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発明の名称 液滴吐出装置およびメンテナンス方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−7977(P2007−7977A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−191131(P2005−191131)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 中村 真一
要約 課題
優れた回復効果および効率性、経済性を兼ね備えたメンテナンスを行うことが可能な液滴吐出装置、およびメンテナンス方法を提供すること。

解決手段
液滴吐出装置1は、基板2上を走査する吐出ヘッド10と、吐出ヘッド10のノズル面15を払拭する払拭部30を備えている。払拭部30は、帯状の布地である払拭クロス31と、払拭クロス31を巻き取り式で搬送させるリール32と、払拭クロス31を裏面側から押圧する押圧部材33と、洗浄液を霧状にして噴射する噴霧器34と、を備えている。噴霧器34による洗浄液の噴射の有無は、メンテナンス制御部71の制御により切り替えが可能となっており、払拭クロス31でノズル面15を払拭する際、所定の条件に基づいて、洗浄液を供給するかしないかの選択を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
一面に配されたノズルから液状体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドの一面を払拭する払拭動作を行う払拭手段と、
前記吐出ヘッドの一面に対して直接的ないし間接的に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記払拭動作の際に、所定の条件に基づいて前記洗浄液供給手段による前記洗浄液の供給ないし非供給の選択を行う供給選択手段と、を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記供給選択手段は、前記吐出ヘッドの稼動履歴に基づいて前記選択を行うことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記供給選択手段は、当該供給選択手段の選択履歴に基づいて前記選択を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記ノズルから前記液状体を強制排出させる強制排出手段を備えた請求項1ないし3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置であって、
前記強制排出手段は、前記洗浄液の供給を伴う前記払拭動作が行われた後において、前記強制排出を行うことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
少なくとも前記払拭動作後に前記吐出ヘッドにおける不良ノズルの検出を行う、検出手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記検出手段は、吐出滴の重量計測、吐出滴の着弾痕の撮像観察、前記ノズル周りの撮像観察、のうちの少なくとも一つを行うことを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記検出手段によって前記不良ノズルが検出されたときに再度前記払拭動作を行う請求項5または6に記載の液滴吐出装置であって、
前記供給選択手段は、当該払拭動作において前記洗浄液の供給を選択することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項8】
所定条件下で前記不良ノズルが回復しないときは、警報を発することを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
一面に配されたノズルから液状体を吐出する吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置において、前記吐出ヘッドの一面に洗浄液を直接的ないし間接的に供給しつつ当該一面の払拭を行う湿式モード、および、前記吐出ヘッドの一面に洗浄液を供給せずに当該一面の払拭を行う乾式モードで、払拭動作を行うメンテナンス方法であって、
所定の条件に基づいて、前記湿式モードまたは前記乾式モードのいずれか一方の実行を選択するモード選択ステップと、
前記強制排出ステップに続いて、前記モード選択ステップで選択したモードで、前記払拭動作を行う払拭ステップと、を有することを特徴とするメンテナンス方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置および液滴吐出装置におけるノズル周りのメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細なノズルから様々な液状体を液滴化して吐出する液滴吐出装置が、用紙印刷から工業用途に至るまで幅広く利用されている。この液滴吐出装置は、一般的に、吐出対象物に対向して移動(走査)する吐出ヘッドのノズルから、液状体を液滴化して吐出する構成となっている。
【0003】
このような液滴吐出装置においては、長時間の稼動ないし休止に伴ってノズル内外に劣化した液状体等が付着し、当該ノズルの吐出性能を低下させるという問題があり、低下した吐出性能を回復させるためのメンテナンスを行うことが必要不可欠である。具体的には、ノズルから液状体を強制排出させたり、ノズルの開口面(ノズル面)を払拭したりすることで、このような劣化した液状体の除去が図られている。
【0004】
ノズル面を払拭する手段としては、例えば、特許文献1に掲げるものがある。これは、ノズル面に当接する帯状の布地を巻き取り式で搬送することにより、ノズル面の払拭を行うものである。また、特許文献1に係るものとほぼ同様の構成であるが、帯状の布地に洗浄用の液体(洗浄液)を染み込ませてノズル面を払拭することにより、より好適な回復効果をねらった液滴吐出装置も提案されている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−207977号公報
【特許文献2】特開2001−171135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る液滴吐出装置は、構成が簡単であるものの、ノズル面やノズル内部において固着してしまった液状体については、これを除去することが困難である。一方、特許文献2に係る液滴吐出装置は、かかる問題を回避することができる反面、洗浄液が大量にノズル内方に侵入するという新たな問題を抱えており、侵入した洗浄液を除去するために再度液状体の強制排出を要することになって、効率性、経済性に難がある。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、優れた回復効果および効率性、経済性を兼ね備えたメンテナンスを行うことが可能な液滴吐出装置、およびメンテナンス方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液滴吐出装置は、一面に配されたノズルから液状体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドの一面を払拭する払拭動作を行う払拭手段と、前記吐出ヘッドの一面に対して直接的ないし間接的に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記払拭動作の際に、所定の条件に基づいて前記洗浄液供給手段による前記洗浄液の供給ないし非供給の選択を行う供給選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明の液滴吐出装置によれば、供給選択手段の選択により、洗浄液の供給を伴う払拭動作(湿式モード)と、洗浄液の供給を伴わない払拭動作(乾式モード)とを使い分けることができる。これにより、両モードの利点、欠点をうまく補完させて、優れた回復効果および効率性、経済性を兼ね備えたメンテナンスを行うことができる。
【0010】
また好ましくは、前記液滴吐出装置において、前記供給選択手段は、前記吐出ヘッドの稼動履歴に基づいて前記選択を行うことを特徴とする。
本願発明の発明者によれば、乾式モードを採用した場合のメンテナンスの成否は、払拭動作前の吐出ヘッドの稼働履歴に依存する。このため、この発明の液滴吐出装置によれば、優れた回復効果を確保しつつも、効率性、経済性に優れたメンテナンスを行うことができる。
【0011】
また好ましくは、前記液滴吐出装置において、前記供給選択手段は、当該供給選択手段の選択履歴に基づいて前記選択を行うことを特徴とする。
本願発明の発明者によれば、乾式モードを採用した場合のメンテナンスの成否は、払拭動作の履歴(湿式モードおよび乾式モードの選択に係る選択履歴)に依存する。このため、この発明の液滴吐出装置によれば、優れた回復効果を確保しつつも、効率性、経済性に優れたメンテナンスを行うことができる。
【0012】
また好ましくは、前記ノズルから前記液状体を強制排出させる強制排出手段を備えた前記液滴吐出装置において、前記強制排出手段は、前記洗浄液の供給を伴う前記払拭動作が行われた後において、前記強制排出を行うことを特徴とする。
この発明の液滴吐出装置によれば、湿式モードの払拭動作によってノズル内に侵入した洗浄液を強制排出することにより、払拭動作後の吐出時において希釈された液状体が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【0013】
また好ましくは、前記液滴吐出装置において、少なくとも前記払拭動作後に前記吐出ヘッドにおける不良ノズルの検出を行う、検出手段を備えることを特徴とする。
この発明の液滴吐出装置によれば、検出手段によって、払拭動作(特に乾式モード)後における不良ノズルの有無を検出できるので、不十分なメンテナンスの看過を防ぐことができる。
【0014】
また好ましくは、検出手段を備えた前記液滴吐出装置において、前記検出手段は、吐出滴の重量計測、吐出滴の着弾痕の撮像観察、前記ノズル周りの撮像観察、のうちの少なくとも一つを行うことを特徴とする。
この発明の液滴吐出装置によれば、不良ノズルの検出を好適に行うことができる。
【0015】
また好ましくは、前記検出手段によって前記不良ノズルが検出されたときに再度前記払拭動作を行う前記液滴吐出装置において、前記供給選択手段は、当該払拭動作において前記洗浄液の供給を選択することを特徴とする。
この発明の液滴吐出装置によれば、回復効果の高い湿式モードの払拭動作を行うことで、不良ノズルの早急な回復を図ることができる。
【0016】
また好ましくは、不良ノズルが検出された前記液滴吐出装置において、所定条件下で前記不良ノズルが回復しないときは、警報を発することを特徴とする。
この発明の液滴吐出装置によれば、無駄なメンテナンスを繰り返すことなく、早期に吐出ヘッドの交換等を促すことができる。
【0017】
本発明は、一面に配されたノズルから液状体を吐出する吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置において、前記吐出ヘッドの一面に洗浄液を直接的ないし間接的に供給しつつ当該一面の払拭を行う湿式モード、および、前記吐出ヘッドの一面に洗浄液を供給せずに当該一面の払拭を行う乾式モードで、払拭動作を行うメンテナンス方法であって、所定の条件に基づいて、前記湿式モードまたは前記乾式モードのいずれか一方の実行を選択するモード選択ステップと、前記強制排出ステップに続いて、前記モード選択ステップで選択したモードで、前記払拭動作を行う払拭ステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
この発明のメンテナンス方法によれば、洗浄液の供給を伴う払拭動作(湿式モード)と、洗浄液の供給を伴わない払拭動作(乾式モード)を、適切な条件(所定の条件)に基づいて使い分けることができる。これにより、両モードの利点、欠点をうまく補完させて、優れた回復効果および効率性、経済性を兼ね備えたメンテナンスを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0020】
図1は、液滴吐出装置の一例を一部模式化して示す構成図である。
図1において、液滴吐出装置1は、吐出ヘッド10と、基板2を載置するための載置台3と、吐出ヘッド10を基板2との距離を保ったまま縦横(図の紙面方向および左右方向)に移動(走査)させる走査手段4と、吐出ヘッド10に液状体を供給する液状体供給手段5と、吐出ヘッド10の吐出制御を行うための吐出駆動回路6と、を備えている。また、液滴吐出装置1は、作業者とのインターフェースとしての役割を果たす端末装置74を備えている。
【0021】
吐出ヘッド10は、基板2と対向する一面であるノズル面15に規則的に配された複数のノズル11を備えている。各ノズル11は、圧力室(キャビティ)12と連通し、さらに圧力室12と連通する共通流路を経て、液状体供給手段5に通じている。圧力室12の外郭の一面は、圧電素子13の駆動によって変形可能となっており、吐出駆動回路6を介した圧電素子13の駆動制御(吐出制御)により、ノズル11から吐出滴としての液滴14を吐出させることができる。尚、吐出技術としては、上述した電気機械方式の他に、電気信号を熱に変換した圧力で液滴を吐出させるいわゆるサーマル方式などもある。
【0022】
走査手段4および吐出駆動回路6は、内部インターフェース(I/F)70を介して描画制御部72によって制御されるようになっている。これにより、描画制御部72は、吐出ヘッド10の走査と同期したノズル11毎の吐出制御を行い、基板2上に所望のパターンで液状体を配置する(描画動作)。
【0023】
載置台3の脇には、吐出ヘッド10におけるノズル11周りのメンテナンス動作を行うためのメンテナンス部7が設けられている。メンテナンス部7は、強制排出手段としての吸引部20および払拭手段としての払拭部30を備え、吐出ヘッド10は、各部20,30の直上に移動された状態で、メンテナンス動作を受けることができる。尚、メンテナンス動作に係る制御は、内部I/F70を通じてメンテナンス制御部71により行われる。
【0024】
吸引部20は、上方が開放され、底部に貫通孔21aが形成された箱型のキャップ部材21と、貫通孔21aと連通するチューブ22と、チューブ22、貫通孔21aを通じてキャップ部材21内を減圧可能な吸引ポンプ23と、を備えている。かくして、キャップ部材21の外縁部21bをノズル面15に密着させ、この状態で吸引ポンプ23を作動させることにより、ノズル11から劣化した液状体等が吸引(強制排出)され、吐出性能の回復が図られる。
【0025】
払拭部30は、帯状の布地である払拭クロス31と、払拭クロス31を巻き取り式で搬送させるリール32と、払拭クロス31を裏面側から押圧するゴム等で形成された押圧部材33と、洗浄液を霧状にして噴射する洗浄液供給手段としての噴霧器34と、を備えている。かくして、押圧部材33と対向する位置において払拭クロス31の表面をノズル面15に当接させ、この状態で払拭クロス31を搬送させることで、ノズル面15が払拭(払拭動作)される。
【0026】
払拭クロス31は、織布、不織布を問わず、また繊維の材質も問わないが、ノズル面15を傷つけないように柔らかい材質のものを用いることが好ましい。また、払拭クロス31は、布地に限定されるものではなく、吸湿性の材料ならばどのようなものでも用いることができる。
【0027】
洗浄液には、液状体の固形分に対して溶解性、分散性を有する液体が用いられ、使用する液状体の種類に応じて使い分けることが可能である。また、洗浄液は、ある程度揮発性が高いものであることが好ましく、例えば、エタノール、酢酸エチル、アセトン等を主成分として用いることができる。
【0028】
噴霧器34は、上述の払拭動作時において、払拭クロス31におけるノズル面15との当接領域の搬送方向上手側に洗浄液を噴き付けることができる。これにより、ノズル面15に間接的に洗浄液が供給されつつ払拭動作が行われることになり、洗浄液による洗浄作用によって、吐出性能の好適な回復が図られる。このような洗浄液の供給を伴う払拭動作のモードのことを、以下では湿式モードと呼ぶ。
【0029】
湿式モードの払拭動作は、特に、ノズル面15やノズル11の内壁などに劣化した液状体(乾燥等で粘性が増した半固形物であり、以下、増粘物と呼ぶ)が固着しているような場合において、これらを効果的に除去するのに有効である。しかしその一方で、供給された洗浄液がノズル11から圧力室12、場合によってはさらに内方まで侵入するという問題がある。これにより、ノズル11内方の液状体が希釈されて描画動作に支障が生じるため、湿式モードの払拭動作を行った場合には、侵入した洗浄液を排出させる動作が必要となる。
【0030】
払拭動作時における噴霧器34による洗浄液の噴射の有無は、供給選択手段としてのメンテナンス制御部71の制御により切り替えが可能となっており、当該噴射を行わずに上述のような払拭動作を行うこともできる。以下、このような洗浄液の供給を伴わない払拭動作のモードのことを乾式モードと呼ぶ。乾式モードにおいては、湿式モードのようなノズル11内方への洗浄液の侵入は起こらないが、固着した増粘物を除去することは困難であり、また、場合によっては、ノズル面15に固着していた増粘物をノズル11内に侵入させてしまうこともある。
【0031】
このように、払拭部30は、湿式モードと乾式モードで払拭動作を行うことができるようになっているが、各モードはそれぞれに長所と短所があるため、ケースに応じて適切なモード選択がなされるようになっている。詳しくは後述する。
【0032】
メンテナンス部7の脇には、吐出ヘッド10における不良ノズルの検出(不良ノズル検出)を行うための検出手段を構成する検出部8が設けられている。ここで、不良ノズルとは、内部ないし外周の汚れなどが原因で吐出性能が低下したノズルのことであり、上述したメンテナンス動作は、不良ノズルが無い状態に吐出ヘッド10を回復させるための動作であると言うこともできる。
【0033】
検出部8は、ノズル面観察部40と、吐出量計測部50と、着弾痕観察部60と、を備え、吐出ヘッド10は、走査手段4によってこれら各部40,50,60の直上に移動された状態で、不良ノズル検出を受けることができる。尚、不良ノズル検出に係る制御は、内部I/F70を通じて検出制御部73により行われる。
【0034】
ノズル面観察部40は、ノズル面15に対向して設けられているカメラ41を備えている。カメラ41は、鏡筒部42とCCD等の撮像素子を備えた撮像部43を備えており、ノズル11の開口部や外周部を撮像して画像データ化し、検出制御部73に当該画像データ(ノズル画像データ)を伝送する。
【0035】
吐出量計測部50は、吐出ヘッド10から吐出された液滴14を受けるための受け皿51と、受け皿51の重量を計測する電子天秤52を備えている。受け皿51には液状体よりも比重の小さい不揮発性の液体(図示せず)が入れられており、吐出ヘッド10から吐出された液滴14を確実に収容することができるようになっている。この構成により、吐出量計測部50は、所定のノズル群単位、吐出回数単位で、液滴14の重量の測定を行うことができ、測定されたデータ(液滴重量データ)は検出制御部73に伝送される。
【0036】
着弾痕観察部60は、ノズル面15と対向して表面を露出させた帯状の用紙62と、用紙62を巻き取り式に搬送するリール63と、用紙62の表面を撮像可能なカメラ61(カメラ41と同様の構成)と、を備えている。着弾痕観察部60の直上において吐出ヘッド10から吐出された液滴14は、用紙62の表面に着弾痕として記録され、カメラ61は、当該着弾痕を撮像して画像データ化し、当該画像データ(着弾痕画像データ)を検出制御部73に伝送する。
【0037】
検出手段を構成する検出制御部73は、各部40,50,60からそれぞれ伝送されてきたノズル画像データ、液滴重量データ、着弾痕画像データを分析する。具体的には、ノズル画像データについては、各ノズル11毎に、開口部および周辺における液状体(増粘物も含む)の付着の有無の判定を行う。また、液滴重量データについては、あらかじめ記憶しておいた正常時における値との比較判定を行う。また、着弾痕データについては、対応するノズル11毎に、着弾痕の位置やプロファイル(大きさ、形状)を計測し、正常か否かの判定を行う。
【0038】
上述のデータ分析の結果、どれか一項目でも異常が認められた場合には、検出制御部73は、吐出ヘッド10に不良ノズルが含まれる旨の判定を行う。尚、ノズル画像データ、液滴重量データ、着弾痕画像データの取得および分析は、必ずしも全てについて行わなければならないわけではなく、一部を省略することも可能である。また、不良ノズルの有無に係る判定基準についても、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0039】
次に、図1、図2、図3を参照して、メンテナンス動作に係る制御フローについて説明する。図2は、メンテナンス動作に係る制御フローの一例を示すフローチャートである。図3は、払拭動作モードの選択に係る判断フローの一例を示すフローチャートである。
【0040】
液滴吐出装置1が行うメンテナンス動作には、休止期間を経ての電源再投入時に行う初動メンテナンス動作、描画動作の合間に定期的に行う定期メンテナンス動作、端末装置74を通じた作業者の命令によって適宜に行われるマニュアルメンテナンス動作などがある。これらのメンテナンス動作に係る一連の制御フロー(図2)は、メンテナンス制御部71によって統括される。
【0041】
最初のステップS1では、吸引部20による強制排出が実行される。これにより、ノズル11から劣化した液状体(増粘物含む)等が排出され、吐出性能の回復が図られる。吸引量などの条件は、メンテナンスの種類やフローの段階などによって決められており、その内容はメンテナンス制御部71内にあらかじめ記憶されている。
【0042】
ステップS1において強制排出が実行されると、キャップ部材21内に排出された液状体によってノズル面15が一時的に浸漬されるため、ノズル面15には液状体が多量に付着することになる。付着した液状体をそのままにしておくと、描画動作に戻ったときに液滴14の飛行曲がり等を誘発することがあるので、この後、付着した液状体を除去するために払拭動作が必要となる。
【0043】
次のステップS2では、湿式モードおよび乾式モードのどちらのモードで払拭動作を行うかの選択が行われる(図2の選択ステップS2)。この選択は、メンテナンス制御部71内にあらかじめ記憶されている条件に基づいて行われるが、詳しい内容については後で説明する。このステップS2において乾式モードが選択された場合には、払拭ステップS3の処理に移る。また、湿式モードが選択された場合には、払拭ステップS5の処理に移る。
【0044】
払拭ステップS3では、払拭部30による乾式モードでの払拭動作が実行される。これにより、ノズル面15に付着していた液状体が除去される。払拭ステップS3がなされると、次のステップS4で選択履歴の更新が行われる。
【0045】
ステップS4に係る選択履歴とは、ステップS2においてどちらのモードを選択したかという内容を記憶する履歴情報であり、本実施形態では、その実体は乾式モードの選択回数を累積加算(ステップS4で加算される)したカウント値となっている。ステップS4の後は、次のステップS10の処理に移る。
【0046】
払拭ステップS5では、払拭部30による湿式モードでの払拭動作が実行される。これにより、ノズル面15に付着していた液状体や、ノズル11周りに固着していた増粘物などが好適に除去される。湿式モードの払拭動作後は、噴霧器34から供給された洗浄液がノズル11内に多く侵入しているため、これを除去する必要がある。このため、次のステップS6で再度、強制排出が実行される。
【0047】
ステップS6では、強制排出によりノズル11内の洗浄液が排出されるが、この強制排出によって、ノズル面15には再び液状体が付着してしまうことになる。このため、次のステップS7で、乾式モードでの払拭動作が実行され、ノズル面15に付着した液状体の除去がなされる。ステップS7の後は、次のステップS8,S9の処理を経て、ステップS10の処理に移る。
【0048】
ステップS8では、選択履歴のリセット(カウンタ値の初期値(ゼロ)化)がなされる。選択履歴は、上述したようにステップS2における乾式モードの選択回数の累積加算値であるが、このことは、選択履歴の起算点がステップS8であるということを示している。すなわち、選択履歴は、直近に係る湿式モードの払拭動作(ステップS5)がなされた後、乾式モードの払拭動作(ステップS3)が何回行われたかを表す情報である。
【0049】
ステップS9では、ヘッド稼動履歴のリセットがなされる。ここで、ヘッド稼動履歴とは、吐出ヘッド10の稼動履歴を示す情報であり、本実施形態では、その実体は、描画動作に係る時間を累積加算したタイマ値(ステップS9が起算時)となっている。すなわち、ヘッド稼動履歴は、直近に係る湿式モードの払拭動作(ステップS5)がなされた後、どのくらいの時間描画動作がなされたかを表す情報である。
【0050】
ステップS10では、検出部8による不良ノズル検出がなされる。この不良ノズル検出は、メンテナンス前において検出されていた不良ノズルが上述のメンテナンス動作によって回復したか、あるいは、メンテナンス動作によって却ってノズル不良が誘発されていないかを確認するために行われるものである。ここで、不良ノズルが検出されなければ、メンテナンス動作に係る一連のフローは終了し、再び描画動作に戻る。不良ノズルが検出された場合は、次のステップS11の処理に移る。
【0051】
ステップS11では、再メンテナンス動作を行うか否かの判定が行われる。ここで再メンテナンス動作を行うと判定されれば、ステップS1に戻って再び上述のフローが繰り返される。再メンテナンス動作を行わないと判定されれば、次のステップS12において、装置が停止され、端末装置74を通じて警報が発せられる。ステップS11における再メンテナンス動作の可否判定は、吐出ヘッド10が致命的な不良ノズルを有している場合に、再メンテナンス動作のループが無限に繰り返されるのを防ぐためのものであり、既遂の再メンテナンス動作の回数等に基づいて当該判定がなされるようになっている。
【0052】
上述のように、本実施形態のメンテナンス動作は、強制排出(ステップS1)と、それに続く払拭動作(ステップS3,S5)の組み合わせを基本としており、払拭動作については、湿式モード、乾式モードが所定の条件に基づいて選択されるようになっている(ステップS2)。
【0053】
ステップS2において湿式モードが選択される場合には、吐出特性の効果的な回復を図ることができる反面、強制排出(ステップS6)および乾式モードの払拭動作(ステップS7)が必要となるため、効率性、経済性に難がある。逆に、ステップS2において乾式モードが選択される場合には、メンテナンス動作の主目的である吐出性能の回復を十分に果たせないことがある。
【0054】
これらの事情に考慮し、ステップS2でのモード判断は、乾式モードで対応可能ならば乾式モードで、乾式モードでは吐出性能の回復を図れないならば湿式モードで、という判断基準で行われるようになっている。また、モード選択を誤った場合に、不良ノズルが含まれたまま描画動作がなされてしまうというリスクを回避するために、不良ノズル検出(ステップS10)が組み込まれているものである。
【0055】
選択ステップS2における払拭モードの選択は、本実施形態では、図3に示す判断フローに基づいて行われている。
【0056】
まず最初のステップS21では、現フローが初動メンテナンス動作に係る場合には湿式モードが選択され、そうでない場合には次のステップS22の判断に委ねられる。初動メンテナンス動作に係る場合に湿式モードを選択するのは、初動メンテナンス動作がノズル11内における液状体の乾燥が進んだ状態で行われるものであることに鑑み、ノズル11内外の増粘物を湿式モードの払拭動作で効果的に除去するためである。
【0057】
次のステップS22では、現フローが再メンテナンス動作に係る場合には湿式モードが選択され、そうでない場合には次のステップS23の判断に委ねられる。再メンテナンス動作に係る場合に湿式モードを選択するのは、優れた回復効果を有する湿式モードの払拭動作によって、不良ノズルの早急な回復を図るためである。すなわち、ステップS10において不良ノズルが検出された場合には、続く再メンテナンス動作に係るフローでは必ず湿式モードが選択されることになる。
【0058】
次のステップS23では、選択履歴のカウント値が3以上の場合には湿式モードが選択され、そうでない場合には次のステップS24の判断に委ねられる。上述したように、選択履歴は、直近に係る湿式モードの払拭動作(ステップS5)後、乾式モードの払拭動作(ステップS3)が何回行われたかを表す情報であり、当該カウント値が3以上の場合とは、過去のメンテナンス動作において乾式モードの払拭動作(ステップS3)が3回以上連続して選択されている場合である。このように、湿式モードの払拭動作を挟むことなく乾式モードの払拭動作が一定以上続いた場合には、乾式モードの払拭動作では十分な回復効果を得ることができないとして、湿式モードを選択することとしている。
【0059】
次のステップS24では、ヘッド稼動履歴のタイマ値が3時間以上の場合には湿式モードが選択され、そうでない場合には乾式モードが選択される。上述したように、ヘッド稼動履歴は、直近に係る湿式モードの払拭動作(ステップS5)後、どのくらいの時間描画動作がなされたかを表す情報であり、ノズル面15の露出時間やノズル11内の液状体に作用するストレス等を反映する情報である。描画動作の累積によってノズル11の内壁やノズル面15には増粘物が固着してくるため、一定時間以上の描画動作を経た場合には乾式モードの払拭動作では十分な回復効果を得ることができないとして、湿式モードを選択することとしたものである。
【0060】
本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、本発明に係る液状体の強制排出は、吸引部20によらず、液状体供給手段5により供給圧を高圧にすることでも行うこともできる。
また、払拭モードの選択(ステップS2)に係る判断項目として説明した内容は、あくまでも一例であり、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ヘッド稼動履歴は、描画動作に係る稼動時間ではなく、描画動作において消費した液状体の量とすることもできる。
また、各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】液滴吐出装置の一例を一部模式化して示す構成図。
【図2】メンテナンス動作に係る制御フローの一例を示すフローチャート。
【図3】払拭動作モードの選択に係る判断フローの一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0062】
1…液滴吐出装置、2…基板、3…載置台、4…走査手段、5…液状体供給手段、6…吐出駆動回路、7…メンテナンス部、8…検出手段を構成する検出部、10…吐出ヘッド、11…ノズル、12…圧力室、13…圧電素子、14…吐出滴としての液滴、15…一面としてのノズル面、20…強制排出手段としての吸引部、21…キャップ部材、21a…貫通孔、21b…外縁部、22…チューブ、23…吸引ポンプ、30…払拭手段としての払拭部、31…払拭クロス、32…リール、33…押圧部材、34…洗浄液供給手段としての噴霧器、40…ノズル面観察部、41…カメラ、42…鏡筒部、43…撮像部、50…吐出量計測部、51…受け皿、52…電子天秤、60…着弾痕観察部、61…カメラ、62…用紙、63…リール、70…内部インターフェース、71…供給選択手段としてのメンテナンス制御部、72…描画制御部、73…検出手段を構成する検出制御部、74…端末装置。




 

 


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