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発明の名称 ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−63397(P2007−63397A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−250975(P2005−250975)
出願日 平成17年8月31日(2005.8.31)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
発明者 渡辺 毅 / 眞田 隆
要約 課題
光沢が低く、剛性、耐衝撃性、ウェルド外観に優れるポリオレフィン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供する。

解決手段
下記(1)および(2)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体と、190℃でのMFRが0.01〜0.8g/10分であるエラストマーと、無機充填材とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体。
特許請求の範囲
【請求項1】
下記のプロピレン系重合体(A)40〜90重量%と、下記のエラストマー(B)5〜20重量%と、下記のエラストマー(C)0〜15重量%と、無機充填材(D)5〜25重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物である(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)。
プロピレン系重合体(A)は、
プロピレン単独重合体または、プロピレンと含有量が1モル%以下のエチレンまたは炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体である結晶性ポリプロピレン部分60〜88重量%と、プロピレンとエチレンの重量比(プロピレン重量/エチレン重量)が75/25〜35/65であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分12〜40重量%とを含有し、下記要件(1)および要件(2)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体である(ただし、プロピレン−エチレンブロック共重合体の全量を100重量%とする)。
要件(1)プロピレン−エチレンランダム共重合体部分が、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)からなり、共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aが1.5dl/g以上8dl/g以下、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であり(ただし、成分(EP−A)の全量を100重量%とする)、共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-Bが0.5dl/g以上8dl/g以下、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下である(ただし、成分(EP−B)の全量を100重量%とする)
要件(2)プロピレン系重合体(A)の230℃でのメルトフローレート(MFR)が5〜120g/10分である。
エラストマー(B)は、
密度が0.85〜0.91g/cm3であり、190℃におけるMFRが0.01〜0.8g/10分であるエチレンと炭素数5以上のα−オレフィンとの共重合体エラストマーおよび/またはジエン系エラストマーである。
エラストマー(C)は、
密度が0.85〜0.91g/cm3であり、190℃におけるMFRが1〜15g/10分であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体エラストマーである。
【請求項2】
プロピレン系重合体(A)に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)のエチレン含有量[(C2’)EP-A]が25〜45重量%であり(ただし、成分(EP−A)の全量を100重量%とする)、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)のエチレン含有量[(C2’)EP-B]が55〜75重量%である(ただし、成分(EP−B)の全量を100重量%とする)請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項3】
プロピレン系重合体(A)に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aが2〜4dl/gであり、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP-B)の極限粘度[η]EP-Bが2.5〜7dl/gである請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項4】
プロピレン系重合体(A)に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)の含有量が5〜15重量%であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)の含有量が10〜20重量%である(ただし、プロピレン系重合体(A)の全量を100重量%とする)請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項5】
エラストマー(B)が、エチレン−ヘキセン−1共重合体エラストマー、エチレン−オクテン−1共重合体エラストマー、または、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーである請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれからなる成形体に関するものである。さらに詳細には、光沢が低く、剛性、耐衝撃性、ウェルド外観に優れるポリオレフィン系樹脂組成物およびその成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂組成物は、機械的特性等に優れる材料であることから、広範な用途、例えば、自動車の内外装部品や電気製品の部品に用いられている。
例えば、特開平9−157492号公報には、耐衝撃性、剛性及び成形性の改良を目的とする熱可塑性樹脂組成物であって、ホモプロピレン部分と、低エチレン濃度のプロピレン−エチレン共重合体部分と、高エチレン濃度のプロピレン−エチレン共重合体部分とからなるプロピレン−エチレンブロック共重合体と、MFR0.1〜30g/10分のエチレン−ブテン共重合体ゴムと、MFR0.1〜20g/10分のエチレン−プロピレン共重合体ゴムと、タルクからなる熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
【0003】
また、特開2003−327642号公報には、剛性、硬度および成形性、靭性と低温衝撃性のバランスの改良を目的とするプロピレン−エチレンブロック共重合体であって、結晶性ポリプロピレン部分と、エチレン含有量が20重量%以上50重量%未満のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分と、エチレン含有量が50重量%以上80重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分とからなるプロピレン−エチレンブロック共重合体が記載されており、前記プロピレン−エチレンブロック共重合体にエラストマーや無機充填剤を加えて良いことも記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−157492号公報
【特許文献2】特開2003−327642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の公報等に記載されているポリプロピレン系樹脂組成物においても、光沢、剛性、耐衝撃性、ウェルド外観ついては、さらなる改良が望まれていた。
かかる状況の下、本発明の目的は、光沢が低く、剛性、耐衝撃性、ウェルド外観に優れるポリオレフィン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、検討の結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
下記のプロピレン系重合体(A)40〜90重量%と、下記のエラストマー(B)5〜20重量%と、下記のエラストマー(C)0〜15重量%と、無機充填材(D)5〜25重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)、および、それからなる成形体である。
プロピレン系重合体(A)は、
プロピレン単独重合体または、プロピレンと含有量が1モル%以下のエチレンまたは炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体である結晶性ポリプロピレン部分60〜85重量%と、プロピレンとエチレンの重量比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が75/25〜35/65であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分15〜40重量%とを含有し、下記要件(1)および要件(2)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体である(ただし、プロピレン−エチレンブロック共重合体の全量を100重量%とする)。
要件(1)プロピレン−エチレンランダム共重合体部分が、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)からなり、共重合体成分(EP−A)の極限粘度[η]EP-Aが1.5dl/g以上8dl/g以下、エチレン含有量[(C2’)EP-A]が20重量%以上50重量%未満であり(ただし、成分(EP−A)の全量を100重量%とする)、共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-Bが0.5dl/g以上8dl/g以下、エチレン含有量[(C2’)EP-B]が50重量%以上80重量%以下である(ただし、成分(EP−B)の全量を100重量%とする)。
要件(2)プロピレン系重合体(A)の230℃でのメルトフローレート(MFR)が5〜120g/10分である。
エラストマー(B)は、
密度が0.85〜0.91g/cm3であり、190℃におけるMFRが0.01〜0.8g/10分であるエチレンと炭素数5以上のα−オレフィンとの共重合体エラストマーおよび/またはジエン系エラストマーである。
エラストマー(C)は、
密度が0.85〜0.91g/cm3であり、190℃におけるMFRが1〜15g/10分であるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体エラストマーである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光沢が低く、剛性、耐衝撃性、ウェルド外観に優れるポリオレフィン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体または、プロピレンと含有量が1モル%以下であるエチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体である結晶性ポリプロピレン部分60〜88重量%と、プロピレンとエチレンの重量比(プロピレン重量/エチレン重量)が75/25〜35/65であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分12〜40重量%とを含有するものである(ただし、プロピレン−エチレンブロック共重合体の全量を100重量%とする)。
【0009】
結晶性ポリプロピレン部分が60重量%未満の場合(すなわち、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分が40重量%を超えた場合)、剛性や硬度が低下したり、メルトフローレート(MFR)が低下して十分な成形性が得られない場合があり、結晶性ポリプロピレン部分が88重量%を超えた場合(すなわち、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分が12重量%未満の場合)、靭性や耐衝撃性が低下する場合がある。
【0010】
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)に含有される結晶性ポリプロピレン部分は、プロピレン単独重合体または、プロピレンと含有量が1モル%以下であるエチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体である結晶性ポリプロピレンである(ただし、結晶性ポリプロピレン部分の全量を100モル%とする)。エチレンまたは炭素数4以上のα-オレフィンの含有量が1モル%を超えると、剛性、耐熱性または硬度が低下する場合がある。
【0011】
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)に含有される結晶性ポリプロピレン部分として、好ましくは、剛性、耐熱性または硬度を高めるという観点から、プロピレン単独重合体であり、より好ましくは、13C−NMRにより計算されるアイソタクチックペンタッド分率が0.95以上であるプロピレン単独重合体である。アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に発表されている方法、すなわち、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である(ただし、NMR吸収ピークの帰属は、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行う)。具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定する。この方法によって英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19-14Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
【0012】
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)に含有される結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]Pは、溶融時の流動性と成形体の靭性とのバランスの観点から、好ましくは1.5dl/g以下であり、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(Q値、Mw/Mn)として、好ましくは3以上7未満であり、より好ましくは3〜5である。
【0013】
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のプロピレンとエチレンの重量比(プロピレン重量/エチレン重量)は75/25〜35/65であり、好ましくは70/30〜40/60である。プロピレンとエチレンの組成比が上記の範囲からはずれると十分な耐衝撃性が得られない場合がある。
【0014】
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)に含有されるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分は、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)から構成される。
【0015】
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−A)のエチレン含量[(C2’)EP-A]は20重量%以上50重量%未満であり、好ましくは25重量%以上45重量%以下である(ただし、共重合体成分(EP−A)の全量を100重量%とする)。エチレン含量[(C2’)EP-A]が上記の範囲にない場合、機械的物性バランス、例えば、靭性や耐衝撃性が低下する場合がある。
【0016】
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP-A)の極限粘度[η]EP-Aは1.5dl/g以上8dl/g以下であり、好ましくは2dl/g以上4dl/g以下である。極限粘度[η]EP-Aが1.5dl/g未満の場合、剛性や硬度が低下したり、靭性や耐衝撃性も低下する場合がある。極限粘度[η]EP-Aが8dl/g以上の場合、成形品にブツが多発したり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の含有量が多いプロピレン系重合体において、プロピレン系重合体全体のメルトフローレート(MFR)が低下し、流動性が低下する場合がある。
【0017】
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)のエチレン含量[(C2’)EP-B]は50〜90重量%であり、好ましくは55〜75重量%である(ただし、共重合体成分(EP−B)の全量を100重量%とする)。エチレン含量[(C2’)EP-B]が上記範囲にない場合、機械的物性バランス、例えば、低温での耐衝撃性が低下する場合がある。
【0018】
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−B)の極限粘度[η]EP-Bは0.5dl/g以上8dl/g以下であり、好ましくは1dl/g以上7dl/g以下であり、さらに好ましくは、2.5dl/g以上7dl/g以下である。極限粘度[η]EP-Bが0.5dl/g未満の場合、剛性や硬度が低下したり、靭性や耐衝撃性も低下する場合がある。極限粘度[η]EP-Bが8dl/g以上の場合、靭性や耐衝撃性が低下する場合がある。また、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の含有量が多いプロピレン系重合体においては、プロピレン系重合体全体のメルトフローレート(MFR)が低下し、流動性が低下する場合がある。
【0019】
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は5〜120g/10分であり、好ましくは10〜100g/10分である。5g/10分未満の場合、成形性が悪化したり、フローマーク発生を防止する効果が不充分なことがあり、120g/10分を超えた場合、耐衝撃性が低下する場合がある。
【0020】
プロピレン系重合体(A)の製造方法としては、プロピレン単独重合体または、プロピレンと含有量が1モル%以下のエチレンまたは炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体である結晶性ポリプロピレン部分(第1セグメントと称する)を第1工程で製造し、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−A、第2セグメントと称する)を第2工程で製造し、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−B、第3セグメントと称する)を第3工程で製造する方法が挙げられる。
【0021】
そして、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法によって製造する方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、チーグラー触媒やメタロセン触媒が挙げられ、チーグラー触媒としては、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、および(c)電子供与体成分から形成される触媒系などが挙げられる。この触媒の製造方法は例えば、特開平1−319508、特開平7−216017、特開平10−212319号等に詳しく記載されている。
【0022】
公知の重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合、気相重合等が挙げられる。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでも可能であり、また、これらの重合方法を任意に組合せてもよい。より具体的な製造方法としては、前述の固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)及び電子供与体成分(c)からなる触媒系の存在下に少なくとも3槽からなる重合槽を直列に配置し、第1の槽で第1セグメントを重合し、得られた生成物を、第2の槽へ移し、その第2の槽で第2セグメントを重合し、得られた生成物を、第3の槽へ移し、その第3の槽で第3セグメントを重合し、プロピレン系重合体を連続的に製造する方法が挙げられる。工業的かつ経済的な観点から、好ましくは連続式の気相重合法である。
【0023】
上記の重合方法における固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)および電子供与体成分(c)の使用量や、各触媒成分を重合槽へ供給する方法は、公知の触媒の使用方法によって、適宜、決めることができる。
【0024】
重合温度は、通常、−30〜300℃であり、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は、通常、常圧〜10MPaであり、好ましくは0.2〜5MPaである。分子量調整剤として、例えば、水素を用いることができる。
【0025】
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)の製造において重合(本重合)の実施前に、公知の方法によって、予備重合を行っても良い。公知の予備重合の方法としては、例えば、固体触媒成分(a)および有機アルミニウム化合物(b)の存在下、少量のプロピレンを供給して溶媒を用いてスラリー状態で実施する方法が挙げられる。
【0026】
本発明で用いられるエラストマー(B)は、エチレンと炭素数5以上のα−オレフィンとの共重合体エラストマー(B−1)および/またはジエン系エラストマー(B−2)である。
エラストマー(B−1)に用いられる炭素数5以上のα−オレフィンとしては、例えば、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0027】
エラストマー(B−1)の密度は、プロピレン系重合体(A)に対する分散性を高めるという観点や、得られる樹脂組成物の室温または低温での衝撃強度を高めるという観点から、0.85〜0.91g/cm3であり、好ましくは0.85〜0.90g/cm3であり、より好ましくは0.855〜0.88g/cm3である。
【0028】
エラストマー(B−1)の190℃のMFRは、光沢を改良するという観点から、0.01〜0.8g/10分であり、好ましくは0.1〜0.5g/10分である。
【0029】
エラストマー(B−1)の製造方法としては、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法による製造方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物およびハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒系や、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子に少なくとも1種以上のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物とアルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒系、いわゆるメタロセン触媒系が挙げられる。
【0030】
公知の重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンと炭素数5以上のα−オレフィンとを共重合させる方法や、溶媒を用いずにエチレンと炭素数5以上のα−オレフィンとを共重合させる方法が挙げられる。
【0031】
ジエン系エラストマー(B−2)は、ジエンを含有するエラストマーであり、好ましくは、エチレン、プロピレン、炭素数4以上のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとジエンとの共重合体である。例えば、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体エラストマー、エチレン−α−オレフィン−ジエン3元共重合体エラストマー等が挙げられる。
【0032】
ジエン系エラストマー(B−2)に用いられるα−オレフィンとしては、ブテン−1および、エラストマー(B−1)に用いられる炭素数5以上のα−オレフィンと同様のα−オレフィンが挙げられ、例えば、ペンテン−1、オクテン−1等が挙げられる。
ジエンとしては、非共役ジエンが挙げられ、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等が挙げられる。
【0033】
ジエン系エラストマー(B−2)としては、例えば、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体エラストマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン三元共重合体エラストマー等が挙げられる。
【0034】
ジエン系エラストマー(B−2)の密度は、0.85〜0.91g/cm3であり、好ましくは0.85〜0.88g/cm3であり、より好ましくは0.855〜0.87g/cm3である。
【0035】
ジエン系エラストマー(B−2)の190℃のMFRは、光沢を改良するという観点から、0.01〜0.8g/10分であり、好ましくは0.1〜0.5g/10分である。
【0036】
ジエン系エラストマー(B−2)のヨウ素価として、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上である。
【0037】
ジエン系エラストマー(B−2)の製造方法としては、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法による製造方法が挙げられる。例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等があげられる。
【0038】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、エラストマー(C)を加えても良い。エラストマー(C)は、エチレンと炭素数4以上のオレフィンとのランダム共重合体エラストマー(C−1)である。
エラストマー(C−1)で用いられる炭素数4以上のα−オレフィンとしては、ブテン−1および、エラストマー(B−1)に用いられる炭素数5以上のα−オレフィンと同様のα−オレフィンが挙げられ、例えば、ブテン−1、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0039】
エラストマー(C−1)の密度は、プロピレン系重合体(A)に対する分散性を高めるという観点や、得られる樹脂組成物の室温または低温での衝撃強度を高めるという観点から、0.85〜0.91g/cm3であり、好ましくは0.85〜0.90g/cm3であり、より好ましくは0.855〜0.88g/cm3である。
【0040】
エラストマー(C−1)の190℃のMFRは、衝撃性を高めるという観点から、1〜15g/10分であり、好ましくは1〜13g/10分である。
【0041】
エラストマー(C−1)の製造方法としては、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法による製造方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物およびハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒系や、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子に少なくとも1種以上のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物とアルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒系、いわゆるメタロセン触媒系が挙げられる。
【0042】
公知の重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法や、溶媒を用いずにエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法が挙げられる。
【0043】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)を加えても良い。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)としては、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体、前記ブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック重合体等が挙げられ、好ましくはブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されているブロック重合体であり、より好ましくは85%以上水素添加されているブロック重合体である。
【0044】
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)の分子量分布としては、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Q値)として、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.3以下である。
【0045】
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)に含有されるビニル芳香族化合物の平均含有量として、好ましくは10〜20重量%であり、より好ましくは12〜19重量%である。
【0046】
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)のメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、190℃)として、好ましくは1〜15g/10分であり、より好ましくは2〜13g/10分である。
【0047】
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)としては、例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分を水添したブロック共重合体等が挙げられる。
【0048】
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(C−2)の製造方法としては、例えば、オレフィン系共重合体ゴムもしくは共役ジエンゴムに対し、ビニル芳香族化合物を重合、反応等により結合させる方法等が挙げられる。
【0049】
本発明で用いられる無機充填材(D)としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、けい砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。良好な衝撃強度、良好な成形体の光沢を得るという観点から、好ましくは、タルク、炭酸カルシウム、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、ケイ酸カルシウム繊維であり、さらに好ましくは、タルクもしくは繊維状マグネシウムオキシサルフェートである。
【0050】
無機充填材(D)が非繊維状の場合、平均粒子径は、通常、10μm以下であり、好ましくは5μm以下である。ここで無機充填材(D)の平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
無機充填材(D)が繊維状の場合、平均繊維長は、通常5μm以上であり、平均繊維径は、通常0.2〜2μmである。好ましくは平均繊維長は10μm以上である。
【0051】
また、無機充填材(D)は無処理のまま使用しても良く、ポリプロピレン系樹脂との界面接着性を向上させ、ポリプロピレン系樹脂に対する分散性を向上させるために、通常、用いられるシランカップリング剤、チタンカップリング剤や界面活性剤で表面を処理して使用しても良い。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
【0052】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が、プロピレン系重合体(A)と、エラストマー(B)と、無機充填材(D)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物である場合、
ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%として、プロピレン系重合体(A)の含有量は55〜90重量%であり、エラストマー(B)の含有量は5〜20重量%であり、無機充填材(D)の含有量は5〜25重量%である。
好ましくは、プロピレン系重合体(A)の含有量が60〜85重量%であり、エラストマー(B)の含有量が5〜15重量%であり、無機充填材(D)の含有量が10〜25重量%である。
【0053】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が、プロピレン系重合体(A)、エラストマー(B)、エラストマー(C)と、無機充填材(D)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物である場合、
ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%として、プロピレン系重合体(A)の含有量は40〜89重量%であり、エラストマー(B)の含有量は5〜20重量%であり、エラストマー(C)の含有量は1〜15重量%であり、無機充填材(D)の含有量は5〜25重量%である。
好ましくは、プロピレン系重合体(A)の含有量が50〜80重量%であり、エラストマー(B)の含有量が5〜15重量%であり、エラストマー(C)の含有量が5〜10重量%であり、無機充填剤(D)の含有量が10〜25重量%である。
【0054】
プロピレン系重合体(A)の含有量が40重量%未満の場合、衝撃強度が不充分なことがあり、90重量%を超えた場合、耐衝撃性や耐傷付き性が低下することがある。
エラストマー(B)の含有量が5重量%未満の場合、光沢を下げる効果が不十分な場合があり、20重量%を超えた場合、引張り破断伸びが低下することがある。
エラストマー(C)の含有量が15重量%を超えた場合、剛性が低下することがある。
無機充填材(D)の含有量が5重量%未満の場合、剛性が不充分なことがあり、25重量%を超えた場合、衝撃強度が不充分なことがある。
【0055】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、各成分を混練する方法が挙げられ、混練に用いられる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等が挙げられる。混練の温度は、通常、170〜250℃であり、時間は、通常、1〜20分である。また、各成分の混練は同時に行なってもよく、分割して行なってもよい。
【0056】
各成分を分割して混練する方法としては、例えば、次の(1)、(2)の方法が挙げられる。
(1)プロピレン系重合体(A)とエラストマー(B)を混練した後、無機充填剤(D)を添加し、混練する方法。
(2)プロピレン系重合体(A)と無機充填剤(D)を混練した後、エラストマー(B)を添加し、混練する方法。
また、上記の(1)または(2)の方法において、任意にエラストマー(C)を添加してもよい。また、混練時に、必要に応じて、プロピレン単独重合体を添加しても良い。
【0057】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、滑剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤の添加剤を配合しても良い。
【0058】
本発明の射出成形体は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を、射出成形法によって、成形して得られるものである。
本発明の射出成形体の用途としては、例えば、自動車用部品、電気製品・電子製品用部品、建材部品等が挙げられ、好ましくは自動車用部品である。
【実施例】
【0059】
物性値の測定法を以下に示す。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従い、測定する。特に断りのない限り、測定温度は230℃であり、荷重は2.16kgである。
【0060】
(2)エチレン含量(単位:重量%)
エチレン含量は、プレスシートを作製し、赤外吸収スペクトルを測定して得られるメチル基(−CH3)およびメチレン基(−CH2−)の特性吸収の吸光度を用いて検量線法により求める。
【0061】
(3)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定する。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求める。ポリプロピレンについては、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で評価する。
【0062】
(4)分子量分布(Q値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下に示した条件で測定する。
GPC:Waters社製 150C型
カラム:昭和電工社製 Shodex 80 MA 2本
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.2wt%)
流量:1ml/min
温度:135℃
溶媒:o−ジクロルベンゼン
東洋曹達社製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積と分子量の検量線を作成する。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め分子量分布の尺度として、Q値、すなわち、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を求める。
【0063】
(5)アイソタクチックペンタッド分率
アイソタクチック・ペンタッド分率は、A.Zambelliらによって、Macromolecules,6,925(1973)に発表、記載されている方法に従って測定する。すなわち、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すれば、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率を求める。ただし、NMRの吸収ピークの帰属は、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行う。
具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定する。この方法により英国NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14 PolypropylenePP/MWD/2のアイソタクチックペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
【0064】
(6)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全ブロック共重合体に対する重量比率(X)
プロピレン−エチレンブロック共重合体において、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全ブロック共重合体に対する重量比率Xは、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出する。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレンホモポリマー部分の融解熱量(cal/g)
【0065】
(7)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(単位:重量%)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は、赤外線吸収スペクトル法により全ブロック共重合体におけるエチレン含量(重量%)で測定し、次式から算出する。
(C2')EP=(C2')T/X
(C2')T:全ブロック共重合体におけるエチレン含量(重量%)
(C2')EP:プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(重量%)
【0066】
(8)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP、単位:dl/g)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の極限粘度を測定することにより、次式から算出する。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
なお、プロピレン−エチレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]Pは、その製造時に、第一工程であるプロピレン単独重合体部分の製造後に重合槽内より取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体から[η]Pを求める。
【0067】
射出成形体の評価は、以下の方法に従って行う。
(1)曲げ弾性率(単位:MPa)
JIS−K−7203に規定された方法に従い、測定する。射出成形によって成形される試験片を用いる。試験片の厚みは6.4mmであり、スパン長さ100mm、荷重速度30mm/minの条件で曲げ弾性率を評価する。測定温度は23℃で行う。
【0068】
(2)アイゾット衝撃強度(単位:KJ/m2
JIS−K−7110に規定された方法に従い、測定する。射出成形によって成形される試験片を用いる。試験片の厚みは3.2mmであり、ノッチ付きの衝撃強度を評価する。測定温度は23℃で行う
【0069】
(3)光沢の評価方法
JIS Z8741鏡面光沢度測定方法における60度鏡面光沢測定方法に従い、測定する。試験片の厚みは3mmであり、株式会社 村上色彩研究所製 Gloss−Meter GM−3Dを用いて光沢を測定する。
【0070】
(4)ウェルド外観の評価
平行2点ゲートを用いて作製される、100×400×3mm平板成形体を用い、目視によりウェルドラインの長さと目立ち感を観察する。この場合、ウェルドラインの長さが短いほど、目立たないほど外観性能が良好であることを示す。
【0071】
実施例1
〔固体触媒成分の製造〕
本発明のプロピレン系重合体に使用する固体触媒成分は、特開平10−212319号と同様の方法で製造する。
【0072】
〔プロピレン系重合体の製造〕
本発明のプロピレン系重合体は、下記の方法で製造する。
減圧乾燥、アルゴン置換後、冷却した撹拌機付きステンレス製オートクレーブ内に、上記の固体触媒成分とトリアルキルアルミニウム及び電子供与体成分(tert−ブチル―n―プロピルジメトキシシラン)を、投入し、さらに水素、プロピレンを前記オートクレーブに仕込んで昇温し重合を開始する。重合開始後、一定時間経過した後、未反応プロピレンを重合系外へパージするとともにオートクレーブ内温を降温する。次いで、エチレン、プロピレン、水素の混合ガスを連続的にフィードして重合を行なう。一定時間経過した後、オートクレーブ内のガスをパージして重合を終了する。生成した重合体を減圧乾燥することにより、重合パウダーが得られる。
【0073】
最初のプロピレンを重合した後、未反応プロピレンを重合系外へパージするとともに、オートクレーブ内温を降温する。次いで、エチレン、プロピレン、水素の混合ガスを連続的にフィードして重合を行なう操作を2回行ない、いずれかの操作の際にエチレン、プロピレン、水素の混合ガスに替えて、エチレン、プロピレン、ブテン、水素の混合ガスを連続的にフィードすることによって、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分として、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体成分(EPB)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP)からなるプロピレン−エチレンランダム共重合体の重合パウダーが得られる。
【0074】
〔ポリプロピレン系樹脂組成物の製造〕
上記の方法によって得られるプロピレン−エチレン共重合体7kgに、エラストマーとしてENGAGE8150を1kg、タルクを2kg加え、これらをヘンシェルミキサーおよびタンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS−31.5BW−2V型)を用いて、押出量30kg/hr、スクリュー回転数320rpm、ベント吸引下で、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造する。
なお、上記の製造でエラストマーとして用いるENGAGE8150は、DupontDow社製のエチレン−オクテン共重合体であり、190℃のMFRは0.5g/10分であり、密度は0.87g/cm3である。
【0075】
〔成形体の製造〕
物性評価用試験片は、次の射出成形条件下で作製する。ポリプロピレン系樹脂組成物を熱風乾燥器で120℃で2時間乾燥後、東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用いて、成形温度180℃、金型冷却温度50℃、射出時間15sec、冷却時間30secで射出成形を行う。
【0076】
光沢測定用の試験片は、厚み3mm、大きさは100mm×400mmであり、次の射出条件下で作製する。ポリプロピレン系樹脂組成物を熱風乾燥器で120℃で2時間乾燥後、住友重機械工業株式会社製 射出成形機 SE180D C510Mを用いて、成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間3.5sec、冷却時間30secで射出成形を行う。
【0077】
ウェルド外観測定用の試験片は、厚み3mm、大きさは100mm×400mmであり、平行2点ゲートを用いて、次の射出条件下で作製する。ポリプロピレン系樹脂組成物を熱風乾燥器で120℃で2時間乾燥後、住友重機械工業株式会社製 射出成形機 SE180D C510Mを用いて、成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間3.5sec、冷却時間30secで射出成形を行う。
上記の評価方法(1)〜(4)によって、得られる射出成形体の評価を行う。




 

 


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