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発明の名称 ポリアリレート
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−23133(P2007−23133A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−205895(P2005−205895)
出願日 平成17年7月14日(2005.7.14)
代理人
発明者 濱田 知宏 / 松本 哲夫
要約 課題
従来のポリアリレート樹脂の有する耐熱性を維持しつつ、さらに難燃性が向上したポリアリレート樹脂を提供する。

解決手段
2価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とからなるポリアリレートであって、2価フェノール成分として1,4−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオールおよび/または1,5−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオールを含有することを特徴とするポリアリレート。
特許請求の範囲
【請求項1】
2価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とからなるポリアリレートであって、2価フェノール成分として1,4−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオールおよび/または1,5−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオールを含有することを特徴とするポリアリレート。
【請求項2】
インヘレント粘度が0.3以上の請求項1記載のポリアリレート。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性の改良されたポリアリレート樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアリレート樹脂は、機械的特性、電気特性などに優れ、エンジニアリングプラスチックとして電気・電子機器分野、自動車分野、OA機器分野などさまざまな分野において幅広く使用されている。その中でも、電気・電子分野およびOA機器分野においては、OA機器、家電製品の難燃化の要求は非常に高い。
【0003】
これらの要求に応えるために、例えば、特許文献1に示されるように、ポリアリレート樹脂に臭素を直接反応させる方法で難燃化したものを使用する、あるいは、特許文献2に示されるように、ポリアリレート樹脂中に臭素化ポリカーボネートオリゴマーを溶融混練する方法で難燃化したものを使用することが提案されている。しかしながら、ハロゲン化合物を使用した場合には、燃焼時にダイオキシン等の有毒なガス発生の可能性がある問題があり、そのため、最近の環境問題への関心の高まりから、燃焼してもダイオキシン等の発生がない難燃剤を使用した、いわゆるハリゲンフリーの難燃性樹脂材料が要望されている。
【0004】
ハロゲン系難燃剤以外の難燃剤として、リン酸エステルなどのリン化合物、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの無機金属水和物、メラミン、メラミンシアヌレートなどの窒素含有化合物、ポリオルガノシロキサンなどのシリコン系化合物、ガラス繊維やタルクなどの無機充填剤の添加が検討されている。
【0005】
その中でも、リン酸エステル等のリン化合物を難燃剤として使用した樹脂化合物に関しては、数多くのものが開示されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、リン化合物を溶融混練する場合において、樹脂化合物の耐熱性を低下させる上に揮発性があり、成形加工時に金型汚染などの問題を有していた。特に、低分子量のリン酸エステルでは、難燃性を付与するために大量に添加する必要があり、耐熱性や機械的特性の低下を引き起こす問題があった。
【0006】
燃焼時にダイオキシン等が発生せず、低分子量のリン化合物を大量に添加せずに、樹脂化合物に難燃性を付与する方法としては、リンを含有する単量体を使って共重合させることが有効である。しかしながら、この方法はPETなどの半芳香族ポリエステル類の一部にはすでに採用されて効果をあげているが(特許文献4)、ポリアリレートのような全芳香族ポリエステルには、重合方法の相違から効果をあげていない。
【0007】
【特許文献1】特開平05−163338号公報
【特許文献2】特開平10−158491号公報
【特許文献3】特開2001−220504号公報
【特許文献4】特開平05−1212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するものであり、耐熱性を維持しつつ、さらに難燃性にも優れたポリアリレート樹脂を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の二価フェノール成分をポリアリレート樹脂に導入することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、2価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とからなるポリアリレートであって、2価フェノール成分として1,4−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオールおよび/または1,5−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオールを含有することを特徴とするポリアリレートである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、難燃性に優れたポリアリレート樹脂が提供される。このポリアリレートはハロゲンを含有しないので、燃焼時に有害なハロゲン化物が発生することがなく、環境への負荷が小さい。また、重合時にリン化合物をポリマー骨格に導入できるため、低分子のリン化合物を溶融混練した場合に発生する耐熱性の低下や成形時の金型汚染等の問題が低減される。したがって、電気・電子分野などにおいて広く使用することができ、産業上の利用価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明でいうポリアリレートとは、2価フェノール残基と芳香族2価カルボン酸残基とから構成されているポリエステルである。
【0014】
本発明のポリアリレートは、2価フェノール成分として、1,4−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオール、1,5−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオールまたはこの両方を含有する。
【0015】
1,4−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオール(以下、2価フェノール〔1〕と略す場合がある。)は、下記構造式(1)で示される2価フェノールである。
【0016】
また、1,5−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオール(以下、2価フェノール〔2〕と略す場合がある。)は、下記構造式(2)で示される2価フェノールである。
【0017】
【化1】


【0018】
2価フェノール〔1〕および〔2〕は、併用することが好ましい。両者の等量混合物は、市販されており、日本化学工業社より商品名「CHPO−HQ」として入手できる。
【0019】
2価フェノール〔1〕および/または〔2〕を共重合する比率は、所望する難燃性、耐熱性、および、成形加工性を勘案して決定されるが、通常、全2価フェノールに対して10〜90モル%、好ましくは20〜80モル%、最適には30〜70モル%である。共重合する2価フェノールの種類によるが、90モル%を超えると界面重合において重合溶媒への溶解性が悪くなるために分子量が上がらない場合がある。また、単独で使用する際に機械的強度が不足する場合がある。一方、2価フェノール〔1〕および/または〔2〕の共重合比率が10モル%未満では本発明の所望する難燃性が十分に発現しない場合がある。
【0020】
また、ポリアリレートを構成する2価フェノール〔1〕〔2〕以外の2価フェノールの成分としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2−メチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3−メチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,3’−ジメチル−4,4’−ジヒロキシビフェニル、3,3’−ジ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、2,2’ 3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1.1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
【0021】
ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4’−[1,4−フェニレン−ビス(1−メチルエチリデン)]ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)、
【0022】
1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−ブタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、
【0023】
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジ−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチルエステル、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、
【0024】
1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
【0025】
1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチルエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸エチルエステル、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
【0026】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3、3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−4−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン、
【0027】
1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルー5−メチル−シクロヘキサン、1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,4−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,4−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン等のテルペンジフェノール類等を挙げることができる。これらの二価フェノールは、2種以上用いてもよい。
【0028】
また、ポリマーの難燃性、耐熱性、および成形加工性を損なわない範囲で、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン等の2価アルコールを共重合してもよい。
【0029】
本発明のポリアリレートを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸、4,4’−ジカルボン酸等が挙げられる。これらの2価のジカルボン酸は、単独で用いることもできるし、2種類以上で併用することも可能である。特に好適に用いることのできる芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸とイソフタル酸であり、これらの比率がテレフタル酸/イソフタル酸=8/2〜2/8の範囲、好ましくは、7/3〜3/7の範囲であり、特に好ましいのは両者の等量混合物である。
【0030】
本発明のポリアリレートは、既述の2価フェノールと芳香族ジカルボン酸またはこれらの誘導体を原料とし、公知のポリエステル重合方法を用いて製造される。重合方法としては、界面重合、溶液重合、溶融重合などが挙げられるが、界面重合が好ましい。以下、界面重合による製造方法を例示する。
【0031】
界面重合は、2価フェノールをアルカリ水溶液に溶解させた水相と、2価カルボン酸ハライドを水に溶解しない有機溶剤に溶解させた有機相とを、触媒の存在下で混合することによっておこなわれる(W.M.EARECKSON,J.Poly.Sci.XL399(1959)、特公昭40−1959号公報)。溶液重合と比較して反応が速く、酸ハライドの加水分解を最小限に抑えられ、結果として、高分子量のポリアリレートを得ることができる。
【0032】
水相に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが挙げられる。
【0033】
有機相に用いる溶媒としては、水と相溶せず、かつ生成するポリアリレートを溶解するような溶媒が用いられ、具体的には、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0034】
界面重合に使用される触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリドデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルアニリン等の第3級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド等の第4級アンモニウム塩、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライド、トリフェニルベンジルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド等の第4級ホスホニウム塩が挙げられ、特にトリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライドが反応速度が速く、酸ハライドの加水分解を最小限に抑える点で好ましい。
【0035】
ポリアリレートの分子量を調節するために、重合時に末端停止剤を使用することができる。末端停止剤の例として、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の1価のフェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメート等の1価の酸クロライド等が挙げられる。
【0036】
界面重合は、有機相の溶液を前述の水相の溶液に混合し、通常は25℃以下の温度で1〜5時間攪拌しながら界面重縮合反応をおこなうことによって、高分子量のポリアリレートを得ることができる。
【0037】
本発明のポリアリレートの分子量を示す指標として、インヘレント粘度を用いる。本発明のポリアリレートは、後述の条件で測定したインヘレント粘度が0.3(dl/g)以上であることが好ましく、0.3〜1.2(dl/g)の範囲にあることがより好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.0(dl/g)である。インヘレント粘度が0.3(dl/g)未満であるとポリマーとしての機械的特性が低下する傾向にあり、一方1.20(dl/g)を超えると溶融時の成形加工性が低下する傾向にある。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。各種物性値の測定は、以下の方法により実施した。
【0039】
1)インヘレント粘度(ηinh)
1,1,2,2−テトラクロロエタンを測定溶媒として、濃度1g/dl、温度25℃の条件で測定した。0.3(dl/g)以上であれば、実用上問題なく使用できる。より好ましくは、0.5(dl/g)以上である。
【0040】
2)難燃性
UL−94規格に従い、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ0.8mmの試験片を用いて測定した。V−0であれば、難燃性樹脂として実用上問題なく使用できる。
【0041】
3)熱変形温度(℃)
ASTM−D648に記載の方法に準じて、荷重1.86MPaで測定した。熱変形温度は、170℃以上であれば好ましく、より好ましくは175℃以上である。
【0042】
〔実施例1〕
攪拌装置を備えた反応容器中に、2価フェノールとして2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと略す)10.12kg(44.6モル)、1,4−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオールと1,5−シクロオクチレンホスホニル−1,4−ベンゼンジオールの等量混合物(日本化学工業社製、以下CHPO−HQと略す。)を11.88kg(44.6モル)、末端停止剤であるp−tert−ブチルフェノール(以下PTBPと略す)228g(1.52モル)、水酸化ナトリウム7.92kg(198.0モル)、重合触媒であるトリn−ブチルベンジルアンモニウムクロライド(以下TBBACと略す)を全2価フェノールに対して、0.67モル%(186g)を、水594Lに溶解した(水相)。これとは別に、塩化メチレン347Lに、テレフタル酸クロライド/イソフタル酸クロライド=1/1混合物(以下MPCと略す)18.28kg(90.0モル)を溶解した(有機相)。
【0043】
有機相を先に調製した水相中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間界面重縮合反応をおこなった。重合停止後、水相と有機相をデカンテーションして分離させた。水相(アルカリ水)を抜取った後、等量のイオン交換水を投入して攪拌しながら、pHが7未満になるまで酢酸を添加した。さらに、20分間攪拌した後、20分間デカンテーションして水相を抜いて新たなイオン交換水に交換する作業を3回くり返した。洗浄の有機相であるポリマー溶液を、ホモミキサーを装着した容器に入った50℃の温水中に投入して塩化メチレンを蒸発させ粉末状ポリマーを得た。この粉末状ポリマーを真空乾燥機で、減圧下120℃で24時間乾燥してポリアリレート樹脂を得た。
【0044】
得られたポリアリレート樹脂の物性を測定するために、射出成形(シリンダー温度315℃、金型温度120℃に設定、東芝機械社製IS−100E使用)にて測定用の試験片を作製した。
【0045】
〔実施例2〜5、比較例1〕
実施例1において、ビスフェノールAとCHPO−HQの組成比を表1記載のように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってポリアリレート樹脂を得た。
〔比較例2〕
比較例1で製造したビスフェノールAのみを2価フェノール成分とするポリアリレート樹脂80質量部に対して、20質量部のCHPO−HQを2軸ニーダーで溶融混練して樹脂組成物を得た。これを射出成形して試験片を作成した。
【0046】
実施例1〜5、比較例1〜2の結果を表1に示す。
【0047】
【表1】


【0048】
表1から明らかなように、実施例1〜5では、十分な耐熱性、難燃性を有する高分子量のポリアリレートが得られた。
【0049】
これに対し、比較例1では、CHPO−HQを用いなかったため、得られたポリアリレートは難燃性に劣っていた。比較例2では、CHPO−HQが共重合されていなかったため、耐熱性が低下した。





 

 


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