発明の名称 |
ポリアリレート樹脂組成物およびその製造方法 |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開2007−191583(P2007−191583A) |
公開日 |
平成19年8月2日(2007.8.2) |
出願番号 |
特願2006−11143(P2006−11143) |
出願日 |
平成18年1月19日(2006.1.19) |
代理人 |
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発明者 |
今西 浩治 |
要約 |
課題 ポリアリレートとポリエステルとからなり、透明性に優れ、分散不良により発生する微粒子をほとんど含まない上、機械的特性に優れた薄肉の成形品に好適な樹脂組成物およびその製造方法を提供する。
解決手段 ポリアリレート(A)5〜80質量部と、ポリアルキレンテレフタレート(B)95〜20質量部と、IA族またはIIA族金属の有機酸塩(C)0.005〜0.10質量部とからなる樹脂組成物であって、インヘレント粘度が0.50dl/g以上であり、プレートヘイズが3.0以下であり、プレート1ml中に存在する大きさ0.1mm以上の微粒子の数が30個以下であることを特徴とする薄肉成形用のポリアリレート樹脂組成物。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 ポリアリレート(A)5〜80質量部と、ポリアルキレンテレフタレート(B)95〜20質量部と、IA族またはIIA族金属の有機酸塩(C)0.005〜0.10質量部とからなる樹脂組成物であって、インヘレント粘度が0.50dl/g以上であり、プレートヘイズが3.0以下であり、プレート1ml中に存在する大きさ0.1mm以上の微粒子の数が30個以下であることを特徴とする薄肉成形用のポリアリレート樹脂組成物。 【請求項2】 ポリアルキレンテレフタレート(B)がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載のポリアリレート樹脂組成物。 【請求項3】 IA族またはIIA族金属の有機酸塩(C)が酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムの中から選ばれる1種以上のものであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂組成物。 【請求項4】 同方向回転二軸押出機に、ポリアリレート(A)と、ポリアルキレンテレフタレート(B)と、IA族またはIIA族金属の有機酸塩(C)とを供給して溶融混練する樹脂組成物の製造方法において、バレルとスクリューとの隙間が0.3mm以上である二軸押出機を使用して溶融混練することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリレート樹脂組成物の製造方法。
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発明の詳細な説明
【技術分野】 【0001】 本発明は透明性に優れたポリアリレート/ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物およびその製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 ポリアリレートとポリエステルとからなる樹脂組成物は透明である上に、その構成比率にもよるが、一般的な組成ではポリエステル樹脂単独の場合より耐熱性に優れ、ポリアリレート樹脂単独の場合より耐薬品性に優れている。さらにはガスバリヤ性や紫外線吸収性も有している。このような樹脂組成物は主にポリエステル樹脂では不足する性能を補う目的で使用されることが多い。 【0003】 例えばポリエステルシートは透明性、耐薬品性、二次加工性には優れるものの耐熱性が不充分であるため、ポリアリレートとポリエステルとからなる樹脂組成物により形成された耐熱性の向上したシートが提案されている(特許文献1、特許文献2)。 【0004】 またポリエステル樹脂を使用した中空容器は透明性と機械的特性に優れており、清涼飲料水、ミネラルウォーター、調味料、食用油、アルコール飲料等の食品用途や、化粧品、洗剤等の非食品用途に広く採用されているが、点眼薬等の医薬品を充填する場合には高温で殺菌するため、ポリアリレートとポリエステルとの樹脂組成物を使用して容器の耐熱性を向上させることが開示されている(特許文献3)。 【0005】 さらにポリアリレートは一般に紫外線吸収性に優れているので、医薬品用容器の用途においては、薬効成分の紫外線による劣化を防止するため、ポリアリレートとポリエステルとの樹脂組成物が使用されることもある。 【0006】 ポリアリレートとポリエステルとの樹脂組成物の製造方法としては、これらを溶融状態で混合する方法が開示されている(特許文献4)。本来、ポリアリレートとポリエステルとの相溶性は良好ではないが、溶融混錬時にエステル交換反応を促進する特定の金属化合物を相溶化剤として使用すると透明な樹脂組成物を得ることも可能となる。 【0007】 しかしながら、ポリアリレートとポリエステルは溶融粘度の差が大きいため、溶融混練時の分散が不十分になりやすく、いずれかの成分の微粒子が樹脂組成物中に残存した状態になりやすい。このような微粒子は透明性を悪化させるうえに、成形品、特に肉厚の薄いシートや中空容器の外観を損なうため、極力発生させないほうがよい。分散不良により発生する微粒子は、通常は樹脂の混錬を強化すると発生しなくなるが、その場合は色調が悪化したり、分子量低下による物性低下を引き起こしやすくなるという問題があった。 【特許文献1】特開昭49−61247号公報 【特許文献2】特開昭50−96652号公報 【特許文献3】特開昭53−40048号公報 【特許文献4】特開昭58−147449号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明の目的は、ポリアリレートとポリエステルとからなり、透明性に優れ、分散不良により発生する微粒子をほとんど含まない上に、機械的特性に優れた薄肉の成形品に好適な樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する二軸押出機を使用して樹脂組成物を製造することにより、前記課題を解決することを見いだし本発明に到達したものである。 すなわち本発明の要旨は次のとおりである。 (1)ポリアリレート(A)5〜80質量部と、ポリアルキレンテレフタレート(B)95〜20質量部と、IA族またはIIA族金属の有機酸塩(C)0.005〜0.10質量部とからなる樹脂組成物であって、インヘレント粘度が0.50dl/g以上であり、プレートヘイズが3.0以下であり、プレート1ml中に存在する大きさ0.1mm以上の微粒子の数が30個以下であることを特徴とする薄肉成形用のポリアリレート樹脂組成物。 (2)ポリアルキレンテレフタレート(B)がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする(1)に記載のポリアリレート樹脂組成物。 (3)IA族またはIIA族金属の有機酸塩(C)が酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムの中から選ばれる1種以上のものであることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリアリレート樹脂組成物。 (4)同方向回転二軸押出機に、ポリアリレート(A)と、ポリアルキレンテレフタレート(B)と、IA族またはIIA族金属の有機酸塩(C)とを供給して溶融混練する樹脂組成物の製造方法において、バレルとスクリューとの隙間が0.3mm以上である二軸押出機を使用して溶融混練することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアリレート樹脂組成物の製造方法。 【発明の効果】 【0010】 本発明によれば、特定の二軸押出機を使用することで透明性に優れ、樹脂の分散不良に由来する微粒子をほとんど含まないうえ、分子量が高く機械的特性に優れたポリアリレートとポリエステルとからなる樹脂組成物を得ることができ、産業上の利用価値は極めて高い。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明で用いるポリアリレート(A)は芳香族ジカルボン酸残基成分とビスフェノール類残基成分とを繰り返し単位とする芳香族ポリエステル重合体である。 【0012】 芳香族ジカルボン酸残基を導入するための原料の好ましい例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。なかでも、テレフタル酸およびイソフタル酸が好ましく、溶融加工性および機械的特性の点から、両者を混合して用いることが特に好ましい。その場合、混合モル比率(テレフタル酸/イソフタル酸)は100/0〜0/100の範囲の任意であるが、好ましくは70/30〜0/100、より好ましくは50/50〜0/100である。 【0013】 ビスフェノール類残基を導入するための原料はビスフェノールであり、その具体例として、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。これらの化合物の中で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用することが好ましく、最適にはこれを単独で使用する。 【0014】 ポリアリレートのインヘレント粘度は、機械的特性と流動性の観点から通常0.4〜1.0であり、好ましくは0.5〜0.8である。インヘレント粘度が0.4未満であると得られる樹脂組成物の分子量が低くなるため、機械的特性が劣ったものとなったり、逆に1.0を超えると溶融粘度が高くなるため溶融混練して樹脂組成物にする際に分散不良になりやすく透明性を損なったりする場合がある。 【0015】 本発明に用いるポリアルキレンテレフタレート(B)はテレフタル酸残基成分とアルキレンジオール類残基成分とを繰り返し単位とするポリエステル重合体である。 【0016】 アルキレンジオール類残基を導入するための原料の具体例として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環基を有するジオール成分等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。これらの化合物の中でもエチレングリコールを使用することが好ましく、これを単独で使用することが樹脂組成物に良好な耐熱性とガスバリヤ性が良好を得られるため最適である。 【0017】 ポリアルキレンテレフタレートの極限粘度は通常0.5以上、好ましくは0.6〜1.2である。極限粘度が0.5未満であると得られる樹脂組成物の分子量が低くなるため、機械的特性が劣ったものとなったり、逆に1.2を超えると溶融混練する際に分散不良になりやすく透明性を損なったりする場合があるため、ともに好ましくない。 【0018】 ポリアリレート(A)とポリアルキレンテレフタレート(B)との配合比率は、(A)成分が5〜80質量部に対し、(B)成分が95〜20質量部とすることが必要であり、(A)成分が20〜70質量部に対し、(B)成分が80〜30質量部とすることがより好ましい。(A)成分が20質量部未満では得られる樹脂組成物の耐熱性が不十分となる上、(A)成分が本来有する紫外線遮断性の効果が弱くなり、逆に80質量部を超えると樹脂組成物の二次加工性が悪くなってしまう。 【0019】 本発明に用いるIA族またはIIA族金属の有機酸塩(C)はアルカリ性でエステル交換反応を促進するものであって、樹脂組成物中に溶解して透明性を損なわないものが選ばれる。IA族またはIIA族金属の具体例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられ、有機酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、安息香酸等が挙げられる。これらの組合せの中で酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムがエステル交換反応の促進効果や得られる樹脂組成物の透明性や機械的特性の点で好適である。 【0020】 IA族またはIIA族金属の有機酸塩(C)の配合比率は0.005〜0.10質量部であり、0.01〜0.08質量部とすることがより好ましい。(C)成分の配合比率が0.005質量部未満であるとエステル交換反応が促進されず樹脂組成物の透明性が損なわれ、0.10質量部を超えると得られる樹脂組成物が加水分解を起こしやすくなって機械的特性に劣ったものとなる。 【0021】 本発明の樹脂組成物には、その特性を損なわない範囲で、さらに顔料、耐候耐光剤、酸化劣化防止剤、難燃剤、離型剤を添加することもできる。 【0022】 本発明の樹脂組成物の、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの6/4混合液を溶媒とした濃度1g/dlの25℃におけるインヘレント粘度は0.50dl/g以上であることが必要であり、0.55dl/g以上であることが好ましい。インヘレント粘度が0.50dl/g未満であると機械的特性に劣る上、シート等の成形品を二次加工する際の加工性もよくない。 【0023】 本発明の樹脂組成物は、厚さ3mmの板状成形品(プレート)におけるヘイズ(プレートヘーズ)が3.0以下であることが必要であり、2.5以下であることが好ましい。プレートに曇りがなく透明性に優れる場合はプレートヘイズの値は小さくなり、半透明状態のように曇りがあり透明性が悪い場合はヘイズの値は大きくなる。すなわち、(A)成分と(B)成分との溶融混練による各成分の分散およびエステル交換反応が十分である場合は、得られる樹脂組成物は透明となるが、不十分である場合は各樹脂成分が完全に相溶化しないため、樹脂組成物は半透明ないし白濁状態のように不透明となる。ヘイズが3.0を超える場合は樹脂組成物を構成する各樹脂成分の分散あるいはエステル交換反応が不十分であり、該樹脂組成物を使用した成形品の透明性が損なわれる。 なお、ヘイズは下記式(1)により算出される。 ヘイズ=100×[100−平行光線透過率(%)]/全光線透過率(%) (1) 【0024】 また、樹脂組成物の透明性はヘイズ以外に、ポリアリレート(A)あるいはポリアルキレンテレフタレート(B)のいずれかの成分の分散不良に由来する微粒子によって損なわれる。(A)成分や(B)成分の屈折率は、それらから得られる樹脂組成物の屈折率と異なるため、このような微粒子は異物として視認され、樹脂組成物を使用した成形品の透明性を損なう上、中空容器やシートなど肉厚の薄い成形品の場合には微粒子部が盛り上がって外観を損なうため、極力微粒子を減少化する必要がある。本発明では、肉眼で判別される大きさ0.1mm以上の微粒子の数が樹脂組成物の板状成形品(プレート)1ml中に30個以下であることが必要であり、15個以下であることが好ましい。 【0025】 透明性に優れた上に分子量が高く機械的特性に優れている本発明の樹脂組成物は、適切な二軸押出機を使用して製造することができる。 【0026】 本発明の樹脂組成物を製造するのに特に好適な二軸押出機としては、同方向回転型の二軸押出機であって、押出機のバレルとスクリューとの隙間が通常0.3mm以上、好ましくは0.3〜1.0mmであるものが挙げられる。 バレルとスクリューとの隙間が0.3mmより狭いと溶融樹脂にかかるせん断応力が強いため、分子量低下が起こりやすくなったり、あるいは、溶融樹脂の温度を局所的に著しく上昇したりして好ましくない。二成分の樹脂同士の分散が不十分な状態で強いせん断応力をかけると、溶融粘度の低い成分が優先的にせん断を受けて樹脂温度の上昇による溶融粘度の低下を引き起こすが、溶融粘度の高い成分はバレル−スクリュー間の隙間に見合う程度の大きさの微粒子として溶融粘度の低い成分中に分散した状態となる。その状態では溶融粘度の差がさらに大きくなり、微粒子をさらに細かく分散することがより難しくなる。このような状態を回避するためにも溶融混練時の過度のせん断応力を抑制できる適度な間隔を有する押出機を使用することが重要となる。 逆にバレルとスクリューの隙間が1.0mmを超えると溶融樹脂のバックフローが発生しやすく、吐出量が上がらなくなったりして好ましくない。 【0027】 本発明の樹脂組成物はポリアリレート(A)、ポリアルキレンテレフタレート(B)およびIA族またはIIA族金属の有機酸塩(C)を上記押出機の基部供給口から供給して溶融混練することで得ることができる。(A)成分、(B)成分および(C)成分を予め混合したものを押出機に供給してもよいし、各成分をそれぞれ別々の定量供給機を使用して別個に供給してもよい。また、これらの原料は予め乾燥しておいた方が、加水分解による分子量低下を抑制できるため好ましい。 【0028】 押出温度はポリアリレート(A)及びポリアルキレンテレフタレート(B)が溶融する温度であれば特に限定されないが、極力低くした方が得られる樹脂組成物の色調が変化しないので好ましい。押出機のスクリュー回転数は(A)成分と(B)成分との配合比率によって異なるため一概には限定できないが、両成分を溶融混練して透明にできる最低限の回転数とすることが、得られる樹脂組成物の分子量を高くできるので好適である。また、上記押出機には1つ以上のベント口を設け、減圧することが好ましい。なお、前記押出機がサイドフィーダーを有していれば、(A)成分および/あるいは(B)成分の一部もしくは全部をサイドフィーダーから供給してもよい。 【実施例】 【0029】 以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明する。 1.評価方法 (1)インヘレント粘度:フェノール/1,1,2,2,−テトラクロロエタンの質量比6/4の混合液を溶媒として、濃度1g/dl、温度25℃において測定し、dl/g単位で表した。 (2)ヘイズ:樹脂組成物ペレットを厚さ3.0mmのプレート状に射出成形したものをJIS K7361−1に準じて測定した。 (3)微粒子の数量:(2)で成形したプレートを拡大鏡を用いて観察し、18mm四方に含まれる大きさ0.1mm以上の微粒子の数を数え、下記式(2)により単位体積当りの微粒子数量を算出した。 微粒子数量(個/ml)=18mm四方中の数量/(18mm×18mm×3mmt)×1000 (2) 【0030】 2.使用原料 (1)ポリアリレート:ユニチカ社製D−パウダー、インヘレント粘度0.70、熱風循環式乾燥機を用いて120℃で8h以上乾燥したもの(以下、PARと略する。) (2)ポリエチレンテレフタレート:ユニチカ社製SA1206、極限粘度1.07、熱風循環式乾燥機を用いて120℃で8h以上乾燥したもの(以下、PETと略する。) (3)酢酸ナトリウム:結晶水を持たない酢酸ナトリウム(特級試薬) 【0031】 3.同方向回転二軸押出機 (1)TEM−50A:東芝機械社製、バレル内径53.2mm、スクリュー外径52.4mm、バレル−スクリュー間隙間0.4mm (2)TEM−48SS:東芝機械社製、バレル内径48mm、スクリュー外径47.3mm、バレル−スクリュー間隙間0.35mm (3)MAX58:日本プラコン社製、バレル内径58mm、スクリュー外径57.6mm、バレル−スクリュー間隙間0.2mm なお、バレル内径とは押出機バレル内のスクリューが通る穴のスクリュー1本分に相当する部分の直径、スクリュー外径とはスクリュー断面の中心から山(最も外側になる部分)までの直径換算長さ、バレル−スクリュー間隙間とはバレル内径からスクリュー外径を引いた値の1/2である。 【0032】 実施例1 PAR60質量部、PET40質量部、および酢酸ナトリウム0.02質量部を均一混合した後、連続定量供給装置(クボタ社製)を用いて、同方向回転二軸押出機(東芝機械社製TEM−50A)の主供給口に供給した。そして、スクリュー回転数120rpm、吐出量70kg/時、樹脂温度360℃で溶融混練をおこない、ダイオリフィスからストランド状に引き取った樹脂組成物を水浴して冷却固化し、ペレタイザーでカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。 得られた樹脂組成物ペレットについて、前記の方法で評価したところ、インヘレント粘度0.60dl/g、ヘイズ1.9、微粒子数9個/mlであった。 【0033】 実施例2 PAR40質量部、PET60質量部、および酢酸ナトリウム0.03質量部を均一混合した後、連続定量供給装置を用いて、同方向回転二軸押出機(東芝機械社製TEM−50A)の主供給口に供給し、スクリュー回転数160rpm、吐出量100kg/時、樹脂温度350℃で溶融混練をおこなった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。 得られた樹脂組成物ペレットは、インヘレント粘度0.62dl/g、ヘイズ2.1、微粒子数14個/mlであった。 【0034】 実施例3 PAR60質量部、PET40質量部、および酢酸ナトリウム0.02質量部を均一混合した後、連続定量供給装置を用いて、同方向回転二軸押出機(東芝機械社製TEM−48SS)の主供給口に供給し、スクリュー回転数110rpm、吐出量100kg/時、樹脂温度360℃で溶融混練をおこなった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。 得られた樹脂組成物ペレットは、インヘレント粘度0.59dl/g、ヘイズ1.8、微粒子数13個/mlであった。 【0035】 実施例4 PAR40質量部、PET60質量部、および酢酸ナトリウム0.03質量部を均一混合した後、連続定量供給装置を用いて、同方向回転二軸押出機(東芝機械社製TEM−48SS)の主供給口に供給し、スクリュー回転数140rpm、吐出量120kg/時、樹脂温度350℃で溶融混練をおこなった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。 得られた樹脂組成物ペレットは、インヘレント粘度0.60dl/g、ヘイズ1.9、微粒子数18個/mlであった。 【0036】 実施例5 PAR6質量部、PET14質量部、および酢酸ナトリウム0.03質量部を均一混合した後、連続定量供給装置を用いて、同方向回転二軸押出機(東芝機械社製TEM−48SS)の主供給口に供給し、さらにPET80質量部を該押出機のサイドフィーダーに連続定量供給装置を用いて供給した。そして、スクリュー回転数120rpm、吐出量100kg/時、樹脂温度345℃で溶融混練を行い、ダイオリフィスからストランド状に引き取った樹脂組成物を水浴して冷却固化し、ペレタイザーでカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。 得られた樹脂組成物ペレットについて、前記の方法で評価したところ、インヘレント粘度0.71dl/g、ヘイズ1.7、微粒子数6個/mlであった。 【0037】 比較例1 PAR60質量部とPET40質量部とを均一混合した後、連続定量供給装置を用いて、同方向回転二軸押出機(東芝機械社製TEM−50A)の主供給口に供給し、スクリュー回転数120rpm、吐出量70kg/時、樹脂温度360℃で溶融混練をおこなった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。 得られた樹脂組成物ペレットは、やや白濁しており、インヘレント粘度0.61dl/g、ヘイズ17.8、微粒子数は曇りが著しく計測不能であった。 【0038】 比較例2 PAR60質量部、PET40質量部、および酢酸ナトリウム0.02質量部を均一混合した後、連続定量供給装置を用いて、同方向回転二軸押出機(日本プラコン社製MAX58)の主供給口に供給し、スクリュー回転数130rpm、吐出量120kg/時、樹脂温度360℃で溶融混練をおこなった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。 得られた樹脂組成物ペレットは、インヘレント粘度0.60dl/g、ヘイズ2.3、微粒子数36個/mlであった。 【0039】 比較例3 PAR40質量部、PET60質量部、および酢酸ナトリウム0.03質量部を均一混合した後、連続定量供給装置を用いて、同方向回転二軸押出機(日本プラコン社製MAX58)の主供給口に供給し、スクリュー回転数120rpm、吐出量100kg/時、樹脂温度350℃で溶融混練をおこなった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。 得られた樹脂組成物ペレットは、インヘレント粘度0.62dl/g、ヘイズ2.4、微粒子数47個/mlであった。 【0040】 比較例4 PAR40質量部、PET60質量部、および酢酸ナトリウム0.03質量部を均一混合した後、連続定量供給装置を用いて、同方向回転二軸押出機(日本プラコン社製MAX58)の主供給口に供給し、スクリュー回転数240rpm、吐出量100kg/時、樹脂温度370℃で溶融混練をおこなった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。 得られた樹脂組成物ペレットはインヘレント粘度0.49dl/g、ヘイズ1.8、微粒子数16個/mlであった。 【0041】 実施例と比較例の評価結果をまとめて表1に示した。 【0042】 【表1】
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