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発明の名称 アゾ化合物及び該化合物を含有する偏光膜
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−84803(P2007−84803A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2006−223963(P2006−223963)
出願日 平成18年8月21日(2006.8.21)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
発明者 芦田 徹
要約 課題
高い偏光性能はもとより、耐光性についても一層、向上した偏光膜及び該偏光膜を与える偏光膜用の染料化合物を提供する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
式(I)で表されるアゾ化合物。


(式中、Aは、スルホ及びカルボキシからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性基を1〜2個有するフェニル又は該水溶性基を1〜3個有するナフチルを表す。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 は、同一であっても相異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシを表す。Xは、−N=N−又は−NHCO−を表し、Y及びYは、同一であっても相異なっていてもよく、カルボキシ、スルホ及びヒドロキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭化水素基又は水素原子を表す。Y及びYの少なくとも一方は該炭化水素基であり、Zは、カルボキシ又はスルホを表す。)
【請求項2】
アゾ化合物(I)に含まれるスルホ及びカルボキシが、カチオンとともにアニオンとして存在するか、または、有機アミンとともに、スルホン酸基またはカルボキシル基として存在する請求項1に記載のアゾ化合物。
【請求項3】
Aが、モノスルホフェニル又はジスルホナフチルである請求項1又は2に記載のアゾ化合物。
【請求項4】
1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 が、それぞれ独立に、水素原子、メチル又はメトキシである請求項1〜3のいずれかに記載のアゾ化合物。
【請求項5】
及びYのいずれか一方が水素原子である請求項1〜4のいずれかに記載のアゾ化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のアゾ化合物を偏光膜基材に含有せしめてなる偏光膜。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のアゾ化合物、及び、極大吸収波長が500〜570nmの範囲である染料を偏光膜基材に含有せしめてなる偏光膜。
【請求項8】
極大吸収波長が500〜570nmの範囲である染料が、下式(V)で表される化合物である請求項7に記載の偏光膜。


(式中、Dは、スルホ及びカルボキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性基を1〜2個有するフェニル、又は該水溶性基を1〜3個有するナフチルを表す。Dのフェニル若しくはナフチルには、炭素数1〜4のアルキル及び/又は炭素数1〜4のアルコキシが1〜2個有していてもよい。R7、R8、R9及びR10は、互いに同一又は相異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコシキを表す。Eは−NH−、−N=N−又は−NHCO−を表す。Fは、フェニルを表し、Fのフェニルには、ヒドロキシ、アミノ、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ及びスルホからなる群から選ばれる基が1〜2個結合していてもよい。nは0又は1を表す。)
【請求項9】
化合物(V)中のR7、R8、R9及びR10が、互いに独立に、水素原子、メチル又はメトキシである請求項8に記載の偏光膜。
【請求項10】
化合物(V)中のFが、ヒドロキシ又はアミノを有するフェニルである請求項8または9に記載の偏光膜。
【請求項11】
Dが、モノスルホフェニル又はジスルホナフチルである請求項8〜10のいずれかに記載の偏光膜。
【請求項12】
偏光膜基材が、ポリビニルアルコールである請求項6〜11のいずれかに記載の偏光膜。
【請求項13】
請求項6〜12のいずれかに記載の偏光膜を有する液晶表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用カーナビゲーション、液晶プロジェクターなどの液晶表示装置(LCD)、プロジェクションテレビなどのフラットパネル表示装置(FPD)に用いられる染料系偏光膜及び該偏光膜に好適なアゾ化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用カーナビゲーションや液晶プロジェクターなどの液晶表示装置(LCD)、プロジェクションテレビなどのフラットパネル表示装置(FPD)は、光量の増加や屋外で使用されるようになった。このような装置に用いられる偏光膜は、高い偏光度を有することはもとより、高温下にて長時間、光を照射しても透過率が低下しないという耐光性が求められている。
前記装置の偏光膜には、延伸配向したポリビニルアルコール又はその誘導体のフィルムなどの偏光膜基材に、偏光材料としてのヨウ素や二色性染料を含有された偏光膜や、ポリ塩化ビニルフィルムの脱塩酸又はポリビニルアルコール系フィルムの脱水によりポリエンを生成して、配向された偏光膜などが用いられている。
そして、特許文献1においては、偏光材料として下記式で表されるアゾ化合物又はその塩を二色性染料として用いる染料系偏光膜が高い偏光度を有し、しかも高温下における耐光性が優れていることが開示されている。


【0003】
【特許文献1】特開2001−240762号公報(第7頁、式(Ib))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、LCDやFPDが数多く使用されるにともなって、偏光膜における耐光性についても一層の向上が求められている。
本発明の目的は、高い偏光性能はもとより、耐光性についても一層、向上した偏光膜及び該偏光膜を与える偏光膜用の染料化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I)で表されるアゾ化合物、及び、該化合物を有する偏光膜である。


(式中、Aは、スルホ及びカルボキシからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性基を1〜2個有するフェニル又は該水溶性基を1〜3個有するナフチルを表す。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 は、同一であっても相異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシを表す。Xは、−N=N−又は−NHCO−を表し、Y及びYは、同一であっても相異なっていてもよく、カルボキシ、スルホ及びヒドロキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭化水素基又は水素原子を表す。Y及びYの少なくとも一方は該炭化水素基であり、Zは、カルボキシ又はスルホを表す。)
【発明の効果】
【0006】
本発明の化合物を含有する偏光膜は、偏光度が高く、また、本発明の偏光膜は長時間、光照射しても劣化しない、すなわち耐光性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
式(I)におけるAは、スルホ及びカルボキシからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性基を1〜2個有するフェニル、又は該水溶性基を1〜3個有するナフチルを表す。つまり、Aは、スルホ及び/若しくはカルボキシルが1〜2個結合しているフェニル、又は、スルホ及び/若しくはカルボキシが1〜3個結合しているナフチルである。
フェニルとしては、例えば、2−スルホフェニル、3−スルホフェニル又は4−スルホフェニルなどのモノスルホフェニル、2−カルボキシフェニル、3−カルボキシフェニル、4−カルボキシフェニルなどのモノカルボキシフェニル、2,4−ジスルホフェニル、2,5−ジスルホフェニルなどのジスルホフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、2−カルボキシ−4−スルホフェニル、2−カルボキシ−5−スルホフェニルなどが挙げられ、中でもモノスルホフェニルは入手が容易であることから好ましい。
【0008】
また、ナフチルとしては、例えば、5−スルホ−2−ナフチル、6−スルホ−2−ナフチル、7−スルホ−2−ナフチル、8−スルホ−2−ナフチル、4−スルホ−1−ナフチル、5−スルホ−1−ナフチル、6−スルホ−1−ナフチル、7−スルホ−1−ナフチルなどのモノスルホナフチル、6,8−ジスルホ−2−ナフチル、4,8−ジスルホ−2−ナフチル、5,7−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−ジスルホ−1−ナフチル、4,6−ジスルホ−1−ナフチルなどのジスルホナフチル、、3,6,8−トリスルホ−2−ナフチル、4,6,8−トリスルホ−2−ナフチル等が挙げられ、中でも、ジスルホナフチルは入手容易であることから好ましく、とりわけ、ジスルホ−2−ナフチルが好ましい。
【0009】
式(I)におけるR1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 は、互いに同一又は相異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシを表す。該アルキル及びアルコキシは、直鎖もしくは分岐状のいずれでもよい。アルキルの具体例としては、メチル、エチル及びプロピルなどが挙げられ、アルコキシの具体例としては、メトキシ、エトキシ及びプロポキシ等が挙げられる。
1〜R6としては、偏光度の観点から、水素原子、メチル又はメトキシが特に好ましい。
【0010】
式(I)におけるXは、−N=N−又は−NHCO−を表す。Zは、カルボキシ又はスルホを表す。
【0011】
及びYは、同一又は相異なり、カルボキシ、スルホ及びヒドロキシからなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基が結合している炭化水素基、又は水素原子を表し、Y及びYの少なくとも一方は該炭化水素基である。
-NY12の基としては、例えば、−NHCHCOOH、−NHCCOOH、
−NHCCOOH、−NHCCOOH、−NHCOH、
−NHCSOH、−NHCH(CH)COOH、
−NH(COOH)CHOH、−NHCH(COOH)CH(CH
−NHCH(COOH)CHCH(CH、−NH(COOH)CHCOOH、
−NH(COOH)CCOOH、−NH(COOH)CH(OH)CHCHなどが挙げられる。
【0012】
アゾ化合物(I)又はその塩は、例えば、以下に述べる方法によって製造することができる。
即ち、先ず、下式(II−1)


(式中、Yは、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子を表し、Zは前記と同じ意味を表す。)
【0013】
で示される芳香族ニトロ化合物を、水性溶媒中、下式(II−2)で表されるアミン化合物


(式中、Y及びYは前記と同じ意味を表す。)
【0014】
と反応させて、下式(II−3)


(式中、Y、Y、及びZは前記と同じ意味を表す。)
で示される中間体を得る。ついで、上記(II−3)で得られる中間体を、水性溶媒中、ニトロ基の還元を行い、下式(II−4)
【0015】


(式中、Y、Y、及びZは前記と同じ意味を表す。)
で示される芳香族アミン化合物を得る。
【0016】
次いで、上記(II−4)で得られる芳香族アミン化合物を、水性溶媒中、クロロ炭酸フェニルと反応させて、下式 (III)


(式中、Y、Y、及びZは前記と同じ意味を表す。)
で示されるカルバメート化合物を得る。
【0017】
次いで、このカルバメート化合物と、式(IV)


(式中、A、X、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、前記と同じ意味を表す。)
で示されるアゾ中間化合物とを、水性溶媒中、20〜60℃で反応させることにより、アゾ化合物(I)を得ることができる。
【0018】
上記水性溶媒とは、水と任意に割合で混合し得る有機化合物、又は該有機化合物と水との混合溶媒である。水と任意に割合で混合し得る有機化合物としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3のアルコールが用いられる。
【0019】
アゾ化合物(I)の例示をナトリウム塩で表すと、式(I-1)〜(I-10)の化合物などが挙げられる。


【0020】
アゾ化合物(I)に含まれるスルホ及びカルボキシは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのようなアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなどのカチオンとともにアニオンとして存在するか、または、エタノールアミンやアルキルアミンのような有機アミン等とともに、スルホン酸基またはカルボキシル基として存在する。アゾ化合物(I)を偏光膜基材に含有させる場合は、ナトリウムイオンとともにアニオンの形で用いるのが好ましい。
【0021】
本発明の偏光膜は、前記アゾ化合物を偏光膜基材に含有してなるものである。
偏光膜には、前記アゾ化合物に加えて、他の有機染料を含有させることにより、色相を補正し、偏光性能を向上させることができる。この場合に用いられる有機染料としては、二色性の高いものであればいかなる染料でもよいが、特に耐光性に優れる染料を選択することにより、液晶プロジェクター用途に適した偏光膜とすることができる。
とりわけ、極大吸収波長が500〜570nmの範囲である染料を用いると、色相を補正し、偏光性能を向上させることができる。
【0022】
極大吸収波長が500〜570nmの範囲である染料としては、下式(V)で示される化合物が例示される。


【0023】
ここで、式(V)中のDは、スルホ及び/若しくはカルボキシを1〜2個有するフェニル、又は1〜3個のスルホを有するナフチルを表す。Dのフェニル若しくはナフチルには、炭素数1〜4のアルキル及び/又は炭素数1〜4のアルコキシが1〜2個結合していてもよい。
Dのフェニルとしては、例えば2−スルホフェニル、3−スルホフェニル、4−スルホフェニルなどのモノスルホフェニル;2−カルボキシフェニル、3−カルボキシフェニル、4−カルボキシフェニルなどのモノカルボキシフェニル;2,4−ジスルホフェニル、2,5−ジスルホフェニルなどのジスルホフェニル;3,5−ジカルボキシフェニル;2−カルボキシ−4−スルホフェニル、2−カルボキシ−5−スルホフェニルなどのカルボキシスルホフェニル;2−メチル−4−スルホフェニル、3−メチル−4−スルホフェニル、2−メチル−4−スルホフェニル、2,5−ジメチル−4−スルホフェニルなどのアルキルスルホフェニル;3−メチル−4−カルボキシフェニル、2,5−ジメチル−4−カルボキシフェニルなどのアルキルカルボキシフェニル;2−メトキシ−4−スルホフェニル、3−メトキシ−4−スルホフェニル、2,5−ジメトキシ−4−スルホフェニルなどのアルコキシスルホフェニル;2−メトキシ−4−カルボキシフェニル、3−メトキシ−4−カルボキシフェニル、2,5−ジメトキシ−4−カルボキシフェニルなどのアルコキシカルボキシフェニル等が挙げられる。
フェニルとしては、中でもモノスルホフェニルは入手が容易であることから好ましい。
【0024】
また、Dのナフチルとしては、例えば、5−スルホ−2−ナフチル、6−スルホ−2−ナフチル、7−スルホ−2−ナフチル、8−スルホ−2−ナフチル、4−スルホ−1−ナフチル、5−スルホ−1−ナフチル、6−スルホ−1−ナフチル、7−スルホ−1−ナフチルなどのモノスルホナフチル;6,8−ジスルホ−2−ナフチル、4,8−ジスルホ−2−ナフチル、5,7−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−ジスルホ−2−ナフチル、3,6−ジスルホ−1−ナフチル、4,6−ジスルホ−1−ナフチルなどのジスルホナフチル;3,6,8−トリスルホ−2−ナフチル、4,6,8−トリスルホ−2−ナフチルなどのトリスルホナフチル等が挙げられる。
ナフチルとしては、ジスルホナフチルが入手容易であることから好ましく、とりわけジスルホ−2−ナフチルが好ましい。
【0025】
式(V)中のR7、R8、R9及びR10は、互いに同一又は相異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシを表す。該アルキル及びアルコキシは、直鎖もしくは分岐状のいずれでもよい。アルキルの具体例としては、メチル、エチル及びプロピルなどが挙げられ、アルコキシの具体例としては、メトキシ、エトキシ及びプロポキシ等が挙げられる。
〜R10としては、偏光度の観点から、水素原子、メチル又はメトキシが特に好ましい。
【0026】
Eは−NH−、−N=N−又は−NHCO−を表す。
Fは、フェニルを表し、Fのフェニルには、ヒドロキシ、アミノ、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ及びスルホからなる群から選ばれる基が1〜2個結合していてもよい。ここでアルキル及びアルコキシとしては、R〜R10として例示された基が挙げられる。Fとしては、フェニル、4−アミノフェニル及びヒドロキシフェニルは製造が容易であることから好ましい。
nは0又は1を表し、特にnが0の場合は、製造が容易であることから好ましい。
【0027】
式(V)の化合物をナトリウム塩で表すと、式(V-1)〜(V-7)などが例示される。


【0028】
化合物(V)に含まれるスルホ及びカルボキシは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのようなアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなどのカチオンとともにアニオンとして存在するか、または、エタノールアミンやアルキルアミンのような有機アミン等とともに、スルホン酸基またはカルボキシル基として存在する。化合物(V)を偏光膜基材に含有させる場合は、ナトリウムイオンとともにアニオンの形で用いるのが好ましい。
【0029】
式(V)で表される化合物は、アゾ化合物(I)に準じた方法で製造することができる。
具体的には下式で表されるアゾ化合物を酸性の水性溶媒中、0〜40℃で亜硝酸ナトリウムを反応させたのち、


(式中、n、D、R〜R10は前記と同じ意味を表す。)
【0030】
下記式で表される化合物を0〜40℃、pH6〜11の水性溶媒中で反応させることにより、化合物(V)を得ることができる。


(式中、E及びFは前記と同じ意味を表す。)
【0031】
本発明の偏光膜は、アゾ化合物(I)、好ましくは、式(V)の化合物などのような極大吸収波長が500〜570nmの範囲である染料、必要に応じて、さらに他の有機染料を含んでなる二色性染料を、高分子フィルム状の偏光膜基材に公知の方法で含有させることによって、製造することができる。
本発明の偏光膜に用いられる偏光膜基材としては、例えば、ポリビニルアルコール系の樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂などからなるものが挙げられる。ここでいうポリビニルアルコール系の樹脂には、ポリ酢酸ビニルの部分又は完全ケン化物であるポリビニルアルコール自体のほか、ケン化EVA樹脂のような、酢酸ビニルと他の共重合可能な単量体、例えば、エチレンやプロピレンのようなオレフィン類、クロトン酸やアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、ビニルエーテル類などとの共重合体のケン化物、さらにはポリビニルアルコールをアルデヒドで変性したポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなどが挙げられる。
偏光膜基材としては、ポリビニルアルコール系のフィルム、特にポリビニルアルコールフィルムが、染料の吸着性及び配向性の点から、好適に用いられる。
【0032】
偏光膜基材に二色性染料を含有させる方法としては、通常、高分子フィルムを染色する方法が採用される。染色は、例えば次のようにして行うことができる。まず、二色性染料を水に溶解して染浴を調製する。染浴中の染料濃度は特に制限されないが、通常は0.0001〜10重量%の範囲から選択される。また、必要により染色助剤を用いてもよく、例えば、芒硝を染浴中で1〜10重量%用いるのが好適である。このようにして調製した染浴に高分子フィルムを浸漬し、染色を行う。染色温度は、好ましくは40〜80℃である。二色性染料の配向は、高分子フィルムを延伸することによって行われる。延伸する方法としては、例えば湿式法や乾式法など、公知のいずれの方法を採用してもよい。高分子フィルムの延伸は、染色の前に行っても、染色の後に行ってもよい。
【0033】
二色性染料を含有させ、配向させた高分子フィルムは、必要に応じて、公知の方法によりホウ酸処理などの後処理が施される。このような後処理は、偏光膜の光線透過率、偏光度及び耐久性を向上させる目的で行われる。ホウ酸処理の条件は、用いる高分子フィルムの種類や用いる染料の種類によって異なるが、一般的には、ホウ酸水溶液のホウ酸濃度を1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%の範囲とし、処理は、通常、30〜80℃、好ましくは50〜80℃の温度範囲で行われる。さらには必要に応じて、カチオン系高分子化合物を含む水溶液でフィックス処理を併せて行ってもよい。
【0034】
このようにして得られた偏光膜は、その片面又は両面に、光学的透明性及び機械的強度に優れる保護膜を貼合して、偏光板とすることができる。保護膜を形成する材料は、従来から使用されているものでよく、例えば、セルロースアセテート系フィルムやアクリル系フィルムのほか、四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン共重合体のようなフッ素樹脂系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルムなどが用いられる。
【0035】
本発明のアゾ化合物又はその塩を含む偏光膜は、ヨウ素系偏光膜に匹敵する高い偏光度を示し、さらに、耐久性と長時間曝露に対する耐光性に優れている。
本発明の偏光膜はその優れた特性から、カーナビゲーション、液晶プロジェクター、プロジェクション用テレビなどの大光量の液晶表示装置等に好適に使用することができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例により、何ら限定されるものではない。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、重量%及び重量部である。
【0037】
(実施例1)
式(1−1)


で示される芳香族ニトロ化合物23.8部を、水100部に加えた後、水酸化ナトリウム5部を加え、その後、β−アラニン178部を加え、90℃で、5時間保温した。
【0038】
式(1−1)で示される芳香族ニトロ化合物の消失を確認した後、冷却し、析出した結晶をろ過して、式(1−2)で示される中間体を得た。


【0039】
その後、上記で得た中間体(1−2)の全量を、水中、鉄粉還元を行い、式(1−3)で示される中間体を得た。


【0040】
次いで、式(1−3)で示される中間体13部を水100部に溶解した後、20〜25℃の温度で、15%炭酸ナトリウム水溶液によりpH7〜8に調整しながら、クロロ炭酸フェニル8部を30分かけて滴下した。滴下終了後、同温度及び同pHで1時間攪拌後、析出した結晶を濾過して、式(1−4)で示される中間体を得た。


【0041】
上記で得た中間体(1−4)の全量と、式(2)


【0042】
で示されるジスアゾ中間化合物7部を、水100部及びN−メチルピロリドン100部の混合液に加え、40〜45℃の温度で、15%炭酸ナトリウム水溶液によりpH8〜9に調整しながら3時間攪拌した。不溶解物を濾過により除いた後、濾液にエタノール300部を加えて結晶を析出させた。この析出した結晶を濾過した後、得られたケーキを水220部とN−メチルピロリドン80部の混合液に再度、溶解した。この液に塩化ナトリウム30部を加え、析出した結晶を濾過することにより、(I-1)で示されるジスアゾ化合物の塩を得、この塩は、水性媒体中でλmax(極大吸収波長)406nmを示した。
【0043】
(偏光膜の製造例)
厚さ75μm のポリビニルアルコールフィルム[クラレビニロン#7500、(株)クラレ製品]を縦一軸に5倍延伸して、偏光膜基材とした。このポリビニルアルコールフィルムを緊張状態に保ったまま、実施例1で得られた式(I-1)で示されるジスアゾ化合物の塩を0.025%、染色助剤である芒硝を2.0%の濃度とした70℃の水溶液に浸漬した。次に78℃の7.5%ホウ酸水溶液に5分間浸漬したのち取り出して、20℃の水で20秒間洗浄し、50℃で乾燥することにより、偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmax (膜の延伸方向の透過率が最小となる波長)は440nmであった。
得られた偏光膜に、100℃の条件下、48時間、照度520mW/cm2(赤色光)の高圧水銀ランプで光照射したとき、ΔA(%)の値は、89(%)であり、高温下、長時間暴露に対する耐光性も優れていた。ΔA(%)は、0時間時の吸光度の値をA(0)、48時間後の吸光度の値をA(48)としたときに、
ΔA(%)=(A(48)/ A(0))×100
と定義される。ΔAの値は大きいほど、耐光性に優れることを示す。
【0044】
(実施例2)
実施例1と同様に調製されたアゾ化合物(I-1)を0.08%および化合物(V-4)を0.005%、染色助剤である芒硝を2.0%の濃度とした70℃の水溶液に浸漬した。次に78℃の7.5%ホウ酸水溶液に5分間浸漬したのち取り出して、20℃の水で20秒間洗浄し、50℃で乾燥することにより、偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmaxは440nmであった。
得られた偏光膜に、100℃の条件下、48時間、照度520mW/cm2(赤色光)の高圧水銀ランプで光照射したとき、ΔA(%)の値は、86(%)であり、高温下、長時間暴露に対する耐光性も優れていた。
【0045】
(実施例3)
実施例1と同様に調製されたアゾ化合物(I-1)を0.08%および化合物(V-2)を0.005%、染色助剤である芒硝を2.0%の濃度とした70℃の水溶液に浸漬した。次に78℃の7.5%ホウ酸水溶液に5分間浸漬したのち取り出して、20℃の水で20秒間洗浄し、50℃で乾燥することにより、偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmaxは440nmであった。
得られた偏光膜に、100℃の条件下、48時間、照度520mW/cm2(赤色光)の高圧水銀ランプで光照射したとき、ΔA(%)の値は、84(%)であり、高温下、長時間暴露に対する耐光性も優れていた。
【0046】
(比較例1)
アゾ化合物(I-1)を含む偏光膜用染料の代わりに、特許文献1の第7頁、式(1b)で表される化合物を用いて、実施例2と同様にして偏光膜を得た。得られた偏光膜のλmaxは440nmであった。実施例1と同様に、耐光性ΔAの値を求めたところ、ΔA(%)の値は、76(%)にとどまり、本発明の偏光膜より、耐光性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の偏光膜は、高い偏光性能に加え、耐光性に優れることから、カーナビゲーション、液晶プロジェクターなどの液晶表示装置(LCD)、プロジェクションテレビなどのフラットパネル表示装置(FPD)などに好適に使用することができる。




 

 


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