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発明の名称 Ahレセプター転写促進能増強細胞及びその利用
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−60943(P2007−60943A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−248842(P2005−248842)
出願日 平成17年8月30日(2005.8.30)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
発明者 松永 治之
要約 課題

レポーター遺伝子の発現量を測定することにより、被験物質のアリルハイドロカーボンレセプター(以下、AhRと記す。)活性化能を検定する方法において、可能な限り少ない試料の量で測定可能な方法が好ましく、その開発が望されていた。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
アリルハイドロカーボンレセプター遺伝子及びアリルハイドロカーボンレセプター核トランスロケーター遺伝子を発現し、且つアリルハイドロカーボンレセプターの認識配列と転写開始に必要な塩基配列との下流に接続されてなるレポーター遺伝子が染色体に導入されてなる形質転換細胞であって、核内レセプターコアクチベーター1、核内レセプターコアクチベーター2又は核内レセプターコアクチベーター3を発現することを特徴とする形質転換細胞。
【請求項2】
核内レセプターコアクチベーター1、核内レセプターコアクチベーター2又は核内レセプターコアクチベーター3遺伝子が導入されてなることを特徴とする請求項1記載の形質転換細胞。
【請求項3】
核内レセプターコアクチベーター1、核内レセプターコアクチベーター2、又は核内レセプターコアクチベーター3遺伝子が染色体に導入されてなることを特徴とする請求項1記載の形質転換細胞。
【請求項4】
物質が有するアリルハイドロカーボンレセプター活性調節能力の評価方法であって、
(1)請求項1〜3のいずれかの請求項記載の形質転換細胞に被験物質を接触させる工程、
(2)被験物質に接触した前記形質転換細胞における前記レポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する工程、及び
(3)前記工程(2)において測定された翻訳産物量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき、前記物質のアリルハイドロカーボンレセプター活性調節能力を評価する工程
を有することを特徴とする方法。
【請求項5】
工程(1)において、前記形質転換細胞と被験物質との接触が20時間以上維持されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
請求項4〜5のいずれかの請求項記載の方法により評価されたアリルハイドロカーボンレセプター活性調節能力に基づき、アリルハイドロカーボンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とするアリールハイドロカーボンレセプター活性調節能力を有する物質の探索方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかの請求項記載の形質転換細胞を含有することを特徴とする測定用キット。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリルハイドロカーボンレセプター(Ahレセプター)転写促進能増強細胞及びその利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリ塩化ジベンゾ−p−ジオキシン(PCDD)及びポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)がダイオキシン類と総称され、これらにコプラナーポリ塩化ビフェニル(PCB)を加えた3種の化合物群がダイオキシン様物質と総称されている。これらのダイオキシン様物質にはいずれも置換塩素の数や位置によって数多くの構造異性体及び同族体が存在するが、その一部は極めて微量でも生体内において生殖異常、免疫異常、発癌等を惹起することから、住環境や食品等の安全性評価の一環として、毒性を示すダイオキシン様物質を測定する試みがなされている。
ダイオキシン様物質は、細胞内でアリルハイドロカーボンレセプター(以下、Ahレセプターと記すこともある。例えば、非特許文献1、2参照)に結合することによってその毒性を惹起する(例えば、非特許文献3、4参照)。2,3,7,8−TCDD等のダイオキシン様物質がAhレセプターに結合すると、当該レセプターは活性化されて核内に移行した後、アリルハイドロカーボンレセプター核トランスロケーター(Ah receptor nuclear translocator。以下、Arntと記すこともある。例えば、非特許文献5参照)と呼ばれる核タンパク質とヘテロ二量体を形成し、当該二量体が染色体上のダイオキシン応答配列(Dioxin responsive element(DRE);Xenobiotic responsive element(XRE)と呼ばれることもある。例えば、非特許文献6参照)に結合することにより、当該応答配列の下流にある遺伝子の転写を活性化する。
そこで、当該応答配列の下流にAhレセプター活性化能の指標となるレポーター遺伝子を結合させ、これを細胞に導入し、当該細胞に被験物質を接触させ培養した際の当該レポーター遺伝子の発現量を測定することにより、被験物質のAhレセプター活性化能を検定する方法が提案されている(例えば、非特許文献7参照)。このような方法により、種々の化学物質のAhレセプター活性化能を検定し、ダイオキシン様の毒性を惹起し得る化学物質の選抜・同定が可能となる。
【0003】
【非特許文献1】Mol.Pharmacol.,39,13−19(1991)
【非特許文献2】Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,8185−8189(1992)
【非特許文献3】Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.,22,517−554(1982)
【非特許文献4】Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.,26,371−399(1986)
【非特許文献5】Science,252,954−958(1991)
【非特許文献6】J.Biol.Chem.,263,17221−17224(1988)
【非特許文献7】Fund.Appl.Toxicol.,30,194−203(1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レポーター遺伝子の発現量を測定することにより、被験物質のAhレセプター活性化能を検定する方法を、生体試料・食品試料又は環境試料の中のダイオキシン様物質のAhレセプター活性化を検出する方法として適用する場合には、(1)使用できる試料の量が限定されること、(2)当該試料の抽出や前処理精製に用いられる有機溶媒の量を減らすこと、(3)検定操作中での作業者に対するダイオキシン様物質の汚染を極力防ぐこと等の点から、可能な限り少ない試料の量で測定可能な方法が好ましく、その開発が望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意検討した結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.アリルハイドロカーボンレセプター遺伝子及びアリルハイドロカーボンレセプター核トランスロケーター遺伝子を発現し、且つアリルハイドロカーボンレセプターの認識配列と転写開始に必要な塩基配列との下流に接続されてなるレポーター遺伝子が染色体に導入されてなる形質転換細胞であって、核内レセプターコアクチベーター1、核内レセプターコアクチベーター2又は核内レセプターコアクチベーター3を発現することを特徴とする形質転換細胞(以下、本発明形質転換細胞と記すこともある。);
2.核内レセプターコアクチベーター1、核内レセプターコアクチベーター2又は核内レセプターコアクチベーター3遺伝子が導入されてなることを特徴とする前項1記載の形質転換細胞;
3.核内レセプターコアクチベーター1、核内レセプターコアクチベーター2、又は核内レセプターコアクチベーター3遺伝子が染色体に導入されてなることを特徴とする前項1記載の形質転換細胞;
4.物質が有するアリルハイドロカーボンレセプター活性調節能力の評価方法であって、
(1)前項1〜3のいずれかの請求項記載の形質転換細胞に被験物質を接触させる工程、
(2)被験物質に接触した前記形質転換細胞における前記レポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する工程、及び
(3)前記工程(2)において測定された翻訳産物量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき、前記物質のアリルハイドロカーボンレセプター活性調節能力を評価する工程
を有することを特徴とする方法(以下、本発明評価方法と記すこともある。);
5.工程(1)において、前記形質転換細胞と被験物質との接触が20時間以上維持されることを特徴とする前項4記載の方法;
6.前項4〜5のいずれかの前項記載の方法により評価されたアリルハイドロカーボンレセプター活性調節能力に基づき、アリルハイドロカーボンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とするアリールハイドロカーボンレセプター活性調節能力を有する物質の探索方法(以下、本発明探索方法と記すこともある。);
7.前項1〜3のいずれかの前項記載の形質転換細胞を含有することを特徴とする測定用キット(以下、本発明キットと記すこともある。);
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、可能な限り少ない試料の量で測定可能な方法に利用される、アリルハイドロカーボンレセプター(Ahレセプター)転写促進能増強細胞等が提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、さらに詳細に本発明を説明する。
【0008】
本発明形質転換細胞は、アリルハイドロカーボンレセプター(即ち、Ahレセプター)遺伝子及びアリルハイドロカーボンレセプター核トランスロケーター(即ち、Arnt)遺伝子を発現し、且つアリルハイドロカーボンレセプターの認識配列と転写開始に必要な塩基配列との下流に接続されてなるレポーター遺伝子が染色体に導入されてなる形質転換細胞であって、核内レセプターコアクチベーター1、核内レセプターコアクチベーター2又は核内レセプターコアクチベーター3を発現することを特徴とする。
本発明形質転換細胞を調製するために、用いられる宿主細胞としては、例えば、ヒト、マウス、ラット等の哺乳類動物由来の細胞、昆虫類動物由来の細胞、酵母細胞等の真核生物細胞等が挙げられる。操作性や再現性を考慮すると、安定に継代可能な細胞が好ましい。より具体的には、例えば、ヒト由来のHeLa細胞、ヒト由来のMCF7細胞、ヒト由来のHepG2細胞、マウス由来のNIH3T3細胞、マウス由来のHepa1c1c7細胞、ラット由来のH4IIE細胞[これらの宿主細胞は、いずれも、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能である。]等を挙げることができる。
目的とするAhレセプター及び/又はArntを発現していない宿主細胞には、これらをコードする遺伝子を発現可能な形となるように導入すればよい。かかるAhレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子は、天然に存在する遺伝子であってもよいし、人為的に改変された遺伝子であってもよく、例えば、異種の転写調節因子の機能ドメインが連結されてなるタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。当該遺伝子は、その翻訳開始コドンATGの上流に、Kozakのコンセンサス配列(Nucleic Acids Res., 12, 857−872 (1984))が連結されていてもよい。
宿主細胞に導入されるAhレセプター遺伝子としては、ヒト由来のAhレセプター遺伝子[GenBank Accession No.L19872、Mol.Pharmacol.44,911−917(1993)]、マウス由来のAhレセプター遺伝子[GenBank Accession No.M94623、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,8185−8189(1992)]、又はラット由来のAhレセプター遺伝子[GenBank Accession No.M94623、Nucleic Acids Res.,22,3038−3044(1994)]等を挙げることができる。また、宿主細胞に導入されるArnt遺伝子としては、ヒト由来のArnt遺伝子[GenBank Accession No.M69238、Science 252,954-958(1991)]、マウス由来のArnt遺伝子[GenBank Accession No.U10325、Mol.Cell.Biol.14,6075-6086(1994)]、又はラット由来のArnt遺伝子[GenBank Accession No.U61184、direct submission]等が挙げられる。
このようなAhレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子のDNAは、例えば、当該DNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドを、Ahレセプター及びArntをコードする遺伝子が有する既知の塩基配列に基づいて設計して作製し、作製されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるポリメラーゼチェイン反応(以下、PCRと記す。)を行うこと等により調製することができる。尚、かかるPCRにおいて鋳型として用いられるDNAとしては、例えば、各種生物由来の市販のcDNA等を挙げることができる。
次いで、得られたAhレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子のDNAを、例えば、発現可能な形でプロモーターと接続されるようにベクター(例えば、プラスミドの形態であることが好ましい。)に挿入し、得られたベクターを前記宿主細胞に導入すればよい。プロモーターとしては、ベクターが導入される宿主細胞で機能可能な、即ち転写開始能を有するプロモーターであって、例えば、ラウス肉腫ウィルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーター又はシミアンウィルス(SV40)の初期若しくは後期プロモーター等があげらる。ベクターとしては、大腸菌内で機能可能な複製起点及び薬剤耐性遺伝子を有するプラスミド等が挙げられる。具体的には、上記のようなプロモーターを有し且つその下流に遺伝子挿入部位を有する市販の発現用ベクター等を挙げることができる。
Ahレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子が組み込まれたプラスミドを宿主細胞に導入するには、まず宿主細胞を培養容器に播種し(10〜10細胞/直径6〜10cmシャーレ)、5〜10(v/v)%程度の血清を含有するαMEM培地等を用いて、5%CO及び飽和湿度条件下に37℃で数時間〜一晩程度培養する。このようにして培養した宿主細胞へ、前記Ahレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子の組み込まれたプラスミドを導入する。宿主細胞へのDNA導入法としては、例えば、一般的なリポフェクション法、DEAE−デキストラン法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等を挙げることができる。具体的には例えば、市販のリポフェクトアミン(GIBCO−BRL社製)を用いる場合には、添付のマニュアルに従って操作を行ない、導入するプラスミドDNAの量、リポフェクトアミンの量、プラス試薬の量、細胞の種類、細胞の数等は、予備検討を行い予め最適条件を求めておくとよい。プラスミドとしては、CsCl密度勾配遠心法で精製したDNA、市販のプラスミド精製キット、又はそれと同程度の純度のDNAを用いる。
このようにして、前記宿主細胞から形質転換細胞を作製する。好ましくは、導入された遺伝子が染色体に導入されてなる安定形質転換体を取得する。
安定形質転換体の取得は、以下のように行う。前記Ahレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子を組み込んだプラスミドを宿主細胞に導入する際に、薬剤耐性遺伝子も導入する。薬剤耐性遺伝子は、前記Ahレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子を組み込んだプラスミドに含まれるか、或いは、Ahレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子の組み込まれたプラスミドとは別のプラスミド上に含まれてもよい。Ahレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子の組み込まれたプラスミドと同時に薬剤耐性遺伝子を含むプラスミドを導入する場合には、薬剤耐性遺伝子を含むプラスミドDNAの量を前記レポーター遺伝子が組み込まれたプラスミドの量の1/5〜1/10程度にするとよい場合もある。本形質転換細胞の調製に必要な領域(プロモーター、前記Ahレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子を組み込んだプラスミドをコードする遺伝子及び選抜マーカー遺伝子等)に認識部位が存在しない制限酵素で予め消化して直鎖化したプラスミドを用いてもよい。プラスミドを前記のように宿主細胞に導入した後、これを、培地を血清含有培地に交換した後、1晩〜2日間程度培養を続ける。次に、当該細胞を常法に準じてトリプシン処理等により培養容器から剥がして新たな培養容器に播種する。播種直後又は1日間〜2日間培養した後、これを、培地を細胞に導入された薬剤耐性遺伝子に対応する条件を有する培地に交換した後、非形質転換細胞が死滅して形質転換細胞に由来するコロニーが適当な大きさになるまで、選抜マーカー遺伝子に対応する条件を有する培地中で培養を続ける。この間、必要に応じて培地交換を1〜2回/週の割合で行う。得られたコロニー、すなわち薬剤耐性形質を獲得したクローンの中から、Ahレセプター及び/又はArntを発現するクローンを選抜する。Ahレセプター及び/又はArntを発現するクローンは、例えば、Ahレセプター及び/又はArntの抗体を用いて発現タンパクを検出したり、或いは、Ahレセプター及び/又はArntのmRNAをノザーンブロッティング法やRT−PCR法で検出することにより選抜できる。また後述するレポーター遺伝子の活性を指標としても良い。
尚、前記プラスミドは、後述するレポーター遺伝子を含むDNAと同時に宿主細胞へ導入してもよいし、別々に導入してもよい。
【0009】
本発明形質転換細胞を調製するために用いられる宿主細胞としては、Ahレセプター遺伝子及びArnt遺伝子を発現する細胞であって、例えば、ヒト、マウス、ラット等の哺乳類動物由来の細胞、昆虫類動物由来の細胞、酵母細胞等の真核生物細胞等を挙げることができる。より具体的には、例えば、マウス由来のHepa1c1c7細胞、ラット由来のH4IIE細胞、ヒト由来のHepG2細胞等のAhレセプター遺伝子及びArnt遺伝子の両遺伝子内在性の細胞が挙げられる。また、酵母細胞、CV−1細胞等のAhレセプター遺伝子及びArnt遺伝子の両遺伝子非内在性細胞又はAhレセプター遺伝子の発現量の少ない細胞には、当該細胞に上記のようにしてAhレセプター遺伝子及びArnt遺伝子の両遺伝子を導入することにより、当該遺伝子の発現能を付与し又は強化することにより使用すればよい。
【0010】
核内レセプターコアクチベーター1(SRC-1とも呼ばれる。以下、NCoA1と記すこともある。)をコードする遺伝子としては、ヒト由来のNCoA1遺伝子[GenBank Accession No.U59302、Endocrinology,137,3594−3597(1996)]、又はマウス由来のNCoA1遺伝子[GenBank Accession No.U64828、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93,10626−10631(1996)]等を挙げることができる。核内レセプターコアクチベーター2(GRIP1、TIF-2とも呼ばれる。以下、NCoA2と記すこともある。)をコードする遺伝子としては、ヒト由来のNCoA2遺伝子[GenBank Accession No.NM_006540、EMBO J.,15,3667−3675(1996)]、又はマウス由来のNCoA2遺伝子[GenBank Accession No.U39060、Mol.Cell.Biol.,17,2735−2744(1997)]等を挙げることができる。核内レセプターコアクチベーター3(p/CIP、ACTR、AIB1、RAC3、SRC-3、TRAM1とも呼ばれる。以下、NCoA3と記すこともある。)をコードする遺伝子としては、ヒト由来のNCoA3遺伝子[GenBank Accession No.NM_181659]、又はマウス由来のNCoA3遺伝子[GenBank Accession No.NM_008679、Nature,387,677−684(1997)]等を挙げることができる。NCoA1、NCoA2又はNCoA3をコードする遺伝子は、天然に存在する遺伝子であってもよいし、人為的に改変された遺伝子であってもよい。当該遺伝子は、上記のAhレセプター等の場合と同様に、その翻訳開始コドンATGの上流に、Kozakのコンセンサス配列(Nucleic Acids Res., 12, 857−872 (1984))が連結されていてもよい。このようなNCoA1、NCoA2又はNCoA3をコードする遺伝子のDNAは、例えば、当該DNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドを、NCoA1、NCoA2又はNCoA3をコードする遺伝子が有する既知の塩基配列に基づいて設計して作製し、作製されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるPCRを行うこと等により調製することができる。尚、かかるPCRにおいて鋳型として用いられるDNAとしては、例えば、各種生物由来の市販のcDNA等を挙げることができる。
次いで得られたNCoA1、NCoA2及びNCoA3をコードする遺伝子のDNAを、例えば、発現可能な形でプロモーターと接続されるようにベクターに挿入し、得られたベクターを前記宿主細胞に導入すればよい。プロモーターとしては、ベクターが導入される宿主細胞で機能可能な、即ち転写開始能を有するプロモーターであって、例えば、ラウス肉腫ウィルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーター又はシミアンウィルス(SV40)の初期若しくは後期プロモーター等があげらる。ベクターとしては、大腸菌内で機能可能な複製起点及び薬剤耐性遺伝子を有するプラスミド等が挙げられる。具体的には、上記のようなプロモーターを有し且つその下流に遺伝子挿入部位を有する市販の発現用ベクター等を挙げることができる。
このようにして、前記宿主細胞から形質転換体を作製する。好ましくは、導入された遺伝子が染色体に導入されてなる安定形質転換体を取得する。
安定形質転換体の取得は、前記Ahレセプター及び/又はArntをコードする遺伝子の項において記載された方法に準じる。
尚、前記ベクターは、Ahレセプター及びArntをコードする遺伝子を含むDNA、並びに、後述するレポーター遺伝子を含むDNA等と同時に宿主細胞へ導入してもよいし、別々に導入してもよい。前記各遺伝子を同時に導入する場合には、薬剤耐性遺伝子は一種類でも構わないが、それぞれ別種類の方が望ましく、また前記各遺伝子を別々に導入する場合には、各遺伝子の導入毎に別種の薬剤耐性遺伝子を導入すればよい。
【0011】
Ahレセプターの認識配列と転写開始に必要な塩基配列との下流に接続されてなるレポーター遺伝子(以下、Ahレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子)を含むDNAは、例えば、上流から順に、目的とするAhレセプターの認識配列を有するDNA、転写開始に必要な塩基配列を有するDNA及びレポーター遺伝子のDNAが連結されるようにこれらのDNAを接続することにより調製することができる。
かかるAhレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子の調製に使用されるレポーター遺伝子としては、その遺伝子にコードされるタンパク質が有する酵素活性等に基づき発現量の測定が容易な遺伝子が好ましく、例えば、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ等をコードする遺伝子を挙げることができる。このようなレポーター遺伝子のDNAは、例えば、これらのレポーター遺伝子を含む市販のプラスミドのDNAを制限酵素消化して目的とするDNAを単離すること等により得ることができる。
ここで「Ahレセプターの認識配列」とは、Ahレセプターによって発現量が調節される標的遺伝子の転写調節領域に存在する特定の塩基配列であって、AhレセプターリガンドとAhレセプターとの複合体が、当該配列を認識しここに結合すると、その下流に存在する標的遺伝子の転写がリガンド依存性に促進される。ダイオキシン応答性に係るAhレセプターの認識配列(以下、ダイオキシン応答配列と記すこともある。)としては、例えば、チトクロムP4501A1遺伝子[cyp1A1、J. Biol. Chem., 263, 17221−17224 (1988)、Nucleic Acids Res., 15, 4179−4191 (1987)]、グルタチオンS−トランスフェラーゼYaサブユニット遺伝子[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87,3826−3830 (1990)]、UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ遺伝子[J. Biol. Chem., 271, 3952−3958 (1996)]等の哺乳動物由来の遺伝子の5’上流領域の塩基配列等を挙げることができる。また、ダイオキシン応答配列のコンセンサス配列[コア配列:5’−(T/A)GCGTG、J. Biol. Chem., 271, 3952−3958 (1996)]を1回以上含む塩基配列を挙げることもできる。尚、十分な転写制御能を得るには、前記のようなコンセンサス配列は通常2〜6程度タンデムに連結されていることが好ましい。かかる塩基配列を有するDNAは、化学合成するか、PCR法等により増幅しクローニングすることにより調製すればよい。
「転写開始に必要な塩基配列」としては、TATAボックス及び転写開始のリーダー配列を有する塩基配列であって、例えば、チミジンキナーゼ遺伝子(tk)の5’上流領域の塩基配列、グルタチオンS−トランスフェラーゼYaサブユニット遺伝子の5’上流領域(例えば、転写開始点を1として、−164番目の塩基〜+66番目の塩基を含む領域、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 3826−3830 (1990))の塩基配列、チトクロムP4501A1遺伝子の5’上流領域(例えば、転写開始点を1として、−70番目の塩基〜+120番目の塩基を含む領域、Eur. J. Biochem., 159, 219−225 (1986))、アデノウィルスのメジャー後期プロモーターのTATA−ボックス配列とTdTのイニシエーター配列とを有するオリゴヌクレオチド(Gene,182,13−22(1996))の塩基配列等が挙げられる。このような塩基配列を有するDNAは、化学合成するか、前記のような領域をコードするDNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドを、既知の塩基配列に基づいて設計して作製し、作製されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるPCRを行うことにより調製すればよい。
【0012】
Ahレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子を含むDNAを、プラスミド等のベクターに組み込んで前記宿主細胞に後述のような方法に従い導入し、当該レポーター遺伝子が染色体に導入されてなる細胞を選抜することにより、本発明における細胞を調製することができる。具体的には例えば、チトクロムP4501A1遺伝子の5’上流領域由来のダイオキシン応答配列を含む塩基配列と、グルタチオンS−トランスフェラーゼYaサブユニット遺伝子の5’上流領域由来の転写開始に必要な塩基配列との下流に接続されてなるホタルルシフェラーゼ遺伝子(即ち、Ahレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子)が組み込まれたプラスミドを作製し、これをAhレセプター遺伝子及びArnt遺伝子の両遺伝子内在性のHepa1clc7細胞に導入する。このとき、当該レポーター遺伝子が染色体に導入された細胞の選抜を容易にするために、薬剤耐性遺伝子等の選抜マーカー遺伝子の発現プラスミドを同時に導入してもよい。このようにして使用することができる薬剤耐性遺伝子としては、例えば、ネオマイシン耐性(アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ)遺伝子、ブラストサイジンS耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子等を挙げることができる。
【0013】
Ahレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子の組み込まれたプラスミドを哺乳類動物由来の細胞に導入するには、例えば、まず、宿主細胞を培養容器に播種し(10〜10細胞/直径6〜10cmシャーレ)、5〜10(v/v)%程度の血清を含有するαMEM培地等を用いて、5%CO及び飽和湿度条件下に37℃で数時間〜一晩程度培養する。このようにして培養した宿主細胞へ、前記レポーター遺伝子が組み込まれたプラスミドを導入する。宿主細胞へのDNA導入法としては、例えば、一般的なリポフェクション法、DEAE−デキストラン法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等を挙げることができる。具体的には例えば、市販のリポフェクトアミン(GIBCO−BRL社製)を用いる場合には、添付のマニュアルに従って操作を行ない、導入するプラスミドDNAの量、リポフェクアミンの量、プラス試薬の量、細胞の種類、細胞の数等は、予備検討を行い予め最適条件を求めておくとよい。前記レポーター遺伝子が組み込まれたプラスミドと同時に薬剤耐性遺伝子を含むプラスミドを導入する場合には、薬剤耐性遺伝子を含むプラスミドDNAの量を前記レポーター遺伝子が組み込まれたプラスミドの量の1/5〜1/10程度にするとよい場合もある。プラスミドとしては、CsCl密度勾配遠心法で精製したDNA、市販のプラスミド精製キット、又はそれと同程度の純度のDNAを用い、本発明形質転換細胞の調製に必要な領域(リガンド応答性転写調節因子の認識配列、プロモーター、レポーター遺伝子及び選抜マーカー遺伝子等)に認識部位が存在しない制限酵素で予め消化して直鎖化したプラスミドを用いてもよい。プラスミドを宿主細胞に導入した後、これを、培地を血清含有培地に交換した後、1晩〜2日間程度培養を続ける。次に、当該細胞を常法に準じてトリプシン処理等により培養容器から剥がして新たな培養容器に播種する。播種直後又は1日間〜2日間培養した後、これを、培地を細胞に導入された選抜マーカー遺伝子に対応する条件を有する培地に交換した後、非形質転換細胞が死滅して形質転換細胞に由来するコロニーが適当な大きさになるまで、選抜マーカー遺伝子に対応する条件を有する培地中で培養を続ける。この間、必要に応じて培地交換を1〜2回/週の割合で行う。
次いで、このようにして得られた形質転換細胞について、当該細胞に被験物質(Ahレセプターリガンド)を接触させ培養した際の前記レポーター遺伝子の発現量を測定することにより、被験物質(Ahレセプターリガンド)のAhレセプター活性化能を検定するために好ましい形質転換細胞を選択することができる。具体的には、まず、得られた形質転換細胞のコロニーを複数に分割して植え直し、当該形質転換細胞を増殖させてから、その一部に、目的とする被験物質(Ahレセプターリガンド)の溶液を添加した後(リガンド添加区)、これを4時間〜2日間程度培養した後、当該形質転換細胞におけるAhレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量を測定する。また、対照として、前記形質転換細胞の別の一部に、前記被験物質の溶液を調製するために用いられた溶媒のみを添加した後(対照区)、これを同様に培養した。その後、当該形質転換細胞における前記レポーター遺伝子の発現量を測定する。
Ahレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量を測定する方法は、使用されるレポーター遺伝子の種類にもよるが、一般的には、測定対象の形質転換細胞に細胞溶解剤を添加して調製される細胞抽出液に含まれる前記レポーター遺伝子にコードされるタンパク質の量を測定する。例えば、レポーター遺伝子にコードされるタンパク質が酵素活性を有する場合には、酵素である当該タンパク質に特異的な基質と抽出液中のレポーター遺伝子にコードされるタンパク質とを反応させた後、残存する基質の量又は反応産物の量を、その発光量、蛍光吸光度若しくは吸光度等を指標にして測定する。具体的には例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いた場合は、ルシフェラーゼの基質であるルシフェリンと細胞抽出液とを反応させると、細胞抽出液中のルシフェラーゼの量に比例した強度で発光する。従って、この発光強度をルミノメーター等の測定装置で測定することにより、細胞抽出液中のルシフェラーゼの量、ひいては、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を知ることができる。そしてAhレセプターリガンド添加区における発現量から対照区における発現量を差し引くことにより、Ahレセプターリガンドとの接触によるレポーター遺伝子の発現量の増大量を求める。その結果、Ahレセプターリガンドとの接触によるAhレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量の増大量が、対照区における発現量の少なくとも2倍以上、好ましくは10倍以上であった形質転換細胞を選択する。尚、このようにして選択されたコロニーが単一の形質転換細胞で構成されていない場合には、当該形質転換細胞を希釈してさらに培養することにより、単一の形質転換細胞からなるコロニーを選択すればよい。
【0014】
次いで、このようにして得られた形質転換細胞にNCoA1、NCoA2又はNCoA3をコードする遺伝子が組み込まれた発現プラスミドを一過性に導入するには、例えば、まず、Ahレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子が染色体に組み込まれてなる形質転換細胞(以下、レポーター細胞と記すこともある。)を、培養容器に播種し(10〜10細胞/直径6〜10cmシャーレ)、5〜10(V/V)%程度の血清を含有するαMEM培地等を用いて、5%CO及び飽和湿度条件下に37℃で一晩ないし1日程度培養する。このようにして培養したレポーター細胞へNCoA1発現プラスミド、NCoA2発現プラスミド又はNCoA3発現プラスミドを前述と同様なプラスミド導入方法に従い導入する。この際、プラスミドの導入効率を測るため、内部標準プラスミドを同時に導入してもよい。内部標準プラスミドとしては、適当なプロモーター制御下で、レポーター遺伝子とは別異の遺伝子が発現される構造を有するプラスミドを挙げることができる。具体的には例えば、βガラクトシダーゼの発現プラスミドpCMVβ(クロンテック社)、ウミシイタケルシフェラーゼの発現プラスミドpRL−TK(プロメガ社)等が挙げられる。
前記発現プラスミドをレポーター細胞に導入した後、これを、培地を血清含有培地に交換した後、1晩〜2日間程度培養を続ける。次いで当該レポーター細胞の一部に、目的とする被験物質(Ahレセプターリガンド)の溶液を添加した後(リガンド添加区)、これを4時間〜2日間程度培養する。その後、当該レポーター細胞におけるAhレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量を測定する。また、対照として、前記レポーター細胞の別の一部に、前記被験物質の溶液を調製するために用いられた溶媒のみを添加した後(対照区)、これを同様に培養する。その後、当該レポーター細胞における前記レポーター遺伝子の発現量を測定する。
尚、内部標準として導入された遺伝子の発現量は、例えば、βガラクトシダーゼの場合は、Molecular Cloning(2nd Ed., Cold Spring Harbor Press)の16.66に記載される方法等によりその酵素活性を測定することにより求められる。
【0015】
NCoA1、NCoA2又はNCoA3をコードする遺伝子が染色体に導入されてなるレポーター細胞は、前記のレポーター細胞における場合と同様に作製することができる。まず、レポーター細胞を培養容器に播種し(10〜10細胞/直径6〜10cmシャーレ)、レポーター細胞の作製に用いられた選抜マーカー薬剤を含む培地を用いて、5%CO及び飽和湿度条件下に37℃で数時間〜一晩程度培養する。このようにして培養されたCARM1遺伝子が組み込まれたプラスミドを導入する。この際、用いられる薬剤耐性遺伝子マーカーは、レポーター遺伝子の導入時に用いられた薬剤耐性遺伝子マーカーとは別異であることが望ましい。尚、プラスミドを導入する際に用いられる無血清培地には選抜用薬剤を含めない。プラスミドをレポーター細胞に導入した後、これを、培地を血清含有培地に交換した後、1晩〜2日間程度培養を続ける。次に、当該細胞を常法に準じてトリプシン処理等により培養容器から剥がして新たな培養容器に播種する。播種直後又は1日間〜2日間培養した後、これを、培地を細胞に導入された選抜マーカー遺伝子に対応する条件を有する培地に交換した後、非形質転換細胞が死滅して形質転換細胞に由来するコロニーが適当な大きさになるまで、選抜マーカー遺伝子に対応する条件を有する培地中で培養を続ける。尚、前記のレポーター遺伝子の導入時の選択マーカー遺伝子とNCoA1、NCoA2又はNCoA3をコードする遺伝子の導入時の選抜マーカーとが異なる場合には、それぞれの選抜用薬剤を適切な濃度で混合した培地を用いればよい。この間、必要に応じて培地交換を1〜2回/週の割合で行う。
得られた形質転換細胞のAhレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量の増大量は、前述のようなリガンド添加区と対照区とを比較する方法等により求めればよい。NCoA1、NCoA2又はNCoA3をコードする遺伝子の導入による前記レポーター遺伝子の発現量の増大量は、NCoA1、NCoA2又はNCoA3をコードする遺伝子を含まない空の発現プラスミドを導入したレポーター細胞における前記レポーター遺伝子の発現量との比較に基づき求めることができる。
【0016】
上記のようにして得られる本発明形質転換細胞を用いて本発明評価方法を実施することにより、被験物質が有するAhレセプター活性調節能力を評価することができる。
まず、本発明形質転換細胞に、被験物質を接触させる[工程(1)]。本発明形質転換細胞と被験物質との接触を、例えば、約16時間以上(より具体的には、約16時間程度〜約50時間程度)維持すると、後述するレポーター遺伝子の翻訳産物量がほぼ飽和に達するため、測定時間のずれ等に起因する測定誤差の発生を少なくすることができる。
より具体的な実施態様としては、例えば、まず、本発明形質転換細胞を96ウェルプレートに1ウェルあたり約10細胞〜約5×10細胞程度播種し、5%(v/v)〜10%(v/v)となるよう血清を含有する培地(αMEM等)を100μL〜200μL添加し、5% CO及び飽和湿度条件下に37℃で数時間〜1日間程度培養する。そして、培養中の本発明形質転換細胞の培地に、被験物質の溶液を添加する。又は、本発明形質転換細胞の培地を、被験物質を含む培地に交換してもよい。被験物質を溶解させる溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、蒸留水等が用いられる。本発明形質転換細胞への溶媒の影響を少なくするには、培地に添加される被験物質溶液の容量割合が、培地容量の約0.5%(v/v)〜約2%(v/v)程度以下になるように調製するとよい。尚、被験物質の溶液が水溶液である場合には、例えば、ポアサイズ22μmのフィルターで濾過滅菌した後、上記培地に添加する。
【0017】
次に、上記のようにして被験物質に接触した本発明形質転換細胞における応答性レポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する[工程(2)]。本発明形質転換細胞が発現するAhレセプターが、被験物質(例えば、ダイオキシン様活性物質)の結合により活性化された場合には、応答性レポーター遺伝子の転写が促進され、当該レポーター遺伝子の翻訳産物であるレポータータンパク質が本発明形質転換細胞内に蓄積されるか若しくは培地中に分泌される。このレポータータンパク質の量又はその量と相関関係を有する指標値を測定することにより、本発明形質転換細胞の細胞あたりのレポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量に相関関係を有する指標値を測定する。具体的には、例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いた場合には、被験物質に接触させた本発明形質転換細胞から調製された細胞粗抽出物に、ルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを加えると、当該細胞粗抽出物中のルシフェラーゼ量に比例した強度で発光する。従って、この発光強度をルミノメーター等の測定装置で測定することにより、ルシフェラーゼ量、つまりは、ルシフェラーゼ遺伝子の翻訳産物量を知ることができる。
【0018】
次いで、前記工程(2)において測定された翻訳産物量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき、被験物質のAhレセプター活性調節能力を評価する[工程(3)]。Ahレセプター活性調節能力としては、例えば、Ahレセプターに対するアゴニスト活性、Ahレセプターに対するアンタゴニスト活性が挙げられる。例えば、被験物質に接触させた本発明形質転換細胞において測定されたレポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量と相関関係を有する指標値と、被験物質には接触させない本発明形質転換細胞において測定された当該翻訳産物量又は指標値とを比較する。被験物質に接触させた本発明形質転換細胞におけるレポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量と相関関係を有する指標値の方が高ければ、前記被験物質はAhレセプターに対するアゴニスト活性を有すると評価することができる。一方、例えば、TCDD等のダイオキシン様活性物質及び被験物質を接触させた本発明形質転換細胞と、当該ダイオキシン様活性物質を接触させ被験物質は接触させない本発明形質転換細胞の各々において、上記と同様な方法でレポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量に相関関係を有する指標値を測定する。ダイオキシン様活性物質を接触させ
た本発明形質転換細胞におけるレポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量に相関関係を有する指標値と比較して、ダイオキシン様活性物質及び被験物質を接触させた本発明形質転換細胞におけるレポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量に相関関係を有する指標値の方が低ければ、前記被験物質はAhレセプターに対するアンタゴニスト活性を有すると評価することができる。
【0019】
上記のようにして本発明評価方法により評価された被験物質のAhレセプターに対するアゴニスト活性に基づき、当該被験物質のTCDD換算量を求めることもできる。例えば、TCDDを被験物質として濃度を変えて上記の測定系に添加し、各濃度におけるレポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量に相関関係を有する指標値を測定する。次いで、得られた測定値とTCDDの濃度とをプロットして検量線を作成する。得られた検量線に、各種被験物質のついて測定されたレポーター遺伝子の翻訳産物量又はその量に相関関係を有する指標値をあてはめることにより、当該被験物質のTCDD換算量を求めることができる。このようにして求められるTCDD換算量は、GC−MS測定によるダイオキシン類分析法における「毒性等量(TEQ)」と同様の意味合いをもつ。
また、本発明評価方法により評価されたAhレセプター活性調節能力に基づき、Ahレセプター活性調節能力を有する物質を選抜・探索することが可能となる。
そしてこのような利用のために、本発明形質転換細胞を含有することを特徴とする測定用キットは適している。
【実施例】
【0020】
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
実施例1 (Ahレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子を含むプラスミドの構築)
ラットグルタチオンS−トランスフェラーゼYaサブユニット遺伝子の5’上流領域に存在するダイオキシン応答配列(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 3826〜3830 (1990))とげっ歯類のコンセンサス応答配列(Eur. J. Pharmacol., 258, 803〜812(1998))とを含む塩基配列からなる以下の2種のオリゴヌクレオチドを合成した。
オリゴヌクレオチドA;5’−ctcagcgagtttgcgtgagaagaccagggcaaacaagct−3’(配列番号1)
オリゴヌクレオチドB;5’−tgtttgccctggtcttctcacgcaaactcgctgagagct−3’(配列番号2)
次いで、当該オリゴヌクレオチドA及びBのそれぞれにT4ポリヌクレオチドキナーゼを作用させて5’末端をリン酸化した後、これをアニーリングすることにより2本鎖DNAを得た。得られた2本鎖DNA(以下、改変YaXREと記すこともある。)を、プラスミドpGL3(Promega社)のBglI及びHindIIIの切断部位にニワトリovalbuminのTATAプロモーター配列を組み込んだプラスミドpGL3−chTATAのSacI切断部位に挿入した。挿入されたDNAの方向と塩基配列とをシークエンサーにより確認した。構築されたオリゴヌクレオチドAの下流にルシフェラーゼ遺伝子が位置するプラスミドのSacI切断部位に、改変YaXREを挿入した。挿入DNAの方向と塩基配列とをシークエンサーにより確認した。
同様の操作を繰り返すことにより、改変YaXREが5つタンデムに連結してなるDNA(以下、pGL3−chTATA−改変YaXRE×5と記すこともある。)を得た。アデノウィルスのメジャー後期プロモーターのTATA−ボックス配列とTdTのイニシエーター配列とを有するオリゴヌクレオチドC及びオリゴヌクレオチドD(Gene,182,13−22(1996))を合成した。
オリゴヌクレオチドC;5’− ctagctataaaagcgatgaattcgagctcggccctcattcta −3’(配列番号3)
オリゴヌクレオチドD;5’− gatattttcgctacttaagctcgagccgggagtaagattcga −3’(配列番号4)
次いで、当該オリゴヌクレオチドC及びDのそれぞれにT4ポリヌクレオチドキナーゼを作用させて5’末端をリン酸化した後、これをアニーリングして2本鎖DNAを得た。この2本鎖DNAを、上記のpGL3−chTATA−改変YaXRE×5におけるHindIII部位とNheI部位との間に挿入することにより、プラスミドpGL3−AdML−TATA−Inr−改変YaXRE×5を得た。
別途、pUCSVBSD(フナコシ社)からBamHIで切り出したブラストサイジンS耐性遺伝子を、上記のpGL3−AdML−TATA−Inr−改変YaXRE×5におけるBamHI切断部位に挿入することにより、pGL3−AdML−TATA−Inr−改変YaXRE×5−BSDを得た。
【0022】
実施例2 (Ahレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子が導入されてなる安定形質転換細胞の作製)
Hepa1c1c7細胞(ATCCから購入)を1.8×105細胞となるように直径6cmシャーレに播種し、牛胎児血清が10(v/v)%となるように添加されたαMEM培地(以下、10%血清含有αMEM培地と記すこともある。)中、37℃で5%CO存在下に一晩培養した。尚、本実施例においては、以下の培養は、37℃で5%CO存在下で全て実施した。
一方、実施例1で得られたプラスミドpGL3−AdML−TATA−Inr−改変YaXRE×5−BSDをApaLIで切断した後、長い方のDNA断片をアガロースゲル電気泳動により精製した。
次いで、精製DNA断片の0.9μgとαMEM培地270μlとを混合し、さらにプラス試薬(Invitrogen社)7.2μlを混合した後、この混合液を室温で約15分間放置した(混合液A)。別途、及びリポフェクトアミン(Invitrogen社)29.7μlとαMEM培地891μlとを混合した(混合液B)。混合液Bの270μlを混合液Aに加え、混合した後、これを室温で約15分間放置した(混合液A)。
次に、上記のように一晩培養されたHepa1clc7細胞をαMEM培地1.8mlで1回洗浄した後、これにαMEM培地1.8mlを添加した。これに前記の混合液(A+B)を添加した後、3時間培養した。次いで、培地を10%血清含有αMEM培地3mlに交換し、さらに一晩培養した。次いで、培養された細胞をシャーレから剥がして回収し、回収された細胞を10%血清含有αMEM培地に懸濁した後、当該懸濁液中の細胞数をヘマトサイトメーターにより計数した。細胞懸濁液を10%血清含有αMEM培地で希釈し、細胞が約2400cells/100μl培地/ウェルの割合で96ウェルプレートに播種された。播種後、2日間培養後、ブラストサイジンSを16μg/mlの濃度となるように10%血清含有αMEM培地に溶解させた培地を用いて、100μl/ウェルの割合で培地交換した。さらに10日間培養を続けて、その間、培地を、16μg/mlのブラストサイジンSを含む10%血清含有αMEM培地に、3日おきに交換した。培養11日間後、コロニー形成が認められたウェルから培養細胞を剥がして回収し(24ウェル分)、回収された細胞を3分割してそれぞれ別のプレートに播種して培養した。3分割した日の翌日に、1番目のプレートにはDMSOのみを添加し(溶媒対照)、2番目のプレートにはDMSOに溶解させたベンツピレンを終濃度が10μMとなるように加えて、それぞれ培養を続けた。また、3番目のプレートはマスタープレートとして何も添加せずにそのまま培養を続けた。DMSO又はベンツピレンを添加した翌日に、それぞれのプレートの各ウェルから培地を除き、PBS(−)(1l中、塩化ナトリウム: 8000 mg、塩化カリウム: 200 mg、リン酸一水素ナトリウム(無水): 1150 mg、リン酸二水素ナトリウム(無水): 200 mg、日水製薬社販売)で2回ウェルを洗浄した後、5倍に希釈されたピッカジーンデュアル用細胞溶解剤(東洋ビーネット社販売)の5倍希釈液を30μl/ウェルずつ各ウェルに加えて室温にて1時間放置することにより、細胞を溶解させ、細胞抽出液を得た。細胞抽出液の10μlを別の96ウェルプレート(白底)に移し、当該プレートを酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96V(ベルトールド社製)にセットし、発光基質溶液(終濃度、ルシフェリン:470μM、硫酸マグネシウム:2.67 mM、トリシン:20 mM、EDTA:0.1 mM、ATP:530μM、コエンザイムA:270μM、ジチオスレイトール:33.3 mM)50μlずつを各ウェルに自動分注して、連続的に発光量を測定した。ベンツピレン添加によるホタルルシフェラーゼ遺伝子(リガンド応答性レポーター遺伝子)の発現量の増大量(率)の高い方から3クローンを選び、相当するクローンの細胞をマスタープレートから分割して播種した。得られた3クローンのうち最もホタルルシフェラーゼ遺伝子の発現量の増大量(率)が高かったクローンを、1ウェルあたり1細胞の割合で96ウェルプレートに希釈播種した。これに、ブラストサイジンSを含む培地を添加し、培養を続けた後、コロニーが大きくなったところで10クローンについて上記と同様にベンツピレン添加による発現量の増大量(率)を調べ、このうち最も高い発現量の増大量(率)を示した2G9株を単離した。
【0023】
実施例3 (マウスの核内レセプターコアクチベーター1(mNCoA1)発現プラスミドの作製)
マウスの核内レセプターコアクチベーター1のcDNA配列(GenBank:NM_010881)を基に、以下のオリゴヌクレオチドE及びオリゴヌクレオチドFを合成した。
オリゴヌクレオチドE;5’−ataagaatgcggccgccaccatgagtggccttggggacagttcatcag−3’(配列番号5)
オリゴヌクレオチドF;5’−gattctagacctctagtctgtagtcaccacagagaag−3’(配列番号6)
これらのオリゴヌクレオチドをプライマーとし、マウス脳cDNAを鋳型としてPCRを行った。PCR反応液の組成は、マウス脳cDNA 2μl、10×Pfu緩衝液5μl、デオキシNTP混合液4μl、プライマー各10μMを1μlであり、滅菌超純水36μl、PfuTurbo DNA Polymerase(Stratagene社) 1μl、反応条件は、95℃で2分間の後、(1)95℃30秒、(2)55℃30秒、(3)72℃8分で(1)から(3)の工程を30回繰り返した後、72℃で10分反応させ、最後は4℃で保持する条件であった。回収されたPCR産物をXbaI、続いてNotIで消化した後、0.8%アガロースゲルに供することにより、約4kbのバンドを回収した。当該消化物を発現ベクターpRc/RSV(Invitrogen社)のNotI−XbaI切断部位に挿入した。このようにして得られた発現プラスミドからmNCoA1遺伝子をXbaI及びNotIで切り出した後、発現ベクターpRc/CMV(Invitrogen社)のNotI−XbaI切断部位に挿入することにより、発現プラスミドpRc/CMV−mNCoA1を構築した。
【0024】
実施例4 (マウスの核内レセプターコアクチベーター2(mNCoA2)発現プラスミドの作製)
マウスの核内レセプターコアクチベーター2のcDNA配列(GenBank:NM_008678)を基に、以下のオリゴヌクレオチドG及びオリゴヌクレオチドHを合成した。
オリゴヌクレオチドG;5’−gattctagagccaccatgagtgggatgggagaaaacacctctg−3’(配列番号7)
オリゴヌクレオチドH;5’−gattctagaagggtcagcagtatttccgagatgcatc−3’(配列番号8)
これらのオリゴヌクレオチドをプライマーとし、マウス脳cDNAを鋳型としてPCRを行った。PCR反応液の組成は、マウス脳cDNA 1μl、10×KOD緩衝液5μl、デオキシNTP混合液(2mM)5μl、MgSO4(25mM)2.4μl、プライマー10μMを各0.8μlであり、滅菌超純水34μl、KOD Plus DNA Polymerase(TOYOBO社) 1μl、反応条件は、95℃で2分間の後、(1)95℃30秒、(2)55℃30秒、(3)68℃8分で(1)から(3)の工程を35回繰り返した後最後は4℃で保持する条件であった。回収されたPCR産物をXbaIで消化した後、1%アガロースゲルに供することにより、約4kbのバンドを回収した。当該消化物を発現ベクターpRc/CMV(Invitrogen社)のXbaI切断部位に挿入することにより、発現プラスミドpRc/CMV−mNCoA2を構築した。
【0025】
実施例5 (マウスの核内レセプターコアクチベーター3(mNCoA3)発現プラスミドの作製)
マウスの核内レセプターコアクチベーター3のcDNA配列(GenBank:NM_008678)を基に、以下のオリゴヌクレオチドI及びオリゴヌクレオチドJを合成した。
オリゴヌクレオチドI;5’−gatactagtgccaccatgagtggactaggcgaaagctctttggatc−3’(配列番号9)
オリゴヌクレオチドJ;5’−gatgcggccgcctagggagatgtcagcagtatttctgatcg−3’(配列番号10)
これらのオリゴヌクレオチドをプライマーとし、マウス脳cDNAを鋳型としてPCRを行った。PCR反応液の組成は、マウス脳cDNA 1μl、10×KOD緩衝液5μl、デオキシNTP混合液(2mM)5μl、MgSO4(25mM)2.4μl、プライマー10μMを各0.8μlであり、滅菌超純水34μl、KOD Plus DNA Polymerase(TOYOBO社) 1μl、反応条件は、95℃で2分間の後、(1)95℃30秒、(2)55℃30秒、(3)68℃8分で(1)から(3)の工程を30回繰り返した後、最後は4℃で保持する条件であった。回収されたPCR産物をSpeI及びNotIで消化した後、1%アガロースゲルに供することにより、約4kbのバンドを回収した。当該消化物を発現ベクターpRc/RSV(Invitrogen社)のSpeI−NotI切断部位に挿入した。このようにして得られた発現プラスミドpRc/RSV−mNCoA3を鋳型とし、新たに合成したオリゴヌクレオチドKとLをプライマーとしてPCRを行った。
オリゴヌクレオチドK;5’−ataagaatgcggccgcgccaccatgagtggactaggcgaaagctctttggatc−3’(配列番号11)
オリゴヌクレオチドL;5’−gcactagtctagggagatgtcagcagtatttctgatcg−3’(配列番号12)
PCR反応液の組成は、pRc/RSV-mNCoA3 1μl、10×EX Taq緩衝液5μl、デオキシNTP混合液4μl、プライマー10μMを各1μlであり、滅菌超純水37.5μl、Ex Taq DNA Polymerase(TaKaRa社) 0.5μl、反応条件は、95℃で5分間の後、(1)95℃1分、(2)60℃1分、(3)72℃5分で(1)から(3)の工程を35回繰り返した後、最後は4℃で保持する条件であった。回収されたPCR産物をSpeI、続いてNotIで消化した後、1%アガロースゲルにて精製した。該精製DNA断片を発現ベクターpRc/CMV(Invitrogen社)のNotI−XbaI切断部位に挿入することにより、発現プラスミドpRc/CMV−mNCoA3を構築した。
【0026】
実施例6 (レポーター細胞にmNCoA1、mNCoA2又はmNCoA3を発現させた状態におけるAhレセプターリガンドの転写促進能測定)
実施例2において作製されたAhレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子が導入されてなる安定形質転換細胞(2G9株)を96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルの割合で播種した後、これを一晩培養した。内部標準プラスミドpCMVβ(Clontech社;0.01μg/μl)の112μlを1792μlのαMEM培地に混合し、さらにトランスフェクション試薬の補助剤(トランスフェクション効率の向上目的)であるプラス試薬224μlを混合した。得られた混合液の66.5μlに、実施例3で作製されたmNCoA1の発現プラスミドpRc/CMV−mNCoA1、実施例3で作製されたmNCoA2の発現プラスミドpRc/CMV−mNCoA2又はmNCoA3の発現プラスミドpRc/CMV−mNCoA3(0.04μg/μl)の3.5μlを混合した後、これを室温で15分間放置した(混合液A)。別途、112μlのリポフェクトアミンを2128μlのαMEM培地と混合した(混合液B)。混合液Bの70μlと混合液Aとを混合し、これを室温で15分間放置した(混合物A+B)。
次に、上記のように一晩培養されたAhレセプターリガンド応答性レポーター遺伝子が導入されてなる安定形質転換細胞の培地を吸引して除き、αMEM培地を50μl/ウェルの割合で分注した。これに前記の混合液(A+B)を20μl/ウェルの割合で添加した後、3時間培養した。次いで、培地を10%血清含有αMEM培地100μl/ウェルに交換し、さらに一晩培養した。次いでDMSO又は400μMベンツピレンを10%血清含有αMEM培地に1%(v/v)添加し混合した後、これを上記のトランスフェクション後一晩培養した細胞に100μl/ウェルずつ添加した(ベンツピレンの終濃度2μM)。細胞の培養を続け、8時間後に培地を除き、PBS(−)100μl/ウェルで2回洗浄した後、LCβ溶解剤(東洋ビーネット)を30μl/ウェルずつ各ウェルに加えて、室温で30分以上放置することにより、溶解させ、細胞抽出液を得た。得られた細胞抽出液を冷凍庫で凍結保存した。この凍結保存プレートを冷凍庫から取り出した後、室温にて融解された細胞抽出液の10μlを白色96ウェルプレートに移した。当該プレートを酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96V(ベルトールド社製)にセットし、実施例2で記載された発光基質溶液を50μlずつを各ウェルに自動分注して、連続的に発光量を測定した。別途、上記の細胞抽出液の5μlを白色96ウェルプレートに移した。当該プレートの各ウェルにβ−ガラクトシダーゼ基質溶液95μl(0.5M リン酸ナトリウム(pH7.4)20μl, 0.1M MgCl2/4.5M 2−mercaptoethanol 1μl, 2−nitrophenyl−β−D−galactopyranoside(4 mg/ml)22μl, 超純水 52μl)ずつを添加し、これを37℃で40分間インキュベートした後、氷冷した。さらに当該プレートの各ウェルに、1M Na2CO3を100μlずつ添加した。次に、当該プレートをマイクロプレートリーダーにセットし、各ウェルにおける420nmの吸光度を測定した。尚、バックグランド値を差し引いたネット値で上記の発光量を補正した。結果を表1(表中、a数値はルシフェラーゼの発光量(RLU)をβガラクトシダーゼの吸光度で除した補正値、bB/Aは活性化倍数(S/N比)を意味する。)に示す。
【0027】
【表1】



【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明により、可能な限り少ない試料の量で測定可能な方法に利用される、アリルハイドロカーボンレセプター(Ahレセプター)転写促進能増強細胞等が提供可能となる。
【配列表フリ−テキスト】
【0029】
配列番号1
DNA(modified YaXRE)を合成するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0030】
配列番号2
DNA(modified YaXRE)を合成するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0031】
配列番号3
DNA(containing TATA−box and TdT−initiater)合成するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0032】
配列番号4
DNA(containing TATA−box and TdT−initiater)を合成するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0033】
配列番号5
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0034】
配列番号6
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0035】
配列番号7
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0036】
配列番号8
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0037】
配列番号9
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0038】
配列番号10
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0039】
配列番号11
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0040】
配列番号12
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー




 

 


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