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発明の名称 液体滴吐出検査装置、液体滴吐出装置、液体滴吐出システム、及び、液体滴の吐出状態の検査方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21783(P2007−21783A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−203477(P2005−203477)
出願日 平成17年7月12日(2005.7.12)
代理人 【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
発明者 西原 雄一
要約 課題
ノズルと導電性インク吸収体との間隔を所定間隔に確実に維持し、インク滴の吐出状態を正確に判定可能な液体滴吐出検査装置等を提供する。

解決手段
ノズルから吐出されたインク滴を受けるための面が形成された導電性インク吸収体61と、帯電したインク滴の接近によって導電性インク吸収体61に生じる誘導電流を検出する検出部と、ノズルからインク滴を吐出する際にインク滴を帯電させるべく導電性インク吸収体61に電圧を印加する電圧印加部65と、ノズルと面との間隔を所定間隔に保つための保持部と、を備えたことを特徴とする液体滴吐出検査装置80。
特許請求の範囲
【請求項1】
(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための面が形成された導電性液体吸収体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つための保持部と、
(E)を備えたことを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体滴吐出検査装置において、
前記導電性液体吸収体は、前記面を前記ノズルに対向させつつ有底容器に収容され、
前記有底容器は、その内周面に、前記導電性液体吸収体に係合する凸部を前記保持部として有していることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体滴吐出検査装置において、
前記導電性液体吸収体は、前記有底容器の底部との間に空間を設けつつ前記有底容器に収容され、
前記空間には、前記導電性液体吸収体から前記液体を吸い取って保持するための液体保持体が、前記導電性液体吸収体に当接状態で収容されていることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体滴吐出検査装置において、
前記液体保持体は、液体を吸収して膨張する膨潤性ポリマーであり、
前記凸部は、前記面と係合することによって、前記膨潤性ポリマーが膨張した際の前記面のノズル側への移動を拘束することを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体滴吐出検査装置において、
前記導電性液体吸収体は、外力によって圧縮変形する素材からなり、
前記液体保持体の膨張に伴って前記液体保持体が前記導電性液体吸収体に与える圧縮力に応じて、前記導電性液体吸収体は圧縮変形することを特徴とする液体滴吐出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体滴吐出検査装置において、
前記液体保持体は、前記有底容器の底部との間に空間を設けずに前記有底容器に収容されていることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の液体滴吐出検査装置において、
前記液体保持体は、前記有底容器の底部との間に空間を設けつつ前記有底容器に収容されていることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれかに記載の液体滴吐出検査装置において、
前記膨潤性ポリマーは、吸い取った液体をゲル化することを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれかに記載の液体滴吐出検査装置において、
前記液体は、少なくとも水を溶媒として含み該溶媒に染料又は顔料を含有するインクであり、
前記膨潤性ポリマーは、分子間に水を取り込んで膨張する吸水性ポリマーであることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項10】
請求項3に記載の液体滴吐出検査装置において、
前記液体保持体は、前記導電性液体吸収体よりも毛細管力が大きいことを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項11】
請求項2乃至10のいずれかに記載の液体滴吐出検査装置において、
前記有底容器は、不導体であることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の液体滴吐出検査装置において、
前記導電性液体吸収体は、海綿状の多孔質体であることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項13】
(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための面が形成された導電性液体吸収体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つための保持部と、
(E)を備え、
前記導電性液体吸収体は、前記面を前記ノズルに対向させつつ有底容器に収容され、前記有底容器は、その内周面に、前記導電性液体吸収体に係合する凸部を前記保持部として有し、
前記導電性液体吸収体は、前記有底容器の底部との間に空間を設けつつ前記有底容器に収容され、前記空間には、前記導電性液体吸収体から前記液体を吸い取って保持するための液体保持体が、前記導電性液体吸収体に当接状態で収容されており、
前記液体保持体は、液体を吸収して膨張する膨潤性ポリマーであり、前記凸部は、前記面と係合することによって、前記膨潤性ポリマーが膨張した際の前記面のノズル側への移動を拘束し、
前記導電性液体吸収体は、外力によって圧縮変形する素材からなり、前記液体保持体の膨張に伴って前記液体保持体が前記導電性液体吸収体に与える圧縮力に応じて、前記導電性液体吸収体は圧縮変形し、
前記液体保持体は、前記有底容器の底部との間に空間を設けずに前記有底容器に収容されており、
前記液体は、少なくとも水を溶媒として含み該溶媒に染料又は顔料を含有するインクであり、前記膨潤性ポリマーは、分子間に水を取り込んで膨張する吸水性ポリマーであり、
前記有底容器は、不導体であり、
前記導電性液体吸収体は、海綿状の多孔質体であることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
【請求項14】
(A)媒体に対して液体滴を吐出するノズルと、
(B)前記媒体が無い位置に配置されて、前記ノズルから吐出された液体滴を受けるための面が形成された導電性液体吸収体と、
(C)帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(D)前記液体滴の吐出状態を検査すべく前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に、前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加する電圧印加部と、
(E)前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つための保持部と、
(F)を備えたことを特徴とする液体滴吐出装置。
【請求項15】
コンピュータ本体と、前記コンピュータ本体に接続可能な液体滴吐出装置とを具備した液体滴吐出システムにおいて、
前記液体滴吐出装置は、
(A)媒体に対して液体滴を吐出するノズルと、
(B)前記媒体が無い位置に配置されて、前記ノズルから吐出された液体滴を受けるための面が形成された導電性液体吸収体と、
(C)帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(D)前記液体滴の吐出状態を検査すべく前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に、前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加する電圧印加部と、
(E)前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つための保持部と、
(F)を備えたことを特徴とする液体滴吐出システム。
【請求項16】
ノズルから吐出された液体滴を導電性液体吸収体の面によって受けるステップと、
帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出するステップと、
前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加するステップと、
前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つステップと、を備えたことを特徴とする液体滴の吐出状態の検査方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからの液体滴の吐出状態を検査する液体滴吐出検査装置、液体滴吐出装置、液体滴吐出システム、及び、液体滴の吐出状態の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体滴吐出装置として、紙や布、フィルムなどの各種媒体に対してインク滴(液体滴に相当)を吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。このインクジェットプリンタは、シアン(C)やマゼンダ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)等といった各色のインク滴をノズルから吐出して媒体上にドットを形成して画像を印刷するものである。
【0003】
このようなインクジェットプリンタにあっては、インクの固着などによってノズルに目詰まりを生じ、インク滴が正常に吐出されないことがある。そして、その場合には、媒体上にきちんとドットを形成できずに綺麗な印刷を行えなくなる。
そこで、インク滴の吐出状態の検査方法が色々と提案されており、その一例として、インク滴の吐出を光学的に検査する方法がある(特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2000−233520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この方法では光学センサ等の高価な部品を用いる関係上、コストアップが必至である。このため、現在、安価な部品で対応可能な電気的方法が検討されている。
この電気的方法とは、ノズルから導電性インク吸収体に向けて帯電したインク滴を吐出し、このインク滴の接近によって前記導電性インク吸収体に生じる誘導電流の検出の有無からインク滴の吐出状態を判定するというものである。そして、インク滴の帯電は、前記導電性インク吸収体に所定電圧を印加し、これによってノズルとの間に形成される電界によって吐出前にインクを分極させることで達成されている。
【0005】
但し、導電性インク吸収体に所定電圧を印加しても、ノズルと導電性インク吸収体との間隔が変化すると、この間隔の電界の変化を通してインク滴の帯電量に変化を来たす結果、誘導電流の大きさも変化してしまい、吐出状態を正しく検査できなくなってしまう。
従って、検査精度の観点からは、ノズルと導電性インク吸収体との間隔の管理が重要となる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みたものであって、その目的は、ノズルと導電性液体吸収体との間隔を所定間隔に確実に維持し、液体滴の吐出状態を正確に判定可能な液体滴吐出検査装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための主たる発明は、
(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための面が形成された導電性液体吸収体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つための保持部と、
(E)を備えたことを特徴とする液体滴吐出検査装置である。
【0008】
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための面が形成された導電性液体吸収体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つための保持部と、
(E)を備えたことを特徴とする液体滴吐出検査装置。
このような液体滴吐出検査装置によれば、導電性液体吸収体の前記面と前記ノズルとの間隔を所定間隔に保つことができる。よって、前記導電性液体吸収体に印加する所定電圧に対応して生じ得る液体滴の帯電量は所期値となり、また、この所期値に帯電した液体滴によれば、その接近によって導電性液体吸収体に生じる誘導電流も所期値となる。よって、この所期値の誘導電流の有無に基づいて、液体滴の吐出状態を正確に判定可能となる。
【0011】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記導電性液体吸収体は、前記面を前記ノズルに対向させつつ有底容器に収容され、
前記有底容器は、その内周面に、前記導電性液体吸収体に係合する凸部を前記保持部として有しているのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、有底容器に凸部を設けるのみという簡単な構造によって、前記面と前記ノズルとの間隔を所定間隔に保持可能となる。よって、液体滴吐出検査装置の設置に伴うコストアップを抑えることができる。
【0012】
また、導電性液体吸収体は、前記有底容器に収容されているので、液体滴吐出検査装置外への液漏れを有効に防止可能となる。
【0013】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記導電性液体吸収体は、前記有底容器の底部との間に空間を設けつつ前記有底容器に収容され、
前記空間には、前記導電性液体吸収体から前記液体を吸い取って保持するための液体保持体が、前記導電性液体吸収体に当接状態で収容されているのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、前記液体保持体は、前記導電性液体吸収体に当接状態になっている。よって、導電性液体吸収体からの液体の吸い取り性を高くすることができる。
【0014】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記液体保持体は、液体を吸収して膨張する膨潤性ポリマーであり、
前記凸部は、前記面と係合することによって、前記膨潤性ポリマーが膨張した際の前記面のノズル側への移動を拘束するのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、前記液体保持体は膨潤性ポリマーである故に、液体を吸収して膨張し、その膨張によって前記導電性液体吸収体をノズル側へと押し出す虞がある。しかし、ここで、前記凸部が、前記導電性液体吸収体の前記面と係合して、前記面のノズル側への移動を拘束するために、導電性液体吸収体の前記面とノズルとの間隔が前記所定間隔よりも狭まってしまうことは確実に防止される。
【0015】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記導電性液体吸収体は、外力によって圧縮変形する素材からなり、
前記液体保持体の膨張に伴って前記液体保持体が前記導電性液体吸収体に与える圧縮力に応じて、前記導電性液体吸収体は圧縮変形するのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、吸液による液体保持体の膨張は、導電性液体吸収体の圧縮変形によって吸収されるため、液体保持体と導電性液体吸収体との体積の合計値は、ほぼ一定に維持される。よって、有底容器に収容された導電性液体吸収体の前記面が、前記液体保持体に押されてノズル側へ移動することは有効に抑制され、もって、前記面とノズルとの間隔を前記所定間隔に保つことができる。
【0016】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記液体保持体は、前記有底容器の底部との間に空間を設けずに前記有底容器に収容されているのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、前記導電性液体吸収体は、前記有底容器の底部に前記液体保持体を介して支持されている。よって、この導電性液体吸収体の有底容器の底部側への移動は拘束されるため、導電性液体吸収体の前記面とノズルとの間隔が前記所定間隔よりも広まってしまうことは確実に防止される。
【0017】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記液体保持体は、前記有底容器の底部との間に空間を設けつつ前記有底容器に収容されているのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、吸液によって液体保持体が膨張しても、その膨張分のスペースを、前記空間が宛うことができる。よって、有底容器に収容された導電性液体吸収体の前記面が、前記液体保持体の膨張によってノズル側へと移動することは有効に抑制され、もって、前記面とノズルとの間隔を前記所定間隔に保つことができる。
【0018】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記膨潤性ポリマーは、吸い取った液体をゲル化するのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、前記膨潤性ポリマーは、吸い取った液体をゲル化するので、一旦吸い取った液体を再び前記導電性液体吸収体へと戻してしまうことは殆ど無く、前記液体保持体は、前記液体の保持性に優れたものとなる。
【0019】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記液体は、少なくとも水を溶媒として含み該溶媒に染料又は顔料を含有するインクであり、
前記膨潤性ポリマーは、分子間に水を取り込んで膨張する吸水性ポリマーであるのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、前記液体保持体に使用される膨潤性ポリマーは、その分子間に水を取り込んで膨張する吸水性ポリマーであるので、優れた保水性、すなわち、一旦吸収した水を容易に離さない性質を持つ。よって、一旦吸い取った水系インクを再び前記導電性液体吸収体へと戻してしまうことは殆ど無く、前記液体保持体は、インクの保持性に優れたものとなる。
【0020】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記液体保持体は、前記導電性液体吸収体よりも毛細管力が大きいのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、液体保持体は、導電性液体吸収体よりも毛細管力が大きいので、一旦吸い取った液体を再び前記導電性液体吸収体へと戻してしまうことは殆ど無く、前記液体保持体は、前記液体の保持性に優れたものとなる。
【0021】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記有底容器は、不導体であるのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、有底容器に収容された導電性液体吸収体の印加電圧に基づく漏電を、前記有底容器によって確実に阻止することができる。よって、導電性液体吸収体からの漏電による電圧降下に起因して、誘導電流に基づく吐出状態の検査精度が悪くなるのを防ぐことができる。
【0022】
かかる液体滴吐出検査装置において、
前記導電性液体吸収体は、海綿状の多孔質体であるのが望ましい。
このような液体滴吐出検査装置によれば、海面状の多孔質体であることから、吸液性に優れ、前記面に液体が滞留することを可及的に防ぐことができる。よって、前記面上に滞留する液体によって、実質的に導電性液体吸収体の前記面とノズルとの間隔が前記所定間隔よりも狭まってしまうことを有効に防ぐことができる。
【0023】
また、(A)ノズルから吐出された液体滴を受けるための面が形成された導電性液体吸収体と、
(B)帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(C)前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加する電圧印加部と、
(D)前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つための保持部と、
(E)を備え、
前記導電性液体吸収体は、前記面を前記ノズルに対向させつつ有底容器に収容され、前記有底容器は、その内周面に、前記導電性液体吸収体に係合する凸部を前記保持部として有し、
前記導電性液体吸収体は、前記有底容器の底部との間に空間を設けつつ前記有底容器に収容され、前記空間には、前記導電性液体吸収体から前記液体を吸い取って保持するための液体保持体が、前記導電性液体吸収体に当接状態で収容されており、
前記液体保持体は、液体を吸収して膨張する膨潤性ポリマーであり、前記凸部は、前記面と係合することによって、前記膨潤性ポリマーが膨張した際の前記面のノズル側への移動を拘束し、
前記導電性液体吸収体は、外力によって圧縮変形する素材からなり、前記液体保持体の膨張に伴って前記液体保持体が前記導電性液体吸収体に与える圧縮力に応じて、前記導電性液体吸収体は圧縮変形し、
前記液体保持体は、前記有底容器の底部との間に空間を設けずに前記有底容器に収容されており、
前記液体は、少なくとも水を溶媒として含み該溶媒に染料又は顔料を含有するインクであり、前記膨潤性ポリマーは、分子間に水を取り込んで膨張する吸水性ポリマーであり、
前記有底容器は、不導体であり、
前記導電性液体吸収体は、海綿状の多孔質体であることを特徴とする液体滴吐出検査装置。
このような液体滴吐出検査装置によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
【0024】
また、(A)媒体に対して液体滴を吐出するノズルと、
(B)前記媒体が無い位置に配置されて、前記ノズルから吐出された液体滴を受けるための面が形成された導電性液体吸収体と、
(C)帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(D)前記液体滴の吐出状態を検査すべく前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に、前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加する電圧印加部と、
(E)前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つための保持部と、
(F)を備えたことを特徴とする液体滴吐出装置の実現も可能である。
【0025】
また、コンピュータ本体と、前記コンピュータ本体に接続可能な液体滴吐出装置とを具備した液体滴吐出システムにおいて、
前記液体滴吐出装置は、
(A)媒体に対して液体滴を吐出するノズルと、
(B)前記媒体が無い位置に配置されて、前記ノズルから吐出された液体滴を受けるための面が形成された導電性液体吸収体と、
(C)帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出する検出部と、
(D)前記液体滴の吐出状態を検査すべく前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に、前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加する電圧印加部と、
(E)前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つための保持部と、
(F)を備えたことを特徴とする液体滴吐出システムの実現も可能である。
【0026】
また、ノズルから吐出された液体滴を導電性液体吸収体の面によって受けるステップと、
帯電した液体滴の接近によって前記導電性液体吸収体に生じる誘導電流を検出するステップと、
前記ノズルから前記液体滴を吐出する際に前記液体滴を帯電させるべく前記導電性液体吸収体に電圧を印加するステップと、
前記ノズルと前記面との間隔を所定間隔に保つステップと、を備えたことを特徴とする液体滴の吐出状態の検査方法の実現も可能である。
【0027】
===液体滴吐出装置の概要===
以下、本発明に係る液体滴吐出装置の実施形態について、インクジェットプリンタ1を例に説明する。
【0028】
<液体滴吐出装置>
図1乃至図4にプリンタ1の説明図を示す。図1はプリンタ1の外観斜視図である。図2はプリンタ1の内部構成を示す図である。図3はプリンタ1の搬送部を示す断面図である。図4はプリンタ1のシステム構成を示すブロック図である。
【0029】
このインクジェットプリンタ1は、図1に示すように、背面から供給された紙等の媒体Sを前面から排出する構造を備えており、その前面部には操作パネル2および排紙部3が設けられ、その背面部には給紙部4が設けられている。操作パネル2には、各種操作ボタン5および表示ランプ6が設けられている。また、排紙部3には、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー7が設けられている。給紙部4には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー8が設けられている。なお、インクジェットプリンタ1は、カット紙など単票状の紙のみならず、ロール紙などの連続紙にも印刷できるような給紙構造を備えていても良い。
【0030】
このプリンタ1の内部には、図2に示すように、キャリッジ41が、所定の方向(以下、キャリッジ移動方向と言う)に沿って相対的に移動可能に設けられている。キャリッジ41の周辺には、キャリッジモータ42と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46と、が設けられている。キャリッジモータ42は、DCモータなどにより構成され、キャリッジ41をキャリッジ移動方向に沿って相対的に移動させるための駆動源として機能する。また、タイミングベルト45は、プーリ44を介してキャリッジモータ42に接続されるとともに、その一部がキャリッジ41に接続され、キャリッジモータ42の回転駆動によってキャリッジ41をキャリッジ移動方向に沿って相対的に移動させる。ガイドレール46は、キャリッジ41をキャリッジ移動方向に沿って案内する。
【0031】
この他に、キャリッジ41の周辺には、キャリッジ41の位置を検出するリニア式エンコーダ51と、媒体Sをキャリッジ移動方向と直交する方向に沿って搬送するための搬送ローラ17Aと、この搬送ローラ17Aを回転駆動させる紙送りモータ15とが設けられている。
【0032】
一方、キャリッジ41には、各種インク(溶媒としての水の中に、着色成分としての顔料又は染料を含有したもの)を収容したインクカートリッジ48と、媒体Sに対して印刷を行うヘッド21とが設けられている。インクカートリッジ48は、例えば、イエロ(Y)やマゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)などの各色のインクを収容しており、キャリッジ41に設けられたカートリッジ装着部に着脱可能に装着されている。ヘッド21は、インク滴を吐出するための多数のノズルnを備え、媒体Sに対してインク滴を吐出して印刷を施す。ヘッド21のインク滴の吐出機構については後述する。
【0033】
この他に、このインクジェットプリンタ1の内部には、ヘッド21のノズルnの目詰まりを解消するためのクリーニングユニット30が設けられている。クリーニングユニット30は、ポンプ装置31とキャッピング装置35とを有する。ポンプ装置31は、ヘッド21のノズルnの目詰まりを解消するために、ノズルnからインクを吸い出す装置であり、ポンプモータ(不図示)により作動する。一方、キャッピング装置35は、インクの乾燥によるノズルnの目詰まりを防止すべく、待機時などの非印刷時にヘッド21のノズルnを封止する。
【0034】
次にインクジェットプリンタ1の搬送部の構成について説明する。この搬送部は、図3に示すように、紙挿入口11A及びロール紙挿入口11Bと、給紙モータ(不図示)と、給紙ローラ13と、プラテン14と、紙送りモータ15と、搬送ローラ17Aと排紙ローラ17Bと、フリーローラ18Aとフリーローラ18Bとを有する。
【0035】
紙挿入口11Aは、媒体である紙Sを挿入するところである。給紙モータ(不図示)は、紙挿入口11Aに挿入された紙Sをプリンタ1内に搬送するモータであり、パルスモータ等で構成される。給紙ローラ13は、紙挿入口11Aに挿入された媒体Sを図中矢印A方向(ロール紙の場合は矢印B方向)にプリンタ1の内部に自動的に搬送するローラであり、給紙モータによって駆動される。給紙ローラ13は、略D形の横断面形状を有している。給紙ローラ13の円周部分の周囲長さは、紙送りモータ15までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて媒体Sを紙送りモータ15まで搬送できる。なお、給紙ローラ13の回転駆動力と分離パッド(不図示)の摩擦抵抗とによって、複数の媒体Sが一度に給紙されることを防いでいる。
【0036】
プラテン14は、印刷中の紙Sを支持する支持部材である。紙送りモータ15は、媒体Sである例えば紙を搬送方向に送り出すモータであり、DCモータで構成される。搬送ローラ17Aは、給紙ローラ13によってプリンタ1内に搬送された紙Sを印刷可能な領域まで送り出すローラであり、紙送りモータ15によって駆動される。フリーローラ18Aは、搬送ローラ17Aと対向する位置に設けられ、紙Sを搬送ローラ17Aとの間に挟むことによって紙Sを搬送ローラ17Aに向かって押さえる。
【0037】
排紙ローラ17Bは、印刷が終了した紙Sをプリンタ1の外部に排出するローラである。排紙ローラ17Bは、不図示の歯車により、紙送りモータ15によって駆動される。フリーローラ18Bは、排紙ローラ17Bと対向する位置に設けられ、紙Sを排紙ローラ17Bとの間に挟むことによって紙Sを排紙ローラ17Bに向かって押さえる。
【0038】
<システム構成>
次にインクジェットプリンタ1のシステム構成について説明する。このインクジェットプリンタ1は、図4に示すように、バッファメモリ122と、イメージバッファ124と、システムコントローラ126と、メインメモリ127と、EEPROM129とを備えている。バッファメモリ122は、ホストコンピュータ140から送信された印刷データ等の各種データを受信して一時的に記憶する。また、イメージバッファ124は、受信した印刷データをバッファメモリ122より取得して格納する。また、メインメモリ127は、ROMやRAMなどにより構成される。
【0039】
一方、システムコントローラ126は、メインメモリ127から制御用プログラムを読み出して、当該制御用プログラムに従ってプリンタ1全体の制御を行う。本実施形態のシステムコントローラ126は、キャリッジモータ制御部128と、搬送制御部130と、ヘッド駆動部132と、ロータリ式エンコーダ134と、リニア式エンコーダ51とを備えている。キャリッジモータ制御部128は、キャリッジモータ42の回転方向や回転数、トルクなどを駆動制御する。また、ヘッド駆動部132は、ヘッド21の駆動制御を行う。搬送制御部130は、搬送ローラ17Aを回転駆動する紙送りモータ15など、搬送系に配置された各種駆動モータを制御する。
【0040】
ホストコンピュータ140から送られてきた印刷データは、一旦、バッファメモリ122に蓄えられる。ここで蓄えられた印刷データは、その中から必要な情報がシステムコントローラ126により読み出される。システムコントローラ126は、その読み出した情報に基づき、リニア式エンコーダ51やロータリ式エンコーダ134からの出力を参照しながら、制御用プログラムに従って、キャリッジモータ制御部128や搬送制御部130、ヘッド駆動部132を各々制御する。
【0041】
イメージバッファ124には、バッファメモリ122に受信された複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動部132は、システムコントローラ126からの制御信号に従って、イメージバッファ124から各色成分の印刷データを取得し、この印刷データに基づきヘッド21に設けられた各色のノズルnを駆動制御する。
【0042】
なお、本実施形態にかかるインクジェットプリンタ1にあっては、これらの他に、液体滴吐出検査装置60(80,80a,80b)を備えており、これについては後述する。
【0043】
<ヘッド21>
図5は、ヘッド21の下面に設けられたノズルnの配列図である。ヘッド21の下面には、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色毎にそれぞれ複数のノズルn(♯1)〜n(♯180)からなるノズル列211が設けられている。
各ノズル列211の各ノズルn(♯1)〜n(♯180)は、紙Sの搬送方向に沿って直線状に配列されている。各ノズル列211は、キャリッジ移動方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。各ノズルnには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。
ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズルnから吐出される。
【0044】
図6は、ノズルn(♯1)〜n(♯180)の駆動回路220の説明図である。この駆動回路220は、原駆動信号発生部221と、複数のマスク回路222とを備えている。原駆動信号発生部221は、各ノズルnに共通して用いられる原信号ODRVを生成する。この原信号ODRVは、一画素分の区間内(キャリッジ41が一画素の間隔を横切る時間内)において、図中下部に示すように、第1パルスP1と第2パルスP2の2つのパルスを含む信号である。原駆動信号発生部221で生成された原信号ODRVは、各マスク回路222に出力される。
【0045】
マスク回路222は、ヘッド21の各ノズルnをそれぞれ駆動する複数のピエゾ素子に対応して設けられている。各マスク回路222には、原駆動信号発生部221から原信号ODRVが入力されるとともに、印刷信号PRT(i)が入力される。この印刷信号PRT(i)は、画素に対応する画素データであり、一画素に対して2ビットの情報を有する2値信号である。その各ビットは、それぞれ第1パルスP1と第2パルスP2とに対応している。マスク回路222は、印刷信号PRT(i)のレベルに応じて、原信号ODRVを遮断したり通過させたりするためのゲートである。すなわち、印刷信号PRT(i)がレベル『0』のときには、原信号ODRVのパルスを遮断する一方、印刷信号PRT(i)がレベル『1』のときには、原信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとして、各ノズルnのピエゾ素子に向けて出力する。各ノズルnのピエゾ素子は、マスク回路222からの駆動信号DRVに基づき駆動してインク滴の吐出を行う。
【0046】
図7は、原駆動信号発生部221の動作を示す原信号ODRV、印刷信号PRT(i)、駆動信号DRV(i)のタイミングチャートである。原信号ODRVは、各画素区間T1、T2、T3、T4において、第1パルスP1と第2パルスP2とを順に発生する。なお、画素区間とは、一画素分のキャリッジ41の移動区間と同じ意味である。
【0047】
ここで、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『10』に対応しているとき、第1パルスP1のみが一画素区間の前半で出力される。これにより、ノズルnから小さいインク滴が吐出され、媒体Sには小さいドット(小ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『01』に対応しているとき、第2パルスP2のみが一画素区間の後半で出力される。これにより、ノズルnから中サイズのインク滴が吐出され、媒体Sには、中サイズのドット(中ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『11』に対応しているとき、第1パルスP1と第2パルスP2とが一画素区間で出力される。これにより、ノズルnから大きいサイズのインク滴が吐出され、媒体Sには、大きいサイズのドット(大ドット)が形成される。以上説明したとおり、一画素区間における駆動信号DRV(i)は、印刷信号PRT(i)の3つの異なる値に応じて互いに異なる3種類の波形を有するように整形され、これらの信号に基づいてヘッド21は、3種類のサイズのドットを形成し、また画素区間内にて吐出するインク量を調整することが可能である。また、画素区間T4のように、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『00』に対応しているときには、ノズルnからインク滴が吐出されず、媒体Sには、ドットが形成されないことになる。
【0048】
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1では、このようなノズルn(♯1)〜n(♯180)の駆動回路220が、ノズル列211毎、即ち、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色毎に各々個別に設けられ、各ノズル列211の各ノズルn(♯1)〜n(#180)ごとに個別にピエゾ素子の駆動が行われるようになっている。
【0049】
===印刷動作===
次に前述したインクジェットプリンタ1の印刷動作について説明する。ここでは、「双方向印刷」を例に説明する。図8は、インクジェットプリンタ1の印刷動作の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下で説明される各処理は、システムコントローラ126が、メインメモリ127又はEEPROM129に格納されたプログラムを読み出して、当該プログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。
【0050】
システムコントローラ126は、ホストコンピュータ140から印刷データを受信すると、その印刷データに基づき印刷を実行すべく、まず、給紙処理を行う(S102)。給紙処理は、印刷しようとする媒体S、ここでは紙Sをプリンタ1内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)まで搬送する処理である。システムコントローラ126は、給紙ローラ13を回転させて、印刷しようとする紙を搬送ローラ17Aまで送る。システムコントローラ126は、搬送ローラ17Aを回転させて、給紙ローラ13から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。
【0051】
次に、システムコントローラ126は、キャリッジ41を媒体Sに対して相対的に移動させて媒体Sに対して印刷を施す印刷処理を実行する。ここでは、まず、キャリッジ41をガイドレール46に沿って一の方向に向かって移動させながら、ヘッド21からインク滴を吐出する往路印刷を実行する(S104)。システムコントローラ126は、キャリッジモータ42を駆動してキャリッジ41を移動させるとともに、印刷データに基づきヘッド21を駆動してインク滴を吐出する。ヘッド21から吐出されたインク滴は、紙に到達しドットが形成される。
【0052】
このようにして印刷を行った後、次に、媒体Sを所定量だけ搬送する搬送処理を実行する(S106)。この搬送処理では、システムコントローラ126は、紙送りモータ15を駆動して搬送ローラ17Aを回転させて、紙をヘッド21に対して相対的に搬送方向に所定量だけ搬送する。この搬送処理により、ヘッド21は、先ほどの印刷した領域とは異なる領域に印刷をすることが可能になる。
【0053】
このようにして搬送処理を行った後、排紙すべきか否か排紙判断を実行する(S108)。ここで、印刷中の紙に印刷すべき他のデータがなければ、排紙処理を実行する(S116)。一方、印刷すべき他のデータがあれば、排紙処理は行わずに、復路印刷を実行する(S110)。この復路印刷は、キャリッジ41をガイドレール46に沿って先ほどの往路印刷とは反対の方向に移動させて印刷を行う。ここでも、システムコントローラ126は、キャリッジモータ42を先ほどとは逆に回転駆動させてキャリッジ41を移動させるとともに、印刷データに基づきヘッド21を駆動してインク滴を吐出し、印刷を施す。
【0054】
復路印刷を実行した後、搬送処理を実行し(S112)、その後、排紙判断を行う(S114)。ここで、印刷中の紙に印刷すべき他のデータがあれば、排紙処理は行わずに、ステップS104に戻って、再度往路印刷を実行する(S104)。一方、印刷中の紙に印刷すべき他のデータがなければ、排紙処理を実行する(S116)。
【0055】
排紙処理を行った後、次に、印刷終了か否かを判断する印刷終了判断を実行する(S118)。ここでは、次にホストコンピュータ140から印刷データに基づき、次に印刷すべき紙がないかどうかチェックする。ここで、次に印刷すべき紙がある場合には、ステップS102に戻り、再び給紙処理を実行して、印刷を開始する。一方、次に印刷すべき紙がない場合には、印刷処理を終了する。
【0056】
===液体滴吐出検査装置===
次に液体滴吐出検査装置について説明する。ここでは、この液体滴吐出検査装置が、インクジェットプリンタ1(液体滴吐出装置に相当)に搭載された場合を例に説明する。
【0057】
<参考例の液体滴吐出検査装置60>
図9乃至図10Bに、参考例の液体滴吐出検査装置60の説明図を示す。図9は、プリンタ1内における液体滴吐出検査装置60の配置図であり、図10Aは、液体滴吐出検査装置60の縦断面図であり、図10Bは、図10A中のB−B断面図である。
【0058】
この液体滴吐出検査装置60は、図9の配置図に示すように、プリンタ1の印刷エリアAp(キャリッジ41のヘッド21が印刷可能なエリア)から外れた非印刷エリアAnに配置されており、キャリッジ41が、キャリッジ移動方向に沿って印刷エリアApから非印刷エリアAnへと移動することで、吐出状態の検査を行える状態となる。ここで、ノズルnからのインク滴の吐出方向が鉛直方向下方であることから、この液体滴吐出検査装置60は、非印刷エリアAnに移動したヘッド21のノズルnに対し、その下方から対向するように、ヘッド21の下面よりも下方に配置されている。
【0059】
ちなみに、この非印刷エリアAnにおける液体滴吐出検査装置60よりも外側の領域には、前述のクリーニングユニット30が配置されており、そのポンプ装置31は、液体滴吐出検査装置60からの検査結果を受けて、ヘッド21のノズルnからインクを吸い出す動作をする。
【0060】
図10Aに示すように、液体滴吐出検査装置60は、ヘッド21のノズルnから吐出されたインク滴を受けるための導電性インク吸収体(導電性液体吸収体に相当)61と、帯電したインク滴の接近によって前記導電性インク吸収体61に生じる誘導電流を検出する検出部63と、ノズルnから前記インク滴を吐出する際にこのインク滴を帯電させるべく前記導電性インク吸収体61に電圧を印加する電圧印加部65と、導電性インク吸収体61を収容するための有底容器67と、を備えている。
【0061】
先ず、図10Aを参照して検査原理を説明する。帯電したインク滴がノズルnから導電性インク吸収体61へ向けて吐出されると、このインク滴の接近に伴って導電性インク吸収体61には、静電誘導現象等に基づいて誘導電流が生じる。すなわち、インク滴の接近に伴って、導電性インク吸収体61には前記インク滴とは逆極性の電荷が誘起されるように誘導電流が流れる。よって、この誘導電流の検出の有無によってノズル詰まりを検査できる。なお、この検出の有無の判定は、例えば、誘導電流の大きさが所定の基準閾値を超えるか否かによって行うことができる。
【0062】
インク滴の帯電処理は、電圧印加部65によって導電性インク吸収体61に電圧を印加し、その際にノズルnとの間に形成される電界によって吐出前にインクを分極させることで行われる。よって、導電性インク吸収体61に印加する電圧値を、前記基準閾値との関係で予め設定しておくことにより、吐出量が計画値の場合に、前記誘導電流の大きさが基準閾値を超えるような帯電量を帯びさせることが可能である。なお、インク滴の吐出量が多い程に帯電量も大きくなるのは言うまでもなく、もって、検査精度向上の観点からは、インク滴の吐出に用いる駆動信号DRV(i)としては、大ドット用のインク滴を吐出するための駆動信号DRV(i)を用いるのが望ましい(図7を参照)。
【0063】
次に、図10A及び図10Bを参照しつつ、液体滴吐出検査装置60の各構成要素について説明する。
【0064】
有底容器67は、下方が底の略直方体形状の箱体68を本体とし、この箱体68内に、前記導電性インク吸収体61が収容されている。そして、この有底容器67の開口した上端を通して、導電性インク吸収体61の上面61aがその上方のノズルnに対向可能であり、もって、当該上面61aが、ノズルnから鉛直下方へ吐出されるインク滴を受けるための面として機能する。
【0065】
なお、好ましくは、この箱体68をゴム等の不導体素材で成形すると良く、そうすれば、これに収容される導電性インク吸収体61からの漏電を確実に防止可能となり、漏電による電圧降下に起因してインク滴の帯電量が計画値を下回って検査精度が悪くなることを防止できる。
【0066】
また、より好ましくは、この箱体68の底面及び四側面を、電気的に接地された金属網や金属板等の遮蔽部材69で覆うと良い。そうすれば、この遮蔽部材69によって、前記箱体68には電磁遮蔽機能及び静電遮蔽機能が付与されるため、電磁ノイズ等の外乱を発する機器が周囲に存在しても、その影響は、箱体68内の導電性インク吸収体61には及ばず、もって、導電性インク吸収体61に生じる誘導電流は、専らインク滴の接近に基づいたものとなりその検査精度を高めることができる。
【0067】
導電性インク吸収体61は、例えば、弾性を有する海綿状の多孔質体であり、その具体的一例としては、セル数が約40セル/インチで電気抵抗率が10000Ω・cmのエステル系ウレタンスポンジ(商品名:エバーライトSK−E、ブリジストン(株)社製)等が挙げられる。但し、適度な導電性及び吸液性を有していれば何等これに限るものではない。
【0068】
なお、ここで海綿状の多孔質体を用いている理由は、前記上面61a上のインクの滞留を防ぐためである。すなわち、前記上面61aにインクが滞留すると、その導電性に起因して、前記上面61aとノズルnとの間隔D1を実質的に狭くしてしまい、この後の問題点で述べる「間隔D1の変動」と同等の悪影響を検査精度に対して及ぼしてしまうからである。この点につき、導電性インク吸収体61は、海綿状の多孔質体であるために、前記上面61aに受けられたインク滴は、多数の孔によって導電性インク吸収体61の内部へと浸透し、前記上面61aのインクの滞留は抑制される。
【0069】
この導電性インク吸収体61の上面61aの形状は、図10Aに示すように、ノズル列211の列方向に沿って長尺な長方形であり、その全長L1は、ノズル列211の全長L2よりも長くなっている。従って、前記キャリッジ41の移動によって、前記導電性インク吸収体61とノズル列211との位置合わせを一回行えば、前記ノズル列211の全ノズルn(#1)〜n(#180)を導電性インク吸収体61の上面61aに対向させることができて、もって、その後の位置合わせ無しに、前記ノズル列211の全てのノズルn(#1)〜n(#180)の吐出状態の検査を一斉に行うことができ、検査時間の短縮化が図れる。
【0070】
検出部63は、コンデンサCと、入力抵抗R2と、帰還抵抗R3と、オペアンプAmpとを備えた電気回路により構成されている。コンデンサCは、導電性インク吸収体61に誘導電流が発生したときに、それを電気信号として入力抵抗R2を介してオペアンプAmpに入力する役割を果たす。また、オペアンプAmpは、コンデンサCを通じて入力された信号を増幅して出力する増幅回路としての役割を果たす。オペアンプAmpからの出力信号は、例えば、A/D変換器(不図示)によりアナログ信号からデジタル信号へとA/D変換されて、例えばデジタルデータなどの適宜な形態でシステムコントローラ126に向けて出力される。
【0071】
このシステムコントローラ126は、検出部63からのデータ、すなわち導電性インク吸収体61に生じた誘導電流の大きさを、所定の基準閾値と比較して、インク滴が吐出されたか否かを判定する。すなわち、誘導電流の大きさが前記基準閾値を超えていれば、インク滴が正常に吐出されていると判定し、超えていなければノズル詰まりと判定する。この基準閾値に関する情報は、図4に示すメインメモリ127やEEPROM129等のメモリに予め記憶されている。よって、システムコントローラ126は、誘導電流の大きさを前記基準閾値と比較するにあたって、メインメモリ127やEEPROM129等から、前記基準閾値を取得する。
なお、このシステムコントローラ126は、ヘッド21の各ノズルnからそれぞれ個別に導電性インク吸収体61へ向けて前記吐出状態の検査用のインク滴を吐出するように、ヘッド駆動部132の制御も行うのは言うまでもない。
【0072】
電圧印加部65は適宜な電源であり、図10Aに示すように保護抵抗R1を介して前記導電性インク吸収体61に、例えば100ボルトの電圧を印加する。
【0073】
<参考例の液体滴吐出検査装置60の問題点>
上記のような液体滴吐出検査装置60にあっては、検査精度の観点から、図10Aに示すノズルnと導電性インク吸収体61との間隔D1の管理が重要となる。
これは、導電性インク吸収体61に所定電圧を印加しても、ノズルnと導電性インク吸収体61との間隔D1が変化すると、この間隔D1に形成される電界の変化を通してインク滴の帯電量に変化を来たす結果、誘導電流の大きさも変化してしまい、吐出状態を正確に検査できなくなるからである。
【0074】
例えば、ノズルnが不完全に目詰まりを起こしている場合には、そのインク滴の吐出量は計画値よりも少なくなるため、本来は、このようなノズルnに対してもノズル詰まりと判定するのが望ましい。つまり、この場合には、吐出量が少量であることに伴ってインク滴の帯電量も少なくなることから、発生する誘導電流の大きさは前述の基準閾値を下回って、ノズル詰まりと判定されるのが理想である。
【0075】
しかしながら、図11の右図に示すように、導電性インク吸収体61の経時的変化等によって、導電性インク吸収体61の上面61aが、その上方のノズルn側へ移動する虞があり、その場合には、前記間隔D1が狭まってノズル詰まりと判定されない可能性がある。
【0076】
すなわち、上面61aの上方への移動分だけノズルnと導電性インク吸収体61との間隔は本来値D1からD2へと狭まってしまい、その結果として、ノズルnと導電性インク吸収体61との間に形成される電界の大きさも計画値より大きくなってしまう。すると、この電界によって生じるインク滴の帯電量も、不完全詰まりの少量のインク滴に見合った帯電量よりも大きくなってしまい、その結果として、本来ならば基準閾値よりも下回るべき誘導電流の大きさが基準閾値を上回り、もってノズル詰まりと判定されない虞があるのである。
ちなみに、前記ノズルnと導電性インク吸収体61の上面61aとの間隔D1は1〜2mmに設定されるため、ちょっとした間隔の変動も十分検査精度に影響を及ぼすと考えられる。
【0077】
このようなことから、本実施形態に係る液体滴吐出検査装置60にあっては、以下に説明するように、導電性インク吸収体61の上面61aとノズルnとの間隔を所定間隔に保つための保持部68aを有底容器67に追設しており(図12を参照)、これによって、前記上面61aが、その上方のノズルn側へ移動しないように拘束しているのである。
【0078】
<第1実施形態に係る液体滴吐出検査装置80>
図12Aに、第1実施形態に係る液体滴吐出検査装置80の縦断面図を、また、図12Bには、図12A中のB−B断面図を示す。前述の参考例との主な相違点は、有底容器67の箱体68に、上述の保持部68aが設けられている点に有り、それ以外の構成は、ほぼ参考例と同じである。従って、同一の構成については、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0079】
前記保持部68aは、有底容器67の箱体68の内周面における前記上面61aに対応する高さに形成された凸部68aであり、この凸部68aの下面が前記上面61aの縁部に当接している。よって、この凸部68aは、前記上面61aの上方への移動を拘束する。ここで、この凸部68aの望ましい形態としては、前記上面61aの縁部の全周に亘って当接すべく、箱体68の内周に沿って環状に形成されていると良く、そうすれば、前記上面61aをほぼ平面状に保ったまま、その上方への移動を拘束できる。
【0080】
なお、上面61aが下方へ移動する虞がある場合には、図13A及び図13Bに示す変形例のように、前記上面61aよりも下方の部分に食い込んで導電性インク吸収体61に係合する凸部68bを、箱体68の内周面に形成すれば良く、そうすれば、前記上面61aの移動を上下両方向について確実に拘束できる。また、この拘束性をより高めるには、前記凸部68bを上下方向の複数の位置に設けると良い。
【0081】
<第2実施形態に係る液体滴吐出検査装置80a>
図14Aに、第2実施形態の液体滴吐出検査装置80aの縦断面図を、また、図14Bには、図14A中のB−B断面図を示す。第1実施形態との主な相違点は、導電性インク吸収体61の厚みを薄くし、それによって空いた有底容器67の底部側の空間、即ち下方側の空間に、膨潤性のインク保持体81(液体保持体に相当)を収容した点に有り、それ以外の構成は、ほぼ第1実施形態と同じである。従って、同一の構成については、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0082】
有底容器67の底部側に収容されたインク保持体81は、その上方の導電性インク吸収体61からインクをほぼ不可逆的に吸い取って保持するものであり、前記底部側の空間とほぼ同形の直方体形状に成形されている。そして、このインク保持体81は、その長方形の上面81aを、前記導電性インク吸収体61の長方形の下面61bにほぼ全面に亘って当接させつつ前記空間に収容されており、これによって、導電性インク吸収体61からの一層速やかなインクの吸い取りを達成している。
【0083】
このインク保持体81に好適な素材としては、吸い取ったインクをゲル化して保持する素材が挙げられ、特に、少なくとも水を溶媒として含むインクの場合には、所謂吸水性ポリマーが好適である。この吸水性ポリマーは、その分子間に水を取り込んで膨張する性質(膨潤性)を有し、一旦取り込んだ水を容易には離さない。このため、一旦吸い取ったインクを、再び導電性インク吸収体61へと戻してしまうことは殆ど無く、つまり導電性インク吸収体61から概ね非可逆的にインクを吸い取り可能である。この吸水性ポリマーとしては、架橋ポリアクリル酸塩系樹脂等が挙げられる。
【0084】
そして、この第2実施形態によれば、前述の保持部68aによる前記上面61aの上方への移動拘束作用を有効に享受することができる。これは、図15に示すように、インク保持体81は、その膨潤性からインクの吸い取りに伴って膨張し、これによって導電性インク吸収体61が上方へ押し上げられるが、その際には、前記保持部68aが、前記上面61aのノズルn側への移動を確実に拘束するからである。ちなみに、インク保持体81の膨張は、導電性インク吸収体61の弾性圧縮変形によって吸収され、これによって、導電性インク吸収体61の上面61aは上方へ移動することなく初期位置に維持される。
【0085】
ところで、この第2実施形態では、図14A及び図14Bに示すように、導電性インク吸収体61とインク保持体81との当接面間に、金属製の電極部材83が介装されており、この電極部材83を介して導電性インク吸収体61は電圧印加部65に対して電気的に接続されているが、この理由は次の通りである。導電性を有するとはいえ、導電性インク吸収体61は樹脂素材であるために、その電気抵抗は金属よりも大きい。このため、導電性インク吸収体61の一部に電圧印加部65との接点を設けると、ノズル毎に、それが対面する上面61aの部分の電圧値が異なってしまい、その結果として、ノズル毎にインク滴の帯電量が異なってしまう虞があるためである。
【0086】
ここでは、この電極部材83として、ノズル列211の全長L2よりも長い矩形の金属平板たる電極板83を使用し(図中では電極板83の長さをL3で示す)、ノズル列211が導電性インク吸収体61の上面61aと対向状態になった際には、電極板83の板面は、ノズル列211の全ノズルn(#1)〜n(#180)と対向するようになっている。従って、各ノズルnと対向する導電性インク吸収体61の各部分に均等に電圧を印加できる結果、インク滴の帯電量がノズル毎にばらつくことは有効に抑えられ、吐出状態の検査精度を良好に維持可能となる。
【0087】
なお、図14Bを参照してわかるように、この電極板83の幅W3は、導電性インク吸収体61の上面61aの幅W1よりも幅狭に形成されており、これによって、前記電極板83の幅方向の両端縁には、導電性インク吸収体61の内部のインクをインク保持体81へと導く流路が確保される。よって、導電性インク吸収体61からのインク保持体81のインクの吸い取りを、前記電極板83が阻害することは抑制される。
【0088】
<第3実施形態に係る液体滴吐出検査装置80b>
図16に、第3実施形態の液体滴吐出検査装置80bの縦断面図を示す。第2実施形態のインク保持体81は、有底容器67の底部との間に空間を設けずにその自重を底部に支持させた形で収容されていたが、本第3実施形態のインク保持体81は、底部との間に空間SPを設けた形で有底容器67に収容され、その自重を有底容器67が有する凸部68cに支持させている点で主に相違する。そして、それ以外の構成は、ほぼ第2実施形態と同じであり、同一の構成については、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0089】
この有底容器67におけるインク保持体81よりも底部側に空けられた空間SPは、インク保持体81の膨張用スペースであり、これを備えれば、前記導電性インク吸収体61が弾性圧縮変形能力に乏しい素材の場合であっても、インク保持体81は前記空間SPへ向けて膨張することでその膨潤変形は許容される。よって、導電性インク吸収体61の上面61aを初期位置に確実に維持可能となる。
【0090】
なお、この凸部68cは、有底容器67の箱体68の内周面に一体的に設けられており、しかも、インク保持体81の上部に食い込んでその自重を支持している。よって、それよりも下方にあるインク保持体81の大半の部分は、自在に下方へと膨張変形可能であり、もって、インク保持体81の膨張に要らぬ拘束がかかることはない。
このような凸部68cは、前記箱体68の内周に沿って環状に形成されているのが望ましく、そうすれば、インク保持体81を、その外側面の全周に亘って支持し、その支持安定性が高まる。
【0091】
図17に、変形例の液体滴吐出検査装置の縦断面図を示す。上述の第3実施形態との主な相違点は、前述の凸部68cに代わるインク保持体81の自重の支持部材として、有底容器67の底部に、インク保持体81の膨張に応じて上下移動可能な可動床85が設けられていることにある。
【0092】
この可動床85は、有底容器67の箱体68の底部よりも平面寸法が若干小さい矩形平板であり、前記底部に配された板ばね等の弾性部材87に支持されている。つまり、この弾性部材87は、可動床85を介して、インク保持体81及び導電性インク吸収体61の両方の自重を支持している。よって、インク保持体81の膨張に伴ってインク保持体81から可動床85に下方への押し下げ力が作用すると、弾性部材87の上方への弾性力に抗しつつ可動床85は下方へ押し下げられ、よって、インク保持体81の膨張に要らぬ拘束が作用することはない。
【0093】
===インク滴の吐出状態の検査手順===
図18は、ノズル列一列分の吐出状態の検査手順を説明するためのフローチャートである。上述のプリンタ1は、4列のノズル列211(イエロインクのノズル列211(Y)、マゼンダインクのノズル列211(M)、シアンインクのノズル列211(C)、ブラックインクのノズル列211(K))を有しているので(図5を参照)、この検査手順が4回繰り返される。
【0094】
図18に示すように、検査を実行する際には、システムコントローラ126は、まず前述のメインメモリ127内の所定の領域に割り付けられたカウンタをクリアし「N=0」とする(S202)。次に、カウンタの値Nに「1」を加えた後に(S204)、最初のノズルn(#1)にてインク滴を1滴吐出させる動作を実行する(S206)。このとき、システムコントローラ126は検出部63の出力を監視しており、所定時間内に検出部63からインク滴が吐出されたことを示す信号が出力されたか否かを前記基準閾値に基づいて判定する(S208)。
【0095】
ここで、インク滴が吐出されたと判定された場合には、そのまま、ステップS210へ移行する。他方、インク滴が吐出されていないと判定された場合には、このときのカウンタ値Nをメモリ127の詰まりノズル記憶領域として設定された領域にインク滴の色毎に記憶し(S209)、しかる後に、ステップS210へ移行する。
【0096】
そして、ステップS210では、カウンタ値Nが180に到達したか否かが判定され、カウンタ値Nが180に満たない場合には、カウンタの値に「1」を加えた後に(S204)、次のノズルn(#2)にてインク滴を1滴吐出させる動作を実行させ(S206)、上述と同様に検出部63から信号の出力の有無を前記基準閾値に基づいて判定する(S208)。このように、インク滴を吐出させる動作を実行させるノズルnを順次変更しながら最後のノズルn(#180)まで検出部63からの出力を監視・判定する処理を繰り返す。
【0097】
上述の検査を、ブラックインクノズル列211(K)、シアンインクノズル列211(C)、マゼンダインクノズル列211(M)、イエローインクノズル列211(Y)に対し順次行って、吐出状態の検査は終了する。そうしたら、システムコントローラ126は、詰まりノズル記憶領域に記憶されている情報を取得し、これによって、ノズル詰まりのノズルの番号、インクの色、総数などの情報を取得することができる。
【0098】
ちなみに、この情報に基づいてシステムコントローラ126は、クリーニングユニット30を適宜動作させてヘッド21のノズル詰まりを解消する。
【0099】
===インク滴の吐出状態の検査タイミング===
この検査が実行されるタイミングとしては、以下の三つが挙げられる。
【0100】
<印刷処理中>
印刷処理中に適宜なタイミングで検査を実行する。例えば、「双方向印刷」の場合には、移動方向が変更される際に、キャリッジ41が導電性インク吸収体61上へと移動して、インク滴の吐出状態の検査を実行する。これにより、印刷処理中にノズルnからインク滴が吐出されずに印刷画像に不具合が生じるのを回避できる。
【0101】
<電源投入時>
電源投入時に検査を実行する。電源投入時は、しばらくの間ノズルnからインク滴を吐出しない状態が続いていた可能性があり、このような場合には、ノズルn内のインク滴が乾燥しノズルnからインク滴が吐出されない虞れがある。また、これからまさに印刷を行うべくプリンタ1の電源を投入する場合もあるので、プリンタ1のイニシャライズ処理時における処理の1つとして、インク滴の吐出状態の検査を実行する。このようなタイミングで検査を実行することで、ノズルnからインク滴を確実に吐出させて良好な画像を印刷可能となる。
【0102】
<給紙時>
紙Sを印刷すべく所定の位置に送り込む動作の際、即ち給紙時に検査を実行する。このタイミングによれば、画像を印刷するために紙Sを給紙したときに、インク滴が正常に吐出されるか否かを検知可能である。なお、紙Sを給紙する度に、吐出状態の検査を実行しても良いし、または、所定の給紙枚数毎に実行しても良い。
【0103】
===液体滴吐出システム1000等の構成===
次に、本発明に係る液体滴吐出システム1000の一例として、液体滴吐出装置としてのプリンタ1106を備えた液体滴吐出システム1000を例にして説明する。
【0104】
図19は、液体滴吐出システム1000の外観斜視図である。液体滴吐出システム1000は、コンピュータ本体1102と、表示装置1104と、プリンタ1106と、入力装置1108と、読取装置1110とを備えている。コンピュータ本体1102は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置1104は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ1106は、上記に説明されたインクジェットプリンタ1が用いられている。入力装置1108は、本実施形態ではキーボード1108Aとマウス1108Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置1110は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置1110AとCD−ROMドライブ装置1110Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magnet Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0105】
図20は、図19に示した液体滴吐出システム1000の構成を示すブロック図である。コンピュータ本体1102が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ1202と、ハードディスクドライブユニット1204等の外部メモリがさらに設けられている。
【0106】
上述したプリンタ1の動作を制御するコンピュータプログラムは、例えばインターネット等の通信回線を経由して、プリンタ1106に接続されたコンピュータ本体1102等にダウンロードさせることができるほか、コンピュータ本体1102による読み取り可能な記録媒体に記録して配布等することもできる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクFD、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスクMO、ハードディスク、メモリ等の各種記録媒体を用いることができる。なお、このような記憶媒体に記憶された情報は、各種の読取装置1110によって、読み取り可能である。
【0107】
なお、以上の説明においては、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110と接続されて液体滴吐出システム1000を構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、液体滴吐出システム1000が、コンピュータ本体1102とプリンタ1106から構成されても良く、液体滴吐出システム1000が表示装置1104、入力装置1108及び読取装置1110のいずれかを備えていなくても良い。また、例えば、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。
【0108】
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、液体滴吐出検査装置、液体滴吐出装置、液体滴吐出システム、及び、液体滴の吐出状態の検査方法について説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施の形態であっても、本発明に係る液体滴吐出検査装置、液体滴吐出装置、及び液体滴吐出システムに含まれるものである。
【0109】
また、本実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部又は全部をソフトウェアによって置き換えてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアによって置き換えてもよい。
【0110】
また、液体滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)側にて行っていた処理の一部をホストコンピュータ140側にて行ってよく、また液体滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)とホストコンピュータ140の間に専用の処理装置を介設して、この処理装置にて処理の一部を行わせるようにしてもよい。
【0111】
<液体滴吐出検査装置80,80a,80bについて>
前述した実施の形態では、液体滴吐出検査装置80が液体滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)に搭載された場合を例に説明したが、何等これに限るものではなく、液体滴吐出検査装置80,80a,80bが液体滴吐出装置から分離して、液体滴の吐出検査のみを独立して実行可能な装置であっても良く、また、前述した液体滴吐出装置以外の他の装置に搭載されても良い。
【0112】
<液体滴吐出装置1について>
前述した実施の形態では、液体滴吐出装置としてインクジェットプリンタ1を例示したが、液体滴を吐出する装置であれば何等これに限るものではない。
【0113】
<液体滴について>
前述した実施の形態では、液体滴としてインク滴を例示したが、帯電する液体滴であれば何等これに限るものではない。例えば、金属材料、有機材料(例えば高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、各種加工液、遺伝子溶液等の液体滴であっても良い。
【0114】
<有底容器67の保持部68a,68bについて>
前述した実施の形態では、導電性インク吸収体61の保持部としての凸部68a,68bを、有底容器67の箱体68の内周の全周に亘って連続させて設け、環状にしたが、何等これに限るものではなく、内周方向の適宜位置で分断させても良い。
【0115】
<インク保持体81を支持する有底容器67の凸部68cについて>
前述の第3実施形態では、インク保持体81を支持する凸68c部を、有底容器67の箱体68の内周の全周に亘って連続させて設け、環状にしたが、何等これに限るものではなく、内周方向の適宜位置で分断させても良い。
【0116】
<液体保持体81について>
前述した実施の形態では、液体保持体たるインク保持体81として吸水性ポリマーを例示したが、導電性インク吸収体61からインクを吸い取って保持する機能を有していれば、何等これに限るものではなく、例えば、導電性インク吸収体61よりも大きな毛細管力を有する部材を適用しても良い。その素材例としては、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、レーヨン等の合成繊維やパルプ等を原料とするフエルト材や、スポンジ等の多孔質材が挙げられるが、インク保持能力に優れている点でフエルト材が好ましい。
【0117】
<導電性液体吸収体61について>
前述した実施形態では、導電性液体吸収体たる導電性インク吸収体61として、導電性のウレタンスポンジを例示したが、導電性及び吸液性を有していれば何等これに限るものではない。例えば、金属メッシュ等を用いても良く、この場合には、金属メッシュの電気抵抗が低いことから、前述の電極部材83を省略できるというメリットがある。
【0118】
<電極部材83について>
前述の第2実施形態では、電極部材として金属平板の電極板83を例示したが、何等これに限るものではなく、例えば、金属の棒材や線材等を用いても良い。
また、電極部材83の配置位置としては、導電性インク吸収体61とインク保持体81との当接面間に限るものではない。例えば、図21に示すように導電性インク吸収体61の内部に埋設しても良いし、図22に示すように導電性インク吸収体61の上面61aに載置しても良い。但し、この上面61aに載置するのは、電極部材83上にインクが滞留する虞があるため得策ではない。
【0119】
<検査に供するインク滴の吐出数について>
前述した実施形態では、ノズル毎にインク滴を一滴だけ吐出して吐出状態の検査を実行したが、インク滴の吐出数はこれに限るものではない。例えば、二以上の所定数のインク滴を連続吐出しても良く、その場合には、誘導電流が大きくなり検査精度の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】インクジェットプリンタ1の外観斜視図である。
【図2】プリンタ1の内部構成を示す図である。
【図3】プリンタ1の搬送部を示す断面図である。
【図4】プリンタ1のシステム構成を示すブロック図である。
【図5】ヘッド21の下面に設けられたノズルnの配列図である。
【図6】駆動回路220の説明図である。
【図7】原駆動信号発生部221の動作を示す原信号ODRV、印刷信号PRT(i)、駆動信号DRV(i)のタイミングチャートである。
【図8】印刷動作の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】プリンタ1内における液体滴吐出検査装置60の配置図である。
【図10A】参考例の液体滴吐出検査装置60の縦断面図である。
【図10B】図10A中のB−B断面図である。
【図11】参考例の液体滴吐出検査装置60の問題点を説明するための縦断面図である。
【図12A】第1実施形態に係る液体滴吐出検査装置80の縦断面図である。
【図12B】図12A中のB−B断面図である。
【図13A】第1実施形態の変形例の縦断面図である。
【図13B】図13A中のB−B断面図である。
【図14A】第2実施形態の液体滴吐出検査装置80aの縦断面図である。
【図14B】図14A中のB−B断面図を示す。
【図15】インク保持体81が膨張する様子を示す液体滴吐出検査装置80a縦断面図である。
【図16】第3実施形態の液体滴吐出検査装置80bの縦断面図を示す。
【図17】第3実施形態の変形例の縦断面図である。
【図18】吐出状態の検査手順を説明するためのフローチャートである。
【図19】本実施形態に係る液体滴吐出システム1000の外観斜視図である。
【図20】前記液体滴吐出システム1000の構成を示すブロック図である。
【図21】電極部材83の他の配置例を示す断面図である。
【図22】電極部材83の他の配置例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0121】
1 インクジェットプリンタ、2 操作パネル、3 排紙部、4 給紙部、
5 操作ボタン、6 表示ランプ、7 排紙トレー、8 給紙トレー、
11A 紙挿入口、11B ロール紙挿入口、
13 給紙ローラ、14 プラテン、15 紙送りモータ、
17A 搬送ローラ、17B 排紙ローラ、
18A、フリーローラ、18B フリーローラ、
21 ヘッド、211 ノズル列、22 ヘッドドライバ、
30 クリーニングユニット、31 ポンプ装置、35 キャッピング装置、
41 キャリッジ、42 キャリッジモータ、44 プーリ、
45 タイミングベルト、46 ガイドレール、
48 インクカートリッジ、51 リニア式エンコーダ、
60 液体滴吐出検査装置、61 導電性インク吸収体、
61a 上面、61b 下面、63 検出部、65 電圧印加部、
67 有底容器、68 箱体、68a 凸部、68b 凸部、68c 凸部、
69 遮蔽部材、80 液体滴吐出検査装置、
80a 液体滴吐出検査装置、80b 液体滴吐出検査装置、
81 インク保持体、81a 上面、83 電極板、85 可動床、87 弾性部材、
122 バッファメモリ、124 イメージバッファ、
126 システムコントローラ、127 メインメモリ、
128 キャリッジモータ制御部、129 EEPROM、
130 搬送制御部、132 ヘッド駆動部、
134 ロータリ式エンコーダ、136 リニア式エンコーダ、
140 ホストコンピュータ、211 ノズル列、
220 駆動回路、221 原駆動信号発生部、222 マスク回路、
1000 液体滴吐出システム、1102 コンピュータ本体、
1104 表示装置、1106 プリンタ、
1108 入力装置、1108A キーボード、1108B マウス、
1110 読取装置、1110A フレキシブルディスクドライブ装置、
1110B CD−ROMドライブ装置、1202 内部メモリ、
1204 ハードディスクドライブユニット、
Ap 印刷エリア、An 非印刷エリア、S 媒体、
R1 保護抵抗、R2 入力抵抗、R3 帰還抵抗、
C コンデンサ、Amp オペアンプ、n ノズル、SP 空間




 

 


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