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発明の名称 高分子材料およびそれを用いた素子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−70619(P2007−70619A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2006−217973(P2006−217973)
出願日 平成18年8月10日(2006.8.10)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
発明者 関根 千津 / 真弓 美帆 / 秋野 喜彦
要約 課題
実用性に優れる素子を与えることができる高分子材料を提供する。

解決手段
蛍光性共役系高分子(A)と、燐光性化合物(B)とを含む組成物を含有するか、または該(A)の構造と該(B)の構造とを同一分子内に有する高分子を含有する高分子材料であって、以下の(1)、(2)および(3)の条件を満たす。
特許請求の範囲
【請求項1】
蛍光性共役系高分子(A)と、燐光性化合物(B)とを含む組成物を含有するか、または該(A)の構造と該(B)の構造とを同一分子内に有する高分子を含有する高分子材料であって、以下の(1)、(2)および(3)の条件を満たすことを特徴とする高分子材料。
(1)蛍光性共役系高分子(A)の発光ピーク波長の少なくとも1つが500nm未満である
(2)燐光性化合物(B)の発光ピーク波長が500nm以上である
(3)下式の関係を満たす。
ETA−ESA0≧(ETB−ESB0)−0.2 (単位;eV) (Eq1)
(式中、ESA0蛍光性共役系高分子(A)の基底状態のエネルギーを表し、ETAは蛍光性共役系高分子(A)の最低励起三重項状態のエネルギーを表し、ESB0は燐光性化合物(B)の基底状態のエネルギーを表し、ETBは燐光性化合物(B)の最低励起三重項状態のエネルギーを表す。)
【請求項2】
蛍光性共役系高分子(A)の構造と、燐光性化合物(B)の構造とを同一分子内に有する高分子であることを特徴とする請求項1記載の高分子材料。
【請求項3】
蛍光性共役系高分子(A)の主鎖に燐光性化合物(B)の構造を有する高分子であることを特徴とする請求項2記載の高分子材料。
【請求項4】
蛍光性共役系高分子(A)の末端に燐光性化合物(B)の構造を有する高分子であることを特徴とする請求項2記載の高分子材料。
【請求項5】
蛍光性共役系高分子(A)の側鎖に燐光性化合物(B)の構造を有する高分子であることを特徴とする請求項2記載の高分子材料。
【請求項6】
蛍光性共役系高分子(A)と、燐光性化合物(B)とを含む組成物であることを特徴とする請求項1記載の高分子材料。
【請求項7】
蛍光性共役系高分子(A)が主鎖に芳香環を含むものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高分子材料。
【請求項8】
蛍光性共役系高分子(A)が、置換基を有していてもよいベンゼン環および/または、下記一般式(1)を部分構造として有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の高分子材料。




(上記式中、mおよびnは各々独立に0〜4の整数を表し、R1およびR2は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基または他の原子との結合手を表す。R1およびR2がそれぞれ複数個存在するばあい、それらは同一であっても異なっていてもよい。Xは、−O−、−S−、−Se−、−B(R31)−、−Si(R32)(R33)−、−P(R34)−、−PR4(=O)−、―N(R35)−、−C(R36)(R37)−、−C(R51)(R52)−C(R53)(R54)−、−O−C(R55)(R56)−、−S−C(R57)(R58)−、−N−C(R59)(R60)−、−Si(R61)(R62)−C(R63)(R64)−、−Si(R65)(R66)−Si(R67)(R68)−、−C(R69)=C(R70)−、−N=C(R71)−、−Si(R72)=C(R73)−を表す。
ここに、R31は、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表す。R32〜R37、R51〜R73は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表す。)
【請求項9】
燐光性化合物(B)が金属錯体を部分構造として有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の高分子材料。
【請求項10】
燐光性化合物(B)の、計算科学的手法により算出された最高占有軌道(HOMO)における中心金属の最外殻d軌道の軌道係数の2乗の和が、全軌道の軌道係数の2乗の和において占める割合が、3分の1以上であることを特徴とする請求項9に記載の高分子材料。
【請求項11】
さらに正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の高分子材料。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の高分子材料の少なくとも1種類を含有することを特徴とする液状組成物。
【請求項13】
粘度が25℃において1〜100mPa・sであることを特徴とする請求項12記載の液状組成物。
【請求項14】
陽極および陰極からなる電極間に、請求項1〜11のいずれかに記載の高分子材料を含む層を有することを特徴とする発光素子。
【請求項15】
陽極および陰極からなる電極間に、さらに電荷輸送層および/または電荷阻止層を有することを特徴とする請求項14記載の発光素子。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料およびそれを用いた素子に関する。
【背景技術】
【0002】
多色発光や白色発光の有機EL素子は、フラットパネルディスプレイだけでなく、照明等多くの用途への応用が期待できることから、近年盛んに研究されている。例えば、ポリビニルカルバゾールを発光ホストとし、これに、青色燐光性ドーパント、赤色燐光性ドーパントおよび低分子電子輸送材料を添加した高分子材料を用いた白色発光素子が開示されている(非特許文献1)。また、ポリビニルカルバゾールを発光ホストとし、これに、青色蛍光色素、緑色燐光色素および赤色燐光色素を添加した高分子材料を用いた白色発光素子が知られている(特許文献1)。
【非特許文献1】月刊ディスプレイ、2002年、第8巻、9月号、47−51ページ((株)テクノタイムス社発行))
【特許文献1】特開2004−14155
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の高分子材料を用いた有機EL素子(高分子発光素子、高分子LED)は、白色発光、多色発光が可能であるが、その駆動電圧が高い、発光効率が不十分等、実用的には、その性能が十分とはいえなかった。
本発明の目的は、白色発光、多色発光が可能であり、低電圧で駆動でき、発光効率が優れる等,実用性に優れる素子を与えることができる高分子材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
即ち本発明は、蛍光性共役系高分子(A)と、燐光性化合物(B)とを含む組成物を含有するか、または該(A)の構造と該(B)の構造とを同一分子内に有する高分子を含有する高分子材料であって、以下の(1)、(2)および(3)の条件を満たすことを特徴とする高分子材料を提供するものである。
(1)蛍光性共役系高分子(A)の発光ピーク波長の少なくとも1つが500nm未満である
(2)燐光性化合物(B)の発光ピーク波長が500nm以上である
(3)下式の関係を満たす。
ETA−ESA0≧(ETB−ESB0)−0.2 (単位;eV) (Eq1)
(式中、ESA0蛍光性共役系高分子(A)の基底状態のエネルギーを表し、ETAは蛍光性共役系高分子(A)の最低励起三重項状態のエネルギーを表し、ESB0は燐光性化合物(B)の基底状態のエネルギーを表し、ETBは燐光性化合物(B)の最低励起三重項状態のエネルギーを表す。)
【発明の効果】
【0005】
本発明の高分子材料を用いた素子は、多色発光、白色発光が可能であり、低電圧で駆動可能であり、発光効率が優れる等実用性に優れる。したがって、本発明の高分子材料は、高分子LEDの発光材料などに好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の高分子材料は、(ア)蛍光性共役系高分子(A)と、燐光性化合物(B)とを含む組成物を含有するか、または(イ)蛍光性共役系高分子(A)の構造と、燐光性化合物(燐光性発光分子)(B)の構造とを同一分子内に有する高分子を含有する。
【0007】
本発明の高分子材料における蛍光性共役系高分子(A)の構造について説明する。
蛍光性共役系高分子とは、少なくとも蛍光を示す共役系高分子であり共役系高分子とは、例えば、「有機ELのはなし」(吉野勝美著、日刊工業新聞社)23頁に記載されているような、多重結合と単結合が繰り返し長くつながっている分子である。蛍光性共役系高分子としては、たとえば下記構造の繰り返し構造や、下記構造を適宜組み合わせた構造を含む高分子が典型的な例としてあげられる。


【0008】
蛍光性共役系高分子(A)としては、主鎖に芳香環を含まないもの(例えばポリアセチレン類)、あるいは、主鎖に芳香環を含むものがあげられるが、ポリマーの化学的安定性の観点から、主鎖に芳香環を含むものが好ましい。
主鎖に芳香環を含むものの中では、上記に示したような、置換基を有していてもよいフェニレン、フルオレン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾシロールなどの芳香環を繰り返し単位として主鎖に含むものや、これら芳香環を組み合わせた共重合体や、さらに他の繰り返し単位を組み合わせた共重合体が好ましい。具体的には、置換基を有していてもよいベンゼン環および/または、下記一般式(1)を部分構造として有する高分子化合物が挙げられる。





(上記式中、mおよびnは各々独立に0〜4の整数を表し、R1およびR2は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基または他の原子との結合手を表し、R1およびR2がそれぞれ複数個存在するばあい、それらは同一であっても異なっていてもよい。Xは、−O−、−S−、−Se−、−B(R31)−、−Si(R32)(R33)−、−P(R34)−、−PR4(=O)−、―N(R35)−、−C(R36)(R37)−、−C(R51)(R52)−C(R53)(R54)−、−O−C(R55)(R56)−、−S−C(R57)(R58)−、−N−C(R59)(R60)−、−Si(R61)(R62)−C(R63)(R64)−、−Si(R65)(R66)−Si(R67)(R68)−、−C(R69)=C(R70)−、−N=C(R71)−、−Si(R72)=C(R73)−を表す。ここに、R31は、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表す。R32〜R37、R51〜R73は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表す。)
【0009】
ここに、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
【0010】
アルキル基としては、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。炭素数は通常1〜10程度であり、好ましくは炭素数1〜10である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、 i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが挙げられ、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0011】
アルケニル基はとしては、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。炭素数は通常2〜10程度であり、好ましくは炭素数2〜10である。具体的には、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、が好ましい。
【0012】
アルキニル基としては、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。炭素数は通常2〜10程度であり、好ましくは炭素数2〜10である。具体的には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、が好ましい。
【0013】
アルコキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。炭素数は通常1〜10程度であり、好ましくは炭素数1〜10である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、 i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0014】
アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。炭素数は通常1〜10程度であり、好ましくは炭素数1〜10である。具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、 i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、 i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0015】
アリール基は、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜48である。具体的には、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。ここに、アリール基とは、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団である。ここに芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものが含まれる。
1〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
1〜C12アルキルフェニル基として具体的にはメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。
【0016】
アリールオキシ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜48である。具体的には、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
1〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
1〜C12アルキルフェノキシ基として具体的にはメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基などが例示される。
【0017】
アリールチオ基としては、炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは炭素数6〜48である。具体的には、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0018】
アリールアルキル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは7〜48である。具体的には、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0019】
アリールアルコキシ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基などのフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0020】
アリールアルキルチオ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基が好ましい。
【0021】
アリールアルケニル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基が好ましい。
【0022】
アリールアルキニル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数7〜48である。具体的には、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキニル基が好ましい。
【0023】
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度であり、好ましくは4〜20である。なお、複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。具体的には、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基などが例示され、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0024】
一般式(1)であらわされるものとしては、以下が例示される。



(2)
(式(2)中、R5、R6は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基を表す。aおよびbはそれぞれ独立に0または1の整数を示す。R5およびR6は同一でも異なっていてもよい。Xは前記と同じ意味を表す。)
式(2)の中で、Yは−O−、−S−、または−C(R36)(R37)−であることが好ましい。ここで(R36)、(R37)は前記と同じ意味を表す。
【0025】
本発明に用いられる蛍光性共役系高分子(A)は、一般式(1)であらわされるもののほかに、他の繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。他の繰り返し単位としては、下記(3)〜(4)が挙げられる。
−Ar1− (3)



(4)

〔式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5はそれぞれそれぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基を示す。Ar5、Ar6、Ar7およびAr8はそれぞれ独立にアリール基、または1価の複素環基を示す。Ar1、Ar6、Ar7およびAr8は置換基を有していてもよい。xおよびyはそれぞれ独立に0または1をs示し、0≦x+y≦1である。〕
【0026】
ここに、アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、通常炭素数は6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。ここに芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものが含まれる。以下に例示する。



(上式中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基を表し、1つの基の中で複数のRは同一でも異なっていてもよい。)
【0027】
本発明に用いる共役系高分子の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていても良い。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、例えば、炭素―炭素結合を介してアリール基または複素環基と結合している構造が例示される。具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。
【0028】
本発明に用いる共役系高分子は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。量子収率の高い高分子を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも含まれる。
【0029】
本発明に用いる共役系高分子は、ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜108であることが好ましい。より好ましくは104〜107である。
【0030】
また、 本発明で用いる高分子材料に含まれる蛍光性共役系高分子(A)は、燐光性化合物(B)との組み合わせにおいて、前記(1)〜(3)の条件を満たす他に、特に限定されないが、前記一般式(1)で示される構造を含み、さらに一般式(4)で示される構造も含むことが、駆動電圧や発光効率など、有機EL素子の実用特性の観点で好ましい。
【0031】
本発明の高分子材料に用いる共役系高分子の製造方法は、具体的には、モノマーとなる、反応性置換基を複数有する化合物を、必要に応じ、有機溶媒に溶解し、例えばアルカリや適当な触媒を用い、有機溶媒の融点以上沸点以下で行うことができる。例えば、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年、 “オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)”,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Makromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)などに記載の公知の方法を用いることができる。
本発明の高分子材料に用いる共役系高分子の製造方法において、縮合重合させる方法としては、既知の縮合反応を用いることにより製造できる。縮合重合において、二重結合を生成する場合は、例えば特開平5−202355号公報に記載の方法が挙げられる。すなわち、ホルミル基を有する化合物とホスホニウムメチル基を有する化合物との、もしくはホルミル基とホスホニウムメチル基とを有する化合物のWittig反応による重合、ビニル基を有する化合物とハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応による重合、モノハロゲン化メチル基を2つあるいは2つ以上有する化合物の脱ハロゲン化水素法による重縮合、スルホニウムメチル基を2つあるいは2つ以上有する化合物のスルホニウム塩分解法による重縮合、ホルミル基を有する化合物とシアノ基を有する化合物とのKnoevenagel反応による重合などの方法、ホルミル基を2つあるいは2つ以上有する化合物のMcMurry反応による重合などの方法が例示される。
本発明の高分子が縮合重合によって主鎖に三重結合を生成する場合には、例えば、Heck反応が利用できる。
【0032】
また、二重結合や三重結合を生成しない場合には、例えば該当するモノマーからSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、あるいは適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。
【0033】
これらのうち、Wittig反応による重合、Heck反応による重合、Knoevenagel反応による重合、およびSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、ニッケルゼロ価錯体により重合する方法が、構造制御がしやすいので好ましい。
【0034】
本発明に用いる高分子の原料モノマーが有する反応性置換基が、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基またはアリールアルキルスルホネート基である場合は、ニッケルゼロ価錯体存在下で縮合重合する製造方法が好ましい。
原料化合物としては、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物、ビス(アリールアルキルスルホネート)化合物あるいはハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物、およびアリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物が挙げられる。
【0035】
また、本発明に用いる高分子の原料モノマーが有する反応性置換基が、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸基、またはホウ酸エステル基である場合は、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基およびアリールアルキルスルホネート基のモル数の合計と、ホウ酸基およびホウ酸エステル基のモル数の合計の比が実質的に1(通常0.7〜1.2の範囲)であり、ニッケル触媒またはパラジウム触媒を用いて縮合重合する製造方法が好ましい。
具体的な原料化合物の組み合わせとしては、ジハロゲン化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物またはビス(アリールアルキルスルホネート)化合物とジホウ酸化合物またはジホウ酸エステル化合物との組み合わせが挙げられる。
また、ハロゲン−ホウ酸化合物、ハロゲン−ホウ酸エステル化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールスルホネート−ホウ酸化合物、アリールスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物挙げられる。
有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、一般に副反応を抑制するために、用いる溶媒は十分に脱酸素処理を施し、不活性雰囲気化で反応を進行させることが好ましい。また、同様に脱水処理を行うことが好ましい。但し、Suzukiカップリング反応のような水との2相系での反応の場合にはその限りではない。
【0036】
反応させるために適宜アルカリや適当な触媒を添加する。これらは用いる反応に応じて選択すればよい。該アルカリまたは触媒は、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。アルカリまたは触媒を混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素などの不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリまたは触媒の溶液を添加するか、逆にアルカリまたは触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加する方法が例示される。
【0037】
本発明に用いる高分子を高分子LED等に用いる場合、その純度が発光特性等の素子の性能に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちに重合することが好ましい。また重合後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
【0038】
次に、本発明の高分子材料における燐光性化合物(B)につき説明する。
燐光性化合物とは、3重項励起状態からの発光を示すものであり、金属錯体構造を有するものが挙げられる。
【0039】
燐光性化合物のなかで、三重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有するものとしては、例えば、従来から低分子系のEL発光性材料として利用されてきたものなどがあげられる。これらは、例えば、Nature, (1998), 395, 151、Appl. Phys. Lett. (1999), 75(1), 4、Proc. SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. (2001), 4105(Organic Light-Emitting Materials and DevicesIV), 119、J. Am. Chem. Soc., (2001), 123, 4304、Appl. Phys. Lett., (1997), 71(18), 2596、Syn. Met., (1998), 94(1), 103、Syn. Met., (1999), 99(2), 1361、Adv. Mater., (1999), 11(10), 852、WO02/06652や、Journal of the SID,11/1,161-166(2003)等に開示されている。中でも、金属錯体の最高占有軌道(HOMO)における、中心金属の最外殻d軌道の軌道係数の和が0.3以上であることが、高効率を得る観点で好ましい。また、金属錯体は中性であることが高いEL効率を得る観点で好ましい。
【0040】
燐光発光錯体の中心金属としては、通常、原子番号50以上の原子で、該錯体にスピン−軌道相互作用があり、1重項状態と3重項状態間の項間交差を起こしうる金属であり、例えば、金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、タングステン、ユーロピウム、テルビウム、ツリウム、ディスプロシウム、サマリウム、プラセオジウム、ガドリニウム、イットリビウム原子が好ましく、より好ましくは金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、タングステン原子であり、さらに好ましくは金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム原子であり、もっとも好ましくは金、白金、イリジウム、レニウム原子である。
【0041】
燐光発光錯体の配位子としては、配位原子に炭素が含まれていることが高効率を得る点で好ましく、例えば、2−フェニルピリジン、2−フェニルキノリン、1−フェニルイソキノリン、2または3−フェニルキノキサリン、ベンゾ[h]キノリンおよびそれらの誘導体などが挙げられる。また、配位子は、発光特性を損なわない範囲で、溶解性の向上のために置換基を有していてもよい。
以下燐光発光錯体の例を示す。





























(上記化合物中のRaは、一部がフッ素で置換されていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリーレン基、ハロゲン基を表し、同一化合物の中で複数のRaは同一でも異なっていてもよい。)
【0042】
本発明の高分子材料は、以下の(1)、(2)および(3)の条件を満たす。
(1)蛍光性共役系高分子(A)の発光ピーク波長の少なくとも1つが500nm未満である
(2)燐光性化合物(B)の発光ピーク波長が500nm以上である
(3)下式の関係を満たす。
ETA−ESA0≧(ETB−ESB0)−0.2 (単位;eV) (Eq1)
(式中、ESA0蛍光性共役系高分子(A)の基底状態のエネルギーを表し、ETAは蛍光性共役系高分子(A)の最低励起三重項状態のエネルギーを表し、ESB0は燐光性化合物(B)の基底状態のエネルギーを表し、ETBは燐光性化合物(B)の最低励起三重項状態のエネルギーを表す。)
燐光発光分子の発光ピークは、高効率発光を得るという観点で、蛍光性共役系高分子の発光ピークより長波長であることが必須であり、特に蛍光性共役系高分子の発光が、青色発光に近い領域で発光することが必要である。
【0043】
上記(Eq1)における蛍光性共役系高分子、三重項励起状態からの発光を示す燐光性化合物のそれぞれについての基底状態と最低励起三重項状態のエネルギー差(順に、ETA−ESA0、ETB−ESB0)は、実測で決定する方法はあるが、本発明では、通常は、燐光性化合物の上記エネルギー差と、マトリックスとして用いる蛍光性共役系高分子の上記エネルギー差の相対的な大小関係が、より高い発光効率を得る上で重要であるので、通常は、計算科学的手法で決定する。
【0044】
燐光性化合物(A)が金属錯体構造を有する場合は、上記(Eq1)を満足する範囲で、さらに、燐光性化合物(A)計算科学的手法により算出された最高占有分子軌道(HOMO)における中心金属の最外殻d軌道の軌道係数の2乗の和が、全原子軌道係数の2乗の和において占める割合が、3分の1以上であることが、高輝度あるいは高発光効率を得る点で好ましく、さらに5分の2以上であることが、より好ましい。
【0045】
上記の、蛍光性高分子や燐光性発光材料の基底状態のエネルギーおよび最低励起三重項状態のエネルギー、および、金属錯体のHOMOにおける最外殻d軌道の軌道係数の2乗の和が占める割合を算出するために用いる計算科学的手法としては、半経験的手法及び非経験的手法に基づいた分子軌道法や密度汎関数法等が知られている。本発明においては、量子化学計算プログラムGaussian03を用い、密度汎関数により三重項発光化合物の基底状態における最適化構造を算出し、基底状態のHOMOエネルギー準位および基底状態のLUMOエネルギー準位、および、HOMOにおける各軌道のポピュレーション解析を実施し、HOMOにおける中心金属の最外殻d軌道の軌道係数の2乗の和が、全原子軌道係数の2乗の和において占める割合を求めた。さらに、時間依存密度汎関数法を用いて、該化合物の基底状態と最低励起三重項状態とのエネルギー差(以下、最低励起三重項エネルギーという)、基底状態と最低励起一重項状態とのエネルギー差(以下、最低励起一重項エネルギーという)を算出した。共役系高分子については、ハートリーフォック法(以下、HF法ということもある)を用いて、基底状態の最適構造を求め、時間依存密度汎関数法を用いて、該共役系高分子の最低励起三重項エネルギーを算出した。なお、金属錯体が配位子にアルキル基等の側鎖を有する場合は、置換基を省いた構造を計算対象構造とした。金属錯体におけるポピュレーション解析に関しては、非特許文献(JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY A 2002、Vol.106、p1634)に記載の方法を用いた。
【0046】
共役系高分子に対する最低励起三重項エネルギーおよび最低励起一重項エネルギー、基底状態のHOMOエネルギー準位および基底状態のLUMOエネルギー準位の計算は、単量体(n=1)、2量体(n=2)及び3量体(n=3)に対して行い、共役系高分子における励起エネルギーは、n=1〜3における結果を1/nの関数E(1/n)(ここで、Eは最低励起一重項エネルギーもしくは最低励起三重項エネルギーなど、求めようとする励起エネルギー値)とし、線形的にn=0に外挿する事により算出する手法を用いた。また、共役系高分子の繰り返しユニット中に、例えば鎖長が長い側鎖等が含まれる場合は、計算対象とする化学構造を、側鎖部分を最小単位に簡略化(例として、側鎖としてオクチル基を有する場合、側鎖をメチル基として計算する)して計算を行なった。また、共重合体における一重項励起エネルギー及び三重項励起エネルギーにおいては、共重合比より考えられる最小単位をユニットとして、上記したホモポリマーにおける場合と同様の計算手法により求めた。なお、得られた計算値は、Jounal of Amerian Chemical Society、Vol.123、4304(2001)に記載の実測値を元にして得た換算係数で補正して用いた。
【0047】
また、共重合体におけるHOMO、LUMO、一重項励起エネルギー及び三重項励起エネルギーにおいては、共重合比より考えられる最小単位をユニットとして、上記したホモポリマーにおける場合と同様の計算手法により求めることができる。
【0048】
本発明の高分子材料は、前述の通り、以下の2つの態様がある。
(ア)蛍光性共役系高分子(A)と、燐光性化合物(B)とを含む組成物を含有する高分子材料(イ)蛍光性共役系高分子(A)の構造と、燐光性化合物(B)の構造とを同一分子内に有する高分子を含有する高分子材料
【0049】
上記(ア)における、蛍光性共役系高分子(A)と、燐光性化合物(B)の量、(イ)における蛍光性共役系高分子(A)の構造と、燐光性化合物(B)の構造の量は、組み合わせる蛍光性共役系高分子の種類や、最適化したい特性により異なるので、特に限定されないが、蛍光性共役系高分子(A)の量を100重量部としたとき、燐光性化合物(B)通常0.01〜40重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部である。特に、異なる発光ピーク波長を示す燐光性化合物を複数種含む場合は、多色発光の観点より、より長波長発光ピークを含む分子の含有量をより少なくすることが好ましい。
【0050】
本発明の高分子材料が、上記(イ)の態様である場合、蛍光性共役系高分子(A)の構造と、燐光性化合物(B)の構造とを同一分子内に有する高分子の例としては、
蛍光性共役系高分子(A)の主鎖に燐光性化合物(B)の構造を有する高分子;
蛍光性共役系高分子(A)の末端に燐光性化合物(B)の構造を有する高分子;
蛍光性共役系高分子(A)の側鎖に燐光性化合物(B)の構造を有する高分子;
があげられる。
上記(イ)の態様である高分子の例としては、一般式(1)で示される部分構造を含み、ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜108であり、その側鎖、主鎖、および/または末端に燐光性化合物の構造を有するものが挙げられる。
【0051】
蛍光性共役系高分子(A)の側鎖に燐光性化合物(B)の構造を有する高分子構造はたとえば下式で示される。




〔式中Ar18は、二価の芳香族基、または、酸素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子からなる群から選ばれる原子を一つ以上有する二価の複素環基を表し、該Ar18は、−L−Xで示される基1個以上4個以下を有し、Xは三重項励起状態からの発光を示す一価の基を表し、Lは、単結合、−O−,−S−,―CO−,−CO2−、−SO−,―SO2―,−SiR6869−,NR70−,−BR71−,−PR72−、−P(=O)(R73)―、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、置換されていてもよいアルキニレン基、置換されていてもよいアリーレン基、または置換されていてもよい2価の複素環基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基、該アルキニレン基が−CH2−基を含む場合、該アルキレン基に含まれる−CH2−基の一つ以上、該アルケニレン基に含まれる−CH2−基の一つ以上、該アルキニレン基に含まれる−CH2−基の一つ以上がそれぞれ、−O−、−S−、―CO−、−CO2−、−SO−、―SO2―、−SiR7475−、NR76−、−BR77−、−PR78−、−P(=O)(R79)―からなる群から選ばれる基と置き換えられていてもよい。R68、R69、R70、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、R78、R79は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基およびシアノ基からなる群より選ばれる基を示す。Ar18は、―L−Xで示される基以外にさらにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。Ar18が複数の置換基を有する場合、それらは同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。nは1〜4の整数を表す。〕
ここで、2価の芳香族基とは、フェニレン、ピリジニレン、ピリミジレン、ナフチレン、あるいは上記一般式(1)であらわされるような環が例としてあげられる。
【0052】
蛍光性共役系高分子(A)の主鎖に燐光性化合物(B)の構造を有する高分子構造は、例えば、下式で示される。






〔式中L1、L2は燐光性発光性分子の構造を示し、式中の結合手は、燐光性発光性分子の構造が高分子主鎖を形成する繰り返し単位と結合している。〕
【0053】
蛍光性共役系高分子(A)の末端に燐光性化合物(B)の構造を有する高分子の構造は、例えば、下式で示される。




〔式中L3は燐光性化合物(B)の構造を含む一価の基を表し、結合手は、燐光性化合物(B)材料が有していて、Xと結合している。Xは単結合、置換されていてもよいアルケニレン基、置換されていてもよいアルキニレン基、置換されていてもよいアリーレン基、または置換されていてもよい2価の複素環基を表す。〕
【0054】
燐光性化合物の構造(B)を側鎖、主鎖、末端に有する高分子は、例えば、燐光性発光部を有する単量体を、原料の一つとして用いて、前記の方法を用いて製造することができる。
【0055】
本発明の高分子材料は、さらに正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料を含んでいてもよい。
【0056】
本発明の液状組成物について説明する。
本発明の組成物及び高分子化合物は、特に液状組成物として高分子発光素子等の発光素子の作製に有用である。液状組成物は、本発明の高分子材料(組成物及び高分子化合物)が必要に応じて溶媒を含んでなるものである。本明細書において、「液状組成物」とは、素子作製時において液状であるものを意味し、典型的には、常圧(即ち、1気圧)、25℃において液状のものを意味する。また、液状組成物は、一般的には、インク、インク組成物、溶液等と呼ばれることがある。
【0057】
高分子発光素子の作製の際に、この液状組成物(例えば、溶液状態の組成物等)を用いて成膜する場合、該液状組成物を塗布した後、乾燥により溶媒を除去するだけでよく、また電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同様な手法が適用できるので、製造上非常に有利である。なお、乾燥の際には、50〜150℃程度に加温した状態で乾燥してもよく、また、10-3Pa程度に減圧して乾燥させてもよい。
【0058】
液状組成物を用いた成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0059】
液状組成物中の溶媒の割合は、該液状組成物の全重量に対して、通常、1重量%〜99.9重量%であり、好ましくは60重量%〜99.9重量%であり、さらに好ましく90重量%〜99.8重量%である。液状組成物の粘度は印刷法によって異なるが、25℃において0.5〜500mPa・sの範囲が好ましく、インクジェットプリント法等液状組成物が吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において0.5〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。また、前記式(1−1)、(1−2)で表される繰り返し単位を含む重合体及び燐光発光を示す化合物の重量の和、又は前記高分子化合物の重量が、液状組成物から溶媒を除いた全成分の合計重量に対して、通常は20重量%〜100重量%であり、好ましくは40重量%〜100重量%である。
【0060】
液状組成物に含まれる溶媒としては、該液状組成物中の該溶媒以外の成分を溶解又は分散できるものが好ましい。該溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの溶媒は、1種単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。前記溶媒のうち、ベンゼン環を少なくとも1個以上含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を1種類以上含むことが、粘度、成膜性等の観点から好ましい。
【0061】
溶媒の種類としては、液状組成物中の溶媒以外の成分の有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、メチルベンゾエート、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトンが好ましく、キシレン、アニソール、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシルメチルベンゾエートのうち少なくとも1種類を含むことがより好ましい。
【0062】
液状組成物に含まれる溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上であることが好ましく、2〜3種類であることがより好ましく、2種類であることがさらに好ましい。
【0063】
液状組成物に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、1種類の溶媒は沸点が180℃以上のものであり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下のものであることが好ましく、1種類の溶媒は沸点が200℃以上のものであり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下のものであることがより好ましい。また、粘度の観点から、60℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶解することが好ましい。
【0064】
液状組成物に3種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1〜2種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が200℃以上300℃以下の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、3種類の溶媒のうちの2種類の溶媒には、60℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましく、3種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において、液状組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましい。
【0065】
液状組成物に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度及び成膜性の観点から、最も沸点が高い溶媒が、液状組成物に含まれる全溶媒の重量の40〜90重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましく、65〜85重量%であることがさらに好ましい。
【0066】
液状組成物に含まれる溶媒としては、粘度及び成膜性の観点から、アニソール及びビシクロヘキシルの組み合わせ、アニソール及びシクロヘキシルベンゼンの組み合わせ、キシレン及びビシクロヘキシルの組み合わせ、キシレン及びシクロヘキシルベンゼンの組み合わせ、メシチレン及びメチルベンゾエートの組み合わせが好ましい。
【0067】
液状組成物に含まれる溶媒以外の成分の溶媒への溶解性の観点から、溶媒の溶解度パラメータと、本発明の組成物に含まれる重合体又は本発明の高分子化合物の溶解度パラメータとの差が10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。これらの溶解度パラメータは、「溶剤ハンドブック(講談社刊、1976年)」に記載の方法で求めることができる。
【0068】
次に、本発明の発光素子について説明する。
本発明の発光素子は、陽極および陰極からなる電極間に、本発明の高分子材料を含む層を有することを特徴とする。
【0069】
陽極および陰極からなる電極間に、さらに電荷輸送層および/または電荷阻止層を有することを特徴とする。
上記発光素子としては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、発光層と陰極の間に正孔阻止層を設けた高分子LED等が挙げられる。ここで、発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。また、電荷阻止層とは、正孔または電子を発光層に閉じ込める機能を有する層を意味し、電子を輸送し、かつ正孔を閉じ込める層を正孔阻止層、正孔を輸送し、かつ電子を閉じ込める層を電子阻止層と呼ぶ。
また、上記少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して導電性高分子を含む層を設けた高分子LED;少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して平均膜厚2nm以下のバッファー層を設けた高分子LEDが挙げられる。
【0070】
具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0071】
発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
【0072】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
【0073】
また、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
【0074】
さらに、電子を輸送し、かつ正孔を閉じ込めるために発光層との界面に正孔阻止層を挿入してもよい。
【0075】
積層する層の順番や数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
【0076】
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。
【0077】
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0078】
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
【0079】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5S/cm以上103S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5S/cm以上102S/cm以下がより好ましく、10-5S/cm以上101S/cm以下がさらに好ましい。
【0080】
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10-5S/cm以上103S/cm以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0081】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
【0082】
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0083】
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
【0084】
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
【0085】
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
【0086】
正孔阻止層は、電子を輸送しかつ、陽極から輸送された正孔を閉じ込める働きを有するものであり、発光層の陰極側の界面に設けられ、発光層のイオン化ポテンシャルよりも大きなイオン化ポテンシャルを有する材料、例えば、バソクプロイン、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体などから構成される。
【0087】
正孔阻止層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0088】
具体的には、例えば、以下のac)〜an)の構造が挙げられる。
ac)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/陰極
ad)陽極/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
ae)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
af)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/陰極
ag)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
ah)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷注入層/陰極
ai)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電荷輸送層/陰極
aj)陽極/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
ak)陽極/電荷注入層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
al)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電荷輸送層/陰極
am)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
an)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0089】
発光層の形成方法としては、例えば、液状組成物からの成膜による方法が挙げられる。液状組成物からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
【0090】
発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0091】
本発明の高分子LEDにおいては、発光層に本発明の発光材料以外の発光材料を混合して使用してもよい。また、本発明の高分子LEDにおいては、本発明以外の発光材料を含む発光層が、本発明の発光材料を含む発光層と積層されていてもよい。
【0092】
該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などを用いることができる。
【0093】
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0094】
本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
【0095】
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0096】
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0097】
ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。
【0098】
ポリシランもしくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0099】
ポリシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有するものが例示される。
【0100】
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0101】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0102】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0103】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
【0104】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0105】
本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
【0106】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0107】
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0108】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
【0109】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料および/または高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0110】
溶液または溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0111】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリシロキサンなどが例示される。
【0112】
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0113】
本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、該高分子LEDの各層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
【0114】
通常、陽極および陰極からなる電極のうち少なくとも一方が透明または半透明であり、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。
該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0115】
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0116】
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0117】
本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0118】
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0119】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けても良く、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
【0120】
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にダメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0121】
本発明の高分子発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置または液晶表示装置のバックライトに用いることができる。
【0122】
本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる発光材料を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは発光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動しても良い。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
【0123】
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0124】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0125】
ここで、ポリスチレン換算の数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:HLC−8220GPC、東ソー製もしくはSCL−10A、島津製作所製)により求めた。
【0126】
実施例1
下記蛍光性高分子化合物(1)、(2)および燐光性化合物(P1)を79.8:19.9:0.3の比率(重量比)で混合した混合物の、1.0wt%トルエン溶液を調製した。
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、上記調製したトルエン溶液を用いてスピンコートにより1000rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約100nmであった。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、陰極バッファー層として、LiFを約4nm、陰極として、カルシウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、EL素子を作製した。なお真空度が、1×10-4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。得られた素子に電圧を加することにより、蛍光性高分子化合物(1)、(2)混合物由来の蛍光発光(ピーク波長480nm)と、燐光性化合物(P1)由来の発光(ピーク波長625nm)が観測され、9132 CIE色度座標(0.34、0.28)の白色EL発光が得られた。なお蛍光性高分子化合物(1)はピーク波長435nmの蛍光を、蛍光性高分子化合物(2)はピーク波長480nmの蛍光を、燐光性化合物(P1)はピーク波長510nmの燐光を示す。
該素子は約5Vで100cd/m2の発光を示し、最大輝度は30000cd/m2以上であった。また最大発光効率は3.0cd/Aであった。


蛍光性高分子化合物(1)




蛍光性高分子化合物(2)





燐光性化合物(P1)




なお、蛍光性高分子化合物(1)、(2)は特開2004−143419記載の方法に準じて合成した。
この蛍光性高分子化合物(1)のポリスチレン換算の数平均分子量は、Mn=1.2×104、重量平均分子量は、Mw=7.7×104であった。また蛍光性高分子化合物(2)は特開2004−002654記載の方法に準じて合成し、ポリスチレン換算の数平均分子量は、Mn=3.5×105、重量平均分子量は、Mw=1.1×106であった。燐光性化合物(P1)は、WO03・040256A2に記載の方法に準じて合成した。
また、計算科学的手法で算出した、蛍光性高分子化合物(1)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は、2.08eVであった。同様の手法により、蛍光性高分子化合物(2)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は、蛍光性高分子化合物(1)よりも大きいことを確認した。計算科学的手法で算出した、燐光性化合物(P1)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は、2.00eVであった。以上より、蛍光性高分子化合物(1)および(2)は、燐光性化合物(P1)よりも大きい、最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差を有することを確認した。
なお、計算対象とした化学構造は、蛍光性高分子化合物(1)に対しては




とし、蛍光性高分子化合物(2)に対しては




とし、燐光性化合物(P1)に対しては




とした。計算は発明の詳細な説明に記載した方法で実施した。具体的には、まず、燐光性化合物(P1)に対して、B3LYPレベルの密度汎関数法により構造最適化した。その際、基底関数としては燐光性化合物(P1)に含まれるイリジウムに対してはlanl2dzを、燐光性化合物(P1)におけるそれ以外の原子に対しては6-31g*を用いた。さらに、最適化された構造に対し、構造最適化と同一の基底を使用し、B3LYPレベルの時間依存型密度汎関数(TDDFT)法により、最低励起一重項エネルギーおよび最低励起三重項エネルギーを求めた。蛍光性高分子化合物(1)に対しては、ハートリーフォック法を用いて構造最適化し、B3P86レベルの時間依存型密度汎関数法により、最低励起三重項エネルギーを求めた。その際、基底関数としては、6-31g*を用いた。また、計算を実施した化学構造を上記のように簡略化したことの妥当性は、特開2005−126686記載の方法で、最低三重項励起エネルギーにおける側鎖長依存性は小さいことを確認し、蛍光性高分子化合物(1)に対しては、計算対象とする化学構造のフルオレン環9,9’位のオクチル基をCH3、蛍光性高分子化合物(2)に対しては、ジベンゾチオフェン環3,6位のオクトキシ基をOCH3と簡略化して計算した。
さらに、燐光性化合物(P1)の、HOMOにおける中心金属の最外殻d軌道の軌道係数の2乗の和が、全原子軌道係数の2乗の和において占める割合は、49%であった。
【0127】
実施例2
下記蛍光性高分子化合物(3)と、下記燐光性化合物(P2)を99.7:0.3の比率(重量比)で混合した混合物の、0.4wt%クロロホルム溶液を調製し、EL素子を作製した。なお、蛍光性高分子化合物(3)は特開2004−143419記載の方法に準じて合成した。ポリスチレン換算の数平均分子量はMn=3.0×104、重量平均分子量はMw=2.6×105であった。


蛍光性高分子化合物(3)





燐光性化合物(P2)




スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、上記調製したクロロホルム溶液を用いてスピンコートにより2500rpmの回転速度で成膜した。さらに、これを窒素ガス雰囲気下130℃で1時間乾燥した後、陰極としてバリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、EL素子を作製した。なお真空度が、1×10-4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。
得られた素子に電圧を印加することにより、蛍光性高分子化合物(3)由来の蛍光発光(ピーク波長425nm)と、燐光性発光材料(P2)由来の発光(ピーク波長510nm)が観測され、多色発光が得られた。該素子は約6Vで100cd/m2の発光を示し、最大輝度は約1000cd/m2と高輝度が得られた。なお蛍光性高分子化合物(3)はピーク波長425nmの蛍光を示す。
計算科学的手法で算出した、燐光性化合物(P2)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は、2.49eVで、蛍光性高分子化合物(3)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差(2.34eV)より0.15eV高く、前記(Eq1)を満たしている。なお、燐光性化合物(P2)HOMOにおける中心金属の最外殻d軌道の軌道係数の2乗の和が、全原子軌道係数の2乗の和において占める割合は、54%で3分の1以上であった。
なお、計算対象とした化学構造は、蛍光性高分子化合物(3)に対しては、




とした。計算は実施例1と同様にして実施した。


比較例1
実施例2記載の蛍光性高分子化合物(3)の代わりに、蛍光性高分子化合物(1)を用いて、実施例2と同様にEL素子を作製した。発光層は、スピンコートにより3000rpmの回転速度で成膜した。得られた素子に電圧を印加することにより、高分子化合物(1)由来の蛍光発光(ピーク波長425、450、480nm)と、燐光性発光材料(P2)由来の発光(ピーク波長510nm)が観測されたものの、その強度は極めて弱く、最大輝度は120cd/m2に過ぎなかった。
計算科学的手法で算出した、燐光性化合物(P2)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は、2.49eVで、蛍光性高分子化合物(1)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差(2.07eV)より0.42eV高く、前記(Eq1)を満たさなかった。
【0128】
実施例3
実施例2記載の蛍光性高分子化合物(3)と、実施例1記載の燐光性化合物(P1)の、99.8:0.2の比率(重量比)で混合した混合物の、0.4wt%クロロホルム溶液を調製し、実施例2と同様にEL素子を作製した。発光層は、スピンコートにより2500rpmの回転速度で成膜した。得られた素子に電圧を印加することにより、蛍光性高分子化合物(3)由来の蛍光発光(ピーク波長415nm)と、燐光性化合物(P1)由来の発光(ピーク波長625nm)が観測され、多色発光が得られた。該素子は約6Vで100cd/m2の発光を示し、最大輝度は約1000cd/m2と高輝度が得られた。
計算科学的手法で算出した、燐光性化合物(P1)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は、2.00eVで、蛍光性高分子化合物(3)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差(2.34eV)より0.34eV低く、前記(Eq1)を満たしている。計算は実施例1記載と同様にして実施した。
【0129】
比較例2
実施例3記載の燐光性化合物(P1)の代わりに、下記燐光性化合物(P1−R)を用いて、実施例3と同様にEL素子を作製した。なお、発光層は、スピンコートにより2500rpmの回転速度で成膜した。なお(P1−R)は、アメリカンダイソース社より入手した。

燐光性化合物(P1−R)






得られた素子に電圧を印加することにより、蛍光性高分子化合物(3)由来の蛍光発光(ピーク波長415nm)は観測されたのの、燐光性発光材料(P1−R)由来の発光は観測されず、多色発光が得られなかった。
計算科学的手法で算出した、燐光性化合物(P1−R)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は、1.98eVで、蛍光性高分子化合物(3)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差(2.34eV)より0.36eV低く、前記(Eq1)を満たした。しかし、燐光性化合物(P1−R)HOMOにおける中心金属の最外殻d軌道の軌道係数の2乗の和が、全原子軌道係数の2乗の和において占める割合は、31%と、3分の1に満たなかった。計算は実施例1記載と同様にして実施した。
【0130】
実施例4
下記高分子燐光発光性化合物(4)、蛍光性高分子化合物(3)および(5)を17:50:33の比率(重量比)で混合した混合物の、1.7wt%トルエン溶液を調製した。
この溶液を用いて、実施例1と同様にしてEL素子を作製した。発光層は、スピンコートにより1300rpmの回転速度で製膜した。
得られた素子に電圧を印加することにより、高分子燐光発光性化合物(4)由来の燐光発光(ピーク波長620nm)と、高分子化合物(3)、(5)の混合物由来の蛍光発光(ピーク波長470nm)が観測され、9132 CIE色度座標(0.33、0.30)の白色EL発光が得られた。該素子は約8Vで100cd/m2の発光を示し、最大発光効率は約2cd/Aであった。なお高分子化合物(5)はピーク波長460nmの蛍光を示す。


高分子燐光発光性化合物(4)




(ただし、上記式中、(4−1)は高分子の主鎖部分を表し、(4−2)は高分子末端基を表す。*はポリマー主鎖との結合部を示す。)


蛍光性高分子化合物(3)



蛍光性高分子化合物(5)




なお、高分子燐光発光性化合物(4)は特開2005−226066記載の方法に準じて合成した。この高分子化合物(4)のポリスチレン換算の数平均分子量は、Mn=3.6×104、重量平均分子量は、Mw=7.3×104であった。また蛍光性高分子化合物(3)、(5)は特開2004−059899記載の方法に準じて合成し、ポリスチレン換算の数平均分子量は各々、Mn=3.0×104、Mn=2.8×104、重量平均分子量は各々、Mw=2.6×105、Mw=1.1×105であった。
また、計算科学的手法で算出した、高分子燐光発光性化合物(4)の燐光発光部の最低励起三重項最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は2.00eV,それ以外の部分の最低励起三重項最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は2.34eV、高分子化合物(3)の最低励起三重項最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は2.34eVであった。また蛍光性高分子化合物(5)の最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差は、蛍光性高分子化合物(3)よりも大きいことを確認した。以上より、高分子燐光発光性高分子化合物(4)の燐光発光部以外の高分子部分、高分子化合物(3)および(5)は、高分子燐光発光性高分子(4)の燐光発光部よりも大きい、最低励起三重項エネルギーと基底状態のエネルギーの差を有することを確認した。
なお、計算対象とした化学構造は、高分子燐光発光性化合物(4)の燐光発光部については、実施例1記載の燐光性化合物(P1)と同じ計算対象構造とし、高分子燐光発光性化合物(4)の燐光発光部以外の高分子部分、蛍光性高分子化合物(3)については、




とした。高分子化合物(4)についても、上記と同様の化学構造を計算対象とした。また高分子化合物(5)に対しては、



を計算対象の化学構造とした。計算は実施例1記載と同様にして実施した。





 

 


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