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発明の名称 オキソカーボン類を含有する高分子組成物及びその用途
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−23257(P2007−23257A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2006−3461(P2006−3461)
出願日 平成18年1月11日(2006.1.11)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
発明者 吉村 研
要約 課題
固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜として化学的安定性、耐水性に優れたプロトン伝導膜用高分子組成物の提供。

解決手段
オキソカーボン類と高分子化合物とを含有することを特徴とする高分子組成物。オキソカーボン類が、下式(1)で示される高分子組成物。
特許請求の範囲
【請求項1】
オキソカーボン類と高分子化合物とを含有することを特徴とする高分子組成物。
【請求項2】
オキソカーボン類が、下式(1)で示される請求項1に記載の高分子組成物。


(式中、X1、X2はそれぞれ独立に−O−、−S−又は−NR’−を表し、Zは−CO−、−C(S)−、−C(NR’’)−、置換基を有していても良い炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有していても良い炭素数6〜10のアリーレン基を表す。nは、繰り返しの数を表わし、0〜10の整数を表わす。Zが複数ある場合は、それぞれのZは、互いに同じであっても良く、異なっていても良い。Rは、−OH、−SH、−NHR’’’、置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有していても良い炭素数7〜16のアラルキル基を表す。R’、R’’、R’’’は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。Bは、水素原子または1価の金属原子を表す。)
【請求項3】
Zが、−CO−、−C(S)−又は−C(NH)−のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の高分子組成物。
【請求項4】
1とX2が−O−、Zが−CO−、nが0〜2の整数であることを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の高分子組成物。
【請求項5】
高分子化合物が、ポリビニルピロリドン類、ポリ(メタ)アクリル酸類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリロニトリル類、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類、ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリブテン類、ポリビニリデンフルオリド類、ポリテトラフルオロエチレン類、ポリ塩化ビニル類、ポリオキシアルキレン類、ポリシロキサン類、ポリエステル類、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリベンズオキサゾール類、ポリベンズイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類、ポリアリーレン類、ポリアリーレンスルフィド類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルスルホン類、ポリホスファゼン類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子組成物。
【請求項6】
[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子化合物の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]が0.05〜8mmol/gであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高分子組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の高分子組成物を有効成分とする高分子電解質。
【請求項8】
請求項7記載の高分子電解質を有することを特徴とする高分子電解質膜。
【請求項9】
請求項7に記載の高分子電解質または請求項8に記載の高分子電解質膜の少なくとも一つを有することを特徴とする電池。
【請求項10】
請求項7に記載の高分子電解質または請求項8に記載の高分子電解質膜の少なくとも一つを有することを特徴とする燃料電池。
【請求項11】
前記の一般式(1)で示される化合物であって、Rがハロゲノ置換アリール基であることを特徴とするオキソカーボン化合物。
【請求項12】
ハロゲノ置換アリール基が下式(2a)〜(2c)からなる群より選ばれる基であることを特徴とする請求項12記載のオキソカーボン化合物。



(式中、pは1〜5の整数を表す。qは0〜3の整数、rは0〜4の整数を表し、かつ(q+r)の値が1〜7である。sは0〜4の整数、tは0〜5の整数を表し、かつ(s+t)の値が1〜9である。Y1〜Y5はそれぞれ独立にハロゲノ基を表し、Y1〜Y5がそれぞれ複数あるときにはこれらは同じであっても良いし異なっていても良い。)
【請求項13】
ハロゲノ基がフルオロ基であることを特徴とする請求項12に記載のオキソカーボン化合物。
【請求項14】
ハロゲノ置換アリール基が前記の(2a)であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のオキソカーボン化合物。
【請求項15】
下式(3)で表されるオキソカーボン化合物。



【請求項16】
下式(4)で表されるオキソカーボン化合物。



発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキソカーボン類を含有する高分子組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
スクアリン酸(四角酸)に代表されるオキソカーボン類は、オキソカーボン基から水素が解離した構造が共鳴により安定化されるため酸性度が高いことが知られている(非特許文献1)(非特許文献2)。
一方、スルホン酸基を有する高分子化合物は、高分子電解質型燃料電池等の高分子電解質として有用であることが知られている。例えばナフィオン(デュポン社の登録商標)をはじめとするフッ素系高分子、ポリエーテルケトン類にスルホン酸基を導入した高分子(特許文献1)、ポリエーテルスルホン類にスルホン酸基を導入した高分子(非特許文献3)、ポリイミド類にスルホン酸基を導入した高分子(特許文献2)、ポリフェニレン類にスルホン酸基を導入した高分子(特許文献3)、ポリホスファゼン類にスルホン酸基を導入した高分子(非特許文献4)等が高分子電解質型燃料電池等の高分子電解質として提案されている。
【0003】
【非特許文献1】Oxocarbons、45頁(Edited by Robert West)、Academic Press(1980),(ISBN:0−12−744580−3)
【非特許文献2】Journal of the American Chemical Society,95,8703(1973)
【非特許文献3】J.Membrane Science,83,211(1993)
【非特許文献4】Chemical Material,3,1120(1991)
【特許文献1】米国特許5438082号
【特許文献2】特開2003−277501号公報
【特許文献3】米国特許5403675号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、オキソカーボン類を含有する高分子組成物は、知られていない。
本発明者等は、種々検討を重ねた結果、オキソカーボン類と高分子化合物とを含有する高分子組成物が、水素ガスなどの気体燃料やメタノールやジメチルエーテルなどの液体燃料を用いる固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜用材料すなわち高分子電解質として有用であることを見出すとともに、スルホン酸基を有する高分子化合物に匹敵するプロトン伝導性を有し、しかもスルホン酸基を有する高分子化合物に比し、化学的安定性、耐水性にも優れ、高いプロトン伝導性を維持し得ることを見出し、本発明を完成した。
本発明の目的は、固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜用材料すなわち高分子電解質として有用な新規な組成物を提供することにあり、プロトン伝導膜としたときに、化学的安定性、耐水性に優れ、優れたプロトン伝導性を有するプロトン伝導膜を与える組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、〔1〕オキソカーボン類と高分子化合物とを含有することを特徴とする高分子組成物に係るものである。
さらに、本発明は、〔2〕オキソカーボン類が、下式(1)で示される〔1〕に記載の高分子組成物、


(式中、X1、X2はそれぞれ独立に−O−、−S−又は−NR’−を表し、Zは−CO−、−C(S)−、−C(NR’’)−、置換基を有していても良い炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有していても良い炭素数6〜10のアリーレン基を表す。nは、繰り返しの数を表わし、0〜10の整数を表わす。Zが複数ある場合は、それぞれのZは、互いに同じであっても良く、異なっていても良い。Rは、−OH、−SH、−NHR’’’、置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有していても良い炭素数7〜16のアラルキル基を表す。R’、R’’、R’’’は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。Bは、水素原子または1価の金属原子を表す。)
〔3〕Zが、−CO−、−C(S)−又は−C(NH)−のいずれかであることを特徴とする〔2〕記載の高分子組成物、
〔4〕X1とX2が−O−、Zが−CO−、nが0〜2の整数であることを特徴とする〔2〕〜〔3〕のいずれかに記載の高分子組成物、
〔5〕高分子化合物が、ポリビニルピロリドン類、ポリ(メタ)アクリル酸類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリロニトリル類、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類、ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリブテン類、ポリビニリデンフルオリド類、ポリテトラフルオロエチレン類、ポリ塩化ビニル類、ポリオキシアルキレン類、ポリシロキサン類、ポリエステル類、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリベンズオキサゾール類、ポリベンズイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類、ポリアリーレン類、ポリアリーレンスルフィド類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルスルホン類、ポリホスファゼン類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の高分子組成物、
〔6〕[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子化合物の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]が0.05〜8mmol/gであることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の高分子組成物、
〔7〕前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の高分子組成物を有効成分とする高分子電解質、
〔8〕前記の〔7〕記載の高分子電解質を有することを特徴とする高分子電解質膜、
〔9〕前記の〔7〕に記載の高分子電解質または〔8〕に記載の高分子電解質膜の少なくとも一つを有することを特徴とする電池、
〔10〕前記の〔7〕に記載の高分子電解質または〔8〕に記載の高分子電解質膜の少なくとも一つを用いることを特徴とする燃料電池、
〔11〕前記の一般式(1)で示される化合物であって、Rがハロゲノ置換アリール基であることを特徴とするオキソカーボン化合物、
〔12〕ハロゲノ置換アリール基が下式(2a)〜(2c)からなる群より選ばれる基であることを特徴とする〔11〕記載のオキソカーボン化合物、



(式中、pは1〜5の整数を表す。qは0〜3の整数、rは0〜4の整数を表し、かつ(q+r)の値が1〜7である。sは0〜4の整数、tは0〜5の整数を表し、かつ(s+t)の値が1〜9である。Y1〜Y5はそれぞれ独立にハロゲノ基を表し、Y1〜Y5がそれぞれ複数あるときにはこれらは同じであっても良いし異なっていても良い。)
〔13〕ハロゲノ基がフルオロ基であることを特徴とする〔12〕に記載のオキソカーボン化合物、
〔14〕ハロゲノ置換アリール基が前記の(2a)であることを特徴とする〔11〕〜〔13〕のいずれかに記載のオキソカーボン化合物、
〔15〕下式(3)で表されるオキソカーボン化合物、



〔16〕下式(4)で表されるオキソカーボン化合物




に係るものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のオキソカーボン類を含有する高分子組成物は、水素ガスなどの気体燃料やメタノールやジメチルエーテルなどの液体燃料を用いる固体高分子型燃料電池のプロトン伝導膜用材料すなわち高分子電解質として有用である。殊にスルホン酸基を有する高分子化合物に匹敵するプロトン伝導性を有するのみならずスルホン酸基を有する高分子化合物に比し、化学的安定性、耐水性等にも優れ、長時間に亘り高いプロトン伝導性を維持し得るので、本発明の高分子組成物は実用面でも有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高分子組成物は、オキソカーボン類と高分子化合物を含有することを特徴とする。組成物の形態としては特に制限はないが分子レベルで相溶していても良いし、非相溶の状態でも良い。分子レベルで相溶している形態が得られるプロトン伝導膜のプロトン伝導度が高いために好ましい。
本発明の高分子電解質膜は、前記の高分子組成物を有効成分とする膜であり、具体的には、高分子組成物から製膜したものでもよく、多孔質基材、織布、不織布に前記の高分子組成物を含浸したものでもよい。
高分子電解質が膜の状態にあるときに、膜の表面にオキソカーボン類が塗布された状態でも良い。
ここで、オキソカーボン類としては、その代表例として、下式(1)で示される化合物が挙げられる。



(式中、X1、X2はそれぞれ独立に−O−、−S−又は−NR’−を表し、Zは−CO−、−C(S)−、−C(NR’’)−、置換基を有していても良い炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有していても良い炭素数6〜10のアリーレン基を表す。nは、繰り返しの数を表わし、0〜10の整数を表わす。Zが複数ある場合は、それぞれのZは、互いに同じであっても良く、異なっていても良い。Rは、−OH、−SH、−NHR’’’、置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有していても良い炭素数7〜16のアラルキル基を表す。R’、R’’、R’’’は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。Bは、水素原子または1価の金属原子を表す。)
【0008】
式(1)で表わされるオキソカーボン類において、Bが水素原子である場合、すなわち遊離酸の形である場合は、下記式


で表わされる平衡反応をとりうる。この平衡反応の極限構造は下記式


のように表わされ、プロトンが解離した時のカチオンが分子内に広く非局在化するために安定な構造である。そのために式(1)で表される化合物は酸性度が高い化合物になるものと考えられる。
【0009】
式(1)で示されるオキソカーボン類において、X1、X2はそれぞれ独立に−O−、−S−又は−NR’−を表す。R’は、水素原子;メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等で代表される置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ナフチル基等で代表される置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。R’として好ましくは水素原子である。X1、X2として好ましくは−O−、−S−であり、特に好ましくは−O−である。
またZは−CO−、−C(S)−、−C(NR’’)−、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリーレン基を表す。R’’は、水素原子;メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等で代表される置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ナフチル基等で代表される置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。R”として好ましくは水素原子である。
ここで、炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、i−プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられる。また炭素数6〜10のアリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。置換基を有する場合の置換基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基などのハロゲノ基が挙げられ、なかでもフルオロ基が好ましく用いられる。
Zは、好ましくは−CO−、−C(S)−、−C(NR’’)−、メチレン、ジフルオロメチレン、フェニレン、テトラフルオロフェニレン等であり、より好ましくは−CO−、−C(S)−等であり、特に好ましくは−CO−等である。
nはZの繰り返しの数を表わし、n=0〜10の数を表わす。nが0の場合は、単結合を意味する。n個あるZは互いに同じであっても良いし、異なっていても良い。nは、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0〜2であり、特に好ましくは1である。
【0010】
Rは−OH、−SH、−NHR’’’、置換基を有していても良い炭素数1〜18のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有していても良い炭素数7〜16のアラルキル基を表す。R’’’は、水素原子;メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等で代表される置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ナフチル基等で代表される置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。R’’’として好ましくは水素原子である。
ここで、炭素数1〜18のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキル基が置換基を有する場合の置換基としては、例えばフルオロ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲノ基;ニトロ基;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基等の炭素数1〜5のフルオロアルキル基等が挙げられる。
【0011】
また炭素数6〜18のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、等が挙げられる。炭素数6〜18のアリール基が置換基を有する場合の置換基としては、例えばフルオロ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲノ基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基等の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5のアルキルなどが挙げられる。
ハロゲノ基を置換基として有している炭素数6〜18のアリール基の一例としては、例えば、下記一般式(2a)〜(2d)


が挙げられる。
式中、Y1〜Y5はそれぞれ独立にハロゲノ基を表す。pは1〜5の整数を表す。qは0〜3の整数、rは0〜4の整数を表し、かつ(q+r)の値が1〜7である。sは0〜4の整数、tは0〜5の整数を表し、かつ(s+t)の値が1〜9である。Y1〜Y5がそれぞれ複数あるときにはこれらは同じであっても良いし異なっていても良い。
ハロゲノ基として好ましくはフルオロ基、クロロ基であり、特に好ましくはフルオロ基である。(2a)〜(2d)の中で特に好ましくは(2a)である。
炭素数7〜16のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。炭素数7〜16のアラルキル基が置換基を有する場合の置換基としては、例えばフルオロ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲノ基、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基等の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基などが挙げられる。
Rは、−OH、−SH、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、ナフチル基、ペンタフルオロフェニル基、ベンジル基等であることが好ましく、より好ましくは−OH、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基等である。
【0012】
Bは水素原子または1価の金属原子を表す。1価の金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子、銀原子等が挙げられる。Bとして、好ましくは水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子であり、さらに好ましくはリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子であり、さらにより好ましくは水素原子、リチウム原子である。
本発明の組成物をリチウム二次電池用電解質として用いる場合には、Bとしてリチウムが用いられる。
本発明の組成物を固体高分子型燃料電池に用いる場合は、実質的に全ての官能基が遊離酸の形である場合、すなわちBが水素原子である場合が好ましい。
【0013】
本発明における式(1)で示されるオキソカーボン類の具体例としては、例えば下記の化合物が挙げられる。ここで、Bが水素原子の場合を例示する。



【0014】


【0015】


【0016】


【0017】


【0018】


【0019】


【0020】


【0021】


【0022】
本発明においては、上記のようなオキソカーボン類が用いられる。 これらの中では、(a1)〜(a66)が好ましい。より好ましくは(a2)、(a5)(a8)、(a11)、(a14)、(a17)、(a20)、(a23)、(a26)、(a29)、(a32)、(a35)、(a38)、(a41)、(a44)、(a47)、(a50)、(a53)、(a56)、(a59)、(a62)、(a65)であり、より一層好ましくは(a2)、(a5)、(a17)、(a26)、(a29)、(a41)、(a44)、(a50)、(a53)、(a59)、(a62)、(a65)であり、特に好ましくは(a2)、(a41)、(a50)、(a53)である。
【0023】
オキソカーボン類は、例えば下記の方法に準拠して製造し得る。また試薬メーカーから入手しても良い。
(I)リチウム試薬を用いて、オキソカーボン類(1)におけるRがアルキルまたはアリールである化合物を製造する方法(Journal of Organic Chemistry,53,2482、2477(1988))。
(II)グリニヤ試薬を用いて、オキソカーボン類(1)におけるRがアルキルまたはアリールである化合物を製造する方法(Heterocycles,27(5),1191(1988))。
(III)スズ試薬を用いて、オキソカーボン類(1)におけるRがアルキルまたはアリールである化合物を製造する方法(Journal of Organic Chemistry,55,5359(1990)、Tetrahydron Letters,31(30),4293(1990))。
(IV)Friedel Crafts反応を用いて合成する方法(Synthesis,46頁(1974))。
これらの方法に準拠することにより様々な誘導体を合成することができる。(I)〜(IV)の方法でエステル体を得た場合には、エステル体を酸・アルカリなどで加水分解することで一般式(1)におけるBが水素原子であるオキソカーボン類を得ることができる。一般式(1)におけるBがアルカリ金属の場合には、Bが水素原子であるオキソカーボン類を、アルカリ金属水酸化物を含む溶液等で中和することで得ることができる。式(1)は、遊離酸の形で表記しているが、式(1)で表記された水素原子が一価の金属イオンに置換された場合には、式(1)で表記された遊離酸のオキソカーボン類を、アルカリ金属水酸化物を含む溶液等で中和することで得ることができる。
【0024】
本発明の高分子組成物は、上記のようなオキソカーボン類と、高分子化合物とを含有することを特徴とするものである。
ここで、高分子化合物としては、例えばポリビニルピロリドン類、ポリ(メタ)アクリル酸類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリロニトリル類、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類、ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリブテン類、ポリビニリデンフルオリド類、ポリテトラフルオロエチレン類、ポリ塩化ビニル類などに代表されるビニル重合体、ポリオキシアルキレン類、ポリシロキサン類、ポリエステル類、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリベンズオキサゾール類、ポリベンズイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類、ポリアリーレン類、ポリアリーレンスルフィド類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルスルホン類、ポリホスファゼン類等およびこれらの共重合体並びにこれらの混合物等が挙げられる。
なかでも好ましくはポリビニルピロリドン類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリロニトリル類、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類、ポリビニリデンフルオリド類、ポリテトラフルオロエチレン類、ポリエステル類、ポリイミド類、ポリベンズオキサゾール類、ポリベンズイミダゾール類、ポリアリーレンエーテル類、ポリアリーレン類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルスルホン類およびこれらの共重合体並びにこれらの混合物等であり、より好ましくはポリビニルピロリドン類、ポリスチレン類、ポリビニルピリジン類、ポリベンズイミダゾール類、ポリエーテルスルホン類およびこれらの共重合体並びにこれらの混合物等である。
また上記高分子の分子量は、数平均で通常1000以上であり、膜形状で使用する場合には、膜としての形状を保つという観点から5000以上が好ましい。また数平均分子量は通常は2000000程度以下であり、膜形状で使用する場合には、膜への成形性の観点から、1000000程度以下であることが好ましい。
【0025】
上記のような高分子化合物と前記のようなオキソカーボン類とを含有する本発明の組成物は、[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子化合物の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]、すなわち組成物中のオキソカーボン類の当量が好ましくは0.05〜8mmol/gであり、さらに好ましくは0.1〜7mmol/gであり、特に好ましくは0.3〜6mmol/gであり、最も好ましくは0.5〜5mmol/gである。
ここで、組成物中のオキソカーボン類の当量が、0.05mmol/g以上であるとイオン伝導性がより向上する傾向にあるため好ましく、8mmol/g以下であると耐水性の面でより好ましい傾向にある。
オキソカーボン類は、通常、組成物中のオキソカーボン類の当量が上記の範囲となるように使用される。本発明の組成物中のオキソカーボン類の定量は、NMR法を用いて求める。
【0026】
本発明の高分子組成物は、高分子化合物とオキソカーボン類とを含有することを特徴とするものであり、その製造方法は特に限定はないが、例えば高分子化合物とオキソカーボン類を溶媒に溶解、分散または懸濁させて混合し、その後に溶媒を除去して得る方法、オキソカーボン類の存在下で高分子を合成して得る方法等が挙げられる。
ここで、前者の方法における溶媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、アミド系溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、およびこれらの混合溶媒などの中から適宜選択される。
アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどが、ケトン系溶媒としてはアセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ベンゾフェノンなどが挙げられる。エーテル系溶媒としてはジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(以下THFと略記する)、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
【0027】
ハロゲン系溶媒としてはクロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどが、スルホキシド系溶媒としてはジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記する)が挙げられる。スルホン系溶媒としてはジフェニルスルホン、スルホラン等が、アミド系溶媒としてはN,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと略記する)、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略記する)、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N−メチルピロリドン(以下NMPと略記する)などが挙げられる。脂肪族炭化水素溶媒としてはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが、芳香族炭化水素溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
なかでも水、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒およびこれらの混合溶媒等から選ぶことが好ましい。水、メタノール、THF、ジクロロメタン、DMAcおよびこれらの混合溶媒等から選ぶことがさらに好ましい。
【0028】
溶媒を除去する方法としては、混合した溶液、分散液または懸濁液の溶媒を蒸発させて留去する方法等が挙げられるが、後述の溶媒キャスト法を用いることにより膜状に成型することも可能である。
【0029】
またオキソカーボン類の存在下で高分子を合成して高分子組成物を得る方法としては、オキソカーボン類の存在下に、公知の重合方法、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、Zieglar-Natta触媒を用いたイオン重合、開環重合、脱離重合、重付加、重縮合、付加縮合などを用いて高分子を合成する(「高分子合成の実験法」(株)化学同人125〜357頁(1972))と同時に高分子組成物を得る方法等が挙げられる。なお、重合反応中でオキソカーボン類が重合を阻害するような副反応を起こしうる場合、例えば水酸基を有するオキソカーボン類の存在下、アニオン重合を行う場合には、この基を例えばアルコキシ基、シロキシ基、エステル基などで保護するという公知の保護方法を用いて、水酸基を保護して用いることができる。この場合は重合後に公知の方法により保護基を除去することにより目的物が得られる。
【0030】
次に、本発明の高分子組成物を燃料電池等の電気化学デバイスの隔膜として使用する場合について説明する。
この場合、本発明の高分子組成物は、通常フィルムの形態で使用されるが、フィルムへ転化する方法に特に制限はなく、例えば溶液状態より製膜する方法(溶媒キャスト法)が好ましく使用される。
具体的には、高分子組成物を適当な溶媒に溶解し、その溶液をガラス板上に塗布し、溶媒を除去することにより製膜される。製膜に用いる溶媒は、高分子組成物を溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、DMF、DMAc、NMP、DMSO等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、THF、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロピラン、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、クラウンエーテル類等のエーテル系溶媒が好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。
中でもDMSO、DMF、DMAc、NMP、THF、1,3−ジオキソラン等が高分子組成物の溶解性が高く好ましい。
【0031】
フィルムの厚みは、特に制限はないが10〜300μmが好ましく、20〜100μmが特に好ましい。10μmより薄いフィルムでは実用的な強度が十分でない場合があり、300μmより厚いフィルムでは膜抵抗が大きくなり電気化学デバイスの特性が低下する傾向にある。膜厚は溶液の濃度および基板上への塗布厚により制御できる。
【0032】
またフィルムの各種物性改良を目的として、通常の高分子化合物に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等を本発明の高分子組成物に含有させることができる。また、同一溶剤に混合共キャストするなどの方法により、他のポリマーを本発明の高分子組成物と複合アロイ化することも可能である。
燃料電池用途では他に水管理を容易にするために、無機あるいは有機の微粒子を保水剤として添加することも知られている。これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。
また、フィルムの機械的強度の向上などを目的として、電子線・放射線などを照射して架橋することもできる(例えば、特開平11−111310号公報)。さらには、多孔性のフィルムやシートに含浸複合化したり(特開平6−29032号公報)、ファイバーやパルプを混合してフィルムを補強する方法などが知られており、これらの公知の方法はいずれも本発明の目的に反しない限り使用できる。
【0033】
本発明の電池は、前記の本発明の高分子電解質または高分子電解質膜の少なくとも一つを有することを特徴とする。ここで、電池としては燃料電池、リチウムイオン二次電池等が挙げられ、特に好ましくは燃料電池であり、燃料電池の中でも固体高分子型燃料電池がもっとも好ましい。
次に本発明の燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、前記の本発明の高分子電解質または高分子電解質膜の少なくとも一つを有することを特徴とする。
本発明の燃料電池は、フィルムの両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
該触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金の微粒子を用いることが好ましい。白金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられ、好ましく用いられる。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
多孔質性のカーボン不織布またはカーボンペーパーに白金微粒子または白金微粒子を担持したカーボンを接合させる方法、およびそれを高分子電解質フィルムと接合させる方法については、例えば、J.Electrochem.Soc.:Electrochemical Science and Technology,1988,135(9),2209に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
また、本発明の高分子組成物は、固体高分子形燃料電池の触媒層を構成する触媒組成物の一成分であるプロトン伝導材料としても使用可能である。
このようにして製造された本発明の燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノール、ジメチルエーテル等を用いる各種の形式で使用可能である。
【0034】
次に、本発明のオキソカーボン化合物について説明する。
本発明のオキソカーボン化合物は、前記の一般式(1)で示される化合物であって、Rがハロゲノ置換アリール基であることを特徴とするオキソカーボン化合物である。
前述のとおり、該オキソカーボン化合物と高分子化合物とを含有する高分子組成物は、プロトン伝導性に優れるので、燃料電池の電解質膜等に好適に用いることができる。
本発明のオキソカーボン化合物として、該ハロゲノ置換アリール基が下式(2a)〜(2c)からなる群より選ばれる基である化合物が挙げられる。



(式中、pは1〜5の整数を表す。qは0〜3の整数、rは0〜4の整数を表し、かつ(q+r)の値が1〜7である。sは0〜4の整数、tは0〜5の整数を表し、かつ(s+t)の値が1〜9である。Y1〜Y5はそれぞれ独立にハロゲノ基を表し、Y1〜Y5がそれぞれ複数あるときにはこれらは同じであっても良いし異なっていても良い。)
該ハロゲノ置換アリール基において、該ハロゲノ基がフルオロ基であることが好ましい。このような化合物として、具体的には既述の(a49)〜(a54)、(a58)〜(a66)、(b49)〜(b54)、(b58)〜(b66)、(c49)〜(c54)、(c58)〜(c66)が挙げられる。
【0035】
本発明のオキソカーボン化合物として、プロトン伝導性が高いので、ハロゲノ置換アリール基が前記の(2a)であることが好ましい。なかでも、既述の(a49)〜(a54)、(b49)〜(b54)、(c49)〜(c54)が好ましい。これらの中でもさらに好ましくは(a49)〜(a54)であり、特に好ましくは(a50)、(a53)である。
【0036】
本発明のオキソカーボン化合物として、具体的な構造式としては、(a50)で表される化合物のうちフッ素がオキソカーボン基のパラ位に置換した下式(3)で表されるオキソカーボン化合物が挙げられる。



また、本発明のオキソカーボン化合物として、もう一つの具体的な構造式としては(a53)で表される下式(4)で表されるオキソカーボン化合物が挙げられる。




Rがハロゲノ置換アリール基であるオキソカーボン化合物としては上記のようなものが挙げられるが、これらはプロトン酸としての性質を有する遊離酸の形で用いてもよいし、遊離酸が一価の金属原子で置換され、中和された形でもよい。1価の金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子、銀原子等が挙げられる。Bとして、好ましくは水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子であり、さらに好ましくはリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子であり、さらにより好ましくは水素原子、リチウム原子であり、特に好ましくは水素原子である。
本発明の化合物をリチウム二次電池用電解質として用いる場合には、Bとしてリチウムが用いられる。本発明の化合物を固体高分子型燃料電池に用いる場合は、実質的に全ての官能基が遊離酸の形である場合が好ましい。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
プロトン伝導度(σ)は、以下のようにして測定した。
幅1.0cmの短冊状膜試料の表面に白金板(幅:5.0mm)を間隔が1.0cmになるように押しあて、恒温恒湿槽中に試料を保持し、白金板間の106〜10-1Hzにおける交流インピーダンスを測定し、下記式より求めた。
σ(S/cm)=1/(R×d)
(ただし、コール・コールプロット上において、複素インピーダンスの虚数成分が0の時、複素インピーダンスの実数成分をR(Ω)とする。dは膜厚(cm)を表す。)
【0038】
(実施例1)
50mlフラスコにポリ(N−ビニルピロリドン)(アルドリッチ社製、以下PVPと略記する)0.50gに3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン(A)0.20g(1.75mmol、東京化成社製)、イオン交換水5.0mlを入れて、室温で30分攪拌して均一溶液とした。この溶液をシャーレに広げて80℃で水を留去し、厚さ85μmの膜(a)を得た。(a)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子化合物の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]は2.51(mmol/g)であった。(a)のプロトン伝導度を表1に示す。
【0039】
(参考例1)
3−Hydroxy−4−phenylcyclobut−3−ene−1,2−dione(I)の合成
Journal of Organic Chemistry,1988,53(11),2482に記載されている方法に準拠し、3−(1−Methylethoxy)−4−Phenylcyclobut−3−ene−1,2−dioneを製造した。次いでこのものを0.63g、THF12ml、12規定の塩酸36mlを100mlフラスコに入れて100℃で5h攪拌した。その後、室温まで放冷し、クロロホルムで水層を洗浄した後、水層を濃縮し、3−Hydroxy−4−phenylcyclobut−3−ene−1,2−dione(I)を0.24g得た。構造は1H NMRおよび13C NMRで確認した。
【0040】
(実施例2)
50mlフラスコにポリエーテルスルホン(スミカエクセル5003P、住友化学製、以下PESと略記する)0.38gと上記(I)0.15g(0.86mmol)を入れ、DMAc3mlを加えて溶解し、均一溶液とした。この溶液をガラス板上に流延塗布して80℃オーブンで乾燥し、厚さ180μmの均一の膜(b)を得た。(b)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子化合物の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]は1.63(mmol/g)であった。(b)のプロトン伝導度の測定結果を表2に示す。
【0041】
(実施例3)
実施例2において、PES0.28gと上記(I)0.22g(1.26mmol)を用いた以外は同様にして厚さ140μmの均一の膜(c)を得た。(c)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子化合物の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]は2.53(mmol/g)であった。(c)のプロトン伝導度の測定結果を表2に示す。
【0042】
(実施例4)
実施例2において,PESの代わりにポリスルホン(Aldrich社製)を0.28g用いた他は同様にして厚さ175μmの均一の膜(d)を得た。(d)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子化合物の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]は2.00(mmol/g)であった。(d)のプロトン伝導度の測定結果を表2に示す。
【0043】
(比較例1)
特開平10−21943号公報の実施例1に記載の方法に従い、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンを重縮合し、次いで得られた重縮合体をスルホン化することにより高分子電解質1を得た。高分子中のスルホン酸基の当量は1.1mmol/gであった。
次いで、高分子電解質1をDMAcに溶解して均一溶液とした後、シャーレに広げて80℃でDMAcを留去し、厚さ35μmの膜(e)を得た。(e)のプロトン伝導度を表1、表2に示す。
【0044】
(実施例5)
4−(4−fluorophenyl)−3−Hydroxy−cyclobut−3−ene−1,2−dione(IV)および組成物の製造
Journal of Organic Chemistry,1990,55,5359に記載されている方法に準拠して4−(1−Methylethoxy)−3−(tri−n−butylstannyl)cyclobut−3−ene−1,2−dione(II)を製造した。
次に、不活性ガス置換したフラスコに、ヨウ化銅(I)92.0mg(0.49mmol)、パラフルオロヨードベンゼン1.17g(5.24mmol)、[(C653P]2Pd(CH265)Cl 0.22g(0.29mmol)を加え、DMF6.0mlに溶解させた後、上で合成した(II)2.00g(4.8mmol)を滴下した。4時間攪拌後、反応液をジエチルエーテル50mlで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液50mlで1回、10wt%フッ化カリウム水溶液50mlで3回洗浄した。エーテル及びDMFを留去し、得られた粗生成物を、シリカゲルを充填剤とし、ヘキサン:エーテル=3:1(vol/vol)を展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーで精製し、0.55gの4−(4−fluorophenyl)−3−(1−Methylethoxy)−cyclobut−3−ene−1,2−dione(III)を得た。
次に、(III)0.37g(1.58mmol)をTHF0.1mlに溶解し、12規定の塩酸7.0mlを加えて3時間攪拌した。その後、反応液に水10mlを加えて希釈し、CH2Cl210mlで1回洗浄した。水層の水を留去して4−(4−fluorophenyl)−3−Hydroxy−cyclobut−3−ene−1,2−dione(IV)0.179gを得た。構造は1H NMR(D2O中溶媒、7.21ppm(2H)、7.96ppm(2H))、19F NMR(D2O中溶媒、−109.0ppm)で確認した。純度をHPLCで確認したところ99%以上(ピークの面積比)であった。
次に、内容積20mlの容器にポリ(N−ビニルピロリドン)(アルドリッチ社製、以下PVPと略記する)41.0mg、上で合成した( IV)17.7mg(0.0921mmol)、イオン交換水3.0mlを入れて、室温で30分攪拌して均一溶液とした。この溶液をシャーレに広げて80℃で水を留去し、厚さ145μmの膜(f)を得た。(f)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子化合物の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]は1.57(mmol/g)であった。(f)のプロトン伝導度を表1に示す。
【0045】
(実施例6)
3−Hydroxy−4−(2,3,4,5,6−pentafluorophenyl)−cyclobut−3−ene−1,2−dione(VI)および組成物の製造
不活性ガス置換したフラスコに、ヨウ化銅(I)18.0mg(0.095mmol)、ペンタフルオロヨードベンゼン0.30g(1.00mmol)、[(C653P]2Pd(CH265)Cl 43.0mg(0.057mmol)を加え、DMF1.0mlに溶解させた後、(II)0.40g(0.93mmol)を滴下した。4時間攪拌後、反応液をジエチルエーテル50mlで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液50mlで1回、10wt%フッ化カリウム水溶液50mlで3回洗浄した。エーテル及びDMFを留去し、得られた粗生成物を、シリカゲルを充填剤とし、ヘキサン:エーテル=3:1(vol/vol)を展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーで精製し、0.053gの4−(2,3,4,5,6−pentafluorophenyl)−3−(1−Methylethoxy)−cyclobut−3−ene−1,2−dione(V)を製造した。
次に、(V)0.053g(0.173mmol)をTHF0.1mlに溶解し、12規定の塩酸1.5mlを加えて3時間攪拌した。その後、反応液に水10mlを加えて希釈し、CH2Cl210mlで1回洗浄した。水層の水を留去して3−Hydroxy−4−(2,3,4,5,6−pentafluorophenyl)−cyclobut−3−ene−1,2−dione(VI)23mgを得た。構造は19F NMR(D2O溶媒、KF基準(−125.3ppm)、ケミカルシフト値:−138.3ppm、−156.2ppm、−165.7ppm)で確認した。1H NMRではピークが観測されなかった。純度をHPLCで確認したところ99%以上(ピーク面積比)であった。
次に、内容積20mlの容器にポリ(N−ビニルピロリドン)(アルドリッチ社製、以下PVPと略記する)32.5mg、上で合成した(VI)23.0mg(0.0871mmol)、イオン交換水3.0mlを入れて、室温で30分攪拌して均一溶液とした。この溶液をシャーレに広げて80℃で水を留去し、厚さ158μmの膜(g)を得た。(g)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子化合物の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]は1.57(mmol/g)であった。(g)のプロトン伝導度を表1に示す。
【0046】
(実施例7)
式(1)におけるX1、X2、Z、n、Rが表3に示す化合物BとポリベンズイミダゾールとNMPとをフラスコにいれて攪拌し均一溶液とする。この溶液をシャーレに展開し、溶媒を揮発させて乾燥し組成物の膜(h)を得る。この際に、化合物Bとポリベンズイミダゾールとを、(h)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子電解質の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]が0.05〜8mmol/gの範囲になるように選択すると、スルホン酸基を有する高分子化合物に匹敵するプロトン伝導度を有し、しかもスルホン酸基を有する高分子化合物に比し,化学的安定性、耐水性にも優れる膜が好ましく得られる。
【0047】
(実施例8)
式(1)におけるX1、X2、Z、n、Rが表3に示す化合物CとポリベンズイミダゾールとNMPとをフラスコにいれて攪拌し均一溶液とする。この溶液をシャーレに展開し、溶媒を揮発させて乾燥し組成物の膜(i)を得る。この際に、化合物Cとポリベンズイミダゾールとを、(i)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子電解質の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]が0.05〜8mmol/gの範囲になるように選択すると、スルホン酸基を有する高分子化合物に匹敵するプロトン伝導度を有し、しかもスルホン酸基を有する高分子化合物に比し,化学的安定性、耐水性にも優れる膜が好ましく得られる。
【0048】
(実施例9)
式(1)におけるX1、X2、Z、n、Rが表3に示す化合物DとPVPと水とをフラスコにいれて攪拌し均一溶液とする。この溶液をシャーレに展開し、溶媒を揮発させて乾燥し組成物の膜(j)を得る。この際に、化合物DとPVPとを、(j)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子電解質の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]が0.05〜8mmol/gの範囲になるように選択すると、スルホン酸基を有する高分子化合物に匹敵するプロトン伝導度を有し、しかもスルホン酸基を有する高分子化合物に比し,化学的安定性、耐水性にも優れる膜が好ましく得られる。
【0049】
(実施例10)
式(1)におけるX1、X2、Z、n、Rが表3に示す化合物EとPVPと水とをフラスコにいれて攪拌し均一溶液とする。この溶液をシャーレに展開し、溶媒を揮発させて乾燥し組成物の膜(k)を得る。この際に、化合物EとPVPとを、(k)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子電解質の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]が0.05〜8mmol/gの範囲になるように選択すると、スルホン酸基を有する高分子化合物に匹敵するプロトン伝導度を有し、しかもスルホン酸基を有する高分子化合物に比し,化学的安定性、耐水性にも優れる膜が好ましく得られる。
【0050】
(実施例11)
式(1)におけるX1、X2、Z、n、Rが表3に示す化合物FとPESと、塩化メチレン:メタノール=9:1(vol/vol)混合液を、フラスコにいれて攪拌し均一溶液とする。この溶液をシャーレに展開し、溶媒を揮発させて乾燥し組成物の膜(l)を得る。この際に、化合物FとPESとを、(l)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子電解質の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]が0.05〜8mmol/gの範囲になるように選択すると、スルホン酸基を有する高分子化合物に匹敵するプロトン伝導度を有し、しかもスルホン酸基を有する高分子化合物に比し,化学的安定性、耐水性にも優れる膜が好ましく得られる。
【0051】
(実施例12)
式(1)におけるX1、X2、Z、n、Rが表3に示す化合物GとPESと、塩化メチレン:メタノール=9:1(vol/vol)混合液を、フラスコにいれて攪拌し均一溶液とする。この溶液をシャーレに展開し、溶媒を揮発させて乾燥し組成物の膜(m)を得る。この際に、化合物GとPESとを、(m)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子電解質の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]が0.05〜8mmol/gの範囲になるように選択すると、スルホン酸基を有する高分子化合物に匹敵するプロトン伝導度を有し、しかもスルホン酸基を有する高分子化合物に比し,化学的安定性、耐水性にも優れる膜が好ましく得られる。
【0052】
(実施例13)
式(1)におけるX1、X2、Z、n、Rが表3に示す化合物HとPESと、塩化メチレン:メタノール=9:1(vol/vol)混合液を、フラスコにいれて攪拌し均一溶液とする。この溶液をシャーレに展開し、溶媒を揮発させて乾燥し組成物の膜(n)を得る。この際に、化合物HとPESとを、(n)の[オキソカーボン類の物質量(mmol)]/[高分子電解質の重量(g)+オキソカーボン類の重量(g)]が0.05〜8mmol/gの範囲になるように選択すると、スルホン酸基を有する高分子化合物に匹敵するプロトン伝導度を有し、しかもスルホン酸基を有する高分子化合物に比し,化学的安定性、耐水性にも優れる膜が好ましく得られる。
【0053】
【表1】


(表1 加湿下でのプロトン伝導度測定)
【0054】
【表2】


(表2 無加湿下でのプロトン伝導度測定)
【0055】
【表3】







 

 


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