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発明の名称 アクリル酸の回収方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−197466(P2007−197466A)
公開日 平成19年8月9日(2007.8.9)
出願番号 特願2007−126172(P2007−126172)
出願日 平成19年5月11日(2007.5.11)
代理人
発明者 上村 政宏 / 武田 隆裕 / 上岡 正敏
要約 課題

アクリル酸二量体およびマレイン酸を含むアクリル酸、特にプロピレンおよび/またはアクロレインの接触気相酸化工程、アクリル酸水溶液としてアクリル酸を捕集する捕集工程、アクリル酸水溶液から共沸蒸留によってアクリル酸を回収する共沸分離工程およびこの共沸分離工程から得られる粗アクリル酸を蒸留して高沸点不純物を除去する高沸点不純物分離塔などの精製工程をへてアクリル酸を製造するプロセスにおいて、高沸点不純物分離塔からのアクリル酸二量体およびマレインを含むアクリル酸留分からアクリル酸を効率よく安定的に回収する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸からアクリル酸を回収するに当たり、
(1)上記粗アクリル酸を、薄膜蒸発器を備えてなる、理論段数1〜5の蒸留塔に導入し、ここで蒸留塔の塔頂からのアクリル酸留出物中のマレイン酸濃度が0〜3重量%(但し、3重量%を除く。)となる条件下に蒸留し、塔頂からアクリル酸を留出させて回収し、
(2)上記薄膜蒸発器からの缶液Aを熱分解槽に導入し、ここで缶液A中のアクリル酸二量体を120〜220℃の範囲の温度で分解し、そして
(3)上記熱分解槽からの缶液Bの少なくとも一部を上記蒸留塔の薄膜蒸発器に循環することを特徴とするアクリル酸の回収方法。
【請求項2】
(1)において、10〜100mmHg、塔底温度60〜120℃で蒸留する請求項1記載のアクリル酸の回収方法。
【請求項3】
熱分解槽の缶液Bの循環量が蒸留塔に導入する粗アクリル酸の1〜20倍量である請求項1または2に記載のアクリル酸の回収方法。
【請求項4】
プロピレンおよび/またはアクロレインを接触気相酸化して得られるアクリル酸含有ガスを水と接触させて、アクリル酸をアクリル酸水溶液として捕集し、該アクリル酸水溶液を共沸分離塔にて、水と共沸物を形成する共沸溶剤の存在下に蒸留し、次いで該共沸分離塔の塔底から得られる粗アクリル酸を高沸点不純物分離塔にて精製するプロセスにおいて、当該高沸点不純物分離塔の塔底からの、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸からアクリル酸を回収するに当たり、
(1)上記アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸を、薄膜蒸発器を備えてなる、理論段数1〜5の蒸留塔に導入し、ここで10〜100mmHg、塔底温度60〜120℃の条件下に蒸留し、塔頂からアクリル酸を留出させて回収して前の工程に循環し、
(2)上記薄膜蒸発器からの缶液Aを熱分解槽に導入し、ここで缶液A中のアクリル酸二量体を120〜220℃の範囲の温度で分解し、そして
(3)上記熱分解槽からの缶液Bを上記蒸留塔の薄膜蒸発器に、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸に対し1〜20倍量となる割合で循環することを特徴とするアクリル酸の回収方法。
【請求項5】
粗アクリル酸中のアクリル酸二量体およびマレイン酸の濃度が、それぞれ、少なくとも20重量%および3〜10重量%である請求項1または5記載のアクリル酸の回収方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はアクリル酸の回収方法に関し、詳しくはアクリル酸二量体およびマレイン酸を含むアクリル酸、特にプロピレンおよび/またはアクロレインを接触気相酸化して得られるアクリル酸含有ガスを水と接触させてアクリル酸をアクリル酸水溶液として捕集し、このアクリル酸水溶液を共沸溶剤の存在下に蒸留して得られる粗アクリル酸を更に高沸点不純物分離塔で精製して高純度のアクリル酸を製造するプロセスにおいて、上記高沸点不純物分離塔の缶液として得られるアクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸からアクリル酸を効率よく安定的に回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロピレンおよび/またはアクロレインを接触気相酸化して高純度のアクリル酸を製造するに当たっては、酸化工程からのアクリル酸含有ガスを水と接触させてアクリル酸をアクリル酸水溶液として捕集し、このアクリル酸水溶液から適当な抽出溶剤を用いてアクリル酸を抽出し、引き続きアクリル酸と溶剤とを分離するが、この溶剤分離工程で得られる粗アクリル酸中にはアクリル酸二量体およびマレイン酸などの高沸点不純物が含まれているので、さらに精製工程を設けて精製し、高沸点不純物を分離、除去することが行われていた。
【0003】
しかし、このようにして得られた高沸点不純物中には、アクリル酸のほかに、アクリル酸二量体などが含まれていることから、これを廃油として直ちに廃棄してしまうことは経済的に不利である。
【0004】
そこで、上記高沸点不純物中のアクリル酸二量体を熱分解してアクリル酸として回収して、アクリル酸の回収率を高めようとする方法が特許文献1〜4などに提案されている。
しかし、近年では、アクリル酸水溶液からのアクリル酸の回収を抽出溶剤を用いて行う前記の溶剤抽出法の代わりに、水と共沸混合物を形成する共沸溶剤を用いて蒸留し、共沸分離塔の塔頂からは水と溶剤との共沸混合物を留出させ、塔底からアクリル酸を回収する共沸分離法が主流となっている。
【0005】
この場合、通常、プロピレンおよび/またはアクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造する酸化工程、アクリル酸含有ガスを水と接触させてアクリル酸をアクリル酸水溶液として捕集する捕集工程、このアクリル酸水溶液を共沸分離塔内で共沸溶剤の存在下に蒸留して塔底から粗アクリル酸を取り出す共沸分離工程、次いでこの粗アクリル酸を精製するための精製工程を経て高純度のアクリル酸を製造している。上記精製工程は、通常、粗アクリル酸中の高沸点不純物を除去するための高沸点不純物分離塔、さらに必要に応じて設けられた酢酸を除去するための酢酸分離塔を用いて行われる。
【0006】
【特許文献1】特公昭45−19281号公報
【特許文献2】特開昭51−91208号公報
【特許文献3】特公昭61−35977号公報
【特許文献4】特公昭61−36501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記共沸分離法を用いてアクリル酸を製造するプロセスにおいても、精製工程で分離除去された高沸点不純物中には、アクリル酸のほかに、アクリル酸二量体およびマレイン酸などが含まれている。
【0008】
そこで、共沸分離法を用いて高純度アクリル酸を製造するプロセスにおいても、上記高沸点不純物からアクリル酸を回収することが望ましく、この回収操作には、前記の溶剤抽出法にしたがって高純度アクリル酸を製造するプロセスに関し提案された前記の特許公報に記載の方法の適用が考えられる。
【0009】
しかしながら、例えば、特許文献4に記載されたアクリル酸ダイマー(二量体)分解蒸発装置(第1工程)を用い、ここでアクリル酸二量体の分解と、この分解によって得られるアクリル酸および当初から含まれているアクリル酸の留出とを同時に行うと、製品アクリル酸に不純物が混入し、この純度が低下するなどの問題が生じることが判明した。
【0010】
本発明者らは、上記問題の原因は高沸点不純物中に含まれているマレイン酸によることを究明した。このマレイン酸は、溶剤抽出法を用いたプロセスにおいては、溶剤抽出工程で実質的に分離除去されて、粗アクリル酸中に残存することはないが、共沸分離法を用いたプロセスにおいては、粗アクリル酸中に残存し、この粗アクリル酸を精製して得られる上記高沸点不純物中に数%の割合で混入してくる。
【0011】
マレイン酸は、上記のアクリル酸ダイマー(二量体)分解蒸留装置よりアクリル酸とともに留出されるので、この留出物からアクリル酸を回収するために、その前の工程、例えば、精製工程としての高沸点不純物分離塔に循環するとマレイン酸もこれに随伴し、高沸点不純物分離塔の塔底で凝縮が起こり、最終的に製品アクリル酸中に混入して、その純度を低下させるものと考えられている。
【0012】
また、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸からアクリル酸を回収する工程においてマレイン酸はフマル酸に転移し、回収工程で析出し、安定運転を妨げる。
【0013】
かくして、本発明は、上記問題を解決して、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸、特に共沸分離法を用いてアクリル酸を製造するプロセスにおいて、高沸点不純物分離塔の缶液として得られる、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸からアクリル酸を効率よく安定的に回収する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記のアクリル酸ダイマー(二量体)分解蒸留装置(第1工程)の代わりに、アクリル酸回収装置およびアクリル酸二量体の分解装置を設けることにより前記目的を達成できることを見出した。
【0015】
すなわち、前記高沸点不純物をアクリル酸回収塔に導入し、ここでマレイン酸を分離して塔底から抜き出し、マレイン酸含量を著しく低減させたアクリル酸を塔頂から回収し、一方マレイン酸を含む塔底物は熱分解槽に導入し、ここでアクリル酸二量体を熱分解し、次いで分解生成物の一部を上記アクリル酸回収塔に循環することにより、製品アクリル酸の純度を低下させることなく、高沸点不純物からアクリル酸を効率よく回収できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸からアクリル酸を回収するに当たり、
(1)上記粗アクリル酸を、薄膜蒸発器を備えてなる、理論段数1〜5の蒸留塔に導入し、ここで蒸留塔の塔頂からのアクリル酸留出物中のマレイン酸濃度が0〜3重量%(但し、3重量%を除く。)となる条件下に蒸留し、塔頂からアクリル酸を留出させて回収し、
(2)上記薄膜蒸発器からの缶液Aを熱分解槽に導入し、ここで缶液A中のアクリル酸二量体を120〜220℃の範囲の温度で分解し、そして
(3)上記熱分解槽からの缶液Bの少なくとも一部を上記蒸留塔の薄膜蒸発器に循環することを特徴とするアクリル酸の回収方法である。
【0017】
また、本発明は、プロピレンおよび/またはアクロレインを接触気相酸化して得られるアクリル酸含有ガスを水と接触させて、アクリル酸をアクリル酸水溶液として捕集し、該アクリル酸水溶液を共沸分離塔にて、水と共沸物を形成する共沸溶剤の存在下に蒸留し、次いで該共沸分離塔の塔底から得られる粗アクリル酸を高沸点不純物分離塔にて精製するプロセスにおいて、当該高沸点不純物分離塔の塔底からの、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸からアクリル酸を回収するに当たり、
(1)上記アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸を、薄膜蒸発器を備えてなる、理論段数1〜5の蒸留塔に導入し、ここで10〜100mmHg、塔底温度60〜120℃の条件下に蒸留し、塔頂からアクリル酸を留出させて回収して前の工程に循環し、
(2)上記薄膜蒸発器からの缶液Aを熱分解槽に導入し、ここで缶液A中のアクリル酸二量体を120〜220℃の範囲の温度で分解し、そして
(3)上記熱分解槽からの缶液Bを上記蒸留塔の薄膜蒸発器に、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸に対し1〜20倍量となる割合で循環することを特徴とするアクリル酸の回収方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アクリル酸二量体を効率よく分解することができ、アクリル酸回収率を高めることができる。
【0019】
本発明によれば、アクリル酸回収塔の塔頂から回収されるアクリル酸中のマレイン酸含量は著しく低減されているので、これを精製工程などに循環しても、精製工程などでの蓄積は少なく、製品アクリル酸に混入して、その純度を低下させることはない。
【0020】
したがって、本発明によれば、アクリル酸二量体からアクリル酸を効率よく回収できるとともに高純度のアクリル酸を製造することができる。
【0021】
本発明によれば、マレイン酸に起因する析出物の生成を防止することができるので、アクリル酸を安定的に回収することができる。また、長期にわたる安全運転が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のアクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸とは、アクリル酸二量体とアクリル酸とをそれぞれ少なくとも20質量%およびマレイン酸を3〜10質量%含有するものであって、そのほかにアクリル酸三量体などの高沸点物などを含んでいてもよい。本発明の方法は、アクリル酸二量体のほかにマレイン酸を5〜10質量%含むアクリル酸から粗アクリル酸を回収するのに特に好適に用いられる。
【0023】
その代表例は、プロピレンおよび/またはアクロレインを接触気相酸化して得られるアクリル酸含有ガスを水と接触させて、アクリル酸をアクリル酸水溶液として捕集し、このアクリル酸水溶液を共沸溶媒の存在下に蒸留して得られる粗アクリル酸を必要に応じて他の蒸留塔で精製した後、高沸点不純物分離塔に導入して精製して得られる缶液である。この缶液の具体的組成は、各工程の操作条件によって変わるので一概に特定できないが、一例を挙げると、アクリル酸20〜65質量%、アクリル酸二量体30〜60質量%、重合防止剤(例えば、ハイドロキノンなど)5〜15質量%、マレイン酸3〜10質量%、およびその他の高沸点物である。
【0024】
本発明の方法は基本的には次の工程からなる。すなわち、精製工程、例えば、高沸点不純物分離塔からの、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸をアクリル酸回収塔に導入し、ここで上記アクリル酸中のアクリル酸を塔頂から留去して回収する。一方、塔底からはアクリル酸二量体およびマレイン酸などを含む缶液を取り出し、この缶液Aを熱分解槽に導入し、ここでアクリル酸二量体を分解する。この熱分解槽からの缶液Bの少なくとも一部をアクリル酸回収塔に循環させて、缶液B中の、アクリル酸二量体の熱分解によって得られるアクリル酸を塔頂から回収する。
【0025】
本発明で用いるアクリル酸回収塔については、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸を蒸留し得るものであれば特に制限はない。しかし、前記のアクリル酸製造プロセスにおいて高沸点不純物分離塔の缶液として得られるアクリル酸は粘度の高いものであるので、このようなアクリル酸を処理する場合は、薄膜蒸発器を備えた蒸留塔を用いるのが好ましい。
【0026】
そこで、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸として、プロピレンおよび/またはアクロレインを接触気相酸化し、引き続き共沸蒸留によってアクリル酸を製造するプロセスにおいて、精製工程としての高沸点不純物分離塔から得られる缶液(高沸点不純物)を用い、アクリル酸回収塔として薄膜蒸発器を備えた蒸留塔を用いる場合を例に挙げて、本発明を以下に詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の方法の一つの実施態様を示す工程図である。高沸点不純物分離塔1の塔底から得られる、アクリル酸二量体、マレイン酸などを含む粗アクリル酸を薄膜蒸発器3を備えた蒸留塔2に導入し、アクリル酸を留出させて回収する。この際、留出されるアクリル酸中のマレイン酸含量は著しく低減されるものである。このとき、アクリル酸中のマレイン酸は0〜3%、好ましくは0〜1%である。なお、このように回収されたアクリル酸は、通常、その前の工程、例えば、精製工程、具体的には高沸点不純物分離塔1に循環して製品アクリル酸とする。
【0028】
上記のようなマレイン酸の分離が効率よく行われるように、蒸留塔2の形式、操作条件などを選択するのがよい。具体的には、蒸留塔2としては、理論段数が1〜5段、好ましくは1〜3段であって、無堰多孔板を有する段塔が好適に用いられる。また、操作条件に関しては、減圧下、好ましくは10〜100mmHgの操作圧で、蒸留塔2の塔底温度が120℃以下、好ましくは60〜120℃となる条件下で蒸留するのが望ましい。塔底温度が高すぎるとマレイン酸に起因すると考えられる析出物が発生して長期の安全運転が困難となる。
【0029】
なお、薄膜蒸発器3については特に制限はなく、一般に薄膜蒸発器として用いられているものを使用することができる。
【0030】
薄膜蒸発器3からの缶液Aは次の熱分解槽4に導入し、ここでアクリル酸二量体を熱分解してアクリル酸に変換する。熱分解槽4の形式などについては特に制限はなく、缶液A中のアクリル酸二量体をアクリル酸に熱分解するに適当なものであればいずれも使用することができる。
【0031】
熱分解槽4での熱分解温度は通常120〜220℃であり、特に120〜160℃の範囲で熱分解するのが好適である。滞留時間(熱分解槽容量/廃油量)は熱分解温度によって変わるので一概に特定できないが、通常、20〜50時間程度の滞留時間が必要である。熱分解を高温、かつ短時間で行うと望ましくない分解、重合などが生じるおそれがある。
【0032】
熱分解槽4においてアクリル酸二量体は熱分解されてアクリル酸となるが、この分解生成物中からアクリル酸を回収するために、熱分解槽4の缶液Bの少なくとも一部を薄膜蒸発器3に循環する。残りは廃液として廃棄する。
【0033】
缶液B中のアクリル酸の回収を効率的に行うには、缶液Bの薄膜蒸発器3への循環量を多くすればよいが、通常、アクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸の1〜20質量倍、好ましくは3〜20質量倍とするのがよい。なお、缶液Bは高沸点不純物分離塔1に循環してもよいが、マレイン酸が高沸点不純物分離塔1の塔底に濃縮されて、場合によっては析出する恐れがあるので、薄膜蒸発器3に循環するのがよい。
【0034】
なお、蒸留塔2の塔頂から回収されたアクリル酸は、通常、その前の工程、例えば、精製工程、具体的には高沸点不純物分離塔1に循環して製品アクリル酸とするが、この際、上記回収されたアクリル酸中のマレイン酸含量は著しく少ないので精製工程などで濃縮されることはなく、製品アクリル酸の純度を低下させることはない。また、マレイン酸の大部分は廃液として分離除去されるので、その析出などによるトラブルの発生を著しく低減させることができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に示す工程図にしたがってアクリル酸の回収を行った。使用した蒸留塔2、薄膜蒸発器3および熱分解槽4は次のとおりである。
蒸留塔2:段数15段、無堰多孔板蒸留塔
薄膜蒸発器3:伝熱面積7.5m 、横型
熱分解槽4:容量11m
プロピレンの接触気相酸化工程、捕集工程、共沸分離工程および精製工程(高沸点不純物分離塔1)を経て得られるアクリル酸二量体およびマレイン酸を含む粗アクリル酸を0.7h/hrの流量で蒸留塔2の中段に導入した。
【0036】
蒸留塔2では、塔底温度が85℃となるように薄膜蒸発器3を制御し、操作圧力25mmHg、還流比0.9の条件下に運転して、塔頂からアクリル酸を0.5t/hrの流量で回収した(以下、このアクリル酸を回収アクリル酸という)。
【0037】
薄膜蒸発器3からの缶液は熱分解槽4に導入し、ここで槽内温度140℃、滞留時間45時間の条件下に熱分解を行い、その缶液の一部を薄膜蒸発器3に循環させた。この缶液の循環量は2.8t/hrであり、アクリル酸およびマレイン酸を含む粗アクリル酸の4質量倍であった。残りは廃液として廃棄した。
【0038】
上記アクリル酸およびマレイン酸を含む粗アクリル酸、回収アクリル酸および廃液の組成は表1のとおりであった。
【0039】
【表1】


【0040】
上記操作を6ヶ月間継続したが析出などの問題はなく安定して稼働した。なお、精製収率は98%であり、アクリル酸二量体の分解率は73.9%であった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の方法の一つの実施態様を示す工程図である。
【符号の説明】
【0042】
1 高沸点不純物分離塔
2 蒸留塔
3 薄膜蒸発器
4 熱分解槽




 

 


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