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発明の名称 印刷システム、印刷方法及びプログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15244(P2007−15244A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199884(P2005−199884)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
発明者 音喜多 賢二
要約 課題
インク滴の着弾位置のずれを調整する。

解決手段
本発明の印刷システムは、(A)第1ノズル及び第2ノズルを移動方向に移動させる移動体と、(B)前記移動方向に移動する前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出させて媒体にドットを形成させる制御部であって、前記ドットを形成する際における、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期と、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期とが異なる場合、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせて、前記移動方向の位置が共通の前記媒体上の画素に向けて前記インク滴を吐出させる制御部と、を備えることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
(A)第1ノズル及び第2ノズルを移動方向に移動させる移動体と、
(B)前記移動方向に移動する前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出させて媒体にドットを形成させる制御部であって、
前記ドットを形成する際における、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期と、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期とが異なる場合、
前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせて、前記移動方向の位置が共通の前記媒体上の画素に向けて前記インク滴を吐出させる制御部と、
(C)を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記制御部は、
画素データの対応する前記画素の位置をシフトするシフト処理を行い、
前記シフト処理された前記画素データに基づいて、前記第1ノズル及び前記第2ノズルから前記インク滴を吐出することにより、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせる
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷システムであって、
前記制御部が、第1駆動信号及び第2駆動信号を生成し、
前記第1駆動信号が第1駆動素子に印加されると、前記第1ノズルから前記インク滴が吐出され、
前記第2駆動信号が第2駆動素子に印加されると、前記第2ノズルから前記インク滴が吐出され、
前記第1駆動信号が前記第1駆動素子に印加されてから前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するまでの時間と、前記第2駆動信号が前記第2駆動素子に印加されてから前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するまでの時間とが異なることにより、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせる
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷システムであって、
前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期は、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期の倍であることを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項4のいずれかに記載の印刷システムであって、
前記媒体を搬送する搬送方向に並ぶ複数のノズルを備え、
前記第1ノズルは、前記複数のノズルの前記搬送方向の端部に位置し、
前記第2ノズルは、前記複数のノズルの前記搬送方向の中央部に位置する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の印刷システムであって、
前記制御部は、前記ドットを形成させるドット形成処理と、前記媒体を搬送する搬送処理とを交互に繰り返させるものであり、
前記第2ノズルによる1回の前記ドット形成処理によって、前記移動方向に連続して並ぶドットの列が形成され、
前記第1ノズルによる2回の前記ドット形成処理によって、前記移動方向に連続して並ぶドットの列が形成される
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の印刷システムであって、
前記制御部は、前記ドットを形成させるドット形成処理と、前記媒体を搬送する搬送処理とを交互に繰り返させるものであり、
前記第1ノズルによる2回の前記ドット形成処理と、前記第2ノズルによる前記ドット形成処理とによって、前記移動方向に連続して並ぶドットの列が形成される
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
(A)第1ノズル及び第2ノズルを移動方向に移動させる移動体と、
(B)前記移動方向に移動する前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出させて媒体にドットを形成させる制御部であって、
前記ドットを形成する際における、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期と、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期とが異なる場合、
前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせて、前記移動方向の位置が共通の前記媒体上の画素に向けて前記インク滴を吐出させる制御部と、
(C)を備える印刷システムであって、
(D)前記制御部は、
画素データの対応する前記画素の位置をシフトするシフト処理を行い、
前記シフト処理された前記画素データに基づいて、前記第1ノズル及び前記第2ノズルから前記インク滴を吐出することにより、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせ、
(E)前記制御部が、第1駆動信号及び第2駆動信号を生成し、
前記第1駆動信号が第1駆動素子に印加されると、前記第1ノズルから前記インク滴が吐出され、
前記第2駆動信号が第2駆動素子に印加されると、前記第2ノズルから前記インク滴が吐出され、
前記第1駆動信号が前記第1駆動素子に印加されてから前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するまでの時間と、前記第2駆動信号が前記第2駆動素子に印加されてから前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するまでの時間とが異なることにより、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせる
(F)前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期は、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期の倍であり、
(G)前記媒体を搬送する搬送方向に並ぶ複数のノズルを備え、
前記第1ノズルは、前記複数のノズルの前記搬送方向の端部に位置し、
前記第2ノズルは、前記複数のノズルの前記搬送方向の中央部に位置し、
(H)前記制御部は、前記ドットを形成させるドット形成処理と、前記媒体を搬送する搬送処理とを交互に繰り返させるものであり、
前記第1ノズルによる2回の前記ドット形成処理と、前記第2ノズルによる前記ドット形成処理とによって、前記移動方向に連続して並ぶドットの列が形成される
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
第1ノズル及び第2ノズルを移動方向に移動し、
前記移動方向に移動する前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出して、媒体にドットを形成する印刷方法であって、
前記ドットを形成する際における、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期と、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期とが異なる際に、
前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせて、前記移動方向の位置が共通の前記媒体上の画素に向けて前記インク滴を吐出する
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項10】
第1ノズル及び第2ノズルを移動方向に移動し、前記移動方向に移動する前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出して、媒体にドットを形成する印刷装置に、
前記ドットを形成する際における、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期と、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期とが異なる場合、
前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせて、前記移動方向の位置が共通の前記媒体上の画素に向けて前記インク滴を吐出させる機能を実現させることを特徴とするプログラム。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷方法及びプログラム
【背景技術】
【0002】
いわゆるインクジェットプリンタでは、移動方向に移動するノズルからインク滴を吐出してドットを形成するドット形成動作と、紙などの媒体を搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、媒体に画像を印刷する。正常にインク滴がノズルから吐出されると、紙上の所定の画素にインク滴が着弾し、紙上の所定の画素にドットが形成される。このような印刷方式として、非一様なオーバーラップ印刷と呼ばれる印刷方法が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−11859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、インク滴の吐出周期は、ノズルがインク滴を吐出する周期に依存している。但し、各ノズルがインク滴を吐出する周期が同じであれば、各ノズルのインク滴の吐出速度は同じになるので、ドットのずれは、あまり問題にならない。
しかし、インク滴を吐出する周期がノズル毎に異なる場合、ノズル毎にインク滴の着弾位置がずれるおそれがある。特に、部分オーバーラップ印刷(後述)や非一様なオーバーラップ印刷では、インク滴を吐出する周期がノズル毎に異なるため、ノズル毎にインク滴の着弾位置がずれるおそれがある。
そこで、本発明は、インク滴の着弾位置ずれを調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための主たる発明は、(A)第1ノズル及び第2ノズルを移動方向に移動させる移動体と、(B)前記移動方向に移動する前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出させて媒体にドットを形成させる制御部であって、前記ドットを形成する際における、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期と、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期とが異なる場合、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせて、前記移動方向の位置が共通の前記媒体上の画素に向けて前記インク滴を吐出させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0005】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0007】
(A)第1ノズル及び第2ノズルを移動方向に移動させる移動体と、
(B)前記移動方向に移動する前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出させて媒体にドットを形成させる制御部であって、
前記ドットを形成する際における、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期と、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期とが異なる場合、
前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせて、前記移動方向の位置が共通の前記媒体上の画素に向けて前記インク滴を吐出させる制御部と、
(C)を備えることを特徴とする印刷システム。
このような印刷システムによれば、インク滴の着弾位置のずれを調整することができる。
【0008】
かかる印刷システムであって、前記制御部は、画素データの対応する前記画素の位置をシフトするシフト処理を行い、前記シフト処理された前記画素データに基づいて、前記第1ノズル及び前記第2ノズルから前記インク滴を吐出することにより、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせることが望ましい。これにより、画素単位でドットのずれを調整することができる。
【0009】
かかる印刷システムであって、前記制御部が、第1駆動信号及び第2駆動信号を生成し、前記第1駆動信号が第1駆動素子に印加されると、前記第1ノズルから前記インク滴が吐出され、前記第2駆動信号が第2駆動素子に印加されると、前記第2ノズルから前記インク滴が吐出され、前記第1駆動信号が前記第1駆動素子に印加されてから前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するまでの時間と、前記第2駆動信号が前記第2駆動素子に印加されてから前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するまでの時間とが異なることにより、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせることが望ましい。これにより、画素の幅よりも小さい幅で、インク滴の着弾位置のずれを調整することができる。
【0010】
かかる印刷システムであって、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期は、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期の倍であることが望ましい。このような場合にインク滴の吐出速度がノズルに応じて異なることになるが、ノズルに応じてインク滴の着弾位置を調整できるので問題ない。
【0011】
かかる印刷システムであって、前記媒体を搬送する搬送方向に並ぶ複数のノズルを備え、前記第1ノズルは前記複数のノズルの前記搬送方向の端部に位置し、前記第2ノズルは、前記複数のノズルの前記搬送方向の中央部に位置することが望ましい。これにより、ノズルの製造誤差による画質の劣化を抑制しつつ、インク滴の吐出速度に基づく着弾位置のずれを調整することができる。
【0012】
かかる印刷システムであって、前記制御部は、前記ドットを形成させるドット形成処理と、前記媒体を搬送する搬送処理とを交互に繰り返させるものであり、前記第2ノズルによる1回の前記ドット形成処理によって、前記移動方向に連続して並ぶドットの列が形成され、前記第1ノズルによる2回の前記ドット形成処理によって、前記移動方向に連続して並ぶドットの列が形成されることが望ましい。いわゆる部分オーバーラップ印刷では、ノズルに応じて吐出周期が異なることになるが、インク滴の着弾位置のずれをノズルに応じて調整することができるので、問題はない。
【0013】
かかる印刷システムであって、前記制御部は、前記ドットを形成させるドット形成処理と、前記媒体を搬送する搬送処理とを交互に繰り返させるものであり、前記第1ノズルによる2回の前記ドット形成処理と、前記第2ノズルによる前記ドット形成処理とによって、前記移動方向に連続して並ぶドットの列が形成されることが望ましい。いわゆる非一様なオーバーラップ印刷では、ノズルに応じて吐出周期が異なることになるが、インク滴の着弾位置のずれをノズルに応じて調整することができるので、問題はない。
【0014】
第1ノズル及び第2ノズルを移動方向に移動し、
前記移動方向に移動する前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出して、媒体にドットを形成する印刷方法であって、
前記ドットを形成する際における、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期と、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期とが異なる際に、
前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせて、前記移動方向の位置が共通の前記媒体上の画素に向けて前記インク滴を吐出する
ことを特徴とする印刷方法。
このような印刷方法によれば、インク滴の着弾位置のずれを調整することができる。
【0015】
第1ノズル及び第2ノズルを移動方向に移動し、前記移動方向に移動する前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出して、媒体にドットを形成する印刷装置に、
前記ドットを形成する際における、前記第1ノズルが前記インク滴を吐出する周期と、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出する周期とが異なる場合、
前記第1ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングと、前記第2ノズルが前記インク滴を吐出するタイミングとを異ならせて、前記移動方向の位置が共通の前記媒体上の画素に向けて前記インク滴を吐出させる機能を実現させることを特徴とするプログラム。
このようなプログラムによれば、印刷装置に、インク滴の着弾位置のずれを調整させることができる。
【0016】
(1)印刷システム
まず、印刷装置を印刷システムとともに説明する。なお、印刷システムとは、印刷装置と、この印刷装置の動作を制御する印刷制御装置とを少なくとも含むシステムのことである。本実施形態の印刷システムは、プリンタ1(印刷装置の一例)と、プリンタドライバをインストールしたコンピュータ(印刷制御装置の一例)とを備えている。
【0017】
図1は、印刷システム100の構成を説明する図である。例示した印刷システム100は、印刷装置としてのプリンタ1と、印刷制御装置としてのコンピュータ110とを含んでいる。具体的には、この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有している。
【0018】
プリンタ1は、紙、布、フィルム、OHP用紙等の媒体に画像を印刷する。なお、この媒体に関し、以下の説明では、代表的な媒体である紙S(図4を参照。)を例に挙げて説明する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。
【0019】
(1−1)プリンタドライバ
図2は、プリンタドライバが行う基本的な処理の概略的な説明図である。
コンピュータ110では、コンピュータに搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ112やアプリケーションプログラム114やプリンタドライバ116などのコンピュータプログラムが動作している。ビデオドライバ112は、アプリケーションプログラム114やプリンタドライバ116からの表示命令に従って、例えばユーザインターフェース等を表示装置120に表示する機能を有する。アプリケーションプログラム114は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザは、アプリケーションプログラム114のユーザインターフェースを介して、アプリケーションプログラム114により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム114は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ116に画像データを出力する。
【0020】
プリンタドライバ116は、アプリケーションプログラム114から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンタに出力する。ここで、印刷データとは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと画素データとを有するデータである。ここで、コマンドデータとは、プリンタに特定の動作の実行を指示するためのデータである。また、画素データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータであり、例えば、ある画素に対応する紙上の位置(紙上の画素)に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
【0021】
プリンタドライバ116は、アプリケーションプログラム114から出力された画像データを印刷データに変換するため、解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・ラスタライズ処理などを行う。以下に、プリンタドライバ116が行う各種の処理について説明する。
【0022】
解像度変換処理は、アプリケーションプログラム114から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度に変換する処理である。例えば、紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム114から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。
【0023】
色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する処理である。なお、CMYKデータは、プリンタが有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGB画像データの階調値とCMYK画像データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバ116が参照することによって行われる。この色変換処理により、各画素についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。
【0024】
ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンタが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば720×720dpi)を有している。本実施形態では、ハーフトーン処理された画像データは、各画素につき2ビットの画素データから構成される。
【0025】
ラスタライズ処理は、マトリクス状の画像データを、プリンタに転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、印刷データに含まれる画素データとして、プリンタに出力される。
【0026】
(1−2)プリンタ
(1−2−1)プリンタの各ユニット
図3は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図4は、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図5は、プリンタ1の全体構成の横断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
【0027】
本実施形態のプリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びプリンタ側コントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、プリンタ側コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をプリンタ側コントローラ60に出力する。プリンタ側コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0028】
搬送ユニット20は、紙Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(以下、搬送方向という)に所定の搬送量で紙を搬送させるためのものである。すなわち、搬送ユニット20は、紙を搬送する搬送機構(搬送手段)として機能する。搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に給紙するためのローラである。搬送モータ22は、紙を搬送方向に搬送するためのモータである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタの外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
【0029】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能である。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を移動方向に移動させるためのモータである。
【0030】
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。ヘッド41は、複数のノズルを有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。このヘッド41は、キャリッジ31に設けられている。そのため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0031】
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている。光学センサ54は、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、紙の有無を検出する。
【0032】
プリンタ側コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニットである。プリンタ側コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0033】
なお、プリンタ側コントローラ60は、プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110からの印刷データに基づいて、プリンタ1内の各ユニットを制御している。このため、プリンタ1のプリンタ側コントローラ60及びコンピュータ110のCPUにより、印刷システム全体を制御する制御部が構成されている。
【0034】
(1−2−2)ヘッド
図6は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル列Kと、シアンインクノズル列Cと、マゼンタインクノズル列Mと、イエローインクノズル列Yが形成されている。各ノズル列は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態では180個)備えている。
【0035】
各ノズル列の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが360dpi(1/360インチ)である場合、k=2である。
【0036】
各ノズル列のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯180)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯180よりも搬送方向の下流側に位置している。なお、前述の光学センサ54は、紙搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズル♯180とほぼ同じ位置にある。
各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)と、ピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張し、ノズルからインク滴が吐出される。
【0037】
(1−2−3)ヘッドの制御
図7は、ヘッドの制御の説明図である。ユニット制御回路64は、タイミング生成部642と、ダブルバッファ644とを有する。タイミング生成部642は、リニア式エンコーダ51からの信号に応じて、タイミング信号を生成し、ダブルバッファ644へ出力する。ダブルバッファ644には、画素データを記憶するためのバッファが2つ設けられている。各バッファは、ノズル毎に1バイト分のデータ(4画素分の画素データ)を格納できる。そして、ダブルバッファ644は、タイミング信号を受けるたびに、バッファに格納されている画素データのうち、全ノズルの1画素分の画素データをヘッド41へシリアル転送する。
【0038】
ヘッド41がインクをノズルから吐出する際の動作について説明する。
まず、プリンタドライバが、プリンタ1へ印刷データを送信する。この印刷データには、無数の画素データが含まれている。一つの画素データは、1つの画素のドット形成状況(大ドット・中ドット・小ドット・ドットなし)を示しており、2ビットのデータ量である。プリンタ1が受信した画素データは、プリンタドライバのラスタライズ処理によって、印刷に適した並び順になっており(後述)、プリンタ1は、この並び順に従って画素データをメモリ63に格納する。メモリ63の1つのアドレスには1バイトの情報を格納できるので、1つのアドレスにつき4画素分の画素データが収容される。
ユニット制御回路64は、メモリ63の連続するアドレスに格納されている画素データを、バースト転送によってダブルバッファ644の一方のバッファに格納する。なお、メモリ63の隣接するアドレスには、プリンタドライバのラスタライズ処理によって、隣接するノズルに対応する画素データがそれぞれ格納されている。このため、全ノズルの4画素分の画素データをバースト転送することが可能である。
【0039】
次に、ユニット制御回路64は、キャリッジモータ32を駆動してキャリッジ31を移動方向に移動する。キャリッジ31が1/180インチ移動するたびに、リニア式エンコーダ51は1周期のパルス信号を出力する。タイミング生成部642は、リニア式エンコーダ51からの信号に応じて、タイミング信号を生成する。
ダブルバッファ644は、最初にタイミング信号を受けると、図中の太線で示す第1領域に格納されている画素データをヘッド41へシリアル転送する。この領域には、全ノズルの1画素分の画素データが格納されている。ヘッド41は、画素データに応じて、各ノズルからインクを吐出(又は不吐出)する。この結果、紙上の最初の画素に、ドットが形成される。
【0040】
ヘッド41からインクが吐出される間もキャリッジ31は移動方向に移動しているので、ダブルバッファ644は所定のタイミング信号を受け続けることになる。そして、次のタイミング信号を受けると、ダブルバッファ644は、第2領域に格納されている画素データをヘッド41へシリアル転送し、ヘッド41は、画素データに応じてインクを吐出する。このようにして、タイミング信号に応じて、ヘッド41から間欠的にインクが吐出される。
【0041】
ユニット制御回路64は、ダブルバッファ644の一方のバッファへ画素データを転送した後、メモリ63から他方のバッファへ次の画素データを転送する。これにより、ダブルバッファ644は、第4領域の画素データをヘッド41へ転送した後、他方のバッファの第5領域の画素データをヘッド41へ転送することが可能である。そして、第4領域の画素データをヘッド41へ転送した後、ユニット制御回路64は、メモリ63からダブルバッファの第1領域〜第4領域へ次の画素データを転送する。このように、ユニット制御回路64は、ダブルバッファ644の2つのバッファに対して、交互に画素データを転送する。
【0042】
なお、ヘッド41には色毎にノズル列が設けられており、ダブルバッファ644は、ノズル列ごと、すなわち色毎に設けられている。但し、タイミング生成部642は、色毎に設けられている複数のダブルバッファ644に対して、共通のタイミング信号を生成する。
【0043】
(2)参考例の印刷方法
(2−1)インターレース印刷
(2−1−1)インターレース印刷での動作
図8A及び図8Bは、インターレース印刷の説明図である。図8Aは、パス1〜パス3におけるノズルの位置とドットの形成の様子を示し、図8Bは、パス1〜4におけるノズルの位置とドットの形成の様子を示している。
【0044】
説明の都合上、4つあるノズル列のうちの一つのノズル列のみを示し、ノズル列のノズル数も少なくしている(ここでは20個)。図中の黒丸で示されるノズルは、インクを吐出可能なノズルである。一方、白丸で示されるノズルは、インクを吐出不可のノズルである。また、説明の便宜上、ノズル列が紙に対して移動しているように描かれているが、同図はノズル列と紙との相対的な位置を示すものであって、実際には紙が搬送方向に移動されている。また、説明の都合上、各ノズルは数ドット(図中の丸印)しか形成していないように示されているが、実際には、移動方向に移動するノズルから間欠的にインク滴が吐出されるので、移動方向に多数のドットが並ぶことになる。このドットの列をラスタラインともいう。黒丸で示されるドットは、最後のパスで形成されるドットであり、白丸で示されるドットは、それ以前のパスで形成されたドットである。なお、「パス」とは、移動するノズルからインクを吐出して、ドットを形成する処理(ドット形成処理)をいう。各パスは、紙を搬送方向に搬送する処理(搬送処理)と交互に行われる。n回目のパスのことを「パスn」などと呼ぶ。
【0045】
「インターレース印刷」とは、kが2以上であって、1回のパスで記録されるラスタラインの間に記録されないラスタラインが挟まれるような印刷方法を意味する。例えば、図8A及び図8Bにおける印刷方法では、1回のパスで形成されるラスタラインの間に、1本のラスタラインが挟まれている。
【0046】
このインターレース印刷では、紙が搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、その直前のパスで記録されたラスタラインに隣接するラスタラインを記録する。このように搬送量を一定にして記録を行うためには、(1)インクを吐出可能なノズル数N(整数)はkと互いに素の関係にあること、(2)搬送量FはN・Dに設定されること、が条件となる。
【0047】
同図では、ノズル列は搬送方向に沿って配列された20個のノズルを有する。ノズル列のノズルピッチkは2なので、インターレース印刷を行うための条件である「Nとkが互いに素の関係」を満たすため、全てのノズルは用いずに、19個のノズル(ノズル♯1〜ノズル♯19)を用いる。また、19個のノズルが用いられるため、紙は搬送量19・Dにて搬送される。その結果、180dpi(2・D)のノズルピッチのノズル列を用いて、360dpi(=D)のドット間隔にて紙にドットが形成される。なお、実際のノズル数は19個よりも多いので、実際の搬送量は19・Dよりも多くなる。
【0048】
(2−1−2)インターレース印刷でのラスタライズ処理について
図9Aは、ラスタライズ処理前(ハーフトーン処理後)の画像データの説明図である。図9Bは、ラスタライズ処理前の画素データの並び順の説明図である。
【0049】
図中の升目は、画像データの示す画像を構成する画素を示している。各升目には、画素の移動方向の位置を示す数字が記入されている。ところで、ハーフトーン処理後の画素データは、各画素につき2ビットの画素データから構成されている。このため、1アドレスにつき1バイトの情報を格納するメモリに画像データを格納すると、1アドレスにつき4画素分の画素データが収容される。図中の太線は、1アドレスに収容されている画素データに対応する4個の画素を示している。
【0050】
ラスタライズ処理前の画素データは、ラスタラインの順にメモリに格納されている。言い換えると、メモリの連続するアドレスには、ラスタラインの順に画素データが格納されている。しかし、このような並び順では、ノズル♯1〜ノズル♯20がインクを吐出する際に同時に必要となる画素データが、メモリの連続するアドレスに格納されていない。このため、このような画素データの並び順のままでは、図7の構成を用いて図8Aのようなインターレース印刷を行うことができない。そこで、プリンタドライバは、以下のように、ハーフトーン処理後の画素データを並び替えている。
【0051】
図10Aは、インターレース印刷の場合のラスタライズ処理の説明図である。図中の右側には画像データが示されており、図中の左側にはノズルが示されている。そして、図中の画像データとノズルとの位置関係によって、ラスタデータと、あるパスにおけるノズルとの関係が示されている。例えば、このパスでは、ノズル♯1は1番目のラスタデータと対応し、ノズル♯2は3番目のラスタデータと対応していることが示されている。なお、「ラスタデータ」とは、ラスタラインに対応する画素データ、すなわち、移動方向に並ぶ複数の画素に対応する複数の画素データのことである。
【0052】
インターレース印刷では、1回のパスで記録されるラスタラインの間に、記録されないラスタラインが挟まれている。このため、プリンタドライバは、ラスタライズ処理において、ノズル配列とラスタラインとの対応を考慮して、各ノズルに対応するラスタデータの画素データを図に示す順に並び替える。
【0053】
図10Bは、ラスタライズ処理により並び替えられた画素データの説明図である。ラスタライズ処理後の画素データでは、ノズル♯1〜ノズル♯20がインクを吐出する際に同時に必要となる画素データが、メモリの連続するアドレスに格納されている。例えば、各ノズルに対応付けられている1番の画素データは、メモリの連続するアドレスに格納されている。
【0054】
ここでは、あるパスに対応する画素データの並び替えについて説明したが、プリンタドライバは、他のパスについても同様に、各パスに対応する画素データを画像データから抽出する。なお、プリンタドライバは、パス1からパス順に、各パスに対応する画素データを画像データから抽出する。
【0055】
このように並び替えられた画素データ(ラスタライズ処理された画素データ)は、印刷データとしてプリンタ1に送信され、同様の並び順でプリンタ1のメモリ63に格納される。そして、ユニット制御回路64は、メモリ63の連続するアドレスの20バイト分の画素データをダブルバッファ644へバースト転送する。
【0056】
図11は、並び替えられた画素データに基づくドット形成の様子の説明図である。図中のダブルバッファ644には、バースト転送された画素データが格納されており、画素データの対応する画素の番号が示されている。また、図中の下側には、あるノズルから吐出されたインク滴により形成されたドットが黒丸で示されており、黒丸中の白抜き数字は画素データの番号を示している。上記のように並び替えられた画素データによれば、図8Aのようなインターレース印刷を行うように、各ノズルからインクを吐出することができる。
【0057】
(2−2)フルオーバーラップ印刷
(2−2−1)フルオーバーラップ印刷での動作
図12A及び図12Bは、フルオーバーラップ印刷の説明図である。図12Aは、パス1〜パス4におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示し、図12Bは、パス1〜パス5におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示している。
【0058】
「フルオーバーラップ印刷」とは、ラスタラインを複数のノズルで形成する印刷方法を意味する。例えば、図12A及び図12Bにおける印刷方法では、各ラスタラインは、2つのノズルで形成されている。
【0059】
フルオーバーラップ印刷では、紙が搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、数ドットおきに間欠的にドットを形成する。そして、他のパスにおいて、他のノズルが既に形成されている間欠的なドットを補完するように(ドットの間を埋めるように)ドットを形成することにより、1つラスタラインが複数のノズルにより形成される。このようにM回のパスにて1つのラスタラインが形成される場合、「オーバーラップ数M」と定義する。
図12A及び図12Bでは、各ノズルは、1ドットおきに間欠的にドットが形成されるので、パス毎に奇数番目の画素又は偶数番目の画素にドットが形成される。そして、1つのラスタラインが2つのノズルにより形成されているので、オーバーラップ数M=2になる。
【0060】
オーバーラップ印刷において、搬送量を一定にして記録を行うためには、(1)N/Mが整数であること、(2)N/Mはkと互いに素の関係にあること、(3)搬送量Fが(N/M)・Dに設定されること、が条件となる。
図12A及び図12Bでは、ノズル列は搬送方向に沿って配列された20個のノズルを有する。しかし、ノズル列のノズルピッチkは2なので、オーバーラップ印刷を行うための条件である「N/Mとkが互いに素の関係」を満たすために、全てのノズルを用いることはできない。そこで、20個のノズルのうち、18個のノズルを用いてオーバーラップ印刷が行われる。また、18個のノズルが用いられるため、紙は搬送量9・Dにて搬送される。その結果、例えば、180dpi(2・D)のノズルピッチのノズル列を用いて、360dpi(=D)のドット間隔にて紙にドットが形成される。
【0061】
図12A及び図12Bでは、パス1では各ノズルが奇数画素にドットを形成し、パス2では各ノズルが偶数画素にドットを形成し、パス3では各ノズルが偶数画素にドットを形成し、パス4では各ノズルが奇数画素にドットを形成する。つまり、4回のパスでは、奇数画素−偶数画素−偶数画素−奇数画素の順にドットが形成される。なお、パス5以降のドットの形成順は、パス1からのドット形成順と同様である。
【0062】
(2−2−2)フルオーバーラップ印刷でのラスタライズ処理
図13Aは、フルオーバーラップ印刷の場合のラスタライズ処理の説明図である。図10Aと同様に、ラスタデータとあるパスにおけるノズルとの関係が示している。但し、フルオーバーラップ印刷の場合、各パスにおいて各ノズルは1ドットおきにドットを形成する。このため、フルオーバーラップ印刷のためのラスタライズ処理では、プリンタドライバは、ラスタデータの中から必要な画素データを抽出することも行う。
【0063】
図13Bは、ラスタライズ処理により並び替えられた画素データの説明図である。1アドレスに格納される4画素分の画素データは、前述の図10Bの場合では移動方向に連続して並ぶ4画素に対応しているが、ここでは奇数番号の4画素に対応している。但し、フルオーバーラップ印刷の場合であっても、ラスタライズ処理後の画素データでは、ノズル♯1〜ノズル♯20がインクを吐出する際に同時に必要となる画素データが、メモリの連続するアドレスに格納されている。例えば、各ノズルに対応付けられている1番の画素データは、メモリの連続するアドレスに格納されている。
【0064】
図14は、フルオーバーラップ印刷のために並び替えられた画素データに基づくドット形成の様子の説明図である。フルオーバーラップ印刷の場合、ダブルバッファ644には、移動方向に連続して並ぶ画素の画素データが格納されるのではなく、奇数番号又は偶数番号の画素の画素データが格納されることになる。そこで、フルオーバーラップ印刷の場合、タイミング生成部は、インターレース印刷の場合のタイミング信号よりも2倍の周期でタイミング信号を出力し、ダブルバッファは、このタイミング信号に応じて画素データをヘッド41へ転送する。これにより、図12Aのようなフルオーバーラップ印刷を行うように、各ノズルからインクを吐出することができる。
【0065】
(3)本実施形態の印刷方式
(3−1)部分オーバーラップ印刷の動作
図15A及び図15Bは、部分オーバーラップ印刷の説明図である。図15Aは、パス1〜パス3におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示し、図15Bは、パス1〜パス4におけるドットの形成の様子を示している。
【0066】
部分オーバーラップ印刷では、インターレース印刷(図8A及び図8B参照)と比較して、使用可能なノズル数が冗長になるように設定される。そして、冗長なノズルが存在するため、一部のノズルでは、通常のノズルよりも、形成するドット数が半分に減らされている。以下の説明では、形成するドット数が半分に減らされているノズルのことを、「POLノズル」と呼ぶ。図15A及び図15Bにおいて、黒丸で示されるノズルは通常通りにインクを吐出するノズルであり、斜線でハッチングされたノズルはPOLノズルである。
【0067】
部分オーバーラップ印刷では、ノズル列の搬送方向上流側の端部に位置するノズル及びノズル列の搬送方向下流側の端部に位置するノズルの2つのノズルが、ノズル列の中央部に位置する1つのノズルと同じ機能を果たす。例えば、図15A及び図15Bでは、ノズル♯1やノズル♯20は、ノズル♯2〜ノズル♯19と比較して、半分のドットしか形成しない。つまり、ノズル♯1及びノズル♯20がPOLノズルである。但し、図15A及び図15Bにおいてインクを吐出可能なノズルの数は、図8A及び図8Bにおいてインクを吐出可能なノズルの数と比較して、多くなる。
【0068】
部分オーバーラップ印刷では、搬送方向上流側の端部に位置するPOLノズルが、間欠的にドットを形成する。そして、他のパスにおいて、搬送方向下流側の端部に位置するPOLノズルが、既に形成されている間欠的なドットを補完するように(ドットの間を埋めるように)、ドットを形成する。これにより、端部に位置する2つのPOLノズルが、中央部に位置する1つのノズルと同じ機能を果たす。例えば、図15A及び図15Bでは、あるパスでノズル♯20が1ドットおきにドットを形成した後、他のパスでノズル♯1がドットの間を埋めるようにドットを形成して、1つのラスタラインを完成させている。
【0069】
部分オーバーラップ印刷でも、前述のインターレース印刷と同様に、一定の搬送量Fの搬送動作が、各パスと交互に行われる。このように搬送量を一定にして印刷を行うためには、(1)延べノズル数N’がkと互いに素の関係にあること、(2)搬送量FがN’・Dに設定されること、が条件となる。ここで、「延べノズル数N’」は、中央部のノズルを「1」とカウントし、半分のドットしか形成しないPOLノズルを「0.5」としてカウントしたときの、合計ノズル数である。例えば、図15A及び図15Bでは、延べノズル数N’は「19」になる。
【0070】
ところで、インターレース印刷によれば、ノズル列の端部のノズル(例えばノズル♯1)が単独でラスタラインを完成させている。但し、一般的にノズル列の端部のノズルは、製造誤差のためインク滴の飛翔方向が乱れることがある。このため、インターレース印刷では、例えばノズル♯1のインク滴の飛翔方向が乱れると、ノズル♯1が形成するラスタラインを構成するドットの位置が乱れ、印刷画像に縞模様が発生する。これに対し、部分オーバーラップ印刷によれば、ノズル♯1及びノズル♯20の2つのノズルによって1つのラスタラインが形成されるので、一方のノズルのインク滴の飛翔方向が乱れても、そのラスタラインに与える影響は軽減される。このため、一般に、部分オーバーラップ印刷の方が、インターレース印刷よりも、高画質で印刷できる。
【0071】
なお、部分オーバーラップ印刷のためのラスタライズ処理については、後述する。
【0072】
(3−2)非一様なオーバーラップ印刷の動作
上記の部分オーバーラップ印刷は、前述のインターレース印刷よりも使用可能なノズル数が冗長になるようにしたものである。但し、前述のフルオーバーラップに対して、使用可能なノズル数が冗長になるように設定しても良い。
【0073】
図16A及び図16Bは、非一様なオーバーラップ印刷の説明図である。図16Aは、パス1〜パス4におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示し、図16Bは、パス1〜パス5におけるドットの形成の様子を示している。
【0074】
ここでは、ノズル列の中央部に位置するノズル♯3〜ノズル♯18は、前述のフルオーバーラップ印刷の場合と同様に、ドットを形成する。一方、ノズル列の端部に位置するノズル(ノズル♯1、ノズル♯2、ノズル♯19及びノズル♯20)は、中央部に位置するノズルの半分のドットしか形成しない。つまり、ここでは、ノズル♯1、ノズル♯2、ノズル♯19及びノズル♯20がPOLノズルである。また、前述のフルオーバーラップ印刷の場合と同様に、全てのノズル(ノズル♯1〜ノズル♯20)からインクを吐出している。
このように、フルオーバーラップ印刷において部分オーバーラップ印刷を行うためには、(1)N’/Mが整数であること、(2)N’/Mはkと互いに素の関係にあること、(3)搬送量Fが(N’/M)・Dに設定されること、が条件となる。なお、図16A及び図16Bでは、延べノズル数N’は「18」になる。
なお、前述のフルオーバーラップ印刷によれば、どのラスタラインも2個のノズルで形成されていた。一方、この非一様なオーバーラップ印刷によれば、2個のノズルで形成されるラスタラインもあれば、3個のノズルで形成されるラスタラインもある。つまり、非一様なオーバーラップ印刷によれば、ラスタラインを形成するノズル数が、ラスタラインによって異なっている。
【0075】
ところで、フルオーバーラップ印刷によれば、ノズル列の端部のノズル(例えばノズル♯1)が1ドットおきにドットを形成している。但し、一般的にノズル列の端部のノズルは、製造誤差のためインク滴の飛翔方向が乱れることがある。このため、オーバーラップ印刷では、例えばノズル♯1のインク滴の飛翔方向が乱れると、ノズル♯1が形成するラスタラインの半分のドットの位置が乱れ、印刷画像に縞模様が発生する。これに対し、非一様なオーバーラップ印刷によれば、2つのPOLノズルによって1ドットおきのドットが形成されるので、一方のノズルのインク滴の飛翔方向が乱れても、4個に1個の割合でドットの位置が乱れるだけなので、ラスタラインに与える影響は軽減される。このため、一般に、非一様なオーバーラップ印刷の方が、フルオーバーラップ印刷よりも、高画質で印刷できる。
【0076】
なお、非一様なオーバーラップ印刷のためのラスタライズ処理については、後述する。
【0077】
(4)吐出周波数f(吐出周期T)の違いによる影響
(4−1)POLノズルの吐出周期Tについて
図17Aは、部分オーバーラップ印刷の各ノズルの吐出周期Tの説明図である。ここでは、部分オーバーラップ印刷における、あるパスでの各ノズルの動作について注目している。
【0078】
既に説明した通り(図15A及び図15B参照)、部分オーバーラップ印刷では、ノズル♯2〜ノズル♯19が360dpiのドットを形成する。キャリッジ31が移動速度Vcrで移動する場合、1/360インチ(=D)移動するたびにノズル♯2〜ノズル♯19からインクが吐出されるので、ノズル♯2〜ノズル♯19のインクの吐出周期Tは、D/Vcrになる。
【0079】
一方、POLノズルであるノズル♯1及びノズル♯20は、ノズル♯2〜ノズル♯19と比較して半分のドットしか形成せず、180dpiのドットを形成する。キャリッジ31が1/180インチ(=2D)移動するたびにノズル♯1及びノズル♯20からインクが吐出されるので、POLノズルであるノズル♯1及びノズル♯20のインクの吐出周期Tは、2D/Vcrになる。
【0080】
従って、POLノズル(ノズル♯1及びノズル♯20)のインクの吐出周期Tは、通常のノズル(ノズル♯2〜ノズル♯19)のインクの吐出周期と異なっている(2倍の周期になっている)。
【0081】
(4−2)吐出速度Vmへの影響
図18は、インクの吐出周波数f(吐出周期T)とインク滴の吐出速度Vmとの関係のグラフである。インクの吐出周波数fは、単位時間当たりの繰り返し吐出数のことであり、単位はHzである。インクの吐出周期Tは、インクを吐出してから次のインクの吐出までの間の時間である。吐出周期Tの逆数(1/T)が、吐出周波数fになる。インク滴の吐出速度Vmは、キャリッジが停止した状態において吐出されたインク滴の飛翔速度である。キャリッジが移動している場合、インク滴の吐出速度Vmは、移動方向成分を除いたインク滴の飛翔速度である。
【0082】
インクを吐出した直後、ノズルにおけるインクメニスカス(インク表面)は振動しており、不安定な状態になっている。このため、インクを吐出してから次のインクを吐出する場合、インク滴の吐出速度は、吐出する際のインクメニスカスの状態の影響を受ける。例えば、インクメニスカスが凹状態のときに次のインクの吐出が行われると、インク滴の吐出速度が速くなる。逆に、インクメニスカスが凸状態のときに次のインクの吐出が行われると、インク滴の吐出速度が遅くなる。この結果、図に示されているように、インクの吐出周波数fが異なると、インク滴の吐出速度が変化する。
【0083】
従って、POLノズルから吐出されたインク滴の吐出速度は、通常のノズルから吐出されたインク滴の吐出速度と異なっている。
【0084】
(4−3)インク滴の着弾位置への影響
ここでは、ある吐出周波数f1(=1/T1)のときのインク滴の吐出速度をVm1とし、吐出周波数f2(=1/T2)のときのインク滴の吐出速度をVm2とし、Vm1>Vm2として、インク滴の着弾位置のずれについて説明する。
【0085】
図19は、インク滴の着弾位置の説明図である。同図には、異なる吐出速度のインク滴が同じタイミングで吐出されたときのインク滴の着弾位置が示されている。
【0086】
ヘッドと紙Sとの距離を、ここではPGとする。この場合、吐出速度Vm1で吐出されたインク滴は、飛翔時間PG/Vm1の経過後に紙Sに着弾する。一方、吐出速度Vm2で吐出されたインク滴は、飛翔時間PG/Vm2の経過後に紙Sに着弾する。Vm1>Vm2なので、吐出速度Vm1のインク滴は紙Sに早く着弾し、吐出速度Vm2のインク滴は紙Sに遅く着弾する。
【0087】
一方、紙Sにドットを形成する場合、キャリッジ31は移動方向に移動し、キャリッジ31とともに移動するヘッド(ノズル)からインク滴が吐出される。慣性により、移動するヘッドから吐出されたインク滴は、紙Sに着弾するまでの間に、キャリッジ31の移動方向にも移動する。この結果、インク滴の着弾位置は、移動方向の位置に関して、インク滴が吐出された位置よりも、吐出速度Vm1のインク滴は(PG/Vm1)×Vcrだけ移動方向下流側になり、吐出速度Vm2のインク滴は(PG/Vm2)×Vcrだけ移動方向下流側になる。Vm1>Vm2なので、吐出速度Vm2のインク滴の着弾位置は、吐出速度Vm1のインク滴の着弾位置よりも、移動方向下流側になる。言い換えると、吐出速度Vm2のインク滴により形成されたドットは、吐出速度Vm1のインク滴により形成されたドットよりも、移動方向下流側にずれて形成される。つまり、インクの吐出速度が異なると、ドットの移動方向の位置が異なることになる。
【0088】
既に説明した通り、部分オーバーラップ印刷では、POLノズルから吐出されたインク滴の吐出速度は、通常のノズルから吐出されたインク滴の吐出速度と異なっている。このため、部分オーバーラップ印刷では、POLノズルにより形成されるドットは、通常のノズルにより形成されるドットとずれて形成されてしまう。
【0089】
図17Bは、非一様なオーバーラップ印刷の各ノズルの吐出周期Tの説明図である。ここでは、非一様なオーバーラップ印刷における、あるパスでの各ノズルの動作について注目している。
非一様なオーバーラップ印刷の場合も同様に、POLノズル(ノズル♯1、ノズル♯2、ノズル♯19及びノズル♯20)のインクの吐出周期Tは、通常のノズル(ノズル♯3〜ノズル♯18)のインクの吐出周期と異なっている。このため、非一様なオーバーラップ印刷でも、POLノズルにより形成されるドットは、通常のノズルにより形成されるドットとずれて形成されてしまう。
【0090】
そこで、以下に説明する本実施形態では、POLノズルがインク滴を吐出するタイミングと、通常のノズルがインク滴を吐出するタイミングとを異ならせている。これにより、本実施形態では、移動方向の位置が共通の紙上の画素に向けてインク滴を吐出させて、移動方向の位置が共通の紙上の画素にドットを形成している。
【0091】
(5)部分オーバーラップ印刷の吐出タイミングの修正方法
(5−1)ラスタライズ処理について
プリンタ1のメモリ63には、印刷方式毎に、POLノズルにより形成されるドットの位置の調整量が記憶されている。なお、この調整量は、プリンタ1の製造時に、工場においてプリンタ毎に計測されたものである。そして、プリンタドライバは、メモリ63に記憶されている調整量を読み出して、部分オーバーラップ印刷の際の調整量を決定する。
以下の説明では、POLノズルにより形成されたドットが、通常のノズルにより形成されたドットよりも、移動方向下流側に1/360インチ(=D)ずれる場合について説明する。
【0092】
図20は、本実施形態のラスタライズ処理のフロー図である。プリンタドライバは、これらの各処理をコンピュータ110に実行させるためのコードを備えており、コンピュータ110は、プリンタドライバのコードに従って、これらの各処理を実行する。
【0093】
まず、プリンタドライバは、ハーフトーン処理後の画像データを取得し(S101)、画像データにダミーデータを付加する(S102)。
【0094】
図21は、ダミーデータの付加の説明図である。上図は、ハーフトーン処理後の画像データである。(なお、既に説明したとおり、画像データは、ラスタラインの順に画素データが並んでいる。)下図は、ダミーデータを付加した画像データである。図に示すように、プリンタドライバは、画像データの示す画像の移動方向の端部に、4画素分のダミーデータを各ラスタラインに付加する。なお、ダミーデータは、インク不吐出を示す画素データと同じデータである。
【0095】
次に、プリンタドライバは、画像データを構成する各ラスタデータとノズルとの対応付けを行う(S103)。
図22は、ラスタデータと、あるパスにおけるノズルとの関係の説明図である。ここでは、1番目のラスタデータにノズル♯1が対応付けられている。なお、39番目のラスタデータは、ノズル♯20が対応付けられることになる。
【0096】
次に、プリンタドライバは、POLノズルに対応するラスタデータにマスク処理を行う(S104)。
図23は、マスク処理された画像データの説明図である。部分オーバーラップ印刷では、ノズル♯1及びノズル♯20がPOLノズルになるので、これらのノズルの対応する1番目及び39番目のラスタデータに対してマスク処理が行われる。あるパスにおいて、POLノズルが奇数画素に対してドットを形成する場合、プリンタドライバは、偶数画素に対応する画素データに対してマスク処理を行う。逆に、あるパスにおいて、POLノズルが偶数画素に対してドットを形成する場合、プリンタドライバは、奇数画素に対応する画素データに対してマスク処理を行う。マスク処理された画素データは、全てダミーデータに置き換えられる。ここでは、図中の×印の付された画素データが、マスク処理された画素データであり、ダミーデータに置き換えられる。
【0097】
次に、プリンタドライバは、POLノズルに対応するラスタデータにシフト処理を行う(S105)。
図24は、シフト処理後の画像データの説明図である。図に示すように、1番目及び39番目のラスタデータが、1画素分だけ左側にシフトされている。言い換えると、ラスタデータの各画素データの対応する画素の位置が、それぞれ1つずつずらされる。例えば、シフト処理前の1番の画素データは、左から5番目の画素に対応付けられていたが、シフト処理後の1番の画素データは、左から4番目の画素に対応付けられることになる。なぜシフト処理が行われるのか、また、なぜ画素データが1画素分だけ左側にシフトされるのかは、後ほど明らかになる。
【0098】
次に、プリンタドライバは、通常のインターレース印刷の場合(図10A参照)と同様に、画素データの並び替えを行う(S106)。
図25は、並び替えられた画素データの説明図である。
【0099】
ノズル♯1及びノズル♯20の最初の1バイトのデータ(4画素分の画素データ)の中には、1番の画素に対応する画素データが含まれている。一方、ノズル♯2〜ノズル♯19の最初の1バイトのデータの中には、1番の画素に対応する画素データが含まれず、全てダミーデータになっている。なお、ノズル♯2〜ノズル♯19に対応する1番の画素の画素データは、2回目の1バイトのデータの中に含まれている。
ノズル♯2〜ノズル♯19の2回目の1バイトのデータの中には、1〜4番の画素に対応する4個の画素データが含まれている。一方、ノズル♯1及びノズル♯20の2回目の1バイトのデータの中には、3番及び5番の画素に対応する画素データが、ダミーデータと交互に、含まれている。なお、ノズル♯1及びノズル♯20の2回目の1バイトのデータ中の3番の画素に対応する画素データは、前述のシフト処理の影響により、ノズル♯2〜ノズル♯19の2回目の1バイトのデータ中の2番の画素に対応する画素データと同じような位置に、格納されている。
このように並び替えられた画素データ(ラスタライズ処理された画素データ)は、印刷データとしてプリンタ1に送信される。
【0100】
(5−2)ドット形成時の動作について
印刷データを受信したプリンタは、印刷データに含まれる画素データを、並び順を変えずに、メモリ63に格納する。そして、メモリ63の連続するアドレスの20バイト分(ノズル数分)の画素データをダブルバッファ644へバースト転送する。
【0101】
図26A及び図26Bは、並び替えられた画素データに基づくドット形成の様子の説明図である。図26Aは、通常のノズルであるノズル♯2のドット形成の様子の説明図である。図26Bは、POLノズルであるノズル♯1のドット形成の様子の説明図である。
【0102】
図中のダブルバッファ644の一方のバッファ(第1領域〜第4領域)には、各ノズルの最初の1バイトのデータが格納されており、他方のバッファ(第5領域〜第8領域)には、各ノズルの2回目の1バイトのデータが格納されている。通常、第8領域の画素データをヘッド41へ転送する頃には、次の1バイトのデータが第1領域〜第4領域に転送されているはずだが、ここでは説明のため、図中の第1領域〜第4領域には、各ノズルの最初の1バイトのデータが格納されている。また、説明のため、ここでは全ての画素データが、ドットの形成を示すデータであるものとする。
【0103】
ダブルバッファ644は、タイミング信号を受けると、全ノズルの1画素分の画素データ(1つの領域に格納されている20個の画素データ)をヘッド41へ転送する。ヘッドは、転送されてきた20個の画素データに応じて、各ノズルからインクを吐出(又は不吐出)し、紙上の画素にドットを形成(又は非形成)する。
【0104】
タイミング生成部は、リニア式エンコーダ51からの信号に応じて、キャリッジ31がドットピッチ分(1/360インチ)移動する毎に、タイミング信号を生成する。ダブルバッファ644は、次々とタイミング信号が入力される毎に、領域を順に切り替えて、画素データをヘッド41へ転送する。以下、第1領域から第8領域までの画素データが順にヘッド41へ転送されたときの様子について説明する。
【0105】
まず、図26Aを参照しつつ、ノズル♯2〜ノズル♯19のドットの形成について説明する。
ノズル♯2〜ノズル♯19では、第1領域から第4領域までの画素データが順に転送されても、転送される画素データがダミーデータであるため、インクは吐出されない。そして、第5領域の画素データが転送されたとき、1番の画素データに基づいて、ノズル♯2〜ノズル♯19からインクが吐出される。なお、1番の画素データに基づいて吐出されたインク滴は、紙上の1番目の画素に着弾し、1番の画素データに応じたドットを形成する。そして、キャリッジ31が1/360インチ移動する毎に、次々に画素データに基づいてインク滴が吐出され、1/360インチ間隔のドットが形成される。
【0106】
次に、図26Bを参照しつつ、ノズル♯1及びノズル♯20のドットの形成について説明する。
ノズル♯1及びノズル♯20では、第4領域の画素データが転送されたとき、1番の画素データに基づいて、ノズル♯1及びノズル♯20からインク滴が吐出される。つまり、ノズル♯1及びノズル♯20は、ノズル♯2〜ノズル♯19よりも1/360インチ手前のタイミング(1画素分早いタイミング)で、1番の画素データに基づくインク滴を吐出する。
【0107】
ノズル♯1及びノズル♯20が1番の画素データに基づくインク滴を吐出した後、次に転送される画素データはダミーデータであるため、3番の画素データが転送されるまで、インクは吐出されない。同様に、ノズル♯1及びノズル♯20が3番の画素データに基づくインク滴を吐出した後、次に転送される画素データはダミーデータであるため、5番の画素データが転送されるまで、インクは吐出されない。このように、ノズル♯1及びノズル♯20は、キャリッジ31が2/360インチ移動する毎にインク滴を吐出し、2/360インチ間隔のドットが形成される。
【0108】
ノズル♯1及びノズル♯20のインクの吐出周期は、ノズル♯2〜ノズル♯19のインクの吐出周期よりも、長くなる。このため、ノズル♯1及びノズル♯20のインク吐出速度がノズル♯2〜19のインク吐出速度と異なることになり、ドットの着弾位置がずれることになる。前述したように、ここでは、ノズル♯1及びノズル♯20(POLノズル)により形成されるドットは、ノズル♯2〜ノズル♯19(通常のノズル)により形成されるドットよりも、移動方向下流側に1/360インチずれることになる。
【0109】
第8領域の画素データが転送されると、ノズル♯2〜ノズル♯19からは4番の画素データに基づくインク滴が吐出され(図26A参照)、ノズル♯1及びノズル♯20からは5番の画素データに基づくインク滴が吐出される(図26B参照)。但し、ノズル♯1及びノズル♯20から吐出されたインク滴は、ノズル♯2〜ノズル♯19から吐出されたインク滴よりも吐出速度が遅いため、紙上の4番目の画素ではなく、それよりも1/360インチだけ移動方向下流側の5番目の画素に着弾する。この結果、ノズル♯1及びノズル♯20から吐出されたインク滴により、紙上の5番目の画素には、5番の画素データに基づくドットが形成される。
【0110】
このように、本実施形態によれば、POLノズルがインク滴を吐出するタイミングと、通常のノズルがインク滴を吐出するタイミングとを異ならせている。これにより、本実施形態では、POLノズルから吐出されるインク滴の着弾位置のずれを修正している。
【0111】
(6)非一様なオーバーラップ印刷の吐出タイミングの修正方法
(6−1)2画素分ずれる場合
非一様なオーバーラップ印刷の場合、通常のノズル(ノズル♯3〜ノズル♯18)は2/360インチ間隔でドットを形成するが、POLノズル(ノズル♯1、ノズル♯2、ノズル♯19及びノズル♯20)は4/360インチ間隔でドットを形成する(図16A及び図17A参照)。このため、POLノズルのインクの吐出周期Tが、通常のノズルのインクの吐出周期と異なっているため、POLノズルにより形成されるドットは、通常のノズルにより形成されるドットとずれて形成されてしまう。
【0112】
以下の説明では、POLノズルにより形成されたドットが、通常のノズルにより形成されたドットよりも、移動方向下流側に2/360インチ(=2・D)ずれる場合について説明する。
この場合でも、前述の部分オーバーラップ印刷の場合と同様の手順でラスタライズ処理が行われる。但し、シフト処理では、1番目及び39番目のラスタデータが、2画素分だけ左側にシフトされる。また、通常のフルオーバーラップ印刷の場合(図13A参照)と同様に、ラスタデータの中から必要な画素データを抽出しながら、画素データの並び替えが行われる。
【0113】
図27A及び図27Bは、このように並び替えられた画素データに基づくドット形成の様子の説明図である。図27Aは、通常のノズルであるノズル♯3のドット形成の様子の説明図である。図27Bは、POLノズルであるノズル♯1のドット形成の様子の説明図である。
【0114】
タイミング生成部642は、前述のフルオーバーラップ印刷の場合と同様に、キャリッジ31が1/180インチ移動するたびに、タイミング信号を生成する。つまり、非一様なオーバーラップ印刷では、タイミング生成部642は、部分オーバーラップの場合のタイミング信号よりも2倍の周期でタイミング信号を出力する。
【0115】
通常のノズルでは、第3領域の画素データが転送されたとき、1番の画素データに基づいて、インクが吐出される。一方、POLノズルでは、第2領域の画素データが転送されたとき、1番の画素データに基づいて、インクが吐出される。つまり、POLノズルは、通常尾ノズルよりも1/180インチ手前のタイミング(2画素分早いタイミング)で、1番の画素データに基づくインク滴を吐出する。
【0116】
通常のノズルが7番の画素データに基づいてインク滴を吐出するとき、POLノズルは9番の画素データに基づいてインク滴を吐出する。通常のノズルから吐出されたインク滴は、紙上の7番目の画素に着弾するが、POLノズルから吐出されたインク滴は、移動方向下流側に2/360インチずれて、紙上の9番目の画素に着弾する。
【0117】
このように、本実施形態によれば、POLノズルがインク滴を吐出するタイミングと、通常のノズルがインク滴を吐出するタイミングとを異ならせている。これにより、本実施形態では、POLノズルから吐出されるインク滴の着弾位置のずれを修正している。
【0118】
(6−2)1画素ずれる場合
次に、POLノズルにより形成されたドットが、通常のノズルにより形成されたドットよりも、移動方向下流側に2/360インチ(=2・D)ずれる場合について説明する。
【0119】
この場合、POLノズルは、通常のノズルよりも1/360インチ手前のタイミング(1画素分早いタイミング)で、移動方向の位置が共通の画素に対応する画素データに基づくインク滴を吐出する必要がある。一方、タイミング生成部642が1/180インチ間隔のタイミング信号を生成していたのでは、1/360インチ手前のタイミングでインク滴を吐出させることはできない。このため、タイミング生成部642は、キャリッジ31が1/360インチ移動するたびに、タイミング信号を生成する。また、画素データの並び替えも、この点を考慮して行われる。
【0120】
図28は、マスク処理の説明図である。ハーフトーン処理された画像データに対しての、ダミーデータの付加や、ノズルとの対応付け等は、既に行われている。
あるパスにおいて、奇数画素に対してドットを形成する場合、プリンタドライバは、そのパスの各ノズル(ノズル♯1〜ノズル♯20)に対応付けられたラスタデータのうち、偶数画素に対応する画素データに対してマスク処理を行う。逆に、あるパスにおいて、偶数画素に対してドットを形成する場合、プリンタドライバは、ラスタデータのうち、奇数画素に対応する画素データに対してマスク処理を行う。更に、プリンタドライバは、POLノズルに対応付けられたラスタデータのうち、マスクされていない画素データに対して、2個に1個の割合でマスク処理を行う。
このようなマスク処理を行った後、プリンタドライバは、POLノズルに対応するラスタデータに対してシフト処理を行う。シフト処理により、POLノズルに対応するラスタデータを構成する画素データが、1画素分だけ左側にシフトされる。シフト処理の後、プリンタドライバは、画素データの並び替えを行う。
【0121】
図29は、画素データの並び替えの説明図である。図に示す通り、ここでの画素データの並び替え処理では、インターレース印刷の場合(図10A参照)と同じ処理が行われる。そして、このように並び替えられた画素データ(ラスタライズ処理された画素データ)は、印刷データとしてプリンタに送信される。
【0122】
印刷データを受信したプリンタは、印刷データに含まれる画素データを、並び順を変えることなく、メモリ63に格納する。そして、メモリ63の連続するアドレスの20バイト分(ノズル数分)の画素データをダブルバッファ644へバースト転送する。
【0123】
タイミング生成部642は、キャリッジ31が1/360インチ移動するたびに、タイミング信号を生成する。通常のノズルの場合、画像データを構成する画素データとダミーデータとが交互に転送されるため、キャリッジ31が2/360インチ移動する毎にインク滴が吐出され、2/360インチ間隔のドットが形成される。POLノズルの場合、4個の画素データのうち、1個は画像データを構成するデータであり、他の3個はダミーデータであるため、キャリッジ31が4/360インチ移動する毎にインク滴が吐出され、4/360インチ間隔のドットが形成される。
【0124】
また、前述のシフト処理により、移動方向の位置が共通の画素データが、通常のノズルに対してよりも早いタイミングで、POLノズルに対して転送される。この結果、POLノズルは、通常のノズルよりも、1/360インチ手前のタイミングでインク滴を吐出する。これにより、本実施形態でも、POLノズルから吐出されるインク滴の着弾位置のずれが修正できる。
【0125】
(7)その他の実施形態
(7−1)前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0126】
(7−2)前述の実施形態では、プリンタ1及びコンピュータ110からなる印刷システムを説明した。但し、これに限られるものではなく、プリンタドライバの機能をプリンタ1側に組み込み、プリンタ1側でラスタライズ処理等を行っても良い。この場合、プリンタ1が単体で印刷システムを構成する。
【0127】
(7−3)前述の実施形態では、1つのラスタラインを2個又は3個のノズルで形成する非一様なオーバーラップ印刷について説明した。但し、これに限られるものではない。例えば、M=4のフルオーバーラップ印刷の使用ノズル数を冗長にして、1つのラスタラインを4個又は5個のノズルで形成する非一様なオーバーラップ印刷であっても良い。この場合、5個のノズルで形成されるラスタラインは、POLノズルによる2回のドット形成処理(パス)と、通常のノズルによる3回のドット形成処理とによって、形成される。
【0128】
(7−4)前述の実施形態では、説明の簡略化のため、ノズル数を減らして説明を行なっている。また、解像度も360dpiにしている。但し、ノズル数や解像度は、これに限られるものではない。
【0129】
なお、ノズル数が180個であって、720dpiの解像度でドットを形成する場合、k=4になるので、インターレース印刷を行うならば、179個のノズルを使用してドット形成処理が行われ、179・D(=179/720インチ)の搬送量の搬送処理が行われる。このため、このノズル数及び解像度で部分オーバーラップ印刷を行う場合、180個のノズルを使用してドット形成処理が行われ、ノズル♯1及びノズル♯180をPOLノズルとして延べノズル数N’を179にし、179・Dの搬送量の搬送処理が行われる。
【0130】
また、ノズル数が180個であって、720dpiの解像度でドットを形成する場合、k=4になるので、M=2のフルオーバーラップ印刷を行うならば、178個のノズルを使用してドット形成処理が行われ、89・D(=(178/2)/720インチ)の搬送量の搬送処理が行われる。このため、このノズル数及び解像度で非一様なオーバーラップ印刷を行う場合、180個のノズルを使用してドット形成処理が行われ、ノズル♯1、ノズル♯2、ノズル♯179及びノズル♯180をPOLノズルとして延べノズル数N’を178にし、89・Dの搬送量の搬送処理が行われる。
【0131】
(7−5)前述の実施形態では、プリンタドライバが、POLノズルに対応するラスタデータに対して、画素データの対応する画素の位置をシフトするシフト処理を行っている。そして、これにより、シフトした画素分だけ、POLノズルがインク滴を吐出するタイミングを変えていた。しかし、インク滴を吐出するタイミングを変える方法は、これに限られるものではない。例えば、以下に説明するように、駆動信号を変えることによっても、インク滴を吐出するタイミングを変えることができる。
【0132】
図30は、2種類の駆動信号の説明図である。第1駆動信号COM_1及び第2駆動信号COM_2は、それぞれプリンタ側コントローラにおいて生成される。各駆動信号には、パルス信号(第1パルス信号PS1及び第2パルス信号PS2)がそれぞれ含まれている。これらの駆動信号は、プリンタ側コントローラからヘッド41へ送信される。ヘッド41には、各ノズル毎にピエゾ素子とインクチャンバーが設けられており、駆動信号に含まれる駆動パルスがピエゾ素子に印加されると、ピエゾ素子が伸縮して、インクチャンバーが膨張・収縮されて、ノズルからインク滴が吐出される。各駆動信号は、キャリッジ31が1画素分の距離を移動する毎に、繰り返しピエゾ素子に印加される。これにより、キャリッジ31が1画素分の距離を移動する毎に、ノズルからインク滴を吐出することが可能になる。
【0133】
第1駆動信号COM_1の第1パルス信号PS1は、第2駆動信号COM_2の第2パルス信号PS2と同じ波形をしている。但し、第1駆動信号COM_1における第1パルス信号PS1の開始タイミングは、第2駆動信号COM_2における第2パルスPS2の開始タイミングよりも、Δtだけ早いタイミングである。
【0134】
そして、プリンタ側コントローラは、POLノズルに対応するピエゾ素子に対して、第1駆動信号COM_1を印加し、通常のノズルに対応するピエゾ素子に対して、第2駆動信号COM_2を印加するようにする。これにより、第1駆動信号が印加されてからPOLノズルがインク滴を吐出するまでの時間が、第2駆動信号が印加されてから通常のノズルがインク滴を吐出するまでの時間よりも、Δtだけ早くなる。これにより、POLノズルから吐出されたインク滴の着弾位置を、Vcr×Δtだけ移動方向上流側に調整することができる。
【0135】
前述の実施形態のシフト処理によるドットの位置の調整では、1画素単位でしかドットの位置を調整できないが、駆動信号を変えることによるドットの位置の調整では、より細かくドットの位置を調整できる。なお、例えば1.2画素分だけドットの位置を調整したい場合には、シフト処理による1画素分のドットの位置の調整と、駆動信号を変えることによる0.2画素分のドットの位置の調整とを併用しても良い。
【0136】
(8)まとめ
(8−1)前述の実施形態では、印刷システムは、プリンタ1と、プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110とを備えている。この印刷システムは、複数のノズルを移動方向に移動させるキャリッジ(移動体の一例)と、移動方向に移動する複数のノズルからインク滴を吐出させて紙(媒体の一例)にドットを形成させる制御部とを備えている。ここで、制御部は、プリンタ1のプリンタ側コントローラと、コンピュータ110のCPUから構成されるものであり、印刷システム全体を制御するものである。
【0137】
ところで、前述の部分オーバーラップ印刷や非一様なオーバーラップ印刷において、POLノズルと通常のノズルとでは、インク滴を吐出する周期が異なっている(図17A及び図17B参照)。但し、インク滴の吐出周期が異なると、インク滴の吐出速度が異なることがある(図18参照)。そして、インク滴の吐出速度が異なると、インク滴の着弾位置がずれてしまい、ドットがずれてしまう(図19参照)。
【0138】
そこで、前述の実施形態では、制御部は、POLノズル(第1ノズルの一例)がインク滴を吐出するタイミングと、通常のノズル(第2ノズルの一例)がインク滴を吐出するタイミングとを異ならせている(例えば図26A及び図26B参照)。これにより、制御部は、移動方向の位置が共通の媒体上の画素(例えば、媒体上の5番目の画素)に向けて、POLノズル及び通常のノズルからインク滴を吐出することができ、ドットのずれを調整することができる。
【0139】
(8−2)前述の実施形態では、プリンタドライバが画像データに対してシフト処理を行っている(図20のS105、図23及び図24参照)。このシフト処理によって、POLノズルに対応付けられている画素データの対応する画素の位置が、例えば左方向に1画素分シフトされる。そして、このようにシフト処理された画像データに基づいてプリンタドライバが印刷データを生成し、この印刷データに基づいてプリンタ側コントローラが各ノズルからインク滴を吐出すれば、POLノズルがインク滴を吐出するタイミングが、通常のノズルがインク滴を吐出するタイミングよりも、1画素分早いタイミングになる。これにより、画素単位でドットのずれを調整することができる。
【0140】
(8−3)前述の実施形態では、プリンタ側コントローラが、第1駆動信号COM_1と、第2駆動信号COM_2とを生成している(図30参照)。第1駆動信号COM_1及び第2駆動信号COM_2には、それぞれ駆動パルスが含まれており、この駆動パルスがピエゾ素子へ印加されると、ピエゾ素子が伸縮して、インクチャンバーが膨張・収縮されて、ノズルからインク滴が吐出される。
【0141】
そして、前述の実施形態では、第1駆動信号COM_1における第1駆動パルスPS1の開始タイミングと、第2駆動信号COM_2における第2駆動パルスPS2の開始タイミングとが異なっている。このため、POLノズルに対応するピエゾ素子(第1駆動素子の一例)に第1駆動信号COM_1が印加されてからPOLノズルがインク滴を吐出するまでの時間と、通常のノズルに対応するピエゾ素子(第2駆動素子の一例)に第2駆動信号COM_2が印加されてから通常のノズルがインク滴を吐出するまでの時間とが、異なることになる。これにより、画素の幅よりも小さい幅で、ドットのずれを調整することができる。
【0142】
(8−4)前述の部分オーバーラップ印刷では、通常のノズルが1/360インチ間隔でドットを形成するのに対し、POLノズルは1/180インチ間隔でドットを形成している。一方、通常のノズルもPOLノズルも一緒に移動方向に移動するため、移動速度が同じになる。この結果、POLノズルがインク滴を吐出する周期は、通常のノズルがインク滴を吐出する周期の倍になる。
なお、前述の非一様なオーバーラップ印刷では、通常のノズルが2/360インチ間隔でドットを形成するのに対し、POLノズルは4/360インチ間隔でドットを形成しているので、この場合も、POLノズルがインク滴を吐出する周期は、通常のノズルがインク滴を吐出する周期の倍になる。
このような場合にインク滴の吐出速度が異なることになるが、前述の実施形態によれば、POLノズルがインク滴を吐出するタイミングと、通常のノズルがインク滴を吐出するタイミングとを異ならせているので、ドットのずれを調整することができる。
【0143】
(8−5)ノズル列の端部のノズルは、製造誤差のためインク滴の飛翔方向が乱れることがある。これに対し、前述の部分オーバーラップ印刷や非一様なオーバーラップ印刷によれば、ノズル列の端部のノズルをPOLノズルとし、このノズルにより形成されるドットの数を、通常のノズルにより形成されるドットの数の半分にしている。これにより、POLノズルの影響を低減させて、製造誤差による画質の劣化を抑制している。
但し、このような印刷方式を採用すると、POLノズルがインク滴を吐出する周期が、通常のノズルがインク滴を吐出する周期の倍になり、このままではインク滴の吐出速度が異なることになる。これに対し、前述の実施形態によれば、POLノズルがインク滴を吐出するタイミングと、通常のノズルがインク滴を吐出するタイミングとを異ならせているので、ドットのずれを調整することができる。
【0144】
(8−6)前述のプリンタ側コントローラ(制御部の一部)は、ドットを形成するドット形成処理と、紙を搬送する搬送処理とを交互に繰り返している。そして、前述の部分オーバーラップ印刷では、通常のノズルは1回のドット形成処理によってラスタラインを形成し、POLノズルは2回のドット形成処理によってラスタラインを形成する。例えば、あるドット形成処理においてPOLノズルであるノズル♯20が1ドットおきにドットを形成した後、別のドット形成処理においてPOLノズルであるノズル♯1が間を埋めるようにしてドットを形成し、ラスタラインが完成する。このような印刷方式では、POLノズルがインク滴を吐出する周期が、通常のノズルがインク滴を吐出する周期の倍になり、このままではインク滴の吐出速度が異なることになる。これに対し、前述の実施形態によれば、POLノズルがインク滴を吐出するタイミングと、通常のノズルがインク滴を吐出するタイミングとを異ならせているので、ドットのずれを調整することができる。
【0145】
(8−7)また、前述の非一様なオーバーラップ印刷では、3個のノズルにより形成されるラスタラインは、POLノズルによる2回のドット形成処理と、通常のノズルによる1回のドット形成処理とによって、完成している。このような印刷方式では、POLノズルがインク滴を吐出する周期が、通常のノズルがインク滴を吐出する周期の倍になり、このままではインク滴の吐出速度が異なることになる。これに対し、前述の実施形態によれば、POLノズルがインク滴を吐出するタイミングと、通常のノズルがインク滴を吐出するタイミングとを異ならせているので、ドットのずれを調整することができる。
【0146】
(8−8)なお、前述の実施形態の全ての構成要素を含む印刷システムによれば、全ての効果を奏することができるので、望ましい。但し、インク滴の着弾位置のずれを調整するという目的を達成するためには、必ずしも全ての構成要素を必要とするわけではない。
【0147】
(8−9)前述の実施形態では、POLノズル(第1ノズルの一例)がインク滴を吐出するタイミングと、通常のノズル(第2ノズルの一例)がインク滴を吐出するタイミングとを異ならせる印刷方法が開示されている。そして、この印刷方法によれば、移動方向の位置が共通の媒体上の画素(例えば、媒体上の5番目の画素)に向けて、POLノズル及び通常のノズルからインク滴を吐出することができ、ドットのずれを調整することができる。
【0148】
(8−10)前述のプリンタドライバ(プログラムの一例)は、印刷データを生成し、この印刷データをプリンタ(印刷装置の一例)に送信することによって、印刷データを介してプリンタを制御している。
そして、前述のプリンタドライバによれば、POLノズル(第1ノズルの一例)がインク滴を吐出するタイミングと、通常のノズル(第2ノズルの一例)がインク滴を吐出するタイミングとを異ならせるように、プリンタ1を制御することができる。これにより、移動方向の位置が共通の媒体上の画素(例えば、媒体上の5番目の画素)に向けて、POLノズル及び通常のノズルからインク滴を吐出することができ、ドットのずれを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】印刷システムの構成を説明する図である。
【図2】プリンタドライバが行う基本的な処理の概略的な説明図である。
【図3】プリンタ1の全体構成のブロック図である。
【図4】プリンタ1の全体構成の概略図である。
【図5】プリンタ1の全体構成の横断面図である。
【図6】ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。
【図7】ヘッドの制御の説明図である。
【図8】図8A及び図8Bは、インターレース印刷の説明図である。
【図9】図9Aは、ラスタライズ処理前(ハーフトーン処理後)の画像データの説明図である。図9Bは、ラスタライズ処理前の画素データの並び順の説明図である。
【図10】図10Aは、インターレース印刷の場合のラスタライズ処理の説明図である。図10Bは、ラスタライズ処理により並び替えられた画素データの説明図である。
【図11】並び替えられた画素データに基づくドット形成の様子の説明図である。
【図12】図12A及び図12Bは、フルオーバーラップ印刷の説明図である。
【図13】図13Aは、フルオーバーラップ印刷の場合のラスタライズ処理の説明図である。図13Bは、ラスタライズ処理により並び替えられた画素データの説明図である。
【図14】フルオーバーラップ印刷のために並び替えられた画素データに基づくドット形成の様子の説明図である。
【図15】図15A及び図15Bは、部分オーバーラップ印刷の説明図である。
【図16】図16A及び図16Bは、非一様なオーバーラップ印刷の説明図である。
【図17】図17Aは、部分オーバーラップ印刷の各ノズルの吐出周期Tの説明図である。図17Bは、非一様なオーバーラップ印刷の各ノズルの吐出周期Tの説明図である。
【図18】インクの吐出周波数f(吐出周期T)とインク滴の吐出速度Vmとの関係のグラフである。
【図19】インク滴の着弾位置の説明図である。
【図20】本実施形態のラスタライズ処理のフロー図である。
【図21】ダミーデータの付加の説明図である。
【図22】ラスタデータと、あるパスにおけるノズルとの関係の説明図である。
【図23】マスク処理された画像データの説明図である。
【図24】シフト処理後の画像データの説明図である。
【図25】並び替えられた画素データの説明図である。
【図26】図26A及び図26Bは、並び替えられた画素データに基づくドット形成の様子の説明図である(部分オーバーラップ印刷)。
【図27】図27A及び図27Bは、並び替えられた画素データに基づくドット形成の様子の説明図である(非一様なオーバーラップ印刷)。
【図28】マスク処理の説明図である。
【図29】画素データの並び替えの説明図である(非一様なオーバーラップ印刷)。
【図30】2種類の駆動信号の説明図である。
【符号の説明】
【0150】
1 プリンタ、S 紙、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 プリンタ側コントローラ、61 インターフェース部、
62 CPU、63 メモリ、
64 ユニット制御回路、642 タイミング生成部、644 ダブルバッファ、
110 コンピュータ、112 ビデオドライバ、
114 アプリケーションプログラム、116 プリンタドライバ、
120 表示装置、130 入力装置、140 記録再生装置




 

 


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