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発明の名称 コークス炉押出機の均し装置およびその操業方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−204580(P2007−204580A)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
出願番号 特願2006−24270(P2006−24270)
出願日 平成18年2月1日(2006.2.1)
代理人 【識別番号】100103481
【弁理士】
【氏名又は名称】森 道雄
発明者 駒井 祐司 / 本多 友治
要約 課題
コークス炉の老朽化などにより炭化室ピッチ寸法が変動した場合であっても、円滑な窯出し作業を可能にする押出機の均し装置を提供する。

解決手段
本発明のコークス炉押出機の均し装置によれば、コークス炉の老朽化にともなう炭化室ピッチ寸法の変動またはコークス炉の新設にともなう炭化室ピッチ寸法の変更が生じた場合でも、均し装置を構成する全ての機器を一括して平行移動させることにより、装置機能的な制約を受けることなく、均し装置の装炭窯への位置合わせを行うことができる。さらに、本発明のコークス炉押出機の均し装置の操業方法によれば、均し装置の装炭窯への位置合わせを、押出排出装置の移動中に実施することにより、窯出作業の遅延による生産性の低下を防止することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
コークス炉の押出排出装置と均し装置とを併設した押出機に用いられ、当該押出機を載置するフロアー上に前記押出排出装置と所定間隔で配置された均し装置において、
前記押出機を載置するフロアーを炉団方向に移動可能とするフロアー駆動装置と、
前記フロアー上に移動可能に、前記均し装置を構成する各機器を搭載するスライド架台と、
前記スライド架台を炉団方向に移動可能とするスライド駆動装置とを有することを特徴とするコークス炉押出機の均し装置。
【請求項2】
前記スライド駆動装置が油圧シリンダーであることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉押出機の均し装置。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載のコークス炉押出機の均し装置を用い、前回の窯出作業の際に記録した炉団にわたる全炭化室ピッチ寸法に基づき、炭化室の窯出作業を終了し押出排出装置を移動させるのにともない、均し装置を装炭作業の対象となる当該炭化室に位置合わせする方法であって、
次の炭化室の窯出作業を行うに際し、前記押出排出装置の押出し作業を終了した炭化室から次の押出し作業を予定する炭化室までの移動距離を計測し、
当該移動距離に相当する前回記録された炭化室ピッチ寸法と、前記押出し作業を終了した炭化室の窯出作業の際に計測した移動距離に相当する前回記録された炭化室ピッチ寸法とを比較し、両者の寸法差を算出し、
前記押出排出装置の移動中に、上記で算出された寸法差に基づき、装炭作業の対象となる炭化室に位置合わせすることを特徴とするコークス炉押出機の均し装置の操業方法。
【請求項4】
前記移動距離の計測にフロアー駆動用の車輪により作動するロータリーエンコーダーを使用することを特徴とする請求項3に記載のコークス炉押出機の均し装置の操業方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
コークス炉の老朽化により炭化室ピッチ寸法が変動する場合やコークス炉の新設にともない炭化室ピッチ寸法を変更する場合であっても、それらの変動または変更量に対応した位置合わせが可能な押出機の均し装置およびその操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室炉式コークス炉(以下、単に「コークス炉」ともいう)では、石炭を乾留してコークス化する炭化室と燃料ガスの燃焼により炭化室に熱を供給する燃焼室が、交互に多数配列されている。通常、1炉団のコークス炉は50室程度の炭化室から成っており、炭化室の連なる方向を炉団方向という。
【0003】
コークス炉の実操業における窯出作業は、炭化室を5つのブロックに分け、5窯ピッチで行われている。このため、押出機には、赤熱コークスを炭化室から押出し排出するための押出排出装置と、コークスが押出されたあとの炭化室に装入された石炭の表面を平らに均すための均し装置とが、炉団方向に5窯間隔で設置されている。
【0004】
両者を所定間隔で設置することにより、押出機を炉団方向に移動させて、赤熱コークスを押出し排出する炭化室(以下、「押出し窯」ともいう)の中心に押出排出装置を位置合わせすれば、均し装置が前回押出しを終了して石炭を装入する炭化室(以下、「装炭窯」ともいう)の中心に位置することになる。このようにして、窯出作業は、押出し窯では押出排出装置により赤熱コークスの押出し作業と同時に、装炭窯では均し装置により装入された石炭の均し作業ができるように構成されている。
【0005】
押出機の均し装置の主な機能としては、装炭窯の炉蓋の上部につけられた小蓋を開けること、開いた小蓋から均しビームを炉内に挿入して石炭の上面を均すこと、および均しビームを炉外に引き出した後に小蓋を閉めることなどが挙げられる。これらの機能を果たすために、通常均し装置は、均しビーム、受けローラー、均しビーム駆動装置、小蓋開閉装置、および小蓋接続用シュートなどの機器から構成される。
【0006】
近年、コークス炉において、永年の使用による老朽化に伴って炉体の変形が進み、特に炉団の端部に近い炭化室における傾きの発生が認められ、炭化室の傾きが限度を超える場合には、押出し窯の中心に押出排出装置を位置合わせした際に、均し装置の中心が装炭窯の中心からずれることになり、装炭窯の小蓋から均し装置の均しビームを挿入できないという事態が生じることがある。
【0007】
上記の事態が生じた場合には、押出排出装置を押出し窯の中心に位置合わせして赤熱コークスを押出した後、押出機を再度移動させて、均し装置を装炭窯の中心に位置合わせすることが必要となる。このため、押出し窯の押出し作業と装炭窯の均し作業を同時に行うことができず、窯出作業が大幅に遅延することになり、著しく生産性が低下する。
【0008】
このような問題を解決するため、特許文献1には、均しビームの受けローラーのローラー受台を炉団方向に摺動自在に設置し、均しビーム前後基端のローラー受台に駆動機構を設けた均し装置によって、押出排出装置を一旦位置合わせした後に、均しビームを炉団方向へ水平移動させて、押出排出装置と均し装置との間隔を調整して、押出機を移動させることなく均しビームを装炭窯に位置合わせできる押出機の均し装置が提案されている。
【0009】
図1は、特許文献1で提案された押出機の均し装置に設けられた均しビーム水平移動機構の要部説明図である。この押出機の均し装置は、均し装置を構成する機器のうち、均しビーム13と受けローラー14のみをスライド部材6により炉団方向に摺動自在にしたものであり、均しビーム駆動装置、小蓋開閉装置、および小蓋接続用シュートなど(図示せず)は従来通り固定設置されている。このため、種々の装置構造に起因した制約を受けることになる。
【0010】
第1の制約は、均しビームと均しビームを炉内へ挿入するための駆動装置(以下、「均しビーム駆動装置」という)との位置ずれに起因する。通常均しビームの前後進駆動は電動機で駆動されるので、円筒ドラムに巻きつけたワイヤロープの両端を均しビームの先端と後端の近い個所に固定し、その回転ドラムを正転または逆転させることによって行われる。このため、均しビーム駆動装置が固定設置されていると、均しビームが炉団方向に摺動して位置を変更した場合に、均しビームと均しビーム駆動装置との位置にずれが生じることになる。上記の位置ずれが小さい場合には問題はないが、上記回転ドラムからワイヤロープが外れるような大きな位置ずれになると、円滑な駆動操作が困難になる。
【0011】
第2の制約は、炭化室の小蓋と小蓋開閉装置との位置ずれに起因するものである。均しビームは炭化室を密閉している炉蓋の上端部に付いた小蓋を開けて炭化室内に挿入するが、小蓋の開閉操作は小蓋開閉装置のフックを用いて行う。前記のフックを小蓋のレバーに引っ掛けることによって小蓋を開き、均し作業が完了した後フックを外すことによって小蓋を閉めるが、炭化室ピッチ寸法の変動が小蓋のレバーの幅よりも大きくなると、小蓋開閉装置のフックが小蓋に引っ掛からず、小蓋の開閉ができない事態が起きる。
【0012】
このように、特許文献1で提案される押出機の均し装置は、炭化室の傾きによる炭化室ピッチ寸法の変動が小さい場合には、変化量に対応した円滑な作業も可能であるが、コークス炉の老朽化にともない炭化室ピッチ寸法の変動が顕著になり、一定限度を超える場合には、コークス炉の円滑な操業が困難になる。
【0013】
最近では、既設コークス炉に隣接して、炭化室ピッチ寸法が既設コークス炉とは異なるコークス炉を新たに建設することが検討されている。既設炉と新設炉とが隣接する場合には、通常はできる限り付帯設備を共通化することにより設備費の低減が指向されるが、炭化室ピッチ寸法に変更が生じた場合に、押出機を既設炉と共通に用いる際には、新設炉の炭化室毎に、均し装置の位置合わせが必要となり、円滑な窯出作業が困難となる。
【0014】
このように、コークス炉の老朽化、さらには新設などにともなう炭化室ピッチ寸法の変更に対応して、押出機による円滑な窯出作業を行うためには、解決されねばならない問題が残されている。
【0015】
【特許文献1】実開平04−97829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、コークス炉の老朽化にともなう炭化室ピッチ寸法の変動、またはコークス炉の新設にともなう炭化室ピッチ寸法の変更が生じた場合であっても、押出機の移動による位置合わせを要することなく、窯出作業と同期して均し作業を行うことを可能とし、窯出作業の遅延による生産性の低下を防止することができるコークス炉押出機の均し装置およびその操業方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述のように、炭化室ピッチ寸法の変動が一定限度の範囲内であれば、特許文献1で提案されている押出機の均し装置によっても対応可能であるが、炭化室ピッチ寸法の変動が限度を超えると、特許文献1で提案されている押出機の均し装置では対応できない。この問題を解決する手段としては、均しビームと均しビーム受けローラーだけではなく、均しビーム駆動系、小蓋開閉装置および小蓋接続用シュートを含めた均し装置を構成する全ての機器を炉団方向に平行移動させる方法が適切であるが、各々の機器を個別に平行移動させる場合には、機器ごとに移動装置が必要となり、設置費用を要するとともに、構造が複雑になり故障発生の要因となる。
【0018】
本発明者らは、検討を重ねた結果、均しビーム、均しビーム受けローラー、均しビーム駆動用モーター、小蓋開閉装置および小蓋接続用シュートから構成される均し装置を炉団方向に平行移動させる場合に、前記均し装置を共通のスライド架台に搭載し、均し装置を構成する全ての機器を同じ平行移動量および平行度で平行移動させることにより、各機器の位置関係を変化させず、炭化室ピッチ寸法の変動に対応可能な均し装置が得られることを知見した。
【0019】
さらに、新たに窯出作業を行う際に、例えば、前回作業で事前に記録した炉団にわたる全炭化室ピッチ寸法に基づき、前記スライド架台の必要移動量を決定することにより、前記スライド架台の移動を、押出排出装置の移動中に行うことが可能となり、円滑な窯出作業が行えることを知見した。
【0020】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)および(2)のコークス炉押出機の均し装置ならびに下記(3)および(4)のコークス炉押出機の均し装置の操業方法を要旨としている。
(1)コークス炉の押出排出装置と均し装置とを併設した押出機に用いられ、当該押出機を載置するフロアー上に前記押出排出装置と所定間隔で配置された均し装置において、前記押出機を載置するフロアーを炉団方向に移動可能とするフロアー駆動装置と、前記フロアー上に移動可能に、前記均し装置を構成する各機器を搭載するスライド架台と、前記スライド架台を炉団方向に移動可能とするスライド駆動装置とを有することを特徴とするコークス炉押出機の均し装置。
(2)上記(1)に記載のコークス炉押出機の均し装置では、スライド駆動装置を油圧シリンダーとするのが望ましい。
(3)上記(1)または(2)に記載のコークス炉押出機の均し装置を用い、前回の窯出作業の際に記録した炉団にわたる全炭化室ピッチ寸法に基づき、炭化室の窯出作業を終了し押出排出装置を移動させるのにともない、均し装置を装炭作業の対象となる当該炭化室に位置合わせする方法であって、次の炭化室の窯出作業を行うに際し、前記押出排出装置の押出し作業を終了した炭化室から次の押出し作業を予定する炭化室までの移動距離を計測し、当該移動距離に相当する前回記録された炭化室ピッチ寸法と、前記押出し作業を終了した炭化室の窯出作業の際に計測した移動距離に相当する前回記録された炭化室ピッチ寸法とを比較し、両者の寸法差を算出し、前記押出排出装置の移動中に、上記で算出された寸法差に基づき、装炭作業の対象となる炭化室に位置合わせすることを特徴とするコークス炉押出機の均し装置の操業方法。
(4)上記(3)に記載のコークス炉押出機の均し装置の操業方法では、前記移動距離の計測にフロアー駆動用の車輪により作動するロータリーエンコーダーを使用することができる。
【0021】
上記(1)および(2)に記載のコークス炉押出機の均し装置は、炭化室ピッチ寸法の変動に対応した位置合わせをすることができるのみならず、均し装置を構成する各機器を個別に平行移動させず一括移動させることにより、装置不具合の発生頻度および点検整備箇所を減らし、管理費用の軽減を図ることができる。
【0022】
図2は、本発明のコークス炉押出機の均し装置の操業方法を示す作業フロー図である。上記(3)に記載のコークス炉押出機の均し装置の操業方法を、図2に示す作業フロー図に沿って、窯出作業を1番の炭化室から5窯ピッチで実施する場合を説明する。
【0023】
前述の通り、コークス炉の窯出作業は、5窯ピッチで行われることから押出排出装置を1番、6番、11番の炭化室へ位置合わせをするために、押出機を順次移動させていく(S2)。その際、押出機の5窯ピッチの移動距離(例えば1番から6番までの炭化室の中心間距離)を計測し(S4)、残りのすべての炭化室についても同様に順次記録していく(S5)。
【0024】
例えば、6番の炭化室の押出し作業を行っている場合には、同時に1番の炭化室では均し作業を実施していることとなるが、これらの作業が終了すると、押出排出装置を6番の炭化室から11番の炭化室に位置を合わせるため押出機を移動させる(S2)。
【0025】
このとき、均し装置は1番の炭化室から6番の炭化室まで移動することになる。前回の窯出作業の際に記録された押出機の移動距離である1番の炭化室から6番の炭化室までの炭化室ピッチ寸法(S11)、6番の炭化室から11番の炭化室までの炭化室ピッチ寸法(S12)、およびそれらの両炭化室ピッチ寸法を比較して差を求めること(S7)によって、6番の炭化室に均し装置を合わせるためのスライド架台の必要移動量を決定することができる(S8)。
【0026】
押出排出装置が6番の炭化室から11番の炭化室へ移動している間に、前記必要移動量にしたがって、スライド駆動装置によってスライド架台を平行移動させることにより(S9)、押出排出装置を11番の炭化室の位置に合わせ(S3)、コークスに接触させ押出排出準備完了させると同時に、均し装置については6番の炭化室への位置合わせを完了する(S10)。押出排出装置を一旦位置合わせした後に、均し装置の位置を調整する必要がないので、操業時間の延長を要することなく、装炭窯への均しビームの位置合わせが可能になる。
【0027】
上記の手順を繰り返し行い、炉団にわたる全炭化室の窯出作業が終了し、全炭化室ピッチ寸法の記録が完了すれば(S6)、当該記録された全炭化室ピッチ寸法は、次回の炉団にわたる全炭化室の窯出作業に利用される(S13)。
【発明の効果】
【0028】
本発明のコークス炉押出機の均し装置によれば、コークス炉の老朽化にともなう炭化室ピッチ寸法の変動、またはコークス炉の新設にともなう炭化室ピッチ寸法の変更が生じた場合であっても、均し装置を構成する全ての機器をスライド架台に搭載し、一括して押出機を載置するフロアー上を移動させることにより、均し装置を構成する各機器の位置関係に起因する制約を受けることなく、均し装置の装炭窯への位置合わせを行うことができるとともに、点検整備箇所を減らすことにより管理費用の軽減を図ることができる。
【0029】
さらに、本発明のコークス炉押出機の均し装置の操業方法によれば、均し装置の装炭作業の対象となる炭化室への位置合わせを、押出機の移動中に実施することにより、窯出作業の遅延による生産性の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明のコークス炉押出機の均し装置の構造を図面に基づいて説明する。
【0031】
図3は、本発明のコークス炉押出機の均し装置を模式的に示した図であり、同図(a)は均し装置のコークス炉長手方向断面を示す図であり、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を示す図である。
【0032】
図3(a)および(b)に示すように、本発明の均し装置は、均しビーム13、均しビーム受けローラー14、均しビーム駆動用モーター15、均し小蓋16を開閉する均し小蓋開閉装置17および均し小蓋接続用シュート18から構成され、これらの機器は全てスライド架台2に搭載されている。スライド架台2はベアリング11によって炉団方向に平行移動可能な構造とされており、油圧シリンダー10からなるスライド駆動装置により、対象となる炭化室に位置を合わせるための炉団方向の平行移動を可能としている。戻り炭受けホッパー19の投入口20と戻り炭処理用コンベア21の排出口22は押出機1に固定するものとし、投入口20と排出口22はスライド架台の横方向移動範囲まで拡張されている。また、均し装置を載置するフロアー12は、フロアー駆動装置(図示せず)によって炉団方向に移動可能とされている。
【0033】
次に、本発明のコークス炉押出機の均し装置の操業方法を具体的な数値に基づいて説明を行う。
【0034】
隣接する炭化室ピッチ寸法が1400mmの場合、炭化室の5窯ピッチ寸法は7000mmとなるので、従来の押出機では、押出排出装置と均し装置をあらかじめ7000mmの間隔でフロアー上に搭載する。しかし、コークス炉の老朽化により炭化室ピッチ寸法が大きくなった場合、炭化室の5窯ピッチ寸法は7000mm以上となり、また、隣接する炭化室のピッチ寸法が1500mmのコークス炉を新たに建設した場合、炭化室の5窯ピッチ寸法は7500mmとなり、上記の押出機を用いて、窯出作業を行う場合には、その都度、均し装置の位置合わせが必要になる。
【0035】
本発明では、均しビーム、均しビーム受けローラー、均しビーム駆動用モーター、小蓋開閉装置および小蓋接続用シュートから構成される均し装置が炉団方向に平行移動可能なスライド架台に搭載され、均し作業の対象となる炭化室への炉団方向の位置調整が可能となっている。
【0036】
窯出作業時における炭化室ピッチ寸法の検出に関しては、押出機の車輪軸の回転数と車輪径とによる演算方法等を用いて、押出機の移動量を算出することにより炭化室ピッチ寸法を計測でき、スライド架台の炉団方向への移動量を決定できる。
【0037】
上記の炭化室ピッチ寸法の検出方法を用いて計測された炭化室ピッチ寸法を、例えば、1番の炭化室から6番の炭化室までは7000mm、6番の炭化室から11番の炭化室までは7100mmとした場合、押出機の押出排出装置を6番の炭化室から11番の炭化室位置に合わせるため移動させている間に、均し装置を6番の炭化室位置に合わせるためにスライド架台を炉団方向に平行移動させる。この場合、押出排出装置と均し装置の間隔は、前回の均し作業を行った1番の炭化室と押出し作業を行った6番の炭化室との炭化室ピッチ寸法である7000mmとなっていることから、押出機の移動中にスライド架台を100mm平行移動させ、押出排出装置と均し装置の間隔を6番の炭化室と11番の炭化室の炭化室ピッチ寸法である7100mmにする。
【0038】
上記の平行移動を押出機の移動中に実施することにより、押出排出装置を11番の炭化室に合わせ押出排出準備完了させると同時に、均し装置は6番の炭化室への位置合わせが完了することになる。
【0039】
このとき、スライド架台の平行移動による均し装置の炭化室への位置合わせに関し、極めて厳しい精度が要求される。均しビームをコークス炉の炉長方向に挿入する際、挿入距離を16000mm、炭化室幅450mm、均しビーム幅300mmとした場合、均しビームが炭化室の壁に接触しないようにするために、スライド架台の移動に際し平行度の変動誤差を0.4度以下にする必要がある。
【0040】
このため、スライド架台の平行移動距離の検出方法としては、押出機架構上にスライド架台の長手方向に対し基準点を2箇所設け、その基準点とスライド架台との距離をレーザー距離計等の高精度の位置検出装置で検知し、それらと同期させ油圧シリンダーを駆動することによってスライド架台の炉団方向移動量および平行度を検出できるようにする。
【0041】
例えば、2箇所の基準点の位置検出装置の間隔を10000mm、スライド架台とレーザー距離計の距離を600mmとした場合、位置検出装置の測定精度が±0.1%F.S.程度であれば、スライド架台の平行度は0.01度以内とすることができ、十分な平行度をもった平行移動が可能となる。ここで、「測定精度が±0.1%F.S.」とは、測定機器が保有している精度であり、測定値にかかわらず、全許容範囲(FULL SCALE)における許容差が±0.1%であることを意味する。
【実施例】
【0042】
本発明のコークス炉押出機の均し装置およびその操業方法を用いて、老朽化したコークス炉にて窯出作業を実施した。
【0043】
図4は、コークス炉の炭化室と押出機の押出排出装置および均し装置の平面位置関係を表す模式図であり、同図(a)は炭化室6cの押出し作業状態を示す図であり、同図(b)は炭化室11cへの押出排出装置の位置合わせ状態を示す図であり、同図(c)は炭化室11cの押出し作業状態を示す図であり、同図(d)は押出機の底面側の同図(b)におけるA−A断面を示す図である。
【0044】
図4(a)に示すように、押出機1を移動させて押出排出装置3を炭化室6cの中心位置に合わせ、炭化室6cからコークス5を排出した。同時に、炭化室1cに装入された石炭の上部を平坦にするため、均し装置4の均しビーム13を駆動させた。
【0045】
炭化室6cからコークス5を排出完了後、図4(b)に示すとおり、押出排出装置3が炭化室11cの中心位置に合うように、押出機1を移動させた。この時、炭化室6c内は空となっており、均し装置4は炭化室1cから炭化室6cに移動する状態にあった。ここで前回の窯出作業において、図4(d)に示す押出機1の車輪7に取り付けたロータリーエンコーダー8で検出し記録された炭化室1cから炭化室6cまでの移動量と炭化室6cから炭化室11cまでの移動量によって演算されたスライド架台2の必要移動量を決定し、レーザー距離計9で距離を検知しながら油圧シリンダー10によりスライド架台2を炭化室6cへスライドさせて位置を合わせた。このように、押出機1の1回の移動により、押出排出装置3を炭化室11cに、また、均し装置4を炭化室6cに位置合わせすることができた。
【0046】
図4(c)に示すように、炭化室11cのコークス5を押出排出装置3で排出すると同時に、炭化室6cに石炭を装入し、炭化室6c内の石炭の上部を平坦にするため均し装置4の均しビーム13を稼動させた。
【0047】
本発明のコークス炉押出機の均し装置およびその操業方法を用いることにより、老朽化したコークス炉においても、上記のように、円滑な窯出作業を実施することができた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のコークス炉押出機の均し装置によれば、コークス炉の老朽化にともなう炭化室ピッチ寸法の変動、またはコークス炉の新設にともなう炭化室ピッチ寸法の変更が生じた場合であっても、均し装置を構成する全ての機器をスライド架台に搭載し、一括して押出機を載置するフロアー上を移動させることにより、均し装置を構成する各機器の位置関係に起因する制約を受けることなく、均し装置の装炭窯への位置合わせを行うことができるとともに、点検整備箇所を減らすことにより管理費用の軽減を図ることができる。
【0049】
さらに、本発明のコークス炉押出機の均し装置の操業方法によれば、均し装置の装炭作業の対象となる炭化室への位置合わせを、押出機の移動中に実施することにより、窯出作業の遅延による生産性の低下を防止することができる。
【0050】
これにより、コークス炉の老朽化または炭化室ピッチ寸法の変更をともなうコークス炉の新設に対しても、生産性の低下を防止できるとともに、設備費の低減を可能とする押出機の均し装置およびその操業方法として広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】特許文献1で提案された押出機の均し装置に設けられた均しビーム水平移動機構の要部説明図である。
【図2】本発明のコークス炉押出機の均し装置の操業方法を示す作業フロー図である。
【図3】本発明のコークス炉押出機の均し装置を模式的に示した図であり、同図(a)は均し装置のコークス炉長手方向断面を示す図であり、同図(b)は同図(a)におけるA−A断面を示す図である。
【図4】コークス炉の炭化室と押出機の押出排出装置および均し装置の平面位置関係を表す模式図であり、同図(a)は炭化室6cの押出し作業状態を示す図であり、同図(b)は炭化室11cへの押出排出装置の位置合わせ状態を示す図であり、同図(c)は炭化室11cの押出し作業状態を示す図であり、同図(d)は押出機の底面側の同図(b)におけるA−A断面を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1.押出機
2.スライド架台
3.押出排出装置
4.均し装置
5.コークス
6.スライド部材
7.車輪
8.ロータリーエンコーダー
9.レーザー距離計
10.油圧シリンダー
11.ベアリング
12.フロアー
13.均しビーム
14.均しビーム受けローラー
15.均しビーム駆動用モーター
16.均し小蓋
17.均し小蓋開閉装置
18.接続用シュート
19.戻り炭受けホッパー
20.投入口
21.戻り炭処理用コンベア
22.排出口
1c〜11c.炭化室の番号
S1〜S13.作業ステップ




 

 


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