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発明の名称 液体回収装置及び液体噴射装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8085(P2007−8085A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−193904(P2005−193904)
出願日 平成17年7月1日(2005.7.1)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 渡邊 英一郎 / 深澤 茂則 / 早川 均 / 間野 隆志
要約 課題
排出口から排出される液体を円滑に回収することができる液体回収装置及び液体噴射装置を提供する。

解決手段
液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ10に備えられる液体回収装置としてのインク回収装置20は、インクを吸収する相対的にインク保持能力が高い第1インク吸収体23、相対的にインク拡散能力が高い第2インク吸収体24、及び両吸収体23,24を収容する回収容器21を備えている。第1インク吸収体23と第2インク吸収体24との間には内部空間27を有するカバー部材25が配置されているとともに、該内部空間27内にはインクが排出される排出口62aが配置されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
液体を吸収する複数層からなる液体吸収体と、該液体吸収体を収容する回収容器とを備え、該回収容器内には前記液体を排出する排出口が配置され、該排出口から排出されて前記液体吸収体に吸収された前記液体の一部を前記回収容器に設けた容器開口部を通じて揮発させる液体回収装置において、
前記液体吸収体は、相対的に液体保持能力が高い第1液体吸収体と、該第1液体吸収体が上側に積層される相対的に液体拡散能力が高い第2液体吸収体とを含み、
前記第1液体吸収体と前記第2液体吸収体との層間に、一定容積の空間を確保形成するカバー部材を配置し、
該カバー部材が確保形成する空間内に前記排出口を配置したことを特徴とする液体回収装置。
【請求項2】
前記カバー部材は、下側に開口した箱状をなしており、その下端が前記第2液体吸収体と接触していることを特徴とする請求項1に記載の液体回収装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、その下端に前記第2液体吸収体との接触面積を拡大する拡大接触部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の液体回収装置。
【請求項4】
前記拡大接触部は、前記カバー部材の下端から前記第2液体吸収体の上面に沿って外側に延設されたフランジ部であることを特徴とする請求項3に記載の液体回収装置。
【請求項5】
前記フランジ部の下面には、前記第2液体吸収体の厚さよりも高さが低い突出部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の液体回収装置。
【請求項6】
液体を貯留する液体貯留手段と、前記液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドに設けられたノズル形成面を封止可能な封止手段と、該封止手段に向けて前記液体噴射ヘッドから吐出された前記液体を回収する液体回収手段とを備える液体噴射装置において、
前記液体回収手段を、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の液体回収装置により構成したことを特徴とする液体噴射装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット式プリンタ等の液体噴射装置及びこの液体噴射装置に備えられる液体回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射装置として、インクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」という。)が知られている。このプリンタでは、インクの噴射不良を低減するために、インクを噴射するノズルから増粘したインクなどを吐出させるクリーニングが適宜行われている。このクリーニングは、ノズルが形成されたノズル形成面をキャップ(封止手段)で封止した後に、そのノズル形成面とキャップとで気密にされる空間(キャップ内空間)を吸引ポンプにより吸引して負圧にすることにより、この負圧を利用してノズル内の増粘したインクなどを排出するものである。
【0003】
こうしたクリーニングでは、ノズルから吐出されるインクが、吸引ポンプで吸引された後に、回収容器に回収される。この回収容器には、その内部にインク吸収材(液体吸収材)が収容されており、吸引ポンプから排出されるインク(以下、「排出インク」という。)は、この回収容器内のインク吸収材に吸収されるようになっている。そして、回収容器は、回収した排出インクにおけるインク溶媒の一部を回収容器の開口部から揮発させることによって排出インクの容量を減少させ、その回収効率を向上するようにしている。
【0004】
近年、こうしたプリンタでは、その印刷画像の保存性や彩色性の向上を図るため、顔料インクや高濃度インクを利用するようになってきている。このようなインクは、一般に、そのインク溶媒が、揮発するか、あるいはインク吸収材に吸収されることによって、そのインク成分(例えば、顔料)が凝集して固化する。このため、上記した回収容器に顔料インクや高濃度インクが排出されると、その回収容器内(特に、排出インクが排出される排出口近傍)に固化したインク成分、すなわちインク残渣が堆積することとなる。
【0005】
そこで、排出インクの拡散を促進するためとして、特許文献1に記載された回収容器が提案されている。この特許文献1の回収容器は、排出口から排出される排出インクを、その傾斜した底面に沿って流動させて拡散し、その拡散した排出インクをインク吸収材に吸収させるようにしている。
【0006】
ところで、特許文献1の回収容器は、その上部全体が開口部となっているため、該回収容器内に排出口から排出インクが排出されると、該排出インクが拡散される前にそのインク溶媒が回収容器の開口部から揮発してしまうことがあった。この結果、排出インクのインク成分が回収容器内の排出口付近で集中的に固化することで、ここに排出インクの拡散(流動)を阻害するインク残渣が堆積し、回収容器における排出インクの回収能力の低下を招くおそれがあった。
【0007】
このため、回収容器内のインク吸収材を上下2層構造とし、上側になるインク吸収材にインク保持能力の高いものを用い、下側になるインク吸収材にインク拡散能力の高いものを用い、下側になるインク吸収材に排出口からの排出インクが排出されるように構成することが考えられる。このように構成した場合、排出インクは、下側のインク吸収材で拡散された後、上側のインク吸収材により吸収保持され、その後、上側のインク吸収材により吸収保持された排出インクのインク溶媒の一部が回収容器の開口部から揮発されるようになる。
【特許文献1】特開2004−34361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この場合、回収容器の周囲の湿度が高くなったり、上側のインク吸収材に多量の排出インクが吸収保持されて飽和状態になったりすると、上側のインク吸収材の排出インクの吸収能力が低下するため、下側のインク吸収材における排出インクの保持量が増えた状態となる。この状態で下側のインク吸収材が乾燥すると、インク残渣の堆積量が増えることとなる。そして、排出口付近では、特にインク残渣の堆積量が増えることとなり、特許文献1の回収容器の場合と同様に、堆積したインク残渣により排出インクの拡散が阻害されて、回収容器における排出インクの回収能力の低下を招くおそれがあった。
【0009】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、排出口から排出される液体を円滑に回収することができる液体回収装置及び液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の液体回収装置は、液体を吸収する複数層からなる液体吸収体と、該液体吸収体を収容する回収容器とを備え、該回収容器内には前記液体を排出する排出口が配置され、該排出口から排出されて前記液体吸収体に吸収された前記液体の一部を前記回収容器に設けた容器開口部を通じて揮発させる液体回収装置において、前記液体吸収体は、相対的に液体保持能力が高い第1液体吸収体と、該第1液体吸収体が上側に積層される相対的に液体拡散能力が高い第2液体吸収体とを含み、前記第1液体吸収体と前記第2液体吸収体との層間に、一定容積の空間を確保形成するカバー部材を配置し、該カバー部材が確保形成する空間内に前記排出口を配置した。
【0011】
この発明によれば、排出口から第2液体吸収体上に排出された液体の揮発がカバー部材により抑制されるため、排出口近傍における液体残渣の堆積量が減少する。このため、排出口から排出された液体が第2液体吸収体へ浸透する際に、液体残渣の堆積物によって阻害されにくくなり、該液体が速やかに第2液体吸収体内に拡散した後、第1液体吸収体に吸収保持される。したがって、排出口から排出される液体を円滑に回収することが可能となる。
【0012】
本発明の液体回収装置は、前記カバー部材が、下側に開口した箱状をなしており、その下端が前記第2液体吸収体と接触している。
この発明によれば、カバー部材の内部空間の湿度が高湿度に保たれるため、排出口近傍における液体残渣の堆積量が効果的に減少される。このため、排出口から排出された液体は、速やかに第2液体吸収体に浸透して拡散されるようになる。
【0013】
本発明の液体回収装置は、前記カバー部材が、その下端に前記第2液体吸収体との接触面積を拡大する拡大接触部を備えている。
この発明によれば、拡大接触部を備えたことにより、より一層、カバー部材の内部空間の湿度低下が抑制されるため、排出口近傍における液体残渣の堆積を長時間抑制することが可能となる。
【0014】
本発明の液体回収装置は、前記拡大接触部が、前記カバー部材の下端から前記第2液体吸収体の上面に沿って外側に延設されたフランジ部である。
この発明によれば、カバー部材の一部であるフランジ部が拡大接触部として機能するため、部品点数を増やすことなくカバー部材の内部空間の湿度低下を抑制することが可能となる。
【0015】
本発明の液体回収装置は、前記フランジ部の下面には、前記第2液体吸収体の厚さよりも高さが低い突出部が設けられている。
この発明によれば、突出部が回収容器の内底面に接触するまでカバー部材を下方に付勢することで、フランジ部により第2液体吸収体が圧縮されるため、この圧縮された部分の第2液体吸収体内の気孔が潰されて小さくなり、第2液体吸収体が圧縮された部分の液体保持量が増加して気体が流通しにくくなる。このため、カバー部材の内部空間の密閉性が向上し、カバー部材の内部空間の湿度低下が効果的に抑制される。
【0016】
本発明の液体噴射装置は、液体を貯留する液体貯留手段と、前記液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドに設けられたノズル形成面を封止可能な封止手段と、該封止手段に向けて前記液体噴射ヘッドから吐出された前記液体を回収する液体回収手段とを備える液体噴射装置において、前記液体回収手段を、上記構成の液体回収装置により構成した。
【0017】
この発明によれば、排出口から第2液体吸収体上に排出された液体の揮発がカバー部材により抑制されるため、排出口近傍における液体残渣の堆積量が減少する。このため、排出口から排出された液体が第2液体吸収体へ浸透する際に、液体残渣の堆積物によって阻害されにくくなり、該液体が速やかに第2液体吸収体内に拡散した後、第1液体吸収体に吸収保持される。したがって、排出口から排出される液体を円滑に回収することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンタに具体化した実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。なお、特に説明がない限り、以下の記載における前後方向、上下方向及び左右方向は、図1に示したインクジェット式プリンタを基準とした前後方向、上下方向及び左右方向と一致するものとする。
【0019】
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ10は、このインクジェット式プリンタ10の装置全体を覆う有底略長四角箱状の本体ケース11を備えている。本体ケース11の左右両側壁間には、棒状のガイド部材12が左右方向に延びるように架設されている。
【0020】
ガイド部材12には、キャリッジ13が、ガイド部材12に沿って左右方向に移動可能に挿通支持されている。キャリッジ13は、タイミングベルト14を介してキャリッジモータ15に接続されており、キャリッジモータ15の駆動により、ガイド部材12に沿って左右方向に移動されるようになっている。
【0021】
図2に示すように、キャリッジ13の下部には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド16が搭載されている。記録ヘッド16の下面は、ノズル形成面16aとなっており、該ノズル形成面16aには、図示しない複数のノズルが設けられている。キャリッジ13における記録ヘッド16の上側には、液体貯留手段としてのインクカートリッジ17が着脱可能に搭載されている。インクカートリッジ17内には、液体としての複数色のインクがそれぞれ記録ヘッド16に供給可能に収容されている。
【0022】
図1及び図2に示すように、キャリッジ13の下方には、左右方向に延びるプラテン18が設けられている。プラテン18は、ターゲットとしての記録用紙Pを支持する支持台であり、その上面には、図示しない紙送り機構が設けられている。この紙送り機構は、本体ケース11に設けられた紙送りモータ19(図1参照)の駆動により、前方に向かって記録用紙Pを給送(移動)するようになっている。
【0023】
そして、キャリッジ13が、ガイド部材12に沿って往復移動されながら、印刷データに基づいて、記録ヘッド16に備えられた図示しない圧電素子が駆動されると、ノズル形成面16aの各ノズルから各インクが、前方に向かって給送される記録用紙Pに対してそれぞれ噴射されて、記録用紙Pに印刷が行われるようになっている。
【0024】
プラテン18の下側における本体ケース11の底面上には、液体回収手段としての液体回収装置を構成するインク回収装置20が設けられている。インク回収装置20は、上側に容器開口部21aを有する有底略長四角箱状をなす回収容器21を備えている。回収容器21の右側壁の中央部には、該回収容器21の内外を連通する連通孔22が形成されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、回収容器21内には、第1液体吸収体としての第1インク吸収体23と、第2液体吸収体としての第2インク吸収体24とが、第2インク吸収体24の上側に第1インク吸収体23が積層された状態にて収容されている。すなわち、第2インク吸収体24は、回収容器21内の底面上に配置されており、該第2インク吸収体24上に該第2インク吸収体24よりも厚みが厚い第1インク吸収体23が積層されている。第1インク吸収体23及び第2インク吸収体24は、ともに多孔質部材よりなっており、第1インク吸収体23の上面と回収容器21の上面とは互いに面一になっている。なお、本実施形態においては、第2インク吸収体24の厚さが3mmに設定されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、本体ケース11内の右端部には、印刷を行うことのない非印刷領域(ホームポジション)が設けられており、この非印刷領域には、クリーニング機構60が備えられている。クリーニング機構60は、封止手段としてのキャップ61、排出チューブ62及び吸引ポンプ63を備えている。
【0027】
キャップ61は、その上面が開口した略四角箱状をなしており、非印刷領域に設けられた昇降モータ(図示略)の駆動力によって、上下方向に往復移動するように構成されている。図2に示すように、キャップ61の内底壁には、該内底壁を上下方向に貫通する吸引孔61aが形成されている。キャップ61の上端部には、可撓性材料よりなる略四角形状の枠状部61bが設けられている。そして、記録ヘッド16が非印刷領域に移動した状態でキャップ61が上方へ移動されると、枠状部61bが記録ヘッド16のノズル形成面16aを封止するように当接され、この当接によりキャップ61内には、各ノズル(図示略)を密閉する空間であるキャップ内空間が形成されるようになっている。
【0028】
図2に示すように、排出チューブ62は、その一端部が吸引孔61aに接続され、その他端部は、連通孔22を貫通して回収容器21内に収容されている。回収容器21内における排出チューブ62の先端は排出口62aになっており、排出チューブ62を介して上記したキャップ内空間から回収容器21内へのインクの排出が可能とされている。
【0029】
排出チューブ62の中間部には、吸引ポンプ63が設けられている。そして、キャップ61がノズル形成面16aを封止した状態で、吸引ポンプ63を駆動させることにより、記録ヘッド16内にある増粘した各インクが各ノズル(図示略)からそれぞれキャップ内空間を介して排出口62aから回収容器21内に排出されて、記録ヘッド16のクリーニングが行われるようになっている。
【0030】
図3に示すように、第1インク吸収体23の左右方向における中央部よりもやや右寄り部分の下面には、凹部23aが形成されている。凹部23a内には、外形が凹部23a内と対応するように且つ下側に開口した略五角形の箱状をなすように形成された樹脂成型品のカバー部材25(図4(a)参照)が収容されている。このカバー部材25は、略五角形の天板25aの周縁から下方に向けて側壁25bが垂設されており、第1インク吸収体23と第2インク吸収体24との間に配置された状態では、該カバー部材25における側壁25bの下端25cが第2インク吸収体24の上面と接触するようになっている。また、カバー部材25の側壁25bの一部には、該カバー部材25の内外を連通する挿通孔26が設けられている。なお、本実施形態においては、カバー部材25の材質として、インクの揮発抑制効果の高いポリプロピレンが用いられているが、インクの揮発抑制効果の高い材質であれば、ポリプロピレン以外のものを用いてもよい。
【0031】
回収容器21の連通孔22とカバー部材25の挿通孔26とは、第1インク吸収体23に設けられた連通路23bを介して連通しており、連通孔22から挿入された排出チューブ62の先端部は、連通路23b及び挿通孔26を通ってカバー部材25の内部空間27に達している。すなわち、排出口62aは、第1インク吸収体23と第2インク吸収体24との層間にカバー部材25によって確保形成された内部空間27内に配置されている。
【0032】
カバー部材25には、該カバー部材25における側壁25bの下端25c(図4(b)参照)から第2インク吸収体24の上面に沿って外側に延びる拡大接触部としての外向きのフランジ部28が、該カバー部材25のほぼ全周にわたって設けられている。本実施形態においては、フランジ部28の幅が10mmに設定されている。そして、フランジ部28の下面における外端寄り位置には、下方に延びる複数の突出部としての突起29(本実施形態では3個)が設けられている。
【0033】
各突起29は、カバー部材25の底面から見て、互いに結んだ線が略正三角形を描くような間隔で配置されている。本実施形態において、各突起29の高さは、2.5mmに設定されている。カバー部材25は、該カバー部材25の重み及び第1インク吸収体23の重みにより、各突起29の先端が第2インク吸収体24を貫通して回収容器21の内底面に接触するように下方に向かって押圧されている。この場合、カバー部材25のフランジ部28は、第2インク吸収体24に0.5mmだけめり込んだ状態で、第2インク吸収体24と密着している。
【0034】
第1インク吸収体23は、第2インク吸収体24との比較において相対的にインク保持能力の高い材料からなっており、第2インク吸収体24は、第1インク吸収体23との比較において相対的にインク拡散能力の高い材料からなっている。例えば、第1インク吸収体23の密度を第2インク吸収体24よりも大きくしたり、第1インク吸収体23及び第2インク吸収体24が繊維状のものであれば、第1インク吸収体23の繊維径を第2インク吸収体24よりも大きくしたりしてもよい。あるいは、第1インク吸収体23をフェルト素材やパルプ素材とし、第2インク吸収体24を多孔質部材とした組み合わせにしてもよい。
【0035】
また、第2インク吸収体24には、消泡液30が含浸されている。消泡液30は、消泡剤、防腐剤、アルカリ調整剤及び保湿剤からなる液体であって、排出口62aから排出される排出インクに含まれる泡を消失するものである。
【0036】
消泡剤には、例えばシリコーン界面活性剤としてのポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、本実施形態では信越化学工業株式会社製のKF−6017(商品名)が用いられている。この消泡剤は、消泡液30の0.1質量%を構成している。防腐剤は、第2インク吸収体24に吸収されたインクの変性を抑制するものであり、例えばチアゾリン系化合物を用いることができ、本実施形態ではアビシア株式会社製のプロキセルXL2(商品名)が用いられている。この防腐剤は、消泡液30の0.3質量%を構成している。
【0037】
アルカリ調整剤は、インク成分の再分散させるためのものであり、本実施形態ではトリエタノールアミンが用いられている。このアルカリ調整剤は、消泡液30の1.0質量%を構成している。保湿剤は、インク及び消泡液30の各種成分の乾燥を抑制するものであり、本実施形態ではグリセリンが用いられている。この保湿剤は、消泡液30の98.6質量%を構成している。
【0038】
なお、消泡液30を構成する各種成分及び消泡液30を構成する各種成分の質量比率は、排出口62aから排出された排出インクを保湿して、その排出インクに含まれる泡を消失することが可能であれば、これに限定されず適宜変更してもよい。
【0039】
さて、記録ヘッド16のクリーニングが行われると、記録ヘッド16内にある増粘した各インクが各ノズル(図示略)からそれぞれキャップ内空間及び排出チューブ62を介して排出口62aからカバー部材25内における第2インク吸収体24上に排出される。このとき、カバー部材25はインクの揮発抑制効果を有するポリプロピレンよりなっているため、排出された排出インクは、揮発することなく第2インク吸収体24に浸透する。
【0040】
ここで、長時間が経過すれば、この第2インク吸収体24上に排出された排出インクの溶媒成分の一部は揮発するが、揮発してもカバー部材25の内部空間27に充満するため、該内部空間27の湿度が高い状態になる。
【0041】
また、フランジ部28により、カバー部材25の内部空間27から第2インク吸収体24内を介した第1インク吸収体23までの距離が該フランジ部28の幅分だけ長くなっているため、フランジ部28が第1インク吸収体23と第2インク吸収体24とで好適に挟まれることで、内部空間27の密閉性が向上する。加えて、各突起29により圧縮された第2インク吸収体24の部位は、気孔が小さく圧縮されることで、この部位の排出インクの保持率が高められる。これにより、第2インク吸収体24を介した内部空間27の内外の気体の流通が効果的に抑制され、該内部空間27の密閉性がさらに向上する。
【0042】
このため、内部空間27は、長時間にわたって高湿度に保たれるので、第2インク吸収体24上に排出された排出インクは、乾燥しにくくなり、堆積して固化しにくくなる。この結果、排出インクは、該排出インクの堆積物によって阻害されることなく第2インク吸収体24内に円滑に吸収される。第2インク吸収体24内に吸収された排出インクは、第2インク吸収体24内で拡散されるとともに、その内部に含まれた泡が消泡液30により消失される。加えて、第2インク吸収体24内に吸収された排出インクは、消泡液30により保湿されるため、第2インク吸収体24内では乾燥しにくく固化されにくくなる。
【0043】
そして、第2インク吸収体24内で拡散された排出インクは、第1インク吸収体23により吸収保持され、その後、徐々に第1インク吸収体23の上面から容器開口部21aを通じて回収容器21の外部へ揮発される。
【0044】
以上、詳述した実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)排出口62aから第2インク吸収体24上に排出された排出インクの揮発がカバー部材25により抑制されるため、排出口62aの近傍におけるインク残渣の堆積量を減少させることができる。すなわち、排出口62aの近傍において、インク残渣の堆積を抑制することができる。このため、排出口62aから排出された排出インクが第2インク吸収体24へ浸透する際に、インク残渣の堆積物によって阻害されにくくなり、該排出インクを速やかに第2インク吸収体24から第1インク吸収体23に吸収させることができる。したがって、排出口62aから排出された排出インクを円滑に回収することができる。
【0045】
(2)カバー部材25が、下側に開口した箱状をなしており、その側壁25bの下端が第2インク吸収体24の上面と接触し、かつフランジ部28が、カバー部材25の重み及び第1インク吸収体23の重みにより、第2インク吸収体24の上面に密着させられているため、該カバー部材25の内部空間27の湿度を高い状態に保つことができる。このため、排出口62aの近傍におけるインク残渣の堆積量を効果的に減少させることができる。
【0046】
(3)カバー部材25の一部であるフランジ部28が第2インク吸収体24の上面に対するカバー部材25の接触面積を拡大させる拡大接触部として機能するため、部品点数を増やすことなくカバー部材25の内部空間27の湿度低下を抑制することができる。
【0047】
(4)カバー部材25の各突起29により第2インク吸収体24が圧縮され、この圧縮された部位の第2インク吸収体24内の気孔が潰されて小さくなるため、該各突起29により第2インク吸収体24が圧縮された部位のインク保持量を増加させて気体の流通性を低下させることができる。このため、より一層、カバー部材25の内部空間27の密閉性を向上させることができ、該内部空間27の湿度低下を効果的に抑制することができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0048】
・カバー部材25における各突起29は、省略してもよく、あるいは2個以下や4個以上としてもよい。
・カバー部材25における各突起29は、フランジ部28全体にわたって延びる凸条に変更してもよい。
【0049】
・カバー部材25のフランジ部28を省略するとともに、該カバー部材25の側壁25bの厚さをフランジ部28の幅と同じ厚さとし、該側壁25bを拡大接触部としてもよい。
【0050】
・ カバー部材25のフランジ部28は、側壁25bの下端25cから第2インク吸収体24の上面に沿って内側に延びる内向きのフランジ部であってもよい。
・カバー部材25は、箱状の樹脂成型品でなくともよい。すなわち、第1インク吸収体23と第2インク吸収体24との層間に一定容積の内部空間27を確保形成できるものならば、例えば保形性を有する樹脂フィルムでカバー部材を構成してもよい。
【0051】
・カバー部材25のフランジ部28を、カバー部材25とは別の部材で構成してもよい。
・カバー部材25を、図5に示すような下側に開口した四角箱状をなすように構成してもよい。
【0052】
・カバー部材25の天板25aと対応する該天板25aの上側の第1インク吸収体23は省略してもよい。すなわち、カバー部材25の天板25aの上側の第1インク吸収体23に天板25aと同じ形状の孔をあけて、該天板25aが露出するようにしてもよい。
【0053】
・第2インク吸収体24には消泡液30を含浸させなくてもよい。
・第1インク吸収体23及び第2インク吸収体24のうちの少なくとも一方を複数層にしてもよい。
【0054】
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンタ10として具体化したが、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタの製造や、有機ELディスプレイ等の画素形成に利用される液体噴射装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施形態のインクジェット式プリンタの斜視図。
【図2】同プリンタの断面図。
【図3】同プリンタのインク回収装置の断面図。
【図4】(a)、(b)は、ともに同プリンタのカバー部材の斜視図。
【図5】変更例のカバー部材の斜視図。
【符号の説明】
【0056】
10…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ、16…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、16a…ノズル形成面、17…液体貯留手段としてのインクカートリッジ、20…液体回収手段としての液体回収装置を構成するインク回収装置、21…回収容器、21a…容器開口部、23…液体吸収体を構成する第1液体吸収体としての第1インク吸収体、24…液体吸収体を構成する第2液体吸収体としての第2インク吸収体、25…カバー部材、25c…カバー部材における側壁の下端、28…拡大接触部としてのフランジ部、29…突出部としての突起、61…封止手段としてのキャップ、62a…排出口。




 

 


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