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発明の名称 液体噴射ヘッド
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15247(P2007−15247A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199910(P2005−199910)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100098073
【弁理士】
【氏名又は名称】津久井 照保
発明者 大脇 寛成
要約 課題
流路内の異物除去のための洗浄を行う際に廃棄される構成部品を削減して、歩留りを向上させることが可能な液体噴射ヘッドを提供する。

解決手段
インク導入針2は、針流路12の下流側開口の周縁部に、針流路12の導入孔13側(上流側)に向けて窪んだ収容凹部45を有し、この収容凹部内にフィルタ3を収容し、導入針ユニット4の取付面16におけるインク供給路17の入口開口周縁部を、取付状態のインク導入針の収容凹部側に向けて突出させて突出開口部48とし、この突出開口部の周囲にシールリング20を嵌装し、収容凹部内に突出開口部を臨ませ、シールリングを導入針ユニット側に押し付けた状態でインク導入針を導入針ユニットの取付面に取り付けた。
特許請求の範囲
【請求項1】
共通液体室及び圧力室を通ってノズル開口に至る一連の液体流路が形成され、圧力発生源を駆動することにより圧力室内の液体をノズル開口から液滴として吐出可能なヘッドユニットと、
液体貯留部材内の液体を液体導入孔を通じて針流路内に導入する液体導入針と、
液体導入針を取り付けた状態で針流路と連通して液体をヘッドユニット側に供給する液体供給路が内部に形成された導入針ユニットと、
を備え、
液体を濾過するフィルタを、前記液体導入針の針流路内に配置し、
前記フィルタを前記液体供給路の入口開口に臨ませ、当該入口開口の外側に配置した弾性部材を間に介在させた液密状態で、液体導入針を導入針ユニットの取付面に取り付けたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記液体導入針は、下流側開口の周縁部に、針流路の液体導入孔側に向けて窪んだ収容凹部を有し、当該収容凹部内に前記フィルタを収容し、
前記導入針ユニットの取付面における液体供給路の入口開口周縁部を、取付状態の液体導入針の収容凹部側に向けて突出させて突出開口部とし、
当該突出開口部の周囲に前記弾性部材を嵌装し、収容凹部内に突出開口部を臨ませ、弾性部材を導入針ユニット側に押し付けた状態で液体導入針を導入針ユニットの取付面に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記突出開口部の開口面積を、前記フィルタの有効濾過域の面積よりも大きく設定したことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記フィルタは、支持部材によって周縁部を支持した状態で、前記収容凹部内に固定されたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記液体導入針は、前記導入針ユニット側に向けて係止部材を突設し、
前記導入針ユニットは、前記係止部材が係止可能な被係止部を有し、
前記係止部材を前記被係止部に係止することにより液体導入針を導入針ユニットに固定したことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記液体導入針をネジ留めによって前記導入針ユニットに固定したことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記液体導入針に突設した固定用ピンを前記導入針ユニットに開設した挿通孔に通し、当該挿通孔から突出した固定用ピンの先端部分を加熱変形させてかしめることによって液体導入針を導入針ユニットに固定したことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドに係り、特に、液体貯留部材に貯留された液体を液体導入針を介して圧力室に導入し、この圧力室内に導入した液体をノズル開口から液滴として吐出する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズル開口から液滴として吐出させる液体噴射ヘッドとしては、例えば、インクジェット式記録装置(プリンタ)等の画像記録装置に用いられるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等がある。
【0003】
例えば、上記の記録ヘッドでは、液体状のインクを封入した液体貯留部材としてのインクカートリッジに、液体導入針の一種であるインク導入針を挿入することで、このインク導入針の先端側に開設された導入孔を通じてインクカートリッジ内のインクを記録ヘッドの圧力室側に導入している。また、近年では、プリンタ本体側に配置したインクカートリッジと記録ヘッドのインク導入針に装着したサブタンクとをインクチューブで連結し、ポンプを作動してインクカートリッジ内に空気を送り込むことにより、インクカートリッジに貯留されたインクを記録ヘッド側に送り込む構成のものも提案されている。
【0004】
上記の記録ヘッドは、上記インク導入針の他、複数の部品を組み付けることで作製されている。例えば、インク導入針を配設する導入針ユニット、リザーバ(共通液体室)から圧力室を通ってノズル開口に至るまでのインク流路(液体流路の一種)を形成する流路ユニット、圧力発生源としての圧電振動子を備えるアクチュエータユニット、流路ユニット及びアクチュエータユニットが取り付けられるヘッドケース等によって構成されている。そして、この種の記録ヘッドでは、流路(なお、以下において単に「流路」と記載する場合、特に限定する旨の記載をしない限り、液体導入針に開設されている導入孔からノズル開口に至るまでの一連の流路を表す意味で用いる。)内のインクを濾過するフィルタが、導入針ユニット側に超音波溶着などによって取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−336034号公報(図1,図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記記録ヘッドでは、流路内に異物が発生する場合がある。この異物は、インク導入針やフィルタを導入針ユニット(上記特許文献1の場合、連結部材)に取り付ける際の超音波溶着によって生じる溶け屑や、ヘッドの構成部材を接合する際に流路に食み出た余分な接着剤等が考えられる。このような異物が流路内に発生すると、この異物が流路内のインクの流れを阻害したり、最悪の場合には流路を塞いだりする虞がある。これにより、インク滴が吐出されない等の不具合を招く可能性がある。特に、ノズル開口の直径よりも大きい異物が発生した場合には、ノズルから強制的にインクを排出させるクリーニング動作によっても除去することは、ほぼ不可能である。
【0007】
このため、記録ヘッドの検査工程において、流路内に異物が発見された場合、記録ヘッドから導入針ユニット(上記特許文献1の場合、連結部材)を取り外し、ヘッドユニットのみとなった状態でノズル開口側から流路内に洗浄液を流すことにより、流路の洗浄を行って異物を除去することが行われている。この際、導入針ユニットをヘッドユニットから取り外すのは、導入針ユニットに取り付けられているフィルタの目が細かいため、ノズル開口よりも大きい異物を通すことができないからである。そして、導入針ユニットをヘッドユニットから一旦取り外すと、再度取り付けても液密性を確保できないという問題から、導入針ユニットと、これに取り付けられているインク導入針及びフィルタ(以下、適宜、これらをフィルタアセンブリと総称する。)については廃棄することになる。また、この導入針ユニットを取り外すことのできない構造の記録ヘッドもある。
【0008】
このように、記録ヘッドの流路の洗浄の際に、多数の構成部品が再利用できずに廃棄されると歩留りが低下するという問題がある。そして、環境保全の観点からも、廃棄される構成部品を可及的に削減することが望まれる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、流路内の異物除去のための洗浄を行う際に廃棄される構成部品を削減して、歩留りを向上させることが可能な液体噴射ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドは、共通液体室及び圧力室を通ってノズル開口に至る一連の液体流路が形成され、圧力発生源を駆動することにより圧力室内の液体をノズル開口から液滴として吐出可能なヘッドユニットと、
液体貯留部材内の液体を液体導入孔を通じて針流路内に導入する液体導入針と、
液体導入針を取り付けた状態で針流路と連通して液体をヘッドユニット側に供給する液体供給路が内部に形成された導入針ユニットと、
を備え、
液体を濾過するフィルタを、前記液体導入針の針流路内に配置し、
前記フィルタを前記液体供給路の入口開口に臨ませ、当該入口開口の外側に配置した弾性部材を間に介在させた液密状態で、液体導入針を導入針ユニットの取付面に取り付けたことを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、フィルタを液体導入針の針流路内に配置しているので、液体噴射ヘッドの流路内に存在する異物を除去するための洗浄工程では、導入針ユニットをヘッドユニットから取り外すことなく、導入針ユニットからインク導入針を取り外すのみで洗浄を行うことができる。これにより、少なくとも導入針ユニットを廃棄することなく再利用することができる。即ち、再利用できずに廃棄される構成部品を削減することができる。その結果、歩留りを向上させることができる。また、廃棄部品を削減することで、環境保全にも寄与することが可能となる。
【0012】
上記構成において、前記液体導入針は、下流側開口の周縁部に、針流路の液体導入孔側に向けて窪んだ収容凹部を有し、当該収容凹部内に前記フィルタを収容し、
前記導入針ユニットの取付面における液体供給路の入口開口周縁部を、取付状態の液体導入針の収容凹部側に向けて突出させて突出開口部とし、
当該突出開口部の周囲に前記弾性部材を嵌装し、収容凹部内に突出開口部を臨ませ、弾性部材を導入針ユニット側に押し付けた状態で液体導入針を導入針ユニットの取付面に取り付ける構成とすることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、導入針ユニットの突出開口部を、取付状態の液体導入針の収容凹部側に向けて突出させているので、突出開口部をフィルタに可及的に近接させることができ、突出開口部とフィルタとの間に無用な隙間を無くすことができる。これにより、ノズル開口から流路内のインクや気泡を強制的に排出させるクリーニング動作における液体の流速を高めることができ、気泡の排出効率を向上させることが可能となる。
また、突出開口部の周囲に弾性部材を嵌装し、この弾性部材を導入針ユニット側に押し付けた状態で液体導入針を導入針ユニットの取付面に取り付けるので、液体導入針を導入針ユニットに対して着脱可能に構成し、洗浄工程で一旦取り外した液体導入針を、洗浄工程の後、導入針ユニットに再度取り付ける場合においても、針流路と液体供給路との間の液密性を十分に確保することができる。
【0014】
また、上記各構成において、前記突出開口部の開口面積を、前記フィルタの有効濾過域の面積よりも大きく設定することが望ましい。
なお、「有効濾過域」とは、フィルタにおいて液体を濾過可能な領域を意味する。
【0015】
この構成によれば、有効濾過域の下流側におけるデッドスペース、つまり、液体や気泡が通過出来ない領域を無くすことができ、その結果、クリーニング動作において、フィルタよりも上流側に存在する気泡を、有効濾過域全体を利用してより効率良く吸引・排出することができる。
【0016】
また、上記各構成において、前記フィルタは、支持部材によって周縁部を支持した状態で、前記収容凹部内に固定されることが望ましい。
【0017】
また、上記各構成において、前記液体導入針は、前記導入針ユニット側に向けて係止部材を突設し、
前記導入針ユニットは、前記係止部材が係止可能な被係止部を有し、
前記係止部材を前記被係止部に係止することにより液体導入針を導入針ユニットに固定することが望ましい。
【0018】
この構成によれば、係止部材を被係止部に係止することにより液体導入針を導入針ユニットに固定するので、液体導入針を導入針ユニットに対して容易に着脱することが可能となり、液体導入針とフィルタを廃棄することなく再利用することができる。これにより、歩留りをより向上させることが可能となる。
【0019】
また、上記各構成において、前記液体導入針をネジ留めによって前記導入針ユニットに固定する構成を採用することもできる。
【0020】
この構成によれば、止着ネジをより強く締め付けることで、弾性部材を圧縮しつつ液体導入針をより強固に導入針ユニットに固定することができる。これにより、針流路とインク供給路との間の液密性をより確実に確保することができる。
【0021】
また、上記各構成において、前記液体導入針に突設した固定用ピンを前記導入針ユニットに開設した挿通孔に通し、当該挿通孔から突出した固定用ピンの先端部分を加熱変形させてかしめることによって液体導入針を導入針ユニットに固定する構成を採用しても良い。
【0022】
この構成によれば、液体導入針を導入針ユニットに対してより確実且つ安定して固定できる。また、止着ネジ等の止着部材が不要となりコストを削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面等を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の説明は、本発明の液体噴射ヘッドとして、インクジェット式記録装置(液体噴射装置の一種。以下、単にプリンタという)に搭載されるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を例に挙げて行う。
【0024】
図1は、本実施形態における記録ヘッド1の構成を説明する要部断面図である。例示した記録ヘッド1は、インク導入針2、フィルタ3、及び、導入針ユニット4等からなるフィルタアセンブリ5と、振動子ユニット7、ヘッドケース8、及び、流路ユニット9等からなるヘッドユニット10とを備えて概略構成されている。
【0025】
インク導入針2(本発明における液体導入針の一種)は、例えばエポキシ樹脂等の合成樹脂で成型された中空針状の部材であり、その内部空間は、インクカートリッジやサブタンク等の液体貯留部材内のインク(液体の一種)が導入される針流路12となっている。このインク導入針2の尖端部分には、上記針流路12と連通する導入孔13(本発明における液体導入孔の一種)が開設されており、インク導入針2が液体貯留部材の内部に挿入されると、この導入孔13を通じて液体貯留部材内のインクが針流路12内に導入されるようになっている。また、このインク導入針2の根本部分は、上流側(先端側)から下流側(導入針ユニット4側)に向けて拡径した拡径部14となっている。この拡径部14の下流側開口の近傍、即ち、インク導入針2の下流側開口の近傍には、針流路12に導入されたインクを濾過するためのフィルタ3を配設している。要するに、このフィルタ3は、インク導入針2の針流路内に配置されている。
【0026】
導入針ユニット4は、インク導入針2と同様にエポキシ系樹脂等の合成樹脂によって成型されており、その内部には、インク導入針2毎に対応したインク供給路17(本発明における液体供給路に相当)が形成されている。そして、インク導入針2のフィルタ3をインク供給路17の入口開口(上流側開口)17′に臨ませ、この入口開口17′の外側に配置したシールリング20(本発明における弾性部材に相当)を間に介在させた液密状態で、インク導入針2を導入針ユニット4の取付面16に取り付けている。即ち、このインク供給路17は、針流路12と液密状態で連通している。また、インク供給路17の下流端は、流路ジョイント部材18を介してヘッドケース8の内部に形成されたケース流路19と液密状態で連通している。これにより、インク導入針2の導入孔13から導入されたインクは、このインク供給路17を通じてヘッドユニット10側に供給される。
なお、上記フィルタアセンブリ5については、後で詳細に説明する。
【0027】
ヘッドケース8は、振動子ユニット7を収容するためのケーシングである。このため、このヘッドケース8には、振動子ユニット7を収容可能な収容空部22が形成されている。そして、振動子ユニット7は、この収容空部22内に挿入され、接着等によって収容空部22の内壁に固定されている。このヘッドケース8の一方の面は、導入針ユニット4に接合されて、ケース流路19が導入針ユニット4のインク供給路17と液密状態で連通する。また、ヘッドケース8の他方の面には、流路ユニット9が接着剤等により固定される。この流路ユニット9は、振動板23、流路形成基板24、及びノズルプレート25を積層した状態で接着剤等で接合して一体化することにより作製されている。
【0028】
上記の振動子ユニット7は、圧力発生源としての圧電振動子30と、この圧電振動子30が接合される固定板31と、圧電振動子30に駆動信号を供給するための回路基板32と、この回路基板32と圧電振動子30を電気的に接続するフレキシブルケーブル33等から構成される。本実施形態の圧電振動子30は、櫛歯状に列設された複数の圧電振動子30を備える。各圧電振動子30は、固定端部が固定板31上に接合され、自由端部が固定板31の先端面よりも外側に突出している。即ち、各圧電振動子30は、所謂片持ち梁の状態で固定板31上に取り付けられている。また、各圧電振動子30を支持する固定板31は、例えば厚さ1mm程度のステンレス鋼によって構成されている。なお、圧力発生源としては、上記圧電振動子以外にも、静電アクチュエータ、磁歪素子、発熱素子等を用いることができる。
【0029】
流路ユニット9の底部に配置されるノズルプレート25は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル開口35を列状に開設した金属製の薄い板材である。本実施形態のノズルプレート25は、ステンレス鋼製の板材によって作製され、ノズル開口35の列(ノズル列)が、記録ヘッド1の走査方向に複数並べて設けられている。そして、1つのノズル列は、例えば、180個のノズル開口35によって構成される。
【0030】
ノズルプレート25と振動板23との間に配置される流路形成基板24は、インク流路(本発明における液体流路の一種に相当)となる流路基部、具体的には、共通液体室の一種である共通インク室37、インク供給口38、及び、圧力室39となる空部が区画形成された板状の部材である。本実施形態において、流路形成基板24は、結晶性を有する基材であるシリコンウェハーを異方性エッチング処理することによって作製されている。
【0031】
流路形成基板24とヘッドケース8との間に配置される振動板23は、ステンレス鋼等の金属製の支持板上に弾性フィルムをラミネート加工した二重構造の複合板材である。この振動板23の圧力室39に対応する部分には、エッチングなどによって支持板を環状に除去することで、圧電振動子30の自由端部の先端面を接合するための島部41が形成されており、この部分はダイヤフラム部として機能する。即ち、この振動板23は、圧電振動子30の作動に応じて島部41の周囲の弾性フィルムが弾性変形するように構成されている。また、振動板23は、流路形成基板24の共通インク室37の開口面を封止してコンプライアンス部42としても機能する。このコンプライアンス部42に相当する部分についてはダイヤフラム部と同様にエッチングなどにより支持板を除去して弾性フィルムだけにしている。
【0032】
そして、この記録ヘッド1において、上記回路基板32からフレキシブルケーブル33を通じて圧電振動子30に駆動信号が供給されると、この圧電振動子30が素子長手方向に伸縮し、これに伴い島部41が圧力室39に近接する方向或いは離隔する方向に移動する。これにより、圧力室39の容積が変化し、圧力室39内のインクに圧力変動が生じる。この圧力変動によってノズル開口35からインク滴(液滴の一種)が吐出される。
【0033】
ここで、上記構成の記録ヘッド1では、フィルタアセンブリ5の構成に特徴を有している。以下、この点について、図2,3を参照しながら説明する。
【0034】
図2及び図3は上記フィルタアセンブリ5の構成を説明する要部断面図であり、図2は、フィルタアセンブリ5の構成部品を分解した状態、図3は、各構成部品を組み付けた状態を示している。本実施形態におけるインク導入針2は、拡径部14の下流側開口の周縁部に、針流路12の上流側(導入孔13側)に向けて1段窪んだ収容凹部45を有し、この収容凹部45内にフィルタ3を収容している。収容凹部45は、その直径がフィルタ3の直径よりも僅かに大きい平面視円形の窪みに形成されており、その内周壁によってフィルタ3の面方向の位置が規制されるので、容易且つ精度良くフィルタ3の位置決めができるようになっている。
【0035】
フィルタ3は、例えば目の細かな金属網によって構成されている。本実施形態においては、収容凹部45の天井面(導入針ユニット4に対向する面)から導入針ユニット4側に向けて、この収容凹部45と同心なリング状の支持部材46(エネルギーダイレクターの一種)を突設し、この支持部材46にフィルタ3の周縁部を熱溶着することにより、フィルタ3を収容凹部45内に位置決めした状態で固定している。このように、フィルタ3を熱溶着によって収容凹部45内に固定することにより、超音波溶着によって固定するよりも、流路の目詰まりの要因となる溶け屑等の異物の発生を抑えることができる。そして、支持部材46は、フィルタ3の濾過可能な有効濾過域を規定している。即ち、フィルタ3において、支持部材46よりもフィルタ中心側の領域が有効濾過域となる。この有効濾過域の面積を、拡径部14の開口面積と可及的に揃えることが望ましい。即ち、支持部材46の内周面を、拡径部14の開口縁に揃えることが望ましい。このようにすると、支持部材46よりも内側においてフィルタ3と収容凹部45の天井面との間の無用な隙間を無くすことができる。この隙間を無くすことにより、この部分に気泡が滞留することを防止することができる。
【0036】
導入針ユニット4は、取付状態のインク導入針2の収容凹部45側に向けてインク供給路17の入口開口17′の周縁部を突出して筒状の突出開口部48を形成している。この突出開口部48の直径は、インク導入針2の収容凹部45の直径よりも僅かに小さく設定されている。そして、入口開口17′は、この突出開口部48の端面一杯に開口し、インク供給路17は、上流端である入口開口17′から下流側(ヘッドユニット側)に向けて縮径している。本実施形態においては、この入口開口17′の開口面積を、フィルタ3の有効濾過域の面積よりも大きく設定してある。これにより、有効濾過域の下流側におけるデッドスペース、つまり、インクや気泡が通過出来ない領域を無くすことができ、その結果、ノズル開口35から流路内のインクや気泡を強制的に排出させるクリーニング動作において、フィルタ3よりも上流側に存在する気泡を、有効濾過域全体を利用してより効率良く吸引・排出することができる。また、突出開口部48の周囲には、例えばゴムやエラストマー等の弾性部材からなるシールリング20を嵌装している。このシールリング20は、導入針ユニット4と導入針ユニット4の接合部分をシールする部材であり、その厚さは、突出開口部48の突出長より僅かに薄くしてある。
【0037】
上記インク導入針2は、拡径部14から側方に向けてフランジ部49を延出している。さらに、このフランジ部49の縁部から導入針ユニット4側に向けて、先端部分に鉤状の爪50′を有するフック50(本発明における係止部材の一種)を突設している。一方、導入針ユニット4には、インク導入針2のフック50が係止可能な切欠部51(本発明における被係止部に相当)が形成されている。そして、収容凹部45内に突出開口部48を臨ませ、フランジ部49の裏面でシールリング20を導入針ユニット側に押し付けた状態で、フック50の爪50′を切欠部51に係止してインク導入針2を導入針ユニット4の取付面16に取り付けると、インク導入針2の針流路12と導入針ユニット4のインク供給路17とが液密状態で連通する。本実施形態においては、突出開口部48をフィルタ3に可及的に近接させることにより、フィルタ3との間に無用な隙間が生じないようにしている。これにより、クリーニング動作における液体や気泡の流速を高めることができ、気泡の排出効率を向上させることが可能となる。
【0038】
そして、インクカートリッジやサブタンク等の液体貯留部材を導入針ユニット4に装着すると、インク導入針2が液体貯留部材の内部に挿入され、この液体貯留部材内に貯留されたインクは、導入孔13を通じて針流路12内に導入される。針流路12内に導入されたインクは、フィルタ3によって濾過された後、インク供給路17及びケース流路19を通じて記録ヘッド1側の共通インク室37に供給される。
【0039】
次に、記録ヘッド1の検査工程において、流路内(ここでは、フィルタ3よりも上流の針流路12を除く)にノズル開口35の直径よりも大きい異物が発見された場合に行われる洗浄工程について説明する。この洗浄工程では、ノズル開口35を通じて排出することができない異物を除去するために、ノズル開口35の穴径よりも目の細かいフィルタ3を外し、ノズル開口35側から通水して流路内の洗浄を行う。即ち、この洗浄工程では、記録ヘッド1の流路におけるインクの流下方向とは逆に洗浄液を流すことにより、流路内の異物を排出する。従前の記録ヘッドでは、フィルタが導入針ユニットに超音波溶着等によって取り付けられていたため、この洗浄工程では、記録ヘッドのうち、フィルタアセンブリを全て外してヘッドユニットのみの状態で洗浄を行っていた。これに対し、本発明を適用した記録ヘッド1では、フィルタ3がインク導入針2の収容凹部45内に配設されているので、導入針ユニット4からインク導入針2を取り外すのみで足りる。即ち、導入針ユニット4を取り付けた状態で洗浄を行うことができ、これによりインク供給路17の洗浄も併せて行うことができる。
【0040】
図4は、洗浄工程を説明する模式図である。この洗浄工程では、まず、導入針ユニット4からインク導入針2を取り外す。本実施形態におけるインク導入針2は、フック50によって導入針ユニット4に固定されているので、このフック50の切欠部51に対する係止状態を解除することによって導入針ユニット4から容易に取り外すことができる。次に、洗浄液を貯留した洗浄液タンク53を、記録ヘッド1の上方に配置し、記録ヘッド1の流路内を通って排出された排液を貯留する排液タンク54を、記録ヘッド1の下方に配置する。また、記録ヘッド1は、ノズルプレート25のノズル面を上方の洗浄液タンク53側に向け、導入針ユニット4の取付面16を下方の排液タンク54側に向けた状態で配置し、さらに、ノズルプレート25のノズル面と、導入針ユニット4の取付面16は、エラストマー等の弾性部材からなるキャップ部材55a,55bを夫々密着させて封止状態にする。これらのキャップ部材55a,55bは、ノズル面や取付面16との接触面側が開口したトレイ状に成型されており、ノズル面や取付面16との封止状態では、内部に封止空部が形成される。そして、一方のキャップ部材55aの封止空部内にはノズルプレート25のノズル開口35が、他方のキャップ部材の55bの封止空部内にはインク供給路17の入口開口17′が夫々臨む。
【0041】
洗浄液としては、例えば、水、或いは、顔料・染料を含まない無色のインク等を用いることができる。この洗浄液を貯留する洗浄液タンク53の底部には、底板を貫通した排出口が開設されている。この排出口には供給チューブ56の一端が液密状態で接続され、この供給チューブ56の他端は、キャップ部材55aの底部に開設された貫通口に液密状態で接続されている。また、キャップ部材55bの底部にも貫通口が開設されており、この貫通口には、排出チューブ57の一端が液密状態で接続されている。そして、この排出チューブ57の他端側開口は、排出タンク54内に臨ませている。
【0042】
この洗浄工程では、洗浄液タンク53と排液タンク54の水頭差による位置エネルギーを利用して、記録ヘッド1の流路内に洗浄液を通水させる。即ち、洗浄液タンク53内の洗浄液は、その自重により、供給チューブ56を流下して、キャップ部材55a内の封止空部に供給され、その後、ノズル開口35から記録ヘッド1の流路内に導入される。記録ヘッド1の流路内を通った洗浄液は、入口開口17′からキャップ部材55bの封止空部内に一旦排出され、この封止空部に排出された洗浄液は、排出チューブ57を通じて排液タンク54内に排出される。尚、自重ではなく、図示しないポンプなどの強制的に流れを発生させる機構を用いて洗浄液を強制的に流下させてもよい。
【0043】
このようにして洗浄液を通水させることによって、記録ヘッド1の流路内を洗浄することができる。一度の通水で流路内の異物が除去できない場合には、流路内の洗浄液を一旦全て排出して空気に置換した後、再度通水を行う。そして、流路内の異物が除去されたならば、フック50の爪50′を切欠部51に係止させてインク導入針2を導入針ユニット4の取付面16に再度取り付ける。本実施形態においては、突出開口部38の周囲にシールリング20を嵌装し、このシールリング20を導入針ユニット4側に押し付けた状態でインク導入針2を導入針ユニット4の取付面に固定するので、洗浄工程の後、インク導入針2を導入針ユニット4に再度取り付けた場合に、針流路12とインク供給路17との間の液密性を十分に確保することができる。
【0044】
以上のように、フィルタ3をインク導入針2の針流路内12に配設しているので、記録ヘッド1の流路内に存在する異物を除去するための洗浄工程では、導入針ユニット4をヘッドユニット10から取り外すことなく、導入針ユニット4からインク導入針2を取り外すのみで洗浄を行うことができる。これにより、少なくとも導入針ユニット4を廃棄することなく再利用することができる。即ち、廃棄される構成部品を削減することができる。その結果、歩留りを向上させることができる。また、廃棄される構成部品を削減することで、環境保全にも寄与することが可能となる。本実施形態においては、フック50を利用することでインク導入針2を導入針ユニット4に対して容易に着脱可能に構成すると共に、洗浄工程の後、インク導入針2を導入針ユニット4に再度取り付けた場合においても、シールリング20を間に介在させることで液密性を確保することができるので、全ての部品を廃棄することなく再利用することができる。これにより、歩留りをより向上させることが可能となる。
【0045】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、上記第1実施形態においては、インク導入針2をフック50によって導入針ユニット4に固定する例を示したが、これには限らず、例えば、図5に示す第2実施形態のように、インク導入針2をネジ留めによって導入針ユニット4に固定するようにしても良い。この第2実施形態では、インク導入針2のフランジ部49に雌ネジ部60を形成すると共に、導入針ユニット4の取付面16に止着ネジ61が挿通可能な挿通孔62を開設している。そして、導入針ユニット4の挿通孔62とインク導入針2の雌ネジ部60の位置を合わせ、止着ネジ61を導入針ユニット4の裏側から挿通孔62に通し、雌ネジ部60に螺合させて締め付ける。これにより、インク導入針2が導入針ユニット4に止着される。そして、インク導入針2と導入針ユニット4との間には、シールリング20が介在しているので、止着ネジ61をより強く締め付けることで、このシールリング20を圧縮しつつインク導入針2をより強固に導入針ユニット4に固定することができる。これにより、針流路12とインク供給路17の液密性をより確実に確保することができる。
【0046】
図6は、第3実施形態におけるフィルタアセンブリ5の構成を説明する要部断面図である。この第3実施形態では、インク導入針2のフランジ部49に突設した固定用ピン64を導入針ユニット4に開設した挿通孔65に通し、挿通孔65から突出した固定用ピン64の先端部分64′を、加熱等によって溶融してかしめることでインク導入針2を導入針ユニット4に固定している。この第3実施形態の構成によれば、インク導入針2を導入針ユニット4に対してより確実且つ安定して固定できる。また、上記第2実施形態と比較して止着ネジ等の止着部材が不要となりコストを削減できる。
【0047】
なお、以上では、液体噴射ヘッドとして、インクジェット式記録ヘッド1を例に挙げて説明したが、本発明は、液体導入針やフィルタを有する他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。
【図2】フィルタアセンブリの構成部品を分解した状態の要部断面図である。
【図3】フィルタアセンブリの構成部品を組み付けた状態の要部断面図である。
【図4】洗浄工程を説明する模式図である。
【図5】第2実施形態におけるフィルタアセンブリの要部断面図である。
【図6】第3実施形態におけるフィルタアセンブリの要部断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1…記録ヘッド,2…インク導入針,3…フィルタ,4…導入針ユニット,5…フィルタアセンブリ,7…振動子ユニット,8…ヘッドケース,9…流路ユニット,10…ヘッドユニット,12…針流路,13…導入孔,14…拡径部,16…取付面,17…インク供給路,20…シールリング,23…振動板,24…流路形成基板,25…ノズルプレート,30…圧電振動子,35…ノズル開口,37…共通インク室,39…圧力室,45…収容凹部,46…支持部材,48…突出開口部,49…フランジ部,50…フック,51…切欠部,53…洗浄液タンク,54…排液タンク,55…キャップ部材,56…供給チューブ,57…排出チューブ




 

 


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