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発明の名称 α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル重合体を含有する樹脂組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−197643(P2007−197643A)
公開日 平成19年8月9日(2007.8.9)
出願番号 特願2006−21148(P2006−21148)
出願日 平成18年1月30日(2006.1.30)
代理人 【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
発明者 白石 論勲 / 松本 武志
要約 課題
艶消し剤を使用せずとも艶消しの効果を発揮する塗料またはその原料として有用な樹脂組成物を提供すること。

解決手段
下記式(1)で表されるα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル〔式中、R1は炭素数が1〜20の炭化水素基を表し、R2は水素原子または炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。〕の重合体および顔料を含む樹脂組成物。
特許請求の範囲
【請求項1】
下記式(1)で表されるα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル〔式中、R1は炭素数が1〜20の炭化水素基を表し、R2は水素原子または炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。〕の重合体、および顔料を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【化1】


【請求項2】
前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルが、前記重合体中に3〜50質量%の量で含まれている請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記重合体が、水性エマルションの形態で存在する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を含む塗料。
【請求項5】
60°の光沢度に対して85°の光沢度が2倍以上である塗膜を形成する請求項4に記載の塗料。
【請求項6】
請求項4または5に記載の塗料から得られた塗膜。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、艶消しの外観を有し、かつ角度によって光沢度が大幅に異なる塗膜を形成することができる樹脂組成物に関するものである。このような本発明の樹脂組成物は、好ましくは塗料、より好ましくは艶消し塗料またはその原料として有用である。よって本発明は、該樹脂組成物を含む塗料、およびそれから得られる塗膜も包含する。
【背景技術】
【0002】
建築外装の分野では、艶消しの外観が好まれる傾向があり、そのために艶消し塗料が用いられる。このような塗料では、塗膜表面に凹凸を形成させて艶消しの効果を達成するために合成樹脂ビーズ(例えばアクリルビーズ)、シリカやワックスなどの艶消し剤を配合することが一般的である。例えば特許文献1は、艶消し剤としてワックス分散液を含有する水系艶消しコーティング組成物を提案している。しかし合成樹脂ビーズは高価であり、これを原料として用いると塗料の製造コストが増大する。シリカは比較的低コストであるが、得られる塗膜の耐水性や耐候性を悪化させる。またワックスを使用すると、塗膜密着性および耐候性が低下するおそれがある。よって艶消し塗料において、このような欠点を持つ艶消し剤を使用しないことが好ましい。
【0003】
他方、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルの(共)重合体は、基材との密着性に優れていることが知られている。例えば特許文献2は、基材との塗膜密着性および防食性に優れた、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルに由来する構成単位を有する重合体を含有する塗料組成物を開示している。しかし特許文献2では、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルの(共)重合体と顔料との組合せ、およびその組合せによる艶消しなどの効果は記載されていない。
【特許文献1】特開2001−288415号公報
【特許文献2】特開平11−50001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、艶消し剤を使用せずとも艶消しの効果を発揮する塗料またはその原料として有用な樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成し得た本発明の樹脂組成物とは、下記式(1)で表されるα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル〔式中、R1は炭素数が1〜20の炭化水素基を表し、R2は水素原子または炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。〕の重合体、および顔料を含むことを特徴とする。
【0006】
【化1】


【0007】
本発明の樹脂組成物の中で、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルが、前記重合体中に3〜50質量%の量で含まれているものが好ましい。前記重合体の好ましい形態は、水性エマルションである。
【0008】
本発明の樹脂組成物は、それから得られる塗膜に艶消しの外観を付与することができる。よって本発明の樹脂組成物は、塗料またはその原料として有用である。よって本発明は、前記樹脂組成物を含む塗料、さらにそれから得られる塗膜も提供する。
【0009】
さらに本発明の樹脂組成物を含む塗料は、角度によって光沢度が大幅に異なる塗膜を形成することを見出した。よって本発明の塗料の中で、60°の光沢度に対して85°の光沢度が2倍以上である塗膜を形成するものが特に好ましい。
【発明の効果】
【0010】
驚くべきことに、前記式(1)で表されるα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルの重合体および顔料を含む樹脂組成物は、合成樹脂ビーズやシリカなどの艶消し剤を含有しなくとも、艶消しの外観を有する塗膜を形成し得ることを見出した。よって本発明の樹脂組成物は、艶消し塗料またはその原料として有用である。
【0011】
本発明の樹脂組成物が、艶消し効果を発揮するメカニズムは不明であるが、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルの重合体と顔料とを組み合わせることにより該効果が発揮されると考えられる。α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル重合体および顔料のどちらか一方だけでは、艶消し効果が得られない。
【0012】
さらに驚くべきことに、本発明の樹脂組成物は、角度(光の入射角および反射角)によって光沢度が大幅に異なる塗膜またはその他の成形物を形成し得ることも見出した。通常の塗膜やその他のものでは、一般に、その光沢度が角度の大きさにほぼ比例することが知られている(例えば以下の実施例・表1の塗膜8の光沢度を参照)。これに対して本発明の樹脂組成物から得られる塗膜は、角度が20°〜65°のときに光沢度が低く、角度が85°のときに光沢度が急激に増大する(以下の実施例・表1の塗膜1〜7の光沢度を参照)。
【0013】
このように本発明の樹脂組成物は、光の入射角や見る角度(反射角)によって光沢が大幅に異なるという新規な外観を有する成形物を形成することができ、意匠性に関心が強い消費者を惹きつけ得る。本発明の樹脂組成物は、塗料、殊に艶消し塗料だけでなく、様々な用途、例えば電子機器のハウジングを形成する原料に利用することが期待される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の樹脂組成物は、前記式(1)で表されるα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルの重合体(単独重合体または共重合体)、および顔料を含むことを要旨とする。
前記式(1)中のR1は炭化水素基であり、R2は炭化水素基または水素である。なおR1およびR2は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。炭化水素基の炭素数は1〜20程度、好ましくは1〜10程度、さらに好ましくは1〜5程度である。
【0015】
前記炭化水素基には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの脂肪族炭化水素基;アリール基(フェニル基など)、アラルキル基などの芳香環を有する芳香族炭化水素基などが含まれる。脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよい。また芳香族炭化水素基の中には、複素環基も含まれる。さらに炭化水素基(例えば芳香族炭化水素基、特にアリール基)は、C、H以外の元素を含む基、例えばハロゲン、ヒドロキシル基およびアミノ基で置換されていてもよい。
【0016】
好ましいR1には、C1-10アルキル基(特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのC1-5アルキル基)が含まれる。好ましいR2には、水素原子、C1-9アルキル基(特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのC1-4アルキル基)、C7-10アラルキル基などが含まれる。
【0017】
好ましいα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルとしては、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステル(メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルまたはブチルエステルなど;以下、同様)、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸エステル、α−(1−ヒドロキシプロピル)アクリル酸エステル、α−(1−ヒドロキシブチル)アクリル酸エステル、α−(1−ヒドロキシペンチル)アクリル酸エステル、α−(1−ヒドロキシヘキシル)アクリル酸エステル、あるいはα−(1−ヒドロキシベンジル)アクリル酸エステルなどを例示できる。さらに好ましいα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルは、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のメチル、エチルまたはブチルエステルであり、特にα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルである。
【0018】
α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルの共重合体で本発明の樹脂組成物を構成する場合、本発明の樹脂組成物が充分な艶消し効果を発揮するために、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルは、共重合体中に3質量%以上含まれていることが好ましい。一方、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルが過剰になると塗膜の可とう性が低下し、耐凍害性、ひび割れ追従性が低下するため、その好ましい上限は50質量%である。共重合体中のより好ましいα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル量は、5〜40質量%、より好ましくは20〜30質量%である。
【0019】
α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルは、単独で用いて単独重合体にしてもよく、2種以上を組み合わせて共重合体にしてもよい。さらにはα−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルの1種または2種以上を他の重合性成分と組み合わせて共重合体にしてもよい。
【0020】
本発明において、他の重合性成分は特に限定されず、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルと共重合し得るあらゆるビニル系モノマーまたはマクロマーを、1種または2種以上用いることができる。ビニル系モノマーまたはマクロマーとして、アリル系モノマー(例えばトリアリルシアヌレート)、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸またはその誘導体(その無水物、塩若しくはエステルなど)を挙げることができる。
【0021】
前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物として、クロトン酸などのモノカルボン酸、マレイン酸若しくは無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸若しくはイタコン酸無水物、シトラコン酸若しくはシトラコン酸無水物などのジカルボン酸またはその無水物を挙げることができる。
【0022】
前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸誘導体として、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐アルコールとのエステル、例えばマレイン酸モノエステル若しくはジエステル、またはα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の塩、例えばそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、さらにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のカプロラクトン変性物、例えば(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物を挙げることができる。また4−クロトイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンのような光安定性モノマーを使用してもよい。
【0023】
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸およびその誘導体の中でも、以下に例示するような、(メタ)アクリル系モノマーまたはマクロマーが好ましく、(メタ)アクリル系モノマーがより好ましい。これらも、1種のみ、または2種以上で使用することができる。
【0024】
(メタ)アクリル酸、およびその塩、例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩;
(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート;
【0025】
(メタ)アクリル酸C4-20シクロアルキルエステル、例えばシクロへキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロへキシル(メタ)アクリレート;
【0026】
(メタ)アクリル酸C3-20アルケニルエステル、例えばアリル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸C7-20アラルキルエステル、例えばベンジル(メタ)アクリレート;
【0027】
重合性不飽和結合を2つ以上有する(メタ)アクリレート、例えばポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;
【0028】
水酸基含有(メタ)アクリレート、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、Placcel FA−1、Placcel FA−4、Placcel FM−1およびPlaccel FM−4(以上、ダイセル化学(株)製のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトン付加物);
【0029】
アミノ基含有(メタ)アクリレート、例えばt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート;
【0030】
含窒素ヘテロシクリル基含有(メタ)アクリレート、例えばアジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピロリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピペリジニルエチル(メタ)アクリレート;
【0031】
エポキシ基含有(メタ)アクリレート、例えばグリシジル(メタ)アクリレート;
ウレタン基含有(メタ)アクリレート、例えばイソシアネート基含有化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応物;
【0032】
カルボキシル基以外の酸性基を有する(メタ)アクリル系モノマー、例えば(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、2−スルホン酸エチル(メタ)アクリレート、およびその塩、例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩;
【0033】
塩基性の基を有する(メタ)アクリル系モノマー、例えば(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;
【0034】
(メタ)アクリルアミド類、例えば(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;
【0035】
(メタ)アクリル基を有するシリコーンマクロマー、殊に(メタ)アクリル基を有するオルガノポリシロキサン、例えばγー(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン;
【0036】
(メタ)アクリル基を有する光安定性モノマー、殊に(メタ)アクリル基を有するピペリジン、例えば4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;
【0037】
(メタ)アクリル基を有する紫外線吸収モノマー、例えば(メタ)アクリル基を有するベンゾフェノン(例えば2−ヒドロキシ−4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]ベンゾフェノン)、(メタ)アクリル基を有するベンゾトリアゾール(例えば2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシメチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−((メタ)アクリロイルオキシメチル)フェニル]−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール)。
【0038】
上で例示したビニル系モノマーまたはマクロマーの中でも、好ましくは(メタ)アクリル酸のC1-20アルキルエステル、より好ましくはC4-10アルキルエステル、さらに好ましくはC4-6アルキルエステル、および/または(メタ)アクリル酸のC4-20シクロアルキルエステル、より好ましくはC6-10シクロアルキルエステル、さらに好ましくはC6-8シクロアルキルエステルを用いることが、優れた耐水性および耐候性が得られるため望ましい。
【0039】
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルを、当然、前記ビニル系モノマーなどと組み合わせて用いることができるが、優れた耐水性および耐候性を有する共重合体を製造するために、前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルの他には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルのみを用いることが好ましい。前記共重合体中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルの量は、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。
【0040】
また耐光性に優れた共重合体を製造するために、上で例示したような光安定性モノマーを用いることが好ましい。前記共重合体中の光安定性モノマーの量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0041】
前記α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル、並びに前記ビニル系モノマーまたはマクロマーから得られる前記共重合体のガラス転移温度(Tg)の上限は、好ましくは80℃である。殊に、本発明の樹脂組成物を塗料として使用する場合、塗料の造膜性および得られる塗膜の軟らかさの観点から、前記共重合体のTgは、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下、特に好ましくは10℃以下である。一方Tgが低い場合、塗膜を実暴露した際に汚染物質が塗膜に付着し易くなるおそれがあるため、Tgの下限は、好ましくは−50℃、より好ましくは−30℃、さらに好ましくは−20℃である。
【0042】
前記共重合体のTgは、モノマーの質量分率を調整することにより、好ましい範囲に設定することができる。前記共重合体中のTg(K)は、各モノマーから得られる単独重合体のTg(K)と、前記共重合体中のモノマー質量分率から、下記計算式を用いて求めることができる。この計算Tgを目安にして、モノマー組成を決定することが好ましい。
【0043】
【数1】


【0044】
前記式中、Tgは求める共重合体のガラス転移温度(K)を示し、W1、W2、・・・Wnは、各モノマーの質量分率を示し、Tg1、Tg2、・・・Tgnは、対応するモノマーの単独重合体のガラス転移温度(K)を示す。なお、単独重合体のTgは、「POLYMER HANDBOOK」(第4版;John Wiley & Sons,Inc.発行)等の刊行物に記載されている数値を採用すればよい。また共重合体のTgは、DSC(示差走査熱量測定)、DTA(示差熱分析)、TMA(熱機械分析)によって測定することができる。
【0045】
前記重合体の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜2,000,000、より好ましくは20,000〜1,000,000、より好ましくは30,000〜500,000である。重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、ポリスチレン換算)によって測定することができる。
【0046】
前記重合体の重合法には、特に限定はなく、乳化重合、懸濁重合、溶液重合または塊状重合を用いることができ、また一段階重合および多段階重合のいずれでも良い。しかし前記重合体を含む樹脂組成物を、塗料またはその原料として用いる場合、前記重合体を、水性エマルション、水性懸濁液または水溶液の形態で製造することが好ましい。環境保護の点で優れているからである。さらに塗料の造膜性および塗膜の耐水性も考慮すると、前記重合体を、乳化重合により水性エマルションとして製造することが好ましい。但し懸濁重合、溶液重合または塊状重合で得られた重合体を、後分散することによって水性エマルション化しても良い。
【0047】
前記重合体の乳化重合で用いることができる乳化剤には、特に限定は無く、例えばアニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤などを使用することができ、これらの1種のみを使用することができ、または2種以上を併用することもできる。乳化剤として、アニオン性乳化剤および非イオン性乳化剤が好ましい。
【0048】
アニオン性乳化剤の例として、アルキルスルホネート、例えばアンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネート;アルキルアリールスルホネート、例えばアンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネート;ポリオキシエチレンアルキルスルホネート、例えば第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」など;ポリオキシエチレンアルキルアリールスルホネート、例えば第一工業製薬(株)製「ハイテノールN−08」など;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホネートのホルマリン縮合物;脂肪酸塩、例えばアンモニウムラウレート、ナトリウムステアレートなどが挙げられる。
【0049】
非イオン性乳化剤の例として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば三洋化成工業(株)製「ナロアクティーN−200」など;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えば三洋化成工業(株)製「ノニポール−200」など;ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールの縮合物;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリアミド;エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合生成物などが挙げられる。
【0050】
カチオン性乳化剤の例として、アルキルアンモニウム塩、例えばドデシルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。両性乳化剤の例として、ベタインエステル型乳化剤などが挙げられる。高分子乳化剤の例として、ポリ(メタ)アクリル酸塩、例えばポリアクリル酸ナトリウム;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばポリヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。これらの高分子乳化剤は、単独重合体でも共重合体でもよい。
【0051】
水性エマルション形態の前記重合体を含む本発明の樹脂組成物を塗料またはその原料として使用する場合、耐水性に優れた塗膜を得るために、重合可能な基を有する反応性乳化剤を使用することが好ましい。
【0052】
反応性のアニオン性乳化剤の例として、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート、例えば日本乳化剤(株)製「アントックスMS−60」など;プロペニル−アルキルスルホコハク酸モノエステル塩;(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート;(メタ)アクリル酸オキシエチレンホスホネート、例えば三洋化成工業(株)製「エレミノールRS−30」など;ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルホネート、例えば第一工業製薬(株)製「アクアロンHS−10」など;アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンスルホネート、例えば第一工業製薬(株)製「アクアロンKH−10」など;アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンスルホネート、例えば旭電化工業(株)製「アデカリアソープSE−10」など;アリル基含有硫酸エステル塩、殊にアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩、例えば旭電化工業(株)製「アデカリアソープSR−10」などが挙げられる。
【0053】
反応性の非イオン性乳化剤の例として、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、例えば第一工業製薬(株)製「アクアロンRN−20」など;アリルオキシメチルノニルフェニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン、例えば旭電化工業(株)製「アデカリアソープNE−10」など;アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン、例えば旭電化工業(株)製「アデカリアソープER−20」などが挙げられる。
【0054】
乳化剤の使用量は、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルも含むモノマーおよびマクロマーの合計使用量に対して、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%であるが、これらに限定されない。但し乳化剤が多すぎると、得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがあり、一方少なすぎると重合安定性が低下しやすい。
【0055】
乳化重合で使用することができる重合開始剤には、特に限定は無い。重合開始剤の例として、アゾ化合物、例えば2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド;過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム;過酸化物、例えば過酸化水素などが挙げられる。これらのような重合開始剤を、1種または2種以上使用することができる。
【0056】
重合開始剤の使用量は、モノマーおよびマクロマーの合計使用量に対して、好ましくは0.05〜1質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%であるが、これらに限定されない。重合開始剤が少なすぎると、重合速度が遅くなって未反応モノマーなどが残存しやすくなり、一方多すぎると、得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。
【0057】
重合開始剤の添加方法には特に限定は無く、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などのあらゆる方法を採用することができる。また重合の完了を速めるために、多段階重合の最終段階でモノマーなどの滴下終了前後に、重合開始剤の一部を添加することもできる。但し、得られる重合体のエマルション粒子を細かくするために、重合開始剤の全使用量の40〜100質量%を初期重合段階で添加することが好ましい。
【0058】
乳化重合において、重合開始剤の分解を促進するために、例えば亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤や、硫酸第一鉄のような遷移金属塩などを添加してもよい。
【0059】
乳化重合には、通常、媒体として水が使用されるが、必要に応じて親水性溶媒、例えばメタノールのような低級アルコールなどを併用することができる。水性媒体(水、または水および親水性溶媒)の使用量は、重合体エマルションが所望の固形分となるよう、適宜設定すればよい。
【0060】
乳化重合の温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは40〜95℃であるが、これらに限定されない。重合時間についても特に限定は無く、反応速度に応じて適宜設定すればよい。しかし生産性などの観点から、重合開始から終了までの時間は2〜8時間であることが好ましい。重合開始剤の効率を高めるために乳化重合は、一般に、窒素などの不活性ガスの雰囲気下で行われる。
【0061】
乳化重合の際に、必要に応じて、pH緩衝剤、キレート剤、連鎖移動剤(例えばt−ドデシルメルカプタンのようなチオール基含有化合物)などの公知の添加剤を使用することができる。
【0062】
前記重合体は、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルを含むため、酸性条件下では下式に示すようなラクトン環化反応が生じ得る:
【0063】
【化2】


【0064】
よって耐熱性および耐溶剤性を向上させるために、前記重合体、殊にその水性エマルションに、鉱酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸;有機酸、例えばトリフルオロ酢酸;またはヘテロポリ酸、例えばリンタングステン酸、リンモリブデン酸の1種または2種以上を添加してもよい。ラクトン環化のための酸性条件は、好ましくはpH5以下、より好ましくはpH3以下、さらに好ましくはpH2以下である。
【0065】
但し水性エマルション形態の重合体を含む本発明の樹脂組成物を、塗料またはその原料として使用する場合、得られる塗膜が酸性雨などの酸性条件下に曝された場合も、塗膜中において前記のようなラクトン環化反応が起こることが期待されるので、前記重合体に酸を添加しなくても良い。また水性エマルションの安定性や造膜性の観点から、重合体の水性エマルションを、アンモニアなどにより、中性から弱アルカリ性に調整してもよい。
【0066】
本発明の樹脂組成物は、前記重合体に加えて、顔料を含有することも特徴とする。顔料の例として、無機顔料、例えば酸化チタン、酸化コバルト、ストロンチウムクロメート、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、チタニウム・イエロー、チタンブラック、ジンククロメート、鉄黒、モリブデン赤、モリブデンホワイト、リサージ、リトポン、雲母状酸化鉄、鉛白、鉛丹、黄鉛、銀朱、群青、紺青;有機顔料、例えば不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、溶性アゾ顔料、フタロシアニンブルー、染色レーキなどを挙げることができる。中でも無機顔料、殊に塗膜の隠蔽性の観点から酸化チタンが好ましい。
【0067】
前記顔料の重量平均粒子径は、好ましくは0.1〜2μmである。なぜなら0.1μm未満であれば、艶消しおよび角度により光沢度が異なるという効果が充分に発揮されず、一方2μmを超えると、どの角度でも光沢度が下がり易く、角度により光沢度が異なるという効果が低下する傾向があるからである。より好ましい顔料の重量平均粒子径は、0.3〜1.5μmであり、さらに好ましくは0.5〜1μmである。顔料の重量平均粒子径は、例えば透過型電子顕微鏡で観察することで測定することができる。
【0068】
前記顔料は、本発明の樹脂組成物中に、好ましくは10〜80質量%の量で含まれる。なぜなら10質量%未満であれば、本発明の効果が充分に発揮されず、一方80質量%を超えると、塗料の造膜性が低下するからである。より好ましい顔料量は、本発明の樹脂組成物中に20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%である。
【0069】
本発明の樹脂組成物は、艶消しおよび角度により光沢度が異なる塗膜を形成することができるので、塗料またはその原料として有用である。よって本発明は、前記樹脂組成物を含む塗料も提供する。なお「樹脂組成物を含む塗料」とは、樹脂組成物からなる塗料、および樹脂組成物と、公知の塗料原料、例えば成膜助剤、無機系若しくは有機系充填材、滑剤、親水化剤、水溶性または水性樹脂、耐水化剤、熱可融性物質、pH調整剤、粘性調整剤、増粘剤および/または架橋剤とを含む塗料の両方を意味する。
【0070】
本発明の塗料の中で、60°の光沢度に対して85°の光沢度が、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上、さらに好ましくは4倍以上である塗膜を形成するものが望ましい。
【0071】
本発明の塗料を適用することができる対象は、特に限定されず、例えばモルタル、コンクリート、ALC(軽量気泡コンクリート)、PC(プレストレストコンクリート)板、スレート板、各種(金属系や石膏系等)サイディングボードのような無機系材料や、木材、各種プラスチック(FRPを含む)のような有機系材料を挙げることができる。
【0072】
本発明の塗料を塗装する方法は、特に限定されず、はけ塗、ローラー塗、浸漬、エアスプレー法等の公知の方法を用いることができる。その塗布量は、塗料の固形分や比重、基材の種類や用途、模様の有無等に応じて適宜設定することができる。
【0073】
本発明の樹脂組成物から得られる塗膜は、艶消しの外観を有するとともに、角度により光沢度が異なるという新規な意匠性を有する。よって本発明は、本発明の樹脂組成物または塗料から得られた塗膜も提供する。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお以下では、特にことわりがない限り、「%」は「質量%」を表す。
【0075】
1.重合体エマルションの製造
(1)共重合体1の製造
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水125.0gを仕込んだ。また滴下ロートに、脱イオン水5.8g、乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製)の25%水溶液4.0gおよびRN−20(第一工業製薬(株)製)の25%水溶液4.0g、モノマーとしてα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル25.0g、2−エチルヘキシルアクリレート45.0g、メチルメタクリレート29.0gおよびアクリル酸1.0gからなる一段目のプレエマルションを調製し、そのうちトータルモノマー量の5%にあたる7.3gをフラスコに添加し、緩やかに窒素ガスを吹き込みながら、撹拌下に75℃まで昇温した。昇温後、5%の過硫酸カリウム水溶液6.0gを添加し、重合を開始した。このときに反応系内を80℃まで昇温し、10分間維持した。ここまでを初期反応とした。
【0076】
初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、調製した一段目プレエマルションの残りを120分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水5gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で30分間維持し、次に25%アンモニア水を0.9g添加し、同温度で30分間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却し、100メッシュの金網でろ過して、固形分:38.9%、粘度:20mPa・s、pH:9.0、計算Tg:−3℃の共重合体1のエマルションを得た。
【0077】
ここでエマルションの固形分は、該エマルション約1gを秤量し、熱風乾燥機で105℃にて1時間乾燥し、乾燥後の残部の質量を、乾燥前質量に対する比率として質量%で表示したものである。
エマルションの粘度は、BM型粘度計(東京計器(株)製)により30rpm、25℃にて測定した。粘度測定時には粘度に応じたロータを選定した。
エマルションのpHは、pHメーター(堀場製作所(株)製「F−23」)により25℃での値を測定した。
計算Tgは、上で記載したように、各モノマーから得られる単独重合体のTgと、共重合体中のモノマー質量分率から計算した値である。
【0078】
(2)共重合体2の製造
メチルメタクリレートの代わりにシクロヘキシルメタクリレート29.0gを使用したこと以外は、共重合体1の製造と同様にして、固形分:38.8%、粘度:30mPa・s、pH:9.0、計算Tg:−7℃の共重合体2のエマルションを得た。
【0079】
(3)共重合体3の製造
2−エチルヘキシルアクリレートの代わりにn−ブチルアクリレート45.0gを使用したこと以外は、共重合体1の製造と同様にして、固形分:38.7%、粘度:15mPa・s、pH:8.9、計算Tg:10℃の共重合体3のエマルションを得た。
【0080】
(4)共重合体4の製造
フラスコに最初に仕込んだ脱イオン水量を73.9gに変更し、アクリル酸の代わりにメタクリル酸1.0gを使用したこと以外は、共重合体1の製造と同様にして、固形分:48.9%、粘度:2000mPa・s、pH:8.8、計算Tg:−1℃の共重合体4のエマルションを得た。
【0081】
(5)共重合体5の製造
フラスコに脱イオン水73.9gを仕込み、モノマーとしてα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル40.0g、n−ブチルアクリレート45.0g、メチルメタクリレート14.0gおよびメタクリル酸1.0gを使用したこと以外は、共重合体1の製造と同様にして、固形分:48.3%、粘度:2500mPa・s、pH:8.9、計算Tg:10℃の共重合体5のエマルションを得た。
【0082】
(6)共重合体6の製造
フラスコに脱イオン水73.9gを仕込み、乳化剤としてアクアロンHS−10の25%水溶液2.0gおよびRN−20の25%水溶液6.0gを、モノマーとしてα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル40.0g、2−エチルヘキシルアクリレート14.0g、n−ブチルアクリレート45.0gおよびアクリル酸1.0gを使用したこと以外は、共重合体1の製造と同様にして、固形分:48.2%、粘度:3400mPa・s、pH:8.5、計算Tg:−13℃の共重合体6のエマルションを得た。
【0083】
(7)共重合体7の製造
フラスコに脱イオン水73.9gを仕込み、乳化剤としてアクアロンHS−10の25%水溶液6.0gおよびRN−20の25%水溶液2.0gを、モノマーとしてα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル5.0g、2−エチルヘキシルアクリレート15.0g、n−ブチルアクリレート15.0g、メチルメタクリレート10.0g、シクロヘキシルメタクリレート54.0gおよびアクリル酸1.0gを使用したこと以外は、共重合体1の製造と同様にして、固形分:48.0%、粘度:1800mPa・s、pH:8.4、計算Tg:17℃の共重合体7のエマルションを得た。
【0084】
(8)共重合体8(比較例)の製造
フラスコに脱イオン水73.9gを仕込み、モノマーとして2−エチルヘキシルアクリレート45.0g、メチルメタクリレート54.0g、メタクリル酸1.0gを使用したこと以外は共重合体1の製造と同様にして(即ちα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル25.0gを使用しない代わりにメチルメタクリレート25.0gを追加したこと以外は共重合体4の製造と同様にして)、固形分:49.8%、粘度:3200mPa・s、pH:9.0、計算Tg:−1℃の共重合体8(比較例)のエマルションを得た。
【0085】
2.樹脂組成物の製造
(1)樹脂組成物1〜7(本発明)および樹脂組成物8(比較例)の製造
前記のようにして得た共重合体1〜8のエマルションのそれぞれを300g、予め調製した白色ペーストを135g、黒色ペースト(ユニラント製「ユニラント88」)を10g、消泡剤(サンノプコ製「ノプコ8034L」)を1.5g、ブチルセロソルブを15g、および成膜助剤(チッソ製「CS−12」)を15g配合し、樹脂組成物1〜7(本発明)および樹脂組成物8(比較例)を得た。
【0086】
なお白色ペーストは、分散剤(花王製「デモールEP」)を60g、分散剤(第一工業製薬製「ディスコートN−14」)を50g、湿潤剤(花王製「エマルゲン909」)を10g、脱イオン水を210g、エチレングリコールを60g、酸化チタン(石原産業製「CR−95」、重量平均粒子径0.28μm)を1000g、および消泡剤(サンノプコ製「ノプコ8034L」)を10g配合し、これに直径2mmのガラスビーズを500g加えて、ホモディスパーで3000rpm×60分間撹拌した後、これをガーゼで濾過してガラスビーズを取り除くことにより調製した。
【0087】
(2)樹脂組成物9(比較例)の製造
樹脂組成物8(比較例)に、エポスターMA(日本触媒製:メチルメタクリレートビーズ)30gおよび脱イオン水30gを添加して、樹脂組成物9(比較例)を製造した。
【0088】
3.塗膜の製造および評価
(1)基材の調製
スレート板(ノザワ製「フレキハード(FS−N)」(ノンアスベストスレート))上に、溶剤シーラー(大日本塗料製「V セラン#200」)を、乾燥質量が20g/m2になるようにエアスプレーで塗装して、基材を調製した。
(2)塗膜の製造
前記のようにして得た基材上に、塗料として樹脂組成物1〜9を10milのアプリケーターで塗装し、室温下1週間養生することにより、塗膜1〜7(本発明)および塗膜8および9(比較例)を備えた試験板を得た。得られた塗膜の膜厚は100ミクロンであった。
【0089】
(3)塗膜の光沢度測定
前記のようにして得た塗膜1〜9の20°、60°および85°の光沢度を、JIS K5400に準拠して日本電色製「VZ−2000」により測定した。その結果を表1に示す。
【0090】
【表1】


【0091】
本発明の塗膜1〜7は、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルおよび合成樹脂ビーズを含まない比較例の樹脂組成物8から得られた塗膜8と比べて、20°および65°の光沢度が充分に低下しており、本発明の樹脂組成物は、艶消し剤を使用せずとも、充分な艶消し効果を発揮している。また本発明の塗膜1〜7は、20°および65°の光沢度に比べて、85°の光沢度が大幅に上昇しており、角度によって光沢度が大幅に異なるという新規な意匠性を有している。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の樹脂組成物は、艶消しの外観を有し、かつ角度により光沢度が異なるという新規な意匠性を有する塗膜を形成するので、塗料またはその原料として有用である。また本発明の樹脂組成物は、例えば、建築内外装用、メタリックベースまたはメタリックベース上のクリアーなどの自動車用、アルミニウム、ステンレス、銀などの金属直塗用、スレート、コンクリート、瓦、モルタル、石膏ボード、プレキャストコンクリート、軽量気泡コンクリート、珪酸カルシウム板、タイル、レンガなどの窯業系直塗用、ガラス用、天然大理石、御影石などの石材用の塗料若しくは上面処理剤、またはそれらの原料として好適に用いられる。さらに角度により光沢度が異なるという新規な意匠性を付与することができるので、本発明の樹脂組成物は、塗料以外にも、電子機器のハウジングを形成するための原料として利用することが期待される。




 

 


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