Warning: copy(.htaccess): failed to open stream: Permission denied in /home/jp321/public_html/header.php on line 8
液体噴射装置 - セイコーエプソン株式会社
米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 繊維;紙;印刷 -> セイコーエプソン株式会社

発明の名称 液体噴射装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15127(P2007−15127A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−196052(P2005−196052)
出願日 平成17年7月5日(2005.7.5)
代理人 【識別番号】100098073
【弁理士】
【氏名又は名称】津久井 照保
発明者 田中 良一
要約 課題
液滴の吐出時のクロストークを防止して、液滴吐出特性を常に一定に揃えることが可能な液体噴射装置を提供する。

解決手段
駆動信号発生回路は、圧力室内の液体にノズルからインク滴を吐出させない程度に圧力変動を生じさせ得るカウンターパルスCPM1,CPS,CPM2を含む第2駆動信号COM2を発生し、この第2駆動信号COM2は、第1駆動信号COM1に含まれる各吐出パルスDPM1,DPS,DPM2の発生期間T2〜T4に対応させて各カウンターパルスCPM1,CPS,CPM2を夫々配置し、圧力発生源制御手段は、スイッチを制御して、吐出ノズルに対応する圧電振動子への吐出パルスの供給タイミングに合わせて、当該吐出ノズルの隣に位置する休止ノズルに対応する圧電振動子にカウンターパルスを供給する。
特許請求の範囲
【請求項1】
液滴を吐出するノズル、当該ノズルに連通する圧力室、当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生源を有し、圧力発生源の作動によってノズルから液滴を吐出可能な液体噴射ヘッドを備え、
吐出ノズルの液滴の吐出タイミングに合わせて、当該吐出ノズルの隣に位置する休止ノズルに対応する圧力発生源を作動し、当該休止ノズルの圧力室内の液体を、液滴が吐出されない程度に加圧することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
複数の駆動信号を吐出周期毎に同時に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、
駆動信号発生手段から発生する駆動信号に含まれるパルスを選択して前記圧力発生源に供給する選択供給手段とを備え、
前記駆動信号発生手段は、圧力室内の液体にノズルから液滴を吐出させない程度に圧力変動を生じさせ得る非吐出パルスを含む非吐出駆動信号を発生し、
非吐出駆動信号は、他の駆動信号に含まれる各吐出パルスの発生期間に対応させて前記非吐出パルスを夫々配置し、
前記選択供給手段は、吐出ノズルに対応する圧力発生源への吐出パルスの供給タイミングに合わせて、当該吐出ノズルの隣に位置する休止ノズルに対応する圧力発生源に非吐出パルスを供給することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
非吐出パルスの圧力室収縮要素の供給タイミングを、対応する吐出パルスの圧力室収縮要素の供給タイミングに揃えたことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記非吐出パルスは、液滴が吐出されない程度にノズルに露出した液体表面を微振動させ得る微振動パルスであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記非吐出パルスは、対応する吐出パルスの駆動電圧を液滴が吐出されない程度に低下させて得られるカウンターパルスであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体噴射装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式プリンタ等の液体噴射装置に関するものであり、特に、複数の駆動信号を利用して液滴の吐出を制御可能な液体噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は液体を液滴として吐出可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、インクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドから液体状のインクをインク滴として吐出させて記録を行うインクジェット式記録装置(プリンタ)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、ディスプレー製造装置などの各種の製造装置にも応用されている。
【0003】
液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッドは、共通インク室(リザーバ)から圧力室を通ってノズルに至るまでの一連のインク流路を備え、圧電振動子や発熱素子等の圧力発生源を作動させて圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用して圧力室内のインクをノズルからインク滴として吐出可能に構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ得る圧力発生源としては、圧電振動子や発熱素子等がある。前者は、所謂縦振動型や撓み振動型等の種類があり、何れも圧力室の一部を区画する振動板を変形させることにより圧力室の容積を変化させて圧力変動を生じさせる。後者の発熱素子は、発熱により生じた気泡によって圧力室内に圧力変動を生じさせるものである。また、圧力発生源としては、圧力室の一部を区画する共通電極としての振動板と、この振動板に対して僅な隙間を隔てて向き合わせた個別電極としての電極板とから構成され、これらの対向電極間に駆動電圧を印加して静電力を作用させ、この静電力によって振動板を撓ませることにより、圧力室内に圧力変動を生じさせるものも実用化されている。
【0004】
【特許文献1】特開平05−069542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような記録ヘッドでは、記録画像の画質向上に対応するべく、複数のノズルを高密度に配設している。これにより、各ノズルに連通している圧力室も高い密度で形成されており、その結果、隣り合う圧力室同士を区画する隔壁は非常に薄くなっている。そのため、例えば、あるノズルからインク滴を吐出する際に、圧力発生源の作動による圧力室内のインクの圧力変動に伴って、隔壁が隣の圧力室側に撓む可能性がある。この点に関し、吐出ノズルの両隣に位置するノズルでも同じタイミングで吐出が行われれば、両隣の圧力室の内圧が高まるので、隔壁の撓みは抑えることができるが、何れか一方でも吐出が行われない場合では、この休止ノズルの圧力室側に隔壁が撓む虞がある。そして、インク滴の吐出時に隔壁が隣の圧力室側に撓んでしまうと、その分、圧力損失が発生し、インク滴の飛翔速度の低下やインク滴量の減少等、インク滴の吐出特性が変化する虞がある。このような圧力損失は、隣接する圧力室間だけではなく、圧力室とリザーバとの間でも生じる。
【0006】
このように、吐出ノズルにおいて、この吐出ノズルに隣接するノズルが同時に駆動される場合と、同時に駆動されない場合とで、圧力室内に発生する圧力変動の状態が異なり、これにより吐出特性が変動する、所謂クロストークが発生する問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液滴の吐出時のクロストークを防止して、液滴吐出特性を常に一定に揃えることが可能な液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液滴を吐出するノズル、当該ノズルに連通する圧力室、当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生源を有し、圧力発生源の作動によってノズルから液滴を吐出可能な液体噴射ヘッドを備え、
吐出ノズルの液滴の吐出タイミングに合わせて、当該吐出ノズルの隣に位置する休止ノズルに対応する圧力発生源を作動し、当該休止ノズルの圧力室内の液体を、液滴が吐出されない程度に加圧することを特徴とする。
なお、「吐出ノズル」とは、ある期間において液滴の吐出が行われるノズルを意味し、「休止ノズル」とは、液滴の吐出に供するノズルであるが、当該期間では吐出が行われない休止状態のノズルを意味する。
【0009】
当該構成によれば、吐出ノズルの液滴の吐出タイミングに合わせて、当該吐出ノズルの隣に位置する休止ノズルに対応する圧力発生源を作動し、当該休止ノズルの圧力室内の液体を、液滴が吐出されない程度に加圧するので、この加圧がカウンターバランスの如く作用することによって、吐出ノズルの圧力室と休止ノズルの圧力室とを区画する隔壁の撓みを抑制することができ、これにより圧力損失を低減させることができる。その結果、液滴の飛翔速度の低下や液滴量の減少等の吐出特性の変動を抑制してクロストークを防止することが可能となる。このため、吐出ノズルに隣接するノズルで同時に吐出が行われる場合(隣のノズルが吐出ノズルである場合)と、吐出ノズルに隣接するノズルで同時に吐出が行われない場合(隣のノズルが休止ノズルである場合)とで、インク滴の吐出特性を一定に揃えることができる。また、吐出ノズルの液滴の吐出タイミングに合わせて休止ノズルの圧力室内の液体を加圧することで、各圧力室共通の液体が導入される共通液体室を通じた休止ノズルの圧力室への圧力損失をも低減することが可能となり、この点においても吐出特性の変動を抑制することができる。
【0010】
上記構成において、複数の駆動信号を吐出周期毎に同時に繰り返し発生可能な駆動信号発生手段と、
駆動信号発生手段から発生する駆動信号に含まれるパルスを選択して前記圧力発生源に供給する選択供給手段とを備え、
前記駆動信号発生手段は、圧力室内の液体にノズルから液滴を吐出させない程度に圧力変動を生じさせ得る非吐出パルスを含む非吐出駆動信号を発生し、
非吐出駆動信号は、他の駆動信号に含まれる各吐出パルスの発生期間に対応させて前記非吐出パルスを夫々配置し、
前記選択供給手段は、吐出ノズルに対応する圧力発生源への吐出パルスの供給タイミングに合わせて、当該吐出ノズルの隣に位置する休止ノズルに対応する圧力発生源に非吐出パルスを供給する構成を採用することができる。
【0011】
また、上記構成において、非吐出パルスの圧力室収縮要素の供給タイミングを、対応する吐出パルスの圧力室収縮要素の供給タイミングに揃えることが望ましい。
【0012】
この構成によれば、吐出ノズルと休止ノズルとで圧力室内の液体の加圧が同時に行われるので、吐出ノズルの圧力室から休止ノズルの圧力室側への圧力損失をより確実に低減させることができる。
【0013】
また、上記構成において、前記非吐出パルスとして、液滴が吐出されない程度にノズルに露出した液体表面を微振動させ得る微振動パルスを用いる構成を採用することが可能である。
【0014】
この構成によれば、非吐出パルスとして既存の微振動パルスを利用するので、複数の駆動信号を用いて吐出制御が可能な従来の液体噴射装置に対して簡単な設計変更を施すことで、クロストークを防止可能な構成を実現することができる。
【0015】
また、上記構成において、前記非吐出パルスは、対応する吐出パルスの駆動電圧を液滴が吐出されない程度に低下させて得られるカウンターパルスであることが望ましい。
【0016】
この構成によれば、非吐出パルスとして、対応する吐出パルスの駆動電圧を液滴が吐出されない程度に低下させて得られるカウンターパルスを利用するので、吐出ノズルと休止ノズルとで圧力室の内圧の変動タイミングを合致させることができ、圧力損失をより効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面等を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(インクジェット式プリンタ)を例に挙げて説明する。
【0018】
図1に例示したインクジェット式プリンタ(以下、単にプリンタという。)は、プリンタコントローラ1とプリントエンジン2とから構成されている。プリンタコントローラ1は、図示しないホストコンピュータ等の外部装置との間でデータの送受信を行う外部インタフェース3(以下、外部I/F3と称する。)と、各種データの記憶等を行うRAM4と、各種データ処理のための制御プログラム等を記憶したROM5と、CPU等からなる制御部6と、クロック信号を発生する発振回路7と、記録ヘッド8へ供給する駆動信号(COM1,COM2)を発生する駆動信号発生回路9と、記録データ及び駆動信号等をプリントエンジン2に送信するための内部インタフェース10(以下、内部I/F10と称する。)とを備えている。
【0019】
外部I/F3は、例えばキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータの何れか1つのデータ又は複数のデータからなる印刷データをホストコンピュータ等から受信する。また、外部I/F3からは、外部装置に対してビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)等の状態信号が出力される。RAM4は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ及びワークメモリ等として利用されるものである。受信バッファには、外部I/F3が受信したホストコンピュータからの印刷データが一時的に記憶される。中間バッファには、制御部6によって中間コードに変換された中間コードデータが記憶される。出力バッファには、記録ヘッド8に送られる記録データが展開される。また、ROM5は、制御部6によって実行される各種制御プログラム、フォントデータ及びグラフィック関数、各種手続き等を記憶している。
【0020】
駆動信号発生回路9は、本発明の駆動信号発生手段に相当し、第1駆動信号COM1を発生可能な第1駆動信号発生部9A(第1駆動信号発生手段)と、第2駆動信号COM2を発生可能な第2駆動信号発生部9B(第2駆動信号発生手段)とを備える。そして、図3に示すように、第1駆動信号COM1は、微振動パルスBP、第1ミドルドット吐出パルスDPM1、スモールドット吐出パルスDPS、第2ミドルドット吐出パルスDPM2を1記録周期T内に有する一連の信号であり、記録周期T毎に繰り返し発生される。本実施形態において、一記録周期Tは、合計4つの期間(パルス発生期間)T1〜T4に区分されている。そして、第1駆動信号COM1では、期間T1において微振動パルスBPが発生し、期間T2で第1ミドルドット吐出パルスDPM1が発生し、期間T3でスモールドット吐出パルスDPSが発生し、期間T4で第2ミドルドット吐出パルスDPM2が発生する。一方、第2駆動信号COM2は、パルス発生期間T1に発生する微振動パルスBPの他、第1駆動信号COM1に含まれる各吐出パルスの発生期間T2〜T4に対応させて、3つのカウンターパルスCPM1,CPS,CPM2を夫々配置した駆動信号であり、第1駆動信号COM1と同様、記録周期T毎に繰り返し発生される。
なお、記録周期Tは、駆動信号COMの繰り返し単位であり、本発明における吐出周期の一種である。また、これらの駆動信号COM1,COM2については、後で詳しく説明する。
【0021】
制御部6は、ROM5に記憶されている制御プログラム等に従ってプリンタの各部を制御したり、外部装置からの印刷データを記録ヘッド8に送信するための記録データに展開したりする。そして、記録データへの展開時において、制御部6は、まずRAM4内に格納された印刷データを読み出して中間コードに変換し、この中間コードデータをRAM4に設けられた中間バッファに記憶する。次に、制御部6は、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM5内のフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して中間コードデータをドット毎の記録データ(ドットパターンデータ)に展開する。
【0022】
本実施形態の記録データは、1ドットが2ビットの階調データによって構成される。この階調データは、例えば、非記録(非吐出)を示す階調データ[00]と、スモールドットによる記録を示す階調データ[01]と、ミドルドットによる記録を示す階調データ[10]と、ラージドットによる記録を示す階調データ[11]とから構成される。したがって、本実施形態におけるプリンタは、4階調での記録が可能に構成されている。これら4種の記録階調に関し、単位面積当たりの着弾インク量は、ラージドットの記録階調が最も多く、ミドルドットの記録階調、スモールドットの記録階調の順に少なくなり、非記録の記録階調は0(pL)である。
【0023】
また、制御部6は、内部I/F10を通じて記録ヘッド8に対してラッチ信号やチャンネル信号等を供給する。これらのラッチ信号やチャンネル信号に含まれるラッチパルスやチャンネルパルスは、駆動信号COM1,COM2を構成する各パルスの供給開始タイミングを規定する。
【0024】
次に、プリントエンジン2について説明する。このプリントエンジン2は、図1に示すように、記録ヘッド8、キャリッジ機構11、紙送り機構12、及び、リニアエンコーダ13を備えている。キャリッジ機構11は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド8が取り付けられたキャリッジと、このキャリッジをタイミングベルト等を介して走行させる駆動モータ(例えば、DCモータ)等からなり、記録ヘッド8を主走査方向に移動させる。紙送り機構12は、紙送りモータ及び紙送りローラ等からなり、記録紙(吐出対象物の一種)を順次送り出して副走査を行う。また、リニアエンコーダ13は、キャリッジに搭載された記録ヘッド8の走査位置に応じたエンコーダパルスを、主走査方向における位置情報として内部I/F10を通じて制御部6に出力する。制御部6は、リニアエンコーダ13側から受信したエンコーダパルスに基づいて記録ヘッド8の走査位置(現在位置)を把握することができる。
【0025】
図2は、上記の記録ヘッド8の構成を説明する要部断面図である。この記録ヘッド8は、ケース16と、このケース16内に収納される振動子ユニット17と、ケース16の底面(先端面)に接合される流路ユニット18等を備えて構成されている。上記のケース16は、例えば、エポキシ系樹脂により作製され、その内部には振動子ユニット17を収納するための収納空部19が形成されている。振動子ユニット17は、本発明における圧力発生源の一種として機能する圧電振動子20と、この圧電振動子20が接合される固定板21と、圧電振動子20に駆動信号等を供給するためのフレキシブルケーブル22とを備えている。圧電振動子20は、圧電体層と電極層とを交互に積層した圧電板を櫛歯状に切り分けることで作製された積層型であって、積層方向に直交する方向に伸縮可能な縦振動モードの圧電振動子である。
【0026】
流路ユニット18は、流路形成基板23の一方の面にノズルプレート24を、流路形成基板23の他方の面に弾性板25をそれぞれ接合して構成されている。この流路ユニット18には、リザーバ26と、インク供給口27と、圧力室28と、ノズル29とが設けられている。そして、インク供給口27から圧力室28を経てノズル29に至る一連のインク流路が、ノズル29毎に対応して形成されている。
【0027】
上記ノズルプレート24は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル29が列状に穿設されたステンレス等の金属製の薄いプレートである。このノズルプレート24には、ノズル29の列(ノズル列)が複数設けられており、1つのノズル列は、例えば180個のノズル29によって構成される。そして、本実施形態における記録ヘッド8は、それぞれ異なる色のインク(本発明における液体の一種)、具体的には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の合計4色のインクに対応させて合計4列のノズル列がノズルプレート24に形成されている。
【0028】
上記弾性板25は、支持板30の表面に弾性体膜31を積層した二重構造である。本実施形態では、金属板の一種であるステンレス板を支持板30とし、この支持板30の表面に樹脂フィルムを弾性体膜31としてラミネートした複合板材を用いて弾性板25を作製している。この弾性板25には、圧力室28の容積を変化させるダイヤフラム部32が設けられている。また、この弾性板25には、リザーバ26の一部を封止するコンプライアンス部33が設けられている。
【0029】
上記のダイヤフラム部32は、エッチング加工等によって支持板30を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム部32は、圧電振動子20の先端面が接合される島部34と、この島部34を囲む薄肉弾性部35とからなる。上記のコンプライアンス部33は、リザーバ26の開口面に対向する領域の支持板30を、ダイヤフラム部32と同様にエッチング加工等によって除去することにより作製され、リザーバ26に貯留された液体の圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
【0030】
この記録ヘッド8では、圧電振動子20を充電したり放電したりすることで圧電振動子20が変形する。即ち、この縦振動モードの圧電振動子20は、充電によって振動子長手方向に収縮し、放電によって振動子長手方向に伸長する。このため、充電によって振動子電位を上昇させると、島部34が圧電振動子側に引っ張られ、島部周辺の薄肉弾性部35が変形して圧力室28が膨張する。また、放電によって振動子電位を下降させると、圧電振動子20が戻り方向に伸長して圧力室28が収縮する。
【0031】
このように、振動子電位に応じて圧力室28の容積が制御できるので、圧力室28内のインクに圧力変動を生じさせることができ、この圧力変動を利用してノズル29からインク滴を吐出させることができる。例えば、圧力室28を一旦膨張させた後に急激に収縮させることで、インク滴を吐出させることができる。
【0032】
次に、この記録ヘッド8の電気的構成について説明する。この記録ヘッド8は、図1に示すように、第1シフトレジスタ41及び第2シフトレジスタ42からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路43及び第2ラッチ回路44からなるラッチ回路と、デコーダ45と、制御ロジック46と、第1レベルシフタ47及び第2レベルシフタ48からなるレベルシフタ回路と、第1スイッチ49及び第2スイッチ50からなるスイッチ回路と、圧電振動子20とを備えている。そして、各シフトレジスタ41,42、各ラッチ回路43,44、各レベルシフタ47,48、各スイッチ49,50、及び、圧電振動子20は、それぞれノズル29毎に対応した数だけ設けられる。
【0033】
この記録ヘッド8は、プリンタコントローラ1からの記録データに基づいてインク滴を吐出させる。本実施形態では、記録データの上位ビット群、記録データの下位ビット群の順に記録ヘッド8へ送られてくるので、まず、記録データの上位ビット群が第2シフトレジスタ42にセットされる。全てのノズル29について記録データの上位ビット群が第2シフトレジスタ42にセットされると、こららの上位ビット群が第1シフトレジスタ41にシフトする。これと同時に、記録データの下位ビット群が第2シフトレジスタ42にセットされる。
【0034】
第1シフトレジスタ41の後段には、第1ラッチ回路43が電気的に接続され、第2シフトレジスタ42の後段には、第2ラッチ回路44が電気的に接続されている。そして、プリンタコントローラ1側からのラッチパルスが各ラッチ回路43,44に入力されると、第1ラッチ回路43は記録データの上位ビット群をラッチし、第2ラッチ回路44は記録データの下位ビット群をラッチする。各ラッチ回路43,44でラッチされた記録データ(上位ビット群,下位ビット群)はそれぞれ、デコーダ45へ出力される。このデコーダ45は、記録データの上位ビット群及び下位ビット群に基づいて、駆動信号COM1,COM2を構成する各パルスを選択するためのパルス選択データを生成する。
【0035】
本実施形態においてパルス選択データは、各駆動信号COM1,COM2毎に生成される。即ち、第1駆動信号COM1に対応する第1パルス選択データは、微振動パルスBP(期間T1)、第1ミドルドット吐出パルスDPM1(期間T2)、スモールドット吐出パルスDPS(期間T3)、及び、第2ミドルドット吐出パルスDPM2(期間T4)に対応する合計4ビットのデータによって構成されている。また、第2駆動信号COM2に対応する第2パルス選択データは、微振動パルスBP(期間T1)、第1ミドルカウンターパルスCPM1(期間T2)、スモールカウンターパルスCPS(期間T3)、及び、第2ミドルカウンターパルスCPM2(期間T4)に対応する合計4ビットのデータによって構成されている。
【0036】
また、デコーダ45には、制御ロジック46からのタイミング信号も入力されている。この制御ロジック46は、ラッチ信号やチャンネル信号の入力に同期してタイミング信号を発生する。このタイミング信号も駆動信号COM1,COM2毎に生成される。デコーダ45によって生成された各パルス選択データは、タイミング信号によって規定されるタイミングで上位ビット側から順次各レベルシフタ47,48に入力される。これらのレベルシフタ47,48は、電圧増幅器として機能し、パルス選択データが[1]の場合には、対応するスイッチ49,50を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。即ち、第1パルス選択データが[1]の場合には第1スイッチ49に電気信号が出力され、第2パルス選択データが[1]の場合には第2スイッチ50に電気信号が出力される。
【0037】
第1スイッチ49の入力側には第1駆動信号発生部9Aからの第1駆動信号COM1が供給されており、第2スイッチ50の入力側には第2駆動信号発生部9Bからの第2駆動信号COM2が供給されている。また、各スイッチ49,50の出力側には圧電振動子20が電気的に接続されている。そして、これらの第1スイッチ49及び第2スイッチ50は、発生される駆動信号の種類毎に設けられており、駆動信号発生回路9と圧電振動子20との間に介在して各駆動信号COM1,COM2を圧電振動子20へ選択的に供給する。このような動作をする第1スイッチ49及び第2スイッチ50は、本発明における選択供給手段の一種として機能する。
【0038】
上記のパルス選択データは、各スイッチ49,50の作動を制御する。即ち、第1スイッチ49に入力されたパルス選択データが[1]である期間中は、この第1スイッチ49が導通状態になり、第1駆動信号COM1が圧電振動子20に供給される。同様に、第2スイッチ50に入力されたパルス選択データが[1]である期間中は、第2駆動信号COM2が圧電振動子20に供給される。そして、供給された駆動信号COM1,COM2に応じて圧電振動子20の振動子電位が変化する。一方、各スイッチ49,50に入力されたパルス選択データが共に[0]の期間中は、各スイッチ49,50が切断状態となり、圧電振動子20へは駆動信号が供給されない。要するに、パルス選択データとして[1]が設定された期間のパルスが選択的に圧電振動子20に供給される。
このように、本実施形態では、デコーダ45、制御ロジック46、各レベルシフタ47,48、及び、各スイッチ49,50は、圧力発生源制御手段として機能し、記録データ(階調データ)に応じて駆動信号COM1,COM2の供給を制御することにより、圧電振動子20の挙動を制御する。
【0039】
次に、駆動信号発生回路9が発生する各駆動信号COM1,COM2と、これらの駆動信号COM1,COM2の圧電振動子20への供給制御について説明する。
図3に例示した駆動信号は、上記したように、第1駆動信号COM1と、第2駆動信号COM2とからなる。そして、第1駆動信号COM1は、期間T1で発生する微振動パルスBPと、期間T2で発生する第1ミドルドット吐出パルスDPM1と、期間T3で発生するスモールドット吐出パルスDPSと、期間T4で発生する第2ミドルドット吐出パルスDPM2とからなる。また、第2駆動信号COM2は、期間T1で発生する微振動パルスBPと、期間T2で発生する第1ミドルカウンターパルスCPM1と、期間T3で発生するスモールカウンターパルスCPSと、期間T4で発生する第2ミドルカウンターパルスCPM2とからなる。
【0040】
上記第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2における期間T1で発生する微振動パルスBPは、中間電位Vhmから微振動電位VhBまで電位を比較的緩やかに上昇させて圧力室28を膨張させる微振動膨張要素P01と、微振動電位VhBを極く短時間維持する微振動ホールド要素P02と、微振動電位VhBから中間電位Vhmまで比較的緩やかな勾配で電位を復帰させて、膨張した圧力室28を基準容積(中間電位Vhm印加時の圧力室28の容積)まで収縮させる微振動収縮要素P03とにより構成されている。
【0041】
このように構成された微振動パルスBPが圧電振動子20に供給されると、まず、微振動膨張要素P01により圧電振動子20が収縮し、緩やかに圧力室28が膨張する。そして、微振動ホールド要素P02により圧力室28の膨張状態が僅かの間維持された後、微振動収縮要素P03が供給されることにより、圧電振動子20が伸長して圧力室28が基準容積に復帰する。この圧力室28の一連の容積変動に伴って圧力室28内には比較的緩やかな圧力変動が生じ、この圧力変動によってノズル29に露出したメニスカスが微振動する。このメニスカスの微振動によってノズル29付近の増粘インクが分散され、その結果、インクの増粘を防止することができる。
【0042】
第1駆動信号COM1において期間T2で発生する第1ミドルドット吐出パルスDPM1、及び、期間T4で発生する第2ミドルドット吐出パルスDPM2は、何れも同じ波形形状であり、第1膨張要素P04と、第1膨張ホールド要素P05と、第1収縮要素P06(圧力室収縮要素の一種)と、第1制振ホールド要素P07と、第1膨張制振要素P08とからなる。第1膨張要素P04は、中間電位Vhmから第1膨張電位Vh1までインク滴を吐出させない程度の比較的緩やかな一定勾配で電位を上昇させる波形要素であり、第1膨張ホールド要素P05は、第1膨張電位Vh1で一定な波形要素である。第1収縮要素P06は、第1膨張電位Vh1から収縮電位VLまで急勾配で電位を下降させる波形要素であり、第1制振ホールド要素P07は、収縮電位VLを短い期間維持する波形要素である。また、第1膨張制振要素P08は収縮電位VLから中間電位Vhmまでインク滴を吐出させない程度の一定勾配で電位を復帰させる波形要素である。
【0043】
このように構成された第1ミドルドット吐出パルスDPM1又は第2ミドルドット吐出パルスDPM2が圧電振動子20に供給されると、まず、第1膨張要素P04によって圧電振動子20は素子長手方向に収縮し、圧力室28が中間電位Vhmに対応する基準容積から第1膨張電位Vh1に対応する膨張容積まで膨張する。この膨張により、メニスカスが圧力室28側に大きく引き込まれると共に、圧力室28内にはリザーバ26側からインク供給口27を通じてインクが供給される。そして、この圧力室28の膨張状態は、第1膨張ホールド要素P05の供給期間中に亘って維持される。その後、第1収縮要素P06が供給されて圧電振動子20が伸長する。この圧電振動子20の伸長により、圧力室28は、膨張容積から収縮電位VLに対応する収縮容積まで急激に収縮される。この圧力室28の急激な収縮により圧力室28内のインクが加圧され、ノズル29からミドルドットに対応する量のインク滴が吐出される。圧力室28の収縮状態は、第1制振ホールド要素P07の供給期間に亘って維持され、この間に、インク滴の吐出によって減少した圧力室28内のインク圧力は、その固有振動によって再び上昇する。この上昇タイミングにあわせて第1膨張制振要素P08が供給される。この膨張制振要素P08の供給により、圧力室28が基準容積まで膨張復帰し、圧力室28内のインクの圧力変動が吸収される。
【0044】
上記第1駆動信号COM1における期間T3で発生するスモールドット吐出パルスDPSは、第2膨張要素P09と、第2膨張ホールド要素P10と、第2収縮要素P11(圧力室収縮要素の一種)と、収縮ホールド要素P12と、第3収縮要素P13と、第2制振ホールド要素P14と、第2膨張制振要素P15とから構成されている。第2膨張要素P09は、中間電位Vhmから第2膨張電位Vh2まで電位を上昇させる波形要素であり、第2膨張ホールド要素P10は、第2膨張電位Vh2で一定な波形要素である。また、第2収縮要素P11は、第2膨張電位Vh2から吐出電位Vh3まで急激に電位を下降させる波形要素であり、収縮ホールド要素P12は、吐出電位Vh3で一定な波形要素である。第3収縮要素P13は、吐出電位Vh3から収縮電位VLまで急勾配で電位を下降させる波形要素であり、第2制振ホールド要素P14は、収縮電位VLを短い期間維持する波形要素である。また、第2膨張制振要素P15は収縮電位VLから中間電位Vhmまでインク滴を吐出させない程度の一定勾配で電位を復帰させる波形要素である。
【0045】
このように構成されたスモールドット吐出パルスDPSが圧電振動子20に供給されると、第2膨張要素P09によって圧電振動子20は素子長手方向に急速に収縮し、圧力室28が基準容積から第2膨張電位Vh2に対応する膨張容積まで急速に膨張する。この膨張により、圧力室28内には比較的強い負圧が発生し、メニスカスが圧力室28側に引き込まれると共に、リザーバ26側から圧力室28にインクが供給される。そして、この圧力室28の膨張状態は、第2膨張ホールド要素P10の供給期間中に亘って維持される。この間にメニスカスの中心部分の移動方向が吐出方向に反転し、この中心部分が柱状に盛り上がった状態になる(以下、この部分を柱状部分という)。
【0046】
その後、第2収縮要素P11が供給されて圧電振動子20が伸長する。この圧電振動子20の伸長により、圧力室28は、膨張容積から吐出電位Vh3に対応する吐出容積まで急激に収縮される。そして、この圧力室28の急激な収縮により圧力室28内のインクが加圧されてメニスカスの柱状部分の成長が促される。第2収縮要素P11に続いて、収縮ホールド要素P12が供給され、吐出容積が僅かの間維持された後、第3収縮要素P13が供給されて圧電振動子20が伸長する。この圧電振動子20の伸長により、圧力室28は、吐出容積から収縮容積まで急激に収縮される。この圧力室28の急激な収縮により、メニスカス中央の柱状部分が途中でちぎれてスモールドットに対応する量のインク滴として吐出される。圧力室28の収縮状態は、第2制振ホールド要素P14の供給期間に亘って維持され、この間に、インク滴の吐出によって減少した圧力室28内のインク圧力は、その固有振動によって再び上昇する。この上昇タイミングにあわせて第2膨張制振要素P15が供給される。この第2膨張制振要素P15の供給により、圧力室28が基準容積まで膨張復帰し、圧力室28内のインクの圧力変動が吸収される。
【0047】
第2駆動信号COM2は、本発明における非吐出駆動信号の一種として機能し、期間T1で発生する微振動パルスBPの他、第1駆動信号COM1の各吐出パルスDPM1,DPS,DPM2の発生期間T2〜T4に対応させて、第1ミドルカウンターパルスCPM1、スモールカウンターパルスCPS、及び、第2ミドルカウンターパルスCPM2を夫々配置している。即ち、期間T2で発生する第1ミドルカウンターパルスCPM1は、第1駆動信号COM1の第1ミドルドット吐出パルスDPM1に対応し、期間T3で発生するスモールカウンターパルスCPSは、第1駆動信号COM1のスモールドット吐出パルスDPSに対応し、また、期間T4で発生する第2ミドルカウンターパルスCPM2は、第1駆動信号COM1の第2ミドルドット吐出パルスDPM2に対応するカウンターパルスである。これらのカウンターパルスCPM1,CPS,CPM2は、本発明における非吐出パルスの一種に相当する。ここで、カウンターパルスとは、対応する吐出パルスの駆動電圧(最低電位から最高電位までの電位差)をノズル29からインク滴が吐出されない程度の電圧まで低下させて得られるパルスであり、対応する吐出パルスをそのまま縦方向(電位変化軸方向)に縮小した形状を呈している。
【0048】
第2駆動信号COM2における期間T2,T4で夫々発生する第1ミドルカウンターパルスCPM1、第2ミドルカウンターパルスCPM2は、何れも同じ波形形状であり、第3膨張要素P21と、第3膨張ホールド要素P22と、第4収縮要素P23(圧力室収縮要素の一種)と、第3制振ホールド要素P24と、第3膨張制振要素P25とから構成される。各波形要素P21〜P25の発生期間は、図3(a)に示すように、ミドルドット吐出パルスDPM1,DPM2の波形要素P04〜P08の発生期間と夫々一致している。そして、各ミドルカウンターパルスCPM1,CPM2の駆動電圧VhM′は、ミドルドット吐出パルスDPM1,DPM2の駆動電圧VhMの20〜30%に設定されている。このため、波形要素P21,P23,P25の傾きは、夫々対応する波形要素P04,P06,P08の傾きよりも緩やかになっている。
【0049】
このように構成された第1ミドルカウンターパルスCPM1、又は、第2ミドルカウンターパルスCPM2が圧電振動子20に供給されると、まず、第3膨張要素P21によって圧電振動子20は素子長手方向に収縮し、圧力室28が中間電位Vhmに対応する基準容積から第4膨張電位Vh4に対応する膨張容積まで膨張する。そして、この圧力室28の膨張状態は、第3膨張ホールド要素P22の供給期間中に亘って維持される。その後、第4収縮要素P23が供給されて圧電振動子20が伸長する。この圧電振動子20の伸長により、圧力室28は、膨張容積から第2収縮電位VL′に対応する収縮容積まで収縮される。この圧力室28の収縮により圧力室28内のインクが加圧されるが、ノズル29からインク滴は吐出されない。そして、圧力室28の収縮状態が第3制振ホールド要素P24の供給期間に亘って維持された後、第3膨張制振要素P25が供給されて、圧力室28が基準容積まで膨張復帰し、圧力室28内のインクの圧力変動が吸収される。
【0050】
上記第2駆動信号COM2における期間T3で発生するスモールカウンターパルスCPSは、第4膨張要素P26と、第4膨張ホールド要素P27と、第5収縮要素P28(圧力室収縮要素の一種)と、第2収縮ホールド要素P29と、第6収縮要素P30と、第4制振ホールド要素P31と、第4膨張制振要素P32とから構成されている。このスモールカウンターパルスCPSを構成する各波形要素P26〜P32の発生期間は、図3(a)に示すように、スモールドット吐出パルスDPSの波形要素P09〜P15の発生期間と夫々一致している。そして、スモールカウンターパルスCPSの駆動電圧VhM′は、スモールドット吐出パルスDPSの駆動電圧VhSの20〜30%に設定されている。このため、波形要素P26,P28,P30,P32の傾きは、夫々対応する波形要素P09,P11,P13,P15の傾きよりも緩やかになっている。
【0051】
このように構成されたスモールカウンターパルスCPSが圧電振動子20に供給されると、第4膨張要素P26によって圧電振動子20が素子長手方向に収縮し、圧力室28が基準容積から第5膨張電位Vh5に対応する膨張容積まで膨張する。この圧力室28の膨張状態は、第4膨張ホールド要素P27の供給期間中に亘って維持される。その後、第5収縮要素P28が供給されて圧電振動子20が僅かに伸長し、この圧電振動子20の伸長により圧力室28内のインクが加圧されて、インク滴が吐出されない程度の圧力変動が圧力室28内に生じる。その後、第2収縮ホールド要素P29に続いて第6収縮要素P30が供給されて圧電振動子20がさらに伸長するが、この圧電振動子20の伸長も緩やかであり、インク滴は吐出されない。そして、第4制振ホールド要素P31と第4膨張制振要素P32が相次いで供給され、圧力室28が基準容積まで膨張復帰し、圧力室28内のインクの圧力変動が吸収される。
【0052】
次に、上記のように構成された駆動信号COM1,COM2を用いた記録制御(吐出制御)について説明する。この記録制御では、インク滴が吐出されるノズル29(以下、吐出ノズルという)のインク滴の吐出タイミングに合わせて、当該タイミングではインク滴の吐出が行われないノズル29(以下、休止ノズルという)に対応する圧電振動子20を作動して、当該休止ノズルに対応する圧力室28内のインクを、インク滴を吐出させない程度に加圧するようにしている。具体的には、記録周期Tにおいて、インク滴を吐出しない期間では、微振動パルスBP又はカウンターパルスCPM1,CPS,CPM2の何れかを選択して圧電振動子20に供給するようにしている。以下、この点について、図4を参照しながら説明する。
【0053】
まず、非記録の場合、即ち、記録周期T中の何れの期間T1〜T4においてもインク滴の吐出が行われない場合について説明する。この場合、図4(a)に示すように、デコーダ45は、非記録の階調データ[00]の翻訳により、第1波形選択データ[0000]及び第2波形選択データ[1111]を生成する。そして、圧力発生源制御手段は、生成された波形選択データに基づいて第1スイッチ49及び第2スイッチ50の動作を制御し、第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2の圧電振動子20への供給を制御する。即ち、この場合、記録周期Tに亘って、第1スイッチ49が切断状態に制御される一方、第2スイッチ50は接続状態に制御される。これにより、期間T1において微振動パルスBPが圧電振動子20に供給されて印字内微振動が行われた後、期間T2においては第1ミドルカウンターパルスCPM1、期間T3においてはスモールカウンターパルスCPS、期間T4においては第2ミドルカウンターパルスCPM2が圧電振動子20に順次供給される。期間T2〜T4では、これらのカウンターパルスCPM1,CPS,CPM2が圧電振動子20に夫々供給されることで、インク滴が吐出されない程度に圧力室28内のインクに圧力変動が生じる。
【0054】
次に、スモールドットを記録する場合について説明する。この場合、図4(b)に示すように、デコーダ45は、スモールドットの階調データ[01]の翻訳により、第1波形選択データ[0010]及び第2波形選択データ[1101]を生成する。そして、圧力発生源制御手段は、生成された波形選択データに基づいて第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2の圧電振動子20への供給を制御する。即ち、期間T1,T2では、第1スイッチ49が切断状態、第2スイッチ50が接続状態に制御される。これにより、期間T1で微振動パルスBPが、期間T2で第1ミドルカウンターパルスCPM1が、夫々圧電振動子20に供給される。また、期間T3では、第1スイッチ49が接続状態、第2スイッチ50が切断状態に制御され、スモールドット吐出パルスDPSが選択されて圧電振動子20に供給される。その結果、スモールドットに対応する量のインク滴がノズル29から吐出される。そして、期間T4では、第1スイッチ49が切断状態、第2スイッチ50が接続状態に制御される。これにより、期間T4では、第2ミドルカウンターパルスCPM2が選択されて圧電振動子20に供給される。
【0055】
次に、ミドルドットを記録する場合について説明する。この場合、図4(c)に示すように、デコーダ45は、ミドルドットの階調データ[10]の翻訳により、第1波形選択データ[0100]及び第2波形選択データ[1011]を生成する。そして、生成された波形選択データに基づき、期間T1では、第1スイッチ49が切断状態、第2スイッチ50が接続状態に制御される。これにより、微振動パルスBPが圧電振動子20に供給され、印字内微振動が行われる。期間T2では、第1スイッチ49が接続状態、第2スイッチ50が切断状態に制御され、第1ミドルドット吐出パルスDPM1が選択されて圧電振動子20に供給される。これにより、ノズル29からはミドルドットに対応する量のインク滴が吐出される。そして、期間T3,T4では、第1スイッチ49が切断状態、第2スイッチ50が接続状態に制御される。これにより、期間T3でスモールカウンターパルスCPSが、期間T4で第2ミドルカウンターパルスCPM2が、夫々圧電振動子20に供給される。
【0056】
次に、ラージドットを記録する場合について説明する。この場合、図4(d)に示すように、デコーダ45は、ラージドットの階調データ[11]の翻訳により、第1波形選択データ[0101]及び第2波形選択データ[1010]を生成する。そして、圧力発生源制御手段は、生成された波形選択データに基づいて第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2の圧電振動子20への供給を制御する。即ち、期間T1では、第1スイッチ49が切断状態、第2スイッチ50が接続状態に制御される。これにより、微振動パルスBPが圧電振動子20に供給され、印字内微振動が行われる。期間T2では、第1スイッチ49が接続状態、第2スイッチ50が切断状態に制御され、第1ミドルドット吐出パルスDPM1が圧電振動子20に供給される。続いて、期間T3では、第1スイッチ49が切断状態、第2スイッチ50が接続状態に制御され、スモールカウンターパルスCPSが圧電振動子20に供給される。そして、期間T4では、第1スイッチ49が接続状態、第2スイッチ50が切断状態に制御され、第2ミドルドット吐出パルスDPM2が圧電振動子20に供給される。その結果、ミドルドットに対応する量のインク滴がノズル29から2回続けて吐出され、これらのインク滴によって記録紙にラージドットが記録される。
【0057】
このように駆動信号COM1,COM2を用いて記録制御を行うことで、吐出が行われない休止ノズルに対応する圧電振動子20には、吐出ノズルに対応する圧電振動子20への吐出パルスの供給タイミングに合わせて、カウンターパルスCPM1,CPS,CPM2のうちの何れかのカウンターパルスが選択・供給される。これにより、吐出ノズルからのインク滴の吐出タイミングに合わせて、休止ノズルに対応する圧電振動子20が作動(伸長)し、当該休止ノズルの圧力室28内のインクが、インク滴が吐出されない程度に加圧される。即ち、吐出ノズルと休止ノズルとで、圧力室28内のインクへの加圧が同時に行われる。この加圧によって、吐出ノズルの圧力室28から休止ノズルの圧力室28側への圧力損失を低減させることができる。その結果、インク滴の飛翔速度の低下やインク滴量の減少等の吐出特性の変動を抑制してクロストークを防止することが可能となる。このため、吐出ノズルに隣接するノズル29で同時に吐出が行われる場合(吐出ノズルの隣に位置するノズルが吐出ノズルである場合)と、吐出ノズルに隣接するノズル29で同時に吐出が行われない場合(吐出ノズルの隣のノズルが休止ノズルである場合)とで、インク滴の吐出特性を一定に揃えることができる。
【0058】
例えば、期間T2において、図5に示すように、あるノズル29(図5において中央のノズル29)からインク滴を吐出してミドルドットを記録する際に、この吐出ノズルの両側に位置するノズル29が休止ノズルであったとき、吐出ノズルに対応する圧電振動子20に第1ミドルドット吐出パルスDPM1が供給されると同時に、休止ノズルに対応する圧電振動子20には、第1ミドルカウンターパルスCPM1が供給される。そして、第1ミドルドット吐出パルスDPM1の第1収縮要素P06の発生期間と、第1ミドルカウンターパルスCPM1の第4収縮要素P23の発生期間とは一致しているので、吐出ノズルからのインク滴の吐出タイミングに合わせて、休止ノズルに対応する圧電振動子20が作動(伸長)して、当該休止ノズルに対応する圧力室28内のインクが、インク滴が吐出されない程度に加圧される。この加圧によって、圧力室28同士を区画する隔壁の変形(撓み)を抑制することができる。その結果、吐出ノズルの圧力室28から隣の休止ノズルの圧力室28側への圧力損失を低減させることができる。
【0059】
また、記録周期Tにおける何れの期間でもインク滴の吐出・非吐出に拘らず、全てのノズル29に対応する圧電振動子20が作動して圧力室28内に圧力変動が生じるので、リザーバ26を通じた休止ノズルの圧力室への圧力損失をも低減することが可能となり、この点でもクロストークの防止に寄与する。また、インクの増粘を効果的に抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、吐出パルスの駆動電圧をノズル29からインク滴が吐出されない程度に低下させて得られるカウンターパルスを用いて、休止ノズルに対応する圧電振動子20を作動させるので、吐出ノズルと休止ノズルとで圧力室28の内圧の変動タイミングを合致させることができ、圧力損失をより効果的に抑制することができる。
【0060】
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0061】
例えば、上記第1実施形態では、吐出パルスを駆動信号COM1のみに含ませ、カウンターパルスを駆動信号COM2のみに含ませた例を示したが、これには限らず、図6に示す第2実施形態のように、各駆動信号COM1,COM2で吐出パルスとカウンターパルスとが混在する構成を採用することもできる。この第2実施形態では、上記第1実施形態における第1駆動信号COM1の第1ミドルドット吐出パルスDPM1と、第2駆動信号COM2の第1ミドルカウンターパルスCPM1とを入れ替えている。即ち、第2実施形態における第1駆動信号COM1は、期間T1で発生する微振動パルスBPと、期間T2で発生する第1ミドルカウンターパルスCPM1と、期間T3で発生するスモールドット吐出パルスDPSと、期間T4で発生する第2ミドルドット吐出パルスDPM2とからなる。また、第2実施形態における第2駆動信号COM2は、期間T1で発生する微振動パルスBPと、期間T2で発生する第1ミドルドット吐出パルスDPM1と、期間T3で発生するスモールカウンターパルスCPSと、期間T4で発生する第2ミドルカウンターパルスCPM2とからなる。この場合、期間T2では、駆動信号COM1が本発明における非吐出駆動信号に相当し、他の期間T1,T3,T4では、駆動信号COM2が本発明における非吐出駆動信号に相当する。
【0062】
この第2実施形態の構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。即ち、インク滴吐出時の圧力損失を低減してクロストークを防止することができる。また、この第2実施形態のように、駆動電圧の高い吐出パルスを各駆動信号COM1,COM2に可及的に均等に振り分けることで、第1駆動信号発生部9Aと第2駆動信号発生部9Bとで負荷が何れか一方に偏ることを低減することが可能となる。これにより、駆動信号発生回路9の発熱を抑制することができる。
【0063】
また、非吐出パルスに関し、上記各実施形態で例示したカウンターパルスには限らない。例えば、図7に示す第3実施形態のように、カウンターパルスに替えて微振動パルスBPを用いることもできる。この第3実施形態における第2駆動信号COM2は、パルス発生期間T1に発生する微振動パルスBPに加え、第1駆動信号COM1に含まれる各吐出パルスの発生期間T2〜T4に対応させて3つの微振動パルスBPを、本発明における非吐出パルスとして夫々配置した構成となっている。そして、各微振動パルスBPは、微振動収縮要素P03(圧力室収縮要素の一種)の供給タイミングを、夫々対応する吐出パルスの圧力室収縮要素(第1収縮要素P06、第2収縮要素P11)の供給タイミングに合致させている。つまり、吐出ノズルと休止ノズルとで、圧力室内のインクへの加圧が同時に行われるようにしている。これにより、吐出ノズルの圧力室28から休止ノズルの圧力室28側への圧力損失をより確実に低減させることができ、以て、クロストークを防止することができる。また、非吐出パルスとして既存の微振動パルスBPを利用するので、複数の駆動信号を用いて記録制御が可能な従来のプリンタに対して簡単な設計変更を施すことで、クロストークを防止可能な構成を実現することができる。
【0064】
また、図8に示す第4実施形態のように、非吐出パルスとして微振動パルスBPを用いつつ、さらに、駆動電圧の高い吐出パルスを各駆動信号COM1,COM2に可及的に均等に振り分ける構成を採用しても良い。この第4実施形態の構成によっても、上記第2実施形態と同様、第1駆動信号発生部9Aと第2駆動信号発生部9Bとで負荷が何れか一方に偏ることを低減することが可能となる。
【0065】
また、上記実施形態では、本発明の圧力発生源として所謂縦振動モードの圧電振動子20を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、所謂撓み振動モードの圧電振動子のように、圧力室毎に設けられるものであってもよい。さらに、圧電振動子に限らず、発熱素子等の他の圧力発生源を用いることもできる。
【0066】
なお、本発明は、複数の駆動信号を用いて吐出制御が可能な液体噴射装置であれば、プリンタに限らず、プロッタ、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体噴射装置、例えば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】インクジェット式プリンタの機能ブロック図である。
【図2】記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。
【図3】(a),(b)は、駆動信号発生回路が発生する駆動信号の一例を示す図である。
【図4】(a)〜(d)は、駆動信号の階調記録制御を説明する図である。
【図5】吐出ノズルと休止ノズルとで圧力室内のインクを同時に加圧する状態を説明する模式図である。
【図6】第2実施形態における駆動信号の一例を示す図である。
【図7】第3実施形態における駆動信号の一例を示す図である。
【図8】第4実施形態における駆動信号の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 プリンタコントローラ,2 プリントエンジン,6 制御部,8 記録ヘッド,9 駆動信号発生回路,20 圧電振動子,24 ノズルプレート,26 リザーバ,28 圧力室,29 ノズル,41 第1シフトレジスタ,42 第2シフトレジスタ,43 第1ラッチ回路,44 第2ラッチ回路,45 デコーダ,46 制御ロジック,47 第1レベルシフタ,48 第2レベルシフタ,49 第1スイッチ,50 第2スイッチ




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013