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発明の名称 蛍光色素含有フレーク体およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−99859(P2007−99859A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−290060(P2005−290060)
出願日 平成17年10月3日(2005.10.3)
代理人 【識別番号】100128152
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 俊哉
発明者 三上 伸路 / 河津 光宏
要約 課題
蛍光色素の分散性に優れ、蛍光色素が溶出しにくく、目的の色調が得られやすい蛍光色素含有フレーク体、およびその製造方法の提供を目的とする。さらに、この蛍光色素含有フレーク体を含ませた塗料、樹脂の提供を目的とする。

解決手段
金属酸化物の薄片体中に、少なくとも一種類の有機蛍光色素が分散され、リン酸化合物が含まれていることを特徴とする蛍光色素含有フレーク体である。
特許請求の範囲
【請求項1】
ゾルゲル法による金属酸化物の薄片体中に、少なくとも一種類の有機蛍光色素が分散され、リン酸化合物が含まれていることを特徴とする蛍光色素含有フレーク体。
【請求項2】
前記薄片体が、シリコン、チタン、アルミニウム、ジルコニウムおよび亜鉛から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物を主成分とする請求項1に記載の蛍光色素含有フレーク体。
【請求項3】
前記リン酸化合物が、リン酸塩、リン酸エステルおよびリン酸から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の蛍光色素含有フレーク体。
【請求項4】
前記有機蛍光色素が水溶性である請求項1に記載の蛍光色素含有フレーク体。
【請求項5】
前記有機蛍光色素が、波長300nm〜390nmの帯域に吸収極大を持ち、波長400nm〜500nmの帯域に発光極大を示す蛍光色素である請求項1に記載の蛍光色素含有フレーク体。
【請求項6】
前記有機蛍光色素が、ジスチリルビフェニルジスルホン酸、ジスチリルビフェニルジスルホン酸アルカリ塩、ジスチリルビフェニルジスルホン酸またはビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸を母骨格とする置換誘導体から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の蛍光色素含有フレーク体。
【請求項7】
前記有機蛍光色素が0.001質量%〜10質量%含まれている請求項1〜6のいずれか1項に記載の蛍光色素含有フレーク体。
【請求項8】
前記リン酸化合物が、リン酸(H3PO4)に換算して、前記フレーク体中に0.01質量%以上25質量%以下含まれている請求項1〜7のいずれか1項に記載の蛍光色素含有フレーク体。
【請求項9】
前記フレーク体の厚みを0.7μmに換算したとき、
波長400nm以上420nm未満の帯域におけるすべての波長の透過率が70%以上であり、
波長420nm以上500nm未満の帯域におけるすべての波長の透過率が80%以上であり、
かつ波長500nm以上800nmまでの帯域におけるすべての波長の透過率が90%以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の蛍光色素含有フレーク体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の蛍光色素含有フレーク体において、
前記フレーク体中に、雲母薄片またはフレーク状ガラスが含まれている蛍光色素含有フレーク体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の蛍光色素含有フレーク体を含有させたことを特徴とする塗料。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の蛍光色素含有フレーク体を含有させたことを特徴とする樹脂。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の蛍光色素含有フレーク体を含有させたことを特徴とする紙。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の蛍光色素含有フレーク体を含有させたことを特徴とするインク組成物。
【請求項15】
有機蛍光色素と、加水分解可能な金属化合物と、リン酸化合物とを含む溶液を基体上に塗布して、膜を形成し、前記膜を基体から剥離させてフレーク体を得ることを特徴とする蛍光色素含有フレーク体の製造方法。
【請求項16】
有機蛍光色素と、加水分解可能な金属化合物と、リン酸化合物とを含む溶液に、雲母またはガラスからなる薄片を接しさせ、前記薄片上に蛍光色素を含有する膜を形成させたことを特徴とする蛍光色素含有フレーク体の製造方法。
【請求項17】
前記金属化合物の金属を、シリコン、チタン、アルミニウム、ジルコニウムおよび亜鉛から選ばれる少なくとも一種とした請求項15または16に記載の蛍光色素含有フレーク体の製造方法。
【請求項18】
前記リン酸化合物を、リン酸塩、リン酸エステルおよびリン酸から選ばれる少なくとも一種とした請求項15または16に記載の蛍光色素含有フレーク体の製造方法。
【請求項19】
前記有機蛍光色素が水溶性である請求項15または16に記載の蛍光色素含有フレーク体の製造方法。
【請求項20】
前記有機蛍光色素を、ジスチリルビフェニルジスルホン酸、ジスチリルビフェニルジスルホン酸アルカリ塩、ジスチリルビフェニルジスルホン酸またはビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸を母骨格とする置換誘導体から選ばれる少なくとも一種とした請求項15または16に記載の蛍光色素含有フレーク体の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光色素が分散されたフレーク体およびその製造方法に関する。さらに、それを用いた塗料、樹脂、紙およびインク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光を発する材料は、特定の波長の光を吸収し異なる波長の光を発する性質から、現在多くの物質で利用されている。例えば、増白剤と呼ばれる有機蛍光色素は、波長300〜390nmの紫外光を吸収し、波長約450nmの青色の光を発する。この有機蛍光色素は、洗剤に混入され洗濯後衣服に付着する。紫外線の照射により青色の光を発し、例えば、綿のように黄色みを帯びた生地に、この有機蛍光色素からの青色の光が加わることによって、その白さを引き立たせることが知られている。
【0003】
一方、薄片状、鱗片状とも呼ばれるフレーク状の金属酸化物は、例えば樹脂のフィラーとして用いられ、成形物の寸法安定性や、機械的強度を向上させることが可能な材料として知られている。また、塗料に混入させた場合には、バリア特性や、塗布層の寿命延長、クラック防止、耐薬品性の向上などが期待できる有用な材料として知られている。
【0004】
また、本出願人は、特開平4−292430号公報にて、有機金属化合物および有機色素を含む溶液を、表面が平滑な基板に塗布し、これを剥離する有機色素を含有するフレーク体の製造方法を開示している。
【特許文献1】特開平4−292430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特開平4−292430号公報では、有機蛍光色素を含有するフレーク体については、何ら言及されていない。
【0006】
さらに本発明者は、予備検討によって、金属酸化物の薄片体中に蛍光色素を分散させた場合、以下のような問題のあることを明らかにした。すなわち、蛍光色素の分散性が十分でないことや、フレーク体から蛍光色素が溶出しやすいこと、目的とする色調が得られないことなどである。
【0007】
そこで、本発明は、金属酸化物の薄片体中に蛍光色素を分散させた蛍光色素含有フレーク体において、蛍光色素の分散性に優れ、蛍光色素が溶出しにくく、目的の色調が得られやすい蛍光色素含有フレーク体、およびその製造方法の提供を目的とする。さらに、この蛍光色素含有フレーク体を含ませた塗料、樹脂、紙およびインク組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が鋭意研究したところ、金属酸化物の薄片体中に、少なくとも一種類の有機蛍光色素が分散され、リン酸化合物を含むフレーク体とすることにより、上述した問題が解決できることを見出した。
このようなフレーク体は、有機蛍光色素の分散性に優れ、有機蛍光色素の耐溶出性や発色性に優れている。
【0009】
蛍光色素含有フレーク体において、前記金属酸化物の金属が、シリコン、チタン、アルミニウム、ジルコニウムおよび亜鉛から選ばれる少なくとも一種を主成分とすることが好ましい。なお主成分とは、質量%にて、50%以上の成分をいう。
【0010】
また、前記リン酸化合物が、リン酸塩、リン酸エステルおよびリン酸から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0011】
さらに、前記有機蛍光色素が水溶性であることが好ましい。
【0012】
加えて、前記有機蛍光色素が、波長300nm〜390nmの帯域に吸収極大を持ち、波長400nm〜500nmの帯域に発光極大を示す蛍光色素であることが好ましい。
【0013】
具体的には、前記有機蛍光色素が、ジスチリルビフェニルジスルホン酸、ジスチリルビフェニルジスルホン酸アルカリ塩またはジスチリルビフェニルジスルホン酸を母骨格とする置換誘導体から選ばれる少なくとも一種である。
【0014】
また、この蛍光色素含有フレーク体において、前記フレーク体の厚みを0.7μmに換算したとき、波長400nm以上420nm未満の帯域におけるすべての波長の透過率が70%以上であり、波長420nm以上500nm未満の帯域におけるすべての波長の透過率が80%以上であり、かつ波長500nm以上800nmまでの帯域におけるすべての波長の透過率が90%以上であることが好ましい。
【0015】
透光体における透過率(T)と吸光度(A)との関係は、以下の式で表される。
A=−log(T/100)
また、吸光度Aは、ランベルト−ベールの法則より、吸収成分の濃度に比例する。したがって、フレーク体の膜厚が変化した場合は、その吸収成分の濃度がその膜厚に比例して増加することと同じであるので、吸光度はその膜厚に比例して増加する。
【0016】
本発明では、フレーク体の厚みを0.7μmに換算したときの透過率で定義している。そこで、フレーク体の厚みが変化した場合の透過率は、上述した関係から換算することができる。すなわち、0.7μmの透過率を、それぞれ95%,90%,80%,70%とし、厚みをDとしたときの換算透過率Tは、次式にて表すことができる。
(95%)=(10(-D×0.032))×100(%)
(90%)=(10(-D×0.0654))×100(%)
(80%)=(10(-D×0.138))×100(%)
(70%)=(10(-D×0.221))×100(%)
【0017】
さらに、前記フレーク体中に、雲母薄片またはフレーク状ガラスが含まれていてもよい。
【0018】
これらの蛍光色素含有フレーク体は、塗料や樹脂、紙、インク組成物に含有させて利用できる。
【0019】
このフレーク体の製造方法としては、有機蛍光色素と、加水分解可能な金属化合物と、リン酸化合物とを含む溶液を基体上に塗布して、膜を形成し、前記膜を基体から剥離させるとよい。
【0020】
また、このフレーク体の製造方法の別形態としては、有機蛍光色素と、加水分解可能な金属化合物と、リン酸化合物とを含む溶液に、雲母またはガラスからなる薄片を接しさせ、前記薄片上に蛍光色素を含有する膜を形成させてもよい。
【発明の効果】
【0021】
以上のような構成により、本発明による蛍光色素含有フレーク体は、有機蛍光色素の分散性に優れ、有機蛍光色素の耐溶出性や発色性に優れている。
【0022】
この蛍光色素含有フレーク体を、塗料や樹脂、紙、インク組成物に含ませると、有機蛍光色素の分散性に優れているので、発せられる蛍光により視覚的な効果がさらに高まる。また、耐溶出性に優れているので、長期間の使用に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のフレーク体は、金属酸化物の薄片体中に、少なくとも一種類の有機蛍光色素が分散され、リン酸化合物を含むフレーク体である。ここで、本発明のフレーク体におけるリン酸化合物とは、リン酸が架橋し酸化物中のネットワーク構造の一部となったガラス構造体(リン酸塩ガラスと呼ばれる)とは異なり、架橋構造とはなっていないリン酸、リン酸塩、リン酸エステルのことである。具体的には、H3PO4で表されるリン酸や、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0024】
本発明におけるフレーク体の酸化物の総量に対するリン酸の比率は、25質量%以下、特に2.5質量%以下とするとよい。この比率の下限は0質量%を超えていればよいが、0.01質量%以上とすることが好ましい。なおこの場合、リン酸の比率は、リン酸をH3PO4に換算して、算出することとする。これは、0.01質量%未満の場合では、リン酸化合物によるネットワーク構造の強化や、リン化合物と有機蛍光色素との相互作用といった溶出性向上への効果が働きにくくなるためである。また、リン酸化合物が25質量%を超えると、母骨格となる金属酸化物の強度が低下したり、フレーク体からリン酸化合物が溶出しやすくなり好ましくない。
【0025】
本発明のフレーク体に分散させる有機蛍光色素は、水溶性であることが望ましい。これは、ゾルゲル法で金属酸化物を得る場合に用いられる溶媒は、親水性であり、加水分解を行うために水を添加することから、水溶性の有機蛍光色素であれば、このような溶媒に容易に溶解させることができるためである。このような有機蛍光色素の具体例として、キノリン系、ピレン系、フルオレセイン系、ローダミン系化合物があり、黄色203号、黄色204号、緑色204号、赤色3号、赤色104号-(1)、赤色105号-(1)、赤色106号、赤色218号、赤色223号、赤色230号-(1)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、橙色201号、黄色201号、黄色202号-(1)、赤色213号、赤色215号、紫色201号、紫色401号、青色403号、緑色201号、緑色202号などが挙げられる。
【0026】
またこのフレーク体を増白性材料として使用する場合は、有機蛍光色素がUV光を吸収し、可視光を発する色素であることが望ましく、具体例として、ジスチリルビフェニルジスルホン酸や、ジスチリルビフェニルジスルホン酸アルカリ塩、ジスチリルビフェニルジスルホン酸を母骨格とする置換誘導体などを例示することができる。
【0027】
増白剤として働く有機蛍光色素を含有したフレーク体に求められる機能としては、それを含ませた物の白色性を増大させることである。この増白剤は、紫外光を吸収して可視光に変換し、波長400nm〜500nmの間に極大値を有する青色の光を発する。
【0028】
太陽光は、その性質から黄色みの強い光であり、太陽光の当たった白色の物は黄ばんで見える。このことから、白色の物が、黄色の補色である青みがかっていると、その物より白く見えることが知られている。例えば、黄色みがかった樹脂などに、青色の蛍光を発する色素を含有するフレーク体を含ませると、その白色性を増大させる効果がある。この白色性を増大させるためには、波長500nm以上800nmまでの可視光帯域に、吸収が少ないことが好ましい。
【0029】
具体的には、フレーク体を平坦な膜とし、その膜厚が0.7μmの場合で波長500nm以上800nmまでの帯域において、透過率が90%以上のあることが望ましい。波長500nm以上800nmまでの帯域に吸収があると、その吸収に依存した着色が見られ、その結果、増白剤としての効果を減少させてしまうためである。
【0030】
また、樹脂や有機物では、波長400nm以上500nm未満に吸収を有する分解物を生成しやすいことが知られている。そこで、波長400nm以上500nm未満の吸収も少ないほうが好ましい。フレーク体においては、わずかな不純物の影響により着色が見られることがある。このことから、波長500nm以上800nmまでの吸収と比較すると、波長400nm以上500nm未満の吸収は大きくなる傾向が見られる。特に、波長400nmに近づくにつれて透過率は低下する。
【0031】
しかし、含有させる増白剤の発光によって、その吸収が補完されるので、若干の吸収は許容される。このため、フレーク体の膜厚が0.7μmの場合で、波長400nm以上420nm未満の帯域において、透過率が70%以上であり、波長420nm以上500nm未満の帯域において、透過率が80%以上であることが好ましい。
【0032】
本発明のフレーク体は、上記に例示した有機蛍光色素を担持する担体として機能し、その用途に応じ、種々のマトリックス(母体)に混合され、あるいは基体上に塗布されて使用される。
【0033】
フレーク体における有機蛍光色素の含有率は、有機蛍光色素の種類や添加の目的等により、適宜調整されればよい。本発明のフレーク体には、フレーク体の0.001質量%程度以上、さらには0.1質量%以上、有機蛍光色素が含まれていてもよい。有機蛍光色素の含有率の上限についても制限はないが、通常はフレーク体の10質量%以下が好適である。
【0034】
フレーク体における有機蛍光色素の含有率は、有機蛍光色素の種類や添加の目的等により、適宜調整されればよい。本発明のフレーク体には、フレーク体の0.001質量%程度以上、さらには0.1質量%以上、有機蛍光色素が含まれていてもよい。濃度が0.001質量%以下の場合は、フレーク体中の濃度が低すぎるために、有機蛍光色素の発光が実質的に見られなくなり、効果が期待できない。有機蛍光色素の含有率の上限についても制限はないが、通常はフレーク体の10質量%以下が好適である。これは、色素含有量が10質量%を超えると、金属酸化物からの溶出性が徐々に低下するためである。
【0035】
フレーク体の大きさおよび形状は、用途等に応じて適宜調整されるべきものではあるが、典型的には、平均厚さtが0.1〜15μmの範囲、平均アスペクト比(平均粒子径a/平均厚さt)が2〜1000の範囲にある。フレーク体1の形状を図2に例示する。図2に示したように、平均粒子径aは、フレーク体1を平面視したときの面積Sの平方根として定めることとする(a=S0.5)。
【0036】
フレーク体の平均粒径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラック2(日機装(株)製)により、求めることができる。平均厚さは、電子顕微鏡により、フレーク体を50個測定し、その単純平均として求めることができる。平均アスペクト比は、上述の平均粒径の値を上述の平均厚さ値を除することにより、求めることができる。
【0037】
本発明の製造方法では、いわゆるゾルゲル法と呼ばれる手法を利用して、原料から成形体であるフレーク体を得る。本発明の製造方法では、加水分解触媒として酸触媒を使用する。従来から用いられてきた典型的な酸触媒は、塩酸である。リン酸は、酸触媒として機能しうる酸ではある。しかし、リン酸は、塩酸や硫酸、硝酸に比べると弱い酸であり、触媒能が劣るとされており、また不揮発性であるので、触媒として用いづらい、とされていた。
【0038】
さらに、リンが成形体に残存して生成するリン酸化物は、耐水性に劣ることが広く知られている。このため、特に成形体の耐水性や含有成分の耐溶出性を考慮する必要がある場合には、その使用を避けるべきと考えられてきた。例えば、上述した特開平4−292430号公報において、酸触媒として例示されているのは、塩酸、硫酸、硝酸のみである。
【0039】
しかし、フレーク体に含まれる有機蛍光色素の耐溶出性や透明性、発色性を改善するには、リン酸をフレーク体に含ませるとよいことを、本発明者は見出した。リン酸による特性改善の理由は現段階では明らかではないが、以下のように考えられる。
【0040】
まず、本発明によるフレーク体における耐溶出性は、リンまたはリン酸と有機蛍光色素との相互作用、特に構成物の構造や蛍光色素の置換基を考慮すると、リン酸と金属酸化物と蛍光色素との水素結合による相互作用の可能性が高い、と考えられる。また、リン酸が存在することによる酸化物の構造変化、例えば酸化物のネットワークが強固になるなどの理由により、酸化物の有機蛍光色素に対する保持力が向上した結果とも考えられる。また、マトリックスである金属酸化物内の空孔に、リン酸が存在することにより、溶出媒の浸透が妨げられ、蛍光色素が溶出媒に接触しにくくなっていることも、溶出性低下の1つの要因となっている、と考えられる。
【0041】
続いて、本発明によるフレーク体における透明性は、同様に理由により、酸化物中の有機蛍光色素の分散性が向上した結果と考えられる。
【0042】
発色性に関しては、塩酸や硫酸、硝酸といった強酸ではなく、リン酸という弱酸を用いたことによって、加熱乾燥時において、有機蛍光色素が安定的に存在できる結果と考えられる。
【0043】
本発明によるフレーク体における金属酸化物としては、シリコン、チタン、アルミニウム、およびジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の酸化物とし、この金属酸化物を主成分とするのが好適である。
【0044】
金属酸化物の原料は加水分解可能であればよく、アルコキシド、カルボキシレート、硝酸塩、塩化物、オキシ塩化物等を用いればよいが、アルコキシドが適している。なお、ゾルゲル法の分野では、一般に、非金属元素として分類すべきシリコンのような元素のアルコキシドを含め、原料とするアルコキシドを「金属アルコキシド」と称する。本明細書でも、この慣例に従い、シリコン等の非金属元素のアルコキシドを含め、「金属アルコキシド」と表記する。同様に、金属アルコキシド等の原料を総称して「金属化合物」と表記することがある。
【0045】
フレーク体の原料となる金属アルコキシドは、元素Mと、該元素Mと結合した少なくとも1つの−OR基を含んでいればよい。ここでRは、アルキル基、好ましくは炭素数が1〜5であるアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。ただし元素Mは、−OR基以外の官能基、例えばアルキル基、フェニル基、アシル基と結合していても構わない。この元素Mは、例えばシリコン、チタン、アルミニウム、およびジルコニウムから選ばれる少なくとも一種であることが望ましい。
【0046】
上記金属アルコキシドは、加水分解を受けて、M−ORで示される結合の少なくとも一部がM−OHへと変化し、縮重合(M−OH同士の縮重合は脱水縮合となる)を経て、M−O−Mで示される結合を形成し、縮重合の進行に伴い、左記結合が網目状に広がったネットワーク構造を形成する。
【0047】
リン酸を含む化合物は、リン酸をフレーク体に含ませることができれば、特に制限はない。例えば、リン−酸素結合(P−O結合)を含有するものがよく、具体的には、リン酸や、水存在下でリン酸を生成することができるリン酸塩、リン酸エステルが、好適である。
【0048】
水や酢酸などの極性溶媒中でプロトンを供給できるリンを含む化合物、例えばリン酸は、リンの供給源となり、かつゾルゲル法における加水分解触媒として機能する。リンを含む化合物が加水分解触媒として機能しない場合、あるいはリンを含む化合物の触媒作用が十分でない場合には、加水分解触媒として、従来から用いられてきた酸触媒、例えば塩酸、硝酸、硫酸を用いればよい。酸触媒として、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸を用いても構わない。リンを含む化合物が加水分解触媒として十分に機能する場合であっても、先に例示したリンを含まない酸触媒を併用してもよい。
【0049】
本発明の製造方法では、リンおよび酸素以外の元素を含む化合物の加水分解物と、リンを含む化合物と、有機化合物とを含む溶液が塗布液として調製される。この溶液の調製手順に特に制限はない。例えば、加水分解と加水分解物の縮重合とが可能な化合物である金属アルコキシドが溶解し、所定の機能を有する有機化合物である有機色素が溶解または分散した溶液を調製する。この溶液に、リン酸を加水分解触媒として投入し、金属アルコキシドを加水分解して、ゾル化することにより、塗布液を得ることができる。
【0050】
この場合、溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールや、エチレングリコールジエチルエーテル、ブチルセロソルブといったセロソルブ系溶媒や、プロピレングリコール、エチレングリコールといったグリコール系溶媒などが適している。また塗布過程で溶媒の揮発が予想される場合には、揮発性の低い溶媒であるグリセリンやヘキシレングリコールといった溶媒を加えてもよい。
【0051】
引き続き、調製した溶液を基体に塗布する。基体の材質に特に制限はなく、ガラス、金属、半導体、セラミックス、樹脂等を用いればよい。ただし、樹脂を用いる場合には、塗布した溶液に含まれる溶媒の沸点以上の耐熱温度を有する材料を選択することが好ましい。平板状で厚みが揃ったフレーク体を得るという観点から、溶液を塗布する基体の表面は、平滑であることが好ましい。フレーク体の剥離性に優れている基体としては、ステンレス鋼板が挙げられる。
【0052】
基体への溶液の塗布は、公知の技術を用いて行えばよく、具体的には、ロールコーティング法(フレキソ印刷法等)、スクリーン印刷法等の各種印刷法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、浸漬引き上げ(ディップコーティング)法、流し塗り(フローコーティング)法、インクジェット法等を用いればよい。
【0053】
溶液を塗布して形成した膜は、基体上で乾燥させる。この乾燥の手法にも制限はないが、溶媒の除去を促進するために、フレーク体に含まれる有機化合物が分解せず、基体の耐熱温度以下である温度に基体を加熱して溶液を乾燥させるとよい。基体を加熱して行う乾燥工程における好ましい温度としては、80℃〜250℃を例示できる。
【0054】
乾燥の進行に伴い、基体上の膜は収縮し、この収縮に伴う応力によりクラックが発生し、このクラックが伸長し、ついに膜が基体から剥離してフレーク体となる。フレーク体が自然に剥離しない場合には、外部から力を加えて基体から剥離させればよい。フレーク体を剥離・収集するには、吸引したり、ブラシ等を用いて掻き取ったりするとよい。
【0055】
乾燥の進行に伴い、基体上の膜は収縮し、この収縮に伴う応力によりクラックが発生し、このクラックが伸長し、ついに膜が基体から剥離してフレーク体となる。フレーク体を剥離・収集するには、吸引したり、ブラシ等を用いて掻き取ったりするとよい。フレーク体が自然に剥離しない場合には、外部から力を加えて基体から剥離させればよい。フレーク体の回収方法については、特に限定はなく、上記の方法以外に、圧縮空気を膜に吹き付け吹き飛ばす方法、溶液に浸漬させる方法、スクレーパーを用いて掻き取る方法、などを示すことができる。
【0056】
なお、本発明のフレーク体の製造には、先に説明した本発明による方法が最も簡便であって、量産にも適している。しかし、本発明のフレーク体の製造方法は、上述した方法に制限されるわけではない。本発明のフレーク体は、例えば高速で塗布液を噴射することにより、大気中で平板状の金属酸化物液体を形成させ、それをそのまま乾燥させることによっても作製できる。また、本発明のフレーク体は、その他の成分、例えば水酸化物やハロゲン化物、窒化物を含んでいてもよい。
【0057】
(実施例1)
イソプロパノール 60.0gと、テトラメトキシラン(東京化成製) 57.5gと、Tinopal CBX(チバスペャルケミカルズ社製、Disodium Distyrylbiphenyl Disulfonate)1.1gとを混ぜ合わせ、これに0.005mol/dm3(0.01N)のリン酸水溶液 102gを滴下し、25℃で24時間攪拌し、ゾル溶液を得た。なお、このTinopalは、紫外線域の波長350nm周辺に吸収を持ち、450nmに発光を示す有機蛍光増白剤である。
【0058】
次に、このゾルを大きさ100×100mmのステンレス鋼(SUS304)基板上に、スピンコート法により、10回転/秒(600rpm)の回転速度で塗布して膜を形成した。塗布後30秒間静置した後、予め200℃に昇温させたマッフル炉に入れ、60秒間乾燥させた。この乾燥工程において、膜からは、縮重合により離脱した水およびメタノールと、溶媒としたイソプロパノールとが蒸発する。乾燥後、基体から自然剥離したフレーク体を回収した。
【0059】
得られたフレーク体の厚みは約1μmであった。粒子径は約5μm〜50μmであった。図1に、このフレーク体の走査型電子顕微鏡の観察結果を示す。撮影は、キーエンス製、リアルサーフェスビュー顕微鏡、VE−7800を用い、撮影条件として、加速電圧:2kV、倍率:2000倍にて行った。なお、以下の実施例および比較例においても、同様の大きさを有するフレーク体が得られた。
【0060】
顕微鏡の観察結果から、薄片状のフレーク体は、平面構造であり、折れ曲がったような薄片は見られなかった。また、フレーク表面は均一であり、マトリックス中に存在している有機蛍光色素は、凝集したり分離したりしており、フレーク体表面に付着した様子は見られず、良好な分散を示していることがわかった。
【0061】
また、得られたフレーク体の色調を目視にて確認したところ、白色性の強いフレーク体であった。
【0062】
次に、このフレーク体における蛍光色素の溶出性を、以下の方法で測定した。まず、サンプル瓶にフレーク体 50mgを量り取り、さらに水 10gを加え、マグネチックスターラーにより、8.33回転/秒(500rpm)の回転速度で1時間攪拌した。なお、このスターラーの回転速度は、これ以上の回転速度で攪拌しても、溶出量に変化がない程度であって、十分に大きい。
【0063】
この懸濁液から吸引ろ過によりフレーク体を除去した後、可視分光光度計(島津製作所製:UV−3100)を用いて、蛍光色素由来の350nmの吸収ピーク強度を求める。このピーク強度から、フレーク体から溶出した蛍光色素の溶出量を算出し、フレーク体との質量割合(%)で示した。実施例1における溶出割合は、1.1%であった。
【0064】
加えて、この薄膜における、波長250nm〜800nmの範囲での吸収スペクトルを測定し、波長400nm以上420nm未満の帯域、波長420nm以上500nm未満の帯域、波長500nm以上800nmまでの帯域での透過率の最小値をそれぞれ求めたところ、それぞれ、89.9%、98.7% 、99.8%であった。したがって、本発明によるフレーク体は、可視光波長域で極端な吸収がないので、着色がなく白色性の強いフレーク体であることがわかった。
【0065】
さらに、ヘイズ率を測定した。上記ゾル溶液を、ガラス基板上にスピンコート法にて13.3回転/秒(800rpm)で塗布した後、室温で12時間乾燥させ、基板から剥離させず薄膜とした。この薄膜の厚みは、約0.7μmであった。この薄膜のヘイズ率を測定したところ、0.1%であった。したがって、本発明によるフレーク体は、透明性の高いことがわかった。なお、この薄膜のヘイズ率は、JIS K7105 6.4に従ってヘイズメーター(スガ試験機株式会社 HGM−2DP)にて、膜に対して垂直方向から光を入射して測定した。実施例1の結果を、他の実施例や比較例と共に、表1に示した。
【0066】
【表1】


【0067】
(実施例2)
実施例2は、滴下するリン酸の濃度を、0.005mol/dm3から0.05mol/dm3(0.01N)に変更した以外は、リン酸の滴下量も含めて実施例1と同様にして、フレーク体を得た。
【0068】
このフレーク体における蛍光色素の溶出割合を、実施例1と同様にして測定したところ、2.9%であった。
【0069】
次に、ヘイズ率を実施例1と同様にして測定したところ、1.8%であった。つまり透明性の高いことがわかった。
【0070】
この薄膜における、波長250nm〜800nmの範囲での吸収スペクトルを測定したところ、波長415nm〜800nmの帯域での透過率は95%以上であり、着色のないことがわかった。
【0071】
(実施例3)
実施例3では、有機蛍光色素(Tinopal CB-X)の含有率を変更した以外は、実施例1と同様にして、フレーク体を得た。具体的には、Tinopal CB-Xの添加量を1.1gから1.7gに変更した。
【0072】
このフレーク体における蛍光色素の溶出割合は、2.4%であった。
【0073】
次に、ヘイズ率を実施例1と同様にして測定したところ、1.1%であった。つまり透明性の高いことがわかった。
【0074】
この薄膜における、波長250nm〜800nmの範囲での吸収スペクトルを測定したところ、波長425nm〜800nmの帯域での透過率は95%以上であり、着色のないことがわかった。
【0075】
(実施例4)
実施例4では、有機蛍光色素(Tinopal CB-X)の含有率を変更した以外は、実施例1と同様にして、フレーク体を得た。具体的には、Tinopal CB-Xの添加量を1.1gから0.6gに変更した。
【0076】
このフレーク体における蛍光色素の溶出割合を、実施例1と同様にして測定したところ、1.8%であった。
【0077】
次に、ヘイズ率を実施例1と同様にして測定したところ、0.1%であった。つまり透明性の高いことがわかった。
【0078】
この薄膜における、波長250nm〜800nmの範囲での吸収スペクトルを測定したところ、波長400nm〜800nmの帯域での透過率は95%以上であり、着色のないことがわかった。
【0079】
(応用例1)
実施例1で得られたフレーク体を、ビニル樹脂(大日本塗料株式会社製、商品名 ビニローゼ、屈折率1.54)に10質量%混入させよく分散させ、基板上に塗布した後、そのフィルムを剥がし、厚み100μmの樹脂フィルムを作製した。その吸収スペクトルを波長250nm〜800nmの範囲で測定したところ、波長460nm〜800nmの帯域におけるすべての透過率は、いずれも90%以上であった。
【0080】
この樹脂フィルムにおける色調は、フレーク体を含まない樹脂フィルムに比べて、上述の波長帯域で特定の吸収がないので、特に着色されておらず、ニュートラルである。しかも、フレーク体に含まれる蛍光色素の青みの発色により、例えば太陽光で強調される黄ばみが補正されるので、透明感があり、白色感を有するフィルムとなる。
【0081】
(応用例2)
実施例2で得られたフレーク体を、応用例1と同様に樹脂フィルムを作製し、その吸収スペクトルを波長250nm〜800nmの範囲まで測定したところ、波長460nm〜800nmの帯域におけるすべての透過率は、いずれも90%以上であった。
【0082】
(応用例3)
実施例3で得られたフレーク体を、応用例1と同様に樹脂フィルムを作製し、その吸収スペクトルを波長250nm〜800nmの範囲まで測定したところ、波長450nm〜800nmの帯域におけるすべての透過率は、いずれも90%以上であった。
【0083】
(応用例4)
実施例4で得られたフレーク体を、応用例1と同様に樹脂フィルムを作製し、その吸収スペクトルを波長250nm〜800nmの範囲まで測定したところ、波長450nm〜800nmの帯域におけるすべての透過率は、いずれも90%以上であった。
【0084】
(応用例5)
上質紙の片面に、実施例1のフレーク体 75部と、ポリビニルアルコール 25部とからなる液状物を、バーコーターでドライ塗工量が20g/m2になるように塗布し、120℃で2分間乾燥してインク受容層を形成した。さらに、軽質炭酸カルシウム(Brilliant S15、白石工業製) 85部、スチレン−ブタジエン系ラテックス(SN−307、住化エイビーエス・ラッテクス製) 15質量部からなる裏面塗工層を、もう一方の面にバーコーターでドライ塗工量が10g/m2になるように塗布し、120℃で2分間乾燥させた。それにより、片面にインク受容層を、そして他の面に裏面塗工層を有するインクジェット用記録紙を作製した。
【0085】
インク受容層はインクを急速に吸収固定化する役割を果たし、裏面塗工層は紙の反り防止、強度向上、プリンターでの摩擦低減などの役割を果たす。このようにして作製したインクジェット用記録紙とフレーク体を含まない記録用紙とを目視で比較したところ、フレーク体を含む記録紙は、黄ばみのない鮮やかな白色性を示す記録紙であった。またこの紙の表の表面(インク受容層)にインクジェットプリンターを用いてプリントを行ったところ、インクの吸収性がよく、インクにじみがなく、また、印刷された画像が非常に鮮明であった。
【0086】
(応用例6)
実施例1に示すフレーク体 12質量部に、ケトン樹脂 19質量部、エタノール 59部、プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部を混合攪拌し、インク組成物とした。このインク組成物を用いて筆記したところ、筆記された部分が鮮やかな蛍光色を示す筆跡となった。また黄ばんだ紙にこのインク組成物を筆記したところ、鮮やかな白色性を示すことがわかり、黄ばんだ紙に対する補色用インクとしても利用できることがわかった。
【0087】
(比較例1)
比較例1では、リン酸の代わりに硝酸水溶液(0.1mol/dm3)を滴下して、それ以外は、実施例1と同様にして、フレーク体を得た。
【0088】
得られたフレーク体の色を確認したところ、黄色であった。このように着色したフレークを樹脂や塗料のフィラーとして用いた場合、増白性の低下、樹脂や塗料の色調変化をもたらし、好ましくない。
【0089】
このフレーク体について、実施例1と同様にして測定した有機蛍光色素の溶出割合は、25%であった。このように水に対して高い溶出性を示すフレーク体は、水を含む樹脂や塗料に分散させた場合に、有機蛍光色素がフレーク体から溶出しやすい。この結果、得られた樹脂や塗料塗膜から有機蛍光色素が溶出したり、強度を低下させたりするので、好ましくない。なお、水を含む樹脂としては、水溶性樹脂、O/W(Oil-in-Water)型やW/O(Water-in-Oil)型エマルションといったエマルション樹脂などが挙げられる。水を含む塗料としては、水溶性塗料などが挙げられる。
【0090】
次に、ヘイズ率を実施例1と同様にして測定したところ、3.8%であり、実施例1と比較して高い値であった。
【0091】
この薄膜における、波長250nm〜800nmの範囲での吸収スペクトルを測定したところ、波長430nm〜800nmの帯域での透過率は95%以上であり、着色のないことがわかった。
【0092】
(比較例2)
比較例2では、リン酸の代わりに硫酸水溶液(0.1mol/dm3)を滴下して、それ以外は、実施例1と同様にして、フレーク体を得た。
【0093】
得られたフレーク体の外観を目視にて確認したところ、茶色であり、白色性が低いことがわかった。
【0094】
このフレーク体における蛍光色素の溶出割合を、実施例1と同様にして測定したところ、6.0%であり、実施例1と比較して大きな値であった。
【0095】
次に、ヘイズ率を実施例1と同様にして測定したところ、2.1%であり、実施例1と比較して高い値であった。
【0096】
さらに、波長250nm〜800nmの範囲での吸収スペクトルを測定したところ、波長415nm〜800nmの帯域での透過率は95%以上であり、着色のないことがわかった。
【0097】
(比較例3)
比較例3では、リン酸の代わりにパラトルエンスルホン酸(0.1mol/dm3)を滴下して、それ以外は、実施例1と同様にして、フレーク体を得た。
【0098】
得られたフレーク体の外観を目視にて確認したところ、黄色であり、白色性が低いことがわかった。
【0099】
このフレーク体における蛍光色素の溶出割合を、実施例1と同様にして測定したところ、59.0%であり、実施例1と比較して大変大きな値であった。
【0100】
次に、ヘイズ率を実施例1と同様にして測定したところ、3.7%であり、実施例1と比較して高い値であった。
【0101】
さらに、波長250nm〜800nmの範囲での吸収スペクトルを測定したところ、波長430nm〜800nmの帯域での透過率は95%以上であり、着色のないことがわかった。
【0102】
(応用比較例1)
比較例1で得られたフレーク体を、応用例1と同様にして、ビニル樹脂に分散させ100μmのフィルムを作製し、その吸収スペクトルを波長250nm〜800nmの範囲で測定した。その結果、透過率が90%以上となる領域はなく、応用例1よりも透過率の低い膜であることがわかった。
【0103】
(応用比較例2)
比較例2で得られたフレーク体を、応用例1と同様にして、ビニル樹脂に分散させ100μmのフィルムを作製し、その吸収スペクトルを波長250nm〜800nmの範囲で測定した。その結果、透過率が90%以上となる帯域は、波長640nm〜800nmの範囲であり、低波長帯域で、応用例1よりも透過率の低い膜であることがわかった。
【0104】
(応用比較例3)
比較例3で得られたフレーク体を、応用例1と同様にして、ビニル樹脂に分散させ100μmのフィルムを作製し、その吸収スペクトルを波長250nm〜800nmの範囲で測定したところ、透過率が90%以上となる波長帯域なく、応用例1よりも透過率の低い膜であることがわかった。
【0105】
以上より、本発明によるフレーク体は、有機色素の耐溶出性に優れており、透明性が高く、着色性のないフレーク体である。このフレーク体を、塗料や樹脂に含ませると、蛍光を発する塗料や樹脂を容易に得られる。また、本発明の製造方法により、上述したフレーク体が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明によるフレーク体の走査型電子顕微鏡の観察結果である。
【図2】本発明によるフレーク体の模式図と、平均粒径の求め方を説明する図である。
【符号の説明】
【0107】
1:フレーク体




 

 


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