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発明の名称 加工性に優れた鋼板およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9235(P2007−9235A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−187652(P2005−187652)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100103481
【弁理士】
【氏名又は名称】森 道雄
発明者 武藤 章史 / 菊地 祐久 / 花尾 方史
要約 課題
自動車用、家庭電気製品用などの加工性および成形性に優れた極低炭素鋼板、および極低炭素鋼の連続鋳造方法を提供する。

解決手段
(1)C:0.015%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.2%以下、S:0.020%以下、sol.Al:0.005〜1.0%、N:0.015%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなり、鋼板表面から厚み中心部方向に{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域における平均粒径1μm以上のアルミナ系介在物の個数が500個/mm2以下の冷延鋼板である。前記表面からの深さ領域での平均C含有率と残りの厚み部分の平均C含有率の比の値が1.3以下であることが望ましい。(2)上記成分組成を有する鋼を、CaO/SiO2が1.0以上で、Na2Oを2.0%以下含有するモールドフラックスを用いて鋳造する連続鋳造方法である。鋳片表層部を深さ1mm以上にわたって除去することが望ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
質量%で、C:0.015%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.2%以下、S:0.020%以下、sol.Al:0.005〜1.0%、N:0.015%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる成分組成を有し、鋼板表面から厚み中心部方向に{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域における平均粒径1μm以上のアルミナ系介在物の個数が500個/mm2以下であることを特徴とする冷延鋼板。
【請求項2】
Feの一部に代えて、下記A群〜C群の1つ以上の群から選ばれた1種以上の成分元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の冷延鋼板。
ここで、A群:質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびW:0.5%以下、
B群:質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下、
C群:質量%で、REM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下。
【請求項3】
鋼板表面から厚み中心部方向に{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域における平均C含有率であるC1(質量%)と残りの厚み部分の平均C含有率であるC0(質量%)との比である(C1/C0)の値が1.3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の冷延鋼板。
【請求項4】
質量%で、C:0.015%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.2%以下、S:0.020%以下、sol.Al:0.005〜1.0%、N:0.015%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる成分組成を有する鋼の連続鋳造方法であって、CaO含有率(質量%)とSiO2含有率(質量%)との比である塩基度(CaO/SiO2)が1.0以上であり、Na2Oを2.0質量%以下含有するモールドフラックスを用いて鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。
【請求項5】
Feの一部に代えて、質量%で、下記A群〜C群の1つ以上の群から選んだ1種以上の成分元素を含有する鋼を鋳造することを特徴とする請求項4に記載の連続鋳造方法。
ここで、A群:質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびW:0.5%以下、
B群:質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下、
C群:質量%で、REM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下。
【請求項6】
請求項4または5に記載の連続鋳造方法により鋳造された鋳片の少なくとも長辺面側の表層部を表面から鋳片厚み中心部方向に向かって1mm以上の深さにわたって除去することを特徴とする鋳片の手入れ方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工性および成形性に優れた極低炭素薄鋼板であって、自動車用や家電製品用などのプレス成形に供される鋼板として好適な薄鋼板、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車や家電製品など優れた加工性を求められる用途には、C含有率を0.015質量%以下とした極低炭素鋼が用いられることが多い。さらに、近年では、一層の加工性を追求するために、TiやNbなどの炭窒化物形成能の強い元素を添加し、フェライト中の固溶Cを無くした、IF(Interstitial Free)型極低炭素鋼が広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、極低炭素鋼のスラブを、熱間圧延、冷間圧延、および連続焼鈍により鋼板製品とする際に、再結晶焼鈍の均熱加熱後の冷却過程で、鋼成分組成および焼鈍後の鋼板の降伏点により定まる温度範囲を20℃/s以下の冷却速度で冷却する極低炭素冷延鋼板の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、脱炭処理後の溶鋼に、Alおよび/またはSiを添加して半脱酸溶鋼とし、含Ti物質を添加してさらに脱酸し、Al、SiおよびTi含有量が所定量以下の溶鋼とするとともに、溶鋼中の介在物の主成分をTiとAlとの複合酸化物、TiとSiとの複合酸化物とした溶鋼を溶製し、次いで連続鋳造し、その後、熱間圧延および冷間圧延を経た後、得られた冷延鋼板を700℃〜Ac3点の温度域で連続焼鈍する極低炭素冷延鋼板の製造方法が開示されている。
【0004】
また、成分組成や製造方法を改良することにより、加工性をさらに改善する試みがなされてきた。例えば、特許文献3には、C、Si、Mn、P、S、Al、N、Tiおよび/またはNbを所定範囲で含む極低炭素鋼板であって、JIS G0555に基づく、60視野における非金属介在物の観察総数が20個以下である極低炭素鋼板が開示されており、鋼中の非金属介在物を低減することによって優れた加工性が得られたとされている。
【0005】
一方、転炉や真空処理容器で精錬された溶鋼中には、多量の溶存酸素が含まれており、この過剰酸素は、酸素との親和力が強い強脱酸元素であるAlにより脱酸されるのが一般的である。しかしながら、Alは脱酸によりアルミナ系介在物を生成する。特に、炭素濃度が低く、精錬後の溶存酸素濃度が高い極低炭素溶鋼では、アルミナ系介在物の量が非常に多く、それらが凝集して粗大なアルミナ系介在物を形成する。そのため、極低炭素鋼板において過度のプレス加工を行った場合には、このアルミナ系介在物を起点にしてプレス割れが発生することが多く、アルミナ系介在物の低減対策は大きな課題となっている。
【0006】
これに対して、従来、下記の方法が開示され、実施されてきた。特許文献4に開示された方法は、CaO、Al23、MgOを主成分とした保温剤をタンディッシュに添加し、その組成でタンディッシュ内に溶融したスラグを生成させ、さらに溶融スラグ中のSiO2量を7%以下とすることにより、アルミナ系介在物を有効に吸着させる清浄鋼の製造方法である。また、特許文献5に開示された方法は、アルミキルド鋼の連続鋳造において、CaOを主成分とするフラックスをほぼ連続的にタンディッシュ内の溶鋼部内に添加し、溶鋼中に存在するアルミナと前記CaOとを結合させて低融点組成の介在物に形態制御し、アルミナの耐火物への付着を防止するとともに、溶鋼からの浮上を促進させる溶鋼の清浄化方法である。
【0007】
一方、アルミナ系介在物を除去するのではなく、生成させない方法も提案されている。例えば、特許文献6には、製鋼炉で精錬した溶鋼を容器に収容し、溶鋼に必要な成分調整を行うとともに、マグネシウムを供給して脱酸し、アルミニウム脱酸することなしに鋳造する薄鋼板の溶製方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、上述したアルミナ系介在物を除去する方法では、極低炭素溶鋼中に多量に生成したアルミナ系介在物をプレス割れが防止されるレベルまで低減することが非常に難しい。また、アルミナ系介在物を全く生成しないMg脱酸では、Mgの蒸気圧が高く、溶鋼へのMgの歩留まりが非常に低いため、極低炭素鋼のように溶存酸素濃度が高い溶鋼をMgだけで脱酸するには多量のMgを必要とし、製造コストが上昇することから実用的なプロセスとは言い難い。
【0009】
ところで、アルミナ系介在物は、連続鋳造中、鋳型内の凝固シェル先端の爪部に捕捉されることが知られており、このメニスカス爪部の倒れ込みを防ぐことによりアルミナ系介在物を減少させることは可能である。特許文献7には、モールドパウダーとして塩基度が0.85以上、1300℃における粘度が3〜15poise、凝固温度が1000℃以上であるものを用いることにより、凝固シェルの爪深さを低減させる方法が開示されている。しかし、この方法を用いても、アルミナ系介在物を完全に除去することは難しい。
【0010】
また、保温性を向上する目的でモールドフラックスにCを添加する方法が採用されている。例えば、特許文献8には、CaO/SiO2が所定範囲であって、Al23、アルカリおよびアルカリ土類金属のフッ化物およびC:3〜30重量%を主成分とし、柱状体であって、硬度、嵩比重を規定した鋳造用顆粒状整層溶解フラックスが開示されており、さらに、特許文献9には、CaO、Al23、MgO、C:0.5〜2.0%、Na2OおよびCaF2を含有し、且つSiO2含有量を上限値以下に規制したタンディッシュもしくは鋳型内の湯面被覆用パウダが開示されている。
【0011】
しかしながら、特許文献8や特許文献9に開示されたモールドフラックス中のCは、鋳造中に、スラブ内部へと拡散し、スラブ表面のC濃度を増加させる。このスラブ表面のCの濃化は、製品となった冷延鋼板にも残存し、鋼板表面を硬化させる。その結果、鋼板のプレス加工性を劣化させる。
【0012】
この対策として、C含有量を低減したモールドフラックスが提案されている。特許文献10には、炭素含有量が0.01%以下の極低炭素鋼を連続鋳造する際に用いるモールドパウダであって、遊離炭素含有量が2.0%以下で且つCaO/SiO2が1.20以上とすることによりCピックアップを3ppm程度に抑制するパウダが開示されている。しかし、このようなモールドパウダを用いても、鋳型内の湯面の変動状況次第では未溶融のモールドフラックスが溶鋼と接触する機会が増大し、その効果が安定しない場合がある。
【0013】
【特許文献1】特開平9−227955号公報(特許請求の範囲および段落[0015]〜[0018])
【特許文献2】特開平9−192804号公報(特許請求の範囲および段落[0008])
【特許文献3】特開2002−220636(特許請求の範囲および段落[0017]〜[0024])
【特許文献4】特開平5−104219号公報(特許請求の範囲および段落[0010])
【特許文献5】特開昭63−149057号公報(特許請求の範囲および2頁左上欄18行〜右上欄6行)
【特許文献6】特開平5−302112号公報(特許請求の範囲および段落[0004])
【特許文献7】特開平10−263767号公報(特許請求の範囲および段落[0009])
【特許文献8】特公昭55−1872号公報(特許請求の範囲および第4欄15〜23行)
【特許文献9】特公昭63−56019号公報(特許請求の範囲および第4欄11〜15行)
【特許文献10】特開平11−197804号公報(特許請求の範囲および段落[0006])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記のとおり、従来の極低炭素鋼の製造技術には下記の問題が残されている。
【0015】
すなわち、(a)溶存酸素濃度のAlによる脱酸で生成する多量のアルミナ系介在物はプレス割れの起点となるので、アルミナ系介在物を低減する必要がある。(b)介在物吸着用フラックスなどを用いても、アルミナ系介在物を充分に低減することは難しく、また、Mgによる脱酸では、溶鋼中へのMgの歩留まりが低いことから、多量のMgを必要とする。(c)凝固シェルの爪深さを低減させる方法を用いても、アルミナ系介在物の完全除去はできない。(d)Cを添加したモールドフラックスを使用することにより保温性を向上させる方法では、スラブ表面のC含有率が上昇し、プレス成形性を劣化させる。(e)モールドフラックス中のC含有率を制限してCピックアップ量を抑制する方法を用いても、安定した抑制効果は得られにくい。
【0016】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、自動車用や家庭電気製品用などの加工性および成形性に優れた極低炭素鋼板、および極低炭素鋼板を製造するための極低炭素鋼の連続鋳造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、加工性および成形性に優れた極低炭素鋼板を製造するための鋳造方法の研究開発を進め、下記の(a)〜(d)の知見を得て、本発明を完成させた。
【0018】
(a)優れた加工性を有する極低炭素鋼板を得るには、鋼板表面から厚み中心部方向に{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域における平均粒径1μm以上のアルミナ系介在物の個数を500個/mm2以下とする必要がある。
【0019】
(b)さらに極低炭素鋼板の加工性を向上させるためには、上記(a)の深さ領域における平均C含有率(C1)と、残りの厚み部分の平均C含有率(C0)との比、(C1/C0)の値を1.3以下とすることが望ましい。
【0020】
(c)上記(a)および(b)の極低炭素鋼を鋳造するに際しては、塩基度(CaO/SiO2)が1.0以上で、Na2Oを2.0質量%以下含有するモールドフラックスを用いることが、緩冷却効果、清浄化効果および保温効果のいずれの効果をも確保する上で、望ましい。
【0021】
(d)極低炭素鋼鋳片の少なくとも長辺面側の表層部を表面から鋳片厚み中心部方向に向かって1mm以上の深さにわたって除去することにより、Cピックアップ部を確実に除去することができる。
【0022】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示される冷延鋼板、(4)および(5)に示される冷延鋼板製造用の極低炭素鋼の連続鋳造方法ならびに(6)に示される連続鋳造鋳片の手入れ方法にある。
【0023】
(1)質量%で、C:0.015%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.2%以下、S:0.020%以下、sol.Al:0.005〜1.0%、N:0.015%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる成分組成を有し、鋼板表面から厚み中心部方向に{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域における平均粒径1μm以上のアルミナ系介在物の個数が500個/mm2以下であることを特徴とする冷延鋼板。
【0024】
(2)Feの一部に代えて、下記A群〜C群の1つ以上の群から選んだ1種以上の成分元素を含有することを特徴とする前記(1)に記載の冷延鋼板。
ここで、A群:質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびW:0.5%以下、
B群:質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下、
C群:質量%で、REM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下。
【0025】
(3)鋼板表面から厚み中心部方向に{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域における平均C含有率であるC1(質量%)と残りの厚み部分の平均C含有率であるC0(質量%)との比である(C1/C0)の値が1.3以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の冷延鋼板。
【0026】
(4)質量%で、C:0.015%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.2%以下、S:0.020%以下、sol.Al:0.005〜1.0%、N:0.015%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる成分組成を有する鋼の連続鋳造方法であって、CaO含有率(質量%)とSiO2含有率(質量%)との比である塩基度(CaO/SiO2)が1.0以上であり、Na2Oを2.0質量%以下含有するモールドフラックスを用いて鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。
【0027】
(5)Feの一部に代えて、質量%で、下記A群〜C群の1つ以上の群から選んだ1種以上の成分元素を含有する鋼を鋳造することを特徴とする前記(4)に記載の連続鋳造方法。
ここで、A群:質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびW:0.5%以下、
B群:質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下、
C群:質量%で、REM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下。
【0028】
(6)前記(4)または(5)に記載の連続鋳造方法により鋳造された鋳片の少なくとも長辺面側の表層部を表面から鋳片厚み中心部方向に向かって1mm以上の深さにわたって除去することを特徴とする鋳片の手入れ方法。
【0029】
本発明において、「介在物の平均粒径」とは、介在物の断面形状を円形に近似した場合の介在物粒子の相当直径を意味し、詳細については後述するとおりである。
【0030】
「Al系介在物」とは、Alと酸素を含む溶鋼中において生成した析出物または晶出物を意味し、例えば、Ca、Si、Sなどを含有するものも含む。
【0031】
また、「表層部を除去する」とは、表層部を、溶削、研削、または熱延加熱炉の条件下でスケールオフさせることにより、除去することを意味する。
【0032】
なお、以下の説明において、「%」の表記は、「質量%」を意味する。
【発明の効果】
【0033】
本発明の冷延鋼板は、鋼板表層部における平均粒径1μm以下のアルミナ系介在物が少なく、加工性および成形性に優れた極低炭素冷延鋼板であって、自動車用、家庭電気製品用などの用途向け冷延鋼板に好適である。また、本発明の極低炭素鋼の連続鋳造方法によれば、塩基度およびNa2O含有率が適正化されたモールドフラックスを用いるので、鋼の緩冷却効果、清浄化効果および保温効果のいずれの効果をも確保することができ、上記の極低炭素冷延鋼板製造用の鋳片を製造するための連続鋳造方法として好適である。したがって、本発明の連続鋳造方法および得られ鋳片を素材とする冷延鋼板は、高度の加工性および成形性を要求される鋼板製品製造分野への高品質素材供給方法として、また、高品質素材として大きく貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の冷延鋼板は、前記のとおり、鋼板表面から厚み中心部方向に{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さの領域における平均粒径1μm以上のアルミナ系介在物の個数が500個/mm2以下であることを特徴とする極低炭素冷延鋼板である。また、本発明の連続鋳造方法は、塩基度(CaO/SiO2)が1.0以上で、Na2Oを2.0%以下含有するモールドフラックスを用いて鋳造することを特徴とする上記の極低炭素鋼を鋳造するための連続鋳造方法である。
【0035】
以下に、本発明の範囲を前記のとおり、規定した理由および望ましい範囲について、さらに詳しく説明する。
【0036】
(1)鋼板の化学成分組成
1)C:0.015%以下
C含有率の上昇は、鋼板の加工性を著しく劣化させるので、その含有率は低くする必要があり、0.015%以下とする。C含有率の下限については特に規定しないが、含有率を低下させるためにはさらに一層の脱炭を必要とし、過度の脱炭は製鋼コストを上昇させるので、0.0003%以上の範囲とするのが望ましい。なお、さらに一段と優れた加工性を確保するためには、C含有率を0.01%以下とすることが望ましく、0.005%以下とすれば、さらに望ましい。
【0037】
2)Si:2.0%以下
Siは、固溶強化により、鋼の強度を上昇させる作用を有する元素である。しかしながら、Siが2.0%を超えて含有されると、鋼を脆化させ、低温靭性や耐二次加工脆性を悪化させることから、その含有率を2.0%以下とした。Si含有率の下限は特に規定しないが、Si含有率低減のための製鋼コスト増加と材質の改善度合いとの兼ね合いから、その含有率は0.001%以上とするのが望ましい。
【0038】
3)Mn:2.0%以下
Mnは、固溶強化により鋼の強度を上昇させる作用を有する元素であるが、加工性を低下させる。したがって、加工性の向上を重視する本発明では、Mnを多量に含有させる必要はない。Mnが2.0%を超えて多く含有されると、加工性は劣化する傾向となる。このため、Mn含有率は2.0%以下に限定した。加工性をさらに要求される場合には、Mn含有率を1.0%以下とすることが望ましい。Mn含有率の下限は特に規定しないが、Mn含有率低減のためのコスト増加と材質の改善度合いとの兼ね合いから、その含有率は0.01%以上とするのが望ましい。
【0039】
4)P:0.2%以下
Pは、固溶強化により、鋼の強度を上昇させる作用を有する元素である。しかしながら0.2%を超える含有は、鋼を脆化させ、低温靭性や耐二次加工脆性を悪化させる。そのため、P含有率は0.02%以下とした。なお、P含有率低減のための製鋼コストの上昇と鋼材質の改善度合いとの兼ね合いから、P含有率は0.002%以上とするのが望ましい。
【0040】
5)S:0.020%以下
Sは、鋼板の加工性を低下させる硫化物を生成するため、可能な限りその含有率を低減する必要のある不純物元素である。本発明においては、S含有率の低減による加工性の向上度合いと製鋼コストとのバランスを考慮して、その含有率の上限を0.020%とした。望ましくは、0.010%以下である。S含有率の下限は、S含有率の低減のための製鋼コストの上昇と鋼材質の改善度合いとの兼ね合いから、0.0003%とすることが望ましい。
【0041】
6)sol.Al:0.005〜1.0%
Alは、鋼の脱酸作用を有する有用な元素である。その効果を得るには、sol.Al(酸可溶Al)で少なくとも0.005%の含有が必要である。一方、その含有率が1.0%を超えて高くなると、粗大なアルミナ系介在物が増加して、鋼板の加工性が著しく低下する。このため、sol.Al含有率の適正範囲を0.005〜1.0%とした。なお、より一層加工性を向上させたい場合には、sol.Al含有率を0.1%以下とすることが望ましい。
【0042】
7)N:0.015%以下
Nは、鋼の加工性および靭性を著しく劣化させる作用を有するため、可能な限り低減するのが望ましい。N含有率が0.015%以下であれば、上記の影響を事実上無害化できることから、含有率の上限を0.015%とした。N含有率の低減のための製鋼コストの増加と鋼材質の改善度合いとの兼ね合いから、N含有率は0.0010%以上とするのが望ましい。
【0043】
8)鋼がさらに、下記A群〜C群の1つ以上から選んだ1種以上の成分元素を含有
A群〜C群に示される成分元素は、含有させてもさせなくてもよいが、含有させた場合には、下記の作用効果を得ることができる。
【0044】
a)A群:Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびW:0.5%以下
Ti、Nb、VおよびWは、いずれも析出強化により、強度を上昇させる作用を有する元素である。2種以上を含有させても、それぞれの作用は失われない。しかしながら、Tiについては0.2%を超えて、Nbについては0.1%を超えて、Vについては0.5%を超えて、そして、Wについては0.5%を超えて多く含有させても、それらの効果は飽和し、製鋼コストが上昇するばかりである。そのため、含有させる場合は、Tiについては0.2%以下、Nbについては0.1%以下、Vについては0.5%以下、そして、Wについては0.5%以下とした。
【0045】
なお、上記の各成分元素を含有させる場合には、その効果を確実に得る観点から、各元素ともに0.005%以上を含有させることが望ましい。
【0046】
b)B群:Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下
Cr、Mo、Cu、NiおよびBは、固溶強化により、鋼の強度を上昇させる作用を有する元素である。2種以上を含有させても、それぞれの作用は失われない。しかしながら、Cr、Mo、CuおよびNiについては各1.0%を超えて、また、Bについては0.01%を超えて多く含有させても、それらの効果は飽和し、製鋼コストが増加するばかりである。そのため、含有させる場合は、Cr、Mo、CuおよびNiについては、いずれも1.0%以下とし、Bについては0.01%以下とした。
【0047】
なお、上記の各成分元素を含有させる場合には、その効果を確実に得る観点から、Cr、Mo、CuおよびNiについては、いずれも0.01%以上を、また、Bについては0.0001%以上を含有させることが望ましい。
【0048】
c)C群:REM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下
REM、MgおよびCaは、硫化物、酸化物などの介在物を球状化して無害化する作用を有する元素である。2種以上を含有させても、それぞれの作用は失われない。しかし、REMについては0.1%を超えて、また、MgおよびCaについてはそれぞれ0.01%を超えて多く含有させても、それらの効果は飽和し、製鋼コストが嵩むだけである。そのため、含有させる場合は、REMについては0.1%以下、また、MgおよびCaについてはいずれも0.01%以下とした。
【0049】
なお、上記の各成分元素を含有させる場合は、その作用を有効に発揮させるため、REMについては0.005%以上、MgおよびCaについては各0.0005%以上を含有させるのが望ましい。
【0050】
ここで、REMとは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、ランタノイドを用いる場合は、工業的にはミッシュメタルの形で添加する。なお、本発明では、REMの含有率は、これらの成分元素の合計含有率を意味する。
【0051】
(2)鋼板中の介在物の平均粒径および個数
本発明において、Al系介在物とは、前記のとおり、Alと酸素を含む溶鋼中で生成した析出物または晶出物を意味する。Al以外の他の成分元素、例えば、Ca、Si、Sなどを含んでいてもよい。
【0052】
優れた加工性を得るには、鋼板表面から{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域における平均粒径1μm以上のアルミナ系介在物の個数が500個/mm2以下とすることが必要である。
【0053】
平均粒径が1μm未満のAl系介在物は、それ自体微細なため、加工性に悪影響を及ぼさないが、平均粒径が1μm以上のAl系介在物は、加工性に悪影響を及ぼす。したがって、平均粒径1μm以上のAl系介在物の個数が重要となる。そのAl系介在物の個数が、鋼板表面から{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域の鋼板断面において500個/mm2を超えると、鋼板の加工性が劣化する。
【0054】
鋼板表面から{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さの領域に存在する介在物の個数が重要な理由は、下記のとおりである。
【0055】
すなわち、一般に、プレス成形は、曲げ加工や、深絞り成形などの複合加工であることから、鋼板表面から亀裂が発生し易い。そのため、鋼板表面近傍の、鋼板表面から{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域の鋼板断面に存在する介在物の個数が重要な意味を持つ。上記の領域において、平均粒径が1μm以上のAl系介在物の個数が500個/mm2を超えると、プレス加工の初期に亀裂が発生する。それは、母材であるFeとアルミナ系介在物の硬度差が大きいことから、歪みが与えられた場合に、Feとアルミナ系介在物の界面において大きな応力集中が発生し、さらに、このような介在物の個数が500個/mm2を超えると、上記の界面から発生した微小亀裂が早期に連結して、亀裂に発展するからである。
【0056】
したがって、鋼板表面から{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域の鋼板断面に存在する平均粒径1μm以上のAl系介在物の個数を500個/mm2以下とする必要がある。
【0057】
なお、鋼板の検査断面としては、鋼板の圧延方向に平行なL方向断面を採用することが一般的であることから、本発明においてもL方向断面における介在物を観察調査した。
【0058】
(3)鋼板表層部における成分の濃化
さらに、加工性を向上させるには、鋼板表面から{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域における平均C含有率であるC1(質量%)と残りの厚み部分の平均C含有率であるC0(質量%)との比、(C1/C0)の値が1.3以下であることが望ましい。
【0059】
C元素は、鋼板表層近傍に濃化し、その表層部におけるCの濃化により加工性が劣化する。Cは、フェライトを固溶強化させるばかりではなく、固溶Cによって歪み時効が発生することから、プレス成形時に、さらに強度が増加し、加工性が低下する。鋼板表面から{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの深さ領域における平均C含有率(C1)が、{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)から鋼板中心部までの領域における平均C含有率(C0)の1.3倍を超えると、その悪影響が顕著となり、加工性が劣化する。したがって、比(C1/C0)の値は1.3以下であることが望ましい。
【0060】
(4)金属組織
本発明の冷延鋼板は、C含有率が0.015%以下であるため、金属組織の主たる相は、フェライトである。フェライトの面積率は90%以上であるため、加工性能の殆ど全てをフェライトが受け持つこととなる。第2相は特に規定しないが、セメンタイト、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイトなどである。フェライト粒径は特に規定しないが、フェライト平均粒径が2.0μm未満であると、降伏点が上昇し、加工性が劣化するため、フェライトの平均粒径は2.0μm以上であることが望ましい。なお、フェライトの平均粒径の上限は、冷延鋼板の実用上製造可能な条件から、1000μm程度である。
【0061】
(5)モールドフラックスの成分組成
極低炭素鋼用のモールドフラックスには、粘度、凝固温度などの調整を目的として、通常、Na2Oが添加される。また、鋼中の介在物を球状化し、鋳片および鋼板における疵の発生を防止して良好な品質を確保するためには、塩基度(CaO/SiO2)を1.0以上とすることが望ましい。
【0062】
ここで、鋼の緩冷却効果および鋼の清浄化効果を得るために塩基度(CaO/SiO2)を上昇させると、Na2Oが還元されやすくなる。Na2Oが還元されると、鋳型内における溶鋼中のAlが酸化され、溶鋼表面が汚染される。また、Al23の生成により溶鋼の界面張力が低下することから、鋼中に溶融モールドフラックスが巻き込まれやすくなり、鋼の清浄度を低下させる。さらに、Na2O含有率が2.0%を超えて高い場合には、還元されたNaが雰囲気中のO2やCO2などにより再酸化される際の反応熱(発熱反応)により溶融層が過大になり、溶鋼の保温性が悪化する。
【0063】
したがって、緩冷却効果、清浄化効果および保温効果のいずれの効果をも享受するためには、塩基度(CaO/SiO2)を1.0以上とし、且つ、Na2O含有率を2.0%以下とすることが望ましい。
【0064】
(6)鋳片の手入れ
極低炭素鋼鋳片の表層部には、モールドフラックス未溶融部と溶鋼が接触することによって形成するCピックアップ部が存在する。Cピックアップ部は、鋳片表面から深さ1mm程度以内の表層部に形成されることから、鋳片表層部をその表面から鋳片厚み中心部方向に向かって深さ1mm以上にわたって溶削、研削あるいは熱延加熱炉条件によりスケールオフすれば、安定してCピックアップ部が除去されるので望ましい。
【0065】
(7)熱間圧延
熱間圧延工程における仕上げ圧延は、通常の方法に従って行う。このとき、仕上げ圧延温度はAr3点以上の温度とするのが望ましい。また、仕上げ圧延温度の上限は、980℃程度とすることが望ましい。仕上げ圧延温度が980℃程度以上になると、鋼板表面におけるスケールの生成が顕著となり、スケール疵が発生する。冷却条件の規定は特に設けないが、巻取り温度については、スケール疵の発生を防止する観点から、750℃以下とするのが望ましい。
【0066】
(8)酸洗、冷間圧延および焼鈍
熱延後の酸洗については、通常の方法で行えばよい。
【0067】
冷間圧延も、通常の圧延方法で実施すればよい。冷間圧延は、圧下率30〜90%の範囲で行うのが望ましい。圧下率を高めにすると、焼鈍時におけるオーステナイトへの変態が促進されるので、均熱処理の好適温度範囲を拡大する効果が得られる。
【0068】
冷間圧延工後の焼鈍も通常の焼鈍方法でかまわない。焼鈍は、Ac1点以上の温度で行うことが望ましい。Ac1点未満の温度で行った場合には、加工フェライトが残存し、加工性が劣化するからである。
【実施例】
【0069】
本発明の効果を確認するため、下記のとおりの連続鋳造試験を行うとともに、さらに冷延鋼板の製造試験を行って鋼板の特性を調査し、その結果を評価した。
【0070】
(1)鋳造および圧延方法
表1に示す成分組成を有する溶鋼を、垂直曲げ型連続鋳造機により連続鋳造して、厚さ270mm、幅1600mmのスラブとし、これを以下に述べる圧延用素材とした。
【0071】
【表1】


【0072】
上記の鋳造に際しては、表2に示す主成分組成を有するモールドフラックスを用い、鋳造速度は1.8m/minで一定とし、溶鋼温度は1557〜1567℃とした。
【0073】
【表2】


【0074】
さらに、鋳造時における使用モールドフラックスおよびスラブの調整条件(手入れの有無)を表3に示した。
【0075】
【表3】


【0076】
表1〜表3に示す条件により製造されたスラブを用いて、連続熱間圧延試験装置により、加熱温度1100〜1250℃、仕上げ圧延温度900〜950℃、巻き取り温度450〜650℃の範囲で熱間圧延し、板厚3mmの熱延鋼板を製造した。その後、酸洗を実施し、得られた熱延酸洗板を冷間圧延率75%で冷間圧延し、板厚0.8mmの冷延鋼板とした。
【0077】
上記の冷延鋼板を連続焼鈍試験装置により焼鈍した。なお、再結晶焼鈍の均熱温度は 820℃とし、その後、3℃/s以上の冷却速度で420℃まで冷却した。
【0078】
このようにして得られた冷延鋼板から各種試験片を採取し、Al系介在物の粒径および個数調査、鋼板断面におけるC含有率分布の測定、引張試験ならびに深絞り性試験の各試験を実施した。
【0079】
(2)特性調査および評価方法
1)介在物調査
鋼板表面から{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの鋼板表層部における鋼板のL方向断面について、走査型電子顕微鏡を用いて、Al系介在物の平均粒径およびその個数を調査した。ここで、電子顕微鏡の加速電圧は15KVとし、電子ビーム径を50nm相当として3000倍の倍率にて測定した。また、介在物の平均粒径は、粒の断面積を画像処理法により測定し、それを円形近似してその相当直径を算出する方法により求めた。
【0080】
このようにして求められた平均粒径1μm以上のAl系介在物の個数を画像処理にてカウントし、断面1mm2あたりの個数を算出した。なお、Al系介在物であることの同定は、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて行った。
【0081】
2)鋼板断面のC含有率分布
鋼板断面のC含有率の分布は、鋼板表面から板厚中心部までをEPMAにてC含有率の線分析を行うことにより求めた。なお、加速電圧は15KVとし、電子ビーム径は50nm相当として3000倍の倍率で測定した。
【0082】
鋼板表面から{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)までの鋼板表層部における平均C含有率(C1)と、{(鋼板板厚(mm)/連続鋳造鋳片厚み(mm))×5}(mm)から鋼板中心部までの平均C含有率(C0)を算出し、その比(C1/C0)の値を算出した。
【0083】
3)引張試験
各鋼板の圧延方向に平行なL方向からJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241に規定する方法に準じて、クロスヘッド速度10mm/minの条件で引張り試験を行って、降伏点(YP)、引張強さ(TS)および伸び(El)を測定した。
【0084】
なお、鋼板の性能評価については、伸びが40%以上の場合を良好とし、それ未満の場合を不良とした。
【0085】
4)深絞り性試験
各鋼板から絞り比を変えるため、直径を変化させた円板状の試験片を採取し、それぞれの試験片を深絞り成形により最終外径50mmの円筒に成形した。絞り比を変化させた円筒の割れの有無を調査し、深絞り性を評価した。ここで、絞り比とは、円板状試験片の元の直径を加工後の円筒の直径で除した比の値をいう。絞り比が高いほど深絞り性は良好であることを意味する。
【0086】
なお、絞り比が2.0以上の場合を良好とし、それ未満の場合を不良とした。
【0087】
(3)試験結果
上記の特性調査により得られた、鋼板中の平均粒径1μm以上のAl系介在物の個数、鋼板表層部における平均C含有率と表層部以外の鋼板中心部までの領域での平均C含有率との比(C1/C0)、鋼板の降伏点(YP)、引張強さ(TS)、伸び(El)および絞り比の各値を表4に示した。
【0088】
【表4】


【0089】
試験番号1〜11は、鋼成分組成が本発明で規定する範囲を満足する鋼番号A〜Kを用いて製造され、且つ、鋼板表層部における平均粒径1μm以上のAl系介在物の個数も本発明で規定する500個/mm2以下なる条件を満足する本発明例の冷延鋼板についての試験である。また、試験番号12〜22は、鋼板表層部における平均粒径1μm以上のAl系介在物の個数が本発明で規定する範囲を満たさない比較例の冷延鋼板についての試験である。
【0090】
本発明例である試験番号1〜11の試験では、鋼板の伸びは40%以上であり、絞り比も2.0以上であって、鋼板の加工性および成形性ともに良好な結果が得られた。前記のA群〜C群の1つ以上の群から選んだ1種以上の成分元素を含有する鋼番号B〜Kを用いて製造された冷延鋼板についての試験番号2〜11では、それぞれ、介在物個数の低減、高い引張強さのもとでの伸びおよび絞り比の向上が見られた。また、鋳片の表層部を深さ1mm以上にわたって除去した試験番号1〜4、6、7、9および11では、表層部を除去しなかった試験番号5、8および10に比較して、C含有率の比(C1/C0)の値を低減することができた。
【0091】
これらに対して、Al系介在物個数が500個/mm2を超えて多い比較例である試験番号12〜22の試験では、いずれも、鋼板の伸びが40%未満と低く、且つ、絞り比も2.0未満であって、加工性および成形性の劣る結果であった。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の冷延鋼板は、鋼板表層部における平均粒径1μm以下のアルミナ系介在物が少なく、加工性および成形性に優れた極低炭素冷延鋼板であって、自動車用、家庭電気製品用などの用途向け冷延鋼板に好適である。また、本発明の極低炭素鋼の連続鋳造方法によれば、塩基度およびNa2O含有率が適正化されたモールドフラックスを用いるので、鋼の緩冷却効果、清浄化効果および保温効果のいずれの効果をも確保することができ、上記の極低炭素冷延鋼板製造用の鋳片を製造するための連続鋳造方法として好適である。したがって、本発明の連続鋳造方法および得られ鋳片を素材とする冷延鋼板は、高品質素材を安価に供給できる鋳造方法として、また、安価な高品質冷延鋼板として、高度の加工性および成形性を要求される鋼板製品製造分野に大きく寄与できる。




 

 


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