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発明の名称 インクジェット記録装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1160(P2007−1160A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−184453(P2005−184453)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 坂上 裕介
要約 課題
外力が作用したあとでも、ドット抜けのない状態で記録を行う。

解決手段
インク滴を吐出するノズルを有する記録ヘッド53を備えたインクジェット記録装置1であって、外力による加速度を検出する加速度検出手段17と、加速度検出手段17によって検出された前記加速度が判定基準を超えているか否かを判定する加速度判定手段と、該加速度判定手段によって前記加速度が前記判定基準を超えていると判定されたことに基づいて、前記ノズルにおける前記インク滴吐出の良否を判定するドット抜け検出判定手段83と、ドット抜け検出判定手段83によって前記吐出が異常であると判定されたことに基づいて、前記吐出を回復させる吐出回復手段と、を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
インク滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置であって、
外力による加速度を検出する加速度検出手段と、
該加速度検出手段によって検出された前記加速度が判定基準を超えているか否かを判定する加速度判定手段と、
該加速度判定手段によって前記加速度が前記判定基準を超えていると判定されたことに基づいて、前記ノズルにおける前記インク滴の吐出の良否を判定するドット抜け検出判定手段と、
該ドット抜け検出判定手段によって前記インク滴の吐出が異常であると判定されたことに基づいて、前記吐出を回復させる吐出回復手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドは、前記ノズルに連通し、内部にインクが充填されるインク室と、該インク室内の容積を変化させるように駆動され、当該インク室内の前記インクに圧力を付与して前記インクを前記ノズルから前記インク滴として吐出させるアクチュエータと、を有し、
前記ドット抜け検出判定手段は、前記アクチュエータを駆動させたときに前記インク室に発生する残留振動を検出するとともに、前記残留振動の周期及び位相に基づいて、前記インク滴の吐出の良否を判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記加速度検出手段は、外力に応じた加速度で変位可能に支持された永久磁石と、該永久磁石の変位による鎖交磁束を起電力に変換するコイルと、該コイルに接続され、変換された前記起電力に応じた電荷が蓄積される電荷蓄積手段と、を有し、
前記加速度判定手段は、前記インクジェット記録装置の電源がONになったときに、前記電荷蓄積手段に蓄積されている前記電荷の量を検出する電荷検出手段を有し、前記電荷検出手段が検出した前記電荷量が所定量を超えているときに、前記加速度が前記判定基準を超えているものと判定するようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記インクの温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段によって検出された前記温度に基づいて、前記加速度の前記判定基準を補正する判定基準補正手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記加速度検出手段は、前記記録ヘッドのノズル面に対して垂直な方向の前記加速度を検出するように配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、記録媒体上にノズルからインク滴を吐出し、この記録媒体にドットを形成することによって記録が行われ、比較的簡易な記録方式で高品質の画像を得ることができるという特徴を有している。
このようなインクジェット記録装置は、パーソナルコンピュータが常時接続され、このパーソナルコンピュータにおける情報出力装置として使用される形態にとどまらない。すなわち、デジタルスチルカメラが接続されたり、画像データを記憶した情報記憶媒体が接続されたりして、PCを介さずに記録データの授受を行って記録を行うようにしたものや、小型化及び軽量化が図られて携帯性に富んだものなど、様々な形態で広く普及してきている。
【0003】
ところで、インクジェット記録装置では、外部から振動や衝撃などの外力が作用すると、ノズルからインク内に気泡が混入してインク滴が良好に吐出されない所謂ドット抜けが発生することがある。
【0004】
このような振動や衝撃に対しては、電子写真方式の画像形成装置において、従来から、振動や衝撃を検出する加速度センサを備え、この加速度センサが所定レベルを超える振動や衝撃を検出したときに、画像形成動作を停止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平5−19558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インクジェット記録装置では、上記特許文献1に記載されている従来例のように、振動や衝撃が検出されたときに記録動作を停止したとしても、その振動や衝撃によってノズル内に気泡が混入してしまっていることがあり、振動や衝撃が収まったあとに記録を再開するとドット抜けが発生してしまうことがあるという課題がある。
また、振動や衝撃の検出に電力を要する加速度センサでは、電源がOFFになっているときに受けた振動や衝撃を検出することができず、このときにノズル内に気泡が混入してしまっていると、記録を実施するときにドット抜けが発生してしまうことがあるという課題もある。
【0007】
本発明は、上記の未解決の課題に着目してなされたものであり、外力が作用したあとでも、ドット抜けのない状態で記録を行うことができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、インク滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置であって、外力による加速度を検出する加速度検出手段と、該加速度検出手段によって検出された前記加速度が判定基準を超えているか否かを判定する加速度判定手段と、該加速度判定手段によって前記加速度が前記判定基準を超えていると判定されたことに基づいて、前記ノズルにおける前記インク滴の吐出の良否を判定するドット抜け検出判定手段と、該ドット抜け検出判定手段によって前記インク滴の吐出が異常であると判定されたことに基づいて、前記吐出を回復させる吐出回復手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この第1の発明では、判定基準を超える加速度が作用すると、ドット抜け検出判定手段によってノズルにおける吐出の良否が判定され、ノズルの吐出に異常があるときには、吐出回復手段がその吐出を回復させるようになっている。したがって、インクジェット記録装置に外力が作用しても、ドット抜けがない状態で記録を実施することが可能となる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記記録ヘッドは、前記ノズルに連通し、内部にインクが充填されるインク室と、該インク室内の容積を変化させるように駆動され、当該インク室内の前記インクに圧力を付与して前記インクを前記ノズルから前記インク滴として吐出させるアクチュエータと、を有し、前記ドット抜け検出判定手段は、前記アクチュエータを駆動させたときに前記インク室に発生する残留振動を検出するとともに、前記残留振動の周期及び位相に基づいて、前記インク滴の吐出の良否を判定するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
この第2の発明では、ドット抜け検出判定手段は、アクチュエータを駆動させたときにインク室に発生する残留振動を検出し、この残留振動の周期及び位相から吐出の良否を判定することが可能となる。すなわち、ノズルからインク室に気泡が混入した場合と混入していない場合とでは、残留振動の周期及び位相が異なるため、吐出の良否を容易に判定することが可能となる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記加速度検出手段は、外力に応じた加速度で変位可能に支持された永久磁石と、該永久磁石の変位による鎖交磁束を起電力に変換するコイルと、該コイルに接続され、変換された前記起電力に応じた電荷が蓄積される電荷蓄積手段と、を有し、前記加速度判定手段は、前記インクジェット記録装置の電源がONになったときに、前記電荷蓄積手段に蓄積されている前記電荷の量を検出する電荷検出手段を有し、前記電荷検出手段が検出した前記電荷量が所定量を超えているときに、前記加速度が前記判定基準を超えているものと判定するようになっていることを特徴とする。
【0013】
この第3の発明では、外力が作用すると、その外力に応じた加速度で永久磁石が変位してコイルに起電力が生じ、この起電力に応じた電荷が電荷蓄積手段に蓄積される。すなわち、インクジェット記録装置の電源がOFFになっていても、電荷蓄積手段には、インクジェット記録装置に作用した外力の加速度に応じた電荷が蓄積される。
そして、外力判定手段は、インクジェット記録装置の電源がONになったときに、電荷検出手段が電荷蓄積手段に蓄積されている電荷の量を検出し、この検出された電荷の量に基づいて、インクジェット記録装置に作用した加速度が判定基準を超えているか否かを判定する。
したがって、電源がOFFになっているときにインクジェット記録装置に外力が作用しても、電源がONになったときにはドット抜けがない状態で記録を実施することが可能となる。
【0014】
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか一の発明において、前記インクの温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段によって検出された前記温度に基づいて、前記加速度の前記判定基準を補正する判定基準補正手段とを備えることを特徴とする。
この第4の発明では、インクの温度に基づいて加速度の判定基準が補正されるようになっているため、加速度判定手段は、温度によって変化するインクの表面張力に適合した判定基準で、加速度を判定することが可能となる。
【0015】
第5の発明は、第1乃至第3のいずれか一の発明において、前記加速度検出手段は、前記記録ヘッドのノズル面に対して垂直な方向の前記加速度を検出するように配設されていることを特徴とする。
この第5の発明では、加速度検出手段によって記録ヘッドのノズル面に対して垂直な方向の加速度が検出されるので、最も気泡が混入しやすい方向の加速度を正確に検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置1は、斜視図である図1に示すように、本体2を備えており、この本体2の前面部に、記録用紙Pを排出する排出口21と、デジタルスチルカメラ(以下、デジタルカメラと呼ぶ)が接続されるデジタルカメラ接続口22と、画像データなどの情報を記憶する情報記憶媒体としてのメモリカードが接続されるメモリカード接続口23と、本体2の上面部に、各種操作ボタン等で構成される操作部3と、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成される表示部4と、インクジェット記録装置1の各種処理や動作の制御を司る制御回路部5と、キャリーハンドル6とが設けられている。
【0017】
また、本体2の内部には、記録用紙Pに記録画像を形成する画像形成部7が収容されている。この画像形成部7は、平面図である図2(a)及び正面図である図2(b)に示すように、記録用紙Pを図中の紙送り方向に1枚ずつ間欠送りする紙送り装置40と、記録用紙Pに記録を行う記録部50と、この記録部50を図中の主走査方向に往復移動させる往復移動装置60と、後述する記録ヘッド53をクリーニングするクリーニング装置70と、を備えている。
【0018】
紙送り装置40は、図2(a)に示すように、互いに外周を接し合って回転可能に構成された紙送りローラ41a及び紙押さえローラ41bと、制御回路部5によって動作が制御され、紙送りローラ41aを回転駆動するための動力を発生する紙送りモータM1とを備えている。この紙送り装置40は、紙送りモータM1から紙送りローラ41aに動力が伝達され、紙送りローラ41aと紙押さえローラ41bとの間に挟持した記録用紙Pを紙送り方向に間欠送りする。
【0019】
記録部50は、インクが収容されたインクカートリッジ52を搭載するキャリッジ51と、このキャリッジ51の底面に配設され、インクカートリッジ52から供給されるインクをノズルからインク滴として吐出する記録ヘッド53とを備えている。なお、インクカートリッジ52は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのインクが、それぞれカートリッジ52y,52m,52c及び52kに個別に収容されている。
【0020】
ここで、記録ヘッド53に形成されているノズルの配列について説明する。
記録ヘッド53は、底面図である図3に示すように、インクの色ごと(イエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックK)にノズル531が形成されたノズルプレート532を備えている。このノズルプレート532には、紙送り方向に沿って所定間隔で配列形成されたノズル531によって構成されるノズル列533が、インクの色ごとに2本ずつ形成されている。
【0021】
また、インクの色ごとに形成される2本のノズル列533は、これら2本のノズル列533のノズル531が紙送り方向に互い違いに位置するようにノズル列533同士を紙送り方向にずらして、すなわち2本のノズル列533のノズル531が千鳥状に配列するように形成されている。
【0022】
なお、この図3では、ノズル531をわかりやすく示すため、ノズル531の大きさを誇張し、且つ個数を減じて図示している。また、図3中の符合534は、ノズルプレート532の記録用紙Pに対向する面であるノズル面を示している。
【0023】
往復移動装置60は、図2(a)に示すように、一対のプーリ61a及び61bと、これらプーリ61a及び61b間に主走査方向に沿って張設されるタイミングベルト62と、制御回路部5によって動作が制御され、プーリ61aを回転駆動するための動力を発生するキャリッジモータM2と、両端が図示しない筐体に支持され、キャリッジ51を主走査方向にガイドするキャリッジガイド軸63とを備えている。そして、キャリッジ51は、タイミングベルト62の一部に固定されており、キャリッジモータM2からプーリ61a及びタイミングベルト62を介して動力が伝達され、主走査方向に往復移動可能に構成されている。
【0024】
ここで、インクジェット記録装置1では、画像形成部7にリニアスケール11が主走査方向に沿って設けられており、このリニアスケール11に刻まれているスケールをキャリッジ51に取り付けられたリニアエンコーダ12で光学的に検出して位置を検出することにより、キャリッジ51の主走査方向における位置を制御しながらキャリッジ51を往復移動させるようになっている。
【0025】
クリーニング部70は、図2(a)に示すように、記録ヘッド53のノズル面534を拭き取るワイパ71と、ノズル531からインクを吸引する吸引装置72とを備えている。
ワイパ71は、正面図である図4(a)に示すように、可撓性を有するゴム部材等からなるブレード711と、このブレード711を支持するブレード支持部712とを備えている。このワイパ71は、ブレード711の先端部がノズル面534より下側にある待機位置(図4(a))と、この待機位置から上昇して、ブレード711の先端部がノズル面534より上側に突出するワイピング位置(図4(b))との間で、移動可能に構成されている。そして、ワイパ71がワイピング位置に上昇している状態で、記録ヘッド53を図4(c)中の矢印方向に移動させると、撓んだブレード711の先端部によってノズル面534が拭き取られる。
【0026】
また、吸引装置72は、図2(b)に示すように、ノズル面534を覆うキャップ73と、キャップ73に接続されるチューブ74と、チューブ74を介してキャップ73内の大気を吸引する吸引ポンプ75と、制御回路部5によって動作が制御され、吸引ポンプ75を駆動するための動力を発生するポンプモータM3とを備えている。
【0027】
キャップ73は、断面図である図5(a)に示すように、底部にチューブ74を接続する接続口が形成され、少なくとも先端部が弾性体で構成される凹状の容器内に、インク吸収体731を備えた構成を有している。このインク吸収体731は、ポリビニルアルコール等の親水性多孔質体で構成され、液体を吸収及び保持する能力が高い材料で構成されている。
【0028】
吸引ポンプ75は、図5(b)に示すように、ポンプモータM3の動力によって図中R1方向に回転駆動されるホイール751と、このホイール751の外周より外側に突出して回転可能に構成された圧搾ローラ752とを備えている。この圧搾ローラ752は、ホイール751がR1方向に回転駆動されると、このホイール751とともにR1方向に連れ回され、図中R2方向に自転しながらチューブ74を扱く。これにより、キャップ73内が負圧となり、ノズル531からインクが吸引されるようになっている。
【0029】
また、記録ヘッド53には、図2(b)に示すように、インクの温度を検出する温度センサ16と、インクジェット記録装置1に作用する外力による加速度を検出する加速度センサ17とが設けられている。そして、記録ヘッド53、リニアエンコーダ12、温度センサ16及び加速度センサ17のそれぞれは、図2(a)に示す電気ケーブル13によって制御回路部5に接続されている。
【0030】
制御回路部5は、図6に示すように、制御部81と、記録ヘッド53を制御する記録ヘッドドライバ82と、記録ヘッド53における後述のドット抜け検出判定を行うドット抜け検出判定部83と、加速度センサ17からの検出信号が入力される加速度センサ検出回路84と、温度センサ16からの検出信号が入力される温度センサ検出回路85と、キャリッジモータM2を制御するキャリッジモータドライバ86と、リニアエンコーダ12からの検出信号が入力されるエンコーダ検出回路87と、紙送りモータM1を制御する紙送りモータドライバ88と、ポンプモータM3を制御するポンプモータドライバ89と、インターフェイス90とを備えている。
【0031】
制御部81は、例えば、マイクロコンピュータで構成され、記録処理等の各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)811と、ホストコンピュータ91、デジタルカメラ92及びメモリカード93からの画像データや、各種処理を実行する際に必要となる種々のデータを格納するメモリ812とを備えている。このメモリ812は、画像データを格納するSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)や、記録処理等を実行する際に各種データを一時的に格納したり、記録処理等のアプリケーションプログラムを一時的に展開したりするRAM(Random Access Memory)や、CPU811が実行する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリで構成されるROM(Read-Only Memory)などを含んで構成されている。
【0032】
加速度センサ検出回路84は、加速度センサ17からの検出信号を検知するとともに、その検出信号に示される加速度を定量化して制御部81に出力する。
温度センサ検出回路85は、温度センサ16からの検出信号に示される温度を定量化して制御部81に出力する。
エンコーダ検出回路87は、リニアエンコーダ12からの検出信号を検知し、その結果を制御部81に出力する。
インターフェイス90は、例えば、パーソナルコンピュータなどのホストコンピュータ91から入力される画像データなどを受け取る。
【0033】
上述した構成を有するインクジェット記録装置1では、画像形成部7において、紙送りモータM1の駆動が制御回路部5によって制御され、紙送り装置40が記録用紙Pを記録ヘッド53のノズル面534に対向させながら紙送り方向に間欠送りする。このとき、制御回路部5は、キャリッジモータM2の駆動を制御し、リニアエンコーダ12からの位置検出信号に基づいてキャリッジ51を主走査方向に往復移動させながら、所定の位置でノズル531からインク滴を吐出させる。このような動作によって、記録用紙Pにドットが形成され、この記録用紙Pに画像データなどの記録情報に基づく記録が行われる。
【0034】
ここで、記録ヘッド53の構成について、詳細を説明する。
記録ヘッド53は、断面図である図7に示すように、前述したノズルプレート532と、振動板535とを備えている。これらノズルプレート532と振動板535との間には、ノズル531に連通し、ノズル531ごとに区画されたインク室536と、インク室536に連通し、インクカートリッジ52から供給されたインクを各インク室536に供給するインク供給路537とが形成されている。
【0035】
また、記録ヘッド53は、図7に示すように、振動板535を変位させるための動力を発生する圧電アクチュエータ540をノズル531ごとに備えている。
この圧電アクチュエータ540は、複数の圧電素子541が積層された構成を有し、電極542a及び542b間に図7に示す波形で駆動電圧を印加すると、この図で見て上下方向に伸縮し、中間層538を介して振動板535を変位させてインク室536内のインクに圧力を付与する。そして、圧力が付与されたインクは、ノズル531からインク滴として吐出される。
【0036】
このような構成を有する記録ヘッド53では、圧電アクチュエータ540を駆動すると、振動板535が所定の固有振動数で自由振動する所謂残留振動が振動板535に生じる。残留振動によって圧電アクチュエータ540に起電力が発生し、この起電力の波形によって残留振動の態様を把握することができる。そして、この残留振動の態様に基づいて、ノズル531からインク滴が適正に吐出されない状態であるドット抜けの発生の有無を判定することができる。これは、残留振動の態様が、例えば図8に示すように、ノズル531におけるインク滴の吐出状態によって異なるためである。
【0037】
インク滴が正常に吐出された場合の残留振動の態様は、図8の特性線L1に示すように、残留振動の減衰が比較的小さい。これに対し、ノズル531内のインクが乾燥してしまった場合、特性線L2に示すように、特性線L1に比較して振幅が小さくなる減衰が著しい。これは、ノズル531内のインクの粘度が増大してインク室536内を振動するインクの流動が悪くなっているために生じると考えられる。
【0038】
また、ノズル531内に気泡が混入した場合には、インク室536内の圧力変化があっても、気泡にその変化が吸収されるため、見かけ上イナータンスが小さくなり、コンプライアンスが大きくなったかのように、特性線L3に示すように、残留振動の周期が短くなる。また、紙粉がノズル531付近に付着しているときには、インク室536内の圧力変化の応答性が低下し、特性線L4に示すように位相遅れが生じる。
【0039】
このように、残留振動の周期及び位相がノズル531の吐出状態によって異なるため、ドット抜けの発生有無を判定することができ、さらに、ドット抜け発生の原因がインクの乾燥によるものか、ノズル531への気泡の混入によるものか、ノズル531への紙粉の付着によるものかを的確に判別することができる。
【0040】
そして、残留振動を検出してドット抜け発生の有無を判定するドット抜け検出判定を行うのが、図6に示すドット抜け検出判定部83である。
このドット抜け検出判定部83は、図9に示すように、記録ヘッド53とグランドとの接続及び記録ヘッド53と後述するドット抜け検出回路832との接続を選択的に切り替える切り替えスイッチ831と、後述する残留振動信号が入力され、この残留振動信号からドット抜け発生の有無の判定に必要な信号成分を抽出するドット抜け検出回路832と、ドット抜け検出回路832が抽出した信号成分に基づいて、ドット抜け発生の有無を判定をする判定回路833とを備えている。ここで、残留振動信号とは、振動板535の残留振動によって圧電アクチュエータ540に発生する起電力の電圧信号である。
【0041】
切り替えスイッチ831は、パワー素子等のアナログスイッチで構成されており、制御部5によって切り替えが制御され、ドット抜け検出判定を行うときには、圧電アクチュエータ540への駆動電圧の印加が終了した時点で圧電アクチュエータ540とドット抜け検出回路832とを接続する。圧電アクチュエータ540とドット抜け検出回路832とが接続されると、残留振動信号がドット抜け検出回路832に送られる。
【0042】
ドット抜け検出回路832は、図10に示すように、残留振動信号を増幅するとともに、これに含まれる圧電アクチュエータ540自身の振動成分及びインク室536の振動成分のうちインク室536の振動成分を主に取り出すための、例えばバンドパスフィルタなどで構成される交流増幅器834と、この交流増幅器834で取り出したインク室536の振動成分と基準電圧とを比較してこれをパルス信号に変換する比較器835とを備えている。
また、判定回路833は、比較器835からのパルス信号の周期及び位相を測定する周期位相測定回路836と、この周期位相測定回路836で測定したインク室536の振動成分の周期及び位相と、予め設定されているドット抜け判定用の判定テーブル837とに基づいて正常な吐出が行われているか否かを判定する比較器838とを備えている。
そして、この比較器838の出力すなわちドット抜け発生の有無の判定結果が制御部5に出力される。
【0043】
ところで、インクジェット記録装置1に振動や衝撃などの外力が作用すると、その加速度によっては、記録ヘッド53のノズル531部におけるインクのメニスカスが大きく変形してインクが空気を巻き込み、インク室536内に気泡が混入してしまうことがある。そこで、本実施形態のインクジェット記録装置1では、基準を超える加速度が作用したときにドット抜け検出判定を実施し、ドット抜けが発生していると判定されると、前述したクリーニング部70で記録ヘッド53をクリーニングして各ノズル531の吐出を回復させるようになっている。
【0044】
このインクジェット記録装置1におけるドット抜け検出判定処理について、以下に説明する。なお、このドット抜け検出判定処理は、例えば記録処理などの各種処理が実施されている途中でも優先的に実施される所謂割り込み処理である。
【0045】
インクジェット記録装置1では、加速度センサ17がインクジェット記録装置1に作用する加速度を検出し、その加速度の値gが加速度センサ検出回路84から制御部5に入力されると、CPU811が図11に示すドット抜け検出判定処理を開始する。
このドット抜け検出判定処理では、まず、ステップS1において、温度センサ16にインクの温度Tを検出させてステップS2に移行する。
【0046】
このステップS2において、加速度の判定基準としての閾値g1を算出してステップS3に移行する。
ここで、インクの温度が上昇してインクの表面張力が低下すると、ノズル531からインク内へ気泡が混入しやすくなる。そこで、加速度の閾値g1は、下記(1)式に基づいて算出される。
g1=g20×(ST/S20)・・・(1)
上記(1)式において、g20は、温度が20℃のときの落下試験に基づいて設定される基準加速度であり、STは、温度Tにおけるインクの表面張力であり、S20は、温度が20℃のときのインクの表面張力である。
つまり、上記のステップS2では、上記(1)式に基づいて加速度の閾値g1を算出してステップS3に移行する。
【0047】
このステップS3において、加速度センサ17が検出した加速度の値gが閾値g1を超えているか否かを判定し、超えている(YES)と判定されると、ステップS4に移行し、閾値g1以下である(NO)と判定されると、処理を終了する。
ステップS4において、ドット抜け検出判定を実施してステップS5に移行する。
このステップS5において、ドット抜けの発生があるか否かを判定し、ある(YES)と判定されると、ステップS6に移行し、ない(NO)と判定されると、処理を終了する。
【0048】
ステップS6において、ノズル531からインクを吸引するポンピングを前述した吸引装置72に実施させてステップS7に移行する。
このステップS7において、前述したワイパ71によるノズル面534のワイピング(拭き取り)を実施させてステップS8に移行する。
このステップS8において、記録ヘッド53にフラッシングを実施させて処理を終了する。
【0049】
ここで、フラッシングとは、記録以外の目的でノズル531からインク滴を吐出することをいう。また、ステップS8でフラッシングを行うのは、ワイピングされた記録ヘッド53のノズル531には、異色のインクが混入していることがあり、この混入したインクを排出するためである。
【0050】
なお、本実施形態において、加速度センサ17が加速度検出手段に対応し、温度センサ16が温度検出手段に対応し、ドット抜け検出判定部83並びに図11におけるステップS4及びS5の処理がドット抜け検出判定手段に対応し、吸引装置72及びステップS6の処理が吐出回復手段に対応し、ステップS2の処理が判定基準補正手段に対応し、ステップS3の処理が加速度判定手段に対応している。
【0051】
本実施形態のインクジェット記録装置1では、閾値g1を超える加速度gで外力が作用すると、割り込み処理であるドット抜け検出判定処理が開始され、ドット抜け検出判定部83によって記録ヘッド53のノズル531ごとにドット抜け検出判定が実施されて、ドット抜けがあるときには、吸引装置72がドット抜けを回復させるようになっている。
【0052】
したがって、例えば記録を行っているときに外力が作用しても、ドット抜けがない状態で記録を再開することが可能となる。また、記録を実施していない待機状態にあるときに外力が作用した場合に、ユーザーがそれに気付かずに記録を開始させても、ドット抜けがない状態で記録を開始することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1では、圧電アクチュエータ540を駆動させたときに発生する残留振動に基づいて、ドット抜け検出判定をするようになっている。
ここで、例えば、記録ヘッド53にテストパターンを印字するテスト記録を実施させて、そのテスト記録の結果からドット抜けを判定する構成を採用すると、ユーザーが所望する記録を行っているときに閾値g1を超える加速度が作用した場合には、テスト記録を実施しなければならず、その加速度が作用する前までの記録が無駄になってしまう。
つまり、残留振動に基づいてドット抜け検出判定をするようにしたインクジェット記録装置1では、記録を行っているときに閾値g1を超える加速度が作用しても、その加速度が作用する前までの記録に継続してドット抜けのない状態で記録を行うことが可能となり、記録の無駄を抑制することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1では、インクの温度に基づいて加速度の閾値g1を変化させるようになっているため、インクの表面張力に応じた適切な閾値g1で加速度gの判定を行うことが可能となる。
【0055】
なお、本実施形態では、加速度を検出する手段として、通常の圧電式加速度検出器、歪ゲージ式加速度検出器、ジャイロ式加速度検出器、半導体式加速度検出器などで構成される加速度センサ17を備えるようにしたが、これらはインクジェット記録装置の電源がONになっている場合に限定される。
インクジェット記録装置の電源がOFFになっている時に、外から加速度が加えられた場合には、加速度検出手段を、図12に示すように、加速度検出装置161で構成する。この場合、加速度が加えられた場合には、その後インクジェット記録装置の電源がONになって使用される時になって、図11のフローチャートによりノズルからインク滴が正常に吐出されることを確認してから使用される。
【0056】
この加速度検出装置161は、弾性部材162a及び162bで支持され、加速度に応じて図中矢印方向に弾性変位する永久磁石163と、永久磁石163の外周を囲むように配設され、永久磁石163の変位によって起電力が誘導されるコイル164と、4つのダイオード165で構成され、起電力によって生じる電流を全波整流するダイオードブリッジ166と、起電力に応じた電荷を蓄積するコンデンサ167と、コンデンサ167の両端末部に接続され、インクジェット記録装置1の電源がOFFからONになったときに、コンデンサ167の電圧を検出する電圧検出回路168とを備えている。
【0057】
このような構成を有する加速度検出装置161では、図13に示すように、時刻t1において、インクジェット記録装置1に外力が作用すると、その外力の加速度に応じて永久磁石163が変位し、コイル164に誘導された起電力によってコンデンサ167に電荷が蓄積され、コンデンサ167の電圧がV1に上昇する。さらに、時刻t2において作用した外力によって、コンデンサ167の電圧がV2に上昇し、時刻t3において作用した外力によって、コンデンサ167の電圧がV3に上昇する。そして、時刻t4において、インクジェット記録装置1の電源がOFFからONになると、電圧検出回路168によってコンデンサ167の電圧V3が検出される。
【0058】
ここで、電圧検出回路168には、電圧の閾値Vshが設定されており、インクジェット記録装置1は、検出されたコンデンサ167の電圧値がこの閾値Vshを超えているときに、ドット抜け検出判定処理を実施するように構成されている。この図13に示す場合、電圧V3が閾値Vshを超えているので、前述したドット抜け検出判定処理が実施される。そして、ドット抜け検出判定処理が終了すると、時刻t5でコンデンサ167の電荷を逃がして、コンデンサ167の電圧をリセットする。
【0059】
なお、この加速度検出装置161において、電圧検出回路168が電荷検出手段に対応している。
この加速度検出装置161を備える構成によれば、インクジェット記録装置1の電源がOFFになっているときに外力が作用しても、電源がONになったときには、ドット抜けがない状態で記録を実施することが可能となる。
【0060】
なお、ノズル面534に対して垂直な方向に加速度が作用したときに最も気泡が混入しやすいため、この加速度検出装置161は、図12に示す永久磁石163の変位方向がノズル面534に対して垂直な方向となるように配設されるのが好ましい。さらに、インクカートリッジ52からインク室536までのインク供給経路内においても、外力によって同様な現象が発生することがあるため、適宜、永久磁石163の変位方向を変えて複数個の加速度検出装置161を備えるようにしてもよい。
【0061】
さらに、この加速度検出装置161と加速度センサ17とを併用すれば、電源がONになっている場合及び電源がOFFになっている場合のいずれの場合に外力が作用しても、記録を開始するときには、ドット抜けのない状態で記録を開始することができる。また、整流回路は、全波整流に限定されず、半波整流でもよい。又コンデンサ167の電荷を出来るだけ長い時間保持していることが望ましく、整流回路のリーク電流は出来るだけ小さいことが望ましい。
【0062】
また、本実施形態では、インクに圧力を付与するアクチュエータとして積層型の圧電アクチュエータ540を採用したが、これに限定されず、図14に示すように、圧電材料301を上下電極302,303で挟んだ簡単な構造のアクチュエータを使用して振動板535を振動させ、振動モードとしてこの図で見て上下方向に撓むモードを利用したピエゾ方式のシェアモードのユニモルフアクチュエータ304を採用してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4種類のインクを用いた場合を例に説明したが、これに限定されず、これにライトシアン及びライトマゼンタを加えた6種類等、任意の種類のインクを用いた構成とすることができる。
【0064】
また、記録媒体は記録用紙Pに限らず、インク滴が付着してドットを形成できるものであれば、任意の記録媒体を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の画像形成部を説明する図。
【図3】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置のノズルの配列を説明する図。
【図4】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置のワイピング動作を説明する図。
【図5】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の吸引動作を説明する図。
【図6】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の主要構成を示すブロック図。
【図7】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の記録ヘッドの構成を説明する図。
【図8】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の残留振動波形の一例を示す図。
【図9】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置のドット抜け検出判定部の構成を説明するブロック図。
【図10】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置のドット抜け検出回路及び判定回路の構成を説明するブロック図。
【図11】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置のドット抜け検出判定処理の流れを示す図。
【図12】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の加速度検出装置の構成を説明する図。
【図13】加速度検出装置における作用を説明する図。
【図14】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の記録ヘッドの他の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0066】
1…インクジェット記録装置、16…温度センサ、17…加速度センサ、53…記録ヘッド、531…ノズル、72…吸引装置、540…圧電アクチュエータ、536…インク室、163…永久磁石、164…コイル、167…コンデンサ。




 

 


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