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発明の名称 ポリピロール及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16133(P2007−16133A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199246(P2005−199246)
出願日 平成17年7月7日(2005.7.7)
代理人 【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
発明者 天池 正登
要約 課題
導電性が高く、それ自身及びそれを用いる材料の性能(導電率)の均一性が高く、さらに、溶媒に分散可能で、加工が容易なポリピロール及びその製造方法を提供すること。

解決手段
球状粒子であって、粒径が1000nm以下であり、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液中で分散性を示すポリピロール、及びかかるポリピロールの製造方法である。
特許請求の範囲
【請求項1】
粒子形状であって、粒径が1000nm以下であることを特徴とするポリピロール。
【請求項2】
導電率が、1.0×10−6S/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリピロール。
【請求項3】
球状あることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリピロール。
【請求項4】
水酸基含有ポリサッカライド水溶液中で分散性を示すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリピロール。
【請求項5】
水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度が、2〜10%(w/v)のいずれかの濃度であることを特徴とする請求項4に記載のポリピロール。
【請求項6】
水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項4又は5に記載のポリピロール。
【請求項7】
水酸基含有ポリサッカライドを含み、ポリピロールが分散されたことを特徴とするポリピロール分散液。
【請求項8】
水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項7に記載のポリピロール分散液。
【請求項9】
水酸基含有ポリサッカライドとの複合体であることを特徴とするポリピロール。
【請求項10】
水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項9に記載のポリピロール。
【請求項11】
ゲル状であることを特徴とする請求項9又は10に記載のポリピロール。
【請求項12】
水酸基含有ポリサッカライドの存在下、ピロールのエマルジョンを形成し、重合することを特徴とするポリピロールの製造方法。
【請求項13】
水酸基含有ポリサッカライド水溶液にピロールを添加してピロールのエマルジョンを形成することを特徴とする請求項12に記載のポリピロールの製造方法。
【請求項14】
重合が、化学酸化重合であることを特徴とする請求項12又は13に記載のポリピロールの製造方法。
【請求項15】
エマルジョンを形成した後、系内に化学酸化重合触媒を添加することを特徴とする請求項14に記載のポリピロールの製造方法。
【請求項16】
化学酸化重合触媒が、鉄系酸化剤であることを特徴とする請求項15に記載のポリピロールの製造方法。
【請求項17】
水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度が、0.1〜30%(w/v)であることを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載のポリピロールの製造方法。
【請求項18】
水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載のポリピロールの製造方法。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれかに記載のポリピロールの製造方法により製造されたことを特徴とするポリピロール。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリピロール及びその製造方法に関し、詳しくは、粒子形状のポリピロール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウム二次電池の正極素材として、コバルト酸リチウムやマンガン酸リチウム等が知られている。しかし、これらの素材の実用容量は、負極素材である炭素材料等の実用容量に対して小さく、これらの正極素材を用いても大幅な容量の向上を期待できなかった。このため、高性能な電池システムを構築するためには新たな正極素材の開発が望まれている。
【0003】
近年、実用容量の大きいリチウム二次電池の正極素材として、有機化合物を用いる試みがなされている。例えば、π共役系導電性高分子であるポリピロールは、柔軟性があるため薄膜等への成形が容易なこと、使用後も焼却または化学的処理が可能であるため環境への影響が少ないこと、安価であること、また置換基の導入等により分子レベルでの設計が可能であること等の特徴を持ち、導電性の高い優れた二次電池の電極として実用化が期待されている。
【0004】
しかしながら、かかるポリピロールは、溶媒に非常に溶解(分散)しにくいため、その加工が容易ではないという問題がある。この問題を解決すべく、ポリピロールをアルキル置換することにより、有機溶媒への可溶化を図る方法が提案されている(特許文献1〜9参照)。また、水への可溶化を図るべく、キトサンと重合剤を含む希有機酸中でピロールを酸化重合させた後、有機溶媒中で析出させるポリピロールの製造方法も提案されている(特許文献10参照)。
【0005】
他方、電極材料としてポリピロールを使用する場合、ポリピロールの導電性の向上や、ポリピロール自身及びそれを用いる材料の性能(導電率)の均一性を図ることは、非常に重要な課題である。
【0006】
【特許文献1】特開平5−117372号公報
【特許文献2】特開平5−117373号公報
【特許文献3】特開平5−310895号公報
【特許文献4】特開平7−207001号公報
【特許文献5】特開平8−157574号公報
【特許文献6】特開平7−145232号公報
【特許文献7】特開平7−286035号公報
【特許文献8】特開平6−263726号公報
【特許文献9】特開平5−194382号公報
【特許文献10】特開平4−253744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、導電性が高く、それ自身及びそれを用いる材料の性能(導電率)の均一性が高いポリピロール及びその製造方法を提供することを目的とする。また、溶媒に分散可能で、加工が容易なポリピロール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、まず、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCということがある。)等の水酸基含有ポリサッカライドを用いてピロールの重合を行うことにより、水溶液中で分散性に優れたポリピロールを得ることができ、これと同時に、用いる水酸基含有ポリサッカライドの量を変えることにより、種々の粒径を有するポリピロールを得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、(1)粒子形状であって、粒径が1000nm以下であることを特徴とするポリピロールや、(2)導電率が、1.0×10−6S/cm以上であることを特徴とする上記(1)に記載のポリピロールや、(3)球状あることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のポリピロールや、(4)水酸基含有ポリサッカライド水溶液中で分散性を示すことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリピロールや、(5)水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度が、2〜10%(w/v)のいずれかの濃度であることを特徴とする上記(4)に記載のポリピロールや、(6)水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載のポリピロールに関する。
【0010】
また本発明は、(7)水酸基含有ポリサッカライドを含み、ポリピロールが分散されたことを特徴とするポリピロール分散液や、(8)水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする上記(7)に記載のポリピロール分散液や、(9)水酸基含有ポリサッカライドとの複合体であることを特徴とするポリピロールや、(10)水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする上記(9)に記載のポリピロールや、(11)ゲル状であることを特徴とする上記(9)又は(10)に記載のポリピロールに関する。
【0011】
さらに本発明は、(12)水酸基含有ポリサッカライドの存在下、ピロールのエマルジョンを形成し、重合することを特徴とするポリピロールの製造方法や、(13)水酸基含有ポリサッカライド水溶液にピロールを添加してピロールのエマルジョンを形成することを特徴とする上記(12)に記載のポリピロールの製造方法や、(14)重合が、化学酸化重合であることを特徴とする上記(12)又は(13)に記載のポリピロールの製造方法や、(15)エマルジョンを形成した後、系内に化学酸化重合触媒を添加することを特徴とする上記(14)に記載のポリピロールの製造方法や、(16)化学酸化重合触媒が、鉄系酸化剤であることを特徴とする上記(15)に記載のポリピロールの製造方法や、(17)水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度が、0.1〜30%(w/v)であることを特徴とする上記(12)〜(16)のいずれかに記載のポリピロールの製造方法や、(18)水酸基含有ポリサッカライドが、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする上記(12)〜(17)のいずれかに記載のポリピロールの製造方法や、(19)上記(12)〜(18)のいずれかに記載のポリピロールの製造方法により製造されたことを特徴とするポリピロールに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導電性が高く、それ自身及びそれを用いる材料の性能(導電率)の均一性が高く、さらに、溶媒に分散可能で、加工が容易なポリピロール及びその製造方法を提供することを目的とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1のポリピロールとしては、粒子形状であって、粒径が1000nm以下であるポリピロールであれば特に制限されるものではなく、球状であることが好ましく、粒径としては、500nm以下であることが好ましく、50〜400nmであることがより好ましく、100〜300nmであることがさらに好ましく、粒径が揃っていることが特に好ましい。すなわち、粒子の80%以上が上記粒径範囲にあることが好ましく、粒子の90%以上が上記粒径範囲にあることがより好ましく、95%以上が上記粒径範囲にあることがさらに好ましい。
【0014】
ここで、粒径とは、得られたポリピロール粒子の直径をいい、例えば、上記のSEM像、または、マルバーン社製 HPPS測定から求めることができる。また、球状とは、得られたポリピロールをSEMで観察することによって、その粒子形状が球状を呈していることを確認できるものである。ただし、粒子球と粒子球が繋がった様な連鎖状構造のものではない。
【0015】
ここで、本発明のポリピロールとは、ポリピロール誘導体を含むものであり、ポリピロール誘導体としては、例えば、1−アミノピロール、1−(2−ブロモメチル)ピロール、1−(3−ブロモプロピル)ピロール、1−(2−クロロエチル)ピロール、1−エチルピロール、1−メチルピロール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロール、1−(3−ヒドロキシプロピル)ピロール、1−(2−アミノフェニル)ピロール、1−(4−クロロフェニル)ピロール、1−(2−シアノエチル)ピロール、1−(4−メトキシフェニル)ピロール、1−(4−メチルフェニル)ピロール、1−(4−ニトロフェニル)ピロール、1−(4−トリチルフェニル)ピロール、1−(ジメチルアミノ)ピロール、1−(p−トリルスルホニル)ピロール、1−(フェニルスルホニル)ピロール、1−(トリイソプロピルシリル)ピロール、1−n−オクタデシルピロール、1−n−オクチルピロール、1−フェニルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−ペンチルピロール、3−ヘキシルピロール、3−ヘプチルピロール、3−オクチルピロール、3−ノニルピロール、3−デシルピロール、3−ウンデシルピロール、3−ドデシルピロール、3−オクタデシルピロール、3−ニトロピロール、3,4−ジベンジルピロール、3,4−ジブロモピロール、3−アセチル−1−(フェニルスルホニル)ピロール、3−アセチル−1−メチルピロール、3−ニトロ−4−フェニルピロール、3−デシル−4−メチルピロール、4−メトキシピロールー3−カルボン酸メチルエステル、4−メトキシピロールー3−カルボン酸ブチルエステル、4−ブチルピロールー3−カルボン酸メチルエステル、4−ブチルピロールー3−カルボン酸ブチルエステル、4−ヘキシルピロールー3−カルボン酸メチルエステル、4−ヘキシルピロールー3−カルボン酸ヘキシルエステル、3−エトキシカルボニル−4−メチルピロール、3−エトキシカルボニル−4−フェニルピロール、3−エトキシカルボニル−4−クロロメチルピロール、3−エトキシカルボニル−4−(2−チエニル)ピロール、3−エトキシカルボニル−4−プロピルピロール、3,5−ジヒドロ−1−H−チエノ−[3,4−c]ピロール、4,6−ジヒドロ−1−H−ジチイノ−[4,5−c]ピロールの重合体又はこれらの共重合体を挙げることができる。
【0016】
本発明のポリピロールは、粒子形状であると共に粒子が揃っているので、導電率も高く、例えば、導電率は、1.0×10−6S/cm以上であり、好ましくは、1.0×10−1S/cm以上である。また、本発明のポリピロールは、粒子が揃っており、それ自身及びそれを用いる材料の性能(導電率)の均一性が高く、また、上記のように導電率が高いので、電池やキャパシタ用電極活性物質やセンサーとして極めて良好な材料である。
【0017】
また、本発明のポリピロールとしては、水溶液に不溶なもの(沈澱するもの)であってもよいが、水酸基含有ポリサッカライド水溶液中で分散性を示すポリピロールであることが好ましく、これにより、加工性が飛躍的に向上する。水酸基含有ポリサッカライドとしては、水酸基含有セルロース、水酸基含有デンプン、水酸基含有グリコーゲン、水酸基含有フルクタン、水酸基含有マンナン、水酸基含有キシラン等を挙げることができ、これらの中でも、水酸基含有セルロースが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロースが特に好ましい。
【0018】
また、本発明のポリピロールが分散可能な水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度としては、2〜10%(w/v)のいずれかの濃度を挙げることができ、3〜7%(w/v)のいずれかの濃度であることが好ましい。
【0019】
また、本発明の水酸基含有ポリサッカライドを含み、ポリピロールを分散させた分散液中のポリピロールの濃度としては、0.1〜20%(w/v)であることが好ましく、0.5〜5%(w/v)であることがより好ましい。
【0020】
また、本発明の第2のポリピロールとしては、水酸基含有ポリサッカライドとの複合体であるポリピロールであれば特に制限されるものではなく、例えば、ゲル状であり、ゲル状ポリピロールは、通常、ポリピロール1モルに対して、水酸基含有ポリサッカライドを0.1〜20モル含有しており、0.5〜10モル含有しているものが好ましく、1.0〜4.0モル含有しているものがさらに好ましい。ゲル状ポリピロールは、水を含んだゲルであるので、生体親和性が求められる医療用の電極やセンサーとして極めて良好な材料である。
【0021】
以上のような本発明のポリピロールは、以下に示す本発明のポリピロールの製造方法により製造することができる。
【0022】
本発明のポリピロールの製造方法としては、水酸基含有ポリサッカライドの存在下、ピロールのエマルジョンを形成し、重合する方法であれば、特に制限されるものではなく、水酸基含有ポリサッカライド水溶液にピロールを添加してピロールのエマルジョンを形成する方法や、水酸基含有ポリサッカライド及びピロールを同時に水に添加してエマルジョンを形成する方法や、水にピロールを添加した後、水酸基含有ポリサッカライドを添加してエマルジョンを形成する方法等が挙げられるが、エマルジョンを安定して確実に形成できる点から、水酸基含有ポリサッカライド水溶液にピロールを添加してピロールのエマルジョンを形成することが好ましい。ここで、本発明のピロールとは、ピロール誘導体を含み、具体的には、上述の通りである。
【0023】
上記重合方法としては、化学酸化重合法、電解重合を挙げることができ、化学酸化重合法が好ましい。かかる化学酸化重合に用いる触媒(化学酸化重合触媒)は、エマルジョンの形成前に系内に添加してもよいが、良好な分散性を示す粒子状のポリピロールを作製する点から、エマルジョン形成後に系内に添加することが好ましい。化学酸化重合触媒としては、鉄系酸化剤であることが好ましく、Fe(III)の塩が特に好ましい。具体的には、塩化第二鉄(FeCl)、過塩素酸鉄(Fe(ClO)、硝酸鉄(Fe(NO)、パラトルエンスルホン酸第二鉄塩、硫酸第二鉄(Fe(SO)、テトラフルオロホウ酸鉄(Fe(BF)等が挙げられる。これらの中でも、過酸化反応などの副反応が抑制され、ポリピロールが収率よく得られることから、塩化第二鉄がより好ましい。鉄系酸化剤の使用量は、ピロール1モルに対して、通常、1〜10モルであり、2〜4モルであることが好ましい。
【0024】
化学酸化重合反応は、通常、常圧下で行われる。ピロールの添加は、滴下によるものが好ましく、攪拌しながら行うことがより好ましい。また、過酸化反応を抑制する観点から、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行われるのが好ましい。反応温度としては、−10℃〜80℃であることが好ましく、0〜20℃であることがより好ましい。反応は、通常、数十分〜数十時間で完結する。
【0025】
本発明の製造方法に用いる水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度としては、0.1〜30%(w/v)であることが好ましく、0.5〜25%(w/v)であることがより好ましい。具体的には、沈殿状態の生成物を得る場合には、水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度は、0.1〜3%(w/v)であることが好ましく、0.5〜3%(w/v)であることが好ましい。また、分散性の生成物を得る場合には、水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度は、2〜10%(w/v)であることが好ましく、3〜7%(w/v)であることがより好ましい。また、ゲル状の生成物を得る場合には、水酸基含有ポリサッカライド水溶液の水酸基含有ポリサッカライド濃度は、7〜30%(w/v)であることが好ましく、7〜25%(w/v)であることがより好ましい。また、添加するピロールとしては、通常、水溶液1Lに対して、1〜100gであり、10〜30gであることが好ましい。
【0026】
以上のように製造された本発明のポリピロールは、例えば、ポリマーリチウム二次電池の正極素材として使用することができる。正極素材は、活物質であるポリピロール及びポリマー等を溶媒存在下で混練することによりペーストを調製し、該ペーストを集電体に塗布することにより作製することができる。得られるポリマーリチウム二次電池は、例えば、ノートパソコン、携帯電話、コードレスフォン機、電子手帳、電卓、液晶テレビ、電気シェーバー、電動工具、電子翻訳機、音声入力器、メモリーカード、バックアップ電源、ラジオ、ヘッドホンステレオ、ナビゲーションシステム等の機器用の電源や、冷蔵庫、エアコン、テレビ、温水器、オーブン電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、ゲーム機器、照明機器、玩具、医療機器、自動車、電動カート、電力貯蔵システム等の電力供給源として使用することができる。
【実施例】
【0027】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
【0028】
本実施例において、試薬・器具は、次のものを使用した。原料のピロールは、東京化成株式会社から購入し、使用前に、水素化カルシウム(CaH)を用いた減圧蒸留を行なった。水素化カルシウム、ピロールの酸化剤である塩化鉄6水和物、及びキトサン(キトサン10:脱アセチル化度88.9%)は和光純薬工業株式会社から購入した。ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)は、日本曹達株式会社製品(HPC−SL,Mw:77122)を使用した。透析用セルロースチューブは、分画分子量:12000〜14000のものを用いた。粘度測定には、山一電機株式会社製の振動式粘度計ビスコメイト VM−1A−M、及び柴田科学株式会社製のウベローデ粘度計を用いた。粒径測定には、マルバーン社製のHPPSを用いた。顕微鏡観察には、株式会社キーエンス社製のデジタルマイクロスコープ VH−7000を用いた。導電率測定には、北斗電工社製のPotentiostat/Galvanostat HA−501及びSANWA製デジタルマルチメーターPC−5000を使用した。FT−IRスペクトル測定には、Nicolet社製のMEGA−IR760を用いた。
【0029】
(実施例1)
あらかじめ窒素バブリングを15分間行なった蒸留水10mlに、HPCを1%(w/v)となるように溶解させた。このHPC水溶液中にピロール0.4g(6.0mmol)を加え攪拌し、0℃にまで冷却した。HPC水溶液は、ピロールを加えるとすみやかにエマルジョンを形成し、乳化白濁した。次いで、FeCl・6HO 5.03g(18.6mmol)を水3mlに溶解させた後、アイスバス中にて、HPC−ピロール混合液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。得られた反応液中に黒色沈殿が存在した。沈殿物のろ過と洗浄、そして減圧乾燥を行ない、黒色粉末を得た。
【0030】
(実施例2)
あらかじめ窒素バブリングを15分間行なった蒸留水10mlに、HPCを5%(w/v)となるように溶解させた。このHPC水溶液中にピロール0.4g(6.0mmol)を加え攪拌し、0℃にまで冷却した。HPC水溶液は、ピロールを加えるとすみやかにエマルジョンを形成し、乳化白濁した。次いで、FeCl・6HO 5.03g(18.6mmol)を水3mlに溶解させた後、アイスバス中にて、HPC−ピロール混合液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。得られた反応液には沈殿物はなく黒色溶液であった。黒色溶液の透析を行い過剰の塩化鉄を除去し、溶液のpHを中性にし、黒色のポリピロール溶液(ポリピロールコロイド溶液)を得た。
【0031】
(実施例3)
あらかじめ窒素バブリングを15分間行なった蒸留水10mlに、HPCを10%(w/v)となるように溶解させた。このHPC水溶液中にピロール0.4g(6.0mmol)を加え攪拌し、0℃にまで冷却した。HPC水溶液は、ピロールを加えるとすみやかにエマルジョンを形成し、乳化白濁した。次いで、FeCl・6HO 5.03g(18.6mmol)を水3mlに溶解させた後、アイスバス中にて、HPC−ピロール混合液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。この反応溶液について透析操作を行ない塩化鉄を除去したところ、透析チューブの中でゲルが生成されていた。このゲルは、HPC濃度が20%のときに得られたもの(実施例4)よりもかなりゆるいものであった。
【0032】
(実施例4)
あらかじめ窒素バブリングを15分間行なった蒸留水10mlに、HPCを20%(w/v)となるように溶解させた。このHPC水溶液中にピロール0.4g(6.0mmol)を加え攪拌し、0℃にまで冷却した。HPC水溶液は、ピロールを加えるとすみやかにエマルジョンを形成し、乳化白濁した。次いで、FeCl・6HO 5.03g(18.6mmol)を水3mlに溶解させた後、アイスバス中にて、HPC−ピロール混合液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。塩化鉄を加えてから1時間後に反応溶液がゲル化した。6時間の重合反応の後、生成したゲルを水中に浸漬させ塩化鉄を除去した。
【0033】
(比較例1)
あらかじめ窒素バブリングを15分間行なった蒸留水10mlに、ピロール0.4g(6.0mmol)を加え攪拌し、0℃にまで冷却した。次いで、FeCl・6HO 5.03g(18.6mmol)を水3mlに溶解させた後、アイスバス中にて、ピロール分散液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。6時間の重合反応の後、生成したポリピロール沈殿物のろ過と蒸留水による洗浄を行い、塩化鉄を除去し、ポリピロール粉末を製造した。
【0034】
(比較例2)
キトサンを所定の濃度となるよう2%酢酸水溶液10mlに溶解させた。このキトサン溶液中にピロール0.84g(12.5mmol)を加えて攪拌し、0℃にまで冷却した。FeCl・6H0 10.1g(37.5mmol)を水4mlに溶解させた後、アイスバス中にてキトサン−ピロール混合液に攪拌させながらゆっくり加えた。0〜5℃の範囲に保ちながら6時間攪拌を行なった。反応終了後、反応溶液をメタノール中に分散させた。その後、遠心分離(10000rps)とメタノール分散を3回行ない、塩化鉄と未反応キトサンを除去した。キトサンからは、黒色の粉末状ポリピロールが得られたのみであり、水溶性(水分散性)ポリピロールを得ることはできなかった。
【0035】
(評価)
1.ポリピロールのIRスペクトル
本発明のポリピロールのIR吸収スペクトルを図1に示す。HPC濃度が1%及び5%のとき、HPCを用いないで製造したポリピロールのIR吸収スペクトルとほぼ一致した。HPCに由来する吸収バンドは観察されず、HPCの存在量は非常に少ない。一方、ゲルとして得られたHPC濃度が10%及び20%のときに得られた複合体からは、HPC由来の吸収バンドが観察された。ゲル中にHPCが存在している。
【0036】
2.ポリピロールの粒子径
SEM観察により、実施例1及び実施例2より得られたポリピロール粒子の形状とその粒子径を求めた。顕微鏡観察はカバーガラス上に溶液を落とし、もう1枚のカバーガラスで挟み込んで観察を行った。得られた複合体溶液の粒子径測定は、溶液をSEMグリッド上にのせ溶媒を除去した後、SEM観察を行なうことによって算出した。その結果を表1及び図2〜図4に示す。図2は、実施例1で得られたポリピロールのSEMの写真であり、図3は、実施例2で得られたポリピロールのSEMの写真である。また、図4は、比較例1で得られたポリピロールのSEMの写真である。
【0037】
【表1】


【0038】
図2及び図3から明らかなように、どちらも球状粒子であったが、HPC濃度によって粒径が異なることがわかった。実施例2(HPC濃度5%)より得られたコロイド粒子径は小さく、150〜200nmであった。実施例1(HPC濃度1%)より得られた粉末の粒子は球状であり、その粒子径は400〜500nmであった。これに対して、図4に示すように、比較例1(HPC未添加)より得られたポリピロールは、連鎖状であり球形を呈していなかった。
【0039】
3.ポリピロールの導電率
得られたポリピロールの導電率を測定した。実施例1より得られた粉末状試料はペレット形成を行い、ファンデルポー法により導電率を求めた。また、実施例2により得られたポリピロール、実施例3及び実施例4より得られたポリピロールゲルは、ガラス基盤上にキャストし乾燥と粉砕によって粉末状にし、粉末状試料と同様に導電率を測定した。表1に示すように、実施例2より得られたコロイド状ポリピロールの導電率は、1.2×10−1S/cmであり、粉末状のもの(実施例1)と同程度であった。実施例3及び実施例4より得られたポリピロールゲルの導電率は、粉末やコロイド粒子の導電率よりも低い値10−4〜10−3S/cmを示した。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、実施例1〜4で得られたポリピロールのIRスペクトル図である。
【図2】図2は、実施例1で得られたポリピロールのSEMの写真である。
【図3】図3は、実施例2で得られたポリピロールのSEMの写真である。
【図4】図4は、比較例1で得られたポリピロールのSEMの写真である。




 

 


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