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発明の名称 非晶質材料の加工方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15923(P2007−15923A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2006−278746(P2006−278746)
出願日 平成18年10月12日(2006.10.12)
代理人 【識別番号】100128152
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 俊哉
発明者 倉知 淳史 / 三谷 一石 / 斉藤 靖弘 / 猪又 宏之
要約 課題
均一な突起高さを有する表面凸部を非晶質材料の所望位置に形成することができるようにする非晶質材料の加工方法を提案する。

解決手段
非晶質材料の硬度よりも大きな硬度を有する微粒子を、前記非晶質材料の表面に部分的に衝突させて、高密度化された圧縮層を形成し、次いで該圧縮層と該圧縮層以外の非圧縮層とで除去能力の異なる処理剤を使用して前記非晶質材料の表層面を除去し、前記圧縮層を凸形状に加工することを特徴とする非晶質材料の加工方法である。
特許請求の範囲
【請求項1】
非晶質材料の硬度よりも大きな硬度を有する微粒子を、前記非晶質材料の表面に部分的に衝突させて、高密度化された圧縮層を形成し、次いで該圧縮層と該圧縮層以外の非圧縮層とで除去能力の異なる処理剤を使用して、前記非晶質材料の表層面を除去し、前記圧縮層を凸形状に加工することを特徴とする非晶質材料の加工方法。
【請求項2】
前記微粒子を、空気を媒体として吹き付けることにより、記非晶質材料の表面に衝突させることを特徴とする請求項1記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項3】
前記微粒子を、液体を媒体としてスラリ状にして吹き付けることにより、記非晶質材料の表面に衝突させることを特徴とする請求項1記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項4】
前記処理剤は、前記圧縮層と前記非圧縮層とでエッチング速度の異なるエッチング液であることを特徴とする請求項1記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項5】
前記エッチング液は、酸を含有した酸性溶液であることを特徴とする請求項4記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項6】
前記酸性溶液は、フッ酸を含有していることを特徴とする請求項4記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項7】
前記酸性溶液で第1のエッチング処理を行った後、アルカリ性溶液で第2のエッチング処理を行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項8】
前記アルカリ性溶液は、キレート剤を含有していることを特徴とする請求項7記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項9】
前記非晶質材料は、無機ガラスであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項10】
前記無機ガラスは、少なくともケイ素酸化物と、アルミニウム酸化物とを含有していることを特徴とする請求項9記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項11】
前記無機ガラスは、少なくとも、ケイ素酸化物と、少なくとも1種以上のアルカリ土類酸化物とを含有していることを特徴とする請求項9記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項12】
前記アルカリ土類金属酸化物は、MgO、CaO、SrO及びBaOから選択された少なくとも1種以上を含有していることを特徴とする請求項11記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項13】
前記圧縮層を形成した後、該圧縮層に前記非晶質材料の硬度と同等以下の硬度を有する遊離砥粒で研磨を施し、その後、前記エッチング液を使用して前記表層面を除去することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の非晶質材料の加工方法。
【請求項14】
前記遊離砥粒は、コロイダルシリカであることを特徴とする請求項13記載の非晶質材料の加工方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は無機ガラス材料等の非晶質材料の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非晶質材料としてのガラスは、高い硬度と均質な物性を有し、安価で経済性に優れていることから、従来から多岐にわたる分野で使用されている。
【0003】
すなわち、表面に微小な突起が形成されたガラス基板は、液晶表示素子では前記突起が所謂セルギャップのギャップ長を決定する役割を果たし、セルギャップ調整用のガラスビーズを使用することなく、所望のセルギャップを有する液晶表示素子を製造することができる。
【0004】
また、規則正しく配列された突起を有する光回折格子を製造する上でもガラス基板は重要な部品となっている。
【0005】
ガラスは脆性材料であり塑性材料に比べると形状加工が著しく困難ではあるが、従来より、ガラス基板の表面に微小凹凸を形成する様々な方法が開発され、実用化されている。
【0006】
例えば、特開昭64−42025号公報には、フッ素を含む薬液、又はフッ化水素ガスを使用してエッチング処理を行い、これによりガラス基板上に微小凹凸を形成した技術が開示されている(第1の従来技術)。
【0007】
また、特開平7−296380号公報には、ガラス基板を結晶化処理し、その表面を鏡面研磨した後、フッ酸に硫酸又はフッ化アンモニウムを加えたエッチング液により処理し、ガラス基板表面に微細な凹凸を形成した技術が開示されている(第2の従来技術)。
【0008】
さらに、特開平8−249654号公報には、超微粒子を単分散化した状態で基板に塗布し、次いでドライエッチングにより表面保護層をエッチングした後、超微粒子を除去して基板の表面に微細な凹凸を形成した技術が開示されている(第3の従来技術)。
【0009】
また、特開平7−182655号公報や特開平9−194229号公報には、所定エネルギのレーザをガラス基板の表面に照射してレーザ照射部位を隆起させ、これによりガラス基板の表面に突起部を形成した技術が開示されている(第4の従来技術)。
【特許文献1】特開昭64−42025号公報
【特許文献2】特開平7−296380号公報
【特許文献3】特開平8−249654号公報
【特許文献4】特開平7−182655号公報
【特許文献5】特開平9−194229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記第1の従来技術では、所定の化学組成を有するガラスに対し、フッ素を含む薬液、又はフッ化水素ガスを使用してエッチング処理を行っているのみであるため、形成される表面凹凸は突起高さも不規則な粗面となり、均一な突起高さを有するテクスチャを得ることは困難であるという問題点があった。
【0011】
また、上記第2の従来技術は、ガラス基板を結晶化処理して結晶化層と非晶質層とを形成し、結晶層と非結晶層とでエッチング速度が異なることを利用してガラス基板上に表面凹凸を形成したものであり、したがって通常の均質なガラス材には適用することができないという問題点があった。
【0012】
さらに、上記第3の従来技術では、基板上に超微粒子を被着し、ドライエッチングを行った後、超微粒子を除去しているので、通常の金属性マスクでマスキングしてエッチング処理を施す場合と異なり、微小な表面凹凸を形成することは可能と考えられるが、ドライエッチングはエッチング速度が遅く、このためコストの高騰化を招き、大量生産には不向きであるという問題点があった。
【0013】
また、上記第4の従来技術は、ガラス基板の表面にレーザを照射しているため、特定波長のレーザ光に対し大きな吸光係数を持つガラス材に加工対象が限定されるという問題点があった。また、該第4の従来技術では、形成される凸部の突起高さはレーザ光の出力に極めて敏感であるため、所望の突起高さを有する均一な凸部を得ることは困難であるという問題点があった。
【0014】
このように第1乃至第4の従来技術では、未だ均一な突起高さを有する微小凹凸、特に微小凸部を工業的に大量生産することができないという問題点があった。しかも、近年、ガラス基板の表面凹凸の突起高さを極力低くし且つ該突起高さの均一性が要求されてきている。
【0015】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、均一な突起高さを有する表面凸部を、非晶質材料の所望位置に形成することができる非晶質材料の加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者等は、均一な突起高さを有する微小凸部を非晶質材料の所望位置に形成すべく、鋭意研究した結果、無機ガラス等の非晶質材料は常温においても高圧力で加圧することにより塑性流動を起こして高密度化し、高密度化された圧縮層と該圧縮層以外の非圧縮層とでは、異なる化学的特性を有するという知見を得た。
【0017】
そして、さらに本発明者等が研究を進めたところ、前記圧縮層と該圧縮層以外の非圧縮層とで除去能力の異なる処理剤を使用して前記非晶質材料の表層面の除去処理を行うことにより、前記圧縮層を凸形状に加工することができるという知見を得た。
【0018】
本発明はこれらの知見に基づきなされたものであって、本発明に係る非晶質材料の加工方法は、非晶質材料の硬度よりも大きな硬度を有する微粒子を、前記非晶質材料の表面に部分的に衝突させて、高密度化された圧縮層を形成し、次いで該圧縮層と該圧縮層以外の非圧縮層とで除去能力の異なる処理剤を使用して前記非晶質材料の表層面を除去し、前記圧縮層を凸形状に加工することを特徴とする。また、前記非晶質材料は、具体的には無機ガラスであることを特徴とし、前記微粒子は、スラリ状であることを特徴とする。さらに、除去能力の異なる処理剤としては、高密度化された圧縮層と該圧縮層以外の非圧縮層とでエッチング速度の異なるエッチング液であることを特徴とする。
【0019】
また、エッチング液としては、無機ガラスに対して大きなエッチング作用を呈することのできる酸を含有した酸性溶液、特にフッ酸を含有した酸性エッチング液を使用するのが好ましい。
【0020】
ところで、酸性エッチング液でエッチング処理を行うと、無機ガラスを構成する成分の一部が酸性エッチング液に溶出し、非圧縮層の表面に変質層が形成される。そして、本発明者等の研究結果により、該変質層はアルカリ性エッチング液でエッチング処理を行うことにより除去することができるということが判明した。
【0021】
そこで、本発明の非晶質材料の加工方法は、前記酸性エッチング液で第1のエッチング処理を行った後、アルカリ性エッチング液で第2のエッチング処理を行うことを特徴としている。
【0022】
このように第1のエッチング処理を行った後、アルカリ性エッチング液で第2のエッチング処理を行うことにより、前記変質層を除去することができるので、ガラス表面とガラス内部とで同質に保つことができ、また、表面凸部の突起高さが高くなるので、高い突起高さが必要とされる用途に好適した非晶質材料を得ることができる。
【0023】
また、非晶質材料である無機ガラスはケイ素酸化物を主成分とするものであるが、該無機ガラスにアルミニウム酸化物が含有されている場合は、アルミニウム酸化物が酸性溶液に溶出し易いため、酸性エッチング液によりエッチング処理が促進される。しかも、アルミニウム酸化物は酸以外の薬品に対しては耐蝕性に優れている。したがって、高密度化された圧縮層は緻密化されたケイ素酸化物がその他の成分の溶出を妨げる一方、非圧縮層ではアルミニウム酸化物が酸性エッチング液により選択的にエッチングされ、その結果無機ガラス表面には微小凸部が容易に形成される。
【0024】
したがって、前記非晶質材料が、少なくともケイ素酸化物と、アルミニウム酸化物とを含有しているのが好ましい。
【0025】
また、アルカリ土類金属酸化物はキレート剤を含有したアルカリ性溶液に溶出し易く、また、耐水性に優れている。したがって、非晶質材料中にアルカリ土類金属酸化物が含まれている場合は、キレート剤を含有したアルカリ性エッチング液によりアルカリ土類金属酸化物が選択的にエッチングされ、アルカリ性エッチング液によるエッチング処理のみでもガラス表面に微小凸部を形成することが可能となる。
【0026】
そこで、本発明は、前記エッチング液は、キレート剤を含有したアルカリ性溶液であることを特徴とし、また前記非晶質材料は、少なくともケイ素酸化物と、アルカリ土類金属酸化物から成る群から選択された少なくとも1種以上の酸化物とを含有することを特徴とするのも好ましい。
【0027】
また、非晶質材料の表面に圧縮層を形成するためには、非晶質材料の硬度よりも大きな硬度を有する部材で前記非晶質材料を押圧する必要がある。
【0028】
そこで、本発明は、前記圧縮層は、非晶質材料の硬度よりも大きな硬度を有する微粒子を前記非晶質材料の表面に衝突させている。こうして、一度に多量の表面凸部を形成するのも好ましい。
【0029】
前記微粒子は、非晶質材料の表面損傷を避ける観点から、スラリ状であることを特徴としている。
【0030】
また、圧縮層の頭頂部には窪み部が形成される。したがって、圧縮層を形成した後、表面層の除去処理を行う前に、必要に応じて前記圧縮層に前記非晶質材料の硬度と同等以下の硬度を有する遊離砥粒で研磨を施し、窪み部を除去するようにしてもよい。
【0031】
また、前記遊離砥粒は、例えばコロイダルシリカであるのが好ましい。
【0032】
また、本発明に係るガラス基板は、非晶質材料が多成分系無機ガラスで構成されると共に、上記非晶質材料の加工方法により凸部が形成されていることを特徴としている。
【0033】
上記加工方法により得られた非晶質材料は、突起高さが高く均一で微細な凸部を多数且つ任意のパターンで、例えば同心円状に分布させることが可能である。
【発明の効果】
【0034】
以上詳述したように本発明に係る非晶質材料の加工方法によれば、非晶質材料の表面に対し部分的に、非晶質材料の硬度よりも大きな硬度を有する微粒子を前記非晶質材料の表面に衝突させて形成することにより、高密度化された圧縮層を形成し、次いで該圧縮層と該圧縮層以外の非圧縮層とでエッチング速度の異なる処理剤を使用して前記非晶質材料の表層面を除去し、前記圧縮層を凸形状に加工しているので、突起高さの均一な微小凸部を任意のパターンで形成することができる。
【0035】
このようにすると、一度に多数の圧縮層4を得ることができる。
【0036】
更に、前記微粒子をスラリとすることにより、非晶質材料の表面損傷を避けることができる。
【0037】
また、前記エッチング液として酸を含有した酸性溶液、特にフッ酸を含有した酸性エッチング液を使用することにより非圧縮層のエッチング処理を効率良く促進することができる。
【0038】
また、前記酸性エッチング液で第1のエッチング処理を行った後、アルカリ性エッチング液で第2のエッチング処理を行うので、第1のエッチング処理後に非圧縮層の表面に形成される変質層がアルカリ性溶液で除去され、ガラス表面をガラス内部と同質にすることができる。
【0039】
また、前記非晶質材料が、少なくともケイ素酸化物と、アルミニウム酸化物とを含有することにより、高密度化された圧縮層では緻密化したケイ素酸化物がその他の成分の溶出を妨げ、一方非圧縮層では耐酸性の低いアルミニウムが優先的にエッチングされ、その結果、所望の微小凸部を迅速且つ容易に形成することができる。
【0040】
また、アルカリ土類金属酸化物は、キレート剤を含有したアルカリ性溶液に対して溶出し易いため、非晶質材料が少なくともケイ素酸化物と、アルカリ土類金属酸化物から選択された少なくとも1種以上の酸化物とを含有し、且つキレート剤を含有したアルカリ性エッチング液を使用した場合は、アルカリ性エッチング液によりエッチングが促進され、したがってアルカリ性エッチング液のみのエッチング作用でも非晶質材料の表面に微小凹凸を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
【0042】
本発明に用いる非晶質材料は、酸性溶液及びアルカリ性溶液に対するエッチング性を考慮し、無機ガラスであってその組成範囲が、SiO2:55mol%〜72mol%、Al23:1mol%〜12.5mol%、アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO及びBaO):総計で2mol%〜16mol%、Li2O:5mol%〜20mol%、Na2O:12mol%以下とされている。
【0043】
以下、その限定理由について述べる。
【0044】
SiO2は無機ガラスを構成する主要成分であり、含有率が55mol%未満になるとガラスの耐久性が悪化する一方、72mol%を超えると粘度が上がり過ぎて溶融が困難になる。そこで、本実施の形態ではSiO2の含有率を55mol%〜72mol%に設定した。
【0045】
Al23はガラスの耐久性を向上させる成分であり、また酸性エッチング液に対して溶出し易い成分である。しかしながら、その含有率が1mol%未満では所期の作用効果を奏することができず、一方その含有率が12.5mol%を超えると粘度が上がり過ぎて耐失透性が低下し、溶融が困難になる。そこで、本実施の形態ではAl23の含有率を1mol%〜12.5mol%に設定した。
【0046】
MgO、CaO、SrO及びBaO等はアルカリ土類金属酸化物であるが、斯かるアルカリ土類金属酸化物は無機ガラスの溶融性を高める他、キレート剤を含有したアルカリ性溶液に対して溶出し易く、したがって該アルカリ性エッチング液に対してエッチング処理を促進する。しかしながら、その含有率が2mol%以下では所期の作用効果を奏することができず、一方、その含有率が16mol%を超えるとガラスの液相温度が上昇し、耐失透性が悪化する。そこで、本実施の形態ではアルカリ土類金属酸化物であるMgO、CaO、SrO及びBaOの含有率を総計で2mol%〜16mol%に設定した。
【0047】
Li2Oはガラス溶融時の溶融性を高める成分であるが、その含有率が5mol%未満の場合は、粘度が上がって溶融が困難になり、一方、その含有率が20mol%を超えると化学的耐久性が悪化する。そこで、本実施の形態ではLi2Oの含有率を5mol%〜20mol%に設定した。
【0048】
Na2Oもガラス溶融時の溶融性を高める成分であるが、その含有率が12mol%を超えると化学的耐久性が悪化する。このため、本実施の形態ではNa2Oの含有率を12mol%以下に設定した。
【0049】
尚、これらLi2O、Na2O等のアルカリ金属酸化物を無機ガラス1中に含有させることにより、イオン交換による化学強化が可能となる。
【0050】
さらに、上記無機ガラスは、本発明が要求している諸特性を損なわない範囲でFe23、MnO、NiO、Cr23、CoOなどの着色剤等を適宜含有させることができる。
【0051】
以上のような無機ガラスの他にも、例えば、Al23に加えてB23を含む無機ガラスや、無アルカリガラス、光学用途向けに屈折率を制御するための成分を有する無機ガラスに対しても、本発明は有効である。
【0052】
次いで、図1(a)に示すように、無機ガラス1の表面に非晶質材料の硬度よりも大きな硬度を有する微粒子を衝突させて形成することにより、無機ガラス1の表面に窪み部3を有する圧縮層4を形成する。
【0053】
微粒子を衝突させる方法としては、例えば、空気を媒体として微粒子を無機ガラス1に吹き付けるエアブラスト法、水等の液体を媒体としてスラリ状にした微粒子を無機ガラス1に吹き付けるウエットブラスト法等が挙げられる。特に後者は、液体を媒体としているので、個々の微粒子を凝集させずに無機ガラス1の表面に衝突させることができ、また噴射スピードを制御しやすいので、過圧による傷やクラックの発生がほとんど無く、無機ガラス1の表面に均一に圧縮層4を形成することが可能であるので、圧縮層4の形成方法としてより好ましい。
【0054】
次に、圧縮層4が形成された無機ガラス1を酸性エッチング液に浸漬して第1のエッチング処理を行って無機ガラス1の表層面を除去し、これにより図1(b)に示すように、圧縮層4部分に微小凸部5が形成され、さらに、圧縮層4以外の非圧縮層6からはSiO2以外の成分が溶出して変質層7を形成する。
【0055】
すなわち、無機ガラス1の組成中には耐酸性が強い成分と耐酸性が弱い成分とがある。具体的には、SiO2は耐酸性が強く、Al23、アルカリ金属酸化物(Li2O及びNa2O)、アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO及びBaO等)は酸に浸蝕され易いという特質を有する。
【0056】
したがって、高密度化された圧縮層4は緻密化したSiO2がその他の成分の溶出を妨げるため酸性エッチング液によってエッチングされ難い一方で、非圧縮層6はSiO2成分以外の成分は酸性エッチング液によって選択的にエッチングする。そして、これにより非圧縮層6ではエッチングが促進され、圧縮層4は微小凸部5となって残存する。
【0057】
さらに、上述したように非圧縮層6はSiO2成分以外の成分を酸性エッチング液は選択的にエッチングするが、その結果、SiO2以外の成分が溶出し、非圧縮層6の表面には多孔質な変質層7が形成される。
【0058】
尚、酸性エッチング液としては、硫酸、硝酸、塩酸、フルオロ酢酸等の水溶液を使用することができるが、所望のエッチング処理を迅速に行なうためには強酸の水溶液であることが望ましく、特に濃度が0.005vol%以上のフッ酸を含有した水溶液はエッチング作用に優れ、最も好ましい。
【0059】
次いで、アルカリ性エッチング液に浸漬して第2のエッチング処理を行い、図1(c)に示すように、変質層7を除去する。すなわち、変質層7は化学的に不安定な多孔質部分であり、無機ガラス1の表面からSiO2以外の成分が溶出した部分であるため、斯かる変質層7を除去することにより、ガラス表面をガラス内部と同様、化学的に安定した構造にする。
【0060】
尚、アルカリ性エッチング液としては、例えばpH11以上の水酸化カリウム水溶液や、市販のアルカリ洗浄液の希釈液を使用することができる。
【0061】
また、アルカリ土類金属酸化物は、キレート剤を含有したアルカリ性溶液に溶出し易く、斯かる観点からキレート剤を含有したアルカリ性エッチング液で第2のエッチング処理を行うのも好ましい。
【0062】
ここで、キレート剤としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)等のアミノカルボン酸、シュウ酸等の多価カルボン酸、STPP(トリポリリン酸ナトリウム)等のリン酸塩を使用することができる。
【0063】
このように本第1の実施の形態によれば、圧縮層4を形成し、圧縮層4と非圧縮層6とでエッチング性の相違を利用して圧縮層4を形成した部分に微小凸部5を形成しているので、突起高さが均一な微小凸部5を任意のパターンで無機ガラス1表面に形成することができる。
【0064】
さらに、圧縮層4を形成する際には、図1(a)に示すように、窪み部3が形成されるため、該窪み部3を残存させた状態でエッチング処理した場合は、微小凸部5の形状は、図1(c)に示すように、略V字状、又はカルデラ状になる場合がある。したがって無機ガラス1の用途によっては表面処理を行って窪み部3を除去した後、エッチング処理を施すようにしてもよい。
【0065】
ここで、表面処理としては、無機ガラス1に傷等が付かないようにする必要があり、したがって無機ガラス1の硬度と同等又はそれ以下の硬度を有する遊離砥粒を使用して研磨処理するのが好ましく、また、遊離砥粒は球形であるのが好ましく、例えばコロイダルシリカを使用することができる。
【0066】
さらに、上述したようにアルカリ土類金属はキレート剤を含有したアルカリ性溶液に対して溶出し易いため、アルカリ土類金属を含有した化合物、すなわち、MgO、CaO、SrO及びBaO等は前記アルカリ性エッチング液に対して選択的にエッチングされ、したがって、突起高さが小さくてもよい場合は、アルカリ性溶液によるエッチングのみでも可能、即ち、酸性エッチング溶液を使用したエッチングを省略することも可能である。
【実施例】
【0067】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0068】
表1は本実施例で使用した無機ガラス1の組成一覧であり、本発明者等は表1に示す組成1〜組成4のいずれかの無機ガラス1を使用して、以下のような試験片(実施例1〜4及び比較例1,2)を作製し、表面凸部の状態(底面直径及び突起高さ)を観察した。
【0069】
【表1】


【0070】
〔実施例1〕
組成1の無機ガラス1を使用し、該無機ガラス1の表面の平滑性を向上させるべく研磨した後、9.8×104Pa(1kg/cm2)の圧搾空気を使用して粒径20μmのジルコニア粒子を20秒間吹き付け、これにより窪み部3を有する多数の圧縮層4を形成した。そしてこの後コロイダルシリカが混入したスラリを使用して200nm研磨し、前記窪み部3を除去した。次に、窪み部3が除去された無機ガラス1を濃度0.025vol%のフッ酸水溶液に浸漬して、エッチングし、その後pH12のアルカリ性エッチング液に浸漬して変質層7を除去し、実施例1の試験片を作製した。
【0071】
そして、該試験片の表面形状をAFM(原子間力顕微鏡)で観察したところ、試験片の表面には10μm2当り50個の微小凸部5が形成され、その形状は、底面が直径4μmの略円形の山形形状であって、突起高さは100nm±10nmであった。
【0072】
〔実施例2〕
粒径5μmのアルミナ研磨剤を17vol%含んだスラリを、0.05MPaの圧搾空気で90×2.0mmのノズルから霧状に吹き出しながら、ノズルを25mm/secの速さで、組成1の無機ガラス1表面を走査して吹き付け、これにより窪み部3を有する多数の圧縮層4を形成した。その後セリウム粉を混入したスラリを使用して60nm研磨し、前記窪み部3を除去した。次に、窪み部3が除去された無機ガラス1を濃度0.10vol%のフッ酸水溶液に浸漬してエッチングし、その後pH12のアルカリ性エッチング液に浸漬して変質層7を除去し、実施例2の試験片を作製した。
【0073】
そして、該試験片の表面形状をAFMで観察したところ、試験片の表面には10μm2当たり84個の微小凸部5が形成され、その形状は、底面が直径570nmの略円形の山形形状であり、突起高さは130±5nmであった。またこの方法では、ウエットブラスト法で圧縮層4を形成させたため、クラックを発生させずに高さがよくそろった突起を形成することができた。
【0074】
〔実施例3〕
組成2の無機ガラス1表面に実施例2と同様の処理を行い、実施例3の試験片を作製した。
【0075】
そして、該試験片の表面形状をAFMで観察したところ、試験片の表面には10μm2当たり49個の微小凸部5が形成され、その形状は、底面が直径460nmの略円形の山形形状であった。その突起高さは120±5nmであり、突起高さのばらつきの小さい均一な微小凸部5が形成された。このように、Al23の他にB23を含む組成の無機ガラス1においても、表面に微小凸部5を形成することができた。
【0076】
〔実施例4〕
組成3の無機ガラス1表面に実施例2と同様の処理を行い、実施例4の試験片を作製した。
【0077】
そして、該試験片の表面形状をAFMで観察したところ、試験片の表面には10μm2当たり11個の微小凸部5が形成され、その形状は、底面が直径330nmの略円形の山形形状であった。その突起高さは100±5nmであり、突起高さのばらつきの小さい均一な微小凸部5が形成された。このように実施例10と同様に、Al23の他にB23を含む組成の無機ガラス1においても、表面に微小凸部5を形成することができた。
【0078】
〔比較例1〕
組成4の無機ガラス1を使用し、該無機ガラス1の表面の平滑性を向上させるべく研磨した後、該無機ガラス1を、温度380℃下、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとが容量比で6:4に調合された溶融塩に1時間浸漬し、化学強化処理を行って圧縮層4を形成し、次いで、波長266nm、出力10mW、パルス幅5nsecのレーザ光を無機ガラス1に照射し、比較例1の試験片を作製した。
【0079】
そして、該試験片の表面形状をAFM(原子間力顕微鏡)で観察したところ、試験片の表面が隆起して多数の微小凸部5が形成され、その形状は、底面が直径5μmの略円形の山形形状であって、突起高さは30nm±15nmであった。すなわち、比較例1は微小凸部5の突起高さが30nm±15nmであり、そのバラツキ度合が実施例1に比べると大きいことが判った。
【0080】
〔比較例2〕
組成1の無機ガラス1を使用し、該無機ガラス1の表面の平滑性を向上させるべく研磨した後、温度460℃で2時間保持し、研磨による歪みを除去した。次いで無機ガラス1の表面に頂角136°の四角錐形状に形成されたダイヤモンドからなる圧子2を荷重500g(4.2GPa)で15秒間押し当て、これにより窪み部3を有する圧縮層4を形成した。そしてこの後コロイダルシリカが混入したスラリを使用して500nm研磨し、前記窪み部3を除去した。次に、窪み部3が除去された無機ガラス1を濃度0.15vol%のフッ酸水溶液に浸漬してエッチングし、その後pH12のアルカリ性エッチング液に浸漬して変質層7を除去し、比較例2の試験片を作製した。
【0081】
そして、該試験片の表面形状をAFM(原子間力顕微鏡)で観察したところ、試験片の表面には微小凸部5が形成され、その形状は、底面が一辺40μmの略正方形のカルデラ形状であって、外輪山部の突起高さは700nmで頂部に平坦領域を有し、また微小凸部5の周囲にクラックが発生した。
【0082】
すなわち、比較例2では、4.2GPaという大きな荷重を無機ガラスに負荷して圧縮層4を形成しているため、微小凸部5の周囲にクラックが発生した。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る非晶質材料の加工方法の形態を示す製造工程の説明図である。
【符号の説明】
【0084】
1 無機ガラス(非晶質材料)
3 窪み
4 圧縮層
6 非圧縮層
7 変質層




 

 


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