) シアンインクノズル列、
411(Y) イエローインクノズル列、S 用紙




 

 


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