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発明の名称 樹脂組成物、防水シートおよび防水シートの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−51283(P2007−51283A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2006−199126(P2006−199126)
出願日 平成18年7月21日(2006.7.21)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
発明者 小山 悟 / 江尻 晋
要約 課題
機械的強度と耐熱性とのバランスに優れた難燃性防水シートが得られ、カレンダー加工性に優れた防水シート用樹脂組成物、該樹脂組成物からなる防水シート、および、該防水シートの製造方法を提供すること。

解決手段
下記成分(A)、(B)および(C)を含有し、成分(A)と成分(B)の総量を100重量%として、成分(A)の含有量が90〜40重量%、成分(B)の含有量が10〜60重量%であり、成分(A)と成分(B)の総量100重量部あたり、成分(C)の含有量が0.1〜200重量部である防水シート用樹脂組成物。
特許請求の範囲
【請求項1】
下記成分(A)、(B)および(C)を含有し、成分(A)と成分(B)の総量を100重量%として、成分(A)の含有量が90〜40重量%であり、成分(B)の含有量が10〜60重量%であり、成分(A)と成分(B)の総量100重量部あたり、成分(C)の含有量が0.1〜200重量部である防水シート用樹脂組成物。
(A):流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上であり、JIS K7210に規定された温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分であり、分子量分布(Mw/Mn)が5〜25であるエチレン−α−オレフィン共重合体
(B):流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体
(C):難燃剤
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂組成物からなる防水シート。
【請求項3】
請求項1に記載の樹脂組成物をカレンダー加工する防水シートの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水シート用エチレン系樹脂組成物、該樹脂組成物からなる防水シート、および、該防水シートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
観賞用の池、家屋の屋上、廃棄物埋立処理場などの止水に用いられる防水シートには、機械的強度、柔軟性、耐熱性などが求められ、これまで、エチレン系樹脂からなる防水シートが多く用いられてきた。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に難燃剤を配合してなる樹脂組成物をTダイ成形してなる防水シート(例えば、特許文献1参照。)、メタロセン系触媒で製造された市販のエチレン−1−オクテン共重合体にシリカを配合してなる樹脂組成物をTダイ成形してなる防水シート(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平3−58839号公報
【特許文献2】特開平9−157456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の防水シート用エチレン系樹脂組成物は、防水シートをカレンダー加工する際に、ロールに樹脂組成物が粘着することやロールから引き取ったシートが垂れることがあり、加工性において十分満足のいくものではなかった。また、難燃剤を配合して難燃性防水シートとした場合、防水シートの機械的強度と耐熱性とのバランスは、十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、機械的強度と耐熱性とのバランスに優れた難燃性防水シートが得られ、カレンダー加工性に優れた防水シート用樹脂組成物、該樹脂組成物からなる防水シート、および、該防水シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明の第一は、下記成分(A)、(B)および(C)を含有し、成分(A)と成分(B)の総量を100重量%として、成分(A)の含有量が90〜40重量%であり、成分(B)の含有量が10〜60重量%であり、成分(A)と成分(B)の総量100重量部あたり、成分(C)の含有量が0.1〜200重量部である防水シート用樹脂組成物にかかるものである。
(A):流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上であり、JIS K7210に規定された温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分であり、分子量分布(Mw/Mn)が5〜25であるエチレン−α−オレフィン共重合体
(B):流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体
(C):難燃剤
【0006】
本発明の第二は、上記樹脂組成物からなる防水シートにかかるものである。
【0007】
本発明の第三は、上記樹脂組成物をカレンダー加工する防水シートの製造方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、機械的強度と耐熱性とのバランスに優れた難燃性防水シートが得られ、カレンダー加工性に優れた防水シート用樹脂組成物、該樹脂組成物からなる防水シート、および、該防水シートの製造方法を提供することができる。また、本発明の防水シートは、難燃性にも優れ、柔軟性と耐熱性のバランスも良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。また、上記の炭素原子数3〜20のα−オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0010】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等があげられ、好ましくはエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体である。
【0011】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常50〜99重量%である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常1〜50重量%である。
【0012】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は長鎖分岐を有し、このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は、止水シートに用いられてきた従来のエチレン−α−オレフィン共重合体に比して、流動の活性化エネルギー(Ea)が高く、通常40kJ/mol以上である。従来から知られている止水シートに用いられてきたエチレン−α−オレフィン共重合体のEaは、通常40kJ/molよりも低い値である。
【0013】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)は、カレンダー加工性を高める観点から、好ましくは45kJ/mol以上であり、より好ましくは50kJ/mol以上であり、さらに好ましくは60kJ/mol以上である。また、機械的強度を高める観点から、該Eaは、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下である。
【0014】
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位:Pa・sec)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。すなわち、130℃、150℃、170℃、190℃、210℃の温度の中から、190℃を含む4つの温度について、夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線(溶融複素粘度の単位はPa・sec、角周波数の単位はrad/secである。)を、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−角周波数曲線毎に、190℃でのエチレン系共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際に得られる各温度(T)でのシフトファクター(aT)を求め、夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(I)式)を算出する。次に、該一次式の傾きmと下記式(II)とからEaを求める。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (I)
Ea = |0.008314×m| (II)
T :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。
また、130℃、150℃、170℃、190℃、210℃の中から190℃を含む4つの温度でのシフトファクターと温度から得られる一次近似式(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
【0015】
上記の溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用い、通常、ジオメトリー:パラレルプレート、プレート直径:25mm、プレート間隔:1.5〜2mm、ストレイン:5%、角周波数:0.1〜100rad/秒の条件で行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われ、また、測定試料には予め酸化防止剤を適量(例えば1000ppm)を配合することが好ましい。
【0016】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.01〜100g/10分である。該MFRが低すぎると成形加工する際に、押出機等のモーター負荷が大きくなることがある。好ましくは0.1g/10分以上であり、より好ましくは0.3g/10分以上である。また、該MFRが高すぎるとカレンダー加工性が低下することがある。好ましくは10g/10分以下であり、より好ましくは5g/10分以下であり、更に好ましくは3g/10分以下であり、特に好ましくは2g/10分以下である。なお、該MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃および荷重21.18Nの条件で測定される。
【0017】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート比(MFRR)は、通常40〜300である。該MFRRは、カレンダー加工性をより高める観点から、好ましくは50以上であり、より好ましくは55以上である。また、該MFRRは、機械的強度をより高める観点から、好ましくは250以下であり、より好ましくは200以下である。なお、該MFRRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重211.83N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR−H、単位:g/10分)を、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)で除した値である。
【0018】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、通常、880〜960kg/m3である。該密度は、機械的強度および柔軟性をより高める観点から、好ましくは940kg/m3以下であり、より好ましくは930kg/m3以下であり、さらに好ましくは925kg/m3以下であり、最も好ましくは920kg/m3以下である。また、該密度は、耐熱性を高める観点から、好ましくは890kg/m3以上であり、より好ましくは900kg/m3以上である。なお、該密度は、JIS K7112−1980に規定された方法に従って測定される。
【0019】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、カレンダー加工性を高める観点から、好ましくは6以上であり、より好ましくは7以上である。また、該Mw/Mnは、機械的強度を高める観点から、好ましくは25以下であり、より好ましくは20以下であり、更に好ましくは17以下である。なお、該分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ測定によってポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを求め、MwをMnで除した値(Mw/Mn)である。
【0020】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、カレンダー加工性、機械的強度を高める観点から、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)とし、極限粘度を[η](単位:dl/g)として、下記式(1)を充足することが好ましい。
0.80×MFR-0.094 < [η] < 1.50×MFR-0.156 式(1)
機械的強度を高める観点から、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、下記式(1−2)を充足することがより好ましく、
0.90×MFR-0.094 < [η] 式(1−2)
下記式(1−3)を充足することが更に好ましい。
1.00×MFR-0.094 < [η] 式(1−3)
また、カレンダー加工性を高める観点から、成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、下記式(1−4)を充足することがより好ましく、
[η] < 1.40×MFR-0.156 式(1−4)
下記式(1−5)を充足することが更に好ましい。
[η] < 1.35×MFR-0.156 式(1−5)
なお、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートが同じ値である従来のエチレン−α−オレフィン共重合体と本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体とを比較した場合、従来のエチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度は、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度よりも、通常高い値である。
【0021】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、カレンダー成形性、機械的強度を高める観点から、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)とし、190℃における溶融張力をMT(単位:cN)として、下記式(2)を充足することが好ましい。
2×MFR-0.59 < MT < 20×MFR-0.59 式(2)
カレンダー加工性を高める観点から、成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、下記式(2−2)を充足することがより好ましく、
2.2×MFR-0.59 < MT 式(2−2)
下記式(2−3)を充足することが更に好ましい。
2.5×MFR-0.59 < MT 式(2−3)
また、機械的強度を高める観点から、成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、下記式(2−4)を充足することがより好ましく、
MT < 10×MFR-0.59 式(2−4)
下記式(2−5)を充足することが更に好ましい。
MT < 5×MFR-0.59 式(2−5)
【0022】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、カレンダー加工性を高める観点から、温度190℃、角周波数100rad/secでの溶融複素粘度をη*(単位:Pa・sec)とし、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)として、下記式(3)を充足するものが好ましく、
η* < 1550×MFR-0.25−420 式(3)
下記式(3−2)を充足することがより好ましく、
η* < 1500×MFR-0.25−420 式(3−2)
下記式(3−3)を充足することが更に好ましく、
η* < 1450×MFR-0.25−420 式(3−3)
下記式(3−4)を充足することが特に好ましい。
η* < 1350×MFR-0.25−420 式(3−4)
【0023】
溶融複素粘度η*は、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の流動の活性化エネルギー(Ea)を求めるために行われる測定のうち、190℃の溶融複素粘度−角周波数の測定において得られた、角周波数100rad/secにおける溶融複素粘度である。
【0024】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、例えば、有機アルミニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、有機亜鉛化合物などの助触媒成分を粒子状担体に担持させてなる固体粒子状の助触媒成分(以下、成分(イ)と称する。)と、アルキレン基やシリレン基等の架橋基で2つのシクロペンタジエニル型アニオン骨格が結合した構造を持つ配位子を有するメタロセン錯体(以下、成分(ロ)と称する。)とを触媒成分として用いてなる重合触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法があげられる。
【0025】
上記固体粒子状の助触媒成分としては、メチルアルモキサンを多孔質シリカと混合させた成分、ジエチル亜鉛と水とフッ化フェノールを多孔質シリカと混合させた成分等をあげることができる。
【0026】
上記固体粒子状の助触媒成分のより具体例として、成分(a)ジエチル亜鉛、成分(b)フッ素化フェノール、成分(c)水、成分(d)多孔質シリカおよび成分(e)トリメチルジシラザン(((CH33Si)2NH)を接触させてなる助触媒担体成分(イ)をあげることができる。
【0027】
成分(b)のフッ素化フェノールとしては、ペンタフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール等をあげることができる。成分(A)の流動活性化エネルギー(Ea)、分子量分布(Mw/Mn)を高める観点から、フッ素数の異なる2種類のフッ素化フェノールを用いることが好ましく、この場合、フッ素数が多いフェノールとフッ素数が少ないフェノールとのモル比としては、通常、20/80〜80/20であり、該モル比は高い方が好ましい。
【0028】
上記成分(a)、成分(b)および成分(c)の使用量としては、各成分の使用量のモル比率を成分(a):成分(b):成分(c)=1:y:zとすると、yおよびzが下記の式を満足することが好ましい。
|2−y−2z|≦1
上記の式におけるyとして、好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
【0029】
成分(a)に対して使用する成分(d)の量としては、成分(a)と成分(d)との接触により得られる粒子に含まれる亜鉛原子のモル数が、該粒子1gあたり0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。成分(d)に対して使用する成分(e)の量としては、成分(d)1gあたり成分(e)0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
【0030】
上記メタロセン錯体としては、2つのインデニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体、2つのメチルインデニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体、2つのメチルシクロペンタジエニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体、2つのジメチルシクロペンタジエニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体等をあげることができる。また、成分(ロ)の金属原子としては、ジルコニウムとハフニウムが好ましく、さらに金属原子が有する残りの置換基としては、ジフェノキシ基やジアルコキシ基が好ましい。成分(ロ)として、好ましくは、エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドがあげられる。
【0031】
上記の固体粒子状の助触媒成分とメタロセン錯体とを用いてなる重合触媒においては、適宜、有機アルミニウム化合物を触媒成分として併用してもよく、該有機アルミニウム化合物としては、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム等をあげることができる。
【0032】
上記メタロセン錯体の使用量は、上記固体粒子状の助触媒成分1gあたり、好ましくは5×10-6〜5×10-4molである。また有機アルミニウム化合物の使用量として、好ましくは、上記メタロセン錯体の金属原子1モルあたり、有機アルミニウム化合物のアルミニウム原子が1〜2000モルとなる量である。
【0033】
また、上記の固体粒子状の助触媒成分とメタロセン錯体とを用いてなる重合触媒においては、適宜、電子供与性化合物を触媒成分として併用してもよく、該電子供与性化合物としては、トリエチルアミン、トリノルマルオクチルアミン等をあげることができる。
【0034】
上記成分(b)のフッ素化フェノールとしてフッ素数の異なる2種類のフッ素化フェノールを用いる場合は、電子供与性化合物を用いることが好ましい。
【0035】
電子供与性化合物の使用量としては、上記の触媒成分として用いられる有機アルミニウム化合物のアルミニウム原子のモル数に対して、通常0.1〜10mol%であり、成分(A)の分子量分布(Mw/Mn)を高める観点から、該使用量は高い方が好ましい。
【0036】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、より具体的には、上記助触媒担体(イ)、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体および有機アルミニウム化合物を接触させてなる触媒の存在下、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを共重合する方法があげられる。
【0037】
重合方法として、好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の成形を伴う連続重合方法であり、例えば、連続気相重合、連続スラリー重合、連続バルク重合であり、好ましくは、連続気相重合である。気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
【0038】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられる重合触媒の各成分を反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。重合触媒の各成分は個別に供給してもよく、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
【0039】
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。本重合と予備重合では異なるα−オレフィンを用いてもよく、炭素原子数が4〜12のα−オレフィンとエチレンとを予備重合することが好ましく、炭素原子数が6〜8のα−オレフィンとエチレンとを予備重合することがより好ましい。
【0040】
重合温度としては、通常、エチレン−α−オレフィン共重合体が溶融する温度よりも低く、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃であり、さらに好ましくは50〜90℃である。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、重合温度は高い方が好ましい。
【0041】
重合時間としては(連続重合反応である場合は平均滞留時間として)、通常1〜20時間である。エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、重合時間(平均滞留時間)は長い方が好ましい。
【0042】
また、共重合体の溶融流動性を調節する目的で、重合反応ガスに水素を分子量調節剤として添加してもよく、重合反応ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。重合反応ガス中のエチレンのモル濃度に対する重合反応ガス中の水素のモル濃度は、重合反応ガス中のエチレンのモル濃度100モル%として、通常、0.1〜3mol%である。また、また、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、該重合反応ガス中の水素のモル濃度は、高い方が好ましい。
【0043】
成分(B)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。また、上記の炭素原子数3〜20のα−オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
成分(B)に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体は、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等があげられ、好ましくはエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体である。
【0045】
成分(B)のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、通常、0.01〜100g/10分である。該MFRは、成形加工する際の押出機の負荷を低減する観点から、好ましくは0.1g/10分以上であり、より好ましくは0.3g/10分以上である。また、該MFRは、カレンダー加工性、機械的強度を高める観点から、好ましくは10g/10分以下である。なお、該MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃および荷重21.18Nの条件で測定される。
【0046】
成分(B)のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、通常、870〜960kg/m3である。該密度は、機械的強度および柔軟性を高める観点から、好ましくは930kg/m3以下であり、より好ましくは925kg/m3以下であり、さらに好ましくは920kg/m3以下である。また、耐熱性を高める観点から、880kg/m3以上であり、より好ましくは890kg/m3以上である。なお、該密度は、JIS K7112−1980に規定された方法に従って測定される。
【0047】
成分(B)のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート比(MFRR)は、通常10〜200である。該MFRRは、カレンダー加工性を高める観点から、好ましくは15以上である。また、機械的強度を高める観点から、好ましくは100以下であり、より好ましくは50以下である。なお、該MFRRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重211.83N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR−H、単位:g/10分)を、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)で除した値である。
【0048】
成分(B)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、チーグラー・ナッタ系触媒、クロム系触媒、メタロセン系触媒等の公知の重合触媒を用いて、液相重合法、スラリー重合法、気相重合法、高圧イオン重合法等の公知の重合方法によって製造する方法があげられる。また、該重合法は、回分重合法、連続重合法のいずれでもよく、2段階以上の多段重合法でもよい。
【0049】
上記のチーグラー・ナッタ系触媒としては、例えば、次の(1)または(2)の触媒があげられる。
(1)三塩化チタン、三塩化バナジウム、四塩化チタンおよびチタンのハロアルコラートからなる群から選ばれる少なくとも1種をマグネシウム化合物系担体に担持した成分と、共触媒である有機金属化合物からなる触媒
(2)マグネシウム化合物とチタン化合物の共沈物または共晶体と共触媒である有機金属化合物からなる触媒
【0050】
上記のクロム系触媒としては、例えば、シリカまたはシリカ−アルミナにクロム化合物を担持した成分と、共触媒である有機金属化合物からなる触媒があげられる。
【0051】
メタロセン系触媒としては、例えば、次の(1)〜(4)の触媒があげられる。
(1)シクロペンタジエン形骨格を有する基を有する遷移金属化合物を含む成分と、アルモキサン化合物を含む成分からなる触媒
(2)前記遷移金属化合物を含む成分と、トリチルボレート、アニリニウムボレート等のイオン性化合物を含む成分からなる触媒
(3)前記遷移金属化合物を含む成分と、前記イオン性化合物を含む成分と、有機アルミニウム化合物を含む成分からなる触媒
(4)前記の各成分をSiO2、Al23等の無機粒子状担体や、エチレン、スチレン等のオレフィン重合体等の粒子状ポリマー担体に担持または含浸させて得られる触媒
【0052】
成分(C)の難燃剤としては、金属水酸化物、金属酸化物、無機塩・無機水和化合物、シラン化合物、りん系化合物、臭素系化合物、塩素系化合物などがあげられる。
【0053】
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化ジルコニウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
【0054】
金属酸化物としては、例えば、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、フェロセン、酸化銅、酸化カルシウム、酸化ニッケル、酸化ビスマス、すず酸亜鉛、アルミン酸カルシウム、などが挙げられる。
【0055】
無機塩・無機水和化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウム、カオリンクレー、ろう石クレー、ドーソナイト、カルシウムアルミネートシリケートなどが挙げられる。
【0056】
シラン系化合物としては、例えば、シリコンオイル、シリコンガム、などが挙げられ、それらに官能基を導入したものもあげられる。
【0057】
りん系化合物としては、例えば、非ハロゲン系りん酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスウェートなどがあげられ、含ハロゲン系りん酸エステルとしては、トリクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスβ−クロロプロピルホスフェートなどがあげられ、その他のりん系化合物としては、ポリリン酸アンモン、ポリリン酸アミド、ポリクロロフォスフェート、縮合ホスホン酸エステル、芳香族縮合りん酸エステル、赤りんなどが挙げられる。
【0058】
臭素系化合物としては、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモヒクロドデカン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサプロモベンゼンなどがあげられる。
【0059】
塩素系化合物としては、パークロロヒクロペンタデカン、塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン、塩素化ポリエチレンなどがあげられる。
【0060】
成分(C)の難燃剤としては、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用しても構わない。
【0061】
成分(C)の難燃剤としては、非ハロゲン系かつ非りん系の難燃剤が好ましく、金属水酸化物、金属酸化物、無機塩・無機水和化合物がより好ましく、金属水酸化物が更に好ましく、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが特に好ましい。
【0062】
本発明の樹脂組成物における成分(A)と成分(B)の含有量としては、成分(A)と成分(B)の総量を100重量%として、成分(A)の含有量が90〜40重量%であり、成分(B)の含有量が10〜60重量%である。成分(A)の含有量が少なすぎる(成分(B)の含有量が多すぎる)と、カレンダー加工性に劣ることがあり、成分(A)の含有量が多すぎる(成分(B)の含有量が少なすぎる)と、機械的強度、柔軟性に劣ることがある。好ましくは、成分(A)の含有量が80〜50重量%であり、成分(B)の含有量が20〜50重量%である。
【0063】
本発明の樹脂組成物における成分(C)の含有量は、成分(A)と成分(B)の総量100重量部あたり、0.1〜200重量部である。防水シートの難燃性を高める観点から、該含有量は、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは10重量部以上であり、さらに好ましくは30重量部以上である。また、柔軟性、機械的強度を高める観点から、好ましくは150重量部以下であり、より好ましくは120重量部以下である。
【0064】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、耐候安定剤、顔料、加工性改良剤の金属石鹸等の添加剤を添加してもよい。
【0065】
本発明の樹脂組成物は、成分(A)と成分(B)と成分(C)と、必要に応じて他の成分とを公知の方法で溶融混練することにより、例えば、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサーなどでドライブレンドした後、更に単軸押出機や多軸押出機などで溶融混練する、またはニーダーやバンバリーミキサーなどで溶融混練することにより得られる。成分(C)および他の成分は、1種以上のマスターバッチとして溶融混練に用いてもよく、また、成分(A)および/または成分(B)は、必要に応じて、有機シラン化合物や酸無水物などで変性してもよく、該変性は、成分(A)と成分(B)と成分(C)と必要に応じて添加される他の成分との溶融混練時に、有機シラン化合物や酸無水物などの変性剤と、有機化酸化物などのラジカル発生剤とを添加する方法、あらかじめ、成分(A)および/または成分(B)を該変性剤と該ラジカル発生剤とで溶融混練しておく方法などにより行われる。
【0066】
本発明の防水シートの製造方法としては、押出機やバンバリーミキサーなどで溶融混練された樹脂組成物を、カレンダー加工する方法、樹脂組成物をTダイキャスト加工する方法などがあげられ、カレンダー加工する方法が好ましい。
【0067】
カレンダー加工に用いられる加工機としては、公知のカレンダー加工機が用いられ、通常、押出機やバンバリーミキサーなどで溶融混練された溶融樹脂組成物を受けロールに移し、次いで適量ずつ供給ロールに移し、更に2〜6本のカレンダーロールに移し、これを次第にシート状に展延し、取り出しロールや冷却・延伸ロールを経て巻き取ることができる装置からなる。カレンダーロールには、4〜6本の逆L型、水平型、Z型、複合型等があり、ロール温度は、用いる樹脂組成物の融点にもよるが、通常、120〜180℃である。
【0068】
防水シートの製造において、補強材を用い、補強材を有するシートとしてもよい。シート厚みは、通常、0.1〜10mmである。
【0069】
本発明の防水シートは、例えば、屋外で広く使用される土木用の防水施行シート;水や汚水が地下に浸透しない目的で使用する産業廃棄物埋立処理場や農業用溜池、ゴルフ場等の池などの防水シート;家屋、駐車場、ビルなどの屋上防水シート;建築用防水シートなどに用いられる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
【0071】
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18N、温度190℃の条件で測定した。
【0072】
(2)メルトフローレート比(MFRR)
JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重211.83N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR−H、単位:g/10分)を、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)で除した値を、MFRRとした。
【0073】
(3)密度(単位:kg/m3)
密度は、JIS K7112−1980に規定された方法に従って測定した。
【0074】
(4)分子量分布(Mw/Mn)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(7)により測定を行った。予め分子量分布が単分散とみなせる分子量分布の狭い標準ポリスチレン(東ソー製TSK STANDARD POLYSTYRNE)を用いて作成しておいた検量線を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)とポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)をもとめ、それらより分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
(3)測定温度:145℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
【0075】
(5)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.2〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素下
【0076】
(6)溶融複素粘度(η*、単位:Pa・sec)
上記の(5)流動の活性化エネルギーを測定した際に得られた190℃での溶融複素粘度−角周波数の測定結果から、角周波数が100rad/secにおける190℃の溶融複素粘度を求めた。
【0077】
(7)溶融張力(MT、単位:cN)
東洋精機製作所製 メルトテンションテスターを用いて、温度が190℃の条件で、9.5mmφのバレルに充填した溶融樹脂を、ピストン降下速度5.5mm/分で、径が2.09mmφ、長さ8mmのオリフィスから押出し、該押し出された溶融樹脂を、径が150mmφの巻き取りロールを用い、40rpm/分の巻き取り上昇速度で巻き取り、溶融樹脂が破断する直前における張力値を測定した。この値が大きいほど溶融張力が大きいことを示す。
【0078】
(8)極限粘度([η]、単位:dl/g)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を0.5g/Lに溶解したテトラリン溶液(以下、ブランク溶液と称する。)と、該ブランク溶液に対して、エチレン重合体樹脂の濃度が1mg/mlとなる135℃のテトラリン溶液(以下、サンプル溶液と称する。)とを調整し、ウベローデ型粘度計により、該ブランク溶液と該サンプル溶液の135℃での降下時間を測定し、該降下時間から135℃での相対粘度(ηrel)を求めた後、下記式より算出した。
[η]=23.3×log(ηrel
【0079】
(9)酸素指数(単位:%)
JIS K7201―1976に従って、酸素指数を測定した。この値が大きいほど難燃性に優れる。
【0080】
(10)引張試験
厚み2mmのプレスシートを作成し、シートから、JIS K6251−1993に記載の3号ダンベル型に打ち抜いたものを試料として用いて、標線間距離20mm、チャック間60mm、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、引張破壊強さ(単位:MPa)と引張破壊伸び(単位:%)を求めた。これらの値が大きいほど機械的強度に優れる。
【0081】
(11)ビカット軟化温度(VST)
JIS K7206−1991に規定された方法において、試験荷重9.8N、昇温速度50℃/hrの条件で測定を行い、試験片に針が1mm侵入したときの温度を求めた。この温度が高いほど耐熱性に優れる。
【0082】
(12)曲げ剛性率
ASTM D747に従い測定した。この値が低いほど柔軟性に優れる。
【0083】
(13)カレンダー加工性
径8インチのロール(カレンダーロール)を用い、ロール表面温度140℃、ロール速度11.5m/分(速度比1:1.5)、ロール間隔0.5mmの条件で、試料150gを5分間巻きつけた後、溶融シートを取り出して冷却し、シートを作成した。溶融シートを取り出す際の離ロール性および引取性を、次のとおり評価した。
<離ロール性>
○:溶融シートとロールとが粘着しない。
×:溶融シートとロールとが粘着する。
<引取性>
○:ロールから引き剥がした溶融シートが垂れない。
×:ロールから引き剥がした溶融シートが垂れる。
【0084】
実施例1
(1)助触媒担体の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.91kgとトルエン1.43kgと混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら33分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、95℃で3時間攪拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン21kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエンを6.9kg加えてスラリーとし、一晩静置した。
【0085】
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50wt%)2.05kgとヘキサン1.3kgとを投入し、攪拌した。その後、5℃に冷却した後、ペンタフルオロフェノール0.77kgとトルエン1.17kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら61分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、40℃で1時間攪拌した。その後、H2O0.11kgを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間、55℃で2時間攪拌した。その後、室温にてジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50wt%)1.4kgとヘキサン0.8kgとを投入した。5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール0.42kgとトルエン0.77kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、40℃で1時間攪拌した。その後、H2O0.077kgを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間、40℃で2時間、更に、80℃で2時間攪拌した。攪拌を停止し残量16Lまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、攪拌した。95℃に昇温して、4時間攪拌した。静置して固体成分を沈降させ、沈降した固体成分の層と上層のスラリー部分との界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除き、次いで残りの液成分をフィルターにてろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、乾燥することにより、固体成分(以下、助触媒担体(a−1)と称する。)を得た。
【0086】
(2)予備重合
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、助触媒担体(a−1)0.71gと、ブタン80リットル、常温常圧の水素として0.5リットルを仕込んだ後、オートクレーブを30℃まで上昇した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.03MPa分仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム208mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド70mmolを投入して重合を開始した。50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、50℃で合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(a−1)1g当り13.3gのエチレン重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
【0087】
(3)連続気相重合
上記の予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施した。重合条件は、温度75℃、全圧2MPa、ガス線速度0.28m/s、エチレンに対する水素モル比は0.895%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は1.91%とし、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間3.6hrとなるように、上記予備重合触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供給した。重合により、22kg/hrの重合効率でエチレン−1−ヘキセン共重合体である成分(A)(以下、PE−1と称する。)のパウダーを得た。
【0088】
(4)エチレン−1−ヘキセン共重合体パウダーの造粒
上記で得たPE−1のパウダーを神戸製鋼所社製LCM50押出機により、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、PE−1のペレットを得た。PE−1のペレットの物性を表1に示す。
【0089】
PE−1のペレット60重量%と市販の直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学社製 エクセレンFX CX3007;以下、PE−2と称する。)40重量%と、水酸化マグネシウム(協和化学社製 商品名キスマ5B;以下、難燃剤Kと称する。)50重量部(PE−1とPE−2の総量を100重量部として)とを、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて、設定温度160℃、回転数60rpmの条件で10分間混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表2に示す。
【0090】
実施例2
難燃剤Kの配合量を100重量部(PE−1とPE−2の総量を100重量部として)とした以外は、実施例1と同様に行った。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表2に示す。
【0091】
実施例3
PE−2に替えて市販の直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学社製 エクセレンVL VL100;以下、PE−3と称する。)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表2に示す。
【0092】
比較例1
PE−1のペレットのみを用いた以外は、実施例1と同様に行った。物性の評価結果を表2に示す。
【0093】
比較例2
PE−1のペレット100重量%と、難燃剤Kを100重量部(PE−1を100重量部として)とを、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて、設定温度160℃、回転数60rpmの条件で10分間混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表2に示す。
【0094】
比較例3
PE−2を100重量%と、難燃剤Kを50重量部(PE−2を100重量部として)とを、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて、設定温度160℃、回転数60rpmの条件で10分間混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表3に示す。
【0095】
比較例4
PE−2を60重量%と市販の直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製 ノバテックLL UE320;以下、PE−4と称する。)を60重量%と、難燃剤Kを150重量部(PE−2とPE−4の総量を100重量部として)とを、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて、設定温度160℃、回転数60rpmの条件で10分間混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表3に示す。
【0096】
比較例5
PE−2に替えて市販の直鎖状低密度ポリエチレン(DuPont Dow Elastomers社製 エンゲージ8100;以下、PE−5と称する。)を用いた以外は、比較例3と同様に行った。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表3に示す。
【0097】
比較例6
PE−2に替えて市販の直鎖状低密度ポリエチレン(Dow Chemical社製 アフィニティ PF1140;以下、PE−6と称する。)を用いた以外は、比較例3と同様に行った。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表3に示す。
【0098】
【表1】


【0099】
【表2】


【0100】
【表3】






 

 


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