米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 化学;冶金 -> 株式会社日本触媒

発明の名称 グリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−210961(P2007−210961A)
公開日 平成19年8月23日(2007.8.23)
出願番号 特願2006−33761(P2006−33761)
出願日 平成18年2月10日(2006.2.10)
代理人 【識別番号】100086586
【弁理士】
【氏名又は名称】安富 康男
発明者 高瀬 代代人 / 万木 啓嗣
要約 課題
グリセンカルボン酸ジエステルの選択率を高め、収率を向上させ、安全に行うことができるグリセンカルボン酸ジエステルの製造方法を提供する。

解決手段
グリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法であって、上記製造方法は、下記一般式(1);
特許請求の範囲
【請求項1】
グリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法であって、
該製造方法は、
下記一般式(1);
【化1】


(式中、Rは、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは、ハロゲン元素を表す。)で表される化合物と、下記一般式(2);
【化2】


(式中、Rは、炭素数1〜20の有機基を表す。Yは、アルカリ金属元素、又は、アルカリ土類金属元素を表す。)で表される化合物とを反応させて下記一般式(3);
【化3】


(式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜20の有機基を表す。)
で表されるグリセリンカルボン酸ジエステルを製造する工程を含むことを特徴とするグリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法。
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物は、オキシラン系化合物とカルボン酸系化合物と反応させて製造することを特徴とする請求項1記載のグリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法。
【請求項3】
前記R及びRのうち少なくとも一つは、不飽和結合を有する有機基であることを特徴とする請求項1又は2記載のグリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法に関する。より詳しくは、ポリウレタンフォーム、光ファイバ被覆剤、平板印刷版原版、光化学的立体造形用組成物、接着剤皮膜形成剤等に好適に用いられるグリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリセリンジ(メタ)アクリレート等のグリセリンカルボン酸ジエステルは、分散性、耐久性等に優れることが知られており、例えば、光ファイバ被覆剤、平板印刷版原版、光学的立体造形用組成物、接着剤皮膜形成剤等に広く用いられている。しかしながら、このようなグリセリンカルボン酸ジエステルは、一般に、グリセリンを原料として製造される。例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレートを製造する場合、製造過程において、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、及び、グリセリントリ(メタ)アクリレート間の平衡反応が生じることから、グリセリンジ(メタ)アクリレートの選択率が低く、その上、生成したジ(メタ)アクリレートが自己重合することがあり、収率が低下することが知られている。
【0003】
従来のグリセリンジ(メタ)アクリレートの製造方法としては、グリセリンと(メタ)アクリル酸によるエステル化による方法が挙げられる(例えば、特許文献1及び2参照。)これは、下記化学反応式(1);
【0004】
【化1】


【0005】
に示すように、グリセリンと酸又は塩基触媒によりエステル化を行うものである。
また、グリセリンと(メタ)アクリル酸エステルによるエステル交換による製造方法が挙げられる(例えば、特許文献3参照。)。これは、下記化学反応式(2);
【0006】
【化2】


【0007】
に示すように、グリセリンとエステル交換触媒によりエステル交換を行うものである。
また、グリセリンと(メタ)アクリル酸ハライドによるエステル化による製造方法も開示されている(例えば、特許文献4参照。)。これは、下記化学反応式(3);
【0008】
【化3】


【0009】
に示すように、グリセリンと第三級アミン等の塩基触媒を用いてエステル化を行うものである。
これらの方法は、上述したように、グリセリンジ(メタ)アクリレートの選択率が低く、その上、生成したジ(メタ)アクリレートが自己重合する場合があることから、収率を向上させる点において、改善の余地があった。また、(メタ)アクリル酸ハライドについては、非常に反応性が高いため取り扱いに厳重な注意を要することから、簡易な製造方法とする点においても、改善の余地があった。
【0010】
一方、(メタ)アクリル酸グリシジルと(メタ)アクリル酸による開環付加による製造方法も開示されている(例えば、特許文献1及び5参照。)。これは、下記化学反応式(4);
【0011】
【化4】


【0012】
に示すように、(メタ)アクリル酸グリシジルと塩基触媒により開環付加させて、エステルを得るものである。この製造方法は、上記3つの方法と比較して、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートの生成がほとんどないため、グリセリンジ(メタ)アクリレートの選択率は高いものの、一般に、アクリル酸グリシジルは毒性が高い。そのため、工業上安全に製造することができ、かつ、グリセリンジ(メタ)アクリレートの収率を向上させる点において未だ改善の余地があった。
【特許文献1】特開2001−089200号公報(第3頁)
【特許文献2】特開2000−169541号公報(第4頁)
【特許文献3】特開昭56−36433号公報(第1頁)
【特許文献4】欧州特許第106351号明細書(第14頁)
【特許文献5】特開平6−199962号公報(第6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、グリセリンカルボン酸ジエステルの選択率を高め、収率を向上させ、かつ、安全に行うことができるグリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、グリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法について種々検討したところ、クロロメチルオキシラン等のオキシラン系化合物とカルボン酸系化合物との開環付加反応により製造することができる下記一般式(1);
【0015】
【化5】


【0016】
(式中、Rは、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは、ハロゲン元素を表す。)で表されるグリセリンカルボン酸ジエステルの中間体が、グリセリンカルボン酸ジエステルの製造において、収率を向上させる点において、有用であることに着目した。そして、この中間体に(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩を加えて求核置換反応を行い、グリセリンカルボン酸ジエステルを製造すると、モノ体、トリ体の生成を充分に抑制し、グリセリンカルボン酸ジエステルの選択率を高めることができることを見いだした。それとともに、グリセリンを原料として製造する従来の方法と比較してカルボン酸ジエステルの収率を向上させることができ、また、(メタ)アクリル酸グリシジルを原料として製造する従来の方法と比較して工業上安全に行うことができることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。
【0017】
すなわち本発明は、グリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法であって、上記製造方法は、上記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2);
【化6】


(式中、Rは、炭素数1〜20の有機基を表す。Yは、アルカリ金属元素、又は、アルカリ土類金属元素を表す。)で表される化合物とを反応させて下記一般式(3);
【化7】


(式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表されるグリセリンカルボン酸ジエステルを製造する工程を含むグリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0018】
本発明のグリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法において、上記工程は、触媒の存在下に上記一般式(1)で表される化合物と上記一般式(2)で表される化合物とを反応させることにより、上記一般式(3)で表されるグリセリンカルボン酸ジエステルを得る工程であるが、この工程は、上記一般式(1)で表される化合物と上記一般式(2)で表される化合物とを全量一括仕込みにより反応させることが好ましい。
なお、本明細書中において、アルカリ金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が好ましく、より好ましくはナトリウム、カリウムである。更に好ましくはカリウムである。また、アルカリ土類金属元素としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム等が好ましく、より好ましくはマグネシウム、カルシウム、バリウムである。更に好ましくはマグネシウムである。
【0019】
本明細書において、有機基としては、不飽和結合を有する有機基でも、不飽和結合を有さない有機基であってもよいが、不飽和結合を有する有機基であることが好ましい。すなわち、一般式(1)〜(3)及び(7)において、R及びRのうち少なくとも一つは、不飽和結合を有する有機基であることが好ましい。より好ましくは、R及びRの両方が、不飽和結合を有する有機基である。
上記不飽和結合を有する有機基としては、特に限定されず、具体的には、ビニル基、アリル基、α−メチルビニル基等の、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等に不飽和脂肪族が結合したスチレン基、アリルベンゼン基等の炭素数が1〜20の芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基;上記不飽和炭化水素基、上記芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基の水素原子のひとつ以上が、水酸基で置換された基;上記不飽和炭化水素基、上記芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基の水素のひとつ以上が、カルボキシル基で置換された基;上記不飽和炭化水素基、上記芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エーテル基で置換された基;上記不飽和炭化水素基、上記芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エステル基で置換された基であることが好ましい。すなわち、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数が1〜20の芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基、又は、これらの基の少なくともひとつ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、若しくは、エステル基で置換された基であることが好ましい。より好ましくは、ビニル基、又は、α−メチルビニル基である。
【0020】
上記不飽和結合を有さない基としては、特に限定されず、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数が1〜20の直鎖飽和アルキル基;イソプロピル基、センカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基等の炭素数が1〜20の分枝飽和アルキル基;シクロプロペニル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数が1〜20の環式飽和アルキル基;上記直鎖飽和アルキル基、分枝飽和アルキル基、環式飽和アルキル基の水素原子の一つ以上が水酸基で置換された基;上記直鎖飽和アルキル基、分枝飽和アルキル基、環式飽和アルキル基の水素原子の一つ以上がカルボキシル基で置換された基;上記直鎖飽和アルキル基、分枝飽和アルキル基、環式飽和アルキル基の水素原子の一つ以上がエーテル基で置換された基;上記直鎖飽和アルキル基、分枝飽和アルキル基、環式飽和アルキル基の水素原子の一つ以上がエステル基で置換された基であることが好ましい。すなわち、炭素数が1〜20の上記直鎖飽和アルキル基、分枝飽和アルキル基、環式飽和アルキル基、又は、これらの基の少なくとも一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、若しくは、エステル基で置換された基であることが好ましい。
【0021】
上記一般式(1)のRがビニル基であり、Xが塩素原子である場合は、下記化学式(4)となる。
【0022】
【化8】


【0023】
上記一般式(1)のRがα−メチルビニル基であり、Xが塩素原子である場合は、下記化学式(5)となる。
【0024】
【化9】


【0025】
上記一般式(1)は、上記化学式(4)又は(5)であることが好ましい。
【0026】
上記工程において、触媒としては、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、クラウンエーテル等の相間移動触媒、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジエチルヘキシルアミン等のアミン類等が好ましい。
上記第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラフェニルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。好ましくはテトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラフェニルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムブロマイドであり、より好ましくはテトラブチルアンモニウムクロライド、テトラフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムブロマイドである。
【0027】
上記第四級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリエチルホスホニウムクロライド、オクチルトリメチルホスホニウムクロライド、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリエチルホスホニウムブロマイド、オクチルトリメチルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。好ましくは、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドであり、より好ましくはテトラブチルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドである。
上記相間移動触媒は、1種又は2種以上を併用することができる。
【0028】
上記工程において、溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、N−メチルピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ベンゾニトリル等の非プロトン性極性溶媒が好ましい。より好ましくは、NMP、ブチロニトリル、MIBK、ベンゾニトリルである。
上記溶媒の割合としては、上記一般式(1)で表される化合物と上記一般式(2)で表される化合物の合計質量に対して50〜500%であることが好ましい。
【0029】
上記工程における重合禁止剤としては、公知のものを使用することができる。例えば、N−オキシラジカル系、芳香族アミン系、フェノール系、銅系等の重合禁止剤が挙げられる。
上記N−オキシラジカル系重合禁止剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等が挙げられる。好ましくは4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルである。
上記芳香族アミン系重合禁止剤としては、例えば、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等が挙げられる。好ましくはN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジンである。
上記フェノール系重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2,4−キシレノール等が挙げられる。好ましくはメトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールである。
上記銅系重合禁止剤としては、酸化第一銅、塩化第一銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独でもしくは二種以上を混合して用いることができる。
【0030】
上記工程における温度としては、0〜200℃、好ましくは60〜150℃である。0℃未満であると、反応時間が長くなるおそれがあり、200℃を超えると、グリセリンカルボン酸ジエステルの収率が低下するおそれがある。より好ましくは70〜130℃である。
上記工程における反応時間としては、3〜30時間であることが好ましい。
なお、上記工程は、後述するオキシラン系化合物とカルボン酸系化合物との反応工程の後に連続して行われることが好ましい。
【0031】
上記工程において、一般式(1)で表される化合物は、オキシラン系化合物とカルボン酸系化合物と反応させて製造するものであることが好ましい。
上記オキシラン系化合物としては、例えば、1−クロロ−2,3−エポキシプロパン等の下記一般式(6);
【0032】
【化10】


【0033】
(Xは、ハロゲン元素を表す。)に表されるハロメチルオキシラン等が挙げられる。
本明細書において、ハロゲン元素としては、特に限定されない。
上記カルボン酸系化合物としては、下記一般式(7);
【0034】
【化11】


【0035】
(式中、Rは、炭素数1〜20の有機基を表す。)に表されるアクリル酸、ギ酸、酢酸等の脂肪族カルボン酸や、安息香酸、3−フェニルプロパン酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。
【0036】
上記オキシラン化合物とカルボン酸系化合物との反応は、カルボン酸系化合物にオキシラン化合物、触媒、重合禁止剤にオキシラン化合物を滴下することにより、上記一般式(1)に表されるグリセリンカルボン酸ジエステルの中間体を得るものである。
上記反応において、カルボン酸系化合物/オキシラン化合物=0.5〜2.0であることが好ましい。0.5未満であると、オキシラン化合物が、残存することになり、後述するように、上記工程を連続して行う場合に、グリセリンカルボン酸ジエステルの収率を充分に向上させることができないおそれがあり、2.0を超えると、グリセリンカルボン酸ジエステルの中間体の収率が低下するおそれがある。より好ましくは、0.7〜1.5である。
【0037】
上記反応における触媒、重合禁止剤は、上記工程において用いたものと同様の触媒及び重合禁止剤が挙げられる。また、この反応は、上記工程の前に行うことが好ましく、その場合、上記工程において用いる触媒、重合禁止剤と同じものを用いることが好ましい。また、上記反応における溶媒及びその割合は、上記工程において用いた溶媒及びその割合であることが好ましい。
【0038】
上記オキシラン化合物とカルボン酸系化合物との反応温度は、30〜120℃であることが好ましい。30℃未満であると、反応時間が長くなるおそれがあり、120℃を超えると、上記中間体の収率が低下するおそれがある。より好ましくは、50〜100℃である。
上記滴下は、反応により発熱するため、反応温度が120℃を超えないように適宜調整することが好ましい。より好ましくは110℃以下であり、更に好ましくは100℃以下である。
上記オキシラン化合物とカルボン酸系化合物との反応時間は、滴下終了から3〜30時間であることが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明のグリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法は、上述の構成であるので、モノ体、トリ体の生成を充分に抑制し、グリセリンカルボン酸ジエステルの選択率を高め、収率を向上させ、工業上安全に行うことができるものである。また、本発明の製造方法により得られたグリセリンカルボン酸ジエステルは光ファイバ被覆剤等の各種用途に好適に用いることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0041】
各実施例において、グリセリンカルボン酸ジエステルの収率は、ガスクロマトグラフィー分析装置(島津製作所製GC−14A型ガスクロマトグラフ、カラム:ジーエルサイエンス製TC−WAX)を用いて分析した。なお、収率は、出発物質であるエピハロヒドリンまたはグリセリンを基準にして求められた理論生成量に対する実際の生成量の比率である。
実施例1
撹拌器、温度計、還流冷却管、空気吹込み口、滴下漏斗を備えたフラスコに、アクリル酸79.3g(1.1モル)、N−メチルピロリドン(NMP)180g、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)3.2g(0.01モル)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4H−TEMPO)0.093g、p−メトキシフェノール(MQ)0.093gを加えて、オイルバスにて反応温度60℃になるように撹拌し、乾燥空気を30ml/minの流量にてバブリングしながら、エピクロロヒドリン(ECH)92.5g(1モル)を、反応温度が60℃に保たれるように滴下した。滴下後60℃に保持したまま反応を進行させ、エピクロロヒドリンの転化率が95%を超えたところでアクリル酸カリウム126.6g(1.1モル)を加え、反応温度が110℃になるようにオイルバス温度を上昇した。反応温度が110℃に到達した後、撹拌しながら4時間反応を行った。反応後ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンジアクリレートの対ECH収率は75%であった。
【0042】
実施例2
実施例1の内容において、アクリル酸を酢酸66.0g(1.1モル)に変更して同様の操作を行った。反応後ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンアセテートアクリレートの対ECH収率は80%であった。
【0043】
比較例1
撹拌器、温度計、還流冷却管、空気吹込み口、ディーンスタークを備えたフラスコに、グリセリン92.1g(1モル)、アクリル酸288.2g(4モル)、ベンゼン200g、硫酸0.98g(0.01モル)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.18gを加えて、オイルバスにて反応温度が80℃になるよう加熱、撹拌し、乾燥空気を30ml/minの流量にてバブリングしながら6時間反応を行った。反応中、ディーンスタークにトラップされた共沸水は適宜抜出した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンジアクリレートの対グリセリン収率は27%であった。
【0044】
比較例2
撹拌器、温度計、還流冷却管、滴下漏斗、空気吹込み口、ディーンスタークを備えたフラスコに、グリセリン92.1g(1モル)、アクリル酸ブチル512.7g(4モル)、ジブチル錫オキシド2.49g(0.01モル)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.29gを加えて、オイルバスにて反応温度が130℃になるよう加熱、撹拌し、乾燥空気を30ml/minの流量にてバブリングしながら15時間反応を行った。反応中、ディーンスタークにトラップされた留出液は適宜抜出し、同体積のアクリル酸ブチルを滴下した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンジアクリレートの対グリセリン収率は47%であった。
【0045】
比較例3
比較例1と同様の実験装置において、グリセリン−1−アセテート134.1g(1モル)、アクリル酸144.2g(2モル)、シクロヘキサン235g、硫酸0.98g(0.01モル)、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.20gを加えて、オイルバスにて反応温度が90℃になるよう加熱、攪拌し、乾燥空気を30ml/minの流量にてバブリングしながら、5時間反応を行った。反応中、ディーンスタークにトラップされた留出液は適宜抜出した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンアセテートアクリレートの対グリセリン−1−アセテート収率は45%であった。
【0046】
比較例4
比較例1と同様の実験装置において、グリセリン−1−アセテート134.1g(1モル)、アクリル酸ブチル256.4g(2モル)、チタンテトライソプロポキシド2.84g(0.01モル)、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.20gを加えて、オイルバスにて反応温度が120℃になるよう加熱、攪拌し、乾燥空気を30ml/minの流量にてバブリングしながら、8時間反応を行った。反応中、ディーンスタークにトラップされた留出液は適宜抜出した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンアセテートアクリレートの対グリセリン−1−アセテート収率は55%であった。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013