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発明の名称 コークス炉炭化室カーボン燃焼除去ランス
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−186576(P2007−186576A)
公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
出願番号 特願2006−4969(P2006−4969)
出願日 平成18年1月12日(2006.1.12)
代理人 【識別番号】100103481
【弁理士】
【氏名又は名称】森 道雄
発明者 鈴木 角成 / 中村 修 / 篠原 憲一
要約 課題
炭化室炉壁に付着している局所カーボンを選択的に除去することができる炭化室カーボン燃焼除去ランスを提供する。

解決手段
コークス炉の炭化室に空気を吹き込んで、炭化室炉壁に付着しているカーボンを燃焼除去するランスであって、炭化室内に挿入するランス2の空気噴き出し開口部6の底面構造が、炉長方向から投影させた最大長さをL1、炉幅方向から投影させた最大長さをL2としたとき、L1<L2の条件を満たす炭化室カーボン燃焼除去ランス。前記空気噴き出し開口部内に、その開口を炉長方向に複数の開口に分割するように空気分散板8が設けられていれば、空気を炉長方向に広がるようにコークス炉炭化室内へ吹き込めるので望ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
コークス炉の炭化室に空気を吹き込んで、炭化室炉壁に付着しているカーボンを燃焼除去するカーボン燃焼除去ランスであって、炭化室内に挿入するランスの空気噴き出し開口部の底面構造が、炉長方向から投影させた最大長さをL1、炉幅方向から投影させた最大長さをL2としたとき、L1<L2の条件を満たすことを特徴とするコークス炉炭化室カーボン燃焼除去ランス。
【請求項2】
ランス底面の空気噴き出し開口部内に、空気分散板が前記開口を炉長方向に分割するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉炭化室カーボン燃焼除去ランス。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉の炭化室炉壁に付着するカーボンに空気を吹き付けてこれを燃焼除去する際に用いるコークス炉炭化室カーボン燃焼除去ランスに関する。
【背景技術】
【0002】
コークス炉の炭化室では、石炭を乾留してコークスにするときに発生する乾留ガスの一部が高温のコークス炉炭化室の炉壁表面に接触して熱分解し、生成したカーボンが炉壁表面に付着する。この付着したカーボンは、コークスの押出し時に、炉壁表面から剥離したり、炉内に入る外気により燃焼(焼失)したりして減少するが、続いて行われる乾留で再びカーボンが炉壁表面に付着する。このような付着、剥離等の現象が繰り返され、付着カーボンは次第に成長する。その成長速度は、炉壁の表面温度、石炭中の揮発分や水分量、コークス押出し時における外気との接触時間などにより異なる。
【0003】
このようにして炭化室の炉壁表面に付着するカーボンは、炭化室炉壁煉瓦の目地を緻密に閉塞して炭化室から燃焼室への石炭乾留ガスの漏出を防止する効果があり、これによって燃焼室内での不完全燃焼が回避されるので、煙突からの黒煙発生を防ぐことができる。
【0004】
しかしながら、石炭乾留サイクルの繰り返しにより、付着カーボンは炉壁煉瓦の目地の閉塞に必要な厚み以上に厚く成長する場合が多く、これを放置すると付着カーボンがコークス押出しの際の抵抗となり、押止りや押詰り等の安定操業の阻害要因となる。同時に、炭化室の炉壁に大きな力が加わるので、炉壁煉瓦の亀裂その他の損傷の原因にもなる。
【0005】
この炭化室の炉壁表面でのカーボンの付着、成長は、通常のコークス炉の操業においては、炭化室の炉壁表面に一様に生じるのではなく、炭化室内の特定部位において顕著に進行する。
【0006】
図1は、炉壁煉瓦の欠損部における付着カーボンの成長を模式的に示す図である。この炭化室炉壁煉瓦の欠損部は、装炭孔の直下において高頻度で生じる。
【0007】
コークス炉は多数の燃焼室と炭化室とが交互に配列されて炉団を構成している。これら炭化室の装炭孔の直下では炉壁の表面温度が最も高く、装炭孔直下の炉壁には図1に示すように炉壁欠損部16が生じ易い。この炉壁欠損部16では炭化室炉壁煉瓦15の厚みが減少しているので、炭化室1に隣接する燃焼室14の熱が炭化室1へ伝わりやすく、炉壁煉瓦15表面の温度が高いため、カーボンが生成しやすい状態になっている。また、装炭孔の直下では石炭の充填量が多く、乾留ガスの発生量も多い。そのため、装炭孔直下の炉壁欠損部16ではカーボンの付着、成長が著しく、同図に示すように、厚く成長したカーボン3(このように炭化室内の特定部位で厚く成長したカーボンを、以下、「局所カーボン」という)が形成される。
【0008】
さらに、炭化室は、炉外へのコークスの排出を容易にするためコークス押出側の炉幅(すなわち、炭化室の炉団方向長さ)よりもコークス排出側の炉幅が広いテーパー構造を有しており、炉長方向(すなわち、コークス押出側〜コークス排出側の方向)で均一に乾留するためにコークス排出側の炭化室炉壁温度をコークス押出側の炉壁温度に比べて高温に保持する操業が行われている。そのため、カーボンは、コークス排出側の炉壁表面に多く付着し、成長する。
【0009】
図2は、コークス押出し時における外気の流入経路を模式的に示す図である。同図に示すように、炭化室1は、石炭を炉(つまり、炭化室)内へ装入するための装炭孔4a、4b、4c、4dと、石炭乾留ガスを回収するための上昇管7を備えている。
【0010】
乾留が終了し、押出機17をコークス押出側からコークス排出側へ移動させてコークス18を炉外に排出するコークス押出し時には、外気がコークス押出側から直接炉内に入り、炉壁表面に付着したカーボンが燃焼する。この流入する外気は温度が低いので、図2中に矢印で示すように炉内で上部から下部に流れる。そのため、コークス押出側に近い装炭孔4c、4d直下の、特に炉底に比較的近い部位に付着したカーボンは焼失するが、コークス排出側に近い装炭孔4a、4b直下の付着カーボンは焼失し難く、その焼失量は押出し側のそれに比べて極端に少ない。
【0011】
このように、石炭乾留サイクルを繰り返す結果、炭化室の炉壁表面でのカーボンの付着、成長は、コークス排出側の、しかも装炭孔直下の炉底から2〜3m上方近傍で最大となり、前述した局所カーボンが形成される。
【0012】
したがって、コークスの円滑な押出しを阻害する最大要因は、前記コークス排出側の装炭孔直下の炉底から2〜3m上方近傍の炉壁に付着した局所カーボンであり、この局所カーボンを選択的に除去することができれば、前述した問題、すなわち、コークス押出しの際の抵抗となって安定操業に支障を来し、また炉壁煉瓦に損傷を与えるという問題の解決に向けて大きな前進となる。
【0013】
このような炭化室炉壁表面における付着カーボンの問題を解決するために、炭化室内に挿入したランスを介して炭化室内へ空気等を吹き込み、カーボンを燃焼除去する方法、装置が提案されている。
【0014】
例えば、特許文献1では、進退自在に設けたランスを炭化室内に挿入し、ランスに設けた横向き噴射ノズルから酸素あるいは酸素を含む気体を炭化室炉壁と略平行に噴射させる付着カーボンの燃焼除去装置が開示されている。
【0015】
この装置は前記の気体を炭化室内に炉壁に沿って旋回、攪拌させることにより付着カーボンを燃焼させる装置で、噴射ノズルの近傍の付着カーボンから選択的に焼失される。カーボンを焼失させた後の気体中には多量の二酸化炭素が含まれ、それ以上のカーボンを焼失できない状態になるので、カーボンの焼失はノズルの近傍から始まり、順に離れた部位へと及んでいく。したがって、この付着カーボン燃焼除去装置は、炭化室の炉壁全面に付着しているカーボンの燃焼除去には効果があるが、厚く成長した局所カーボンの選択的な除去には必ずしも有効ではない。
【0016】
さらに、カーボン成長速度の速い装炭孔直下に付着する局所カーボンの成長を抑えるには、装置の稼働時間を長くし、また酸素含有気体の流量を多くする必要があるが、その場合は、炭化室炉壁煉瓦の目地を閉塞させている薄い炉壁カーボンまで焼失させてしまい、前述した石炭乾留ガスの燃焼室への漏出および煙突からの黒煙発生の原因となる。
【0017】
特許文献2では、石炭装入孔近傍の付着カーボンを吹き飛ばすための空気または酸素富化空気の高圧噴出ノズルと、炭化室側壁部の付着カーボンを燃焼除去するための低圧噴出ノズルをそれぞれ具備するランスを設けた付着カーボン除去装置が開示されている。側壁部の付着カーボンを除去する際には、ランスを炭化室内でコークスの押出し方向に傾動するように構成されている。しかしながら、この装置ではランスを炭化室内で傾動させる機構そのものが複雑となり、さらにこの傾動機構の高温下での防熱対策も行わなければならず、設備費が極めて高価なものとなる。
【0018】
また、特許文献3では、炉の排気側と反対の方向に吐出孔を1つ設けたランス1本のみを使用し、炭化室内のエア(空気あるいは酸素富化空気)の流れを変化させて炭化室内の炉壁付着カーボンを燃焼除去させる方法が開示されている。
【0019】
しかし、この方法ではエアの流れの変化に時間がかかり、複数箇所に局所カーボンが存在する場合には、その焼失にさらに時間を要するという問題がある。コークス炉の操業は、炭化室からコークスを排出した後に直ちに石炭の装入を行う繰り返し作業であり、コークスの排出と石炭装入の作業間隔は8分程度である。カーボン除去作業もこの間に行う必要があり、付着カーボンの除去時間が長くなれば、コークス生産量が低下する。
【0020】
さらに、特許文献4には、コークス炉炭化室内の炉壁に付着しているカーボン量の分布を、例えばレーザー、超音波等を利用した検出装置を用いて測定し、その結果に基づき酸素含有気体の噴射条件を設定する付着カーボンの燃焼除去方法が提案されている。しかし、この方法では、コークスを炉外に排出した後、検出装置を炉内に挿入してカーボン量を測定している間にカーボンの焼失などが生じ、噴射条件を決定する時には炉内の付着カーボン量の分布状態が全く異なってしまうという問題がある。
【0021】
【特許文献1】特開昭62−161884号公報
【特許文献2】特開平6−248272号公報
【特許文献3】特開2003−292962号公報
【特許文献4】特開昭61−231084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、コークス炉の炭化室に空気を吹き込んで炭化室炉壁に付着しているカーボンを燃焼除去するに際し、特に、コークス排出側に近い、装炭孔直下の炉壁に付着し、厚く成長する局所カーボンを選択的に除去し、その成長を防止することができるコークス炉炭化室カーボン燃焼除去ランスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、カーボン燃焼用の空気が炉長方向に広がるように炭化室内へ空気を吹き出させる開口部を先端に備えたランスを用いることによって、局所カーボンを選択的に燃焼させ、除去できることが判明した。
【0024】
本発明の要旨は、下記のカーボン燃焼除去ランスにある。
【0025】
すなわち、コークス炉の炭化室に空気を吹き込んで、炭化室炉壁に付着しているカーボンを燃焼除去するカーボン燃焼除去ランスであって、炭化室内に挿入するランスの空気噴き出し開口部の底面構造が、炉長方向から投影させた最大長さをL1、炉幅方向から投影させた最大長さをL2としたとき、L1<L2の条件を満たすコークス炉炭化室カーボン燃焼除去ランスである。
【0026】
このカーボン燃焼除去ランスにおいて、ランス底面の空気噴き出し開口部内に、空気分散板が前記開口を炉長方向に分割するように設けられていれば、ランスから流れ出る空気を炉長方向に広がるようにコークス炉炭化室内へ吹き出させることができるので、望ましい。
【0027】
ここでいう「ランスの空気噴き出し開口部」とは、ランスの先端に設けられた、空気を吹き出させるための開口を備える部分をいう。
【発明の効果】
【0028】
コークス炉の炭化室に空気を吹き込んで、炭化室炉壁に付着しているカーボンを燃焼除去するに際し、本発明のカーボン燃焼除去ランスを用いれば、コークス排出側に近い、装炭孔直下の炉壁に付着している局所カーボンを選択的に除去し、その成長を抑制して、コークス押出し時の押止り、押詰り等のトラブルや、炉壁煉瓦の亀裂その他の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明のコークス炉炭化室カーボン燃焼除去ランスについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
本発明のカーボン燃焼除去ランスは、コークス炉の炭化室に空気を吹き込んで、炭化室炉壁に付着しているカーボンを燃焼除去するカーボン燃焼除去ランスであって、その特徴は、炭化室内に挿入するランスの先端に空気噴き出し開口部が設けられ、その開口部の底面の構造が、炉長方向から投影させた最大長さをL1、炉幅方向から投影させた最大長さをL2としたとき、L1<L2の条件を満たす点にある。
【0031】
図3は、本発明のカーボン燃焼除去ランスを用いて炭化室炉壁に付着しているカーボンを燃焼除去する際の状況を模式的に例示する図である。
【0032】
図3において、炭化室1は装炭孔4a、4b、4c、4dと上昇管7を備えており、コークス排出側の装炭孔4a、4b直下の炭化室炉壁表面に局所カーボン3が広範囲にわたって存在している。一方、多数の炭化室と燃焼室とが交互に配列されたコークス炉の軌道19上を移動(図示した例では、紙面に垂直方向に移動)するカーボン焼却台車10には、ブロワー11が搭載されている。
【0033】
装炭孔4a、4bには、カーボン燃焼用の空気が炉長方向に広がるように炭化室内へ吹き出させるための空気噴き出し開口部6を先端に備えたランス2が取り付けられ、ランス2の上端はブロワー11と接続されている。
【0034】
図4は、コークス炉炭化室カーボン燃焼除去ランスの構成例を示す概略図で、図3に示した空気噴き出し開口部6の拡大図である。
【0035】
図4において、ランス2の先端に角型の空気噴き出し開口部6が設けられており、その底面(この面は、開口をなしている)は、炉長方向から投影させた最大長さをL1、炉幅方向(炉団方向)から投影させた最大長さをL2としたとき、L1<L2の条件を満たす構造となっている。なお、この例では、空気噴き出し開口部6内に、その開口を炉長方向に分割する空気分散板8が設けられている。
【0036】
ランス2の先端にこのような空気噴き出し開口部6を設けるのは、ランス2から流れ出る空気を炉長方向に適度に広げて炭化室内へ吹き出させるためで、これによって、前記図3に例示したコークス排出側の装炭孔4a、4b直下の炉壁表面に広範囲にわたって存在している局所カーボン3全体に空気を吹き付け、局所カーボンを選択的に燃焼、除去することが可能となる。
【0037】
この空気噴き出し開口部6の底面構造(つまり、開口の形状)が、L1<L2の条件(L1は炉長方向から投影させた最大長さ、L2は炉幅方向から投影させた最大長さ)を満たすこととするのは、図3に示すように、局所カーボンが炉壁表面において、炉長方向に広範囲にわたって存在しているからである。すなわち、L1<L2の条件が満たされれば、炭化室内へ吹き出させた空気が炉長方向に広がりやすく、局所カーボンへの空気の吹き付けをより効果的に行うことができる。
【0038】
なお、L1に対してL2をどの程度に設定するかについては、実炉における局所カーボンの付着状況(付着範囲、厚み等)を勘案して定めればよい。通常の操業においては、L1に対してL2を2〜4倍とするのが望ましい。L1に対してL2が2倍未満では炉長方向に広がる局所カーボンの除去効果が十分ではなくなるからであり、一方、L1に対してL2が4倍超では、炉体や装置の寸法精度等を考慮すると、装炭孔4a、4bへのランス2の挿入に支障を来す懸念が生じるからである。
【0039】
空気噴き出し開口部およびその底面(開口)の形状は、前記図3および図4に示した例では角型で、開口部分が炉長方向に長い長方形であるが、これに限定されない。例えば、開口部の底面の開口部分が炉長方向に長径を有する楕円形であってもよい。すなわち、空気噴き出し開口部の底面構造は、前記のL1<L2の条件を満たすものであれば、特定の形状に限定されることはない。
【0040】
空気噴き出し開口部の大きさについても特に限定はない。ランスの先端に空気噴き出し開口部を設ける目的が、カーボン燃焼用の空気を炉長方向に適度に広げて局所カーボンに選択的に空気を吹き付けることであるから、その目的に沿った適度な大きさを備えるものであればよい。例えば、前記の図3および図4に例示したように、装炭孔4a、4bから炉内への挿入が可能な範囲で、L2がランス2の径より大きいものが好適である。
【0041】
図4に例示したランスには、さらに、空気噴き出し開口部6内に、その開口を炉長方向に分割する2枚の空気分散板8が設けられている。本発明のカーボン燃焼除去ランスの一実施態様である。
【0042】
この空気分散板8によって、空気噴き出し開口部6の開口が炉長方向に3個の開口20a、20b、20cに分割されるとともに、分散板8が垂直方向に対して若干傾斜しているので、カーボン燃焼用の空気の噴き出し方向に、開口20aではコークス排出側への、開口20cではコークス押出側への若干の傾きが与えられる。その結果、ランス2内から流れ出る空気は炉長方向に一層広げられた状態で炭化室1内へ吹き出されるので、装炭孔4a、4b直下の炭化室炉壁表面に広範囲にわたって存在している局所カーボン3全体との燃焼反応が容易に行われる。
【0043】
空気分散板8の形状、取り付け角度、枚数等について何ら限定はない。局所カーボンの付着状況に応じて、ランスから吹き出される空気を炉長方向に一層広げるという分散効果が発現しやすいように適宜定めればよい。
【0044】
以上説明した本発明のカーボン燃焼除去ランスを用いて行う炭化室炉壁表面の局所カーボンの燃焼除去について、図3および図4を参照して説明する。
【0045】
装炭孔4a、4b直下の炉壁表面に存在している局所カーボン3を燃焼除去するには、まず、カーボン焼却台車10をコークス排出後の炭化室1上に移動させ、ランス2を該炭化室1の装炭孔4a、4bから炉内に挿入する。ランス2の挿入深さは、空気噴き出し開口部6の下端が燃焼除去しようとする局所カーボン3が付着している領域の上端よりも若干上方(正確には、若干上方の位置と同レベルの炉内中央空間)に位置するような深さとするのが望ましい。カーボン燃焼用の空気はランス2下方および斜め下方に吹き出されるからである。なお、ランス2を挿入する装炭孔はその直下に局所カーボン3が存在する装炭孔のみでよい。
【0046】
次いで、ランス2の上端とカーボン焼却台車10に搭載されているブロワー11とを接続し、ブロワー11によりカーボン燃焼用の空気をランス2へ供給する。供給された空気は、図3中に矢印で示すように、空気噴き出し開口部6から炭化室内へ吐出され、局所カーボン3と優先的に反応し、カーボン3が燃焼除去される。燃焼反応後の排ガスは上昇管7から炉外へ排出される。
【0047】
このように、本発明のカーボン燃焼除去ランスを用いれば、コークス排出側に近い、装炭孔直下の炉壁に付着した局所カーボンを選択的に燃焼除去し、その成長を抑制して、コークス押出し時の押止り、押詰り等のトラブルや、炉壁煉瓦の亀裂その他の損傷を防止することができる。
【実施例】
【0048】
炭化室内を流動するガス流れについてシミュレーションによる解析を行い、本発明の効果を確認した。
【0049】
モデルは乱流モデルとして一般的なRealizable k−ε モデルを使用し、ランスから吹き込んだ空気に対し、炉壁面上でのカーボン燃焼による反応熱および熱伝導を考慮した熱流動解析を行い、カーボン燃焼速度分布に関しては、実炉での空気自然流入によるカーボン燃焼テストから求めた燃焼速度式を用いて算出した。
【0050】
以下に解析結果のみを例示する。なお、解析の前提条件としての局所カーボンの付着範囲は、実炉での局所カーボン付着範囲の目視による観察結果に基づき、大きさについては、幅1.6m×高さ2.0mに、付着位置については、ランスの開口部(ノズルまたは空気噴き出し開口部)の下端から0.2m下方に局所カーボン付着範囲の上端が位置するように設定した。
【0051】
解析結果の評価は、カーボンの燃焼速度と局所カーボンが所定の燃焼速度以上で燃焼した範囲を求め、あらかじめ定めた評価基準と比較することによって行った。
【0052】
すなわち、カーボンの燃焼速度(燃焼により単位時間に焼失するカーボンの厚み)については、0〜3mm/hの範囲内であれば「カーボン燃焼速度“小”」、3〜6mm/hの範囲内であれば「同じく “中”」、6mm/h以上であれば「同じく “大”」とし、カーボン燃焼速度が“中”または“大”であれば、該燃焼速度に関しては良好と評価した。このような評価基準を設けたのは、炉壁付着カーボンの除去作業は、前述したように、コークス排出と石炭装入の間で行われるため作業時間に制限があり、一般的な操業におけるカーボン付着状況を勘案すると、3mm/h以上のカーボン燃焼速度を確保できることがカーボン除去作業において必要だからである。
【0053】
また、局所カーボンが所定の燃焼速度以上で燃焼した範囲については、局所カーボンが付着範囲の大きさ(幅1.6m×高さ2.0m)の1/2以上の領域で所定の燃焼速度以上(この場合は、3mm/h以上)で燃焼した場合、良好と評価した。
【0054】
図5は、前掲の特許文献1、2または3に記載されている横向き噴射ノズルを設けた一般的な構造のランスを用いて炭化室に空気を吹込んだときの解析結果(従来例)で、空気流速:65m/s、空気量:7550Nm3/hとした場合である。
【0055】
ランス2に設けられた横向き噴射ノズル5から炭化室内に吹き込まれる空気の流れは、装炭孔4a、4b直下の局所カーボン13周辺で大きな空気流れの渦9を形成した。そのため、局所カーボン13の近傍では空気の流れが滞留してランス2から供給される空気と置換されず、装炭孔4a、4b直下に存在する局所カーボン13の燃焼効率が低く、局所カーボン13の全範囲でカーボン燃焼速度は“小”(0〜3mm/h)と評価された。
【0056】
図6は、底部にランス底面ノズルを形成させたランスを用いて炭化室に空気を吹き込んだときの解析結果(比較例)で、局所カーボン13の燃焼速度分布を示す図である。空気流速:65m/s、空気量:9320Nm3/hとした場合である。
【0057】
この場合は、装炭孔4a、4b直下にある局所カーボン13の燃焼除去効果は認められたが、カーボン燃焼速度“中”または“大”の範囲は狭く、局所カーボン13の大部分がカーボン燃焼速度“小”であった。これは、ガス流れシミュレーションの前提条件として設定したランスの開口部下端(この場合は、ランス底面ノズル12の下端)と局所カーボン13が近いため、ランス底面ノズル12から吐出された空気はそのまま真下に流れ、局所カーボン燃焼範囲がランス2の直下に限定されてしまうためである。反対に、局所カーボン13とランス底面ノズル12の距離を離しすぎると吹き込んだ空気が拡散して酸素濃度が低下し、局所カーボン13を燃焼除去する効果がなくなった。
【0058】
図7は、ランスの先端部に空気噴き出し開口部が設けられ、さらに前記開口部内に空気分散板8が取り付けられた本発明のランスを用いて炭化室に空気を吹き込んだときの解析結果(本発明例)で、局所カーボンの燃焼速度分布を示す図である。空気流速:50m/s、空気量:7300Nm3/hとした場合である。
【0059】
空気噴き出し開口部6から吹き込まれた空気は炉長方向に広がり、カーボン燃焼速度“中”または“大”の範囲は、局所カーボン燃焼範囲13の大部分を占めた。すなわち、本発明のカーボン燃焼除去ランスを用いれば、装炭孔直下の炉壁に付着した局所カーボンを選択的に燃焼除去することが可能である。
【0060】
また、本発明のランスを用いた場合は、前記図5、図6に示した従来のランスまたは比較のためのランスを用いた場合に比べて、空気流速や空気量の増大を伴うことなくカーボン燃焼速度の高い領域が増大した。これは燃焼効率が高いことを示すもので、本発明のランスを用いることによってブロワー能力等を小さくすることが可能であり、設備費の削減効果も期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
コークス炉の炭化室に空気を吹き込んで、炭化室炉壁に付着しているカーボンを燃焼除去するに際し、本発明のカーボン燃焼除去ランスを用いれば、コークス排出側に近い、装炭孔直下の炉壁に付着する局所カーボンを選択的に燃焼除去し、コークス押出し時の押止り、押詰り等のトラブルや、炉壁煉瓦の亀裂その他の損傷を防止することができる。
【0062】
したがって、このカーボン燃焼除去ランスは、炭化室炉壁に付着しているカーボンの燃焼除去に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】炉壁煉瓦の欠損部における付着カーボンの成長を模式的に示す図である。
【図2】コークス押出し時における外気の流入経路を模式的に示す図である。
【図3】本発明のカーボン燃焼除去ランスを用いて炭化室炉壁に付着しているカーボンを燃焼除去する際の状況を模式的に例示する図である。
【図4】本発明のカーボン燃焼除去ランスの構成例を示す概略図である。
【図5】横向き噴射ノズルを設けたランスを用いて炭化室に空気を吹込んだときのガス流れのシミュレーションによる解析結果(従来例)を示す図である。
【図6】底部にランス底面ノズルを形成させたランスを用いて炭化室に空気を吹込んだときのシミュレーションによる解析結果(比較例)を示す図である。
【図7】本発明のランスを用いて炭化室に空気を吹込んだときのシミュレーションによる解析結果を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1:コークス炉炭化室
2:ランス
3:局所カーボン
4a、4b、4c、4d:装炭孔
5:横向き噴射ノズル
6:空気噴き出し開口部
7:上昇管
8:空気分散板
9:空気流れの渦
10:カーボン焼却台車
11:ブロワー
12:ランス底面ノズル
13:局所カーボン
14:燃焼室
15:炭化室炉壁煉瓦
16:炉壁欠損部
17:押出機
18:コークス
19:軌道
20a、20b、20c:開口




 

 


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