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発明の名称 アクリルフィルム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−91784(P2007−91784A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−279478(P2005−279478)
出願日 平成17年9月27日(2005.9.27)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
発明者 小山 浩士
要約 課題
表面処理や印刷を施しても、巻き取り外観不良が生じ難いアクリルフィルムを提供する。

解決手段
メタクリル樹脂とアクリルゴム粒子を含有するアクリルフィルムの側端部にナーリング加工を施す。そのナーリング高さは3〜30μmであり、ナーリング加工が施されていない部分の厚みは50〜500μmである。メタクリル樹脂としては、メタクリル酸アルキルを50〜100重量%、アクリル酸アルキルを0〜50重量%、及びこれら以外の単量体を0〜49重量%の割合で重合させてなる重合体が好ましく用いられ、アクリルゴム粒子としては、アクリル酸アルキルを50〜99.9重量%、これ以外の単官能単量体を0〜49.9重量%、及び多官能単量体を0.1〜10重量%の割合で重合させてなる弾性重合体を含有する粒子が好ましく用いられる。
特許請求の範囲
【請求項1】
メタクリル樹脂及びアクリルゴム粒子を含有するフィルムの側端部にナーリング加工が施されてなり、そのナーリング高さが3〜30μmであり、かつ、ナーリング加工が施されていない部分の厚みが50〜500μmであることを特徴とするアクリルフィルム。
【請求項2】
メタクリル樹脂が、メタクリル酸アルキルを50〜100重量%、アクリル酸アルキルを0〜50重量%、及びこれら以外の単量体を0〜49重量%の割合で重合させてなる重合体である請求項1に記載のアクリルフィルム。
【請求項3】
アクリルゴム粒子が、アクリル酸アルキルを50〜99.9重量%、これ以外の単官能単量体を0〜49.9重量%、及び多官能単量体を0.1〜10重量%の割合で重合させてなる弾性重合体を含有する粒子である請求項1又は2に記載のアクリルフィルム。
【請求項4】
アクリルゴム粒子が、前記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸アルキルを50〜100重量%、アクリル酸アルキルを0〜50重量%、及びこれら以外の単量体を0〜49重量%の割合で重合させてなる重合体の層を有する多層構造の粒子である請求項3に記載のアクリルフィルム。
【請求項5】
アクリルゴム粒子が、前記弾性重合体の層の内側に、メタクリル酸アルキルを70〜100重量%、及びこれ以外の単量体を0〜30重量%の割合で重合させてなる重合体の層を有する多層構造の粒子である請求項4に記載のアクリルフィルム。
【請求項6】
表面処理用途に適用される請求項1〜5のいずれかに記載のアクリルフィルム。
【請求項7】
印刷用途に適用される請求項1〜5のいずれかに記載のアクリルフィルム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナーリング(knurling)加工が施されたアクリルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にフィルムの巻き取りによる巻きズレや巻き緩み、あるいはゲージバンドと呼ばれる(ピストンリングとも呼ばれる)厚みムラに起因する外観不良などを抑制するため、フィルムの側端部にナーリング加工と呼ばれる(ローレット加工、エンボス加工とも呼ばれる)微小な凹凸型付けによる厚み出し加工を施すことが知られている。例えば、特開平8−262621号公報(特許文献1)、特開平9−319029号公報(特許文献2)、特開2002−211803号公報(特許文献3)には、セルロースアセテートフィルムやポリエステルフィルムに所定のナーリング処理を施すことが開示されている。
【0003】
ところで、アクリルフィルムは、一般に光学物性に優れることから、例えば表示部材や自動車内装部材など、各種製品の表面素材として好ましく用いられ、特に、表示部材の表面素材として用いられる場合、反射防止処理やハードコート処理などの表面処理が施されることが多く、また、自動車内装部材の表面素材として用いられる場合、印刷が施されることが多い。そして、このようなアクリルフィルムとしては、表面処理や印刷の容易性の点から、例えば特開2003−334853号公報(特許文献4)に開示の如き、表面平滑性の高いものが好ましく用いられる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−262621号公報
【特許文献2】特開平9−319029号公報
【特許文献3】特開2002−211803号公報
【特許文献4】特開2003−334853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表面平滑性の高いアクリルフィルムは、巻き取りの際、フィルム面間に空気層が存在し難いため、高い密着性を発現して、ゲージバンドが発生し易く、これに表面処理を施すと、さらに表面平滑性が高められて、ゲージバンドの発生が顕著となることがある。また、表面処理や印刷が施されたアクリルフィルムは、巻き取りやその後の巻き戻しの際、表面処理層や印刷層に傷が付いたり、剥がれが生じたりすることがある。これらの外観不良を抑制するため、マスキングフィルムを添付する処方も知られているが、マスキングフィルムは通常、使い捨てであるため、製造コスト面で大きな負担となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、表面処理や印刷を施しても、巻き取り外観不良が生じ難いアクリルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究を行った結果、所定の組成及び厚みを有するアクリルフィルムの側端部に所定のナーリング加工を施すことにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、メタクリル樹脂及びアクリルゴム粒子を含有するフィルムの側端部にナーリング加工が施されてなり、そのナーリング高さが3〜30μmであり、かつ、ナーリング加工が施されていない部分の厚みが50〜500μmであるアクリルフィルムを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表面処理や印刷を施しても、巻き取り外観不良が生じ難いアクリルフィルムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のアクリルフィルムは、メタクリル樹脂及びアクリルゴム粒子を必須に含有するものである。
【0011】
アクリルフィルムの必須成分の1つであるメタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステルとこれ以外の単量体との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸のアルキルエステルが好ましく用いられる。
【0012】
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%であり、より好ましくは、メタクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、アクリル酸アルキルが0.1〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
【0013】
ここで、メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
【0014】
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
【0015】
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、ここでは通常、単官能単量体が用いられる。そして、その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物や、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物などが挙げられる。
【0016】
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0017】
メタクリル樹脂は、耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であるのが好ましく、60℃以上であるのがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
【0018】
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより、調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
【0019】
アクリルフィルムのもう1つの必須成分であるアクリルゴム粒子は、ゴム成分としてアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を含有する粒子であり、この弾性重合体のみからなる単層構造の粒子であってもよいし、この弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であってもよい。また、この弾性重合体は、アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸エステルとこれ以外の単量体との共重合体であってもよい。ここで、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸のアルキルエステルが好ましく用いられる。
【0020】
アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、アクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、これ以外の単官能単量体が0〜49.9重量%、多官能単量体が0.1〜10重量%である。
【0021】
ここで、アクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは4〜8である。
【0022】
また、アクリル酸アルキル以外の単官能単量体は、メタクリル酸アルキルその他の単官能単量体であることができ、その例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例や、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様である。
【0023】
また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。中でも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや、多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましく用いられる。
【0024】
なお、上記のアクリル酸アルキル、これ以外の単官能単量体、及び多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0025】
アクリルゴム粒子として多層構造のものを使用する場合、その好適な例としては、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を内層とし、メタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも2層構造のものを挙げることができる。ここで、外層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルが好ましく用いられる。また、外層の重合体は、内層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。外層の重合体を、内層の弾性重合体100重量部に対し10重量部以上とすることで、該弾性重合体の凝集が生じ難くなり、透明性が良好となる。
【0026】
外層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
【0027】
ここで、メタクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
【0028】
また、アクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8である。
【0029】
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体であってもよいし、多官能単量体であってもよいが、ここでは通常、単官能単量体が使用され、その例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様である。
【0030】
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0031】
また、多層構造のアクリルゴム粒子の好適な例として、上記2層構造の内層であるアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、このメタクリル酸エステルを主体とする重合体を内層とし、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を中間層とし、先のメタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも3層構造のものを挙げることもできる。ここで、内層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルが好ましく用いられる。また、内層の重合体は、中間層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。
【0032】
上記内層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが70〜100重量%、これ以外の単量体が0〜30重量%である。
【0033】
ここで、メタクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
【0034】
また、メタクリル酸アルキル以外の単量体は、アクリル酸アルキルその他の単官能単量体であってもよいし、多官能単量体であってもよい。そして、この単官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例や、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、多官能単量体の例は、先にアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
【0035】
なお、上記のメタクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
【0036】
アクリルゴム粒子は、先に述べたアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、調製することができる。その際、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、この外層の重合体の単量体成分を、上記弾性重合体の存在下に、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。また、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、まず、この内層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させ、次いで、得られる重合体の存在下に、上記弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記内層の重合体にグラフトさせ、さらに、得られる弾性重合体の存在下に、上記外層の重合体の単量体成分を、乳化重合等により、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。なお、各層の重合を、それぞれ2段以上で行う場合、いずれも、各段の単量体組成ではなく、全体としての単量体組成が所定の範囲内にあればよい。
【0037】
アクリルゴム粒子の粒径については、該ゴム粒子中のアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の平均粒子径が、0.05〜0.4μmであるのが好ましく、より好ましくは0.06〜0.3μm、さらに好ましくは0.1〜0.25μmである。この平均粒子径があまり大きいと、フィルムの透明性が低下するため、好ましくない。また、この平均粒子径があまり小さいと、フィルムの耐衝撃性が低下して脆くなり、生産性も低下するため、好ましくない。
【0038】
なお、上記平均粒子径は、アクリルゴム粒子をメタクリル樹脂と混合してフィルム化し、その断面において酸化ルテニウムによる上記弾性重合体の層の染色を施し、電子顕微鏡で観察して、染色された部分の直径から求めることができる。すなわち、アクリルゴム粒子をメタクリル樹脂に混合し、その断面を酸化ルテニウムで染色すると、母相のメタクリル樹脂は染色されず、上記弾性重合体の層の外側にメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層が存在する場合は、この外層の重合体も染色されず、上記弾性重合体の層のみが染色されるので、こうして染色され、電子顕微鏡でほぼ円形状に観察される部分の直径から、粒子径を求めることができる。上記弾性重合体の層の内側にメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層が存在する場合は、この内層の重合体も染色されず、その外側の上記弾性重合体の層が染色された2層構造の状態で観察されることになるが、この場合は、2層構造の外側、すなわち上記弾性重合体の層の外径で考えればよい。
【0039】
アクリルフィルムにおけるメタクリル樹脂とアクリルゴム粒子との配合割合は、両者の合計100重量部を基準に、好ましくは、メタクリル樹脂が50〜95重量部、アクリルゴム粒子が5〜50重量部であり、より好ましくは、メタクリル樹脂が60〜90重量部、アクリルゴム粒子が10〜40重量部である。アクリルゴム粒子の割合が多いほど、フィルムの柔軟性や耐衝撃性が向上して、ナーリング加工時又は加工後のフィルムの破断を防ぎ易いが、あまり多くすると、フィルムの透明性や表面硬度が低下する傾向にある。
【0040】
なお、アクリルフィルムには、必要に応じて、メタクリル樹脂及びアクリルゴム粒子以外の成分、例えば、紫外線吸収剤、染料、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤などが配合されていてもよい。
【0041】
本発明のアクリルフィルムは、以上説明した所定の組成を有するフィルムの側端部に、ナーリング加工が施されてなるものである。ここで、ナーリング加工とは、先に述べたとおり、微小な凹凸型付けによる厚み出し加工のことをいい、ローレット加工、エンボス加工と呼ばれることもある。
【0042】
図1は、ナーリング加工の例を模式的に示すフィルム側端部の断面図である。この図1中、(A)は、片面(図では上面)に突起を設け、反対側の面(図では下面)には該突起に対応する位置に凹陥を設けた例であり、(B)は、片面(図では上面)に突起及び凹陥を設け、反対側の面(図では下面)は平滑面とした例であり、(C)は、両面に突起及び凹陥を設けた例である。通常は、このようなナーリング加工を、フィルムを巻き取る際の幅方向の両端部において帯状に施せばよく、その帯幅は、各側端部においてそれぞれ、フィルム全体の幅の0.5〜5%程度である。また、突起の個数は、1cm2あたり通常10〜100個程度である。
【0043】
ナーリング加工により設ける突起や凹陥の形状として、図1(A)〜(C)の各例では台形を示したが、この台形は、円錐台形であってもよいし、角柱台形であってもよい。また、台形以外の形状としては、例えば、円柱や角柱、円錐や角錐などが挙げられ、不定形であってもよい。2種以上の形状を混在させることも可能である。
【0044】
そして、本発明では、フィルムにナーリング加工を施す際、そのナーリング高さを3〜30μm、好ましくは10〜25μmに調整する。ここで、ナーリング高さとは、ナーリング加工が施された部分の厚みから、ナーリング加工が施されていない部分の厚みを差し引いた値であり、図1(A)〜(C)の各例では、ナーリング加工が施された部分の厚みt’から、ナーリング加工が施されていない部分の厚みtを差し引いた「t’−t」の値である。ナーリング高さがあまり小さいと、フィルムの巻き取り外観不良を十分に抑制できず、あまり大きいと、ナーリング加工時や加工後にフィルムが破断し易くなる。なお、ナーリング加工が施されていない部分が厚み較差を有する場合は、その平均厚みを用いてナーリング高さを算出すればよいが、その際、ナーリング高さが該較差を上回るようにするのがよい。
【0045】
また、ナーリング加工が施されていない部分の厚みは、50〜500μmであり、好ましくは60〜200μmである。ナーリング加工が施されていない部分の厚みがあまり小さいと、この部分の表面平滑性が高いフィルムを得ようとする場合に、その製膜が困難となると共に、フィルムの強度が低くなり、ナーリング加工時や加工後にフィルムが破断し易くなる。一方、ナーリング加工が施されていない部分の厚みがあまり大きいと、フィルムの剛性が高くなり、表面処理や印刷を連続的に行う場合に、機器への挿入が困難になる。
【0046】
本発明のアクリルフィルムは、典型的には、前記のメタクリル樹脂及びアクリルゴム粒子を含有する樹脂組成物を成形して、一旦、ナーリング加工が施されていない厚み50〜500μmのフィルムを製膜し、次いでこのフィルムにナーリング加工を施すことにより、製造することができる。ここで、上記樹脂組成物の成形方法としては、例えば、溶融流延法、溶融押出法、カレンダー法などが挙げられるが、中でも、表面平滑性の高いフィルムの製膜が容易であることから、上記樹脂組成物をフィルム状に溶融押出し、該フィルム状物を一対の鏡面ロールに挟み込んで成形する方法が好ましく用いられる。また、ナーリング加工は、得られたフィルムの少なくとも側端部を、所定の表面形状を有する一対のロール、具体的には、ロール表面のフィルム側端部が接触する位置に、該フィルム側端部に設けるべき突起や凹陥の逆形状に相当する凹陥や突起を有する一対のロールで挟み込むことにより、好適に行うことができる。その際、ロールやフィルムは必要により加熱してもよいが、いわゆる冷間機械法により加熱せずに行うのが、簡便で有利である。また、ロール表面の凹陥の深さや突起の高さは、フィルムの弾性による型戻りを考慮して、フィルに設けるべき突起の高さや凹陥の深さより大きくしておくのがよい。
【0047】
また、本発明のアクリルフィルムは、前記のメタクリル樹脂及びアクリルゴム粒子を含有する樹脂組成物を成形してフィルムを製膜する際に、製膜と同時にナーリング加工を施すことによっても、製造することができる。ここで、上記樹脂組成物の成形方法としては、上記樹脂組成物をフィルム状に溶融押出し、該フィルム状物を一対のロールに挟み込んで成形する方法が好ましく用いられ、その際、ロール表面に所定の表面形状、具体的には、ロール表面のフィルム側端部が接触する位置に、該フィルム側端部に設ける突起や凹陥の逆形状に相当する凹陥や突起を設けておくことにより、製膜と同時にナーリング加工を行うことができる。また、ナーリング加工が施されない部分の厚みは、製膜速度やロール間隙などを調節することにより、50〜500μmとすればよい。
【0048】
以上のようにして得られる本発明のアクリルフィルムは、所定の組成、厚み、及びナーリング高さを兼ね備えることにより、巻き取っても、ゲージバンドが発生し難く、これに表面処理を施して表面平滑性が高められた状態で巻き取っても、ゲージバンドが発生し難い。また、これに表面処理や印刷を施して、巻き取ったり、さらに巻き戻したりしても、表面処理層や印刷層の傷付きや剥がれが生じ難い。このため、これらの巻き取り外観不良を防止するために、マスキングフィルムを添付する必要もなく、製造コストの点でも有利である。
【0049】
本発明のアクリルフィルムに表面処理を施す場合、この表面処理の種類としては、例えば、反射防止処理や低反射処理、ハードコート処理、防汚処理などが挙げられ、必要により2種以上の処理を併用して施してもよい。これらの表面処理は、塗布、蒸着、スパッタリングなどにより行うことができる。そして、こうして表面処理が施された本発明のアクリルフィルムを、表示部材を始め各種製品に貼合することにより、該製品に表面機能を付与することができる。その際、貼合は、接着剤や粘着剤を用いて行ってもよいし、熱融着により行ってもよい。特に、貼合を熱融着で行うと、フィルムのナーリング加工が施された部分を平滑面に戻すことができるので、フィルムが有効に使えて有利である。
【0050】
また、本発明のアクリルフィルムに印刷を施す場合、この印刷は、シルク印刷、スクリーン印刷、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷などにより行うことができる。そして、こうして印刷が施された本発明のアクリルフィルムを、自動車内装部材を始め各種製品に貼合することにより、該製品に意匠性を付与することができる。その際、貼合は、上記同様、接着剤や粘着剤を用いて行ってもよいし、熱融着により行ってもよい。また、フィルムを射出成形金型内にセットして、ここに自動車内装部材などの製品の原料となる樹脂を溶融させて打ち込むことにより、該製品の射出成形と同時に貼合する方法も有効である。
【実施例】
【0051】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。
【0052】
メタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル97.8%及びアクリル酸メチル2.2%からなる単量体のバルク重合により得られた、ガラス転移温度104℃の熱可塑性重合体のペレットを用いた。なお、このガラス転移温度は、JIS K 7121に従って、示差走査熱量測定(DSC)により加熱速度10℃/分で求めた補外ガラス転移開始温度である。
【0053】
アクリルゴム粒子(A)としては、最内層がメタクリル酸メチル93.8%とアクリル酸メチル6%とメタクリル酸アリル0.2%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体であり、中間層がアクリル酸ブチル81%とスチレン17%とメタクリル酸アリル2%とからなる単量体の重合により得られた弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチル94%とアクリル酸メチル6%とからなる単量体の重合により得られた硬質重合体であり、最内層/中間層/最外層の重量割合が35/45/20であり、中間層の弾性重合体の層の平均粒子径が0.22μmである、乳化重合法による球形3層構造のゴム粒子を用いた。
【0054】
アクリルゴム粒子(B)としては、上記アクリルゴム粒子(A)と基本的に同じ組成であるが、重合条件を変えることにより、中間層の弾性重合体の層の平均粒子径が0.14μmとなった球形3層構造のゴム粒子を用いた。
【0055】
なお、上記のアクリルゴム粒子(A)及び(B)における中間層の弾性重合体の層の平均粒子径は、以下の方法で測定した。
【0056】
〔弾性重合体の層の平均粒子径の測定〕
アクリルゴム粒子をメタクリル樹脂と混合してフィルム化し、得られたフィルムを適当な大きさに切り出し、切片を0.5%四酸化ルテニウム水溶液に室温で15時間浸漬し、該ゴム粒子中の弾性重合体の層を染色した。さらに、ミクロトームを用いて約80nmの厚みにサンプルを切断した後、透過型電子顕微鏡で写真撮影を行った。この写真から無作為に100個の染色された弾性重合体の層を選択し、その各々の粒子径を算出した後、その数平均値を平均粒子径とした。
【0057】
実施例1〜5、比較例1〜5
上記のメタクリル樹脂ペレットと、アクリルゴム粒子(A)又は(B)とを、表1に示す割合でスーパーミキサーにて混合した後、二軸押出機にて溶融混練して樹脂組成物のペレットとした。次いで、このペレットを一軸押出機〔東芝機械(株)製、65mmφ〕にて溶融させ、設定温度275℃のT型ダイスを介して押し出し、得られるフィルム状物を、一対の金属製鏡面ロールに挟み込んで成形することにより、幅が約1mで、表1に示す厚みを有するアクリルフィルムを得た。このアクリルフィルムの幅方向両端部の各1cm幅に対し、冷間機械法により、ナーリング加工を施した。その際、ナーリングの形態は、図1(A)に示される如く、片面に突起を設け、もう片面に凹陥を設ける形態とし、突起数は50個/cm2、ナーリング高さは表1に示す値とした。
【0058】
上記ナーリング加工の際のフィルムの破断の有無を表1に示した。また、ナーリング加工後のフィルムについて、以下の評価を行い、結果を表1に示した。
【0059】
〔破断性〕
JIS K 5400−1990「塗料一般試験方法」の「8.塗膜の抵抗性に関する試験方法」、「8.1 耐屈曲性」に従って、フィルムの耐屈曲性を評価し、ナーリング部からのノッチ効果による破断が発生したものを×、破断が発生しなかったものを○とした。
【0060】
〔外観〕
フィルムを巻き取って、目視により巻物状態を観察し、ゲージバンドが見られたものを×、見られなかったものを○とした。
【0061】
〔表面処理〕
フィルムを連続コーティング機に投入し、その片面に、UV硬化型ハードコート塗料を塗布してUV硬化させることにより、ハードコート層を形成した後、該ハードコート層の上に、UV硬化型反射防止塗料を塗布してUV硬化させることにより、反射防止層を形成した。このフィルムを巻き取って、目視により巻物状態を観察し、次いで、巻き戻して、目視により反射防止層の表面を観察した。巻物状態においてゲージバンドが見られたもの、又は反射防止層の表面に傷付き若しくは剥がれが見られたものを×、いずれも見られなかったものを○とした。
【0062】
【表1】


【0063】
* ナーリング加工時のフィルムの破断が著しく、評価不可。
**フィルムの剛性が高く、評価不可。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】ナーリング加工の例を模式的に示すフィルム側端部の断面図である。




 

 


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