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発明の名称 インクカートリッジの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15405(P2007−15405A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2006−293385(P2006−293385)
出願日 平成18年10月28日(2006.10.28)
代理人 【識別番号】100096208
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 康夫
発明者 飯田 祐次
要約 課題
インク供給口とインク収容領域との間に差圧弁が配置されたインクカートリッジにおいて、空気の混入が少ないインクを供給できるインクカートリッジを製造する。

解決手段
製造工程において、インク供給口2をシール16で封止してインク室4に負圧を作用させてカートリッジ内の空気を排除する。インク供給室5よりもインク室4の圧力が低下するため、図6(ハ)に示したように弁体8がバネ21に抗してインク室側に移動して膜弁座3と弁体20との間に間隙を形成するから、インク室4とインク供給室5の圧力を低下させることができ、差圧弁3を介して、インク室4とインク供給室5にインクを充填させることできて、空気の混入が少ない状態でインクを充填することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
記録ヘッドにインクを供給するインク供給針が挿入されるインク供給口と、前記インク供給口に連通するインク収容領域と、前記インク供給口と前記インク収容領域との間にインク供給室を形成し、前記インク供給室と前記インク収容領域との間に配置され、圧力差により前記インク収容領域から前記インク供給室への流路を開閉する差圧弁を有するインクカートリッジの製造方法において、前記インク供給口が封止された状態で、前記インク収容領域と前記インク供給室に負圧を作用させ、前記差圧弁を介して、前記インク収容領域と前記インク供給室にインクを充填することを特徴とするインクカートリッジの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録ヘッドを搭載するキャリッジに装着するのに適したインクカートリッジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、共通のインク室とノズル開口とに連通する圧力発生室に圧力を印加してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドをキャリッジと、記録ヘッドにインクを供給するインクカートリッジを搭載し、キャリッジを往復動させながら印刷データに一致させてインク滴を記録用紙に吐出させるように構成されている。
【0003】
ところで記録ヘッドのノズル開口は、インクカートリッジのインク液面よりも低い箇所に位置しているため、ノズル開口には水頭圧が作用するため、通常インクカートリッジ内に多孔質体を収容し、多孔質体による表面張力によりインクカートリッジの圧力がノズル開口よりも若干低くなるように構成して、ノズル開口からのインクの滲み出しを防止する対策がとられている。
【0004】
しかしながら、インクの消費が進んで多孔質体に吸収されているインクの量が少なくなると、多孔質体の表面張力が大きくなって記録ヘッドへのインクの供給が滞りやすくなり、カートリッジ内のインクを完全に消費できないという問題がある。また、多孔質体の実質的な体積の分だけ、カートリッジに収容できるインクが少なくなるため、インクカートリッジが大型化するという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するため、例えば特許文献1、特許文献2に示されたようにインクタンクの下部に通孔を備えた壁によりインク溜めと空洞とに分離し、この通孔にアンブレラチェックバルブを移動可能に設けて、記録ヘッドのインク圧が低下した時点で、バルブを開弁させてタンク溜めのインクを空洞に排出させて記録ヘッドに供給するように構成したインクジェット記録ヘッド用のインクカートリッジが提案されている。このインクカートリッジは記録ヘッド一体型であり、弁の下流側の空洞、すなわち、弁と記録ヘッドとの間の空洞には、印刷動作中はインクで満たされていなければならないことが開示されている。
【特許文献1】米国特許第4,677,447号明細書
【特許文献2】特開昭62−231759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これによれば、カートリッジ内に多孔質体を収容する必要がなくなるため、タンクの実質的インク収容量を大きくすることが可能となるが、一般的にアンブレラチェックバルブは、記録ヘッドへのインクの供給を精密に調整するにはそのオフセット量が大き過ぎ、インク供給量に変動を来して印字品質の低下を招くという大きな問題がある。
【0007】
一方ではアンブレラチェックバルブが閉弁した状態では、インク溜部と記録ヘッドとが完全に遮断されるため、環境温度の変化で空洞のインクが2乃至5%体積膨張した場合には、空洞の圧力が上昇して記録ヘッドとの接続口のシールを破損してインクが漏洩したり、また記録ヘッドに装着されている状態では、この圧力がそのまま記録ヘッドに作用して記録ヘッドとインクタンクとの間での負圧を維持できなくなって記録ヘッドからインクの漏洩が生じるという問題がある。
【0008】
さらには、アンブレラチェックバルブは、記録ヘッドへの安定なインク供給を行うために維持すべき数十mmAq程度の圧力差では閉弁力が弱いため、キャリッジの移動によるインクの揺動に応動して開弁してしまい、安定な印字が不可能であるという問題がある。
【0009】
さらに、このように、インク供給室とインク収容領域との間に配置され、圧力差によりインク収容領域からインク供給室への流路を開閉する弁体である差圧弁を用いたインクカートリッジにおいては、インク供給口と差圧弁との間のインク供給室に空気が混入されると、安定な印字が不可能となる。したがって、本発明は、記録ヘッドにインクを供給するインク供給針が挿入されるインク供給口と、このインク供給口に連通するインク収容領域との間に配置された差圧弁を有し、インク供給口にシール部材を有するインクカートリッジにおいて、空気の混入が少ないインクを供給できるインクカートリッジの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、記録ヘッドにインクを供給するインク供給針が挿入されるインク供給口と、前記インク供給口に連通するインク収容領域と、前記インク供給口と前記インク収容領域との間にインク供給室を形成し、前記インク供給室と前記インク収容領域との間に配置され、圧力差により前記インク収容領域から前記インク供給室への流路を開閉する差圧弁を有するインクカートリッジの製造方法において、前記インク供給口が封止された状態で、前記インク収容領域と前記インク供給室に負圧を作用させ、前記差圧弁を介して、前記インク収容領域と前記インク供給室にインクを充填することを特徴とするインクカートリッジの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のインクカートリッジの製造方法によれば、インク収容領域とインク供給室に、差圧弁を介して、負圧を作用させ、インク収容領域とインク供給室にインクを充填するので、インク供給室への空気の混入を防止して、安定した印字が可能なインクカートリッジを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
そこで、以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例を示すものであって、図中符号1は、インクカートリッジ本体を構成する容器で、底面1aには記録ヘッドのインク供給針が挿入されるインク供給口2が形成され、また容器内の空間は後述する膜弁座3によりインク室4とインク供給室5に分割されている。したがって、インク室4とインク供給室5は、膜弁座3のみによって連通可能であり、インク室4とインク供給室5を連通可能とする流路は存在しない。
【0013】
3は前述の膜弁座で、インクに対して耐久性を備えたゴム膜や高分子エラストマー膜等の弾性膜に、中央に通孔6を穿設して構成され、容器1の下部に形成された段差部7に張設されている。
【0014】
8は、弁体で、弁組立体9に設けられている通孔10に上下に移動可能に挿入されており、インクを流下させることができる程度の間隙を確保できる太さを備え、かつ長さが弁組立体9の厚さよりも若干長くなるように構成され、常時は下部が膜弁座3の通孔6を封止するように後述する弁体支持部材11により膜弁座3に弾接させられている。弁組立体9にはインクを導くインク流路15が形成されている。
【0015】
11は、前述の弁体支持部材で、弁組立体9の表面には張設され、常時弁体8を膜弁座3に弾接させる一方、弁体8が一定位置よりも降下するのを制限するもので、膜弁座3と同等の材料からなる弾性膜に通孔12を穿設するとともに、弁体8の頂部を通孔により保持するように構成されている。
【0016】
容器1は、その上面を大気連通孔14を備えた蓋部材13により封止されている。蓋部材13のインク室側にはこの連通孔14を取り囲む凹部30と、この凹部30から一定の距離を隔てて位置する連通口32と、これらを接続するキャピラリを構成する細溝31が形成されている。これら凹部30及び溝31の上面には、蓋部材13が上方に位置する場合には通孔から離れる程度にたるませた可撓性膜33が張設されている。
【0017】
これら膜弁座3、弁体支持体11、及び弁体8は、好ましくは弁組立体9に一体に組み付けて構成され、容器1の段差部7に陥入させて容器1に組み込まれている。
【0018】
この実施例において、容器1が傾けられてインク室4のインクが蓋部材13に接触すると、可撓性膜33がインクの圧力を受けて通孔14の周囲の凸部14aに接触するため、通孔14が封止され、大気連通孔14からのインクの漏れ出しが防止される。
【0019】
インク供給口2を、キャリッジの搭載されている記録ヘッドのインク供給針に挿通すると、インク供給室5と記録ヘッドとが接続される。この状態では、蓋部材13の可撓性膜33が重力により垂れ下がって通孔14が開放されるから、凹部30、溝31、及び連通孔32を介してインク室4が大気と連通する。
【0020】
この状態で、印刷が実行されて記録ヘッドからインク滴が吐出すると、インク供給室5のインクがインク供給口2から記録ヘッドに流れ込み、インク供給室5の圧力が徐々に低下する。インク供給室5の圧力低下に対応して膜弁座3は、インク室4からの圧力を受けてその弾性により半径Rを持つ球面状に膨張しながら降下する。この時点では弁体8が膜弁座3に追従するため(図2(イ))、インク供給室5の圧力が過度に低下するのを防止しつつ、インク室4からインク供給室5へのインクの流れ込みを阻止して、インク供給室5の圧力が過度に上昇するのを防止する。これにより、記録ヘッドの圧力がインク室4に対して一定の負圧状態に維持される。
【0021】
さらに記録ヘッドでのインクの消費が進んで膜弁座3が一段と降下すると、弁体8が弁体支持部材11により一定位置以下に降下するのを阻止されるから、弁体8が膜弁座3から極わずか離れる(図2(ロ))。これにより、インク室4のインクが弁体8と膜弁座3との間に形成された狭い間隙を経由して通孔6からインク供給室5に流れ込む。
【0022】
インクの流入によりインク供給室5の圧力が若干上昇すると、膜弁座3が自身の弾性により弁体8側に移動して弁体8に弾接し、通孔6が弁体8の下面で塞がれる。これによりインク室4からインク供給室5ヘのインクの流れ込みが停止する。この結果、インク室3のインクの量に関りなく、インク供給口2の圧力が一定に維持されることになる。
【0023】
以下、インク供給室6の圧力が若干低下する度に膜弁座3が若干下方に膨張して弁体8との間に間隙を形成し、この間隙からインク室3のインクをインク供給室5に流れ込ませる。このように弾性膜で形成された膜弁座3がインクの消費に合わせて弁体8に接離するため、膜弁座3の弾性を適切な大きさに設定すると、インク供給開始時点の圧力とインク供給停止時点の圧力差、つまりオフセットを極めて小さくすることができるばかりでなく、インク室4のインクを全て記録ヘッドに排出することが可能となる。
【0024】
一方、印刷が中断している状態で、環境温度が上昇した場合には、インク供給室5の圧力が上昇するが、膜弁座3がこの圧力に応動して大気に開放されているインク室4側に移動する。これにより、インク供給室5の圧力が上昇するのが防止され、温度上昇に関わりなく記録ヘッドとの間で最適な負圧が維持され、したがって圧力上昇に起因する記録ヘッドからのインクの漏洩が防止されることになる。
【0025】
図3は、膜弁座3として厚さ0.04mmで、かつ実効直径、つまり弾性変形可能な領域が直径20mmとなるゴム膜で構成し、また流れ出し寸前、つまり弁体8との臨界状態(図2(イ))における球面の半径Rが26mmとなるように弁体8の下限位置を設定した本発明のインクカートリッジの水頭値の変化を示すもので、毎分5グラムという大量のインクを供給した場合にも、水頭値の増加が小さく、記録ヘッドでの大量のインク消費に対しても、記録ヘッドに過度な負圧を作用させることなく、スムーズにインクを供給できることが判る。
【0026】
他方、製造工程においてはインク供給口2をシール16で封止してインク室4に負圧を作用させてカートリッジ内の空気を排除する場合には、インク供給室5よりもインク室4の圧力が低下するため、図2(ハ)に示したように弁体8が弁体支持部材11の弾性力に抗してインク室側に移動して膜弁座3と弁体8との間に空間を形成するから、膜弁座3及び弁体8の存在に関りなく、カートリッジ全体の空気を排除することができて、インク供給室5を含めてカートリッジ全体にインクを充填することが可能となる。
【0027】
図4は、弁体8の他の実施例を示すものであって、この実施例においては弁体8の下面が膜弁座3に当接したとき、弁組立体9の上面に当接する平板状の位置決め片35が設けられている。
【0028】
この実施例によれば、弁体8が膜弁座3に当接している状態では、位置決め片35が弁組立体9の上面に接触し、弁体3が弁組立体9に支持されて可及的に垂直な姿勢を維持するから、キャリッジの運動などによる振動に対しても確実に膜弁座3の通孔6を封止することができる。
【0029】
図5は、本発明の他の実施例を示すものであって、図中符号20は、弁体で、弁組立体9に形成された弁体収容室9aに常時バネ21により下方に弾圧された状態で挿入され、また弁体収容室9aの下部の凸部9bに、弁体20に形成された位置決め片36が当接することにより下限位置が規定されている。なお、図中符号22、23はインク室4とインク供給室5とを接続する通孔をそれぞれ示す。
【0030】
この実施例において、インク供給室5の圧力低下に対応して膜弁座3は、インク室4からの圧力を受けてその弾性により半径Rを持つ球面状に膨張しながら降下する。この時点では弁体20がバネ21の弾性により膜弁座3に追従し、また位置決め片36が凸部9bに当接して弁体20が垂直な姿勢に保持されるため(図6(イ))、インク供給室5の圧力が過度に低下するのを防止しつつ、インク室4からインク供給室5へのインクの流れ込みが阻止される。これにより、キャリッジの移動による揺動に関りなく、膜弁座3が弁体20に当接するため、記録ヘッドのインク圧力がインク室4に対して一定の負圧状態に維持される。
【0031】
記録ヘッドでのインクの消費が進んで膜弁座3が一段と降下すると、弁体20が弁体収容室9aの突起9bにより一定位置以下に降下するのを阻止されるから、弁体8が膜弁座3から極わずか離れる(図6(ロ))。これにより、インク室4のインクが弁体8と膜弁座3との間に形成された狭い間隙を経由して通孔6からインク供給室5に流れ込む。
【0032】
インクの流入によりインク供給室5の圧力が若干上昇すると、膜弁座3が自身の弾性により弁体20側に移動して弁体20に弾接し、通孔6が弁体8の下面で塞がれる。これによりインク室4からインク供給室5ヘのインクの流れ込みが停止する。この結果、インク室3のインクの量に関りなく、インク供給口2の圧力が一定に維持されることになる。
【0033】
他方、製造工程においてはインク供給口2をシール16で封止してインク室4に負圧を作用させてカートリッジ内の空気を排除する場合には、インク供給室5よりもインク室4の圧力が低下するため、図6(ハ)に示したように弁体8がバネ21に抗してインク室側に移動して膜弁座3と弁体20との間に間隙を形成するから、膜弁座3及び弁体20の存在に関りなく、カートリッジ全体の空気を排除することができて、インク供給室を含めてカートリッジ全体にインクを充填することが可能となる。
【0034】
なお、上述の実施例においては、弁体20を膜弁座3に当接させる弾性部材を弁組立体9の中に組み込むようにしているが、図7に示したように弁体37を笠型に形成して、笠部37aを位置決め片及びストッパとして機能させ、バネ38により頂点を膜弁座3側に弾圧するようにしてもよい。
【0035】
この実施例によれば弁組立体9の外部から弁体37やバネ38を取付けることができるため、組立作業の簡素化を図ることができる。
【0036】
なお、上述の実施例においては弁体に上方にバネを設けるようにしているが、図8に示したように容器40を、通孔41aを備えた仕切り板41によりインク室42とインク供給室43とに分離し、インク供給室43に、膜弁座44と、下面に膜弁座44の通孔45を封止する球面46a及び球面46aから垂直に延びて膜弁座44の通孔45を貫通する支持部46bとからなる弁体46とを収容し、支持部46bを常時下方に弾圧するバネ47を介して支持するようにしても同様の作用を奏することは明らかである。なお、図中符号48は、支持部46bの下端と嵌合して弁体46を垂直な姿勢に位置決めガイド孔を、また49は、インク供給口を示す。
【0037】
この実施例によれば、弁体46は、その下部をバネ47により下方に引かれるため、インクによる浮力に関わりなく姿勢が安定するため、キャリッジの移動による揺動に関わりなく、インクを記録ヘッドに安定に供給することができる。
【0038】
図9は本発明の他の実施例を示すものであって、図中符号50は、液面安定化膜で、膜弁座3の移動に追従できる程度の軟質性の多孔質体の膜や格子状の膜で構成され、弁体8に対向する領域には弁体8に嵌合する通孔51が形成されていて、周囲を組立体9に固定され、また中央部を弁体8に固定されている。
【0039】
この実施例において、インクの消費の消費によりインク供給室5の圧力が低下すると、膜弁座3が弁体8から離れてインク室4のインクが液面安定化膜50を通過してインク供給室5に流れ込む。
【0040】
さらにインクの消費が進んでインク室4の液面が組立体9近傍にまで低下すると、キャリッジの移動に起因して弁体8近傍でインクが激しく揺動するが、液面安定化膜50により圧力変動が可及的に抑えられてから膜弁座3の通孔6を通過することになり、インク室4のインク量の減少に拘わりなく記録ヘッドのインク圧が一定に保たれる。
【0041】
なお、上述の実施例においては弾性手段を用いて弁体を膜弁座3に弾接させるようにしているが、膜弁座3自身の弾性力を積極的に利用すれば弁体を膜弁座3に弾接させる弾性部材を不要とすることができる。
図10は弁体を膜弁座に弾圧する弾性部材を不要とした一実施例を示すもので、図中符号24は、膜弁座で、後述する弁体28と対向する領域に通孔25が形成され、周囲を弁組立体27により固定されている。28は弁体で、弁組立体27に垂直な姿勢となるように移動不能に固定されている。なお、図中符号29は、インク室4とインク供給室5とを接続する通孔を示す。
【0042】
この実施例において、インク室4とインク供給室5との差圧が所定値以下の場合には、膜弁座24が自身の弾性により通孔25を弁体28に弾接するから、インク室4からインク供給室5ヘのインクの流れは停止する。
【0043】
一方、インク供給室5の圧力が低下すると、膜弁座24が球面状に膨張しながら降下するため、通孔25が弁体28から離れ、インク室4からインク供給室5にインクが流れ込み、インクの供給が進んでインク供給室5の圧力が上昇した時点で、膜弁座24が差圧に打勝って弁体28に弾接してインクの流出を停止させる。
【0044】
ところで、記録ヘッドに空気が浸入すると、インク滴を吐出させるための圧力が空気に起因して記録ヘッドの流路内で発生した気泡に吸収されてしまって、印字不良を引き起こすため、インクカートリッジのインク終了時における記録ヘッドの空気吸い込みを防止する必要がある。
【0045】
図11は、このような記録ヘッドのインク終了時における記録ヘッドへの空気の浸入を防止したインクカートリッジの一実施例を示すもので、インク供給口52とインク供給室53との接続領域に上方が拡開する円錐状の弁座54を形成して、ここに浮力により浮き上がる球状の浮き弁55を収容するとともに、上部をインクが透過可能な網などの弁押え板56を設けて遮蔽弁が構成したものである。なお、図中符号57は、弁体58に当接してインク室からのインクの流入を制御する膜弁座を示す。
【0046】
この実施例において、インクカートリッジが記録ヘッドに装着されている状態では、浮き弁55が浮力により弁押え板56に張り付いた状態となり、インク供給口52が開放されて記録ヘッドへのインクの供給が行なわれる。
【0047】
一方、カートリッジのインクの消費が進んで、インクの水位がインク供給口52近傍にまで低下すると、浮き弁55がインクによる浮力を失って弁座54に当接(図中、点線で示す状態)する。したがって、さらに印刷が進んだとしても、インク供給口52が封止されているから、記録ヘッドへの空気の浸入が阻止され、印字障害の発生を未然に防止することができる。
【0048】
また、インクカートリッジは通常、記録ヘッドに装着されると、インク室のインクが消費され尽くされるまで、挿脱されるものではないが、それでも誤った操作により記録ヘッドから抜かれることがある。このように一旦、装着されたカートリッジが記録ヘッドから抜かれると、インク供給口2が大気に開放されてインク供給室やインク室に空気が侵入して、記録動作に悪影響を与えることになる。
【0049】
図12は、インクカートリッジの着脱に起因する上述の不都合を防止するための実施例を示すものであって、図中符号60は、インク供給口61に設けられた伸縮可能な弁体で、下部にインク供給針70が嵌合するインク供給針嵌合孔62が設けられている。また上限位置に移動したときインク供給室63とインク供給針嵌合孔62とを接続する通孔64が穿設されている。
【0050】
この実施例において、常時は、図12(イ)に示したように弾性により弁体60がインク供給室63の底部63aに弾接してインク供給室63からのインクの流出を確実に阻止する。
【0051】
インク供給針70が嵌合孔62に挿入されると、弁体60が上限位置にまで伸長してインク供給室63の底面63aから離れ、また連通孔64がインク供給室63に露出する(同図(ロ))。これによりインク供給室63とインク供給針70のインク流路70aとが連通孔64、70bを介して接続され、インク供給室63のインクがインク供給針70に流れ込み、記録ヘッドにインクが供給されることになる。
【0052】
記録ヘッドに装着されたインクカートリッジが取り外されると、弁体60が下方に移動してインク供給室63とインク供給口61を遮断するから(同図(イ))、インク供給室63からのインクの流出とインク供給室63への空気の浸入が防止されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】図(イ)、(ロ)はそれぞれ記録ヘッドに装着された状態での膜弁座と弁体との動作を示す図であり、また同図(ハ)はインクカートリッジにインクを充填する場合における弁体の状態を示す図である。
【図3】本発明のインクカートリッジのインクの排出量と水頭値との関係を示す線図である。
【図4】本発明の他の実施例を、インク供給室近傍を拡大して示す図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図6】図(イ)、(ロ)はそれぞれ記録ヘッドに装着された状態での膜弁座と弁体の動作を示す図であり、また同図(ハ)はインクカートリッジにインクを充填する場合における弁体の状態を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例を、インク供給室近傍を拡大して示す図である。
【図8】本発明の他の実施例を、インク供給室近傍を拡大して示す図である。
【図9】本発明の他の実施例を、インク供給室近傍を拡大して示す図である。
【図10】本発明の他の実施例を、インク供給室近傍を拡大して示す図である。
【図11】インク供給口の実施例を示す図である。
【図12】図(イ)、(ロ)は、それぞれインク供給口の他の実施例を、記録ヘッドに装着されていない状態と、記録ヘッドに装着された状態とで示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 容器
2 インク供給口
3 膜弁座
4 インク室
5 インク供給室
6 通孔
7 段差部
8 弁体
9 弁組立体
25 軟質多孔質体膜




 

 


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