米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 繊維;紙;印刷 -> セイコーエプソン株式会社

発明の名称 液滴吐出ヘッドの製造方法並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15179(P2007−15179A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−197737(P2005−197737)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
代理人 【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
発明者 山崎 成二
要約 課題
液滴吐出ヘッドの製造過程において、シリコン基板に予期せぬ破損が生じないようにし、さらに、製造に影響を与える異物を生じないような方法等を得る。

解決手段
液滴として吐出させる液体をためる吐出室5となる凹部が少なくとも形成されるキャビティプレート1となるシリコン基板41と、電力が供給されると吐出室5を変形させる電極8を内側に設けた凹部9を有するガラス基板2とを、シリコン基板とガラス基板2の凹部9を有する面とを対向させて接合する接合工程と、接合工程の後、シリコン基板に吐出室5となる凹部を形成し、シリコン基板において、電極8と外部の電力供給手段とを電気的に接続するために形成される電極取出し口25となる部分を所定の厚さだけ残すようなウェットエッチングを行う工程とを少なくとも有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
液滴として吐出させる液体をためる吐出室となる凹部が少なくとも形成される第1の基板と、電力が供給されると前記吐出室を変形させる電極を内側に設けた凹部を有する第2の基板とを、前記第1の基板と前記第2の基板の前記凹部を有する面とを対向させて接合する接合工程と、
該接合工程の後、前記第1の基板に前記吐出室となる凹部を形成するとともに、前記第1の基板において、前記電極と外部の電力供給手段とを電気的に接続するために形成される電極取出し口となる部分を所定の厚さだけ残すようなウェットエッチングを行う工程と
を少なくとも有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記所定の厚さを5μm以上とすることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項3】
ウェットエッチングを用いたすべての工程を終了した後に、前記第1の基板の前記電極取り出し口となる部分の一部又は全部を、ドライエッチングにより除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記液体から前記吐出室となる凹部を保護する液体保護膜を前記第1の基板に成膜する工程の前に、前記ドライエッチングにより除去することを特徴とする請求項3記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項5】
スパッタ又はTEOSを用いたプラズマCVDにより形成した酸化シリコンの膜を前記液体保護膜とすることを特徴とする請求項4記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記ドライエッチングを行う工程において、前記電極取り出し口となる部分の一部又は全部が開口されたシリコンマスクを、ピンアライメントにより前記第1の基板に取り付けることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記第1の基板と前記第2の基板との接合を陽極接合により行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記第2の基板の前記凹部と外部とを連通させる大気開放穴をあらかじめ設けておき、前記ウェットエッチングを行う工程の前に、前記大気開放穴を塞ぐ工程をさらに有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記一部を除去した前記第1の基板の前記電極取り出し口となる部分の残りの部分を、前記液体保護膜を成膜する際及び/又は前記吐出室となる凹部と前記電極との間で形成される空間を外気と遮断するために該空間の開口部分を塞ぐ封止材を前記開口部分に堆積させる際のマスクとすることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項10】
液滴として吐出させる液体をためる吐出室となる凹部が少なくとも形成される第1の基板と、電力が供給されると前記吐出室を変形させる電極を内側に設けた凹部を表面に有する第2の基板とを、前記第1の基板と前記第2の基板の前記凹部を有する面とを対向させて陽極接合する工程と、
前記第1の基板に前記部材を形成するためのエッチング用マスクをパターニング形成し、さらに前記大気開放穴を塞ぐ工程と、
前記第1の基板に前記吐出室となる凹部を形成するとともに、前記第1の基板において、前記電極と外部の電力供給手段とを電気的に接続するために形成される電極取出し口となる部分の厚さを5μm以上残すようなウェットエッチングを行う工程と、
前記接合した基板から前記エッチング用マスクを除去した後、前記電極取出し口の一部又は全部となる部分が開口されたシリコンマスクをピンアライメントにより取り付け、前記シリコン基板の前記電極取出し口に対応する部分の一部又は全部を、ドライエッチングにより開口し、前記電極取出し口を形成する工程と、
スパッタ又はTEOSを用いたプラズマCVDによる酸化シリコン膜を、前記部材を前記液体から保護する液体保護膜として成膜する工程と、
前記部材と連通し、前記吐出室の変形により加圧された液体が液滴として吐出されるノズルを有するノズル基板を、前記接合した基板と接合する工程と
を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項11】
前記ドライエッチングを行う代わりにレーザ加工により前記電極取り出し口となる部分の一部又は全部を開口することを特徴とする請求項3〜10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかの方法で製造したことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項13】
請求項12に記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は微細加工素子である液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出ヘッドの製造方法、その方法により製造した液滴吐出ヘッド、そのヘッドを用いた液滴吐出装置に関するものである。特に製造の際、駆動部分への異物混入を防止するためのものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出方式(代表的なものとして、インクを吐出して印刷等を行うために用いるインクジェットがある)は、家庭用、工業用を問わず、あらゆる分野の印刷(プリント)等に利用されている。液滴吐出方式は、微細加工素子である、例えば複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドを、紙面等の吐出対象物との間で相対移動させ、対象物の所定の位置に液体を吐出するものである。近年では、液晶(Liquid Crystal)を用いた表示装置を作製する際のカラーフィルタ、有機電界発光(Organic ElectroLuminescence )素子を用いた表示基板(OLED)、DNA等、生体分子のマイクロアレイ等の製造にも利用されている。
【0003】
液滴吐出方式を実現するヘッドとして、液体を溜めておくための吐出室(吐出液体の流路の一部をなす)を設け、吐出室の少なくとも一面の壁(ここでは底壁とする。この壁は他の壁と一体形成されているが、以下、この壁のことを振動板ということにする)を撓ませて形状を変化させて吐出室内の圧力を高め、液体を加圧することで吐出室と連通するノズル孔から液滴を吐出させるものがある。このような液滴吐出ヘッドを製造する際の材料として、例えば、シリコン基板、ガラス基板が用いられる。例えば、ウェハ状のこれらの各基板に部材形成を行い、積層し、接合して、各液滴吐出ヘッドに切り離しを行って製造をしている。
【0004】
近年、液滴吐出ヘッドの製造に際し、さらに高密度化、吐出特性の安定化、高歩留まりによる低コスト化等が要求されているが、従来のような、部材形成後のシリコン基板と電極を形成したガラス基板とを接合する方法では、上記の要求を満たすことが困難になってきた。そこで、電極を形成したガラス基板と厚めのシリコン基板とを、シリコン基板を割らずに接合した後、シリコン基板を薄板化し、吐出室等の部材を形成する方法も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ここで、接合については、部材形成時のウェットエッチング工程による部材形成時のエッチャント(エッチング液)、異物等の侵入、厚さ方向の精度向上等のため、例えば、陽極接合のような表面活性化結合によってシリコン基板とガラス基板とを原子レベルで接合する。陽極接合は、例えばシリコン基板とガラス基板とを摂氏360℃に加熱した後、ガラス基板を負極側と接続し、シリコン基板を正極側と接続して、800Vの電圧を印加することで行われる。
【特許文献1】特開2004−82572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような方法の場合、ガラス基板上に形成された凹部は、シリコン基板がいわゆる蓋となって密閉された状態となる。陽極接合等、基板を加熱することにより、凹部には酸素等が気体となって発生することで、凹部内部は加圧状態となる。この状態で、部材形成等のため、シリコン基板の一部の厚さを薄くすると、特に面積が大きい場合には、薄くした部分の剛性が弱くなり、割れる可能性がある。
【0007】
ここで、凹部と連通するシリコン基板の一部を開け、大気開放させることもできるが、この場合、不要部分である部分をピンで突く等、機械的手法で貫通させると、発生した破片等の異物が、貫通穴開口不良、ノズルプレート接着不良を引き起こす原因となる。特に上記のようにシリコン基板とガラス基板とを陽極接合した後にウェットエッチングにより部材を形成する場合、電極にエッチャント(エッチング溶液)が侵入しないように、必ず接合した後、すべてのウェットエッチングの工程を終えた後で、不要部分である電極と外部の電源供給手段との接点となる電極取出し口となる部分を取り除くことができない。
【0008】
そこで、本発明は、液滴吐出ヘッドの製造過程において、シリコン基板に予期せぬ破損が生じないようにし、さらに、製造に影響を与える異物を生じないような方法等を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、液滴として吐出させる液体をためる吐出室となる凹部が少なくとも形成される第1の基板と、電力が供給されると吐出室を変形させる電極を内側に設けた凹部を有する第2の基板とを、第1の基板と第2の基板の凹部を有する面とを対向させて接合する接合工程と、接合工程の後、第1の基板に吐出室となる凹部を形成し、第1の基板において、電極と外部の電力供給手段とを電気的に接続するために形成される電極取出し口となる部分を所定の厚さだけ残すようなウェットエッチングを行う工程とを少なくとも有する。
本発明によれば、電極取出し口となる部分をウェットエッチングする際、所定の厚さだけ残すエッチングを行うようにしたので、電極取出し口となる部分の強度が増し、剛性を有するようにすることで、ウェットエッチング工程及び後の工程において行われる基板搬送、エッチング等において加わる衝撃にも耐えることができ、電極取出し口となる部分が不用意に割れるのを防ぐことができる製造を行うことができる。そのため、液体を用いる工程において、凹部によって形成される電極と吐出室との間のギャップ(空隙)に液が流入するのを防ぐことができる。さらに、割れた際の破片が、同じ基板上に同じ工程で形成されている他のヘッドに対し、後の工程で行われるギャップの封止、他の基板との接合の際に邪魔をして封止不良や、接合不良を起こすこともなく、歩留まりを高くして製造を行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法では、所定の厚さを5μm以上とする。
本発明によれば、電極取出し口となる部分を5μm(より好ましくは20μm)以上残しておくことにより、剛性を確実に有することができる。
【0011】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、ウェットエッチングを用いたすべての工程を終了した後に、第1の基板の電極取り出し口となる部分の一部又は全部を、ドライエッチングにより除去する工程をさらに有する。
本発明によれば、ドライエッチングを用いることで、機械的に割るときのような破片を発生させないので、破片が、後の工程で行われるギャップの封止、他の基板との接合の際に邪魔をして封止不良や、接合不良を起こすこともなく、歩留まりを高くすることができる。同じ基板上に形成されている他のヘッドに対しても邪魔することはない。
【0012】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、液体から吐出室となる凹部を保護する液体保護膜を第1の基板に成膜する工程の前に、ドライエッチングにより除去する。
本発明によれば、常温よりも高く、真空下で処理を行う液体保護膜の成膜工程よりも前の段階で電極取出し口となる部分を除去しておき、成膜工程では電極と吐出室との間のギャップを大気開放するようにしたので、成膜工程において、ギャップと基板外の外気との圧力差により、電極取出し口となる部分の割れを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、スパッタ又はTEOSを用いたプラズマCVDにより形成した酸化シリコンの膜を液体保護膜とする。
本発明によれば、スパッタ又はTEOSを用いたプラズマCVDにより液体保護膜を成膜するようにしたので、成膜工程の中でも比較的低温の工程で、質のよい酸化シリコンの膜を成膜することができる。
【0014】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、ドライエッチングを行う工程において、電極取り出し口となる部分の一部又は全部が開口されたシリコンマスクを、ピンアライメントにより第1の基板に取り付ける。
本発明によれば、ドライエッチングを行う際、開口精度が高く、熱膨張等を起こしにくいシリコンマスクをピンアライメントで第1の基板に取り付けるようにしたので、第1基板のエッチングを位置的に高精度で行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、第1の基板と第2の基板との接合を陽極接合により行う。
本発明によれば、第1の基板と第2の基板とを陽極接合で行うようにしたので、特に高い精度管理が必要な電極と吐出室との間のギャップ(幅)を高精度に形成し、かつ基板間を強力に接合することができる。
【0016】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、第2の基板の凹部と外部とを連通させる大気開放穴をあらかじめ設けておき、ウェットエッチングを行う工程の前に、大気開放穴を塞ぐ工程をさらに有する。
本発明によれば、大気開放穴を設けておき、陽極接合、成膜工程等、電極と吐出室との間のギャップに気体が発生しても逃がす等、ギャップを外気の気圧と同じに保つことができる。ウェットエッチングを行う前に塞ぐことで、液体がギャップに浸入するのを防ぐことができる。
【0017】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、一部を除去した第1の基板の電極取り出し口となる部分の残りの部分を、液体保護膜を成膜する際及び/又は吐出室となる凹部と電極との間で形成される空間を外気と遮断するために空間の開口部分を塞ぐ封止材を開口部分に堆積させる際のマスクとする。
本発明によれば、電極取り出し口となる部分を一部除去し、残った部分を液体保護膜の成膜、封止材の堆積をする際、電極と外部の電力供給手段とを接合する部分に、成膜材料、封止材が付かないようにするためのマスクとするようにしたので、一部開口により、ギャップを外気と同じ気圧に保ちつつ、完成品には残らない部分についてマスクとして有効利用することができる。
【0018】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、液滴として吐出させる液体をためる吐出室となる凹部が少なくとも形成される第1の基板と、電力が供給されると吐出室を変形させる電極を内側に設けた凹部を表面に有する第2の基板とを、第1の基板と第2の基板の凹部を有する面とを対向させて陽極接合する工程と、第1の基板に部材を形成するためのエッチング用マスクをパターニング形成し、さらに大気開放穴を塞ぐ工程と、第1の基板に吐出室となる凹部を形成するとともに、第1の基板において、電極と外部の電力供給手段とを電気的に接続するために形成される電極取出し口となる部分の厚さを5μm以上残すようなウェットエッチングを行う工程と、接合した基板からエッチング用マスクを除去した後、電極取出し口の一部又は全部となる部分が開口されたシリコンマスクをピンアライメントにより取り付け、シリコン基板の電極取出し口となる部分の一部又は全部を、ドライエッチングにより開口し、電極取出し口を形成する工程と、スパッタ又はTEOSを用いたプラズマCVDによる酸化シリコン膜を、部材を液体から保護する液体保護膜として成膜する工程と、部材と連通し、吐出室の変形により加圧された液体が液滴として吐出されるノズルを有するノズル基板を、接合した基板と接合する工程とを有する。
本発明によれば、電極取出し口となる部分をウェットエッチングする際、5μm以上の厚さだけ残すエッチングを行うようにしたので、電極取出し口となる部分に確実に剛性を有するようにすることで、ウェットエッチング工程及び後の工程において行われる基板搬送、エッチング等において加わる衝撃にも確実に耐えることができ、電極取出し口となる部分が不用意に割れるのを防ぐことができる。
また、凹部により形成される電極と吐出室との間のギャップを大気開放するため、あらかじめ大気開放穴を設けておき、気体発生、加熱等が伴う、陽極接合、エッチング用マスク成膜等の工程を行った後、ウェットエッチングの工程前に大気開放穴を塞ぎ、また、液体保護膜を成膜する工程前に、ドライエッチングにより電極取出し口となる部分を開口してギャップを大気開放するようにしたので、ギャップについては、必要最小限の工程のみを密閉状態にしておくようにすることで、さらに確実に割れを防ぐことができる。また、液体保護膜をスパッタ又はTEOSを用いたプラズマCVDで形成するようにすることで、低温で質のよい成膜をすることができる。また、シリコンマスクをピンアライメントで取り付けることで、電極取出し口となる部分を高精度に開口することができる。
【0019】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、ドライエッチングを行う代わりにレーザ加工により電極取り出し口となる部分の一部又は全部を開口する。
本発明によれば、ドライエッチングの代わりにレーザ加工で行うようにしても、破片等の発生を防ぎ、歩留まりの高い製造方法を得ることができる。
【0020】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記のいずれか方法で製造したものである。
本発明によれば、上記の方法で製造することにより、質のよい膜が成膜され、吐出性能等がよく、高品質の液滴吐出ヘッドを得ることができる。
【0021】
また、本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
本発明によれば、上記の液滴吐出ヘッドを搭載しているので、吐出性能等がよく、高品質の液滴吐出装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
実施の形態1.
図1は本発明の第1の実施の形態に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した図である。図1はフェイス吐出型の液滴吐出ヘッドを表している。図1において、第1の基板であるシリコン基板を加工して作製されるキャビティプレート1は、例えば厚さ約50μmの(110)面方位のシリコン単結晶基板(このシリコン基板を含め、以下、単にシリコン基板という)を主たる材料として構成されている。このシリコン基板に異方性ウェットエッチング(以下、ウェットエッチングという)等を行い、キャビティプレート1上の各部材となる、底壁が振動板4となり、一時的に液体をためる吐出室5、各ノズル共通に吐出する液体をためておくためのリザーバ7を形成する。また、キャビティプレート1には、ガラス基板2上の電極8と反対の電荷をシリコン基板(振動板4)に供給するための電極端子19を有している。
【0023】
また、キャビティプレート1の下面(ガラス基板2と対向する面)には、絶縁膜となるTEOS膜(ここでは、Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン(珪酸エチル)を用いてできるSiO2 膜をいう)14をプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition :TEOS−CVDともいう)法を用いて、0.1μm成膜している。プラズマCVDでTEOS膜14を成膜することにより、比較的低温工程で、緻密な膜を成膜でき、液滴吐出ヘッドを駆動させた時の絶縁膜破壊及び短絡を防止することができる。さらに、キャビティプレート1の上面(ノズルプレート3と対向する面)には、液体保護膜15となるSiO2 膜(TEOS膜を含む)を、プラズマCVD法又はスパッタリング法により成膜している。これはインク等の液体によって流路が腐食するのを防ぐためである。また、液体保護膜15の応力とキャビティプレート1の下面に成膜したTEOS膜14の応力とを相殺させ、振動板4の反りを小さくすることができる効果も期待できる。
【0024】
第2の基板となるガラス基板2(電極基板)は、厚さ約1mmであり、図1で見るとキャビティプレート1の下面に接合される基板である。本実施の形態では、ガラス基板2となるガラスとして、ホウ珪酸系の耐熱硬質ガラスを用いることにする。ガラス基板2には、キャビティプレート1に形成される各吐出室5に合わせて、エッチングにより深さ約0.2μmの凹部9が設けられる。そして、凹部9の内側に、個別の電極8、リード部10及び端子部11(以下、特に区別する必要がない場合はこれらを合わせて電極8として説明する)を設ける。電極8形成時に凹部9からのり出さないように、凹部9のパターン形状は電極8形状よりも少し大きめに作製しておく。ここで、本実施の形態では、電極8の材料として酸化錫を不純物としてドープした透明のITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を用い、例えばスパッタ法を用いて0.1μmの厚さで凹部9内側に形成するものとする。その際、後述するように、電極8とシリコン基板とを等電位にするための接点(以下、等電位接点という)となるITOパターン24も電極8と同時に成膜する。また、ガラス基板2には、他にも、リザーバ7と連通して外部タンク(図示せず)からリザーバ7への流路となるインク供給口13を設ける。
【0025】
ここで、振動板4と電極8との間には後述する図2に示すように空隙(ギャップ)ができるが、この幅Gは凹部9の深さ、電極8及び振動板4(TEOS膜14)の厚さにより決まる。ギャップの幅Gは液滴吐出ヘッドの吐出特性に大きく影響するため、厳格な精度管理が行われる。電極8の材料はITOに限定するものではなく、クロム等の金属等を材料に用いてもよい。本実施の形態においては、等電位接点も同時に成膜できる、透明であるので放電したかどうかの確認が行い易い等の理由でITOを用いることとする。
【0026】
ノズルプレート3は、例えば厚さ約180μmのシリコン基板で構成され、ガラス基板2とは反対の面(図1の場合には上面)で、キャビティプレート1と接合されている。図1から見てノズルプレート3の上面には、ノズル孔12を形成し、吐出室5により加圧されたインク等の液体を液滴として吐出する。さらに下面にはオリフィス6を形成し、吐出室5とリザーバ7とを連通させる。ここではノズル孔12を有するノズルプレート3を上面とし、ガラス基板2を下面として説明するが、実際には、ノズルプレート3の方がガラス基板2よりも下面となって用いられることが多い。また、ノズルプレート3には、振動板4が撓むことでリザーバ7方向に加わる圧力を緩衝するダイヤフラム18が設けられている。
【0027】
図2は液滴吐出ヘッドの断面図である。図2(a)は全体の断面図、図2(b)は等電位接点部分を拡大した断面図を表している。図2において、吐出室5はノズル孔12から吐出させる液体を溜めておく。吐出室5の底壁である振動板4を撓ませることにより、吐出室5内の圧力を高め、ノズル孔12から液滴を吐出させる。ここで、本実施の形態では、電極とすることができ、かつエッチング工程の際に都合がよい高濃度のボロンドープ層をシリコン基板に形成し、振動板4を構成するものとする。アルカリ性水溶液でシリコンの異方性ウェットエッチングを行った場合、高濃度(約5×1019atoms・cm-3以上)のボロン(ホウ素)をドーパントとした領域では極端にエッチングレートが小さくなる。そのため、振動板4の厚さに必要な厚さにボロンドープ層を形成しておけば、ウェットエッチング工程において、エッチングされすぎず、所望の厚さの振動板4を精度よく形成することができる。本実施の形態では、吐出室5等を異方性ウェットエッチングで形成する場合に、ボロンドープ層が露出するとエッチングレートが極端に小さくなることを利用した、いわゆるエッチングストップ技術を用いて、振動板4の厚さ、吐出室5の容積を高精度で形成するものとする。エッチングストップとは、エッチング面から発生する気泡が停止した状態と定義し、その状態のときにシリコンのエッチングが終了したものとする。
【0028】
22は、ワイヤ、FPC(Flexible Print Circuit)等(以下、ワイヤという)23を介して電気的に端子部11、電極端子19と接続され、電極8、キャビティプレート1(振動板4)に電荷(電力)の供給及び停止を制御するヘッド外部に設けられた発振回路である。発振回路22は例えば24kHzで発振し、電極8に0Vと30Vのパルス電位を印加して電荷供給を行う。発振回路22が発振駆動することで、電極8に電荷を供給して正に帯電させ、振動板4を相対的に負に帯電させると、静電気力により電極8に引き寄せられて撓む。これにより吐出室5の容積は広がる。そして電荷供給を止めると振動板4は元に戻るが、そのときの吐出室5の容積も元に戻るから、その圧力により差分の液滴20が吐出する。この液滴20が例えば記録対象となる記録紙21に着弾することによって印刷等の記録が行われる。なお、このような方法は引き打ちと呼ばれるものであるが、バネ等を用いて液滴を吐出する押し打ちと呼ばれる方法もある。端子部11とワイヤ23とは電極取出し口25において接続されている。封止材26は、異物、水分(水蒸気)等がギャップに浸入しないように、ギャップを外気から遮断し、密閉するために設ける。
【0029】
図3はガラス基板2を上面から見た図である。通常、液滴吐出ヘッドはウェハ単位で作られ、最終的に各液滴吐出ヘッド(ヘッドチップ)に切り離される。本実施の形態では、等電位接点を各ヘッドチップに独立して設け、陽極接合時にキャビティプレート1と電極8との間を等電位に保つようにする。等電位接点となる部分については、ガラス基板2に凹部9を形成する際、エッチングせず残しておく。そして、その上に、導電性であるITO0.1μmを電極8とともに成膜し、ITOパターン24を形成する。したがって、等電位接点は、ガラス基板2表面よりもITOパターン24の分だけ0.1μm突出していることとなる。一方、キャビティプレート1においては、等電位接点に対応する部分のTEOS膜(0.1μm)を取り除き、キャビティプレート1の主となる材料であるシリコン基板(ボロンドープ層)を露出する窓を形成する。この窓を介してシリコン基板とITOパターン24とを接触させることで、陽極接合時において、ITOパターン24と電気的に接続されている電極8とシリコン基板との間を等電位に保つ。
【0030】
大気開放穴28はヘッド外部と凹部9とを連通させ、前述したギャップが密閉された状態になるのを防ぎ、陽極接合時等、基板への加熱等による酸素等の気体発生によってギャップ内が正圧になるのを防ぐためのものである。大気開放穴28は、サンドブラスト法や切削加工等により形成する。大気開放穴28は、ダイシングにより液滴吐出ヘッドと切り離されるので、完成した液滴吐出ヘッドには残らない。
【0031】
ダイシングライン27は、ウェハに一体形成された複数の液滴吐出ヘッドを切り離す際のラインである。したがって、図3においてダイシングライン27よりも右側及び上側にある部分は、完成した液滴吐出ヘッドには残らない。なお、図3の液滴吐出ヘッドでは、電極8等の部材を5つしか記載していないが、実際には1つの液滴吐出ヘッドには多くのノズル孔12が存在し、その数に応じた電極8が形成されている。
【0032】
図4及び図5は第1の実施の形態に係る液滴吐出ヘッドの製造工程を表す図である。図4及び図5に基づいて液滴吐出ヘッド製造工程について説明する。なお、実際には、シリコンウェハから複数個分の液滴吐出ヘッドの部材を同時形成するが、図4及び図5ではその一部分だけを示している。
【0033】
(a)約1mmのガラスの基板の一方の面に対し、電極8の形状パターンに合わせて0.2μmの深さの凹部9を形成する。等電位接点となる部分については、エッチングを行わずに残しておく。ここで、等電位接点の形状については、キャビティプレート1のシリコン基板と電極8とを接触させて等電位にすることができればその形状は問わない。等電位接点となる部分については、エッチングを行わずに残しておく。凹部9及び等電位接点の形成後、例えばスパッタリング法を用いて、0.1μmの厚さの電極8及びITOパターン24を同時に形成する。最後にインク供給口13及び大気開放穴28をサンドブラスト法または切削加工により形成する。これにより、ガラス基板2が作製される。
【0034】
(b)表面が(110)面方位の酸素濃度の低いシリコン基板41の片面(ガラス基板2との接合面側となる)を鏡面研磨し、220μmの厚みの基板(第1の基板となる)を作製する。次に、シリコン基板41のボロンドープ層42を形成する面を、B23を主成分とする固体の拡散源に対向させて石英ボートにセットする。さらに縦型炉に石英ボートをセットして、炉内を窒素雰囲気にし、温度を1050℃に上昇させて7時間保持することで、ボロンをシリコン基板中に拡散させ、ボロンドープ層42を形成する。ここでボロンドープ層42の形成工程においては、炉へのシリコン基板41(石英ボート)の投入温度を800℃とし、さらにシリコン基板41の取出し温度も800℃とする。これにより、シリコン基板41内の酸素による酸素欠陥の成長速度が速い領域(600℃から800℃)をすばやく通過させることができる為、酸素欠陥の発生を抑えることができる。取り出したボロンドープ層42の表面にはボロン化合物が形成されているが(図示なし)、酸素及び水蒸気雰囲気中、600℃の条件で1時間30分酸化することで、ふっ酸水溶液によるエッチングが可能なB23+SiO2 に化学変化させることができる。B23+SiO2 に化学変化させた状態で、B23+SiO2 をふっ酸水溶液にてエッチング除去する。
【0035】
ボロンドープ層42を形成した面に、プラズマCVD法により、TEOS膜14を、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は250W、圧力は66.7Pa(0.5Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素流量1000cm3 /min(1000sccm)の条件で0.1μm成膜する。さらに、成膜したTEOS膜14の表面にレジストを塗布し、等電位接点においてシリコンを露出させる窓を作り込む為のレジストパターニングを施す。そして、ふっ酸水溶液でウェットエッチングを行ってTEOS膜14をパターニングし、窓を形成する。パターニングした後レジストを剥離する。
【0036】
(c)シリコン基板41とガラス基板2を360℃に加熱した後、ガラス基板2に負極、シリコン基板41に正極を接続して、800Vの電圧を印加して陽極接合を行う。この時、電圧の昇圧レートを速くし過ぎると、等電位接点に大電流が流れ、電極8となるITOにダメージが加わってしまう為、電流が10mAを越さないように確認しながら、接合すると良い。この陽極接合時に、シリコン基板41とガラス基板2の界面において、ガラスが電気化学的に分解され酸素が気体となって発生する場合がある。また加熱によって表面に吸着していたガス(気体)が発生する場合もある。しかしながら、これらの気体が大気開放穴28から逃げる為、ギャップ内が正圧になることは無い。
【0037】
(d)陽極接合後の接合済み基板において、シリコン基板41の厚みが約60μmになるまでシリコン基板41表面の研削加工を行う。その後、加工変質層を除去する為に、32w%の濃度の水酸化カリウム溶液でシリコン基板41を約10μmウェットエッチングする。これによりシリコン基板41の厚みを約50μmにする。
【0038】
この研削工程及び加工変質層除去工程において、大気開放穴28から液体がギャップに入り込まないように、片面保護治具、テープ等を用いて大気開放穴28を塞ぎ、ギャップを保護する。ここで、次の工程において、再度基板を加熱するため、ギャップに気体が発生する可能性がある。そこで、この工程では大気開放穴28を完全に塞がないようにし、再度、凹部9と外部とが連通できるようにしておく。
【0039】
(e)次に、ウェットエッチングを行った面に対し、TEOSによるエッチングマスク(以下、TEOSエッチングマスクという)43をプラズマCVD法により成膜する。成膜条件としては、例えば、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は700W、圧力は33.3Pa(0.25Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素流量1000cm3 /min(1000sccm)の条件で1.5μm成膜する。TEOSを用いた成膜は比較的低温で行うことができるので、基板の加熱をできる限り抑えられる点で都合がよい。
【0040】
(f)TEOSエッチングマスク43を成膜した後、大気開放穴28に、例えばエポキシ系接着剤等を流し込み、大気開放穴28を封止する。これによりギャップは密閉状態となるため、以後の工程で大気開放穴28から液体等が入り込むことが無くなる。次に、吐出室5となる部分のTEOSエッチングマスク43をエッチングするため、レジストパターニングを施す。そして、ふっ酸水溶液を用いてTEOSエッチングマスク43が無くなるまで、その部分をエッチングしてTEOSエッチングマスク43をパターニングし、シリコン基板を露出させる。そして、エッチングした後にレジストを剥離する。
【0041】
(g)さらに、リザーバ7及び電極取出し口25となる部分のTEOSエッチングマスク43をエッチングするため、レジストパターニングを施す。そして、ふっ酸水溶液でそれらの部分のTEOSエッチングマスク43を1.2μmエッチングしてTEOSエッチングマスク43をパターニングする。これによりリザーバ及び電極取出し口となる部分に残っているTEOSエッチングマスク43の厚みは0.3μmとなるがシリコン基板は露出しない。ここでは、残すTEOSエッチングマスク43の厚みを0.3μmとするが、所望するリザーバ7の深さによって、この厚みを調整する必要がある。そして、エッチングした後にレジストを剥離する。
【0042】
(h)次に、接合済み基板を35wt%の濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、吐出室5となる部分の厚みが約10μmになるまでウェットエッチングを行う。
【0043】
(i)そしてリザーバ7及び電極取出し口と25なる部分のTEOSエッチングマスク43を除去する為、ふっ酸水溶液に接合済み基板を浸してエッチングを行い、除去する。
【0044】
(j)さらに、接合済み基板を3wt%の濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、ボロンドープ層42において、エッチングストップが十分効いたものと判断するまでエッチングを続ける。このように、前記2種類の濃度の異なる水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行うことによって、形成される振動板4の面荒れを抑制し、厚み精度を0.80±0.05μm以下にすることができる。その結果、液滴吐出ヘッドの吐出性能を安定化することができる。
【0045】
ここで、本実施の形態ではリザーバ7及び電極取出し口25となる部分の厚みが所定の厚さとなるようにウェットエッチングを行う時間を制御する。本実施の形態では、約5μm(より好ましくは20μm)又はそれ以上となるようにウェットエッチングを行う時間を制御する。電極取出し口25となる部分は、吐出室5(振動板4)となる部分に比べ、大きな面積を有する。そのため、ウェットエッチングにより、電極取出し口25となる部分に振動板4と同じ厚みの薄膜(ボロンドープ層42)しか残らないようにしてしまうと、この部分の剛性が非常に弱くなってしまい(なくなってしまい)、機械的な振動、ギャップ内に挟まった異物が押し上げる力等によって、割れる場合がある。特にギャップ内に気体が発生すると、成膜等、真空チャンバ内での工程を行う場合には、ギャップ内外の気圧差が大きくなるため割れやすくなる。そのため、割れた際の破片等の異物がギャップに混入したり、後の工程でエッチャント等の液体がギャップに浸入するおそれがある。とはいえ、ウェットエッチングを全く行わずに残したままでは、後の工程で電極取出し口25となる部分を除去するのに時間がかかることになる。
【0046】
そこで、電極取出し口25となる部分にウェットエッチングを行う際に、その工程の後も電極取出し口25となる部分に対して、例えば、20μm程度所定の厚さを持たせ、剛性を持たせる構造にする。そして、ウェットエッチング工程、またその後の工程において、電極取出し口25となる部分からシリコン基板41が割れるのを防ぎ、ギャップ内に異物、薬液等が浸入するのを防ぐ。
【0047】
一方、リザーバ7となる部分に対して、20μm程度の厚みによる剛性を持たせるのは、リザーバ7の下側(図1等参照)にも位置する電極8(リード部10)により、静電引力が生じるが、これによりリザーバ7が撓んで変形するのを防ぐためである。ここで、本実施の形態では、前述した(g)の工程において、TEOSエッチングマスク43のパターニングを同時に行って、同じ厚さのTEOSエッチングマスク43を残す関係で、リザーバ7及び電極取出し口25となる部分の厚みが同じになっているが、これに限定されるものではない。その目的に応じた剛性を持たせることができれば、それぞれ異なる厚さにしてもよい。
【0048】
(k)ウェットエッチングを終了すると、接合済み基板をふっ酸水溶液に浸し、シリコン基板41表面のTEOSエッチングマスク43を剥離する。
【0049】
(l)次に、シリコン基板41の電極取出し口25となる部分のシリコンを除去する為に、電極取出し口25となる部分が開口したシリコンマスクを接合済み基板のシリコン基板41側の表面に取り付ける。そして、例えば、RFパワー200W、圧力40Pa(0.3Torr)、CF4 流量30cm3 /min(30sccm)の条件で、RIEドライエッチング(異方性ドライエッチング)を2時間行い、電極取出し口25となる部分のみにプラズマを当てて、開口する。開口することでギャップについても大気開放される。
【0050】
従来は電極取出し口25となる部分に残った薄膜をピン等で突いて壊し、大気開放させる方法を採っていた。しかしながら、壊した際に異物が周囲に飛び散り、ノズルプレート3とキャビティプレート1との接着不良、ギャップへの異物混入による封止不良を引き起こしていた。このようにドライエッチングにより電極取出し口25となる部分のシリコンを除去することで、異物を発生させずに大気開放することができる。ここで、本実施の形態では、接合済み基板とシリコンマスクとのアライメント精度を高めるため、シリコンマスクの装着は、接合済み基板とシリコンマスクとにピンを通すピンアライメントにより行うものとする。
【0051】
(m)キャビティプレート1の上面にプラズマCVD法によりTEOS膜による液体保護膜15を、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は250W、圧力は66.7Pa(0.5Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素流量1000cm3 /min(1000sccm)の条件で0.1μm成膜する。液体保護膜15は、上述したように、プラズマCVD法以外にもスパッタリング法によって成膜したSiO2 膜で形成してもよい。
【0052】
本実施の形態では、電極取出し口25となる部分を開口した後に液体保護膜15を成膜している。電極取出し口25の開口前に液体保護膜15を成膜するとなると、ギャップ内が密閉状態になっているので、成膜時の処理温度によってギャップ内の気体が膨張して、薄膜部を破壊する可能性があるからである。したがって、このように、まず電極取出し口25となる部分を開口してギャップ内を大気開放する必要がある。
【0053】
(n)電極取出し口部25(端子部11)に残っている液体保護膜15を除去する為に、再度、シリコンマスクをシリコン基板41表面に取り付け、例えば、RFパワー200W、圧力40Pa(0.3Torr)、CF4 流量30cm3 /min(30sccm)の条件でRIEドライエッチングを20分間行い、電極取出し口部25のみに、プラズマにより励起されたイオンを当てて、異方性エッチングを行う。ここで、本工程においても、シリコンマスクの装着は、接合済み基板とシリコンマスクとにピンを通して行うピンアライメントにより行う。
【0054】
(o)そして、例えばエポキシ樹脂からなる封止材26を、電極取出し口25の端部(キャビティプレート1とガラス基板2の凹部との間で形成されるギャップの開口部分)に沿って流し込み、ギャップを封止する。これにより、接合済み基板に行う加工処理は完了する。
【0055】
(p)あらかじめ作製していたノズルプレート3を例えば、エポキシ系接着剤により、接合済み基板のキャビティプレート1側から接着する。
【0056】
(q)ダイシングライン27に沿ってダイシングを行い、個々の液滴吐出ヘッドに切断し、液滴吐出ヘッドが完成する。ここで、陽極接合時に、電気的につながっていた各電極8は分断され、ノズル毎に独立する。また、大気開放穴28及びそこに連通するガラス溝も切断される。
【0057】
以上のように実施の形態1によれば、吐出室4、リザーバ7等となる部材をシリコン基板41に形成するためのウェットエッチングを行うと共に、電極取出し口25となる部分をウェットエッチングする際、所定の厚さ(ここではリザーバ7となる部分と同じ20μm以上)だけ残すエッチングを行うようにしたので、電極取出し口25となる部分の強度を増して、剛性を有するようにすることで、ウェットエッチング工程及び後の工程において行われる基板搬送、エッチング等において加わる圧力(衝撃)にも耐えることができ、電極取出し口25となる部分の割れを防ぐことができる。また、液体保護膜15を成膜する前に、電極取出し口25となる部分を開口して、電極取出し口25を形成し、キャビティプレート1となるシリコン基板41とガラス基板2上の凹部9とで形成されるギャップを大気開放するようにしたので、電極取出し口25となる部分を残したまま基板を加熱し、ギャップに発生した気体等の圧力で電極取出し口25となる部分の割れを防ぐことができる。以上のことから、シリコン基板41の割れがなくなるため、歩留まりを向上することができる。
【0058】
さらに、電極取出し口25となる部分を機械的に割るのではなく、ドライエッチング法を用いて電極取出し口25となる部分の開口を行うようにしたので、破片等の異物が発生することなく、異物付着によるノズルプレート3とキャビティプレート1との接着不良、封止材26を用いた際のギャップ封止不良等を防ぐことができる。また、TEOSを用いたプラズマCVD、スパッタリングにより、液体保護膜15を成膜するようにしたので、低温で緻密な成膜を行うことができる。そして、電極取出し口25となる部分をドライエッチングする際、開口位置を高精度に作製することができるシリコンマスクを用い、ずれの少ないピンアライメントにより基板とのアライメントを行うようにしたので、電極取出し口25となる部分だけを高精度にドライエッチングすることができる。また、本実施の形態では、シリコン基板41とガラス基板2とを陽極接合するが、あらかじめガラス基板に大気開放穴28を設け、ギャップの密閉状態を防ぐようにしたので、陽極接合時にギャップ部分に発生した気体によりシリコン基板41を加圧して、薄膜化した部分から割れるのを防ぐことができる。そして、ウェットエッチングが行われる前に大気開放穴28を塞ぐようにしたので、大気開放穴28からのエッチャントの浸入を防ぐことができる。
【0059】
実施の形態2.
上述の実施の形態では、ドライエッチング(RIEドライエッチング)により、シリコン基板41の電極取出し口25となる部分のシリコンを除去し、全面開口を行ったが、本発明は特に全面開口に限定するものではない。例えば、大気開放をするために一部を除去するようにしてもよい。そして、残りの部分については、例えば、液体保護膜15及び封止材26を形成する際、材料を端子部11上に堆積させないようにするためのマスクとして用いることもできる。
【0060】
図6は実施の形態2に係る液滴吐出ヘッドの製造工程を表す図である。図6に基づいて本実施の形態における製造工程について説明する。ここで、図5(k)までの工程は、第1の実施の形態で説明したことと同様の工程で行われるので、説明を省略する。
【0061】
(l’)電極取出し口25となる部分の一部を開口したシリコンマスクを接合済み基板の表面に取り付け、実施の形態1で説明したことと同様に、例えば、RFパワー200W、圧力40Pa(0.3Torr)、CF4 流量30cm3 /min(30sccm)の条件で、RIEドライエッチングを2時間行い、電極取出し口25となる部分の一部を開口する。一部を開口することで、振動板4と電極8の間のギャップについても大気開放される。
【0062】
(m’)キャビティプレート1の上面にプラズマCVD法によりTEOS膜による液体保護膜15を、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は250W、圧力は66.7Pa(0.5Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素流量1000cm3 /min(1000sccm)の条件で0.1μm成膜する。電極取出し口25となる部分に残されたシリコンがマスクとなって、端子部11上には液体保護膜15(酸化シリコン)材料が堆積されない。
【0063】
(n’)さらに、再度シリコンマスクをシリコン基板41表面に取り付け、例えば、スパッタ又は蒸着等を行って、封止材26となる酸化シリコン(SiO2 )を電極取出し口25の端部に堆積させる。封止をすることができれば、ギャップの開口部分に堆積させる酸化シリコンの厚さについては特に限定しないが、ここでは2〜3μmであるものとする。ここでも、シリコンマスクに加え、電極取出し口25となる部分に残されたシリコンがマスクとなって、端子部11上には酸化シリコンが堆積されない。酸化シリコンは、エポキシ樹脂のように毛細管現象等を伴なわず、ギャップに滲入することなく開口部分に止まるので、リード部10を短く形成できる。ここでは、酸化シリコンを封止材26としているが、例えばAl23(酸化アルミニウム(アルミナ))、Ta25(五酸化タンタル)等、分子量が比較的小さく、蒸着、スパッタ等により堆積させることができ、水分を通さない物質を用いることができる。
【0064】
封止材26を堆積させた後の工程は、実施の形態1で説明した(p)以降と同様の工程を行うので説明を省略する。残された電極取出し口25となる部分に残されたシリコンは、ダイシング時に切り離されるので完成した液滴吐出ヘッドには残らない。
【0065】
以上のように、実施の形態2によれば、電極取出し口25となる部分を一部残した上で、封止材26を形成する際のマスクとして用いるようにしたので、実施の形態1で説明した効果を保ちつつ、例えば蒸着、スパッタ等により酸化シリコンを堆積させて封止材26を形成することができる。これにより、最終的には液滴吐出ヘッドに残らない、本来必要のない部分を有効利用することができる。
【0066】
実施の形態3.
上述の実施の形態では、ドライエッチングにより電極取出し口25となる部分を開口したが、これに限定するものではない。例えば、レーザ加工によって電極取出し口25となる部分の一部又は全部を開口することもできる。この場合も、シリコンの破片等の異物の発生を防ぐことができる。
【0067】
実施の形態4.
図7は上述の実施の形態で製造した液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置の外観図である。また、図8は液滴吐出装置の主要な構成手段の一例を表す図である。図7及び図8の液滴吐出装置は液滴吐出方式(インクジェット方式)による印刷を目的とする。また、いわゆるシリアル型の装置である。図8において、被印刷物であるプリント紙100が支持されるドラム101と、プリント紙100にインクを吐出し、記録を行う液滴吐出ヘッド102とで主に構成される。また、図示していないが、液滴吐出ヘッド102にインクを供給するためのインク供給手段がある。プリント紙110は、ドラム101の軸方向に平行に設けられた紙圧着ローラ103により、ドラム101に圧着して保持される。そして、送りネジ104がドラム101の軸方向に平行に設けられ、液滴吐出ヘッド102が保持されている。送りネジ104が回転することによって液滴吐出ヘッド102がドラム101の軸方向に移動するようになっている。
【0068】
一方、ドラム101は、ベルト105等を介してモータ106により回転駆動される。また、プリント制御手段107は、印画データ及び制御信号に基づいて送りネジ104、モータ106を駆動させ、また、ここでは図示していないが、発振駆動回路を駆動させて振動板4を振動させ、制御をしながらプリント紙110に印刷を行わせる。
【0069】
ここでは液体をインクとしてプリント紙110に吐出するようにしているが、液滴吐出ヘッドから吐出する液体はインクに限定されない。例えば、カラーフィルタとなる基板に吐出させる用途においては、カラーフィルタ用の顔料を含む液体、OLED等の表示基板に吐出させる用途においては、発光素子となる化合物を含む液体、基板上に配線する用途においては、例えば導電性金属を含む液体を、それぞれの装置において設けられた液滴吐出ヘッドから吐出させるようにしてもよい。また、液滴吐出ヘッドをディスペンサとし、生体分子のマイクロアレイとなる基板に吐出する用途に用いる場合では、DNA(Deoxyribo Nucleic Acids :デオキシリボ核酸)、他の核酸(例えば、Ribo Nucleic Acid:リボ核酸、Peptide Nucleic Acids:ペプチド核酸等)タンパク質等のプローブを含む液体を吐出させるようにしてもよい。その他、布等の染料の吐出等にも利用することができる。
【0070】
実施の形態5.
上述の実施の形態では、電極8と振動板4との間に静電気力を発生させ、振動板を撓ませて液滴を吐出させる、いわゆる静電駆動方式による液滴吐出ヘッドについて説明した。ただ、これに限定されるものではない。例えば、同じような構造のいわゆるピエゾ方式の液滴吐出ヘッドであっても適用することができる。また、同じような構造のMEMS(Micro Electro Mechanical System )を利用したアクチュエータ(駆動手段)等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した図である。
【図2】液滴吐出ヘッドの断面図である。
【図3】ガラス基板2を上面から見た図である。
【図4】実施の形態1の液滴吐出ヘッドの製造工程(その1)を表す図である。
【図5】実施の形態1の液滴吐出ヘッドの製造工程(その2)を表す図である。
【図6】実施の形態2に係る液滴吐出ヘッドの製造工程を表す図である。
【図7】液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置の外観図である。
【図8】液滴吐出装置の主要な構成手段の一例を表す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 キャビティプレート、2 ガラス基板、3 ノズルプレート、4 振動板、5 吐出室、6 オリフィス、7 リザーバ、8 電極、9 凹部、10 リード部、11 端子部、12 ノズル孔、13 インク供給口、14 TEOS膜、15 液体保護膜、18 ダイヤフラム、19 電極端子、20 液滴、21 記録紙、22 発振回路、23 ワイヤ、24 ITOパターン、25 電極取出し口、26 封止材、27 ダイシングライン、28 大気開放穴、41 シリコン基板、42 ボロンドープ層、43 TEOSエッチングマスク、100 プリンタ、101 ドラム、102 液滴吐出ヘッド、103 紙圧着ローラ、104 送りネジ、105 ベルト、106 モータ、107 プリント制御手段、110 プリント紙。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013