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発明の名称 液体噴射装置における液体加圧供給システム、液体噴射装置、及び液体噴射装置における液体加圧供給方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1259(P2007−1259A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−186979(P2005−186979)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 佐藤 聖也
要約 課題
装置全体の小型化に貢献することができる液体噴射装置における液体加圧供給システム、装置全体の小型化を図ることができる液体噴射装置、及び液体噴射装置における液体加圧供給方法を提供する。

解決手段
加圧空気の供給を受けてインクを記録ヘッド15に送出するインクカートリッジ18と、記録ヘッド15から廃液として排出されるインクをポンプ作動時にキャップ23を介して吸引可能な吸引ポンプ24と、吸引ポンプ24により吸引されたインクを廃液として回収可能な廃液タンク25とを備えたプリンタのインク加圧供給システム31であって、吸引ポンプ24と廃液タンク25との間に圧力伝達室32を設け、圧力伝達室32を廃液タンク25に連通する加圧室34とインクカートリッジ18に連通する被加圧室35とに可撓性膜33を介して区画し、加圧室34に吸引ポンプ24が接続されるように構成した。
特許請求の範囲
【請求項1】
液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッド側に加圧気体の供給を受けて収容液体を送出する液体収容体と、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップと、前記液体噴射ヘッドから廃液として排出される流体をポンプ作動時に前記キャップを介して吸引可能なポンプと、該ポンプにより吸引された流体を廃液として回収可能な廃液タンクとを備えた液体噴射装置における液体加圧供給システムであって、
前記ポンプのポンプ作動時に該ポンプから排出される流体の流入を可能とする圧力伝達室を有し、該圧力伝達室は、前記ポンプに連通する加圧室と前記液体収容体に連通する被加圧室とに可撓性膜を介して区画され、該可撓性膜が前記加圧室内に流入する流体の圧力により前記被加圧室側へ撓み変形するようにしたことを特徴とする液体噴射装置における液体加圧供給システム。
【請求項2】
前記ポンプと前記廃液タンクとの間に設けられ、第1弁状態では、前記ポンプと前記廃液タンクとを非連通状態とするとともに前記ポンプと前記加圧室とを連通状態とする一方、第2弁状態では、前記ポンプと前記廃液タンクとを連通状態とする弁手段と、
前記弁手段を第1弁状態又は第2弁状態に切り替え制御する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置における液体加圧供給システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記キャップが前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を非封止する位置状態にあるときに、前記弁手段を第1弁状態に制御することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置における液体加圧供給システム。
【請求項4】
開状態となったときに前記被加圧室を大気開放状態とする大気開放弁を備えることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置における液体加圧供給システム。
【請求項5】
前記大気開放弁及び弁手段はそれぞれ電磁バルブであることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置における液体加圧供給システム。
【請求項6】
前記圧力伝達室の被加圧室と前記液体収容体とを連通する加圧気体供給流路の途中に、前記被加圧室側から前記液体収容体側への気体の流通のみを許容する一方向弁が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置における液体加圧供給システム。
【請求項7】
液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッド側に加圧気体の供給を受けて収容液体を送出する液体収容体と、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップと、前記液体噴射ヘッドから廃液として排出される流体をポンプ作動時にキャップを介して吸引可能なポンプと、該ポンプにより吸引された流体を廃液として回収可能な廃液タンクと、請求項1〜6のうち何れか一項に記載の液体噴射装置における液体加圧供給システムとを備えた液体噴射装置。
【請求項8】
加圧気体を液体収容体に供給することにより、前記加圧気体の加圧力に基づき液体収容体が収容液体を液体噴射装置が備える液体噴射ヘッド側へ送出するようにした液体噴射装置における液体加圧供給方法であって、
前記液体噴射ヘッドから廃液として排出される流体をポンプ作動に基づきキャップを介して吸引可能に構成されたポンプがそのポンプ作動時に該ポンプから排出する流体の圧力を、前記ポンプに連通する加圧室と前記液体収容体に連通する被加圧室とに可撓性膜を介して区画された圧力伝達室における前記加圧室に流入させ、該加圧室に流入した前記流体の圧力により前記可撓性膜を被加圧室側に撓み変形させることにより、該被加圧室内において加圧された気体を前記液体収容体に供給するようにしたことを特徴とする液体噴射装置における液体加圧供給方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置における液体加圧供給システム、液体噴射装置、及び液体噴射装置における液体加圧供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体をターゲットに対して噴射させる液体噴射装置として、インクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」という。)が広く知られている。このプリンタは、往復移動するキャリッジに記録ヘッド(液体噴射ヘッド)を搭載し、通常は、この記録ヘッドに対してプリンタ上の所定箇所(例えば、キャリッジ上)に装着されたインクカートリッジ(液体収容体)からインク(液体)を供給するようにしている。そして、インクカートリッジから記録ヘッドに供給されたインクを記録ヘッドに形成されたノズルから噴射することにより、記録媒体に印刷を施すようになっている。
【0003】
こうしたプリンタにあって、インクカートリッジをプリンタ上におけるキャリッジとは別の箇所に装着するタイプ(所謂オフキャリッジタイプ)のプリンタの場合は、インクカートリッジと記録ヘッドとの間をインク供給チューブで連結し、該チューブを介してインクカートリッジ内のインクを記録ヘッド側へ供給する必要がある。そのため、オフキャリッジタイプのプリンタの場合には、加圧ポンプ装置を備え、加圧ポンプ装置とインクカートリッジの間を空気供給チューブで連結するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、加圧ポンプ装置の駆動に基づいて加圧された加圧空気をインクカートリッジ内の空気室に空気供給チューブを介して送り込み、その空気室内に収容されたインクパックを押し潰すように加圧することで、インクカートリッジからインク供給チューブを介して記録ヘッド側にインクが送出されるようにしている。
【0005】
一方、液体噴射ヘッドのノズルの目詰まりを解消するために、通常、プリンタは、記録ヘッドのノズルからノズル内のインク・気泡等を吸引するクリーニング機構を備えている。このクリーニング機構は、ノズル形成面を封止するキャップと、このキャップに接続される吸引ポンプとを備えている(例えば、特許文献2参照)。そして、記録ヘッドのノズル形成面をキャップで封止した状態で吸引ポンプを駆動することにより、記録ヘッド内のノズルからキャップを介してインクを廃インクとして吸引するようになっている。
【特許文献1】特開2001−253084号公報
【特許文献2】特開2001−38925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記構成では、クリーニング用の吸引ポンプと、インクカートリッジ加圧用の加圧ポンプとをそれぞれ有する構成であるため、これらの両ポンプを各々設置するためのスペースが必要とされ、装置全体が大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、装置全体の小型化に貢献することができる液体噴射装置における液体加圧供給システム、装置全体の小型化を図ることができる液体噴射装置、及び液体噴射装置における液体加圧供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置における液体加圧供給システムは、液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッド側に加圧気体の供給を受けて収容液体を送出する液体収容体と、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップと、前記液体噴射ヘッドから廃液として排出される流体をポンプ作動時に前記キャップを介して吸引可能なポンプと、該ポンプにより吸引された流体を廃液として回収可能な廃液タンクとを備えた液体噴射装置における液体加圧供給システムであって、前記ポンプのポンプ作動時に該ポンプから排出される流体の流入を可能とする圧力伝達室を有し、該圧力伝達室は、前記ポンプに連通する加圧室と前記液体収容体に連通する被加圧室とに可撓性膜を介して区画され、該可撓性膜が前記加圧室内に流入する流体の圧力により前記被加圧室側へ撓み変形するようにした。
【0009】
この構成によれば、ポンプのポンプ作動により加圧室内に流体が流入すると、可撓性膜が被加圧室側に撓み変形し、その変形に伴い被加圧室内の圧力が上昇して、被加圧室内において加圧された気体が液体収容体側へ送出される。したがって、液体収容体を加圧するための加圧ポンプを別個に設ける必要がなく、廃液吸引用の一つのポンプを兼用することによって液体収容体へ加圧気体を送出することができるため、装置全体の小型化に貢献することができる。
【0010】
本発明の液体噴射装置における液体加圧供給システムは、前記ポンプと前記廃液タンクとの間に設けられ、第1弁状態では、前記ポンプと前記廃液タンクとを非連通状態とするとともに前記ポンプと前記加圧室とを連通状態とする一方、第2弁状態では、前記ポンプと前記廃液タンクとを連通状態とする弁手段と、前記弁手段を第1弁状態又は第2弁状態に切り替え制御する制御手段とを備える。
【0011】
この構成によれば、制御手段により第1弁状態又は第2弁状態に切り替え制御される弁手段によってポンプと廃液タンクの連通・非連通状態が切り替えられる。例えば、弁手段を第1弁状態とすれば、ポンプと加圧室とが連通状態とされ、ポンプ作動時に該ポンプから排出された流体が加圧室内に流入するため、その流体の圧力により可撓性膜を被加圧室側に撓み変形させることで、加圧気体が液体収容体側へ送出される。一方、弁手段を第2弁状態とすれば、ポンプと廃液タンクとが連通状態とされるため、ポンプ作動に伴いキャップを介して液体噴射ヘッドから廃液として排出された液体がポンプから廃液タンクに排出される。このように、制御手段により弁手段を第1弁状態と第2弁状態とに切り替え制御することによって、廃液吸引用の一つのポンプを有効活用することができる。
【0012】
本発明の液体噴射装置における液体加圧供給システムにおいて、前記制御手段は、前記キャップが前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を非封止する位置状態にあるときに、前記弁手段を第1弁状態に制御する。
【0013】
この構成によれば、弁手段を第1弁状態としてポンプをポンプ作動させた際には、そのポンプ作動により大気が吸引される。そして、ポンプに吸引された大量の空気が迅速に加圧室内に充填されて可撓性膜を被加圧室側へ撓み変形させる。すなわち、廃液吸引用のポンプがクリーニング時以外に大気を吸引して液体加圧供給に有効利用される。
【0014】
本発明の液体噴射装置における液体加圧供給システムは、開状態となったときに前記被加圧室を大気開放状態とする大気開放弁を備える。
この構成によれば、大気開放弁を開状態とすることで、被加圧室が大気に連通した状態となるため、被加圧室側に撓み変形した状態にある可撓性膜を元の状態に好適に復帰させることができる。したがって、液体収容体への加圧気体の送出動作を繰り返す際に、可撓性膜の撓み変形及びその復帰動作を良好に行うことができる。
【0015】
本発明の液体噴射装置における液体加圧供給システムにおいて、前記大気開放弁及び弁手段はそれぞれ電磁バルブである。
この構成によれば、大気開放弁及び弁手段を電磁バルブで構成することにより、それぞれの弁作動の応答性を向上させることができる。
【0016】
本発明の液体噴射装置における液体加圧供給システムは、前記圧力伝達室の被加圧室と前記液体収容体とを連通する加圧気体供給流路の途中に、前記被加圧室側から前記液体収容体側への気体の流通のみを許容する一方向弁が設けられている。
【0017】
この構成によれば、加圧気体供給路内を、液体収容体側から圧力伝達室の被加圧室側に向けて加圧気体が逆流することがなくなり、液体収容体の内圧の不用意な圧力低下を防止することができる。
【0018】
本発明の液体噴射装置は、液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッド側に加圧気体の供給を受けて収容液体を送出する液体収容体と、前記液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止可能なキャップと、前記液体噴射ヘッドから廃液として排出される流体をポンプ作動時にキャップを介して吸引可能なポンプと、該ポンプにより吸引された流体を廃液として回収可能な廃液タンクと、上記構成の液体噴射装置における液体加圧供給システムとを備える。
【0019】
この構成によれば、液体収容体を加圧するための加圧ポンプを別個に設ける必要がなく、廃液吸引用の一つのポンプを兼用することによって液体収容体へ加圧気体を送出することができるため、液体噴射装置の小型化を図ることができる。
【0020】
本発明の液体噴射装置における液体加圧供給方法は、加圧気体を液体収容体に供給することにより、前記加圧気体の加圧力に基づき液体収容体が収容液体を液体噴射装置が備える液体噴射ヘッド側へ送出するようにした液体噴射装置における液体加圧供給方法であって、前記液体噴射ヘッドから廃液として排出される流体をポンプ作動に基づきキャップを介して吸引可能に構成されたポンプがそのポンプ作動時に該ポンプから排出する流体の圧力を、前記ポンプに連通する加圧室と前記液体収容体に連通する被加圧室とに可撓性膜を介して区画された圧力伝達室における前記加圧室に流入させ、該加圧室に流入した前記流体の圧力により前記可撓性膜を被加圧室側に撓み変形させることにより、該被加圧室内において加圧された気体を前記液体収容体に供給するようにした。
【0021】
この方法によれば、液体収容体に加圧気体を送出する際に、廃液吸引用の一つのポンプを兼用することによって液体収容体へ加圧気体を送出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態における液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」という。)10は、直方体形状の本体ケース11を備えている。本体ケース11内の下部には、その長手方向に沿ってプラテン12が架設されている。プラテン12は、ターゲットとしての紙を支持する支持台であり、紙送り機構によって、給紙トレイから給送される紙を排紙トレイ(いずれも図示略)から本体ケース11外へ排送するようになっている。
【0023】
また、本体ケース11内においてプラテン12の上方にはガイド軸13が架設され、このガイド軸13にはキャリッジ14が移動可能に挿通支持されている。また、キャリッジ14には、本体ケース11内に設けられたキャリッジモータが、一対のプーリに掛装されたタイミングベルト(いずれも図示略)を介して連結されている。従って、キャリッジ14は、ガイド軸13にガイドされながら、キャリッジモータの駆動によりタイミングベルトを介してプリンタ10の長手方向に移動可能となっている。
【0024】
キャリッジ14の下面には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド15が設けられている。この記録ヘッド15の下面側には、複数の噴射ノズル20(図2参照)が形成されると共に、記録ヘッド15内には圧電素子(図示略)が各ノズルと個別対応するように配設されている。そして、各圧電素子が駆動制御されることにより、記録ヘッド15の下方に至った紙に向けて、各ノズルからインク(液体)が噴射されるようになっている。また、キャリッジ14には、記録ヘッド15にインクを供給するサブタンク16(バルブユニットとも言う)が搭載されている。
【0025】
また、本体ケース11内において、キャリッジ14の移動空間域から外れた位置には、カートリッジホルダ17が固定配置されている。そして、カートリッジホルダ17には複数(本実施形態では4つ)のインクカートリッジ18が着脱可能に装着されている。この点で、本実施形態のプリンタ10は、インクカートリッジ18がキャリッジ14と共に移動する所謂オンキャリッジタイプのプリンタではなく、インクカートリッジ18がプリンタ10上において移動しない所謂オフキャリッジタイプのプリンタ10として構成されている。なお、各インクカートリッジ18には、インク(収容液体)を充填したインクパック(図示略)がそれぞれ収容されている。
【0026】
そして、インクカートリッジ18及びサブタンク16はインク色(例えばブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)の数(本実施形態では4つ)だけ配設され、サブタンク16は各色毎にインク供給チューブ19を介して各色のインクカートリッジ18に接続されている。各サブタンク16はインクカートリッジ18から取り込んだインクを一時貯留し、その貯留インクを所定圧に圧力調整して記録ヘッドに供給するようになっている。
【0027】
また、本体ケース11内において、カートリッジホルダ17のプラテン12側となる位置には、各インクカートリッジ18と接続される流路形成体21が支持されている。そして、印刷時には、加圧空気を送り込まれたインクカートリッジ18内のインクパックが押し潰されるように変形することで、そのインクカートリッジ18に収容されたインクが流路形成体21側へ送出されるようになっている。
【0028】
流路形成体21は、略四角形状の平板に形成された取着部21aと、取着部21aの上端部から本体ケース11内の中央位置に延出した延出部21bとを備えている。取着部21a及び延出部21bには、インクカートリッジ18側にインクを供給する4つのインク流路(図示略)が液体流路として形成され、延出部21bの先端部には、インク供給チューブ19の基端部が接続されている。インク供給チューブ19には、4つのインク流路(図示略)が形成されており、流路形成体21の各インク流路とそれぞれ連通している。
【0029】
インク供給チューブ19の先端部は、同じく4つのインク流路(図示略)が形成された接続部材(図示略)を介してキャリッジ14上のサブタンク16に接続されている。したがって、印刷時には、インクカートリッジ18内のインクは、流路形成体21の対応する各インク流路からインク供給チューブ19の各インク流路、接続部材の各インク流路及び各サブタンク16を介して、記録ヘッド15の対応する各噴射ノズル20にそれぞれ供給される。
【0030】
また、本体ケース11においてキャリッジ14の下方位置には、記録ヘッド15の噴射ノズル20内から増粘したインクを廃液として吐出させて排出するためのクリーニング機構22が設けられている。このクリーニング機構22は、記録ヘッド15のノズル形成面15aを封止可能なキャップ23と、吸引ポンプ24とを備えている。そして、記録ヘッド15のノズル形成面15aをキャップ23で封止した状態で吸引ポンプ24を駆動することにより、記録ヘッド15内のノズルから廃液となるインクを吸引し、そのインクを、キャップ23を介して廃液タンク25(図2参照)へ排出するようになっている。
【0031】
次に、インクカートリッジ18へ加圧気体を供給するインク加圧供給システム31の構成について、図2を参照して詳述する。
図2に示すように、インク加圧供給システム31は、上記インクカートリッジ18と、吸引ポンプ24と、廃液タンク25と、吸引ポンプ24と廃液タンク25との間に設けられる圧力伝達室32とを有して構成されている。圧力伝達室32内にはゴム等の弾性材料からなる可撓性膜33が張設されており、この可撓性膜33によって、吸引ポンプ24及び廃液タンク25に連通する加圧室34とインクカートリッジ18に連通する被加圧室35とが区画形成されている。
【0032】
キャップ23と加圧室34とは吸引流路36で接続されており、加圧室34と廃液タンク25とは廃液排出流路37を介して接続されている。吸引流路36には前述した吸引ポンプ24が介在され、廃液排出流路37には電磁弁で構成される開閉弁(弁手段)38が設けられている。この開閉弁38は、閉状態(第1弁状態)では、加圧室34と廃液タンク25とを非連通状態とし、開状態(第2弁状態)では、加圧室34と廃液タンク25とを連通状態とする。したがって、開閉弁38が開状態では、キャップ23から廃液タンク25までが、吸引ポンプ24、吸引流路36、加圧室34、廃液排出流路37を介して連通状態とされる。
【0033】
一方、圧力伝達室32の被加圧室35と各インクカートリッジ18とは加圧気体供給流路としての加圧空気供給流路39で接続されている。加圧空気供給流路39には、インクカートリッジ18側への空気の流通のみを許容する一方向弁としての逆止弁41が設けられている。さらに、加圧空気供給流路39において逆止弁41より下流側となるインクカートリッジ18側には、インクカートリッジ18の内圧を検出するための圧力センサ42が設けられている。
【0034】
また、被加圧室35には、先端が大気に開放された大気開放流路43が接続されており、この大気開放流路43には電磁弁で構成される大気開放弁44が設けられている。この大気開放弁44は、開状態では、被加圧室35を大気と連通状態とし、閉状態では被加圧室35を大気と非連通状態とする。
【0035】
次に、上記プリンタ10の電気的構成を図3を参照して説明する。
図3に示すように、プリンタ10には制御部51が設けられている。この制御部51はCPU52(制御手段)を備えており、該CPU52には、圧力センサ42が電気的に接続されている。さらに、CPU52には、キャップ23、吸引ポンプ24、開閉弁38、大気開放弁44がそれぞれ電気的に接続されており、CPU52は、圧力センサ42から検出された圧力値等に基づいてこれらの各機構(キャップ23、吸引ポンプ24、開閉弁38、大気開放弁44)を駆動制御するようになっている。
【0036】
また、CPU52にはROM53及びRAM54が接続されている。ROM53には、紙に各インクを噴射するための制御プログラムや、吸引ポンプ24の駆動を制御するための制御プログラム等が記憶されている。また、RAM54には、各種の情報(圧力センサ42から検出された圧力値等)が記憶管理されている。RAM54には、プリンタ10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶されるようになっており、例えば圧力センサ42が検出したインクカートリッジ18の内圧等が記憶されるようになっている。
【0037】
次に、上述したプリンタ10の作用について、特にインク加圧供給システム31の作用に着目して説明する。
まず、印刷が開始されると、CPU52により開閉弁38及び大気開放弁44が共に閉状態に制御され、その後、吸引ポンプ24が駆動される。なお、このとき、キャップ23が記録ヘッド15のノズル形成面15aを封止した状態にある場合には、まず、キャップ23を下降させてノズル形成面15aに対して非封止位置となる大気開放状態とした後に吸引ポンプ24は駆動される。すると、吸引ポンプ24の吸引動作により、キャップ23を介して吸引された空気(流体)が吸引流路36を介して圧力伝達室32の加圧室34内へ流入する。そして、その空気は、廃液排出流路37の開閉弁38が閉状態とされているため、廃液タンク25側へ流れることなく、加圧室34内に蓄圧状態で貯留される。
【0038】
すると、図2に破線で示すように、加圧室34内に蓄圧状態で貯留される空気の圧力により、可撓性膜33が被加圧室35側へと撓み変形する。そして、可撓性膜33が被加圧室35側へと撓むことによって、大気開放弁44が閉状態とされて密閉状態とされた被加圧室35内の圧力が高められ、該被加圧室35内から加圧空気が加圧空気供給流路39を介してインクカートリッジ18側へと圧送される。
【0039】
すると次には、CPU52により大気開放弁44及び開閉弁38が共に開状態に制御される。すると、被加圧室35内が大気開放状態となるため、被加圧室35内に大気が流入して、図2に実線で示すように、可撓性膜33は元の水平状態へ復帰する。そして、加圧室34内に蓄圧状態で貯留されていた空気は廃液排出流路37を介して廃液タンク25内に流れ込み、廃液タンク25に形成された蒸発用開口部(図示略)から大気に流出する。なお、このとき、加圧空気供給流路39に設けられた逆止弁41によって、インクカートリッジ18側からは加圧空気が圧力伝達室32の被加圧室35内へと逆流することが規制されるため、上昇したインクカートリッジ18の内圧が不用意に低下することが防止される。
【0040】
そして、再び、CPU52により大気開放弁44及び開閉弁38が共に閉状態に制御され、被加圧室35内が密閉状態とされると、上記と同様に、吸引ポンプ24の吸引動作により吸引された空気が圧力伝達室32の加圧室34内へ流入し、その空気が加圧室34内に蓄圧状態で貯留される。そして、これに伴い、可撓性膜33が被加圧室35側へと撓み変形することで、被加圧室35内の圧力が高められ、加圧された被加圧室35内の空気が加圧空気供給流路39を介してインクカートリッジ18側へ圧送される。
【0041】
このように、吸引ポンプ24を駆動させつつ、大気開放弁44及び開閉弁38を閉状態と開状態とに各々切り替える動作を繰り返し行うことによって、インクカートリッジ18の内圧が徐々に上昇し、インクカートリッジ18内からインクを記録ヘッド15側へ送出可能とする所定圧まで高められる。そして、圧力センサ42によって検出されるインクカートリッジ18の内圧が所定圧となったら、CPU52は大気開放弁44及び開閉弁38を共に開状態として可撓性膜33を元の水平状態へ復帰させた状態で吸引ポンプ24の駆動を停止する。
【0042】
一方、記録ヘッド15の噴射ノズル20のクリーニング動作を行う際には、開閉弁38及び大気開放弁44は共に開状態に制御され、キャップ23を上昇させてキャップ23によって記録ヘッド15のノズル形成面15aを封止した状態で吸引ポンプ24を駆動させる。このとき、キャップ23から廃液タンク25までが、吸引ポンプ24、吸引流路36、加圧室34、廃液排出流路37を介して連通状態となるため、吸引ポンプ24の駆動により記録ヘッド15から廃液として排出されたインク(廃インク)は、吸引ポンプ24に吸引された後、該吸引ポンプ24から廃液タンク25へと排出され、廃液タンク25内に廃液として回収される。なお、その際には、圧力伝達室32の被加圧室35内が大気連通状態にあるため、可撓性膜33が被加圧室35側に撓み変形することはない。
【0043】
以上のように、本実施形態のプリンタ10におけるインク加圧供給システム31では、廃液吸引用の一つの吸引ポンプ24が、CPU52による開閉弁38及び大気開放弁44に対する切り替え制御に従い、クリーニング時の吸引動作とインクカートリッジ18への加圧動作の双方を行う兼用の吸引ポンプ24として有効活用される。
【0044】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、吸引ポンプ24がポンプ作動することによりキャップ23を介して吸引された空気(流体)が圧力伝達室32の加圧室34内に流入すると、可撓性膜33が被加圧室35側に撓み変形するため、被加圧室35内の空気が加圧されて加圧空気供給流路39を介してインクカートリッジ18側へ圧送される。したがって、インクカートリッジ18を加圧するための加圧ポンプを、クリーニング時には廃液吸引のために使用される吸引ポンプ24と別個に設ける必要がなく、一つの吸引ポンプ24を兼用することによりインクカートリッジ18へ加圧空気を送出することができる。その結果、プリンタ10内には2つのポンプ(加圧ポンプと吸引ポンプ24)を各々設置するためのスペースを確保する必要がないため、その分、プリンタ10の小型化を図ることができる。
【0045】
(2)上記実施形態では、圧力伝達室32内が、吸引流路36に連通する加圧室34と吸引流路36には連通しない被加圧室35とに、可撓性膜33によって区画形成されている。そのため、インクカートリッジ18に連通する被加圧室35内には廃液としてのインクが混入することがなく、そのようなインクにより加圧空気供給流路39が目詰まりすることが防止されるため、加圧空気を確実にインクカートリッジ18側へ圧送することができる。
【0046】
(3)上記実施形態では、CPU52により開閉弁(弁手段)38を開弁状態又は閉弁状態に切り替え制御することにより、吸引ポンプ24と廃液タンク25とを連通状態・非連通状態に簡単に切り替えることができ、一つの吸引ポンプ24をクリーニング動作時及び液体加圧供給時の双方に有効活用することができる。
【0047】
(4)上記実施形態では、キャップ23が記録ヘッド15のノズル形成面15aに対し非封止の位置状態にあるときに吸引ポンプ24を駆動させることにより、大気中から空気(流体)を吸引し、その空気を圧力伝達室32の加圧室34内に蓄圧状態で貯留することにより、可撓性膜33を撓み変形させている。そして、その後において、加圧室34から蓄圧状態の空気が廃液排出流路37を介して廃液タンク25へ流れ込むようにしている。したがって、クリーニング時以外に吸引ポンプ24を有効活用できると共に、蓄圧状態の空気が廃液排出流路37内を通過する際には、該廃液排出流路37内のインク目詰まりを解消するという効果も期待できる。
【0048】
(5)上記実施形態では、被加圧室35と連通する大気開放流路43に大気開放弁44が設けられ、この大気開放弁44を開状態とすることで、被加圧室35側に撓み変形した状態にある可撓性膜33が元の水平状態に復帰することを容易ならしめている。したがって、インクカートリッジ18への加圧動作を繰り返す際に、可撓性膜33の撓み変形及びその復帰動作を良好に行うことができる。
【0049】
(6)上記実施形態では、開閉弁38及び大気開放弁44が電磁弁にて構成されているため、それぞれの開閉制御における弁作動の応答性を向上させることができる。
(7)上記実施形態では、加圧空気供給流路39に、インクカートリッジ18側への気体の流通のみを許容する一方向弁としての逆止弁41が設けられている。このため、圧力伝達室32の被加圧室35側からインクカートリッジ18側へ一旦供給された加圧空気が加圧空気供給流路39を介して圧力伝達室32の被加圧室35側へ逆流することがない。したがって、そのような逆流に起因して、インクカートリッジ18の内圧が不用意に低下することを防止できる。
【0050】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・ 上記実施形態において、加圧空気供給流路39の途中に逆止弁41は必ずしもなくてよい。
【0051】
・ 上記実施形態において、大気開放弁44及び開閉弁38を、CPU52により開閉制御される電磁弁ではなく、その開閉動作がクラッチ機構等を介して弁開放レバーが揺動されることで行われる弁構成にしてもよく、また、その他のアクチュエータによって開閉動作が行われる弁構成としてもよい。
【0052】
・ 上記実施形態において、大気開放流路43及び大気開放弁44は必ずしもなくてよい。この場合、開閉弁38を開状態とすれば加圧室34が蒸発用開口部を有する廃液タンク25を介して大気と連通状態となるため、可撓性膜33を元の水平状態に復帰させることができる。
【0053】
・ 上記実施形態において、廃液排出流路37の途中に開閉弁38を設けることなく、その廃液排出流路37を吸引ポンプ24と圧力伝達室32との間で吸引流路36から分岐するように構成し、その分岐点に切り替え弁を弁手段として設けてもよい。そして、その切り替え弁を、吸引ポンプ24と廃液タンク25とが非連通状態となり吸引ポンプ24と圧力伝達室32の加圧室34とが連通状態となる第1弁状態と、吸引ポンプ24と廃液タンク25とが連通状態となり吸引ポンプ24と圧力伝達室32の加圧室34とが非連通状態となる第2弁状態とに切り替え制御するようにしてもよい。このように構成した場合も上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、この構成によれば、圧力伝達室32の加圧室34内には、空気が流入することはあっても廃インクが流入することはないため、圧力伝達室32が廃インクで汚れることを防止できる。
【0054】
・ 上記実施形態において、開閉弁38と大気開放弁44を閉状態にしつつ、キャップ23で記録ヘッド15のノズル形成面15aを封止した状態で、吸引ポンプ24をポンプ作動させることにより、記録ヘッド15から廃液となるインクを吸引し、そのインクが圧力伝達室32の加圧室34に流入する際の圧力で可撓性膜33を撓み変形させてもよい。この場合、圧力伝達室32の加圧室34に蓄圧状態で貯留されることにより可撓性膜33を撓み変形させた廃インクは、開閉弁38と大気開放弁44とが開状態とされて可撓性膜33が元の水平状態に復帰することにより、廃液排出流路37を介して廃液タンク25へ回収される。
【0055】
・ 上記実施形態においては、液体噴射装置として、インクを吐出するプリンタ10について説明したが、その他の液体噴射装置であってもよい。例えば、ファックス、コピア等を含む印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。また、液体もインクに限られず、他の液体に応用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態のインクジェット式プリンタの要部斜視図。
【図2】記録ヘッドへのインク供給系を説明するためのブロック図。
【図3】プリンタの電気構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0057】
10…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ、15…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、15a…ノズル形成面、18…液体収容体としてのインクカートリッジ、23…キャップ、24…吸引ポンプ、25…廃液タンク、31…液体加圧供給システムとしてのインク加圧供給システム、32…圧力伝達室、33…可撓性膜、34…加圧室、35…被加圧室、38…弁手段としての開閉弁、39…加圧気体供給流路としての加圧空気供給流路、41…一方向弁としての逆止弁、44…大気開放弁、52…制御手段としてのCPU。




 

 


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