Warning: fopen(.htaccess): failed to open stream: No such file or directory in /home/jp321/public_html/header.php on line 47

Warning: filesize(): stat failed for .htaccess in /home/jp321/public_html/header.php on line 48

Warning: fread() expects parameter 1 to be resource, boolean given in /home/jp321/public_html/header.php on line 48

Warning: fclose() expects parameter 1 to be resource, boolean given in /home/jp321/public_html/header.php on line 49

Warning: fopen(.htaccess): failed to open stream: Permission denied in /home/jp321/public_html/header.php on line 54

Warning: flock() expects parameter 1 to be resource, boolean given in /home/jp321/public_html/header.php on line 56

Warning: fclose() expects parameter 1 to be resource, boolean given in /home/jp321/public_html/header.php on line 63
液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置 - セイコーエプソン株式会社
米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 繊維;紙;印刷 -> セイコーエプソン株式会社

発明の名称 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1218(P2007−1218A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−185869(P2005−185869)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
発明者 山田 政隆
要約 課題
各圧電素子の変位のばらつきを防止でき且つ製造効率を向上することができる液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供する。

解決手段
液滴を吐出するノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室12が形成される流路形成基板10と、流路形成基板10の一方面側に振動板を介して設けられる下電極60、圧電体層70及び上電極80からなる圧電素子300とを具備すると共に、少なくとも圧電素子300に対応する領域にこの圧電素子300を覆って設けられて、少量の窒素を含有する酸化アルミニウムの薄膜からなる絶縁膜100を有するようにする。
特許請求の範囲
【請求項1】
液滴を吐出するノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを具備すると共に、少なくとも前記圧電素子に対応する領域に当該圧電素子を覆って設けられて、少量の窒素を含有する酸化アルミニウムの薄膜からなる絶縁膜を有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1において、前記絶縁膜の窒素の含有量が1〜3wt%であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記絶縁膜の窒素は、前記絶縁膜の表層付近に偏析するように存在することを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記絶縁膜がCVD法又はスパッタリング法によって形成されたものであることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかの液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
液滴を吐出するノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室が形成される流路形成基板の一方面側に振動板を介して下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成する圧電素子形成工程と、少なくとも前記圧電素子に対応する領域に当該圧電素子を覆う絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程とを具備し、前記絶縁膜形成工程では、原料ガスに所定量の窒素を含む反応ガスを添加して、少量の窒素を含有する酸化アルミニウムの薄膜からなる絶縁膜を成膜することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項7】
請求項6において、前記絶縁膜を成膜する際に、前記絶縁膜の窒素の含有量が1〜3wt%となる量の窒素ガスを含む反応ガスを供給することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7において、CVD法又はスパッタリング法によって前記絶縁膜を成膜することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置に関し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面に圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出する液体噴射ヘッドとしては、例えば、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。また、このようなインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
【0003】
そして、後者のたわみ振動モードのアクチュエータを使用したものとしては、例えば、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが知られている。このような圧電素子は比較的高密度に配列することができる。
【0004】
このように成膜技術により形成された圧電素子は、高密度に配列することができ印刷品質を向上することができるという利点があるが、例えば、湿気等の外部環境に起因して破壊され易いという欠点がある。
【0005】
この欠点を補うために、例えば、圧力発生室が形成される流路形成基板に、圧電素子保持部を有する封止基板(リザーバ形成基板)を接合し、この圧電素子保持部内に圧電素子を密封するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、圧電素子保持部で圧電素子を密封するようにしても、例えば、封止基板と流路形成基板との接着部分から圧電素子保持部内に水分が入り込むこと等により、圧電素子保持部内の湿気が徐々に上昇し、最終的にはこの湿気により圧電素子が破壊されてしまうという問題がある。
【0006】
そして、このような問題を解決するために、例えば、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料からなる絶縁膜で圧電素子を覆うようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。このような構成では、湿気等の外部環境に起因する圧電素子の破壊を防止することはできるものの、例えば、現像液等の薬液に対する耐性が低いという問題がある。すなわち、絶縁膜を成膜後に、絶縁膜が現像液等の薬液に浸漬されるとその膜厚が薄くなってしまうため、絶縁膜の成膜厚さを所望の膜厚よりもかなり厚くしておかなければならず、無駄に材料を消費することになり非効率的であるという問題がある。さらに、絶縁膜の膜厚が減少する際に膜厚にばらつきが生じて各圧電素子の変位にもばらつきが生じてしまう虞がある。
【0007】
なお、このような問題は、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、勿論、インク以外の液滴を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0008】
【特許文献1】特開2003−136734号公報(第1図、第2図、第5頁等)
【特許文献2】国際公開WO2005/0828207号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、各圧電素子の変位のばらつきを防止でき且つ製造効率を向上することができる液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、液滴を吐出するノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを具備すると共に、少なくとも前記圧電素子に対応する領域に当該圧電素子を覆って設けられて、少量の窒素を含有する酸化アルミニウムの薄膜からなる絶縁膜を有することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第1の態様では、絶縁膜の耐薬品性が大幅に向上するため、材料の消費を抑えて効率性を向上することができ、且つ圧電素子の変位のばらつきを防止することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記絶縁膜の窒素の含有量が1〜3wt%であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第2の態様では、絶縁膜の耐湿性、剛性等の各種特性を実質的に変化させることなく、絶縁膜の耐薬品性を確実に向上することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記絶縁膜の窒素は、前記絶縁膜の表層付近に偏析するように存在することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第3の態様によれば、絶縁膜の表層付近に窒素が偏析するように形成されていれば、絶縁膜の耐薬品性を確実に向上することができる。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記絶縁膜がCVD法又はスパッタリング法によって形成されたものであることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第4の態様では、絶縁膜の耐薬品性がより確実に向上する。
【0014】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第5の態様では、信頼性及び耐久性を向上した液体噴射装置を実現することができる。
【0015】
本発明の第6の態様は、液滴を吐出するノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室が形成される流路形成基板の一方面側に振動板を介して下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子を形成する圧電素子形成工程と、少なくとも前記圧電素子に対応する領域に当該圧電素子を覆う絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程とを具備し、前記絶縁膜形成工程では、原料ガスに所定量の窒素を含む反応ガスを添加して、少量の窒素を含有する酸化アルミニウムの薄膜からなる絶縁膜を成膜することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第6の態様では、絶縁膜の耐薬品性が向上するため、材料の無駄な消費を抑えて製造効率を向上することができる。
【0016】
本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記絶縁膜を成膜する際に、前記絶縁膜の窒素の含有量が1〜3wt%となる量の窒素ガスを含む反応ガスを供給することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第7の態様では、耐湿性、剛性等の各種特性を実質的に変化させることなく、耐薬品性を向上した絶縁膜を形成することができる。
【0017】
本発明の第8の態様は、第6又は7の態様において、CVD法又はスパッタリング法によって前記絶縁膜を成膜することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第8の態様では、耐薬品性を向上した絶縁膜を比較的容易且つ良好に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
【0019】
また、流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12を形成する際のマスクとして用いられたマスク膜51を介して、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
【0020】
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウム等からなり、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、白金、イリジウム等からなり、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、チタン酸ジルコン酸鉛等からなり、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、イリジウム等からなり、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。なお、本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
【0021】
そして、少なくともこれら圧電素子300に対応する領域には、絶縁膜が形成されており、各圧電素子はこの絶縁膜によって覆われている。例えば、本実施形態では、各圧電素子300の個別電極である上電極膜80には、それぞれリード電極90が接続されており、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。そして、絶縁膜100は、圧電素子300の各層及びこのリード電極90のパターン領域を実質的に覆うように設けられている。
【0022】
具体的には、図3に示すように、本実施形態では、下電極膜60が圧力発生室12の長手方向では圧力発生室12に対向する領域内に形成され、複数の圧力発生室12に対応する領域に連続的に設けられている。また、下電極膜60は、圧力発生室12の列の外側、及び列設された圧電素子300の間から連通部13近傍まで延設され、それらの先端部は、後述する駆動IC120から延設された接続配線130が接続される接続部60aとなっている。圧電体層70及び上電極膜80は、基本的には圧力発生室12に対向する領域内に設けられているが、圧力発生室12の長手方向では、下電極膜60の端部よりも外側まで延設されており、下電極膜60の端面は圧電体層70によって覆われている。また、リード電極90は、上電極膜80の一方の端部近傍から圧電体層70の端面を介して連通部13近傍まで延設されており、このリード電極90の先端部は、下電極膜60と同様に、接続配線130が接続される接続部90aとなっている。そして、圧電素子300を構成する各層及びリード電極90のパターン領域が絶縁膜100によって実質的に覆われている。すなわち、圧電素子300を構成する各層及びリード電極90のパターン領域が、下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aに対向する領域を除いて、この絶縁膜100によって覆われている。
【0023】
ここで、絶縁膜100は、少量の窒素を含有する酸化アルミニウム(例えば、Al)の薄膜からなる。絶縁膜100の窒素含有量は、1〜3wt%程度であることが好ましい。また、絶縁膜100に含有されている窒素は、単独(N)で存在していてもよいし、少なくとも一部が酸化アルミニウムと結合して窒化酸化アルミニウム(Al)の形で存在していてもよい。
【0024】
このような絶縁膜100は、薄膜でも水分の透過性が極めて低いため、この絶縁膜100によって圧電素子300及びリード電極90の表面を覆うことにより、圧電体層70の水分(湿気)に起因する破壊を防止することができる。また、絶縁膜100は、例えば、100nm程度とかなり薄く形成されていても、高湿度環境下での水分透過を十分に防ぐことができる。
【0025】
さらに、本発明の絶縁膜100は、少量の窒素が含有されていることで、例えば、現像液、エッチング液又はプライマー等の各種薬液に対する耐性(耐薬液性)が著しく向上している。このため、製造過程で絶縁膜100が上記のような薬液に浸漬された場合でも、絶縁膜100の膜厚の減少を抑えることができる。これにより、成膜厚さを薄くしても所望の厚さの絶縁膜100を形成することができ材料の消費量が抑えられるため、絶縁膜100を極めて効率的に形成することができる。さらに、絶縁膜100の膜厚の減少が抑えられることで、絶縁膜100の厚さがより均一化され、各圧電素子300の変位量のばらつきも防止することができる。
【0026】
また、絶縁膜100内の窒素は、膜内に略均一に分散していてもよいが、絶縁膜100の表層付近に偏析するように存在していてもよい。この場合、絶縁膜100の内部に含まれる窒素の量が比較的少なくても、絶縁膜100の少なくとも表層部分では耐薬液性が確保されているので、結果的に絶縁膜100全体の膜厚の減少を抑えることができる。
【0027】
このような少量の窒素を含有する酸化アルミニウムからなる絶縁膜100は、例えば、CVD法、スパッタリング法等によって成膜され、その後、所定形状にパターニングすることによって形成される。そして、本発明では、絶縁膜100を成膜する際に、所定量の窒素ガスを含む反応ガスを添加することで、少量の窒素を含有する酸化アルミニウムからなる絶縁膜100を成膜する。窒素ガスの添加量は、絶縁膜100に含有される窒素が約1〜3wt%となるように適宜調整すればよいが、例えば、CVD法によって絶縁膜100を成膜する場合、原料ガスの供給量と略同量の窒素ガスを添加すればよい。
【0028】
このような方法で絶縁膜100を形成することにより、少量の窒素を含有した酸化アルミニウムからなり耐薬液性に優れた絶縁膜100を比較的容易且つ良好に形成することができる。
【0029】
なお、このような絶縁膜100で覆われた圧電素子300が形成されている流路形成基板10には、本実施形態では、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。さらに、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ110を構成している。
【0030】
また、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に上述した下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aが露出されている。そして、これら下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aに、保護基板30上に実装された駆動IC120から延設される接続配線130の一端が接続されている。そして、この接続配線130が延設された貫通孔33には、有機絶縁材料、例えば、本実施形態では、ポッティング材である封止材140が充填されており、下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aと接続配線130とは、この封止材140によって完全に覆われている。
【0031】
なお、保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0032】
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ110に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ110の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0033】
そして、このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ110からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、圧電素子300をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0034】
ここで、シリコン基板上に、少量(1〜3wt%)の窒素を含有する酸化アルミニウムからなる実施例の絶縁膜と、窒素を含有しない酸化アルミニウムからなる比較例の絶縁膜とを形成し、これら各実施例及び比較例の絶縁膜を、現像液と、リン酸、酢酸及び硝酸の混合液であるエッチング液と、シランカップリング剤であるプライマーとのそれぞれに浸漬させ、各絶縁膜の浸漬前後での膜厚減少量を測定した結果を下記表1に示す。
【0035】
【表1】


【0036】
上記表1に示すように、実施例の絶縁膜の膜厚減少量は、比較例の絶縁膜の膜厚減少量に対して、最大で約1/3程度に抑えられていることが分かる。そして、この結果から明らかなように、少量の窒素を含有する酸化アルミニウムからなる絶縁膜100の耐薬液性は、窒素を含有していない従来の絶縁膜と比較して大幅に向上している。
【0037】
なお、絶縁膜が窒素を含有しているか否かは、例えば、走査型X線光電子分光分析装置(μESCA)あるいは二次イオン質量分析装置(SIMS)等で絶縁膜を分析することによって容易に判定できる。
【0038】
図4はμESCAによる実施例(N2添加有り)及び比較例(N2添加無し)の絶縁膜の分析結果を示すグラフであり、図5はSIMSによる実施例の絶縁膜の分析結果を示すグラフであり、図6はSIMSによる比較例の絶縁膜の分析結果を示すグラフである。図4に示すように、μESCAによって絶縁膜を分析すると、窒素を含有している実施例の絶縁膜には、結合エネルギー400eV近辺に窒素に対応するピークが発生し、窒素を含有していない比較例の絶縁膜にはこのピークが発生しない。したがって、このピークの有無によって絶縁膜が窒素を含有しているか否かを容易に判定することができる。
【0039】
また、SIMSによる絶縁膜を分析すると、窒素を含有する実施例の絶縁膜の場合、図5に示すように、絶縁膜に相当する領域(照射時間およそ800(sec)までの範囲)に、原子量30の物質に対応する二次イオン、すなわち、窒素(N:原子量14)及び酸素(O:原子量16)の二次イオンが多く検出される。なお、絶縁膜は主材料が酸化アルミニウムであるため、含まれている各元素を考慮すれば原子量30の物質に対応する二次イオン強度が、窒素及び酸素に対応するものであることは明らかである。これに対し、窒素を含有しない比較例の絶縁膜の場合、図6に示すように、絶縁膜に相当する領域に、原子量30の物質に対応する二次イオンは若干検出されるが、これはシリコンの同位体(Si:原子量30)に対応する二次イオンであり、その強度値は極めて低く実施例の絶縁膜の場合とは明らかに相違する。なお、比較例の絶縁膜において検出されるシリコンの同位体に対応する二次イオンは、絶縁膜が形成されているシリコン基板の影響によって検出されたものと思われる。
【0040】
このようにSIMSによる絶縁膜の分析では、絶縁膜が窒素を含有するか否かによって原子量30に物質に対応する二次イオン強度が明らかに異なるため、この原子量30の物質に対応する二次イオン強度から、絶縁膜に窒素が含有されているか否かを容易に判定することができる。
【0041】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、連通部13近傍まで延設された下電極膜60の先端部が接続配線130との接続部60aとなっているが、例えば、図7に示すように、下電極膜60に電気的に接続されるリード電極95を、列設された圧電素子300の外側、及び圧電素子300同士の間から連通部13近傍まで延設し、このリード電極95の先端部を接続配線130との接続部95aとしてもよい。
【0042】
また、例えば、上述した実施形態では、圧電素子300が保護基板30の圧電素子保持部31内に形成されているが、これに限定されず、勿論、圧電素子300は露出されていてもよい。この場合でも、圧電素子300及びリード電極90の表面は、少量の窒素を含有する酸化アルミニウムからなる絶縁膜100によって覆われているため、水分(湿気)に起因する圧電体層70の破壊は、確実に防止される。
【0043】
なお、上述した実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図8は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図8に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
【0044】
また、上述した実施形態においては、本発明の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。
【図3】実施形態1に係る記録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図4】μESCAによる実施例、比較例の絶縁膜の分析結果を示すグラフである。
【図5】SIMSによる実施例の絶縁膜の分析結果を示すグラフである。
【図6】SIMSによる比較例の絶縁膜の分析結果を示すグラフである。
【図7】他の実施形態に係る記録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図8】一実施形態に係る記録装置の概略図である。
【符号の説明】
【0046】
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 33 貫通孔、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体膜、 80 上電極膜、 100 絶縁膜、110 リザーバ、 120 駆動IC、 130 接続配線、 140 封止材、 300 圧電素子




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013