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発明の名称 多孔質セラミック薄板および該薄板を用いたセラミックシートの製法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1860(P2007−1860A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2006−210317(P2006−210317)
出願日 平成18年8月1日(2006.8.1)
代理人 【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
発明者 秦 和男 / 相川 規一 / ▲高▼▲崎▼ 恵次郎 / 下村 雅俊 / 西川 耕史
要約 課題
平板状固体電解質型燃料電池用の電解質膜の如く、多数枚を積層した状態で大きな積層荷重や熱ストレスを受ける様なセラミックシートを、グリーンシートの焼成によって製造する際に、脱脂・焼成時の収縮に起因するウネリやディンプルを抑えて表面平滑性の良好なセラミックシートを得るためのスペーサーなどとして有効に使用される多孔質セラミック薄板を提供すること。

解決手段
明細書本文中に記載された方法によって測定される摩擦係数が1.5以下であり、或いは更に通気性が0.0005m/s・kPa以上である多孔質セラミック薄板と該薄板を用いたセラミックシートの製法を開示する。
特許請求の範囲
【請求項1】
下記方法によって測定される摩擦係数が1.5以下であり、通気性が0.0005m/s・kPa以上であることを特徴とする多孔質セラミック薄板。
(摩擦係数の測定法)底面積15cm2の重しに、JIS L3201に規定されるR36Wのフェルトを張り付け、多孔質セラミック薄板の上を100mm/minで10cmの距離を移動させた時の最大応力を、重しの重さ75gで除して求める。
【請求項2】
表面のウネリ高さが50μm以下であり、且つディンプル高さが50μm以下である請求項1に記載の多孔質セラミック薄板。
【請求項3】
厚さが1mm未満である請求項1または2に記載の多孔質セラミック薄板。
【請求項4】
セラミックグリーンシートの焼成用として用いられるものである請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質セラミック薄板。
【請求項5】
複数枚のセラミックグリーンシートを重ねて焼成しセラミックシートを製造するに際し、該セラミックグリーンシートの間に、前記請求項1〜4のいずれかに記載された多孔質セラミック薄板を、上記セラミックグリーンシートの周縁がはみ出さない様に挟んで焼成することを特徴とするセラミックシートの製法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質セラミック薄板及び該薄板を用いたセラミックシートの製法に関するものである。本発明の多孔質セラミック薄板は、表面が平滑で摩擦係数が小さく且つ通気性の優れたものであり、このセラミック薄板は、例えば固体電解質膜の如き平板状固体電解質型燃料電池の素材等として使用されるセラミックシートをセラミックグリーンシートの焼成によって製造する際に、セラミックグリーンシートが載置されるセッター、あるいは該グリーンシートを重ね合わせて焼成する場合のスペーサー等として有効に活用できる。
【背景技術】
【0002】
例えば平板状固体電解質型燃料電池の構造は、固体電解質の両面にアノード電極とカソード電極を付けたセル、または、電極の表面に電解質と更に対電極を付けたセルを縦方向に多数積層したセルスタックが基本であり、このとき各セルは互いに近接して配置され、且つ燃料ガスと空気が混じり合わない様にセパレーター(インターコネクター)が各セル間に配置されると共に、電解質膜やセルの周縁部とセパレーターはシール・固定される。また、電池セルの内部にマニホールドがある場合は、その周縁部でもシール・固定される。
【0003】
このセパレーターは、一般的に比重の大きい耐熱合金やセラミックで構成されており、かなり肉厚なシート状であるため相当の質量を有している。また、上記燃料電池の構成素材として用いられるセラミックシートは、相対的に軽量且つ薄肉であることが望まれている。更に、固体電解質型燃料電池の作動温度は800〜1000℃程度と高温であるので、その構成素材には大きな積層荷重がかかると共に相当の熱ストレスを受ける。
【0004】
一方、ジルコニアシートの如きセラミックシートは硬質で曲げ方向の外力に対して脆弱であるので、固体電解質膜等の燃料電池用構成素材として使用されるセラミックシートの表面に凹凸やウネリ等があると、その個所に前記積層荷重や熱ストレスが集中してクラックや割れを起こし、発電性能が急激に低下してくる。
【0005】
そこで本発明者らは、燃料電池の固体電解質膜用等として用いられるセラミックシートの上記積載荷重や熱ストレスによるクラックや割れを低減し、燃料電池としての性能向上と寿命延長を期してかねてより研究を進めており、その研究の一環として、シートの反り量や最大ウネリ高さを所定値以下に抑えれば、上記クラックや割れの発生が可及的に抑えられることを確認し、先に提案した(特許文献1、特許文献2)。
【0006】
上記公開公報で提示したセラミックシートであれば、薄肉でかなり大版のシートであっても相当の積層荷重と熱ストレスに耐えることから、燃料電池としての発電容量の大幅な増大が可能となり、燃料電池の工業的実用化に向けて極めて有効な技術として期待される。
【0007】
いずれにしても、固体電解質膜用として用いられるセラミックシートは、反りやウネリ、ディンプル等がなく、表面の平滑なものでなければならないが、かかる表面平滑性に優れたセラミックシートを安定して得ることは決して容易なことではない。なおディンプルとは、シート表面に基本的に単独で生じている凹部または凸部であり、波の如く連続的に生じているウネリとは発生原因が異なることで区別される。
【特許文献1】特開平8−151270号公報
【特許文献2】特開平8−151271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
セラミックシートの製法としては、押出し法等によって製造したセラミックグリーンシートを耐熱材よりなるセッター上に載置し、或いは複数のセラミックグリーンシートを重ね合わせて焼成する。その場合は、セラミックグリーンシート同士が接合等を起こさない様にその間にスペーサーとして耐熱性の多孔質セラミックシートを挟んで焼成が行われる。この時、平滑性に優れたセラミックシートを得るには、その原料となるグリーンシートの平滑性を高めておくことが重要となるが、グリーンシートの平滑性を高めたからといって、焼結後のグリーンシートが表面平滑性に優れたものになるという保障はなく、しばしば予期しないウネリやディンプル等が発生し、表面平滑性が劣悪になることがあり、その理由は次の様に考えられる。
【0009】
即ちグリーンシートの焼成時に用いられる前記スペーサーとしては、予め焼成されたセラミックシートが使用されるので、グリーンシートの焼成工程では殆ど収縮しない。これに対しグリーンシートは、バインダーとして含まれる有機高分子等の熱分解による焼失と焼結の過程で長さにして70〜90%程度、面積にして50〜80%程度に収縮するので、該焼結工程では、グリーンシートと上記スペーサー等との間に滑り方向の力が作用する。
【0010】
この時、グリーンシートとスペーサー間で滑りが円滑に起これば、グリーンシートの脱脂・焼結に伴う収縮が全面で均等に生じるので、得られるセラミックシートが局部的に変形する様なことはない。ところが実際には、グリーンシート−スペーサー間の滑りが必ずしも円滑に起こるとは限らず、両者の重ね面における不均一な滑りによってグリーンシート面に局部的な引張り力や圧縮力が作用することがあり、これらの引張り力や圧縮力に起因して焼結されるグリーンシートの表面で不均一な内部応力が生じてウネリやディンプルなどを起こす原因となる。しかも脱脂・焼結工程では、前述の如く有機質バインダーの燃焼乃至熱分解に伴って多量の分解ガスが発生するが、該分解ガスの放出除去がシート表面で不均一になると、得られるセラミックシートの表面にピンホールやディンプル、ウネリなどが発生し、製品欠陥の原因となる。
【0011】
本発明はこうした状況を考慮してなされたものであり、グリーンシートを脱脂・焼成し、例えば平板状固体電解質膜用等として使用されるセラミックシートを製造する際に、脱脂・焼成時にスペーサー等として使用することによって、ピンホールやディンプル、ウネリなどがなく表面平滑性に優れたセラミックシートの製造を実現し得る様な多孔質セラミック薄板を提供すると共に、該薄板を用いたセラミックシートの製法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決することのできた本発明にかかる多孔質セラミック薄板とは、下記方法によって測定される摩擦係数が1.5以下であり、
(摩擦係数の測定法)底面積15cm2の重しに、JIS L3201に規定されるR36Wのフェルトを張り付け、多孔質セラミック薄板の上を100mm/minで10cmの距離を移動させた時の最大応力を、重しの重さ75gで除して求める、
好ましくは更に、通気性が0.0005m/s・kPa以上であるところに要旨を有している。
【0013】
本発明の上記多孔質セラミック薄板においては、上記摩擦係数の要件を満たし、好ましくは更に上記通気性の要件を満たし、更には、表面のウネリ高さが50μm以下で且つディンプル高さが50μm以下であるものが好ましく、またその厚さは1mm未満であるものが好ましく、この多孔質セラミック薄板は、表面の摩擦係数が小さくて優れた滑り性を有しており、且つ高い通気性を有しているので、表面平滑性の要求されるセラミックシートを製造する際のスペーサーとして有効に活用できる。
【0014】
また、本発明にかかるセラミックシートの製法とは、複数枚のセラミックグリーンシートを重ねて焼成しセラミックシートを製造するに際し、該セラミックグリーンシートの間に、前記多孔質セラミック薄板を、上記セラミックグリーンシートの周縁がはみ出さない様に挟み、通常は大気雰囲気下で焼成することにより、ピンホールやディンプル、ウネリなどがなく表面平滑性に優れたセラミックシートを得るところに特徴を有している。
【発明の効果】
【0015】
本発明の多孔質セラミック薄板は、上記の様に摩擦係数が特定され、或いは更に通気性の特定されたものであり、該薄板をスペーサーとして用いて、グリーンシートの脱脂・焼成によりセラミックシートを製造する際に、該脱脂・焼成に伴う収縮によるウネリやディンプルなどを抑え、表面平滑性の優れたセラミックシートを得ることができる。
【0016】
従って、この多孔質セラミック薄板を用いて得られるセラミックシートは、例えば平板状固体電解質型燃料電池用の固体電解質膜等の構成素材として優れた耐積層荷重性と耐熱ストレス性を有し、稼動時のクラックや割れの発生を可及的に抑えることができ、高性能で且つ耐久寿命の大幅に改善された燃料電池の製造を可能にする。
【0017】
また本発明の多孔質セラミック薄板は、上記グリーンシート焼成用のスペーサー以外にも、その優れた摩擦係数や通気性を活かし、断熱材や台板、セッター、重し材などの焼成治具、更には吸音材、制振材、透水材の如き建材用途にも有効に活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明者らは前述した様な解決課題の下で、特に平板状固体電解質型燃料電池の構成素材等として高レベルの表面平滑性が求められるセラミックシートを、グリーンシートの脱脂・焼成によって製造する際に、該グリーンシートの間に挟んで配置されるスペーサーに注目して研究を行なった結果、上記の様にスペーサーとして挟み込まれる多孔質セラミック薄板の摩擦係数を特定し、好ましくは更に通気性を特定すれば、グリーンシート脱脂・焼成時に生じる前述した様な局部的な引張応力や圧縮応力、あるいは分解ガス抜けの不均一によるピンホールやディンプル、ウネリなどが抑えられ、表面平滑性に優れたセラミックシートが確実に製造可能になることを知り、本発明に想到したものである。
【0019】
以下、多孔質セラミック薄板の特性を定めた理由を主体にして詳細に説明していく。
【0020】
先ず本発明の多孔質セラミック薄板は、前述した方法によって求められる表面の摩擦係数が1.5以下でなければならず、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.0以下のものが望ましい。即ち該薄板の摩擦係数は、先に述べた様にこれをスペーサーとして用いてグリーンシートの脱脂・焼成を行なう際に、グリーンシートの収縮に伴う該薄板面との滑りを円滑にし、グリーンシート表面で不均一な引張力や圧縮力が生じるのを防止する上で極めて重要な特性であり、該摩擦係数が1.5を超えるものでは、グリーンシートの脱脂・焼成時に該薄板との間に局部的な歪みが生じてその近辺で引張力と圧縮力が生じ、これがピンホールやディンプル、ウネリを生じる原因になるばかりでなく、極端な場合は裂け目を生じる原因となる。ところが、摩擦係数が1.5以下である薄板を使用すると、脱脂・焼結時にグリーンシートが収縮する際にも、該薄板の表面で該グリーンシートは該収縮に伴って円滑に摺動することができ、局部的な引張力や圧縮力を生じることがないので、最終的に得られるセラミックシートの表面平滑性は非常に優れたものとなる。
【0021】
次に、該多孔質セラミック薄板は、グリーンシートの脱脂・焼成時に発生する分解ガスの放散を円滑にし、局部的なガス抜け不良に起因するピンホールやディンプルを防止することが必要であり、そのためには、通気性を0.0005m/s・kPa以上、より好ましくは0.001m/s・kPa以上、更に好ましくは0.005m/s・kPa以上とすることが望ましい。しかして、該薄板の通気性が0.0005m/s・kPa未満では、グリーンシートの脱脂・焼結時におけるガス抜けが不良もしくは不均一となり、ピンホールやディンプルの発生防止作用が不十分になることがある。尚、こうした通気性を満たす限り気孔径は特に制限されないが、気孔径が大きいほど通気性が良好となってガス抜けはよくなるので、気孔径は平均で0.5μm以上、よりこのましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上とするのがよい。
【0022】
そして、グリーンシート脱脂・焼成時の上記障害を確実に阻止するには、上記摩擦係数を満たすことが必須であるが、好ましくは該摩擦係数に加えて前記通気性の要件を満たすものが好ましい。
【0023】
また、本発明に係る上記効果をより有効に発揮させるには、該多孔質セラミック薄板の表面性状として、ウネリ高さが50μm以下、より好ましくは20μm以下で且つ最大ディンプル高さが50μm以下、より好ましくは20μm以下であるものを使用することが望ましい。しかして、該薄膜表面に高いウネリやディンプルが存在すると、それらの突出部分に滑り方向の応力が集中して円滑な滑りの障害となるからであり、それらを可及的に小さく抑えることによってより円滑な滑りを確保することができる。
【0024】
なおこれらウネリやディンプル高さの測定法は特に制限されないが、例えばレーザー光学式三次元形状測定装置を使用し、シート面にレーザー光を照射してその反射光を三次元形状解析することによって求めることができる。即ちレーザー光学式三次元形状測定装置とは、被測定対象となるセラミックシート面にレーザー光を照射してシート表面でフォーカスを結び、その反射光をフォトダイオード上に均等に結像させるとき、シート面が変位に対し像に不均等が生じると、即座にこれを解消する信号を発して対物レンズの焦点を常にシート面に合う様にレンズが制御される構造を備えた非接触式の微小三次元形状解析装置であり、その移動量を検出することによって、被測定対象となるシート面の凹凸を非接触的に検出することができる。その分解能は通常1μm以下、より好ましくは0.1μm以下のものが使用され、この様な装置を使用することによって、シート表面のウネリやディンプル高さを正確に検知できる。
【0025】
また、表面粗さは平均粗さRaで0.1〜5μmの範囲が好ましく、該範囲よりも粗過ぎても又平滑に過ぎても、滑りは悪くなる傾向が見られる。
【0026】
また、該多孔質セラミック薄板の厚さは可能な限り薄く、且つ軽いものを使用することが望ましい。しかして、前述の如くグリーンシートを多層積層状態で脱脂・焼結を行なう際には、該グリーンシートの間に配置される多孔質セラミック薄板が厚くなると積層状態での重さが増し、積層荷重によって円滑な滑りが阻害されるからであり、従って当該積層荷重を可及的に小さく抑えるには、該多孔質セラミック薄板自体を薄肉で且つ軽量なものを使用することが望ましく、厚さで1mm未満、より好ましくは0.8mm未満、更に好ましくは0.5mm以下で、重さは0.15g/cm2以下、より好ましくは0.1g/cm2以下、更に好ましくは0.08g/cm2程度以下にすることが望ましい。但し、あまりに薄くなり過ぎると強度不足となってハンドリング性に悪影響を及ぼす恐れが出てくるので、好ましくは0.1mm程度以上にすることが望まれる。
【0027】
本発明に係る多孔質セラミック薄板の更に他の好ましい要件として、高温安定性や強度が挙げられる。即ち本発明の多孔質セラミック薄板は、前述の如く主としてグリーンシートを脱脂・焼成する際のスペーサーとして使用され、使用時に高温に曝されるので、該脱脂・焼成条件下で寸法や通気性の変動がなく高温安定性に優れたものであることが好ましく、具体的には1500℃に加熱した時でも収縮率が1%以下で通気性の低下が1%以下であるものが好ましい。また、安定したハンドリング性を確保すると共に脱脂・焼成時の割れ等を確実に防止するには曲げ強度も優れたものであることが望ましく、3点曲げ強度×(厚さ)2で5N以上のものが好ましい。
【0028】
該多孔質セラミック薄板のサイズは、脱脂・焼結対象となるグリーンシートのサイズ等によって変わってくるので一律に決めることはできないが、その効果がより有効に発揮されるのは、片側表面積が100cm2以上の大版物である。
【0029】
上記の様に本発明の多孔質セラミック薄板は、通気性と摩擦係数を特定し、好ましくは更にウネリやディンプル高さ等を可及的に小さくした点に特徴を有しているが、通気性を高めるべく該薄板の多孔度を高めるにつれてウネリやディンプルが大きくなって表面の平坦度は低下し、摩擦係数は大きくなる傾向が生じてくる。
【0030】
従って、摩擦係数を小さくするには、下記の様な方法を採用することが望ましい。その一つの方法は、焼成によって得られる多孔質セラミック薄板の表面を研磨し、或いは、より平坦なセラミック板に挟み込んで再焼成することによって表面平滑性を高める方法である。但しこれらの方法では、工程数の増大によるコストアップを招く他、表面研磨もしくは再焼成工程でセラミック薄板が割れを起こして歩留まり低下を生じる恐れがあるので、好ましくは、多孔質セラミック薄板製造用グリーンシートを焼成する際に、表面平滑性の高い重しを載せて焼成を行ない、焼成時の変形などを可及的に防止できる方法を採用することが望ましい。但し、重しを載せて焼成を行なう際に、有機質バインダーの熱分解によって生成するガスの放散が該重しによって阻害されると、ウネリやディンプルを生じる原因になるので、該重しとしては分解ガスのガス抜けが速やかに行なわれる様に、気孔率が20%程度以上の多孔質体よりなる重しを使用することが望ましい。
【0031】
更に、該焼成時の分解ガスの放散を滞りなく均一に進行させるには、分解ガスの発生速度に応じて昇温速度を調整し、或いは更に、焼成されるべきグリーン体近傍の雰囲気ガス(熱風)の流通を良くすることが効果的である。
【0032】
この時、重しの荷重が小さいと荷重による平坦化効果が不十分になり、逆に重過ぎるとグリーン体同士が付着し合ったり、分解ガスの抜けが不良になってウネリやディンプルが生じ易くなることもあるので、重しとしては0.05〜1g/cm2の範囲のものを使用することが推奨される。この時、グリーン体同士の接合を防止するため、重ね合わせ面に付着防止のための粉体を介在させておくことは極めて有効であり、該粉体を介在させることは、分解ガスのガス抜け促進にも有効に作用するので好ましい。
【0033】
ここで用いられる粉体としては、平均粒子径が0.3〜100μmの範囲のものが好ましく、0.3μm未満の粉末では余りに微細であるため上記接合阻止作用や分解ガスの放散促進作用が有効に発揮されず、また特に無機質粉末の場合は、焼結時に粉末自体が多孔質セラミック薄板の表面に融着することがあり、一方100μmを超える粗粒物では、得られる多孔質セラミック薄板の表面粗度が大きくなって摩擦係数が大きくなる恐れがでてくる。こうした利害得失を考慮してより好ましい粉体の平均粒子径は2μm以上、80μm以下、更に好ましくは5μm以上、60μm以下である。粉体として特に好ましいのは、粗粒子の少ないものであり、90体積%の粒子が200μm以下、更に好ましくは100μm以下のものである。
【0034】
該粉体としては、有機質および無機質のいずれであっても構わないが、中でも特に好ましいのは有機質粉体である。しかして無機質粉体は、焼成後も多孔質セラミック薄板表面に残存するばかりでなく、その種類によっては多孔質セラミック薄板表面に融着することがあり、焼成後の除去が煩雑になる恐れがあるが、有機質粉体であれば、焼成条件下で焼失してしまうので後処理による除去作業などが不要であるからである。尚、グリーン体の焼成が完了して多孔質セラミック薄板となった後は、もはや多孔質セラミック薄板同士が接合を起こす恐れはなく、また有機質バインダー成分の放散も完了しているので、粉体が残存していなくても全く差し支えない。しかし、多孔質セラミック薄板の種類によっては、有機質粉体と共に少量の無機質粉体を併用し、焼結の末期まで少量の粉体を残存させることも有効である。無機質粉体を使用する場合でも、好ましくは有機質粉体の使用量を50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上とすることが望ましい。
【0035】
上記有機質粉体としては、上記の様に焼成条件下で焼失するものであればその種類の如何は問わず、天然有機質粉体もしくはアクリル樹脂粉体、メラミンシアヌレートなどの昇華性樹脂粉体などの合成有機樹脂粉体等を使用できるが、中でも特に好ましいのは、小麦粉、トウモロコシ澱粉(コーンスターチ)、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の澱粉質粉体である。しかして澱粉質粉体は、ほぼ球形で粒径の揃った微粉末であり、不純物なども殆ど含まれておらず、滑剤としての作用も非常に優れたものであるからである。これら有機質粉体は、単独で使用してもよく或いは必要により2種以上を適宜併用することが可能である。
【0036】
また無機質粉体の種類も特に限定されないが、好ましいのは天然もしくは合成の各種酸化物や非酸化物、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ムライトや、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化珪素、カーボン等であり、これらも単独で使用し得る他、必要により2種以上を併用できるが、好ましくは使用する多孔質セラミック薄板の素材に応じて、これらに対して反応性の低い無機質粉体を選択使用するのがよい。
【0037】
これらの粉体は、例えば刷毛塗り、バフ塗り、粉体を分散媒に分散させて噴霧する方法、篩を通して振り落とす方法、粉体の浮遊流動層中或いは粉体溜めの表面にグリーン体を通過させる方法などが好ましい方法として推奨され、その好ましい付着量は、焼結対象となるグリーン体の面積当たり0.0001cm3/cm2以上、より好ましくは0.0002cm3/cm2以上で、0.1cm3/cm2以下、より好ましくは0.02cm3/cm2以下である。
【0038】
多孔質セラミック薄板の素材となるセラミックの種類は、焼結対象となるセラミックグリーンシートの素材に応じて、これらと焼結条件下で反応することのない素材が適宜選択されるが、最も好ましいのは、高温での安定性が良好で他のセラミック素材との反応を起こし難く且つ安価なアルミナ主体のものであり、好ましくはアルミナ含量が50質量%以上、より好ましくは70質量%以上で、シリカ含有量が30質量%以下のアルミナ・シリカ系セラミック材である。この時、繊維状のアルミナやSiCウイスカーなどを使用すれば、高通気性の多孔質セラミック薄板が得られ易いので好ましい。また、セラミック粉体やウイスカーと共に適量のカーボンブラックなどを気孔発生材として添加することによって通気性を高めることも有効である。
【0039】
本発明にかかる多孔質セラミック薄板の製造は特に制限されないが、ドクターブレード法、カレンダーロール法、押出し法、プレス法、抄造法等が挙げられる。好ましくは、セラミック原料粉末と有機質もしくは無機質バインダーおよび分散媒(溶剤)、必要により分散剤や可塑剤などを含むスラリーを、平滑なシート、例えばポリエステルシート上に適当な厚みで塗布し、乾燥して分散剤を揮発除去することによりグリーン体を得、これを適当な大きさに打抜いた後、これを好ましくは粉体を介して多数枚重ね合わせ、多孔質セラミック板よりなる重し載せて棚板上に載置し、大気雰囲気下に1,000〜1,600℃程度の温度で2〜5時間程度加熱焼成する方法が採用される。
【0040】
ここで使用されるバインダーの種類にも格別の制限はなく、従来から知られた有機質もしくは無機質のバインダーを適宜選択して使用することができる。有機質バインダーとしては、例えばエチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリレート系及びメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類、エチルセルロース等のセルロース類等が例示される。
【0041】
これらの中でもグリーン体の成形性や打抜き加工性、強度、焼成時の熱分解性等の点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の炭素数10以下のアルキル基を有するアルキルアクリレート類、およびメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等の炭素数20以下のアルキル基を有するアルキルメタクリレート類、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキルアクリレートまたはヒドロキシアルキルメタクリレート類、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノアルキルアクリレートまたはアミノアルキルメタクリレート類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、モノイソプロピルマレートの如きマレイン酸半エステル等のカルボキシル基含有モノマーの少なくとも1種を重合または共重合させることによって得られる、数平均分子量が2,000〜200,000、より好ましくは5,000〜100,000の(メタ)アクリレート系共重合体が好ましいものとして推奨される。これらの有機質バインダーは、単独で使用し得る他、必要により2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらの中でも特に好ましいのは、イソブチルメタクリレートおよび/または2−エチルヘキシルメタクリレートを60質量%以上含むモノマーの共重合体である。
【0042】
また無機質バインダーとしては、ジルコニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル等が単独で若しくは2種以上を混合して使用することができる。
【0043】
多孔質セラミック薄板を製造する際に用いられる原料粉末とバインダーの使用比率は、前者100質量部に対して後者5〜30質量部、より好ましくは10〜20質量部の範囲が好適であり、バインダーの使用量が不足する場合は、グリーン体の強度や柔軟性が不十分となり、逆に多過ぎる場合はスラリーの粘度調節が困難になるばかりでなく、焼成時のバインダー成分の分解放出量が多く且つ激しくなり、均質で通気性や摩擦係数の安定した多孔質セラミック薄板が得られ難くなる。
【0044】
またグリーン体の製造に使用される分散媒としては、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール等のアルコール類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類等が適宜選択して使用される。これらの分散媒も単独で使用し得る他、2種以上を適宜混合して使用することができる。これら分散媒の使用量は、グリーン体成形時におけるスラリーの粘度を加味して適当に調節するのがよく、好ましくはスラリー粘度が1〜100Pa・s、より好ましくは2〜20Pa・sの範囲となる様に調整するのがよい。
【0045】
上記スラリーの調製に当たっては、セラミック原料粉末の解膠や分散を促進するため、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウム等の高分子電解質、クエン酸、酒石酸等の有機酸、イソブチレンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩あるいはアミン塩、ブタジエンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩等からなる分散剤;グリーンシートに柔軟性を付与するためのフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、プロピレングリコール等のグリコール類やグリコールエーテル類からなる可塑剤など;更には界面活性剤や消泡剤などを必要に応じて添加することができる。
【0046】
かくして得られる本発明の多孔質セラミック薄板は、セラミックシートを製造する際のスペーサーなどとして有効に利用される。
【0047】
セラミックシートの素材となるセラミックとしては、ジルコニア、アルミナ、チタニア、窒化アルミニウム、ホウ珪酸ガラス、コージェライト、ムライトなど様々の単独、混合もしくは複合酸化物が挙げられるが、本発明が特に有効に活用されるのは、平板状固体電解質型燃料電池の固体電解質膜や電極シートである。固体電解質膜用として特に好ましいのはジルコニア系セラミックであり、具体的には、ジルコニアにMgO,CaO,SrO,BaOなどのアルカリ土類金属酸化物、Y23,La23,Ce23,Pr23,Nd23,Sm23,Eu23,Gd23,Tb23,Dy23,Ho23,Er23,Yb23などの希土類金属酸化物、更にはSc23,Bi23,In23などの安定化剤などを1種もしくは2種以上含有するジルコニア系セラミックが挙げられ、その中には他の添加剤としてSiO2,Al23,Ge23,SnO2,Ta25,Nb25などが含まれていてもよい。
【0048】
この他、CeO2またはBi23にCaO,SrO,BaO,Y23,La23,Ce23,Pr23,Nd23,Sm23,Eu23,Gd23,Tb23,Dr23,Ho23,Er23,Yb23,PbO,WO3,MoO3,V25,Ta25,Nb25等の1種もしくは2種以上を添加したセリア系またはビスマス系、更にはLaGaO3の如きガレート系の酸化物を含むものであっても構わない。
【0049】
また、アノード電極シートの構成素材としては、Ni,Co,Feあるいはこれらの酸化物等と、上記ジルコニア及び/又はセリアとのサーメット、更にはこれらにMgO,CaO,SrO,BaOなどのアルカリ土類金属酸化物やMgAl24などを添加したサーメットなどが、またカソード電極シートの構成素材としては、ぺロブスカイト型結晶構造を有するランタン・マンガネート、ランタン・コバルテート、あるいは、これらのうちランタンをCa,Srなどで一部置換し、もしくはマンガンをCo,Fe,Crなどで一部置換し、更にはランタンとコバルトの一部をCa,Sr,Co,Feなどで置換した複合酸化物などが例示される。
【0050】
なお、燃料電池の固体電解質膜用などとして使用されるセラミックシートにはより高度の熱的、機械的、電気的、化学的特性が要求されるので、こうした要求特性を満足させるには、2〜12モル%、より好ましくは2.5〜10モル%、更に好ましくは3〜8モル%の酸化イットリウムで安定化された酸化ジルコニウム(正方晶及び/又は立方晶ジルコニア)がより好ましいものとして推奨される。
【0051】
また、該ジルコニアシートを特に燃料電池用の固体電解質膜や電極用シートとして実用化する場合は、要求強度を満たしつつ電気抵抗を可及的に抑えるため、シート厚さを10μm以上、より好ましくは50μm以上で、500μm以下、より好ましくは300μm以下とするのが良い。
【0052】
また該シートの形状としては、円形、楕円形、角形、R(アール)を持った角形など何れでもよく、これらのシート内に同様の円形、楕円形、角形、Rを持った角形などの穴を1つもしくは2つ以上有するものであってもよい。更にシートの面積は、50cm2以上、好ましくは100cm2以上である。なおこの面積とは、シート内に穴がある場合は、該穴の面積を含んだ総面積を意味する。
【0053】
これらセラミックシートの製造は、常法に従ってセラミック原料粉末と有機質もしくは無機質バインダーおよび分散媒(溶剤)、必要により分散剤や可塑剤などを含むスラリーを、ドクターブレード法、カレンダーロール法、押出し法等によって平滑なシート、例えばポリエステルシート上に適当な厚みで塗布し、乾燥して分散媒を揮発除去することによりグリーンシートを得、これを適当な大きさに打抜いた後、前述の様に多孔質セラミック薄板を載せて、あるいは多孔質セラミック薄板に挟んで棚板上に載置し、大気雰囲気下に1,000〜1,600℃程度の温度で2〜5時間程度加熱焼成する方法が採用される。
【0054】
この時、出来上がりシートの表面均質性を高め、ディンプルやウネリをより小さくするには、セラミックシートの原料粉末として平均粒径が0.1〜0.8μmの範囲で、且つできるだけ粒径の揃ったもの(粒度分布の小さなもの)、具体的には、該粉末の90体積%以上が5μm以下であるものを使用するのがよい。
【0055】
該グリーンシートを製造する際に用いられるバインダーや分散媒の種類にも格別の制限はなく、先に多孔質セラミック薄板の製造原料として例示した有機質もしくは無機質のバインダーあるいは分散媒の1種もしくは2種以上が同様に適宜選択して使用できる。
【0056】
また、スラリーを調製する際に、セラミック原料粉末の解膠や分散を促進するため、前述した様な分散剤を添加し、或いはグリーンシートに柔軟性を付与するための可塑剤など;更には界面活性剤や消泡剤などを必要に応じて添加することも有効である。
【0057】
本発明は以上の様に構成されており、摩擦係数を特定し、或いは更に通気性を特定し、更には表面のウネリやディンプルなどを特定することによって、特に平板状固体電解質型燃料電池用の固体電解質膜等として使用されるセラミック板をグリーンシートの脱脂・焼成によって製造する際に、スペーサー等として使用することにより、該グリーンシート焼成時の収縮による変形や分解ガスの不均一放出によるディンプルの発生などを効果的に抑えることができ、表面平滑性に優れたセラミックシートを確実に提供し得ることになった。
【0058】
また本発明の多孔質セラミック薄板は、その優れた摩擦係数を活かし、上記スペーサー以外にもセッターや棚板材、台板等の焼成治具、その他の耐火材や断熱材、更には吸音材、制振板、耐熱材、透水材等として、適度の滑りと通気性が求められる用途にも有効に活用できる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0060】
実施例1
平均粒子径が55μmの低ソーダアルミナ粉末(昭和電工社製商品名「AL−13」)100質量部に対し、メタクリレート系共重合体からなるバインダー(平均分子量:30,000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量%)12質量部、可塑剤としてジブチルフタレート2質量部、分散媒としてトルエン/イソプロピルアルコール(質量比=3/2)の混合溶媒30質量部を、直径10mmのジルコニアボールが装入されたナイロンポットに入れ、約60rpmで40時間混練してスラリーを調製した。このスラリーを濃縮脱泡して粘度を8Pa・sに調整し、ドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗工して多孔質セラミック薄板用のグリーンシートを得た。
【0061】
このグリーンシートを、連続型打抜き装置(坂本造機社製商品名「865B」)に刃型を取り付けて、プレスストローク:40mm、プレススピード:80spmで所定の寸法に切断した。切断した該多孔質セラミック薄板用のグリーンシートを、表面を研磨したアルミナ板上に重ねて載せ、刷毛を用いてその上にコーンスターチを均一に塗布した。その上に同様にして多孔質セラミック薄板用のグリーンシートを重ね合わせ、同様の操作を繰り返して合計10枚の多孔質セラミック薄板用グリーンシートをコーンスターチを介して重ね合わせた。その上に、更に厚さ1.5mmのアルミナ板(三井金属工業社製「Y−1」、気孔率:約26%、重さ:約0.5g/cm2)を載せた。該重しを含めたグリーンシート重ねの高さは約5.2mmであり、棚板を支える支柱の高さは25mmとした。
【0062】
この状態で大気雰囲気下に500℃で脱脂した後、1550℃で2時間焼成することにより、多孔質セラミック薄板を得た。該セラミック薄板の厚さは0.3mm、最大摩擦係数は0.97、通気性は0.003m/s・kPaであった。
【0063】
また、該多孔質セラミック薄板20枚について、レーザー光学式三次元形状測定装置を用いて表面にレーザー光を照射し、その三次元形状解析を行なうことによってウネリ高さおよびディンプル高さを調べたところ、最大ウネリ高さは15μm、最大ディンプル高さは30μmであった。また同じ薄板から10mm×50mmの試験片を作製して3点曲げ強度を測定したところ、50MPaであった。
【0064】
実施例2
平均粒子径が55μmの低ソーダアルミナ粉体64質量部、平均粒子径が0.6μmの低ソーダアルミナ粉体16質量部、気孔剤としてカーボンブラック20質量部の合計100質量部を原料とし、グリーンシートの厚さを変更した以外は上記実施例1と同様の方法で、厚さ0.8mm、最大摩擦係数0.91、通気性0.012m/s・kPaの多孔質セラミック薄板を得た。該多孔質セラミック薄板の最大ウネリ高さは20μm、最大ディンプル高さは40μm、3点曲げ強度は8MPaであった。
【0065】
実施例3
平均粒子径が55μmの低ソーダアルミナ粉体85質量部、平均粒子径が0.6μmの低ソーダアルミナ粉体10質量部、SiCウイスカー5質量部の合計100質量部を原料として使用し、グリーンシートの厚さを変更した以外は上記実施例1と同様の方法で、厚さ0.5mm、最大摩擦係数1.0、通気性0.0006m/s・kPaの多孔質セラミック薄板を得た。該多孔質セラミック薄板の最大ウネリ高さは30μm、最大ディンプル高さは45μm、3点曲げ強度は90MPaであった。
【0066】
比較例1
平均長さ12mm、平均径3μmのシリカ・アルミナ繊維(アルミナ含量:80質量%)に、酢酸ビニル系バインダーを添加して混合してから抄造成形し、乾燥・焼成することにより、厚さ1.2mm、最大摩擦係数1.6、通気性0.01m/s・kPaの多孔質セラミック薄板を得た。該多孔質セラミック薄板の最大ウネリ高さは60μm、最大ディンプル高さは80μm、3点曲げ強度は8MPaであった。
【0067】
実施例4
上記比較例1で得た多孔質セラミック薄板の表面を、1200番の砥石で厚さ0.6mmまで均一に研磨すると、ウネリ高さは40μm、最大ディンプル高さは40μmとなり、該薄板表面の最大摩擦係数は1.1にまで改善された。但し、薄くなったため強度が不足気味となり、後述する評価試験を行なった際に1枚に割れが生じた。
【0068】
比較例2
バインダーを15質量部、混練時間を10時間とし、グリーンシート形成時の厚さを変えた他は前記実施例1と同様にして多孔質セラミック薄板用のグリーンシートを作製し、1600℃で2時間焼成することによって多孔質セラミック薄板を得た。該多孔質セラミック薄板の厚さは0.7mm、最大摩擦係数は1.6、通気性は0.0004m/s・kPaであり、ウネリ高さは60μm、最大ディンプル高さは40μmで、3点曲げ強度は80MPaであった。
【0069】
実施例5
平均粒子径が0.6μmの低ソーダアルミナ粉末(昭和電工社製商品名「AL−160SG」)100質量部に対し、メタクリレート系共重合体からなるバインダー(平均分子量:30,000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量%)18質量部、可塑剤としてジブチルフタレート2質量部、分散媒として酢酸エチル/トルエン(質量比=3/2)の混合溶媒50質量部を、前記実施例1と同様の方法で混練し、脱泡後ポリエチレンテレフタレートフィルム上に同様の方法で塗工して多孔質セラミック薄板用のグリーンシートを得た。
【0070】
このグリーンシートを、重しを載せなかった以外は前記実施例1と同様の方法で切断し焼成して多孔質セラミック薄板を得た。この薄板は、若干の反りとウネリが見られたため、研磨した緻密質のアルミナ板に挟んで1450℃で反り修正の再焼成を行なった。得られた多孔質セラミック薄板の厚さは0.3mm、最大摩擦係数は1.0、通気性は0.0002m/s・kPaであり、ウネリ高さは15μm、最大ディンプル高さは65μmで、3点曲げ強度は250MPaであった。
【0071】
参考例1
グリーンシートを重ねる際に、コーンスターチの塗布を省略した以外は前記実施例5と同様の方法で多孔質セラミック薄板の製造を試みたが、焼成後の状態でセラミック薄板には大きなウネリが発生すると共に、薄板同士が相互に付着しており、剥がそうとすると割れてしまった。
【0072】
評価試験
(ジルコニアグリーンシートの作製)
市販の3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素社製商品名「HSY−3.0」、平均粒子径:0.7μm、90%径:1.9μm)100質量部に対し、メタクリレート系共重合体からなるバインダー(分子量:30,000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量%)30質量部、可塑剤としてジブチルフタレート2質量部、分散媒としてトルエン/イソプロピルアルコール(質量比=3/2)の混合溶媒50質量部を、直径10mmのジルコニアボールが装入されたナイロンポットに入れ、約60rpmで40時間混練してスラリーを調製した。
【0073】
このスラリーを濃縮脱泡して粘度を3Pa・sに調整し、最後に200メッシュのフィルターに通してからドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗工し、厚さ約300μmのグリーンシートを得た。
【0074】
このグリーンシートを、連続型打抜き機(同前)に刃型を取付けて、プレスストローク:40mm、プレススピード:80spmで所定の寸法・形状に切断した。
【0075】
(ジルコニアグリーンシートの焼成と評価)
棚板上に、前記実施例、比較例で得た一辺42cmの正方形状の多孔質セラミック薄板を載せ、この上に上記で得た一辺40cmの正方形状のジルコニアグリーンシートを重ね、同様にして更に交互に4枚ずつ多孔質セラミック薄板とジルコニアグリーンシートを重ね合わせ、最後に多孔質セラミック薄板を載せた。
【0076】
この様にして、各多孔質セラミック薄板とジルコニアグリーンシートを各々5枚ずつ重ね合わせ、それらを大気雰囲気下に1400℃で2時間焼成することにより、一辺300mm、厚さ約220μmのジルコニアシートを得た。各ジルコニアシートを目視観察することにより、ピンホールおよび裂け目の発生量を調べた。結果を、各実施例および比較例で得た多孔質セラミック薄板の特性と共に、表1に一括して示す。
【0077】
【表1】






 

 


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