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発明の名称 エチレン系樹脂組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−23229(P2007−23229A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−210911(P2005−210911)
出願日 平成17年7月21日(2005.7.21)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
発明者 江尻 晋 / 小山 悟
要約 課題
外観に優れた押出成形体が得られる難燃性のエチレン系樹脂組成物を提供すること。

解決手段
下記成分(A)と成分(B)とを含有するエチレン系樹脂組成物であって、成分(B)の含有量が、該樹脂組成物を100重量%として、0.1〜75重量%であるエチレン系樹脂組成物。
特許請求の範囲
【請求項1】
下記成分(A)と成分(B)とを含有するエチレン系樹脂組成物であって、成分(B)の含有量が、該樹脂組成物を100重量%として、0.1〜75重量%であるエチレン系樹脂組成物。
成分(A):流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上であり、JIS K7210に規定された温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分であり、分子量分布(Mw/Mn)が5〜25であるエチレン−α−オレフィン共重合体
成分(B):難燃剤
【請求項2】
下記成分(C)を含有し、成分(C)の含有量が、成分(A)と成分(C)との合計を100重量%として、5〜70重量%である請求項1に記載のエチレン系樹脂組成物。
成分(C):高圧法低密度ポリエチレンおよび流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体からなるエチレン系重合体群から選ばれた少なくとも1種のエチレン系重合体
【請求項3】
シース用である請求項1または2に記載のエチレン系樹脂組成物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン系樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電線、壁紙、床材などには、難燃性の樹脂組成物、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体と難燃剤との樹脂組成物が多く用いられている。例えば、チーグラー触媒を用いて製造された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体と難燃剤とからなる樹脂組成物(例えば、特許文献1参照。)、シングルサイト触媒を用いて製造された実質的に線状であるエチレン−α−オレフィン共重合体と難燃剤とからなる樹脂組成物(例えば、特許文献2参照。)などが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−213238号公報
【特許文献2】特開平9−12792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のエチレン−α−オレフィン共重合体と難燃剤との樹脂組成物を押出成形すると、表面に凹凸の荒れを有する押出成形体が得られることがあり、エチレン−α−オレフィン共重合体と難燃剤との従来の樹脂組成物を押出成形してなる成形体は、外観において十分満足のいくものではなくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、外観に優れた押出成形体が得られる難燃性のエチレン系樹脂組成物を提供することにある。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、外観に優れた押出成形体が得られる難燃性のエチレン系樹脂組成物を提供することができる。また、本発明のエチレン系樹脂組成物からなる押出成形体は、機械的強度にも優れる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記成分(A)と成分(B)とを含有するエチレン系樹脂組成物であって、成分(B)の含有量が、該樹脂組成物を100重量%として、0.1〜75重量%であるエチレン系樹脂組成物にかかるものである。
成分(A):流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol以上であり、JIS K7210に規定された温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分であり、分子量分布(Mw/Mn)が5〜25であるエチレン−α−オレフィン共重合体
成分(B):難燃剤
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。また、上記の炭素原子数3〜20のα−オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0008】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等があげられ、好ましくはエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体である。
【0009】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常50〜99重量%である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常1〜50重量%である。
【0010】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は長鎖分岐を有し、このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は、従来の難燃性のエチレン系樹脂組成物に用いられてきたエチレン−α−オレフィン共重合体に比して、流動の活性化エネルギー(Ea)が高く、通常40kJ/mol以上である。従来から知られている難燃性のエチレン系樹脂樹脂組成物に用いられてきたエチレン−α−オレフィン共重合体のEaは、通常40kJ/molよりも低い値であり、押出成形体の外観が劣ることがある。
【0011】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)は、押出成形体の外観を高める観点から、好ましくは45kJ/mol以上であり、より好ましくは50kJ/mol以上であり、さらに好ましくは60kJ/mol以上である。また、押出成形体の機械的強度を高める観点から、該Eaは、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下である。
【0012】
エチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位:Pa・sec)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。すなわち、130℃、150℃、170℃、190℃、210℃の温度の中から、190℃を含む4つの温度について、夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線(溶融複素粘度の単位はPa・sec、角周波数の単位はrad/secである。)を、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−角周波数曲線毎に、190℃でのエチレン系共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際に得られる各温度(T)でのシフトファクター(aT)を求め、夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(I)式)を算出する。次に、該一次式の傾きmと下記式(II)とからEaを求める。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (I)
Ea = |0.008314×m| (II)
T :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。
また、130℃、150℃、170℃、190℃、210℃の中から190℃を含む4つの温度でのシフトファクターと温度から得られる一次近似式(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
【0013】
上記の溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用い、通常、ジオメトリー:パラレルプレート、プレート直径:25mm、プレート間隔:1.5〜2mm、ストレイン:5%、角周波数:0.1〜100rad/秒の条件で行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われ、また、測定試料には予め酸化防止剤を適量(例えば1000ppm)を配合することが好ましい。
【0014】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.01〜100g/10分である。該MFRが低すぎると、押出成形体の外観が低下することがある。好ましくは0.1g/10分以上であり、より好ましくは0.5g/10分以上である。また、該MFRは、通常、100g/10分以下であり、押出成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは10g/10分以下であり、より好ましくは5g/10分以下であり、更に好ましくは2g/10分以下であり、特に好ましくは1g/10分以下である。なお、該MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定される。
【0015】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート比(MFRR)は、通常40〜300である。該MFRRは、押出成形体の外観をより高める観点から、好ましくは50以上であり、より好ましくは60以上である。また、該MFRRは、押出成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは250以下であり、より好ましくは200以下である。なお、該MFRRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重211.83N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR−H、単位:g/10分)を、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)で除した値である。
【0016】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、通常、870〜960kg/m3である。該密度は、押出成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは940kg/m3以下であり、より好ましくは930kg/m3以下であり、さらに好ましくは925kg/m3以下であり、最も好ましくは920kg/m3以下である。また、該密度は、押出成形体の耐熱性を高める観点から、好ましくは880kg/m3以上であり、より好ましくは890kg/m3以上である。なお、該密度は、JIS K7112−1980に規定された方法に従って測定される。
【0017】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、5以上である。該Mw/Mnが小さすぎると押出成形体の外観が低下することがある。好ましくは6以上であり、より好ましくは7以上である。また、該Mw/Mnは、押出成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは25以下であり、より好ましくは20以下であり、更に好ましくは17以下である。なお、該分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ測定によってポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを求め、MwをMnで除した値(Mw/Mn)である。
【0018】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、押出成形体の外観および機械的強度を高める観点から、JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重21.18N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)とし、極限粘度を[η](単位:dl/g)として、下記式(1)を充足することが好ましい。
0.80×MFR-0.094 < [η] < 1.50×MFR-0.156 式(1)
押出成形体の機械的強度を高める観点から、成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、下記式(1−2)を充足することがより好ましく、
0.90×MFR-0.094 < [η] 式(1−2)
下記式(1−3)を充足することが更に好ましい。
1.00×MFR-0.094 < [η] 式(1−3)
また、押出成形体の外観を高める観点から、成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、下記式(1−4)を充足することがより好ましく、
[η] < 1.40×MFR-0.156 式(1−4)
下記式(1−5)を充足することが更に好ましい。
[η] < 1.35×MFR-0.156 式(1−5)
なお、JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重21.18N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレートが同じ値である従来のエチレン−α−オレフィン共重合体と本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体とを比較した場合、従来のエチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度は、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度よりも、通常高い値である。
【0019】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、押出成形体の外観および機械的強度を高める観点から、JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重21.18N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)とし、190℃における溶融張力をMT(単位:cN)として、下記式(2)を充足することが好ましい。
2×MFR-0.59 < MT < 20×MFR-0.59 式(2)
押出成形体の外観を高める観点から、成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、下記式(2−2)を充足することがより好ましく、
2.2×MFR-0.59 < MT 式(2−2)
下記式(2−3)を充足することが更に好ましい。
2.5×MFR-0.59 < MT 式(2−3)
また、押出成形体の機械的強度を高める観点から、成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、下記式(2−4)を充足することがより好ましく、
MT < 10×MFR-0.59 式(2−4)
下記式(2−5)を充足することが更に好ましい。
MT < 5×MFR-0.59 式(2−5)
【0020】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、押出成形体の外観を高める観点から、温度190℃、角周波数100rad/secでの溶融複素粘度をη*(単位:Pa・sec)とし、JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重21.18N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレートをMFR(単位:g/10分)として、下記式(3)を充足するものが好ましく、
η* < 1550×MFR-0.25−420 式(3)
下記式(3−2)を充足することがより好ましく、
η* < 1500×MFR-0.25−420 式(3−2)
下記式(3−3)を充足することが更に好ましく、
η* < 1450×MFR-0.25−420 式(3−3)
下記式(3−4)を充足することが特に好ましい。
η* < 1350×MFR-0.25−420 式(3−4)
【0021】
溶融複素粘度η*は、成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)を求めるために行われる測定のうち、190℃の溶融複素粘度−角周波数の測定において得られた、角周波数100rad/secにおける溶融複素粘度である。
【0022】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、例えば、有機アルミニウム化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、有機亜鉛化合物などの助触媒成分を粒子状担体に担持させてなる固体粒子状の助触媒成分(以下、成分(イ)と称する。)と、アルキレン基やシリレン基等の架橋基で2つのシクロペンタジエニル型アニオン骨格が結合した構造を持つ配位子を有するメタロセン錯体(以下、成分(ロ)と称する。)とを触媒成分として用いてなる重合触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法があげられる。
【0023】
上記固体粒子状の助触媒成分としては、メチルアルモキサンを多孔質シリカと混合させた成分、ジエチル亜鉛と水とフッ化フェノールを多孔質シリカと混合させた成分等をあげることができる。
【0024】
上記固体粒子状の助触媒成分のより具体例として、成分(a)ジエチル亜鉛、成分(b)フッ素化フェノール、成分(c)水、成分(d)多孔質シリカおよび成分(e)トリメチルジシラザン(((CH33Si)2NH)を接触させてなる助触媒担体成分(イ)をあげることができる。
【0025】
成分(b)のフッ素化フェノールとしては、ペンタフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール等をあげることができる。成分(A)の流動活性化エネルギー(Ea)、分子量分布(Mw/Mn)を高める観点から、フッ素数の異なる2種類のフッ素化フェノールを用いることが好ましく、この場合、フッ素数が多いフェノールとフッ素数が少ないフェノールとのモル比としては、通常、20/80〜80/20であり、該モル比は高い方が好ましい。
【0026】
上記成分(a)、成分(b)および成分(c)の使用量としては、各成分の使用量のモル比率を成分(a):成分(b):成分(c)=1:y:zとすると、yおよびzが下記の式を満足することが好ましい。
|2−y−2z|≦1
上記の式におけるyとして、好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
【0027】
成分(a)に対して使用する成分(d)の量としては、成分(a)と成分(d)との接触により得られる粒子に含まれる亜鉛原子のモル数が、該粒子1gあたり0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。成分(d)に対して使用する成分(e)の量としては、成分(d)1gあたり成分(e)0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
【0028】
上記メタロセン錯体としては、2つのインデニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体、2つのメチルインデニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体、2つのメチルシクロペンタジエニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体、2つのジメチルシクロペンタジエニル基が、エチレン基、ジメチルメチレン基またはジメチルシリレン基で結合したジルコノセン錯体等をあげることができる。また、成分(ロ)の金属原子としては、ジルコニウムとハフニウムが好ましく、さらに金属原子が有する残りの置換基としては、ジフェノキシ基やジアルコキシ基が好ましい。成分(ロ)として、好ましくは、エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドがあげられる。
【0029】
上記の固体粒子状の助触媒成分とメタロセン錯体とを用いてなる重合触媒においては、適宜、有機アルミニウム化合物を触媒成分として併用してもよく、該有機アルミニウム化合物としては、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム等をあげることができる。
【0030】
上記メタロセン錯体の使用量は、上記固体粒子状の助触媒成分1gあたり、好ましくは5×10-6〜5×10-4molである。また有機アルミニウム化合物の使用量として、好ましくは、上記メタロセン錯体の金属原子1モルあたり、有機アルミニウム化合物のアルミニウム原子が1〜2000モルとなる量である。
【0031】
また、上記の固体粒子状の助触媒成分とメタロセン錯体とを用いてなる重合触媒においては、適宜、電子供与性化合物を触媒成分として併用してもよく、該電子供与性化合物としては、トリエチルアミン、トリノルマルオクチルアミン等をあげることができる。
【0032】
上記成分(b)のフッ素化フェノールとしてフッ素数の異なる2種類のフッ素化フェノールを用いる場合は、電子供与性化合物を用いることが好ましい。
【0033】
電子供与性化合物の使用量としては、上記の触媒成分として用いられる有機アルミニウム化合物のアルミニウム原子のモル数に対して、通常0.1〜10mol%であり、成分(A)の分子量分布(Mw/Mn)を高める観点から、該使用量は高い方が好ましい。
【0034】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、より具体的には、上記助触媒担体(イ)、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体および有機アルミニウム化合物を接触させてなる触媒の存在下、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを共重合する方法があげられる。
【0035】
重合方法として、好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の成形を伴う連続重合方法であり、例えば、連続気相重合、連続スラリー重合、連続バルク重合であり、好ましくは、連続気相重合である。気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
【0036】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられる重合触媒の各成分を反応槽に供給する方法としては、通常、窒素やアルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。重合触媒の各成分は個別に供給してもよく、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
【0037】
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。本重合と予備重合では異なるα−オレフィンを用いてもよく、炭素原子数が4〜12のα−オレフィンとエチレンとを予備重合することが好ましく、炭素原子数が6〜8のα−オレフィンとエチレンとを予備重合することがより好ましい。
【0038】
重合温度としては、通常、エチレン−α−オレフィン共重合体が溶融する温度よりも低く、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃であり、さらに好ましくは50〜90℃である。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、重合温度は高い方が好ましい。
【0039】
重合時間としては(連続重合反応である場合は平均滞留時間として)、通常1〜20時間である。エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、重合時間(平均滞留時間)は長い方が好ましい。
【0040】
また、共重合体の溶融流動性を調節する目的で、重合反応ガスに水素を分子量調節剤として添加してもよく、重合反応ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。重合反応ガス中のエチレンのモル濃度に対する重合反応ガス中の水素のモル濃度は、重合反応ガス中のエチレンのモル濃度100モル%として、通常、0.1〜3mol%である。また、また、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を広げる観点からは、該重合反応ガス中の水素のモル濃度は、高い方が好ましい。
【0041】
成分(B)の難燃剤としては、金属水酸化物、金属酸化物、無機塩・無機水和化合物、シラン化合物、りん系化合物、臭素系化合物、塩素系化合物などがあげられる。
【0042】
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化ジルコニウム、ハイドロタルサイトなどがあげられる。
【0043】
金属酸化物としては、例えば、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、フェロセン、酸化銅、酸化カルシウム、酸化ニッケル、酸化ビスマス、すず酸亜鉛、アルミン酸カルシウムなどがあげられる。
【0044】
無機塩・無機水和化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウム、カオリンクレー、ろう石クレー、ドーソナイト、カルシウムアルミネートシリケートなどがあげられる。
【0045】
シラン系化合物としては、例えば、シリコンオイル、シリコンガム、それらに官能基を導入したものなどがあげられる。
【0046】
りん系化合物としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスウェートなどの非ハロゲン系りん酸エステル;トリクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスβ−クロロプロピルホスフェートなどの含ハロゲン系りん酸エステル;ポリリン酸アンモン;ポリリン酸アミド;ポリクロロフォスフェート;縮合ホスホン酸エステル;芳香族縮合りん酸エステル;赤りんなどがあげられる。
【0047】
臭素系化合物としては、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモヒクロドデカン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサプロモベンゼンなどがあげられる。
【0048】
塩素系化合物としては、パークロロヒクロペンタデカン、塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン、塩素化ポリエチレンなどがあげられる。
【0049】
成分(B)の難燃剤としては、上記化合物を単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用しても構わない。
【0050】
成分(B)の難燃剤としては、非ハロゲン系かつ非りん系の難燃剤が好ましく、金属水酸化物、金属酸化物、無機塩・無機水和化合物がより好ましく、金属水酸化物が更に好ましく、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが特に好ましい。
【0051】
本発明の樹脂組成物は、上記成分(A)と成分(B)とを含有する樹脂組成物であり、該樹脂組成物中の成分(B)の含有量は、該樹脂組成物を100重量%として、0.1〜75重量%である。成分(B)の含有量が少なすぎると難燃性に劣ることがあり、該含有量としては、20重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることがさらに好ましく、55重量%以上であることが最も好ましい。また、該含有量としては、押出成形体の機械的強度を高める観点から、70重量%以下であることが好ましく、65重量%以下であることがより好ましい。
【0052】
本発明の樹脂組成物には、成分(A)および成分(B)に加え、必要に応じて、酸化防止剤、抗ブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤、耐候安定剤、顔料、加工性改良剤等の添加剤;成分(A)以外の重合体成分等を添加してもよく、該添加剤および該重合体成分は2種以上を併用されてもよい。
【0053】
成分(A)以外の重合体成分(以下、成分(C)と称する。)としては、エチレンに基づく単量体単位の含有量が50重量%以上であるエチレン系重合体(ただし、該重合体の全重量を100重量%とする。)が好適であり、高圧法低密度ポリエチレン、流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体などがあげられる。これらは、1種でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
成分(C)のエチレン系重合体としては、高圧法低密度ポリエチレンおよび流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体からなるエチレン系重合体群から選ばれた少なくとも1種のエチレン系重合体であることが好ましく、流動の活性化エネルギー(Ea)が40kJ/mol未満であるエチレン−α−オレフィン共重合体がより好ましい。
【0055】
成分(C)のエチレン系重合体に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。また、上記の炭素原子数3〜20のα−オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
成分(C)のエチレン系重合体に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体は、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等があげられ、好ましくはエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体である。
【0057】
成分(C)のエチレン系重合体に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、チーグラー・ナッタ系触媒、クロム系触媒、メタロセン系触媒等の公知の重合触媒を用いて、液相重合法、スラリー重合法、気相重合法、高圧イオン重合法等の公知の重合方法によって製造する方法があげられる。また、該重合法は、回分重合法、連続重合法のいずれでもよく、2段階以上の多段重合法でもよい。
【0058】
上記のチーグラー・ナッタ系触媒としては、例えば、次の(1)または(2)の触媒などがあげられる。
(1)三塩化チタン、三塩化バナジウム、四塩化チタンおよびチタンのハロアルコラートからなる群から選ばれる少なくとも1種をマグネシウム化合物系担体に担持した成分と、共触媒である有機金属化合物からなる触媒
(2)マグネシウム化合物とチタン化合物の共沈物または共晶体と共触媒である有機金属化合物からなる触媒
【0059】
上記のクロム系触媒としては、例えば、シリカまたはシリカ−アルミナにクロム化合物を担持した成分と、共触媒である有機金属化合物からなる触媒などがあげられる。
【0060】
メタロセン系触媒としては、例えば、次の(1)〜(4)の触媒などがあげられる。
(1)シクロペンタジエン形骨格を有する基を有する遷移金属化合物を含む成分と、アルモキサン化合物を含む成分からなる触媒
(2)前記遷移金属化合物を含む成分と、トリチルボレート、アニリニウムボレート等のイオン性化合物を含む成分からなる触媒
(3)前記遷移金属化合物を含む成分と、前記イオン性化合物を含む成分と、有機アルミニウム化合物を含む成分からなる触媒
(4)前記の各成分をSiO2、Al23等の無機粒子状担体や、エチレン、スチレン等のオレフィン重合体等の粒子状ポリマー担体に担持または含浸させて得られる触媒
【0061】
成分(C)のエチレン系重合体に用いられる高圧法低密度ポリエチレンの製造方法としては、公知の重合方法があげられ、例えば、エチレン単独あるいはエチレンと共重合単量体とを、高温高圧下でラジカル重合する方法があげられる。
【0062】
成分(C)のエチレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、押出成形体の外観を高める観点から、好ましくは0.1g/10分以上であり、より好ましくは0.5g/10分以上であり、更に好ましくは0.8g/10分以上である。また、押出成形体の機械的強度を高める観点から、該MFRは、好ましくは100g/10分以下であり、より好ましくは10g/10分以下であり、更に好ましくは4g/10分以下である。なお、該MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重21.18N、測定温度190℃の条件で測定される。
【0063】
成分(C)のエチレン系重合体に用いられる高圧法低密度ポリエチレンおよびエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、通常、870〜960kg/m3である。該密度は、押出成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは930kg/m3以下であり、より好ましくは920kg/m3以下であり、さらに好ましくは910kg/m3以下であり、最も好ましくは900kg/m3以下である。また、該密度は、押出成形体の耐熱性を高める観点から、好ましくは870kg/m3以上であり、より好ましくは880kg/m3以上である。なお、該密度は、JIS K7112−1980に規定された方法に従って測定される。
【0064】
成分(C)のエチレン系重合体に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート比(MFRR)は、通常10〜200である。該MFRRは、押出成形体の外観をより高める観点から、好ましくは15以上である。また、該MFRRは、押出成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは100以下であり、より好ましくは50以下であり、最も好ましくは35以下である。なお、該MFRRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重211.83N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR−H、単位:g/10分)を、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)で除した値である。
【0065】
本発明の樹脂組成物中の成分(C)の含有量は、成分(A)と成分(C)との合計を100重量%として、押出成形体の外観をより高める観点から、好ましくは、成分(C)の含有量が70重量%以下(成分(A)の含有量が30重量%以上)であり、より好ましくは、成分(C)の含有量が60重量%以下(成分(A)の含有量が40重量%以上)である。また、押出成形体の機械的強度をより高める観点から、好ましくは、成分(C)の含有量が5重量%以上(成分(A)の含有量が95重量%以下)であり、より好ましくは、成分(C)の含有量が10重量%以上(成分(A)の含有量が90重量%以下)であり、更に好ましくは、成分(C)の含有量が15重量%以上(成分(A)の含有量が85重量%以下)である。
【0066】
本発明の樹脂組成物は、成分(A)と成分(B)と、必要に応じて、他の成分(成分(C)等)とを公知の方法で溶融混練することにより、例えば、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサーなどでドライブレンドした後、更に単軸押出機や多軸押出機などで溶融混練する、またはニーダーやバンバリーミキサーなどで溶融混練することにより得られる。成分(B)および他の成分(成分(C)等)は、1種以上のマスターバッチとしてドライブレンドしてもよい。また、成分(A)や成分(C)などの重合体成分は、溶融混練前あるいは溶融混練時に、有機シラン化合物、酸無水物、有機過酸化物などで変性してもよい。
【0067】
本発明の樹脂組成物は、例えば、壁紙、カーテン、床材、梱包材、ホース、チューブ、パイプ、電線やケーブル等の絶縁体やシース、電子機器、電気機器、家電製品、スポーツ用品、事務機器、車両機器、輸送機器、コンテナやケースなどの物流資材、靴、衣類などに用いられる。特に、電線やケーブルの絶縁体やシースに好適に用いられる。
【0068】
本発明の樹脂組成物を各種成形体の成形する方法としては、公知の成形方法、例えば、押出成形法、射出成形法、スラッシュ成形や回転成形などの粉体成形法、圧縮成形法等が用いられる。特に、押出成形法が好適に用いられ、例えば、電線や管の被覆などの被覆押出成形法、チューブ押出成形法、パイプ押出成形法、押出ホース成形法、インフレーション成形法、Tダイキャスト法、中空押出成形法等があげられる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
【0070】
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定を行った。
【0071】
(2)メルトフローレート比(MFRR)
JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重211.83N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR−H、単位:g/10分)を、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)で除した値を、MFRRとした。
【0072】
(3)密度(単位:kg/m3)
密度は、JIS K7112−1980に規定された方法に従って測定した。
【0073】
(4)分子量分布(Mw/Mn)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(8)により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
(3)測定温度:145℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン(東ソー社製 TSK STANDARD POLYSTYRNE)
【0074】
(5)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.2〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素下
【0075】
(6)溶融複素粘度(η*、単位:Pa・sec)
上記の(5)流動の活性化エネルギーを測定した際に得られた190℃での溶融複素粘度−角周波数の測定結果から、角周波数が100rad/secにおける190℃の溶融複素粘度を求めた。
【0076】
(7)溶融張力(MT、単位:cN)
東洋精機製作所製 メルトテンションテスターを用いて、温度が190℃の条件で、9.5mmφのバレルに充填した溶融樹脂を、ピストン降下速度5.5mm/分で、径が2.09mmφ、長さ8mmのオリフィスから押出し、該押し出された溶融樹脂を、径が150mmφの巻き取りロールを用い、40rpm/分の巻き取り上昇速度で巻き取り、溶融樹脂が破断する直前における張力値を測定した。この値が大きいほど溶融張力が大きいことを示す。
【0077】
(8)極限粘度([η]、単位:dl/g)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を0.5g/Lの濃度で溶解したテトラリン溶液(以下、ブランク溶液と称する。)と、該ブランク溶液に対して、エチレン重合体樹脂の濃度が1mg/mlとなる135℃のテトラリン溶液(以下、サンプル溶液と称する。)とを調整し、ウベローデ型粘度計により、該ブランク溶液と該サンプル溶液の135℃での降下時間を測定し、該降下時間から135℃での相対粘度(ηrel)を求めた後、下記式より算出した。
[η]=23.3×log(ηrel
【0078】
(9)酸素指数(単位:%)
JIS K7201―1976に従って、酸素指数を測定した。この値が大きいほど難燃性に優れる。
【0079】
(10)引張強度
厚み2mmのプレスシートを作成し、シートから、JIS K6251−1993に記載の3号ダンベル型に打ち抜いたものを試料として用いた。標線間距離20mm、チャック間60mm、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、引張破断強度(単位:MPa)と引張破断呼びひずみ(単位:%)を求めた。これらの値が大きいほど機械的強度に優れる。
【0080】
(11)押出成形品の外観(単位:μm)
東洋精機製キャピログラフを用いて、バレル設定温度150℃、L=40mm/D=1mmで流入角90度のタングステンカーバイド製のオリフィスを用い、ピストン降下速度100mm/minで溶融押出を行い、押し出されたストランドを回収した。ストランドの表面凹凸をキーエンス社製デジタルマイクロスコープにより撮影し、撮影したストランド表面画像から肌荒れ部分の凹部と凸部の高さの差を計測し、肌荒れの値(単位:μm)とした。この値が小さいほど押出成形品の外観に優れる。
【0081】
実施例1
(1)助触媒担体の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.91kgとトルエン1.43kgと混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら33分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、95℃で3時間攪拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン21kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエンを6.9kg加えてスラリーとし、一晩静置した。
【0082】
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50wt%)2.05kgとヘキサン1.3kgとを投入し、攪拌した。その後、5℃に冷却した後、ペンタフルオロフェノール0.77kgとトルエン1.17kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら61分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、40℃で1時間攪拌した。その後、H2O0.11kgを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間、55℃で2時間攪拌した。その後、室温にてジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50wt%)1.4kgとヘキサン0.8kgとを投入した。5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール0.42kgとトルエン0.77kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、40℃で1時間攪拌した。その後、H2O0.077kgを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間、40℃で2時間、更に、80℃で2時間攪拌した。攪拌を停止し残量16Lまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、攪拌した。95℃に昇温し、4時間攪拌した。静置し、固体成分を沈降させ、沈降した固体成分の層と上層のスラリー部分との界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除き、次いで残りの液成分をフィルターにてろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、乾燥することにより、固体成分(以下、助触媒担体(a1)と称する。)を得た。
【0083】
(2)予備重合
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、固体生成物(a−1)0.71gと、ブタン80リットル、常温常圧の水素として0.5リットルを仕込んだ後、オートクレーブを30℃まで上昇した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.03MPa分仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム208mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド70mmolを投入して重合を開始した。50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、50℃で合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、助触媒担体(a1)1g当り13.3gのエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
【0084】
(3)連続気相重合
上記の予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施した。重合条件は、温度75℃、全圧2MPa、ガス線速度0.28m/s、エチレンに対する水素のモル比は0.895%、エチレンに対する1−ヘキセンのモル比は1.91%とし、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間3.6hrとなるように、上記予備重合触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供給した。重合により、22kg/hrの重合効率でエチレン−1−ヘキセン共重合体(以下、PE−1と称する。)のパウダーを得た。
【0085】
(4)エチレン−1−ヘキセン共重合体パウダーの造粒
上記で得たPE−1のパウダーを、押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)により、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、PE−1のペレットを得た。PE−1のペレットの物性を表1に示す。
【0086】
(5)樹脂組成物の作成
PE−1のペレット100重量部と水酸化マグネシウム(協和化学社製 商品名キスマ5B;以下、難燃剤Kと称する。)50重量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて、設定温度160℃、回転数60rpmの条件で10分間混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表2に示す。
【0087】
実施例2
PE−1のペレット100重量部と難燃剤K 100重量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて、設定温度160℃、回転数60rpmの条件で10分間混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表2に示す。
【0088】
比較例1
市販の高密度ポリエチレン(Dow Chemical社製 アフィニティ PF1140;以下、PE−2と称する。)のペレット100重量部と、難燃剤K 50重量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて、設定温度160℃、回転数60rpmの条件で10分間混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表2に示す。また、PE−2の物性を表1に示す。
【0089】
比較例2
市販の直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製 ノバテックLL UE320;以下、PE−3と称する。)のペレット100重量部と、難燃剤K 100重量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて、設定温度160℃、回転数60rpmの条件で10分間混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表2に示す。また、PE−3の物性を表1に示す。
【0090】
比較例3
PE−1の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0091】
実施例3
PE−1のペレット100重量部と、難燃剤K 250重量部と、市販の直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学社製 エクセレンFX CX3007;以下、PE−4と称する。)67重量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて、設定温度160℃、回転数60rpmの条件で10分間混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表3に示す。
【0092】
比較例4
PE−3のペレット100重量部と、難燃剤K 250重量部と、PE−4のペレット67重量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて、設定温度160℃、回転数60rpmの条件で10分間混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性の評価結果を表3に示す。
【0093】
【表1】


【0094】
【表2】


【0095】
【表3】







 

 


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