米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 繊維;紙;印刷 -> セイコーエプソン株式会社

発明の名称 印刷装置、画像処理装置、印刷方法、および画像処理方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15236(P2007−15236A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199717(P2005−199717)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 福田 将巳
要約 課題
大きさの異なるドットを用いて画像を印刷する際に、疑似輪郭が発生することを回避する。

解決手段
画像データの階調値とドットの形成密度とが対応付けられた変換テーブルを参照して、画像データを各種ドットの形成密度に変換する。次いで、形成密度に対してハーフトーン処理を行って画像を印刷する。また、変換テーブルは、最小のドット以外のドットから選択された少なくとも1のドットについては、ドットが発生した後、形成密度の傾きが複数段階で増加するように設定されている。こうすれば、そのドットについては、画像中で新たにドットが発生する部分でドットが突然発生した印象が緩和され、また、より小さなドットの形成密度が大きく変化することも回避することができる。このため疑似輪郭などの画質上の問題を発生させることなく、画像を印刷することが可能となる。
特許請求の範囲
【請求項1】
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷装置であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る画像データ受取手段と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する画像データ変換手段と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断するドット形成有無判断手段と、
前記判断の結果に基づいて前記各種ドットを形成するドット形成手段と
を備え、
前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルである印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中の少なくとも二番目に小さなドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルである印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中で最小のドットを除く各種ドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、該各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルである印刷装置。
【請求項4】
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷装置が該ドットの形成を制御するために用いる制御データを、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する画像処理装置であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る画像データ受取手段と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する画像データ変換手段と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断するドット形成有無判断手段と、
前記判断の結果を前記制御データとして前記印刷装置に出力する制御データ出力手段と
を備え、
前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルである画像処理装置。
【請求項5】
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷方法であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る第1の工程と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する第2の工程と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断する第3の工程と、
前記判断の結果に基づいて前記各種ドットを形成する第4の工程と
を備え、
前記第2の工程で参照される前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルである印刷方法。
【請求項6】
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷装置が該ドットの形成を制御するために用いる制御データを、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する画像処理方法であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る工程(A)と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する工程(B)と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断する工程(C)と、
前記判断の結果を前記制御データとして前記印刷装置に出力する工程(D)と
を備え、
前記工程(B)で参照される前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルである画像処理方法。
【請求項7】
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る第1の機能と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する第2の機能と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断する第3の機能と、
前記判断の結果に基づいて前記各種ドットを形成する第4の機能と
をコンピュータを用いて実現させるとともに、
前記第2の機能によって参照する前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルであるプログラム。
【請求項8】
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷装置が該ドットの形成を制御するために用いる制御データを、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る機能(A)と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する機能(B)と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断する機能(C)と、
前記判断の結果を前記制御データとして前記印刷装置に出力する機能(D)と
をコンピュータを用いて実現させるとともに、
前記機能(B)で参照される前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルであるプログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体上にドットを形成して画像を印刷する技術に関し、詳しくは、大きさの異なる複数種類のドットを形成することで、高画質な画像を印刷する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体上にドットを形成して画像を印刷するいわゆるドットプリンタは、コンピュータで作成した画像や、デジタルカメラで撮影した画像の出力装置として広く使用されている。これらドットプリンタは、個々の画素について見れば単にドットを形成するかしないかの何れかの状態しか表現し得ないが、ある程度の面積を持った領域で見れば、ドットの形成密度を制御することで、より多階調の画像を表現することが可能となっている。
【0003】
また、互いに大きさの異なる複数種類のドットを形成可能とし、印刷しようとする画像データの階調値に応じて、印刷媒体上に形成するドットの大きさを切り換えながら、各種のドットを適切な密度で形成することにより、印刷画質の向上を図ったドットプリンタも開発されて、広く使用されるようになっている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−208029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、大きさの異なるドットを形成可能な印刷装置では、ドットの大きさを切り換える階調値付近でドットを切り換えていることが分かってしまい、これが疑似輪郭として認識されて、画質を悪化させることがあるという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、画像データの階調値に応じて大きさの異なるドットを切り換えながら画像を印刷する場合でも、疑似輪郭などの発生による画質の悪化を回避可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の印刷装置は次の構成を採用した。すなわち、
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷装置であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る画像データ受取手段と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する画像データ変換手段と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断するドット形成有無判断手段と、
前記判断の結果に基づいて前記各種ドットを形成するドット形成手段と
を備え、
前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルであることを要旨とする。
【0008】
また、上記の印刷装置に対応する本発明の印刷方法は、
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷方法であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る第1の工程と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する第2の工程と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断する第3の工程と、
前記判断の結果に基づいて前記各種ドットを形成する第4の工程と
を備え、
前記第2の工程で参照される前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルであることを要旨とする。
【0009】
かかる本発明の印刷装置および印刷方法においては、印刷しようとする画像の画像データを受け取ると、大きさの異なる複数種類のドットについての形成密度に変換する。かかる変換は、画像データの階調値と各種ドットの形成密度とを対応付けた変換テーブルを参照することによって行うことができる。次いで、得られた形成密度に基づいて、画素にドットを形成するか否かをドットの種類毎に判断し、判断結果に基づいて各種のドットを形成することによって画像を印刷する。ここで、変換テーブルに設定されている各種ドットの形成密度は、次のような形成密度に設定されている。すなわち、複数種類のドットの中の最小のドット以外のドットから選択された少なくとも1のドットについては、そのドットが初めて形成される画像データの階調値から、該階調値が増加するに従って、画像データに対する形成密度の傾きが複数段階で増加するように設定されている。
【0010】
このようにドットの形成密度の傾きを複数段階で増加させることとすれば、そのドットの発生直後は徐々にしか形成密度が増加しないので、ドットが突然発生した印象を大きく緩和することができる。加えて、新たなドットを発生させると、そのことは、より小さなドットの形成密度を減少させる方向に働くが、ドットの発生後、形成密度を徐々に増加させれば、そのことが、より小さなドットの形成密度に与える影響も僅かとすることができる。例えば、仮に大小の2種類のドットを形成可能であるとして、大ドットの発生開始直後について考える。大ドットの発生直後は、緩やかな傾きで形成密度を増加させ、その後、段階的に傾きを増加させることとしておけば、大ドットの発生直後に小ドットの形成密度が大きく(例えば、小ドットの形成密度が増加から減少に転ずるほどに)減少することを回避することができる。このように、ドットが突然発生した印象を大きく緩和するとともに、そのドットが発生したことで、より小さなドットの形成密度が大きく変化することも回避することができるので、新たなドットを発生させたことによって画像の印象(例えば、粒状感など)が変化することがなく、疑似輪郭などの画質上の問題が発生することを回避することが可能となる。
【0011】
また、かかる印刷装置においては、複数種類のドットの中の少なくとも二番目に小さなドットについては、ドットが形成され始めてからの形成密度の傾きが複数段階で増加するようにしてもよい。
【0012】
二番目に小さなドットは比較的明るい(明度の高い)画像に多く形成されるドットであり、このような明るい画像ではドットが目立ち易いので、新たなドットを発生させたことによって画像の印象が変わり易く、延いては疑似輪郭などの問題が発生し易いと言うことができる。従って、複数種類のドットの中の少なくとも二番目に小さなドットについては、ドットが形成され始めてからの形成密度の傾きを複数段階で増加させることとしておけば、新たなドットを発生させることで疑似輪郭などの発生し易い明るい画像でも、画質上の問題を発生させることなく新たなドットを形成することが可能となる。
【0013】
もちろん、こうした印刷装置においては、複数種類のドットの中で最小のドットを除く各種ドットについて、ドットが形成され始めてからの形成密度の傾きが複数段階で増加するようにしてもよい。
【0014】
こうすれば、全ての階調範囲に亘って、疑似輪郭が発生するなど、画質上の問題を発生させることなく、新たなドットを発生させることが可能となるので好ましい。
【0015】
また、上述した本発明の印刷装置および印刷方法が、画像を印刷するに先立って、印刷しようとする画像の画像データに所定の画像処理を施すことにより、大きさの異なる複数種類のドットについて、画素毎にドット形成の有無を判断している点に着目すれば、本願発明は、次のように画像処理装置および画像処理方法として把握することも可能である。すなわち、本発明の画像処理装置は、
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷装置が該ドットの形成を制御するために用いる制御データを、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する画像処理装置であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る画像データ受取手段と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する画像データ変換手段と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断するドット形成有無判断手段と、
前記判断の結果を前記制御データとして前記印刷装置に出力する制御データ出力手段と
を備え、
前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルであることを要旨とする。
【0016】
また、上記の画像処理装置に対応する本発明の画像処理方法は、
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷装置が該ドットの形成を制御するために用いる制御データを、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する画像処理方法であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る工程(A)と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する工程(B)と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断する工程(C)と、
前記判断の結果を前記制御データとして前記印刷装置に出力する工程(D)と
を備え、
前記工程(B)で参照される前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルであることを要旨とする。
【0017】
かかる本発明の画像処理装置および画像処理方法においても、画像データを受け取ると、変換テーブルを参照して各種ドットについての形成密度に変換する。次いで、得られた形成密度に基づいて、画素にドットを形成するか否かをドットの種類毎に判断し、得られた判断結果を制御データとして印刷装置に出力する。このときに参照する変換テーブルは、各種ドットの中の最小のドット以外のドットから選択された少なくとも1のドットについては、そのドットが初めて形成される画像データの階調値から、該階調値が増加するに従って、画像データに対する形成密度の傾きが複数段階で増加するように設定されている。このようにして得られた制御データに基づいて各種ドットを形成して画像を印刷すれば、少なくともそのドットについては、画像中で新たにドットが発生する部分でも、ドットが突然発生した印象を大きく緩和することができる。加えて、新たなドットが発生したことで、より小さなドットの形成密度が大きく変化することも回避することができる。このため、疑似輪郭などの画質上の問題を発生させることなく、画像を印刷することが可能となる。
【0018】
更に本発明は、上述した印刷方法あるいは画像処理方法を実現するためのプログラムをコンピュータに読み込ませ、所定の機能を実行させることにより、コンピュータを用いて実現することも可能である。従って、本発明は次のようなプログラム、あるいは該プログラムを記録した記録媒体としての態様も含んでいる。すなわち、上述した印刷方法に対応する本発明のプログラムは、
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る第1の機能と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する第2の機能と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断する第3の機能と、
前記判断の結果に基づいて前記各種ドットを形成する第4の機能と
をコンピュータを用いて実現させるとともに、
前記第2の機能によって参照する前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルであることを要旨とする。
【0019】
また、上記のプログラムに対応する本発明の記録媒体は、
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷するプログラムを、コンピュータで読取可能に記録した記録媒体であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る第1の機能と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する第2の機能と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断する第3の機能と、
前記判断の結果に基づいて前記各種ドットを形成する第4の機能と
をコンピュータを用いて実現するプログラムを記憶しているとともに、
前記第2の機能によって参照する前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルであることを要旨とする。
【0020】
更に、上述した画像処理方法に対応する本発明のプログラムは、
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷装置が該ドットの形成を制御するために用いる制御データを、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る機能(A)と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する機能(B)と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断する機能(C)と、
前記判断の結果を前記制御データとして前記印刷装置に出力する機能(D)と
をコンピュータを用いて実現させるとともに、
前記機能(B)で参照される前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルであることを要旨とする。
【0021】
また、上記のプログラムに対応する本発明の記録媒体は、
大きさの異なる複数種類のドットを形成して画像を印刷する印刷装置が該ドットの形成を制御するために用いる制御データを、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成するプログラムを、コンピュータで読取可能に記録した記録媒体であって、
印刷しようとする画像の画像データを受け取る機能(A)と、
前記画像データの階調値とドットの形成密度とを前記ドットの種類毎に対応付けた変換テーブルを参照することにより、前記画像データを各種ドットの形成密度に変換する機能(B)と、
画素にドットを形成するか否かを、前記ドットの形成密度に基づいて前記ドットの種類毎に判断する機能(C)と、
前記判断の結果を前記制御データとして前記印刷装置に出力する機能(D)と
をコンピュータを用いて実現するプログラムを記憶しているとともに、
前記機能(B)で参照される前記変換テーブルは、前記複数種類のドットの中から最小のドットを除いて選択された少なくとも1のドットについては、前記画像データの階調値が増加して該ドットが初めて形成された後、該画像データの階調値に対する前記形成密度の傾きが複数段階で増加するように、前記各種ドットについての形成密度が設定されたテーブルであることを要旨とする。
【0022】
これらのプログラムをコンピュータに読み込んで、上記の各種機能を実現させれば、大きさの異なる各種ドットを用いながら、疑似輪郭が発生するなど画質上の問題が生じることのない良好な画質で画像を印刷することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.実施例の概要 :
B.装置構成 :
B−1.全体構成 :
B−2.内部構成 :
B−2−1.スキャナ部の内部構成 :
B−2−2.プリンタ部の内部構成 :
C.画像印刷処理の概要 :
D.本実施例の変換テーブル :
【0024】
A.実施例の概要 :
実施例の詳細な説明に入る前に、図1を参照しながら、実施例の概要について説明しておく。図1は、本実施例の印刷装置10の概要を示した説明図である。図示した印刷装置10は、印刷媒体P上にインク滴を吐出してインクドットを形成することにより画像を印刷するいわゆるインクジェットプリンタである。
【0025】
図示した印刷装置10には、「画像データ受け取りモジュール」や、「画像データ変換モジュール」、「ドット形成有無判断モジュール」、「ドット形成モジュール」などが搭載されており、画像を印刷しようとする画像データに次のような処理を行うことによって画像を印刷している。先ず「画像データ受取モジュール」は、デジタルカメラやコンピュータから、印刷しようとする画像の画像データを受け取って、「画像データ変換モジュール」に供給する。「画像データ変換モジュール」は、後述する変換テーブルを参照することにより、画像データをドットの形成密度に変換する。尚、本実施例の印刷装置10では、大ドット、中ドット、小ドットの3種類のドットを形成可能となっており、「画像データ変換モジュール」では、画像データを、これら各種ドットについての形成密度に変換する。「ドット形成有無判断モジュール」は、画素毎にドットを形成するか否かを、そのドットについて得られた形成密度に基づいて判断し、判断結果を「ドット形成モジュール」に供給する。「ドット形成モジュール」は、「ドット形成有無判断モジュール」から供給されたドット形成有無の判断結果に従って、インク吐出ヘッド12を駆動してインク滴を吐出することにより、印刷媒体P上に大ドット、中ドット、小ドットを形成する。その結果、印刷媒体P上には、印刷しようとする画像データの階調値に応じて適切な密度で、大中小の各ドットが形成されて、画像が印刷される。
【0026】
ここで、「画像データ変換モジュール」が画像データを変換する際に参照する変換テーブルには、画像データの階調値と、大中小各ドットについての形成密度とが対応付けて記憶されている。また、大きさの異なるドットを形成可能な場合、ドットの大きさが大きくなるほど、単一のドットで表現可能な階調値は大きくなり、逆に、ドットが小さくなるほど単一のドットで表現可能な階調値は小さくなる。このため、一般的な変換テーブルでは、大中小の各ドットの形成密度は次のような分布に設定されている。
【0027】
先ず、画像データの階調値が小さい領域では専ら小ドットを形成することとして、画像データの階調値が増加するに従って小ドットの形成密度が増加するように設定されている。そして、小ドットの形成密度が上限値に達したら、小ドットを少しずつ中ドットに置き換えていく。すなわち、画像データの階調値が増加するに従って中ドットを発生させ、中ドットの形成密度が増加した分だけ小ドットの形成密度を減少させる。こうして中ドットを増加させ、形成密度が上限値に達したら、今度は、中ドットを少しずつ大ドットに置き換えていく。このようにして設定された変換テーブルを参照しながら、画像データをドットの形成密度に変換すれば、画像データの階調値が増加するに従って、小ドット、中ドット、大ドットの形成密度を連続的に変化させて画像を印刷することが可能である。
【0028】
もっとも、このような分布では、各ドットの形成密度を連続的に変化させているにも拘わらず、小ドットから中ドットへの切り換わり、あるいは中ドットから大ドットへの切り替わりの部分が目立っていわゆる疑似輪郭を発生させ、画質を悪化させてしまうことがある。これは、小ドットの形成密度が増加から減少に転ずる階調値と、中ドットが形成され始める階調値とが一致しているため、この階調値の前後で粒状感の違いが大きく現れているためである。同様に、中ドットの形成密度が増加から減少に転ずる階調値と、大ドットが形成され始める階調値とが一致しているため、この階調値の前後で粒状感の違いが大きくなり、これがいわゆる疑似輪郭として認識されてしまうことがあるためである。
【0029】
このような点に鑑みて、本実施例の画像データ変換モジュールは、次のような変換テーブルを参照しながら、画像データを各種ドットについての形成密度に変換する。すなわち、最も小さなドットである小ドットは除いて、少なくとも中ドットあるいは大ドットの何れか一方のドットについては、ドットが形成され始めてから、初めは比較的緩い角度で増加し、次いで、より急な角度で増加すると言ったように、複数段階の傾きで形成密度が増加するように設定されている。図1中には、このような変換テーブルが例示されている。図中に太い破線で示した中ドットの形成密度は、画像データの階調値が増加するに従って、初めは緩い傾きで増加し、次いでより急な傾きで増加すると言うように、傾きが二段階で増加するように設定されている。これに伴って、小ドットの形成密度も、一本調子で増加して行って突然減少に転ずるのではなく、少し傾きが緩くなった後に減少に転ずるように修正されている。中ドットの形成密度をこのように設定し、これに伴って小ドットの形成密度をこのように修正しておけば、小ドットの形成密度が増加から減少に転じる階調値と、中ドットが形成され始める階調値とが一致することを回避することができる。また、小ドットの形成密度も増加から減少に急激に切り換わるのではなく、より緩やかに切り換わることとなり、加えて、中ドットの発生も、初めは緩やかに発生することとなる。このため、ある階調値を境として粒状感に差が生じ、疑似輪郭が発生してしまうことを回避することができる。
【0030】
図1中に例示した変換テーブルでは、大ドットの形成密度についても同様にして、形成密度の傾きが二段階で増加するように設定されている。これに伴って、中ドットの形成密度も突然減少に転ずるのではなく、少し傾きが緩くなった後に減少に転ずるように修正されている。このため、中ドットから大ドットに切り換わる階調領域でも、粒状感に差が生じて疑似輪郭が発生することを回避することが可能である。以下では、このような印刷装置10について、実施例に基づいて詳しく説明する。
【0031】
B.装置構成 :
B−1.全体構成 :
図2は、本実施例の印刷装置10の外観形状を示す斜視図である。図示されるように、本実施例の印刷装置10は、スキャナ部100と、プリンタ部200と、スキャナ部100およびプリンタ部200の動作を設定するための操作パネル300などから構成されている。スキャナ部100は、印刷画像を読み込んで画像データを生成するスキャナ機能を有しており、プリンタ部200は、画像データを受け取って印刷媒体上に画像を印刷するプリンタ機能を有している。また、スキャナ部100で読み取った画像をプリンタ部200から出力すれば、コピー機能を実現することも可能である。すなわち、本実施例の印刷装置10は、単独でスキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能を実現可能な、いわゆるスキャナ・プリンタ・コピー複合装置(以下、SPC複合装置という)となっている。
【0032】
図3は、印刷画像を読み込むために、印刷装置10の上部に設けられた原稿台カバー102を開いた様子を示す説明図である。図示されているように、原稿台カバー102を上に開くと、透明な原稿台ガラス104が設けられており、その内部には、スキャナ機能を実現するための後述する各種機構が搭載されている。印刷画像を読み込む際には、図示されているように原稿台カバー102を開いて原稿台ガラス104の上に印刷画像を置き、原稿台カバー102を閉じてから操作パネル300上のボタンを操作する。こうすれば、印刷画像を直ちに画像データに変換することが可能となっている。
【0033】
また、スキャナ部100は全体が一体のケース内に収納された構成となっており、スキャナ部100とプリンタ部200とは、印刷装置10の背面側でヒンジ機構204(図4参照)によって結合されている。このため、スキャナ部100の手前側を持ち上げることにより、ヒンジの部分でスキャナ部100のみを回転させることが可能となっている。
【0034】
図4は、スキャナ部100の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。図示するように、本実施例の印刷装置10では、スキャナ部100の手前側を持ち上げることで、プリンタ部200の上面を露出させることが可能である。プリンタ部200の内部には、プリンタ機能を実現するための後述する各種機構や、スキャナ部100を含めて印刷装置10全体の動作を制御するための後述する制御回路260、更には、スキャナ部100やプリンタ部200などに電力を供給するための電源回路(図示は省略)なども設けられている。また、図4に示されているように、プリンタ部200の上面には、開口部202が設けられており、インクカートリッジなどの消耗品の交換や、紙詰まりの処理、軽微な修理などを簡便に行うことが可能となっている。
【0035】
B−2.内部構成 :
図5は、本実施例の印刷装置10の内部構成を概念的に示した説明図である。前述したように、印刷装置10にはスキャナ部100とプリンタ部200とが設けられており、スキャナ部100の内部にはスキャナ機能を実現するための各種構成が搭載され、プリンタ部200の内部にはプリンタ機能を実現するための各種構成が搭載されている。以下では、初めにスキャナ部100の内部構成について説明し、次いでプリンタ部200の内部構成について説明する。
【0036】
B−2−1.スキャナ部の内部構成 :
スキャナ部100は、印刷画像をセットする透明な原稿台ガラス104と、セットされた印刷画像を押さえておくための原稿台カバー102と、セットされた印刷画像を読み込む読取キャリッジ110と、読取キャリッジ110を読取方向(主走査方向)に移動させる駆動ベルト120と、駆動ベルト120に動力を供給する駆動モータ122と、読取キャリッジ110の動きをガイドするガイド軸106などから構成されている。また、駆動モータ122や読取キャリッジ110の動作は、後述する制御回路260によって制御されている。
【0037】
制御回路260の制御の元で駆動モータ122を回転させると、駆動ベルト120を介してその動きが読取キャリッジ110に伝達され、その結果、読取キャリッジ110は、ガイド軸106に導かれながら駆動モータ122の回転角度に応じて読取方向(主走査方向)に移動するようになっている。また、駆動ベルト120は、アイドラプーリ124によって絶えず適度に張った状態に調整されており、このため、駆動モータ122を逆回転させれば回転角度に応じた距離だけ読取キャリッジ110を逆方向に移動させることも可能となっている。
【0038】
読取キャリッジ110の内部には、光源112や、レンズ114、ミラー116、CCDセンサ118などが搭載されている。光源112からの光は原稿台ガラス104に照射され、原稿台ガラス104の上にセットされた印刷画像で反射する。この反射光は、ミラー116によってレンズ114に導かれ、レンズ114によって集光されてCCDセンサ118で検出される。CCDセンサ118は、光の強度を電気信号に変換するフォトダイオードが、読取キャリッジ110の移動方向(主走査方向)と直交する方向に列状に配置されたリニアセンサによって構成されている。このため、読取キャリッジ110を主走査方向に移動させながら、光源112の光を印刷画像に照射し、CCD118によって反射光強度を検出すれば、印刷画像を電気信号に変換することができる。
【0039】
また、光源112は、RGBの3色の発光ダイオードによって構成されており、所定の周期でR色、G色、B色の光を順次、照射することが可能となっており、これに応じてCCD118では、R色、G色、B色の反射光が順次、検出されることになる。一般に、画像の赤色の部分はR色の光を反射するが、G色やB色の光はほとんど反射しないから、R色の反射光は画像のR成分を表したものとなっている。同様に、G色の反射光は画像のG成分を表しており、B色の反射光は画像のB成分を表している。従って、RGB3色の光を所定の周期で切り替えながら印刷画像に照射し、これに同期してCCD118で反射光強度を検出すれば、印刷画像のR成分、G成分、B成分を検出することができ、カラー画像を読み込むことが可能となっている。尚、光源112が照射する光の色を切り替えている間も読取キャリッジ110は移動しているから、RGBの各成分を検出する画像の位置は、厳密には、読取キャリッジ110の移動量に相当する分だけ異なっているが、このずれは、各成分を読み込んだ後に、画像処理によって補正することが可能である。
【0040】
B−2−2.プリンタ部の内部構成 :
次に、プリンタ部200の内部構成について説明する。プリンタ部200には、印刷装置10の全体の動作を制御する制御回路260と、印刷媒体上に画像を印刷するための印刷キャリッジ240と、印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構と、印刷媒体の紙送りを行うための機構などが搭載されている。
【0041】
印刷キャリッジ240は、Kインクを収納するインクカートリッジ242と、Cインク,Mインク,Yインクの各種インクを収納するインクカートリッジ243と、底面側に設けられた印字ヘッド241などから構成されており、印字ヘッド241には、インク滴を吐出するインク吐出ヘッドがインク毎に設けられている。印刷キャリッジ240にインクカートリッジ242,243を装着すると、カートリッジ内の各インクは図示しない導入管を通じて、各色毎のインク吐出ヘッド244ないし247に供給される。尚、図5に示したプリンタ部200では、Cインク,Mインク,Yインクについては一つのインクカートリッジ243に一体に収納されているものとして説明したが、これらインクをそれぞれ別体に形成された専用のインクカートリッジに収納することも可能である。また、これらインクに加えて、濃度の低いCインク(LCインク)や、濃度の低いMインク(LMインク)、更には濃度の低いKインク(LKインク)などを搭載することも可能である。
【0042】
印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構は、印刷キャリッジ240を駆動するためのキャリッジベルト231と、キャリッジベルト231に動力を供給するキャリッジモータ230と、キャリッジベルト231に絶えず適度な張力を付与しておくための張力プーリ232と、印刷キャリッジ240の動きをガイドするキャリッジガイド233と、印刷キャリッジ240の原点位置を検出する原点位置センサ234などから構成されている。後述する制御回路260の制御の元でキャリッジモータ230を回転させると、回転角度に応じた距離だけ印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させることが可能である。まが、キャリッジモータ230を逆回転させれば、印刷キャリッジ240を逆方向に移動させることも可能となっている。
【0043】
印刷媒体の紙送りを行うための機構は、印刷媒体を裏面側から支えるプラテン236と、プラテン236を回転させて紙送りを行う紙送りモータ235などから構成されている。後述する制御回路260の制御の元で紙送りモータ235を回転させれば、回転角度に応じた距離だけ印刷媒体を副走査方向に紙送りすることが可能となっている。
【0044】
制御回路260は、CPUを中心として、ROMや、RAM、デジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器、更には、周辺機器との間でデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェースPIFなどから構成されている。制御回路260は、印刷装置10全体の動作を制御しており、スキャナ部100に搭載された光源112や、駆動モータ122、CCD118とデータをやり取りしながら、これらの動作を制御している。
【0045】
また、キャリッジモータ230および紙送りモータ235を駆動して印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながら、各色のインク吐出ヘッド244ないし249に駆動信号を供給してインク滴を吐出させる制御も行っている。インク吐出ヘッド244ないし249に供給する駆動信号は、コンピュータ20やデジタルカメラ30などから画像データを読み込んで、後述する画像処理を行うことによって生成する。もちろん、スキャナ部100で読み込んだ画像データに画像処理を施すことにより、駆動信号を生成することも可能である。こうして制御回路260の制御の元で、印刷キャリッジ240を主走査および副走査させながら、インク吐出ヘッド244ないし247からインク滴を吐出して印刷媒体上に各色のインクドットを形成することによって、カラー画像を印刷することが可能となっている。もちろん、制御回路260内で画像処理を行うのではなく、画像処理が施されたデータをコンピュータ20から受け取って、このデータに従って印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながらインク吐出ヘッド244ないし247を駆動することも可能である。
【0046】
また、制御回路260は、操作パネル300ともデータをやり取り可能に接続されており、操作パネル300上に設けられた各種のボタンを操作することにより、スキャナ機能や、プリンタ機能の詳細な動作モードを設定することが可能となっている。更には、コンピュータ20から、周辺機器インターフェースPIFを介して詳細な動作モードを設定することも可能である。
【0047】
図6は、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に、インク滴を吐出する複数のノズルNzが形成されている様子を示した説明図である。図示するように、各色のインク吐出ヘッドの底面には、各色毎のインク滴を吐出する6組のノズル列が形成されており、1組のノズル列には、48個のノズルNzがノズルピッチpの間隔を空けて千鳥状に配列されている。制御回路260からは、これらノズルNzのそれぞれに駆動信号が供給され、各ノズルNzは駆動信号に従って、それぞれのインクによるインク滴を吐出する。また、本実施例の印刷装置10は、吐出するインク滴の大きさを制御することにより、印刷媒体上に大きさの異なるドットを形成することも可能となっている。以下、大きさの異なるドットを形成する原理について説明する。
【0048】
図7は、吐出するインク滴の大きさを制御することにより、インクドットの大きさを制御する原理を示す説明図である。また、図7(a)は、インク滴を吐出するノズルの内部構造およびインク滴を吐出する方法を示した説明図である。各色のインク吐出用ヘッド244ないし247には、このようなノズルが複数設けられている。図示するように、各ノズルにはインク通路255とインク室256とが設けられており、また、インク室の上面にはピエゾ素子PEが設けられている。キャリッジ240にインクカートリッジ242,243を装着すると、カートリッジ内のインクがインクギャラリ257を経由してインク室256に供給される。
【0049】
ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧を印加すると結晶構造が歪んで極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。本実施例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定波形の電圧を印加することで、インク室256の側壁を変形させる。その結果、インク室256の容積が減少し、容積の減少分に相当するインクがインク滴IpとなってノズルNzから吐出される。このインク滴Ipがプラテン236に装着された印刷用紙Pに染み込むことで、印刷用紙上にインクドットが形成される。
【0050】
図7(b)は、ピエゾ素子PEに印加する電圧波形を制御することで、吐出するインク滴の大きさを変更する原理を示した説明図である。ノズルからインク滴Ipを吐出するためには、ピエゾ素子PEに府の電圧を印加してインクギャラリ257からインク室256内に一旦インクを吸入し、その後、ピエゾ素子PEに正電圧を印加してインク室容積を減少させて、インク滴Ipを吐出させる。ここで、インクの吸引速度が適切であればインク室容積の変化量に相当するインクが吸入されるが、吸引速度が速すぎると、インクギャラリ257とインク室256との間には通路抵抗があるためにインクギャラリ257からのインクの流入が間に合わなくなる。その結果、インク通路255のインクがインク室内に逆流して、ノズル付近のインク界面が大きく後退した状態となる。図7(b)に実線で示した電圧波形aは、適正な速度でインクを吸引する波形を示し、破線で示した電圧波形bは適切速度より大きな速度で吸引する波形の一例を示している。
【0051】
十分なインクがインク室256内に供給された状態で、ピエゾ素子PEに正電圧を印加すると、インク室256の容積減少に相当する体積のインク滴IpがノズルNzから吐出される。これに対して、インクの供給量が不足してインク界面が大きく後退した状態で正電圧を印加すると、吐出されるインク滴は小さなインク滴となる。このように、本実施例の印刷装置10では、インク滴の吐出前に印加する負の電圧波形を制御してインクの吸引速度を変更することで、吐出するインク滴の大きさを制御する。これにより、大ドット、中ドット、小ドットの3種類のインクドットを形成することが可能となっている。
【0052】
もちろん、3種類に限らず、より多種類のドットを形成することも可能である。更には、微細なインク滴を一度に複数吐出して、吐出するインク滴の数を制御するといった方法を用いて、印刷用紙上に形成されるインクドットの大きさを制御してもよい。
【0053】
尚、インク吐出ヘッドからインク滴を吐出する方法には、種々の方法を適用することができる。すなわち、ピエゾ素子を用いてインクを吐出する方式や、インク通路に配置したヒータでインク通路内に泡(バブル)を発生させてインク滴を吐出する方法などを用いることができる。また、インクを吐出する代わりに、熱転写などの現象を利用して印刷用紙上にインクドットを形成する方式や、静電気を利用して各色のトナー粉を印刷媒体上に付着させる方式のプリンタを使用することも可能である。
【0054】
C.画像印刷処理の概要 :
上述したように、プリンタ部200で所望の画像を印刷するためには、画像データに適切な画像処理を施して各ノズルに対する駆動信号を生成し、駆動信号に基づいてドットを形成する必要がある。以下では、かかる処理(画像印刷処理)の概要について説明する。尚、本実施例の印刷装置10では、プリンタ部200に組み込まれた制御回路260内で画像処理を行うが、外部に設けられたコンピュータ20で画像処理を行い、処理済みのデータを周辺機器インターフェースPIFから読み込んで、ドットを形成することも可能である。
【0055】
図8は、画像データを読み込んで画像を印刷する画像印刷処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。画像印刷処理を開始すると、制御回路260は先ず初めに、印刷しようとする画像データの読み込みを行う(ステップS100)。ここでは、画像データはR,G,B各色の階調値によって表現されたRGB画像データであるものとする。
【0056】
次いで、読み込んだ画像データの解像度を、プリンタ部200が印刷するための解像度(印刷解像度)に変換する処理を行う(ステップS102)。読み込んだ画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、隣接する画素の間に補間演算を行って新たな画像データを設定することで、より高い解像度に変換する。逆に、読み込んだ画像データの解像度が印刷解像度よりも高い場合は、隣接する画素の間から一定の割合で画像データを間引くことによって、より低い解像度に変換する。解像度変換処理では、読み込んだ画像データに対して適切な割合で画像データを生成あるいは間引くことによって、読み込んだ解像度を印刷解像度に変換する処理を行う。
【0057】
こうして画像データの解像度を印刷解像度に変換したら、制御回路260は色変換処理を開始する(ステップS104)。色変換処理とは、R,G,Bの階調値の組合せによって表現されているRGBカラー画像データを、プリンタに搭載された各色インクの使用量に対応するデータに変換する処理である。前述したように、プリンタ部200では、C,M,Y,Kの4色のインクを用いて画像を印刷しているから、本実施例の色変換処理では、RGB画像データを、C,M,Y,Kの各色インクの使用量に対応する階調値のデータに変換する処理を行う。もちろん、C,M,Y,Kの4色に加えて、濃度の薄いCインク(LCインク)や、濃度の薄いMインク(LMインク)、あるいは濃度の薄いKインク(LKインク)などが搭載されている場合には、RGB画像データを、これら淡インクを加えた各色のインク使用量に対応する階調値のデータに変換することとしても良い。
【0058】
色変換処理は、色変換テーブル(LUT)と呼ばれる3次元の数表を参照することによって行われる。図9は、色変換処理のために参照される色変換テーブル(LUT)を概念的に示した説明図である。今、RGB各色の階調値が0〜255の値を取り得るものとして、図9に示すように直交する3軸にR,G,B各色の階調値を取った色空間を考える。すると、全てのRGB画像データは、原点を頂点として一辺の長さが255の立方体(色立体)の内部の点に対応付けることができる。このことから、見方を変えて、色立体をRGB各軸に直角に格子状に細分して色空間内に複数の格子点を生成すると、各格子点は、それぞれがRGB画像データに対応していると考えることができる。そこで、各格子点に、C,M,Y,Kなどの各色インクの使用量に対応する階調値の組合せを予め記憶しておく。こうすれば、格子点に記憶されている階調値を読み出すことによって、RGB画像データを、各色インクの使用量に対応するデータに迅速に変換することが可能となる。
【0059】
例えば、画像データのR成分がRA、G成分がGA、B成分がBAであったとすると、この画像データは、色空間内のA点に対応づけられる(図9参照)。そこで、色立体を細分する微細な立方体の中から、A点を内包する立方体dVを検出し、この立方体dVの各格子点に記憶されている各色インクの階調値を読み出してやる。そして、これら各格子点の階調値から補間演算すればA点での階調値を求めることができる。以上に説明したように、色変換テーブルLUTとは、RGB各色の階調値の組合せで示される各格子点に、C,M,Y,Kなどの各色インクの使用量に対応する階調値の組合せを記憶した3次元の数表と考えることができ、色変換テーブルを参照すれば、RGB画像データを各色インクの使用量に対応する階調データに、迅速に色変換することが可能となる。
【0060】
図8に示されているように画像印刷処理では、色変換処理に続いて、ハーフトーン処理を行う(ステップS106)。ハーフトーン処理とは、次のような処理である。色変換処理によって得られたCMYK各色のインク使用量に対応する階調データは、画素毎に、階調値0から階調値255までの値を取り得るデータである。これに対してプリンタ部200では、ドットを形成することによって画像を表示しているから、それぞれの画素についてはドットを形成するか否かの状態しか取り得ない。そこで、256階調を有するCMYK階調データを、画素毎にドット形成の有無を表したデータ(ドットデータ)に変換しておく必要がある。ハーフトーン処理とは、このようにCMYK階調データをドットデータに変換する処理である。
【0061】
ハーフトーン処理を行う手法としては、誤差拡散法やディザ法などの種々の手法を適用することができる。誤差拡散法は、ある画素についてドットの形成有無を判断したことでその画素に発生する階調表現の誤差を、周辺の画素に拡散するとともに、周囲から拡散されてきた誤差を解消するように、各画素についてのドット形成の有無を判断していく手法である。また、ディザ法は、ディザマトリックスにランダムに設定されている閾値とCMYK階調データとを画素毎に比較して、CMYK階調データの方が大きい画素にはドットを形成すると判断し、逆に閾値の方が大きい画素についてはドットを形成しないと判断することで、各画素についてのドットデータを得る手法である。
【0062】
図10は、ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。図示したマトリックスには、縦横それぞれ64画素、合計4096個の画素に、階調値0〜255の範囲から万遍なく選択された閾値がランダムに記憶されている。ここで、閾値の階調値が0〜255の範囲から選択されているのは、本実施例ではCMYK階調データが1バイトデータであり、階調値が0〜255の値を取り得ることに対応するものである。尚、ディザマトリックスの大きさは、図11に例示したように縦横64画素分に限られるものではなく、縦と横の画素数が異なるものも含めて、種々の大きさに設定することが可能である。
【0063】
図11は、ディザマトリックスを参照しながら、画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。尚、かかる判断は、CMYKの各色について行われるが、以下では説明が煩雑となることを避けるために、CMYK階調データの各色を区別することなく、単に階調データと称するものとする。
【0064】
ドット形成有無の判断に際しては、先ず、判断の対象として着目している画素(着目画素)についての階調データの階調値と、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値とを比較する。図中に示した細い破線の矢印は、着目画素の階調データを、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値と比較していることを模式的に表したものである。そして、ディザマトリックスの閾値よりも着目画素の階調データの方が大きい場合には、その画素にはドットを形成するものと判断する。逆に、ディザマトリックスの閾値の方が大きい場合には、その画素にはドットを形成しないものと判断する。図12に示した例では、画像の左上隅にある画素の階調データは「97」であり、ディザマトリックス上でこの画素に対応する位置に記憶されている閾値は「1」である。従って、左上隅の画素については、階調データの方がディザマトリックスの閾値よりも大きいから、この画素にはドットを形成すると判断する。図11中に実線で示した矢印は、この画素にはドットを形成すると判断して、判断結果をメモリに書き込んでいる様子を模式的に表したものである。一方、この画素の右隣の画素については、階調データは「97」、ディザマトリックスの閾値は「177」であり、閾値の方が大きいので、この画素についてはドットを形成しないものと判断する。このように、階調データとディザマトリックスに設定された閾値とを比較することにより、ドットの形成有無を画素毎に決定することができる。ハーフトーン処理(図8のステップS106)では、C,M,Y,Kの各インクの使用量に対応する階調データに対して上述したディザ法を適用することにより、画素毎にドット形成の有無を判断してドットデータを生成する処理を行う。
【0065】
ここで、前述したようにプリンタ部200は、大中小の各種ドットを形成可能である。このことに対応して、ドットデータは大中小の各種ドットについてドット形成の有無を表すデータとなる。このようなドットデータは次のようにして生成することができる。
【0066】
図12は、各色のインク使用量に対応する階調データに対してディザ法を適用することにより大中小の各種ドットについてのドット形成有無を判断する処理の流れを示したフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
【0067】
印刷装置10の制御回路260は、ハーフトーン処理を開始すると先ず初めに、インク各色についての階調データを、大中小の各ドットについての形成密度に変換する(ステップS200)。ドットの形成密度は、値が大きくなるほど、高い密度でドットが形成されることを表しており、例えば形成密度の値「255」は、全ての画素にドットが形成されることを表している。こうした形成密度への変換は、後述する変換テーブルを参照することによって行うことができる。変換テーブルには、インクの使用量に対応する階調データに対して、大中小の各ドットについての形成密度が予め設定されており、このような変換テーブルを参照することで、階調データを各ドットの形成密度に直ちに変換することが可能である。また、変換テーブルに予め適切な形成密度を設定しておけば、大中小の各ドットを適切に発生させることも可能である。本実施例の画像印刷処理では、変換テーブルに設定する各ドットの形成密度を工夫することで、疑似輪郭などが発生することのない高画質な画像を印刷することを可能としている。本実施例の変換テーブルについては、後ほど詳しく説明する。
【0068】
変換テーブルを参照して、CMYK各色のインク使用量に対応する階調データを、大中小各ドットについての形成密度に変換したら、先ず初めに大ドットについての形成有無を判断する(ステップS202)。かかる判断は、大ドットの形成密度と、ディザマトリックスに設定されている閾値とを比較して、形成密度の方が大きい場合は大ドットを形成すると判断し、逆に閾値の方が大きければ大ドットは形成しないと判断する。
【0069】
そして、大ドットを形成すると判断された画素には(ステップS202:yes)、ドットデータ「11」を書き込む処理を行う(ステップS206)。ここでドットデータ「11」は、その画素に大ドットを形成することを表しているデータである。大ドットを形成しないと判断された画素については(ステップS202:no)、中ドットを形成するか否かを判断する処理を開始する。
【0070】
中ドットについての形成有無の判断は、次のようにして行う。先ず初めに、大ドットの形成密度に中ドットの形成密度を加算して、中ドットの形成有無を判断するための中間データを算出する(ステップS208)。こうして算出した中間データと、ディザマトリックスの閾値とを比較することにより、中ドットの形成有無を判断する(ステップS210)。すなわち、中間データの方が閾値より大きい画素には中ドットを形成すると判断し、閾値の方が大きい画素には中ドットは形成しないと判断する。そして、中ドットを形成する画素については(ステップS212:yes)、中ドットを形成することを表すドットデータ「10」を書き込む処理を行う(ステップS214)。中ドットを形成しないと判断された画素については(ステップS212:no)、小ドットを形成するか否かを判断する処理を開始する。
【0071】
小ドットの形成有無の判断は、小ドット用の中間データを用いて行う。小ドット用の中間データは、中ドット用の中間データに小ドットの形成密度を加算することによって算出する(ステップS216)。次いで、算出した小ドット用の中間データと、ディザマトリックスの閾値とを比較することにより、小ドットの形成有無を判断する(ステップS218)。そして、小ドット用の中間データの方が閾値より大きい画素には小ドットを形成すると判断し、小ドットを形成する画素については(ステップS220:yes)、小ドットを形成することを表すドットデータ「01」を記憶する(ステップS222)。逆に、小ドット用の中間データよりも閾値の方が大きい画素には、小ドットも形成しないと判断し(ステップS220:no)、この画素には、いずれのドットも形成しないことを表すドットデータ「00」を記憶する(ステップS224)。
【0072】
図8に示した画像印刷処理のステップS106では、色変換によって得られたCMYK各色の階調データに対して上述した処理を施して、画素毎に大中小の各ドットについての形成有無を判断することにより、ドットデータを生成する処理を行う。
【0073】
以上のようにして、CMYK各色の階調データをドットデータに変換したら、今度は、インターレース処理を開始する(ステップS108)。インターレース処理とは、印字ヘッド241がドットを形成する順序でドットデータを並び替えて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給する処理である。すなわち、図6に示したように、インク吐出ヘッド244ないし247に設けられたノズルNzは副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けて設けられているから、印刷キャリッジ240を主走査させながらインク滴を吐出すると、副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けてドットが形成されてしまう。そこで全画素にドットを形成するためには、印刷キャリッジ240と印刷媒体との相対位置を副走査方向に移動させて、ノズルピッチkだけ隔たったドット間の画素に新たなドットを形成することが必要となる。このように、実際に画像を印刷する場合には、画像上で上方にある画素から順番にドットを形成しているわけではない。更に、主走査方向に同じ列にある画素についても、一回の主走査でドットを形成するのではなく、画質上の要請から、複数回の主走査に分けてドットを形成することとして、各回の主走査では飛び飛びの位置の画素にドットを形成することも広く行われている。
【0074】
このように、実際に画像を印刷する場合には、画像上で画素の並びの順番に従ってドットを形成しているわけではない。そこで、実際にドットの形成を開始する前に、C,M,Y,Kの各色毎に得られたドットデータを、インク吐出ヘッド244ないし247がドットを形成する順番に並び替えておく。このような処理が、インターレースと呼ばれる処理である。
【0075】
画像印刷処理では、インターレース処理を終了すると、インターレース処理によって得られたデータに基づいて、印刷媒体上に実際にドットを形成する処理(ドット形成処理)を開始する(ステップS110)。すなわち、キャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させながら、順番を並び替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給する。前述したようにドットデータは、各画素にドットを形成するか否かを表したデータであるから、インク吐出ヘッド244ないし247は、ドットデータに従ってインク滴を吐出すれば、各画素に適切にインクドットを形成することができる。
【0076】
そして、一回の主走査が終了したら、今度は、紙送りモータ235を駆動して印刷媒体を副走査方向に紙送りした後、再びキャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させつつ、順番を並べ替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給してドットを形成する。このような操作を繰り返し行うことにより、印刷媒体上には、C,M,Y,Kの各色のドットが画像データの階調値に応じて適切な分布で形成されて、画像が得られることになる。また、本実施例の印刷装置10では、大中小の各ドットを用いて画像を印刷しているが、各ドットの形成密度に工夫が凝らされた変換テーブルを参照してハーフトーン処理(図8のステップS106)を行っているため、ドットが切り換わる部分が目立って画質を悪化させることがない。以下では、本実施例のハーフトーン処理で参照される変換テーブルに付いて説明する。
【0077】
D.本実施例の変換テーブル :
図13は、本実施例のハーフトーン処理で参照する変換テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、本実施例の変換テーブルには、色変換後の画像データに対して、小ドット、中ドット、大ドットの各種ドットについての形成密度が予め設定されている。従って、かかる変換テーブルを参照することにより、画像データを各種ドットの形成密度に直ちに変換することが可能となっている。また、本実施例の変換テーブルでは、小ドットを除く各ドット(ここでは中ドットおよび大ドット)については、形成密度が立ち上がる部分で、初めは緩やかな角度で立ち上がり、あるところからは、より急な角度で立ち上がると言ったように、複数段階に分けて、折れ線上に形成密度が増加している。また、中ドットの形成密度がこのように複数段階に分けて増加していくことに伴って、該当する階調領域で高い密度で形成されていた小ドットの形成密度は、後述するように修正され、同様に、大ドットの形成密度が複数段階に分けて増加することに伴って、該当する階調領域で高い密度で形成されていた中ドットの形成密度は、後述するように修正されたものとなっている。以下では、このような変換テーブルを設定する方法および、このような変換テーブルに従ってドットを発生させることにより、疑似輪郭の発生を回避することが可能な理由について説明するが、その準備として、一般的な変換テーブルについて説明しておく。
【0078】
尚、図13に示した例では、小ドットを除く全てのドットについて、形成密度が立ち上がる部分で複数段階に分けて形成密度が増加する場合について示している。しかし、必ずしも小ドット以外の全ドットの形成密度が、このように傾きが複数段階に分けて増加している必要はなく、小ドット以外のドット(ここでは中ドットおよび大ドット)の中から適宜選択したドットについてのみ、このように複数段階に分けて形成密度が増加するものであってもよい。
【0079】
図14は、ハーフトーン処理で参照される一般的な変換テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、一般的な変換テーブルは、画像データの階調値が「0」から増加するに従って、小ドットの形成密度が直線的に増加するように設定されている。そして、小ドットの形成密度が上限値(図14では、形成密度の上限の階調値255)に達すると、中ドットの形成が開始されるとともに、その分だけ小ドットの形成密度が減少する。更に中ドットの形成密度が上限値に達すると、今度は大ドットの形成が開始されるとともに、その分だけ中ドットの形成密度が減少するように設定されている。
【0080】
このような変換テーブルは、大ドットの形成密度を、小ドットおよび中ドットの形成密度で置き換えたものとなっている。図14を参照しながら、この点について説明する。図中に示した細い破線は、大ドットのみを形成するものとした場合に、画像データと大ドットの形成密度との対応関係を表している。画像データの階調値が「0」の場合は、大ドットの形成密度も「0」(すなわち、ドットを全く形成しない状態)となり、画像データの階調値が「255」になると、大ドットの形成密度も「255」(すなわち全画素にドットを形成する状態)となる。
【0081】
次に、小ドットの大きさが大ドットの1/4であり、中ドットの大きさが大ドットの1/2であったとする。すると、全画素に小ドットを形成した時に表現される階調値は、全画素に大ドットを形成した場合にほぼ1/4となり、対応する画像データの階調値は「64」となる。従って、画像データの階調値「0」から階調値「64」の範囲では全ての大ドットを小ドットに置き換えることが可能であり、画像データが階調値「0」から階調値「64」に増加するに従って、小ドットの形成密度は階調値「0」から階調値「255」に直線的に増加することになる。しかし、画像データの階調値がこれ以上の階調値になると、もはや小ドットだけでは表現することはできず、大ドットあるいは中ドットを形成する必要が生じる。
【0082】
一方、中ドットの大きさは大ドットの1/2としているから、全画素に中ドットを形成した時に表現される階調値は、全画素に大ドットを形成したときのほぼ1/2となり、対応する画像データの階調値は「128」となる。上述したように、全画素に小ドットを形成したときに表現される画像データの階調値が「64」であり、全画素に中ドットを形成したときの画像データの階調値が「128」であるから、画像データが階調値「64」から階調値「128」に増加するまでの間に、全ての小ドットを中ドットに置き換えてやればよい。そして、画像データが階調値「128」以上の領域では、画像データが増加した分だけ、中ドットを少しずつ大ドットに置き換えていけば、最終的に図14に示した変換テーブルを得ることができる。
【0083】
このようにして設定された変換テーブルは、画像データの階調値に応じて、小ドット、中ドット、大ドットの適切な形成密度が設定されており、また、画像データの階調値が増加するに従って、これらドットの形成密度が連続的に変化したものとなっている。しかし、それにも拘わらず、特定の階調領域でドットを切り換えていることが分かってしまい、疑似輪郭が発生して画質を悪化させることがある。これは、次のような理由によるものである。例えば、画像データの階調値「64」では、図14に示されているように、中ドットの形成が開始されている。従って、階調値「64」を境として、小ドットのみで形成された状態から、小ドットおよび中ドットで形成された状態に変化していることになる。加えて、階調値「64」では小ドットの形成密度が増加から減少へと反転しており、これに伴って、小ドットの形成密度の傾きが大きく変化している。結局、中ドットの形成が開始されたことによる変化と、小ドットの形成密度の傾きが急変している影響とが、同じ階調値に重畳して発生した状態となっている。このため、印刷する画像によっては、いわゆる粒状感などの画像の印象が階調値「64」以下の領域と以上の領域とで異なったものとなり、これが疑似輪郭として認識されることが起こり得るのである。
【0084】
階調値「128」についても全く同様なことがあてはまる。すなわち、階調値「128」では、大ドットの形成が開始されており、また、中ドットの形成密度の傾きが大きく変化している。このため、階調値「128」の前後でも、画像の印象が異なったものとなり、これが疑似輪郭として認識される場合がある。
【0085】
これに対して本実施例のハーフトーン処理で参照される変換テーブルは、図13に示されているように、画像データの階調値が「64」に達するよりも早い段階で中ドットの形成が開始されている。そして、ドットが形成され始めてから以降は、中ドットの形成密度の傾きは、複数段階で増加するように設定されている。すなわち、ドットが形成され始めた直後の、図13中で「a」と表示した領域では、中ドットの形成密度は比較的緩やかな傾きで増加し、その後、図中に「b」と表示した領域になるとより急な傾きに増加し、この領域を抜けると、更に傾きが急になって、図14に示した変換テーブルと同様の傾きとなるように設定されている。尚、参考のため、図13中には、図14を用いて前述した変換テーブルに設定された各ドットの形成密度が、細い破線で示されている。
【0086】
また、このように中ドットの形成密度が、図14に示したものから変更されることに伴って、小ドットの形成密度は、図14の変換テーブルに設定された形成密度から次のように修正される。すなわち、領域「a」および領域「b」では、中ドットの形成密度が増えているので、その分だけ小ドットの形成密度が小さくなる。また、領域「a」では、画像データの階調値が増加するに従って、図14に設定された形成密度からの乖離が大きくなるが、逆に、領域「b」では画像データの階調値が増加するに従って、図14に設定された形成密度からの乖離が小さくなるように修正されている。
【0087】
大ドットについても全く同様に、図13に例示した本実施例の変換テーブルでは、画像データの階調値が「128」に達するよりも早い段階で大ドットの形成が開始され、それ以降の大ドットの形成密度の傾きは、複数段階で増加するように設定されている。すなわち、図13中で「c」と表示した領域では、大ドットの形成密度は比較的緩やかな傾きで増加し、続く「d」と表示した領域では、より急な傾きに増加し、この領域を抜けると、更に傾きが急になって、図14に示した変換テーブルと同様の傾きとなるように設定されている。また、このように大ドットの形成密度が変更されることに伴って、中ドットの形成密度は、領域「c」では、画像データの階調値が増加するに従って、図14に設定された形成密度よりも小さくなるが、領域「d」では画像データの階調値が増加するに従って、図14に設定された形成密度に近付くように修正されている。
【0088】
本実施例のハーフトーン処理では、このような変換テーブルを参照しながら、大中小各ドットについてのドットデータを生成しているので、特定の階調領域で疑似輪郭が発生すると入った問題が生じることがない。例えば、中ドットの形成が開始される階調値では、小ドットの形成密度の傾きは僅かに変化しているだけとなっている。また、小ドットの形成密度の傾きが大きく変化している階調値(領域「a」と領域「b」との境界の階調値)では、中ドットの形成密度の傾きが僅かに増加しているものの、既に中ドットの形成が開始されている。このように、中ドットが形成され始める階調値と、小ドットの形成密度の傾きが大きく変化する階調値とが一致していないので、いわゆる粒状感などの画像の印象が特定の階調領域を境にして大きく変化することがなく、従って、疑似輪郭が発生するといった問題が生じることもない。大ドットの形成が開始される階調値についても全く同様なことがあてはまる。すなわち、大ドットの形成が開始される階調値と、中ドットの形成密度の傾きが大きく変化する階調値とは一致しておらず、従って、この付近の階調領域で、画像の印象が大きく変化することはないので、疑似輪郭の発生と言った問題が生じることもない。
【0089】
また、中ドットあるいは大ドットの形成密度の立ち上がりを変更すると、それに伴って、小ドットあるいは中ドットの形成密度を修正しておく必要があるが、図13に示したように、中ドットあるいは大ドットの形成密度の傾きが、複数段階で増加するように変更しておけば、小ドットあるいは中ドットの形成密度を簡単に修正することが可能である。
【0090】
以上、本実施例の印刷装置について説明したが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【0091】
例えば、図13に示した変換テーブルでは、中ドットおよび大ドットの何れも、ドットの形成密度の傾きが複数段階に立ち上がるものとしているが、これに限られるものではない。例えば、図15(a)に例示するように、中ドットについてだけ、ドットの形成密度の傾きが複数段階に立ち上げるものとしてもよいし、図15(b)に例示するように、大ドットについてだけ、ドットの形成密度の傾きが複数段階に立ち上げるものとしてもよい。こうすれば、疑似輪郭などが発生し易い部分だけ、画質を改善することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本実施例の印刷装置の概要を示した説明図である。
【図2】本実施例の印刷装置の外観形状を示す斜視図である。
【図3】印刷画像を読み込むために印刷装置の上部に設けられた原稿台カバーを開いた様子を示す説明図である。
【図4】スキャナ部の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。
【図5】本実施例の印刷装置の内部構成を概念的に示した説明図である。
【図6】インク吐出ヘッドにインク滴を吐出する複数のノズルが形成されている様子を示した説明図である。
【図7】吐出するインク滴の大きさを制御することによりインクドットの大きさを制御する原理を示す説明図である。
【図8】画像を印刷する画像印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】色変換処理のために参照される色変換テーブルを概念的に示した説明図である。
【図10】ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。
【図11】ディザマトリックスを参照しながら画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。
【図12】ディザ法を適用して大中小の各種ドットについてのドット形成有無を判断する処理の流れを示したフローチャートである。
【図13】本実施例のハーフトーン処理で参照する変換テーブルを概念的に示した説明図である。
【図14】ハーフトーン処理で参照される一般的な変換テーブルを概念的に示した説明図である。
【図15】変形例の変換テーブルを概念的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0093】
10…印刷装置、 12…インク吐出ヘッド、 100…スキャナ部、
200…プリンタ部、 240…印刷キャリッジ、 241…印字ヘッド、
242…インクカートリッジ、 243…インクカートリッジ、
260…制御回路、 300…操作パネル




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013