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発明の名称 グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む結晶
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8897(P2007−8897A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−194689(P2005−194689)
出願日 平成17年7月4日(2005.7.4)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
発明者 中野 力太 / 柳 和則
要約 課題

グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインと非ステロイド骨格を有するリガンドとの複合体からなる結晶等を提供可能とすること。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む六方晶系の結晶であり、空間群がP6に属し、単位格子がa=126.0プラスマイナス4.0オングストローム、b=126.0プラスマイナス4.0オングストローム、c=72.6プラスマイナス4.0オングストローム、α=β=90°、γ=120°であることを特徴とする結晶。
【請求項2】
単位格子がa=126.01オングストローム、b=126.01オングストローム、c=72.64オングストローム、α=β=90°、γ=120°であることを特徴とする請求項1記載の結晶。
【請求項3】
前記リガンドが、非ステロイド骨格を有するリガンドであることを特徴とする請求項1又は2記載の結晶。
【請求項4】
前記リガンドが、非ステロイド骨格を有し、かつ、アゴニスト活性を有するリガンドであることを特徴とする請求項1又は2記載の結晶。
【請求項5】
前記リガンドが、(1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanolであることを特徴とする請求項1記載の結晶。
【請求項6】
前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインが、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの請求項記載の結晶。
【請求項7】
X線結晶構造解析により決定される分解能が、少なくとも2.8オングストロームであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの前項記載の結晶。
【請求項8】
前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインの結合ポケットが、Met560、Leu563、Asn564、Leu566、Gly567、Gln570、Trp600、Met601、Met604、Ala605、Ala607,Leu608、Arg611、Phe623、Met639、Gln642、Met646、Leu732、Typ735、Cys736、Thr739、Phe749及びLeu753を含むアミノ酸残基より構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの請求項記載の結晶。
【請求項9】
グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインを有するタンパク質であって、当該タンパク質のポリペプチド三次元構造状態がリガンドを結合し得るポリペプチド三次元構造状態にあり、かつ、前記ポリペプチド三次元構造状態にあるタンパク質の結晶の空間群がP6に属し、単位格子がa=126.01オングストローム、b=126.01オングストローム、c=72.64オングストローム、α=β=90°、γ=120°であることを特徴とするタンパク質。
【請求項10】
前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインが、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインであることを特徴とする請求項9記載のタンパク質。
【請求項11】
グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む結晶の原子座標に係る情報を取得するための、請求項1〜5のいずれかの請求項記載の結晶の使用。
【請求項12】
グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む結晶の原子座標に基づいて当該複合体の三次元構造を誘導するための、請求項1〜5のいずれかの請求項記載の結晶の使用。
【請求項13】
グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインと被験物質との化学的相互作用性を、請求項1〜5のいずれかの請求項記載の結晶の原子座標又は当該原子座標に基づいて誘導された三次元構造を基準として用いて評価するための、請求項1〜4のいずれかの請求項記載の結晶の使用。
【請求項14】
前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインが、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインであることを特徴とする請求項11、12又は13記載の結晶の使用。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれかの請求項記載の結晶の原子座標又は当該原子座標に基づいて誘導された三次元構造を有するリガンド結合のためのポケットに被験物質を適用し、当該ポケットに適合する被験物質を選択する工程
を有することを特徴とするグルココルチコイド受容体の作動薬剤有効成分となり得る物質の探索方法。
【請求項16】
グルココルチコイド受容体の作動薬剤有効成分となり得る物質の探索方法であって、
(1)請求項1〜5のいずれかの請求項記載の結晶の原子座標が第一記憶手段に入力される工程、
(2)被験物質の原子座標が第二記憶手段に入力される工程、
(3)入力された両者の原子座標に基づき、前記被験物質の原子団の特性と各原子団の距離との組み合わせにより特定される空間配置を安定的に最適化することによるリガンド結合ポケットに結合する被験物質の選択がコンピュータ処理手段により行われる工程
を有することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15又は16記載の探索方法により選抜された物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするグルココルチコイド受容体の作動薬剤。
【請求項18】
請求項15又は16により選択された物質又はその薬学的に許容される塩が有する前記化学的相互作用性の有無又はその程度に係るデ−タ情報を入力・蓄積・管理する手段、前記デ−タ情報を所望の結果を得るための条件に基づき照会・検索する手段、及び、照会・検索された結果を表示・出力する手段を具備することを特徴とするシステム。



発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む結晶等に関する。
【背景技術】
【0002】
核内受容体は、細胞質又は核内に局在し、リガンドの結合に応じて活性化するリガンド依存性転写因子のファミリ−として規定される(例えば、非特許文献1参照)。このファミリ−の一群であるステロイド受容体には、グルココルチコイド受容体(以下、GRと記すこともある。)、ミネラルコルチコイド受容体(以下、MRと記すこともある。)、アンドロゲン受容体(以下、ARと記すこともある。)、プロゲステロン受容体(以下、PRと記すこともある。)及びエストロゲン(以下、ERと記すこともある。)受容体等が含まれている。ステロイド受容体に対するリガンドには、エストラジオ−ル、プロゲステロン及びコルチゾ−ル等が知られている。これらのリガンドは細胞の周囲の流体中に存在するときに受動拡散によって外側の細胞膜を通り抜け、特定の核内受容体に結合して受容体/リガンド複合体を形成する。ついで、この複合体は細胞の核に移動し、そこで細胞DNAの特定の遺伝子に結合する。DNAに結合すると当該複合体は前記遺伝子によってコ−ドされるタンパク質の産生を調節する。この観点から、核内受容体に結合し天然のリガンドの作用を模倣する化合物は「アゴニスト」と呼ばれ、一方、天然のリガンドの作用を抑制する化合物は「アンタゴニスト」と呼ばれる。
グルココルチコイド受容体は、リガンドによる刺激の無いときには、熱ショックタンパク質(Hsp90,Hsp70,Hsp56等)との複合体を形成した状態で細胞質に存在する(例えば、非特許文献2−5等参照)。グルココルチコイド受容体は、リガンドの結合によって熱ショックタンパク質から解離し、核内へ移行した後、DNA及び/又はタンパク質と特異的に相互作用し、そして遺伝子発現を制御する。
グルココルチコイド受容体は、骨、肝臓、脳、T細胞、B細胞及びマクロファージを含む、さまざまな組織で発現している(例えば、非特許文献6参照)。
グルココルチコイド(GC)(グルココルチコイド受容体をターゲットとするステロイドのクラス)は、その免疫調節作用・抗炎症作用により、急性・慢性の疾病の治療に使用されている。特に、GC(プレドニゾロン及びデキサメタゾンを含む)は、その強力な抗炎症作用から、急性の炎症性疾患の治療にとても価値がある。これら合成化合物の中には、その代謝体を含め、ミネラルコルチコイド受容体(MR)、アンドロゲン受容体(AR)、プロゲステロン受容体(PR)及びエストロゲン受容体(ER)等のステロイド受容体と交差反応が生じることが知られているものもある。このような選択性の低さに起因する他のステロイド受容体を介した作用が、従来知られているGCの副作用(高血糖・骨粗鬆症等の代謝性作用、易感染性、うつ病)に加わり、多くの制限を生じさせる原因となっている。
【0003】
グルココルチコイド受容体の作動薬剤の研究にあたっては、1種又はそれ以上のステロイド受容体に対して特異性を有するが、他のステロイド受容体又は細胞内レセプタ−に対する交差反応性が減少しているか又は存在しない非ステロイド化合物の同定、検索、評価又は設計が、当分野において非常に価値がある。
グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメイン(以下、GR_LBDと記すこともある。)のある種の原子座標についてはすでに明らかにされている。現在すでに知られているグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む結晶の原子座標では、リガンドがステロイド骨格を有するデキサメタゾン(Dexamethasone)である場合(例えば、非特許文献7、特許文献1等参照)、ステロイド骨格を有するフルチカゾンプロピオネイト(Fluticasone propionate)である場合(例えば、特許文献2参照)及びステロイド骨格を有するRU486との複合体(例えば、非特許文献8、特許文献3等参照)である場合であり、極限られた三次元構造についての情報だけが存在しているにすぎなかった。
【0004】
【非特許文献1】Evans RM, Science, 240, 889 (1988)
【非特許文献2】Galigniana MD.等, Mol Endocrinol, 12, 1903 (1998)
【非特許文献3】Caamano CA.等, J Biol Chem, 273, 20473 (1998)
【非特許文献4】Pratt WB.等, J Biol Chem, 263, 267 (1988)
【非特許文献5】Pratt WB.等, J Steroid Biochem Mol Biol, 46, 269 (1993)
【非特許文献6】Joels M.等, Mol Neurobiol, 17, 87 (1998)
【非特許文献7】Bledsoe RK.等, Cell, 110, 93 (2002):プロテイン・デ−タ・バンクの登録番号:1M2Z
【非特許文献8】Kauppi B.等, J Biol Chem, 278, 22748 (2003):プロテイン・デ−タ・バンクの登録番号:1P93、1NHZ
【特許文献1】国際公開第2003/015692号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開 第1375517号
【特許文献3】国際公開第2003/090666号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインと非ステロイド骨格を有するリガンドとの複合体を含む結晶の原子座標は未だ知られておらず、当該原子座標に基づいて誘導された三次元構造についての情報は何ら存在していなかった。従って、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインと非ステロイド骨格を有するリガンドとの化学的相互作用性に係る情報を提供するための結晶を新規に見出し、当該結晶及びこれから得られる情報等を利用することは、グルココルチコイド受容体(又はヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメイン)の変異体、作動薬剤又は拮抗薬剤等を同定、検索、評価又は設計するために非常に有益なことであり、切望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意検討した結果、非ステロイド骨格リガンドとして(1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanolを用いて、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインと非ステロイド骨格を有するリガンドとの複合体を含む結晶を新規に見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む六方晶系の結晶であり、空間群がP6に属し、単位格子がa=126.0プラスマイナス4.0オングストローム、b=126.0プラスマイナス4.0オングストローム、c=72.6プラスマイナス4.0オングストローム、α=β=90°、γ=120°であることを特徴とする結晶(以下、本発明結晶と記すこともある。);
2.単位格子がa=126.01オングストローム、b=126.01オングストローム、c=72.64オングストローム、α=β=90°、γ=120°であることを特徴とする前項1記載の結晶;
3.前記リガンドが、非ステロイド骨格を有するリガンドであることを特徴とする前項1又は2記載の結晶;
4.前記リガンドが、非ステロイド骨格を有し、かつ、アゴニスト活性を有するリガンドであることを特徴とする前項1又は2記載の結晶;
5.前記リガンドが、(1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanolであることを特徴とする前項1記載の結晶;
6.前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインが、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインであることを特徴とする前項1〜5のいずれかの前項記載の結晶;
7.X線結晶構造解析により決定される分解能が、少なくとも2.8オングストロームであることを特徴とする前項1〜5のいずれかの前項記載の結晶;
8.前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインの結合ポケットが、Met560、Leu563、Asn564、Leu566、Gly567、Gln570、Trp600、Met601、Met604、Ala605、Ala607,Leu608、Arg611、Phe623、Met639、Gln642、Met646、Leu732、Typ735、Cys736、Thr739、Phe749及びLeu753を含むアミノ酸残基より構成されていることを特徴とする前項1〜5のいずれかの前項記載の結晶;
9.グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインを有するタンパク質であって、当該タンパク質のポリペプチド三次元構造状態がリガンドを結合し得るポリペプチド三次元構造状態にあり、かつ、前記ポリペプチド三次元構造状態にあるタンパク質の結晶の空間群がP6に属し、単位格子がa=126.01オングストローム、b=126.01オングストローム、c=72.64オングストローム、α=β=90°、γ=120°であることを特徴とするタンパク質;
10.前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインが、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインであることを特徴とする前項9記載のタンパク質;
11.グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む結晶の原子座標に係る情報を取得するための、前項1〜5のいずれかの前項記載の結晶の使用;
12.グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む結晶の原子座標に基づいて当該複合体の三次元構造を誘導するための、前項1〜5のいずれかの前項記載の結晶の使用;
13.グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインと被験物質との化学的相互作用性を、前項1〜5のいずれかの前項記載の結晶の原子座標又は当該原子座標に基づいて誘導された三次元構造を基準として用いて評価するための、前項1〜4のいずれかの前項記載の結晶の使用;
14.前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインが、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインであることを特徴とする前項11、12又は13記載の結晶の使用;
15.前項1〜5のいずれかの前項記載の結晶の原子座標又は当該原子座標に基づいて誘導された三次元構造を有するリガンド結合のためのポケットに被験物質を適用し、当該ポケットに適合する被験物質を選択する工程
を有することを特徴とするグルココルチコイド受容体の作動薬剤有効成分となり得る物質の探索方法(以下、本発明探索方法1と記すこともある。);
16.グルココルチコイド受容体の作動薬剤有効成分となり得る物質の探索方法であって、
(1)前項1〜5のいずれかの前項記載の結晶の原子座標が第一記憶手段に入力される工程、
(2)被験物質の原子座標が第二記憶手段に入力される工程、
(3)入力された両者の原子座標に基づき、前記被験物質の原子団の特性と各原子団の距離との組み合わせにより特定される空間配置を安定的に最適化することによるリガンド結合ポケットに結合する被験物質の選択がコンピュータ処理手段により行われる工程
を有することを特徴とする方法(以下、本発明探索方法2と記すこともある。);
17.前項15又は16記載の探索方法により選抜された物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするグルココルチコイド受容体の作動薬剤(以下、本発明作動薬剤と記すこともある。);
18.前項15又は16により選択された物質又はその薬学的に許容される塩が有する前記化学的相互作用性の有無又はその程度に係るデ−タ情報を入力・蓄積・管理する手段、前記デ−タ情報を所望の結果を得るための条件に基づき照会・検索する手段、及び、照会・検索された結果を表示・出力する手段を具備することを特徴とするシステム;
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインと非ステロイド骨格を有するリガンドとの複合体を含む結晶等が提供可能となる。さらに当該結晶及びこれから得られる情報等を利用することにより、グルココルチコイド受容体の変異体、作動薬剤又は拮抗薬剤等を同定、検索、評価又は設計するための方法も提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本願明細書において、アミノ酸、ペプチド、タンパク質は下記に示すIUPAC−IUB生化学命名委員会(CBN)で採用された略号を用いて表される(表1参照)。また、特に明示しない限りペプチド及びタンパク質のアミノ酸配列は、左端から右端にかけてN末端からC末端となるように、またN末端が1番になるように表される。
【0009】
【表1】



また、アミノ酸に関し光学異性体がありうる場合には、特に明示しなければL−体を示すものとする。
【0010】
本発明におけるグルココルチコイド受容体は、例えば、下記のいずれかのアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体であって、哺乳動物、好ましくはマウス(MGR)、ラット(RGR)及びヒト等の由来のものである。特に好ましくはヒト由来のものである。
<アミノ酸配列>
(a)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が欠失、付加若しくは置換されたアミノ酸配列であり、かつグルココルチコイド受容体としての機能を有するタンパク質のアミノ酸配列、
(c)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であり、かつグルココルチコイド受容体としての機能を有するタンパク質のアミノ酸配列、
(d)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAと80%以上の配列同一性を有する塩基配列を有するDNAによりコードされるアミノ酸配列であり、かつグルココルチコイド受容体としての機能を有するタンパク質のアミノ酸配列、
(e)配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列であり、かつグルココルチコイド受容体としての機能を有するタンパク質のアミノ酸配列
【0011】
ここで、前記(b)にある「アミノ酸が欠失、付加若しくは置換」や前記(c)にある「80%以上の配列同一性」及び(d)にある「80%以上の配列同一性」には、例えば、配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質が細胞内で受けるプロセシング、該タンパク質が由来する生物の種差、個体差、器官、組織間の差異等により天然に生じる変異や、人為的なアミノ酸の変異(例えば、部位特異的変異導入法や突然変異処理等によって、天然のタンパク質をコードするDNAに変異を導入し発現させることにより作出されたタンパク質が有するアミノ酸配列中に存在するアミノ酸の変異)等が含まれる。
【0012】
前記(b)にある「アミノ酸が欠失、付加若しくは置換」(以下、総じてアミノ酸の改変と記すこともある。)を人為的に行う場合の手法としては、例えば、配列番号1、2又は3で示されるアミノ酸配列をコードするDNAに対して慣用の部位特異的変異導入を施し、その後このDNAを常法により発現させる手法が挙げられる。ここで部位特異的変異導入法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法(ギャップド・デュプレックス法、Nucleic Acids Res.,12,9441-9456(1984))、変異導入用プライマーを用いたPCRによる方法等が挙げられる。
【0013】
前記で改変されるアミノ酸の数については、少なくとも1残基、具体的には1若しくは数個(ここで「数個」とは、2〜約10個程度である。)又はそれ以上である。かかる改変の数は、例えば、グルココルチコイド受容体としての機能する能力を見出すことのできる範囲であれば良い。
【0014】
また前記欠失、付加又は置換のうち、特にアミノ酸の置換に係る改変が好ましい。当該置換は、疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴等の類似した性質を有するアミノ酸への置換がより好ましい。このような置換としては、例えば、(1)グリシン、アラニン;(2)バリン、イソロイシン、ロイシン;(3)アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、(4)セリン、スレオニン;(5)リジン、アルギニン;(6)フェニルアラニン、チロシンのグループ内での置換が挙げられる。
【0015】
本発明において「配列同一性」とは、2つのDNA又は2つのタンパク質間の配列の同一性及び相同性をいう。前記「配列同一性」は、比較対象の配列の全領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。ここで、比較対象のDNA又はタンパク質は、2つの配列の最適なアラインメントにおいて、付加又は欠失(例えばギャップ等)を有していてもよい。このような配列同一性に関しては、例えば、Vector NTIを用いて、ClustalWアルゴリズム(Nucleic Acid Res.,22(22):4673-4680(1994)を利用してアラインメントを作成することにより算出することができる。尚、配列同一性は、配列解析ソフト、具体的にはVector NTI、GENETYX-MACや公共のデータベースで提供される解析ツールを用いて測定される。前記公共データベースは、例えば、ホームページアドレスhttp://www.ddbj.nig.ac.jpにおいて、一般的に利用可能である。
【0016】
本発明における配列同一性は、例えば、アミノ酸配列基準の場合には80%以上であることが好ましく、また塩基配列基準の場合には80%以上であることが好ましい。もちろん上記条件を満たす限りにおいて、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のうち、第1番目から第160番目までのアミノ酸配列における配列同一性が50%以上であり、配列番号1で示されるアミノ酸配列のうち第161番目から第418番目、配列番号2又は3で示されるアミノ酸配列のうち、第1番目から258番目における配列同一性が90%以上であるような配列同一性であってもよい。
【0017】
前記(e)にある「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」に関して、ここで使用されるハイブリダイゼーションは、例えば、Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行(Cold Spring Harbor Laboratory press)等に記載される通常の方法に準じて行うことができる。また「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、6×SSC(1.5M NaCl、0.15M クエン酸三ナトリウムを含む溶液を10×SSCとする)を含む溶液中で45°(先の出願とは異なっているがよいか?)にてハイブリッドを形成させた後、2×SSCで50°にて洗浄するような条件(Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1-6.3.6)等を挙げることができる。洗浄ステップにおける塩濃度は、例えば、2×SSCで50°の条件(低ストリンジェンシーな条件)から0.2×SSCで50°までの条件(高ストリンジェンシーな条件)から選択することができる。洗浄ステップにおける温度は、例えば、室温(低ストリンジェンシーな条件)から65°(高ストリンジェンシーな条件)から選択することができる。また、塩濃度と温度の両方を変えることもできる。
【0018】
具体的には例えば、本発明におけるヒト由来のグルココルチコイド受容体は、例えば、アクセス番号P04150(SwissProt)(Hollenberg,S.M et al., Nature、318:635-41(1985))や、Genbank accession number NM_000176として記載・登録されているような、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するものである。また、本発明におけるヒト由来のグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインは、例えば、ヒト由来のグルココルチコイド受容体(SwissProt)(Hollenberg,S.M et al., Nature、318:635-41(1985))等に記載されているアミノ酸配列において、C末端側のリガンド結合部位を意味する。
より具体的には、本発明における、ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインにおけるN末端側のアミノ酸配列としては、例えば、第500番目から第533番目までが挙げられる。好ましくは、第510番目から第531番目までである。より好ましくは第522番目〜第527番目からである。さらに好ましくは第527番目からである。一方、本発明における、ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインにおけるC末端側のアミノ酸配列としては、例えば、第777番目までである。
このように本発明におけるヒトグルココルチコイド受容体のリガンド結合ドメインのアミノ酸配列としては、例えば、第527番目から第777番目までのアミノ酸配列が挙げられる。他の哺乳動物由来のグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインの場合には、前記ヒト由来のヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインに対応する領域を意味している。
但し、本発明におけるヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインの開始部位及び終了部位は、必ずしも厳密なものではなく、その機能が保持されることを条件として、N末端及び/又はC末端に数残基いずれかの方向にずれたもの、或いは、N末端及び/又はC末端にアミノ酸が付加したものも包含される。
尚、このような一次構造上の僅かな差異は当該グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインの全体的な立体構造に対して大きな影響を与えず、通常、その機能は保たれると考えられる。
グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインは、リガンド結合ポケットを含む。本発明結晶に関して、ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメイン中の残基は、結晶構造中のリガンドへのそれらの空間的な近接性により定義される。
本発明におけるリガンド結合ポケットは、Met560、Leu563、Asn564、Leu566、Gly567、Gln570、Trp600、Met601、Met604、Ala605、Ala607,Leu608、Arg611、Phe623、Met639、Gln642、Met646、Leu732、Typ735、Cys736、Thr739、Phe749、Leu753を含むアミノ酸残基より構成されるもの又はその相同体である。
本発明におけるグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインに用いている変異体は、例えば、野生型(配列番号3参照)、F602Sの1重変異体、C638Dの1重変異体又はF602S及びC638Dの2重変異体(配列番号2参照)等を挙げることができる。好ましくは、F602S及びC638Dの2重変異体等が挙げられる。
【0019】
本発明におけるリガンドは、グルココルチコイド受容体との結合作用性を有するようなものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3,683,091号、特公昭45−014056、特公平6−263688、国際公開第95/10266号パンフレット、特公昭45−36500、欧州特許出願公開第0 188 396号、C.F. Bigge等, J. Med. Chem., 36、 1977−1995 (1993)、 P.R.Kanjilal等, J. Org. Chem., 50、 857−863 (1985)、G. Sinha, J. Chem. Soc., Perkin Trans. I, (10), 2519−2528 (1983)、U. r. Ghatak、M. Sarkar及びS. K. Patra, Tetrahedron Letters No.32、 pp.2929−2931 (1978)、p. N. Chakrabortty等, Indian J. Chem., 12 (9), 948−55 (1974)、 E. Fujita等, J. Chem. Soc., Perkin Trans. I, (1)、 165−77 (1974)、H. Sdassi等, Synthetic Communications, 25 (17), 2569−2573 (1995)、 T. Ibuka等, Yakugaku Zasshi 87 (8), 1014−17 (1967)、日本特許第09052899号、米国特許第5,696,127号、米国特許第5,767,113号、欧州特許出願公開第0 683 172号、D. Bonnet−Delpon等, Tetrahedron, 52 (1), 59−70 (1996)、国際公開第98/26783号パンフレット、国際公開第98/27986号パンフレット、国際公開第98/31702号パンフレット、欧州特許出願公開第0 903 146号、J. A. Findlay等, Tetrahedron Letters, No.19、 pp.869−872 (1962)、ドイツ特許出願公開第19856475号、国際公開第99/41256号パンフレット、国際公開第99/41257号号パンフレット、国際公開第00/06137号号パンフレット、国際公開第99/33786号号パンフレット、国際公開第99/41257号パンフレット、国際公開第99/63976号パンフレット、国際公開第00/006137号パンフレット、国際公開第00/032584号パンフレット、国際公開第00/07972号パンフレット、国際出願第PCT/IB00/00366号又は国際公開第02/24702号パンフレット等に記載された化合物を挙げることができる。
より具体的には例えば、リガンドとしてステロイド骨格を有するリガンドである(A)cortisol(コルチゾル)、(B)prednisolone(プレドニゾロン)、(C)dexamethasone(デキサメタゾン)、(D)RU-486、(E)medroxyprogesterone acetate(メドロキシプロゲステロン)、(F)cyproterone acetae(シプロテロン酢酸)や(G)becromethasone dipropionate(ベクロメタゾンジプロピオンネイト)等(化1参照)を挙げることができる。
【0020】
【化1】



また、リガンドとして非ステロイド骨格を有するリガンドである下記の化合物等が挙げられる。
(1)国際公開第2004063163号パンフレットに記載された化合物。より具体的には例えば、7-Fluoro-1-[4-(5-fluoro-2-hydroxy-phenyl)-2-hydroxy-4-methyl-2-trifluoromethyl-pentyl]-1H-quinolin-4-one等を挙げることができる。
(2)ドイツ特許出願公開第10261874号に記載された化合物等。より具体的には例えば、4-Benzo[1,3]dioxol-4-yl-2-hydroxy-4-methyl-2-trifluoromethyl-pentanoic acid (4-methyl-1-oxo-1H-benzo[d][1,2]oxazin-6-yl)-amide等を挙げることができる。
(3)米国特許第2001041802号、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (2004),14(9),2079-2082に記載された化合物。より具体的には例えば、N-(1-Methoxy-6-m-tolyl-6H-benzo[c]chromen-8-yl)-methanesulfonamide等を挙げることができる。
(4)国際公開第2004026248号パンフレットに記載された化合物。より具体的には例えば、8-(4-Fluoro-phenyl)-11a-methyl-3-trifluoromethyl-2,4,4a,5,6,8,11,11a-octahydro-3H-phenanthro[2,3-c]pyrazole-4-carboxylic acid ethyl ester等を挙げることができる。
(5)国際公開第2004018429号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、4-Allylsulfanylmethyl-6-(2-methoxy-phenyl)-2,2-dimethyl-1,2-dihydro-quinoline等を挙げることができる。
(6)国際公開第2004005229号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、4a-Ethyl-2-prop-1-ynyl-1,2,3,4,4a,9,10,10a-octahydro-phenanthrene-2,3,7-triol等を挙げることができる。
(7)国際公開第2003104195号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、3-(5-Fluoro-2-methoxy-phenyl)-1-(1H-indol-2-ylmethyl)-3-methyl-1-trifluoromethyl-butylamine等を挙げることができる。
(8)国際公開第2003101932号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、1-(3,5-Dimethyl-benzyl)-3-(5-fluoro-2-methoxy-phenyl)-3-methyl-1-trifluoromethyl-butylamine等を挙げることができる。
(9)国際公開第2004110385号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、10-Methoxy-2,2-dimethyl-5-phenyl-1,2,4,5-tetrahydro-6-oxa-1,4-diaza-chrysen-3-one等を挙げることができる。
(10)国際公開第2004111015号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、(3-Chloro-phenyl)-[1-(4-fluoro-phenyl)-2-[1,2,4]triazol-1-yl-pentyl]-amine等を挙げることができる。
(11)国際公開第2004075840号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、1-(4-Fluoro-phenyl)-4a-methyl-5-phenylethynyl-1,4,4a,5,6,7-hexahydro-1,2-diaza-s-indacen-5-ol等を挙げることができる。
(12)国際公開第2004075864号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、4-(5-Fluoro-2-hydroxy-phenyl)-2-hydroxy-4-methyl-2-trifluoromethyl-pentanoic acid (3,5-dichloro-phenyl)-amide等を挙げることができる。
(13)国際公開第2004071389号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、3,3,3-Trifluoro-2-hydroxy-N-(4-methyl-1-oxo-1H-benzo[d][1,2]oxazin-6-yl)-2-(6,7,8,9-tetrahydro-5H-benzocyclohepten-5-ylmethyl)-propionamide等を挙げることができる。
(14)国際公開第2004069160号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、3-(1H-Benzoimidazol-2-yl)-5-phenyl-pyridin-2-ylamine等を挙げることができる。
(15)国際公開第2004067529号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、N-[3-(1-Ethyl-1-p-tolyl-propyl)-1H-indol-7-yl]-methanesulfonamide等を挙げることができる。
(16)Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (2004),101(1),227-232に記載された化合物。具体的には例えば、4-(2,3-Dihydro-benzofuran-7-yl)-2-hydroxy-4-methyl-2-trifluoromethyl-pentanoic acid (4-methyl-1-oxo-1H-benzo[d][1,2]oxazin-6-yl)-amide等を挙げることができる。
(17)国際公開第03/061651号パンフレット、国際公開第03/086294号パンフレット及びShah, Nilesh等, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 14, 5199 (2004)に記載された化合物。具体的には例えば、Benzo[b]thiophen-3-yl-[1-(4-fluoro-phenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol−5−yl]−methanol等を挙げることができる。
(18)米国特許第2001041802号に記載された化合物。具体的には例えば、3-Chloro-propane-1-sulfonic acid [3-(8-methanesulfonylamino-1-methoxy-6H-benzo[c]chromen-6-yl)-phenyl]-methyl-amide等を挙げることができる。
(19)国際公開第02/044120号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、(3,5-Dibromo-4-{2-[(4-hydroxy-phenyl)-phenyl-methyl]-5-isopropyl-4-methoxy-phenoxy}-phenyl)-acetic acid等を挙げることができる。
(20)欧州特許出願公開第1201649号に記載された化合物。具体的には例えば、(2-Dimethylamino-ethyl)-carbamic acid 4b-benzyl-7-hydroxy-7-trifluoromethyl-4b,5,6,7,8,8a,9,10-octahydro-phenanthren-2-yl ester等を挙げることができる。
(21)欧州特許出願公開第1201660号に記載された化合物。具体的には例えば、4a-Benzyl-7-(5-dimethylaminomethyl-[1,2,4]oxadiazol-3-ylmethoxy)-2-trifluoromethyl-1,2,3,4,4a,9,10,10a-octahydro-phenanthren-2-ol等を挙げることができる。
(22)国際公開第00/066522号パンフレット、Morgan, Bradley P等, Journal of Medicinal Chemistry, 45, 2417, (2002)、国際公開第03/020216号パンフレット、国際公開第04/004653号パンフレット、Morgan, Bradley P.等, Letters in Drug Design & Discovery,1,1(2004)、国際公開第04/041214号パンフレット、国際公開第04/041215号パンフレット、国際公開第04/069202号パンフレット、国際公開第05/009382号パンフレット、国際公開第05/009388号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、4a-Benzyl-2-chloroethynyl-1,2,3,4,4a,9,10,10a-octahydro-phenanthrene-2,7-diol等を挙げることができる。
(23)N-(7-Bromo-6-phenyl-6H-benzo[c]chromen-8-yl)-methanesulfonamide等を挙げることができる。
(24)[1-(10-Methoxy-2,2,4-trimethyl-2,5-dihydro-1H-6-oxa-1-aza-chrysen-5-yl)-cyclohex-3-enyl]-methanol等を挙げることができる。
(25)国際公開第02/000653号パンフレット、米国特許第2003114420号及び米国特許第2004077606号に記載された化合物。具体的には例えば、4-(3-Trifluoromethyl-phenyl)-2,4-diaza-tricyclo[5.2.1.02,6]dec-8-ene-3,5-dione等を挙げることができる。
(26)国際公開第99/41256号パンフレット、Elmore, Steven W.等、Journal of Medicinal Chemistry,44,4481(2001)、国際公開第02/002565号パンフレット、Ku,Yi-Yin.等, Journal of the American Chemical Society, 124, 4282(2002)、国際公開第03/002548号パンフレット、米国特許第6506766号、Ku,Yi-Yin.等, Current Opinion in Drug Discovery & Development,5,852(2002)、Kym,Philip R.等, Journal of Medicinal Chemistry, 46, 1016(2003)、Ku,Yi-Yim.等, Journal of Organic Chemistry, 68, 3238(2003)、米国特許第2003073844号、Coghlan,Michael J.等, Molecular Endocrinology, 17, 860(2003), Doggrell, Sheila. Expert Opinion on Investigational Drugs, 12, 1227(2003), Elmore, Steven W.等, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 14, 1721(2004)に記載された化合物。具体的には例えば、5-Allyl-10-methoxy-2,2,4-trimethyl-2,5-dihydro-1H-6-oxa-1-aza-chrysene等を挙げることができる。
(27)国際公開第01/047859号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、{3,5-Dibromo-4-[2-(1-hydroxy-ethyl)-5-isopropyl-4-methoxy-phenoxy]-phenyl}-acetic acid等を挙げることができる。
(28)国際公開第99/41256号パンフレット,Coghlan,Michael J.等,Journal of Medicinal Chemistry, 44,2 879(2001)、 Elmorem、 Steven W等,Journal of Medicinal Chemistry, 44, 4481(2001),国際公開第02/002565号パンフレット、米国特許第6506766号及び欧州特許出願公開第1375517号に記載された化合物。具体的には例えば、10-Methoxy-2,2,4-trimethyl-5-(3-methylsulfanylmethoxy-phenyl)-2,5-dihydro-1H-6-oxa-1-aza-chrysene等を挙げることができる。
(29)N-[1-Methoxy-7-methyl-6-(3-trifluoromethyl-phenyl)-6H-benzo[c]chromen-6-yl]-methanesulfonamide等を挙げることができる。
(30)国際公開第00/066522号パンフレット及び欧州特許出願公開第1097709号に記載された化合物等。具体的には例えば、4b-Benzyl-7-hydroxy-7-prop-1-ynyl-4b,5,6,7,8,8a,9,10-octahydro-phenanthrene-2-carboxylic acid (pyridin-4-ylmethyl)-amide等を挙げることができる。
(31)国際公開第98/54159号パンフレット及びドイツ特許出願公開第19856475号に記載された化合物。具体的には例えば、5-[4-(5-Fluoro-2-hydroxy-phenyl)-2-hydroxy-4-methyl-2-trifluoromethyl-pentylamino]-3H-isobenzofuran-1-one等を挙げることができる。
(32)国際公開第99/63976号パンフレット、国際公開第00/007972号パンフレット、国際公開第01/047859号パンフレット、国際公開第02/043648号パンフレット及び国際公開第02/049634号パンフレットに記載された化合物。具体的には例えば、{3,5-Dibromo-4-[5-isopropyl-4-methoxy-2-(3-methyl-benzoyl)-phenoxy]-phenyl}-acetic acid等を挙げることができる。
(33)国際公開第00/006137号パンフレット及び米国特許第6166013号に記載された化合物。具体的には例えば、Acetic acid 2-({4-[(2-chloro-5-nitro-phenyl)-(4-dimethylamino-phenyl)-methyl]-phenyl}-methyl-amino)-ethyl ester等を挙げることができる。
(34)国際公開第99/41256号パンフレット、国際公開第02/002565号パンフレット、米国特許第6506766号及びElmore, Steven W.等, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 14, 1721(2004)に記載された化合物。具体的には例えば、10-Methoxy-2,2,4-trimethyl-5-(3-methyl-cyclohex-2-enyl)-2,5-dihydro-1H-6-oxa-1-aza-chrysene等を挙げることができる。
尚、(1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanol(国際公開第03/086294号パンフレットに記載された化合物のうちの代表的な化合物)は、国際公開第03/086294号パンフレットに記載される方法により製造することができる。
【0021】
【化2】



【0022】
グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体は、下記の取得方法(以下、本複合体取得方法と記すこともある。)によって取得することができる。
本複合体取得方法は、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体の取得方法であり、
(1)(a)精製ドメインと(b)グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとの融合タンパク質を発現する遺伝子組み換え微生物又は細胞を、リガンド非存在下で培養する工程(第一工程)、
(2)前記工程により得られる前記微生物又は細胞を回収し、回収された前記微生物又は細胞を破砕する工程(第二工程)、
(3)前記工程により得られる菌体破砕物から前記融合タンパク質を、前記精製ドメインと精製用担体との結合性に基づき回収する工程(第三工程)、
(4)前記工程により得られる前記融合タンパク質から、当該タンパク質の精製ドメインに存在するプロテアーゼ切断性リンカーをプロテアーゼにより切断することにより、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を分離する工程(第四工程)、及び
(5)前記工程により得られる前記複合体を回収する工程(第五工程)
を有し、かつ、
(6)前記破砕工程、前記融合タンパク質の回収工程、又は、前記分離工程において前記融合タンパク質の精製ドメインに存在するプロテアーゼ切断性リンカーをプロテアーゼにより切断する前までの工程において、前記微生物又は細胞或いは前記融合タンパク質とリガンドとを接触させる工程(リガンド接触工程)
を含む。
【0023】
本複合体取得方法の第一工程において、前記精製ドメインが、金属キレ−トペプチドが付加されてなるチオレドキシンとプロテア−ゼ切断性リンカ−とからなるポリペプチドであることが好ましい。また、前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインが、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインであることが好ましい。
【0024】
精製ドメインは、(a1)本複合体取得方法の第三工程において融合タンパク質を精製するために、当該精製ドメインと精製用担体との結合性に基づき回収することが可能となるような部位と、(a2)本複合体取得方法の第四工程において融合タンパク質をプロテア−ゼにより切断することにより、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を分離することが可能となるような部位(即ち、当該タンパク質の精製ドメインに存在するプロテア−ゼ切断性リンカ−)と、必要に応じて、(a3)当該複合体を安定化させるためのポリペプチドとからなる。尚、前記の(a3)部位は前記の(a1)部位そのものである場合もある。
前記の(a1)部位としては、例えば、固定された金属上での精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュ−ルのような金属キレ−トペプチド若しくはヒスチジン−トリプトファンモジュ−ルのような金属キレ−トペプチド等が付加されてなるチオレドキシン、赤血球凝集素(HA)タグ(インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピト−プに対応する;Wilson,I.ら(1984)Cell 37:767)、マルト−ス結合性ポリペプチド、FLAGS発現/アフィニティ−精製系で使用されるFLAGエピト−プ(Immunex Corp, Seattle, WA)及びE−エピト−プタグ(E−タグ)等を挙げることができる。好ましくは、ヒスチジン−トリプトファンモジュ−ルのような金属キレ−トペプチドが付加されてなるチオレドキシン、マルト−ス結合性ポリペプチドが挙げられ、より好ましくは、ヒスチジン−トリプトファンモジュ−ルのような金属キレ−トペプチドが付加されてなるチオレドキシンが挙げられる。ここで「ヒスチジン」における残基は、例えば、Porathら, Protein Expression and Purification, 3:263-281 (1992)等に記載されるような、固定化された金属イオンアフィニティ−クロマトグラフィ−(IMIAC)に対する精製を容易にするものである。
前記の(a2)部位としては、例えば、FactorXa Protease(血液凝固因子Xa)切断部位、PreScission Protease切断部位、スロンビン切断部位のような機能を有するもの等を挙げることができる。
前記の(a3)部位としては、例えば、当該複合体の水溶性を高めるためのポリペプチド、当該部位に続くグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体の三次元構造を再現良く導くことができるようなポリペプチド等を挙げることができる。好ましくは、チオレドキシン等を挙げることができる。
【0025】
(a)精製ドメインと(b)グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとの融合タンパク質を発現する遺伝子組み換え微生物又は細胞は、宿主となる微生物において当該融合タンパク質を発現できる発現ベクターを通常の遺伝子工学的手法を用いて構築し、次いで構築された発現ベクターを通常の遺伝子工学的手法を用いて当該微生物又は細胞に導入することにより作製することができる。作製された遺伝子組み換え微生物又は細胞は、例えば、温度変化又は化学誘導等の適切な手段により、前記発現ベクターが有するプロモ−タ−の転写活性を促進しながら、非リガンド存在下の適切な培養条件で培養すればよい。尚、多数の微生物又は細胞(細菌、植物、動物(特に哺乳動物)及び古細菌起源の細胞を含む)の培養及び産生のために参考となる文献としては、例えば、Sambrook,Ausubel及びBerger(すべて前出)、並びに、Freshney, Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique、第3版 (1994)、Wiely−Liss, New York及びそこに引用された参考文献; Doyle and Griffiths, MAMMALIAN CELL CULTURE:ESSENTIAL TECHNIQUES (1997), John Wiley and Sons, NY; Humason, Animal Tissue Techniques, 第4版 (1979), W.H.Freeman and company; 並びに Ricciardelliら, In vitro Cell Dev.Biol.25:1016−1024 (1989); Payneら, Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems (1992), John Wiley & Sons, Inc., New York ; Gamborg及びPhillips(編), Plant Cell,Tissue and Organ Culture ; Fundamental Methods Springer Lab Manual (1995),Springer−Verlag (Berlin Heidelberg New York) 及び Plant Molecular Biology, R.R.D.Croy編、Bios Scientific Publishers (1993), Oxford, U.K.ISBN0 12 198470 6; Atlas及びParks(編), The Handbook of Microbiological Media (1993), CRC Press,Boca Raton,FL.; Sigma−Aldrich,Inc (St.Louis,MO)からのLife Sience Research Cell Culture Catalogue (1998) (「Sigma−LSRCCC」); Sigma−Aldrich,Inc.(St.Louis,MO)からのThe Plant Culture Catalogue and supplement(1997)(「Sigma−PCCS」); TymmsIn vitro Transcription and Translation Protocols: Methods in Molecular Biology, 第37巻 (1995), Garland Publishing, NY.等を挙げることができる。
【0026】
本複合体取得方法の第ニ工程において、前記微生物又は細胞を回収するための方法としては、遠心分離等が挙げられる。また、前記遺伝子組み換え微生物又は細胞を破砕するための方法としては、例えば、凍結−解凍サイクル処理、超音波処理、機械的破壊処理又は細胞溶解剤処理等の通常の物理的又は化学的破壊処理等に基づく微生物工学的手法等を挙げることができる。
【0027】
本複合体取得方法の第三工程において、前記菌体破砕物から前記融合タンパク質を回収するには、市販品であるタギングシステム等のようなアフィニティ−クロマトグラフィ−等を使用することにより、前記精製ドメインと精製用担体との結合性に基づき回収すればよい。必要に応じてさらに、硫酸アンモニウム若しくはエタノ−ル沈殿、酸性抽出、陰イオン若しくは陽イオン交換クロマトグラフィ−、ホスホセルロ−スクロマトグラフィ−、疎水性相互作用クロマトグラフィ−、アフィニティ−クロマトグラフィ−、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ−又はレクチンクロマトグラフィ−等の各種のタンパク質精製方法と組み合わせて精製・回収してもよい。尚、多数の精製・回収のために参考となる文献としては、例えば、Sandana, Bioseparation of Preteins (1997), Academic Press,Inc.; Bollagら, Protein Methods 第2版 (1996), Wiley−Liss, NY; Walker, The Pretein Protocols Handbook (1996), Humana Press, NJ; Harris及びAngal, Protein Purification Applications: A Practical Approach (1990), IRL Press at Oxford, Oxford, England; Harris及びAngal, Protein Purification Methods: A Practical Approach, IRL Press at Oxford, Oxford, England; Scopes, Protein Purification: Principles and Practice 第3版 (1993), Springer Verlag, NY; Janson及びRyden, Protein : Principles, High Resolution Methods and Applycations, 第2版 Purification (1998), Wiley−VCH,NY; 又はWalker, Protein Protocols on CD−ROM (1998), Humana Press, NJ.等を挙げることができる。
【0028】
本複合体取得方法の第四工程において、前記融合タンパク質を(a)精製ドメインと(b)グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインに分離する。本複合体取得方法の第四工程において、プロテアーゼは、プロテアーゼは、例えば、FactorXa Protease (血液凝固因子Xa)、PreScission Protease、スロンビンのようなプロテアーゼ等を挙げることができる。プロテアーゼ切断の条件は、精製ドメインと前記複合体を分離できるものであれはよく、プロテアーゼの種類による。例えば、温度は4℃〜20℃であり、好ましくは4℃である。プロテアーゼの切断に要する時間は、例えば6時間〜48時間であり、好ましくは、10時間〜20時間である。しかしながら、加えるプロテアーゼの量により、融合タンパク質の切断される効率は変化するので、融合タンパク質が、精製ドメインとグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとに分離することができれば、切断に要する時間は厳密ではない。プロテアーゼを添加する溶液の融合タンパク質の濃度は、当該複合体が沈殿を引き起こさない濃度であれば、何ら問題はないが、例えば、0.001mg/ml〜10mg/mlであり、好ましくは0.1mg/ml〜2.0mg/mlである。より好ましくは、0.5mg/〜1.0mg/mlである。
【0029】
本複合体取得方法の第五工程において、前記複合体を回収するには、例えば、硫酸アンモニウム若しくはエタノ−ル沈殿、酸性抽出、陰イオン若しくは陽イオン交換クロマトグラフィ−、ホスホセルロ−スクロマトグラフィ−、疎水性相互作用クロマトグラフィ−、アフィニティ−クロマトグラフィ−、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ−又はレクチンクロマトグラフィ−等の各種のタンパク質精製方法と組み合わせて精製・回収してもよい。尚、多数の精製・回収のために参考となる文献としては、例えば、Sandana, Bioseparation of Preteins (1997), Academic Press,Inc.; Bollagら, Protein Methods 第2版 (1996), Wiley−Liss, NY; Walker, The Pretein Protocols Handbook (1996), Humana Press, NJ; Harris及びAngal, Protein Purification Applications: A Practical Approach (1990), IRL Press at Oxford, Oxford, England; Harris及びAngal, Protein Purification Methods: A Practical Approach, IRL Press at Oxford, Oxford, England; Scopes, Protein Purification: Principles and Practice 第3版 (1993), Springer Verlag, NY; Janson及びRyden, Protein : Principles, High Resolution Methods and Applycations, 第2版 Purification (1998), Wiley−VCH,NY; 又はWalker, Protein Protocols on CD−ROM (1998), Humana Press, NJ.等を挙げることができる。例えば、前記複合体を濃縮し、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて精製してもよいし、陰イオン交換クロマトグラフィーを通過させた後、もしくは、吸着させてさらに精製してもよい。
本複合体取得方法の第五工程において、前記工程により融合タンパク質を切断した溶液について、溶液を置換する方法は、例えば、PD10カラム(アマシャムバイオサイエンス)や透析等を用いてもよい。溶液を置換した後に、市販品であるタギングシステム等のようなアフィニティ−クロマトグラフィ−等の通過物を得ることにより、前記工程で分離した複合体を回収することができる。例えば、陰イオン交換カラム、ゲルろ過クロマトグラフィー等により、更に複合体を精製してもよい。前記複合体を精製した後に、セントリプレップセントリコン、アミコン又はマイクロコン等の濃縮用の装置を用いて濃縮してもよい。
第五工程により得られる前記複合体を回収するには、前記複合体の含まれる溶液をピペットマン等を用いて保存容器内に回収してもよいし、−80℃に保存してもよい。第五工程の各段階において、精製したサンプルを回収して、結晶化処理を施してもよい。
【0030】
本複合体取得方法は、上記工程のうちの特定な工程と関連しながらリガンド接触工程を含むことが重要であり、具体的には、前記破砕工程、前記融合タンパク質の回収工程(第二工程)、又は、前記分離工程において前記融合タンパク質の精製ドメインに存在するプロテアーゼ切断性リンカーをプロテアーゼにより切断する前までの工程において、前記微生物又は細胞或いは前記融合タンパク質とリガンドとを接触させる工程を含む。当該工程の存在により、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体の三次元構造がより安定に保持されることに繋がることになる。
本発明の複合体取得方法は、上記工程において、例えば、前記微生物又は細胞或いは前記融合タンパク質を保持してなる溶液に、リガンドが溶解している溶液を添加することで、自然拡散により接触させることができる。その際のリガンドの終濃度は、例えば0.001pM〜500mMであり、好ましくは、1nM〜200mMであり、より好ましくは、1nM〜100mMである。因みに実施例においては、前記工程における第二工程において、例えば、100μMの濃度で接触させた後、第三工程から第五工程において、前記融合タンパク質とリガンドを、例えば、10μM〜50μMの濃度で接触させればよい。リガンドは、例えば、Dimethyl sulfoxide、メタノールやエタノール等の溶媒に溶解して保存していてもよい。
尚、上記リガンド接触工程を実施する限り、上記の特定な工程以降の次工程はリガンド存在下において実施しても構わない。
【0031】
次に、本発明結晶について説明する。
本発明結晶は、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む六方晶系の結晶であり、空間群がP6に属し、単位格子がa=126.0プラスマイナス4.0オングストローム、b=126.0プラスマイナス4.0オングストローム、c=72.6プラスマイナス4.0オングストローム、α=β=90°、γ=120°であることを特徴とする結晶である。より具体的には例えば、単位格子がa=126.01オングストローム、b=126.01オングストローム、c=72.64オングストローム、α=β=90°、γ=120°である結晶を挙げることができる。また、本発明結晶は、一般的なX線結晶構造解析により、少なくとも2.8オングストロームの分解能で解析することが可能なものが好ましい。
ここで「リガンド」としては、例えば、非ステロイド骨格を有するリガンドを挙げることができる。より好ましくは、非ステロイド骨格を有しかつアゴニスト活性を有するリガンドが挙げられる。具体的には例えば、(1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanolを挙げることができる。
また「グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメイン」としては、例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインを挙げることができる。より具体的には例えば、当該グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインの結合ポケットが、Met560、Leu563、Asn564、Leu566、Gly567、Gln570、Trp600、Met601、Met604、Ala605、Ala607,Leu608、Arg611、Phe623、Met639、Gln642、Met646、Leu732、Typ735、Cys736、Thr739、Phe749及びLeu753を含むアミノ酸残基より構成されるものが挙げられる。
尚、本発明結晶の構成成分としては、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの両構成成分以外に、さらにコアクチベ−タ−ペプチドを構成成分として含有していてもよい。
【0032】
次に、本発明結晶は、下記の結晶取得方法(以下、本結晶取得方法と記すこともある。)によって取得することができる。
本結晶取得方法は、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む結晶の取得方法であって、本複合体取得方法により得られた複合体に結晶化処理を施すことにより得られる結晶を回収する工程を有する。
【0033】
本結晶取得方法において、前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインが、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインであることが好ましい。
【0034】
本結晶取得方法における結晶化処理は、例えば、目的のタンパク質溶液に沈殿剤を添加する操作又は溶媒量を蒸発等により減少させる操作等により、当該タンパク質が溶液状態から非溶解状態になる際に、結晶として析出する性質を利用している。また、結晶化させる条件として、当該タンパク質の種類、状態若しくは濃度、塩濃度、水素イオン濃度(pH)、添加する沈殿剤の種類、温度等の物理的及び化学的な因子が関与している。更には、沈殿剤添加や溶媒量の調整方法としては、例えば、Blundell,T.L.及びJohnson,L.N.,PROTEIN CRYSTALLOGRAPHY,第59−82頁,(1976)Academic Press,New York等に記載されるような、バッチ法、透析法、蒸気拡散法等の処理のための手法(例えば、McPherson, (1982) Preparation and Analysis of Protein Crystals, John Wiley, New York; McPherson, (1990) Eur. J. Biochem. 189;1-23; Weber,(1991) Adv.Protein Chem. 41;1-36参照)を挙げることができる。
蒸気拡散法には、例えば、ハンギングドロップ法、シッティングドロップ法及びオイルバッチ法等があり、好ましくはオイルバッチ法である。当該オイルバッチ法において用いられるオイルとしては、例えば、シリコンオイル、パラフィンオイル、シリコンオイルとパラフィンオイルとを一定の混合比で混合したオイル(好ましくは、シリコンオイルとパラフィンオイルとを1:1の混合比で混合したオイル)等が挙げられる。通常、結晶化スクリ−ニングのプレ−トのWellに分注するオイルの種類及び分注量により、結晶化ドロップの蒸気拡散の速度を調節すればよい。具体的には例えば、オイルの分注量としては10μl〜200μl程度、好ましくは30μl〜60μl程度、さらに好ましくは40μl程度を挙げることができる。
結晶化処理において使用される結晶化プレ−トとしては、72Well、96Well、384Well及び1536Well等のプレ−トを使用すればよいが、結晶化スクリ−ニングに使用できうるプレ−トであれば特にWellの数には制限はない。
結晶化処理において使用される、本発明結晶を生成させるためのリザーバーとしては、例えば、表2記載のものを挙げることができる。
【0035】
【表2】



【0036】
本結晶取得方法において、本複合体取得方法により得られた複合体に結晶化処理を施す際に、必要に応じてグルココルチコイド受容体のコアクチベ−タ−ペプチドを存在下において結晶化処理を施してもよい。
共存させるコアクチベ−タ−ペプチドとしては、例えば、SRC-1 (Onate,S.A.等, Science 270, 1354, (1995))、TIF1 (Le Douarin,B.等, EMBO J, 14, 2020, (1995))、RIP140 (Cavailles,V.等,EMBO J, 14, 3741, (1995))、GRIP170 (Eggert,M.等, J. Biol. Chem, 270, 30755, (1995))、RIP160 (Cavailles,V.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 10009, (1994))、CBP (Kamai,Y.等, Cell, 85, 403, (1996))、GRIP1 (Hong,H.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 4948, (1996))やそのホモログであるTIF2 (Voegel,J.J.等, EMBO J. 15, 3667, (1996))、GRIP120/hnRNP U (Eggert,M.等, J. Biol. Chem, 272, 28471, (1997))、ARA 70 (Yeh,S.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 5517, (1996))、TRIP230 (Chang,K.H.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 9040, (1997))及びACTR/RAC3 (Chen,H.W.等, Cell 90, 569, (1997), Li,H.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 8479, (1997))等を挙げることができる。好ましくは、GRIP1やそのホモログであるTIF2等が挙げられる。
TIF2コアクチベ−タ−ペプチドとしては、例えば、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとデキサメタゾンとの結合に係る3番目のLXXLLモチーフであるNR BOX3を有するペプチドを挙げることができる。ここで「NR BOX3を有するペプチド」としては、具体的には例えば、KENALLRYLLDK、KKKENALLRYLLDKDD、PVSPKKKENALLRYLLDKDDT、QEPVSPKKKENALLRYLLDKDDTKDのアミノ酸配列からなるLXXLLモチ−フを有するアミノ配列からなるものを用いればよい。好ましくは、KENALLRYLLDK(配列番号10)のアミノ酸配列からなるLXXLLモチ−フを有するアミノ配列からなるものを挙げることができる。
尚、本発明における「コアクチベーターペプチド」の開始部位及び終了部位は、必ずしも厳密なものではなく、N末端及び/又はC末端に数残基いずれかの方向にずれたもの、或いは、N末端及び/又はC末端にアミノ酸が付加したもの、或いは、N末端及び/又はC末端にアミノ酸が欠損したものも包含される。つまり、結晶のパッキングという観点から、分子が等間隔に並ぶことが重要であると共に、前記複合体の分子が等間隔に並び、結晶化に適した「コアクチベーターペプチド」が添加されればよい。
【0037】
本結晶取得方法の結晶化処理において準備される「目的のタンパク質溶液」は、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体、必要に応じてさらに、グルココルチコイド受容体のコアクチベ−タ−ペプチド、を含有する溶液であり、当該溶液中のグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体の濃度は、例えば、1mg/ml程度以上であればよく、好ましくは2mg/ml程度以上であり、より好ましくは、4mg/mlである。
上記の結晶化処理において結晶を析出させるために用いられる水溶性物質(即ち、沈殿剤)としては、当該物質を溶液内に添加することにより、当該溶液中のタンパク質の溶解度を減少させ、しかもタンパク質を変性させることなく凝集させ、結晶として析出させることが可能であるような塩類、有機溶媒、高分子化合物等を挙げることができる。
上記の塩類及び有機溶媒の具体的な例としては、例えば、食塩、酢酸アンモニウム、塩化マグネシウム、硫酸アンモニウム、酒石酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、コハク酸等の塩類等を挙げることができる。好ましくは、食塩、ギ酸ナトリウム、酢酸アンモニウム等を挙げることができる。より好ましくは、ギ酸ナトリウム、酢酸アンモニウム等を挙げることができる。
上記高分子化合物の具体的な例としては、例えば、ポリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコールモノエステル等を挙げることができる。好ましくは、平均分子量約1000〜15,000程度のポリエチレングリコ−ル又はポリエチレングリコールモノエステルであり、より好ましくは約6000〜8000程度のポリエチレングリコ−ル又はポリエチレングリコールモノエステルであればよい。特に好ましくは約2000程度のポリエチレングリコールモノエステルであればよい。
このような水溶性物質の溶液内への添加濃度(終濃度として)は、例えば、水溶性物質が塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸アンモニウム、コハク酸又は硫酸アンモニウムである場合には、約0.01M〜約2Mであればよい。好ましくは、約0.1M〜約1Mであればよい。特に好ましくは、塩化ナトリウムの場合には約0.3M程度であればよく、塩化マグネシウムの場合には約0.1M程度であればよく、酢酸アンモニウムの場合には約0.1M程度であればよく、コハク酸の場合には約1M程度であればよく、硫酸アンモニウムの場合には約0.2M程度であればよい。また例えば、水溶性物質がギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物又は酒石酸ナトリウムである場合には、約0.5M〜約4Mであればよい。好ましくは、約1M〜約3Mであればよい。特に好ましくは、ギ酸ナトリウムである場合には約2.5M〜約3Mであればよく、酢酸ナトリウムである場合には約1.5M程度であればよく、酢酸ナトリウム三水和物である場合には約2.8M程度であればよく、酒石酸ナトリウムである場合には約1.1M程度であればよい。また、水溶性物質が高分子化合物である場合には、終濃度約0.1〜50%(W/V)、好ましくは、約0.4%〜0.6%(W/V)であればよい。
また、前記「目的のタンパク質溶液」のpHは、通常、約2〜10程度に保つことがよい。好ましくは約7〜9程度に保つことがよい。当該溶液の温度は、通常、約1〜40℃程度に保つことがよい。好ましくは4〜25℃程度に保つことがよく、より好ましくは4〜20℃程度に保つことがよく、さらに好ましくは4℃程度に保つことがよい。結晶化処理に要する時間は、約1分間〜2ケ月間程度であればよい。
このようにして結晶化処理を施すことにより得られる結晶を回収することにより取得された結晶は、必要に応じて、種結晶としてシ−ティング及び/又はマクロシ−ティングに用いることによって、X線結晶構造解析に適した大きさの結晶にさらに成長させることもできる。
また、前記結晶を重原子の塩を含有した母液に浸透させることにより、重原子で派生した結晶を調製することもできる。このような重原子で派生した結晶は位相解析において有益である。
【0038】
本発明において、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む結晶の原子座標を決定するための手法として用いられる「X線結晶構造解析」の手法は、例えば、タンパク質の三次元構造を誘導し、明らかにするための解析手法として最も一般的に用いられるものである。具体的には例えば、Blundell,T.L.及びJohnson,L.N., PROTEIN CRYSTALLOGRAPHY,1−565頁,(1976) Academic Press, New York等に記載されているような手法であって、タンパク質を結晶化し、その結晶に単色化されたX線を照射することにより、得られるX線の回折像を元に、当該タンパク質の三次元構造を誘導し、明らかにしていくための解析手法である。
【0039】
当該X線構造解析に適した他の条件や技術は、例えば、Glusker,J.,Crystal Structure Analysis for Chemists and Biologists,Wiley−VCH Press(1994)、International Tables for X−Ray Crystallography,第F巻,M.G.Rosssman及びE.Arnold編,Kluwer Academic Publishers(2001)等に記載されるようなものを適用してもよい。具体的には例えば、HKL2000〔Otwinowskiら,Methods Enzymol.276:307−326(1997)〕のSCALEPACKモジュ−ルを使用してデ−タを同型的に測定することもでき、或いは、d*Trek(Rigaku MSC)若しくはSCALA(共同計算プロジェクト(COLLABORATIVE COMPUTATIONAL PROJECT)No.4 「The CCP4 Suite:Programs for Protein Crystallography」〔Acta Cryst.D50,760-763(1994)〕を使用して測定することもできる。そして引き続き行われる全ての計算には、CNXパッケ−ジ(Accelrys, Inc.)を使用すればよい。或いは、CCP4プログラム・パッケ−ジソフト若しくは当業者に周知のソフトウェア・パッケ−ジの組み合わせを用いて原子座標を同定することもできる。
このような解析手法を用いてグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を含む結晶の原子座標を決定し、決定された原子座標からタンパク質の三次元構造を誘導すればよい。
【0040】
本発明結晶の原子座標は、グルココルチコイド受容体の変異体、作動薬剤又は拮抗薬剤を同定、検索、評価又は設計するために用いられる。また、本発明結晶の原子座標に基づいて三次元構造を誘導することにより、前記複合体の全体構造を明らかにすることもできる。
【0041】
本発明結晶から得られる原子座標を、タンパク質の三次元構造を表現するコンピュ−タ−・プログラムが動作するコンピュ−タ−又はそのコンピュ−タ−用記憶媒体に入力することにより、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインの三次元空間的な化学的相互作用性に係る状態を詳細に表現することが可能になる。ここで、「化学的相互作用」とは、例えば、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインと被験化合物分子の間の相互作用エネルギー等を意味するものである。ここで、「相互作用エネルギー」とは、例えば、水素結合、静電相互作用、及びファンデルワールス力等を意味するものである。
コンピュ−タ−用記憶媒体としては、本発明結晶から得られる原子座標に基づいて三次元構造を誘導可能であるコンピュ−タ−・プログラム上に導くことができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、メモリーと呼ばれる電気的な一時記憶媒体でも、フレキシブルディスク、ハ−ドディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は磁気テ−プ等の半永久的な記憶媒体でもよい。
【0042】
タンパク質の三次元構造を表現するコンピュ−タ−・プログラムとしては、例えば、タンパク質等の原子座標の入力手段、当該原子座標のコンピュ−タ−画面への視覚的表現、表現されたタンパク質等内における各原子間の距離や結合角等を測定する手段、当該原子座標の追加修正を行う手段等を提供できるように作成されたプログラムであれば特に制限されるものではないが、更に、タンパク質等の原子座標を元に当該分子の構造エネルギ−を計算する手段、水分子等の溶媒分子を考慮して自由エネルギ−を計算する手段を提供することができるように作成されたプログラムを好ましく挙げることができる。具体的には例えば、コンピュ−タ−・プログラムであるInsightII(Accelrys, Inc.)やQUANTA(Accelrys, Inc.)等を挙げることができる。
尚、このようなコンピュ−タ−・プログラムは、通常、シリコングラフィクス社やサンマイクロシステムズ社等から供給されているワ−クステ−ションと呼ばれるコンピュ−タ−に導入されて使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本発明作動薬剤は、下記のような探索方法により選抜された物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する。このような作動薬剤は、肥満、糖尿病、炎症、炎症性疾患、免疫及び自己免疫疾患等の後出の疾病の治療に特に有用である。
【0044】
本発明は、グルココルチコイド受容体の作動薬剤有効成分となり得る物質の探索方法であって、本発明結晶の原子座標又は当該原子座標に基づいて誘導された三次元構造を有するリガンド結合のためのポケットに被験物質を適用し、当該ポケットに適合する被験物質を選択する工程を有することを特徴とする方法や、下記の
(1)本発明結晶の原子座標が第一記憶手段に入力される工程、
(2)被験物質の原子座標が第二記憶手段に入力される工程、
(3)入力された両者の原子座標に基づき、前記被験物質の原子団の特性と各原子団の距離との組み合わせにより特定される空間配置を安定的に最適化することによるリガンド結合ポケットに結合する被験物質の選択がコンピュ−タ処理手段により行われる工程
を有することを特徴とする方法も含まれている。
当業者は、当該目的に適当なプログラムが作動するように調整されているコンピュ−タ−を用いて、本発明結晶の原子座標を、当該コンピュ−タ−又はその記憶媒体に導入することによって、初めて三次元空間での各原子の配置まで表現された状態を理解することができる。これによって、リガンド結合のためのポケットに結合する被験物質を選択することが可能になるのである。その結果、本発明結晶の原子座標に基づきリード化合物の最適化を行うことができる。
【0045】
リ−ド化合物を実験的に見い出す手法としては、例えば、コンビナトリアル・ライブラリ−として知られている一連の化合物、市販の化合物ライブラリ−、及び、微生物若しくは細胞等の培養物中から、ハイスル−プットスクリ−ニング等の技術により選抜してもよい。得られたリ−ド化合物とグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとの化学的相互作用性に係る評価において、最適ではない化学的相互作用性を有する部位を見い出し、より最適化された化合物を設計すればよい。初期の段階では、正確にリ−ド化合物とグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとの化学的相互作用性に係る情報の詳細を明らかにする方法としては、本結晶取得方法を用いて、前記リ−ド化合物とグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとの複合体を含む結晶を取得し、上述のようなX線結晶構造解析技術の手法を用いて化学的相互作用性に係る情報の詳細を知ることが可能となる。同じ系統の化合物群においては、コンピュ−タ−による視覚的検討及び/又はエネルギ−計算を実施し、比較することにより、リ−ド化合物とグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとの化学的相互作用性に係る情報を理解することもできる。
【0046】
このコンピュ−タ−・プログラム及び同様のプログラムにより利用される一般法としては、例えば、下記3つの応用例を挙げることができる。これら技術の幾つかに関するより詳細な情報は、モレキュラ−・シミュレ−ションのユ−ザ−ガイド(1995)等に記載されている。
当該目的に用られる代表的なコンピュ−タ−・プログラムは、以下の工程からなる。
(a)タンパク質から既存の化合物を除く。
(b)コンピュ−タ−・プログラム(DOCK等)を用いて、被験物質の三次元構造を活性部位にドッキングさせるか、又は、当該物質を化学的相互作用性が高まるように活性部位に移動させることにより、ドッキングさせる。
(c)当該化合物と活性部位原子との間の空間を特徴付ける。
(d)(i)当該化合物と活性部位との間の空の空間に適合し、(ii)当該被験物質に結合し得る分子フラグメントをライブラリ−で探索する。
(e)上で見い出されたフラグメントを当該被験物質に結合し、新たに修飾された化合物を評価する。
尚、工程(c)では、活性部位の原子と当該被験物質との間に形成される幾何学的及び補足的相互作用を特徴付けることが重要である。好適な幾何学的適合は、有意な表面積が不適切な立体相互作用を形成せずに当該被験物質と活性部位原子との間で共有するときに達成される。尚、上記の工程(d)及び(e)を飛ばして、多くの化合物のデ−タベ−スをスクリ−ニングすることもできる。
【0047】
多くの化合物をスクリ−ニングするコンピュータ・プログラムとしては、例えば
(1)GRID(P.J.Goodford,「A Computational Procedure for Determining Energetically Favorable Binding Sites on Biologically Important Macromoecules」,J.Med.Chem.,28,849-857頁(1985))、(Oxford University,Oxford,UKから入手可能);
(2)MCSS(A.Mirankerら、「Functionality Maps of Binding Sites:A Multiple Copy Simultaneous Search Method」、Proteins:Structure,Function and Genetics,11,29-34頁(1991))、(Accelrys, Inc.から入手可能)、;
(3)AUTODOCK(D.S.Goodsellら、「Automated Docking of Substrates to Proteins by Simulated Annealing」、Proteins:Structure,Function,and Genetics,8,195-202頁(1990))、(Scripps Research Institute,La Jolla,CAから入手可能);
(4)DOCK(I.D.Kuntzら、「A Geometric Approach to Macromolecule-Ligand Interactions」、J.Mol.Biol.,161,269-288頁(1982))、(University of California,San Francisco,CAから入手可能);
(5)GOLD (Jones ET al.、 J. Mol. Biol 267:727-748 (1997))、(Cambridge Crystallographic Data Centre(UK)より入手可能);
(6)GLIDE (Eldridge ET al.、 J. Comput. Aided Mol. Des. 11:425-445 (1997))、(Schrodinger(Portland OR) より入手可能);
(7)FlexX(Tripos,Inc.)、(Tripos,Inc.より入手可能);
(8)Flexidock(Tripos,Inc.)、(Tripos,Inc.より入手可能);
(9)GRAMM(Ilya A.Vakser、RockefellerUniv.)、(RockefellerUniv.より入手可能);
を挙げることができる。
【0048】
また使用する被験物質のデ−タベ−スは、
(a)Elsevier MDL
(b)Cambridge Crystallographic Data Centre
(c)Chemical Abstracts Service
(c)The Thomson Corporation
(d)Maybridge
(e)Sigma-Aldrich
等から入手可能である。
【0049】
被験物質の2D構造から3D構造への立ち上げは、例えば
(1)CONCORD (Tripos,Inc)、
(2)Sketcher and Converter (Accelrys, Inc.)
等のコンピュ−タ−・プログラムを挙げることができる。
【0050】
グルココルチコイド受容体の作動薬剤の有効成分の構造ベ−ス設計及び同定は、アッセイスクリ−ニングとの連携で使用することができる。化合物についての大型コンピュ−タ−デ−タベ−ス(約10,000化合物)は時間の問題で検索できるので、コンピュ−タ−をベ−スとする方法は、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインの可能なモジュレ−タ−として細胞アッセイによりテストすべき化合物を狭めることができる。
【0051】
グルココルチコイド受容体の作動薬剤の有効成分を同定するもう一つの方法として、化合物の既存モジュレ−タ−を修飾することである。例えば、モジュレ−タ−のコンピュ−タ−画像をグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインのコンピュ−タ−画像内で修飾することができる。
これらの方法は、例えば、
(1)LUDI (H.-J. Bohm、 J. Comp. Aid. Molec. Design 6:61-78 (1992)、Accelrys, Inc.より入手可能;
(2)LEGEND (Y. Nishibata ET al.、 Tetrahedron 47:8985 (1991)、Accelrys, Inc.より入手可能;
(3)LeapFrog、Tripos, Inc.より入手可能;
(4)SPROUT V. Gillet ET al、 J. Comput. Aided Mol. Design 7:127-153 (1993)、University of Leeds(UK)より入手可能
を挙げることができる。
モジュレ−タ−のコンピュ−タ−画像は、1個又は複数の置換基を削除するか、あるいは1個又は複数の置換基を付加することにより修飾する。化合物に対する各修飾により、修飾化合物及び活性部位の原子がコンホメ−ション内でシフトし、モジュラ−と活性部位原子との間の距離が2つの分子間に形成される補足的な相互作用性と共に評価される。評価は、好適な幾何学的適合及び好適な相互作用が得られるときに完了する。好適な評価を持つ化合物は、グルココルチコイド受容体の潜在的モジュレ−タ−である。
【0052】
構造ベ−スモジュレ−タ−設計の他の方法は、モジュレ−タ−構築又はモジュレ−タ−検索コンピュ−タ−・プログラムにより設計された化合物をスクリ−ニングすることである。この型のコンピュ−タ−・プログラムとしては、例えば、Catalyst(Accelrys, Inc.)、ISIS/HOST(Elsevier MDL)、ISIS/BASE(Elsevier MDL)、ISIS/DRAW(Elsevier MDL)、UNITY (Tripos,Inc)等のコンピューター・プログラムを使用して行うことができる。これらのコンピュ−タ−・プログラムは、化合物とグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとの複合体の三次元構造の活性部位から除去した化合物の構造に基づき操作する。そのような化合物につきプログラムを操作するのは、それが生物学的に活性なコンホメ−ションである故に好ましい。モジュレ−タ−構築コンピュ−タ−・プログラムは、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとの複合体中、置換基のコンピュ−タ−画像をコンピュ−タ−デ−タベ−スからの置換基と置換えるのに使用することが可能なコンピュ−タ−・プログラムである。モジュレ−タ−検索コンピュ−タ−・プログラムは、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインに結合した化合物と類似の三次元構造及び類似の置換基を有するコンピュ−タ−デ−タベ−スからの化合物のコンピュ−タ−画像を検索するのに用いることができるコンピュ−タ−プログラムである。
このようなコンピュ−タ−・プログラムは、以下の一般工程を用いて操作することができる。
(a)水素結合供与体又は受容体、疎水性/親油性、正にイオン化し得る部位、又は負にイオン化し得る部位により等、化学的特徴点により化合物をマップ化する。
(b)幾何学的な拘束をマップ化した特徴点に加える。
(c)(b)で生成したモデルでデ−タベ−スを検索する。
【0053】
コンピュ−タ−ベ−スのモジュレ−タ−設計及び同定の汎用性は、コンピュ−タ−・プログラムにより、スクリ−ニングした構造の多様性にある。コンピュ−タ−・プログラムは、200,000分子を含むデ−タベ−スを検索することが可能であり、多様な化学官能基を持つ酵素とすでに複合体を形成しているモジュレ−タ−を修飾することができる。この化学的多様性の重要性は、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインの機能の潜在的モジュレ−タ−が予測し得ない三次元構造状態を採る可能性があるということである。広範な一連の有機合成技術は、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインが有する機能の潜在的モジュレ−タ−を構築することの挑戦に適う技術にある。これら有機合成法の多くは当業者が利用する標準的な文献類に詳細に記載されている。そのような文献の一例は、アドバンスド・オルガニック・ケミストリ−:反応、メカニズム及び構造、1994年3月、ニュ−ヨ−ク、マグロウヒル、である。このように、コンピュ−タ−ベ−ス法により同定されるグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインの潜在的モジュレ−タ−を合成するのに必要な技術は、有機化学合成の当業者に容易に利用可能である。
【0054】
本発明には、被験物質について、本発明探索方法1又は本発明探索方法2により選択された当該被験物質が有する前記化学的相互作用性の有無又はその程度に係るデ−タ情報を入力・蓄積・管理する手段(以下、手段aと記すこともある。)、前記デ−タ情報を所望の結果を得るための条件に基づき照会・検索する手段(以下、手段bと記すこともある。)、及び、照会・検索された結果を表示・出力する手段(以下、手段cと記すこともある。)を具備することを特徴とするシステムも含まれている。
【0055】
まず、手段aについて説明する。手段aは、前記のとおり、本発明探索方法1又は本発明探索方法2により選択された当該被験物質が有する前記化学的相互作用性の有無又はその程度に係るデ−タ情報を入力した後、入力された当該情報を蓄積・管理する手段である。かかる情報は、入力手段1により入力され、通常記憶手段2に記憶される。入力手段としては、例えばキ−ボ−ド、マウス等の当該情報の入力可能なものが挙げられる。当該情報の入力及び蓄積・管理が完了すれば、次の手段bに進む。尚、当該情報の蓄積・管理には、コンピュ−タ等のハ−ドウェアとOS及びデ−タベ−ス管理等のソフトウエアとを用いて、デ−タ構造を有する情報を入力し、適当な記憶装置、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハ−ドディスク等のコンピュ−タ読取可能な記録媒体に蓄積することにより、大量のデ−タを効率良く蓄積し管理すればよい。
【0056】
手段bについて説明する。手段bは、前記のとおり、手段aにより蓄積・管理された前記デ−タ情報を所望の結果を得るための条件に基づき照会・検索する手段である。かかる情報は、入力手段1により照会・検索のための条件が入力され、通常記憶手段2に記憶された上記情報の中で当該条件に合致したものを選択すれば、次の手段cに進む。選択された結果は、通常、記憶手段2に記憶され、さらに表示・出力手段3により表示可能となっている。
【0057】
手段cについて説明する。手段cは、前記のとおり、照会・検索された結果を表示・出力する手段である。表示・出力手段3としては、例えばディスプレイ、プリンタ等が挙げられ、当該結果をコンピュ−タのディスプレイ装置に表示するか、印刷等により紙上に出力するか等すればよい。

【0058】
本発明には、(1)本発明原子座標の全部又は一部を格納しているコンピュ−タ用記憶媒体、(2)グルココルチコイド受容体の変異体、作動薬剤又は拮抗薬剤を同定、検索、評価又は設計するための、本発明原子座標の全部又は一部、或いは、前コンピュ−タ用記憶媒体の使用、(3)分子置換の手法を用いた結晶構造解析における、本発明原子座標の全部又は一部、或いは、前コンピュ−タ用記憶媒体の使用等も含まれている。
ここで「分子置換」とは、未知の結晶で観察された回折パターンを最もよく説明するように、未知の結晶の単位セルの範囲内で、例えば、プロゲステロン受容体リガンド結合ドメイン(Williams SP.等, Nature, 393, 392, (1998), PDB登録番号1A28)の原子座標等の構造座標が既知である分子を方向決め及び位置決めすることにより、構造座標が未知の結晶の予備的な構造モデルを作製することを含む方法を意味する。まず構造モデルから位相を計算し、観測された振幅と結合させて、座標が未知の構造の近似フーリエ合成を得る。次いで、これに幾つかの形態のリファインメント(refinement)のいずれかを施して、未知の結晶の最終的な正確な構造を提供する(例えば、Lattman, E.,Use of the Rotation and Translation Functions,Methods in Enzymology, 115: 55-77 (1985); Rossman, ed.,The Molecular Replacement Method,Int. Sci. Rev. Ser. No. 13 (Gordon and Breach: New York, 1972等参照)。本発明結晶の構造座標は、分子置換により、共複合結晶、未知リガンド、変異体若しくはホモログの構造座標又はグルココルチコイド受容体の異なる結晶形態の構造座標を決定するために使用され得る。
【0059】
また本発明には、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインと被験物質との化学的相互作用性を、本発明結晶の原子座標又は当該原子座標に基づいて誘導された三次元構造を基準として用いて評価するための、本発明結晶の使用も含まれている。前記グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインが、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインであることが好ましい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
実施例1 (グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体の準備(その1))
ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメイン遺伝子をクロ−ニングし、ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメイン遺伝子(522−777)を配列番号4及び5で示される塩基配列からなるプライマ−(配列番号4:GGTATTGAGGGTCGCCTGGTGCCACGCGGTTCTCCTGCAACGTTACCACAACT、配列番号5:AGAGGAGAGTTAGAGCCTCACTTTTGATGAAACAGAA)を用いてPCRにより増幅した。次いで、得られた増幅DNAをpET32/XaLICベクタ−(Novagen)にクロ−ン化した。クロ−ン化された増幅DNA(即ち、ヒト由来のヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメイン遺伝子)を配列番号6及び7で示される塩基配列からなるプライマ−(配列番号6:ATCATCATCATTCTTCTGGTGGTATGAAAGAAACCGCTGC、配列番号7:GCAGCGGTTTCTTTCATACCACCAGAAGAATGATGATGAT)を用いてクイックチェンジ部位特異的突然変異誘発(QuickChange Site directed mutagenesis)によりpET32/XaLICベクタ−(Novagen)上のスロンビン切断部位(153−156)を削除した。N末端から順にチオレドキシタグ、ポリヒスチジンタグ、スロンビン切断部位を含めるように発現ベクターを構築した。さらに、配列番号8及び9で示される塩基配列からなるプライマー(配列番号8:GCCTGGTGCCACGCGGTTCTCAACTCACCCCTACCCTGGT、配列番号9:ACCAGGGTAGGGGTGAGTTGAGAACCGCGTGGCACCAGGC)を用いてクイックチェンジ部位特異的突然変異誘発(QuickChange Site directed mutagenesis)によりヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメイン遺伝子のN末端が、527番目からとなるようにした(527−777)。当該発現ベクターでF602のSによる置換及びC638のDによる置換をクイックチェンジ部位特異的突然変異誘発(QuickChange Site-Direct Mutagenesis)キット(STRATAGENE)を用いて行った。このようにして得られた発現ベクターを大腸菌(E. coli)菌株BL21(DE3)に形質転換した。
【0062】
ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインをpET32/XaLICベクタ−(Novagen)のT7プロモ−タ−により駆動して融合タンパク質として発現させた。大腸菌BL21(DE3)を、0.5mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドが添加された2xYT培地(組成:16g, tryptone, 10 g yeast extract, 5 g NaCl/L culture)を用いてリガンド非存在下で、15℃で16〜20時間培養した後、遠心分離(7330g, 12min, 4℃)で大腸菌を回収することにより、菌体ペレットを得た。得られた菌体ペレットを−80℃で保存した。
【0063】
実施例2 (ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体の準備(その2))
実施例1で得られた82.4gの菌体ペレットを500mlの50mM Tris−HCl(pH8.0、200mM NaCl、10% Glycerol、10mM β-merchaptoethanol、2M UREA, 40mM imidazoleを含む。)に懸濁した後、これに(1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanolを100μMの濃度となるように添加した。得られた菌混合物をDigital Sonifer S-450D(BRANSON)を用いて超音波処理(レベル5の強度、氷上、20分間)することにより、菌体破砕物を得た。得られた菌体破砕物を遠心分離(38900g, 30min, 4℃)することにより、上清を回収した。
次に、回収された上清を50mM Tris−HCl(pH8.0、200mM NaCl、10% Glycerol、10mM β-merchaptoethanol及び40mM imidazoleを含む。)で平衡化されたニッケルキレート化樹脂上でのクロマトグラフィー(Ni-NTA Superflow 10ml (Quiagen))に供した後、0.04M-0.5Mイミダゾ−ルの勾配溶出により、前記融合タンパク質(約90%純度)を全部で約115mg回収した。回収された融合タンパク質(即ち、チオレドキシン及びポリヒスチジンと融合されてなるヒト由来のヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメイン)のアミノ酸配列を配列番号1に示す。尚、配列番号1における第157番目から第162番目までのアミノ酸配列で示される領域がスロンビン切断部位である。
得られた融合タンパク質をPD−10カラム(アマシャムバイオサイエンス)に供した後、得られた溶液の溶媒を50mM Tris−HCl(pH8.0、200mM NaCl、10% Glycerol、10mM β-merchaptoethanol、50μM (1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanol及び10mM imidazoleを含む。)のリガンド含有緩衝液に置換した。置換後の溶液に、スロンビン(アマシャムバイオサイエンス)を500U添加した後、ニ晩、4℃に放置することにより、前記融合タンパク質中のスロンビン切断部位を開裂させた。得られた開裂物の溶液を、50mM Tris−HCl(pH8.0、200mM NaCl、10% Glycerol、10mM β-merchaptoethanol及び10mM imidazoleを含む。)25mlで平衡化されたニッケルキレート化樹脂上でのクロマトグラフィー(Ni-NTA Superflow 15ml (Quiagen))に供し、フロースルー画分を回収することにより、図2に示すヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体を、約49mg回収した。
回収された複合体の溶液に、終濃度が500mMとなるようにNaCl及び終濃度が0.05%となるようにn-Octyl-beta-D-glucopyranoside(ナカライテスク)を添加した後、Centriprep YM10を用いて約20mlまで濃縮した。濃縮後の前記複合体の溶液を25mM Tris−HCl(pH8.0、10% Glycerol、200 mM NaCl、10mM DTT、0.05% n-Octyl-beta-D-glucopyranoside(ナカライテスク)及び10μM (1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanolを含む。)で平衡化されたSuperdex 75 16/60 prepgradeに供した。前記複合体の溶液を含む画分を約33.3mg回収した。回収された画分をSDS-PAGEに供したところ、前記複合体は、約95%以上の純度であることがわかった。このようにして得られたグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとの複合体の溶液を−80℃で保存した。
【0064】
実施例3 (ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとからなる複合体であって、コアクチベ−タ−ペプチドを含有する複合体を含む結晶の取得)
実施例1で得られたヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンド((1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanol)とからなる複合体に3倍モル量のコアクチベーターペプチド(配列番号10:KENALLRYLLDK)を添加した後、これをCentricon YM10(Amicon)により4mg/mlの濃度まで濃縮した。濃縮後、当該濃縮物を回収することにより、ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとからなる複合体であって、前記コアクチベ−タ−ペプチドを含有する複合体の精製物を得た。
得られた複合体の精製物をマイクロバッチ法に基づいた下記の操作により、結晶化させた。
プレ−トは96穴プレ−ト(コ−ニング)を使用し、40μlのオイルを添加した。オイルはシリコンオイル(HAMPTON RESERCH)とパラフィンオイル(HAMPTON RESERCH)とを1:1で混合したものを用いた。
オイル下で、1.0μlの各種の沈殿剤と1.0μlの実施例2で得られた複合体の精製物とを混合し、これを結晶化サンプルとした。
4℃で約一週間後に、沈殿剤が下記の組成である場合における1つの結晶化ドロップの中から、ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンド((1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanol)とからなる複合体であって、前記コアクチベ−タ−ペプチドを含有する複合体を含む結晶(即ち、本発明結晶)が得られた(図1参照)。さらに当該結晶は上記方法により再現性良く得られることが確認された。
【0065】
<沈殿剤の組成>
組成: 2.5M Sodium formate, 0.1M Ammonium acetate, 0.1M PIPES pH 7.0
【0066】
実施例4 (ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとからなる複合体であって、コアクチベータペプチドを含有する複合体を含む結晶の使用)
実施例3で得られた本発明結晶をナイロン製ル−プ(HAMPTON RESERCH)で掬い、クライオプロテクタントとして30%グリセロ−ルが添加されたリザ−バ−溶液(2.5M Sodium formate, 0.1M Ammonium acetate, 0.1M PIPES pH 7.0)に1〜3秒間浸透させた後、液体窒素により急速冷凍した。急速冷凍後、本発明結晶を液体窒素中で保存した。保存後の本発明結晶を試料として、100K窒素気流下でX線回折強度を振動法に基づいて測定した。当該測定では、波長1.5418オングストロームのX線を用いた。検出器はR−AXIS IV++(リガク)であり、読み取り装置部は、直径300×300mmのイメ−ジングプレ−トであった。カメラ長は200mmであり、露光時間は10分間であった。振動角は0.5度とした。またデ−タ処理及び分析のために、Crystal Clear v 1.3.5 (リガク)を使用した。本発明結晶から得られたX線回折写真を図2に示す。
測定されたX線回折強度を解析した結果、本発明結晶は、空間群がP6に属し、単位格子がa=126.01オングストローム、b=126.01オングストローム、c=72.64オングストローム、α=β=90°、γ=120°である結晶(表3参照)であることが判明した。
【0067】
【表3】



【0068】
実施例5 (ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンドとからなる複合体であって、コアクチベータペプチドを含有する複合体を含む結晶のX線結晶構造解析)
プロゲステロン受容体リガンド結合ドメイン等を用いて分子モデルを構築し、分子置換プログラム(AMORE等((CCP4(Collaborative Computational Project,Number4.Acta Crystallogr. D50, 670-673(1994))の一つ)により、初期構造を決定する。三次元構造の精密化には、QUANTA2000 ver. 00.1110(Accelrys, Inc.)とCNX(Brunger, a. t. et al., 1998)等を用いる。
ヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインのリガンド結合部位に、(1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanolに係る電子密度マップが確認できる。(1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanolを電子密度マップに適合させる。
【0069】
QUANTA2000 ver. 00.1110(Accelrys, Inc.)及びCNX(Brunger,a.t.et al., 1998)等を用いてさらに三次元構造の精密化を実施することにより、本発明結晶の原子座標を決定する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明により、グルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインと非ステロイド骨格を有するリガンドとの複合体を含む結晶等が提供可能となる。さらに当該結晶及びこれから得られる情報等を利用することにより、グルココルチコイド受容体の変異体、作動薬剤又は拮抗薬剤等を同定、検索、評価又は設計するための方法も提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、実施例1で得られたヒトグルココルチコイド受容体リガンド結合ドメインとリガンド((1S)-1-[(4aR,5S)-1-(4-fluorophenyl)-4a-methyl-4,4a,5,6,7,8-hexahydro-1H-benzo[f]indazol-5-yl]-1-(3-thienyl)ethanol)とからなる複合体であって、コアクチベ−タ−ペプチドを含有する複合体を含む結晶(本発明結晶)を示す図(写真)である。
【図2】図2は、本発明結晶から得られたX線回折写真である。
【配列表フリ−テキスト】
【0072】
配列番号4
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ−
配列番号5
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ−
配列番号6
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ−
配列番号7
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ−
配列番号8
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ−
配列番号9
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ−
配列番号10
TIF2コアクチベーターペプチド




 

 


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