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ポリエステル及びその製造方法 - 住友化学株式会社
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発明の名称 ポリエステル及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2087(P2007−2087A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−183394(P2005−183394)
出願日 平成17年6月23日(2005.6.23)
代理人 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
発明者 細田 朋也 / 岡本 敏
要約 課題
高温における長時間の反応が要求されず、熱履歴を少なくできるポリエステルの製造方法であって、芳香族系ポリエステルの合成にも適用できる製造方法を提供すること。

解決手段
フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸とを反応させるポリエステルの製造方法であって、前記反応をマイクロ波照射下で行う製造方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸とを反応させるポリエステルの製造方法であって、
前記反応をマイクロ波照射下で行う製造方法。
【請求項2】
前記アシル化物は、芳香族ジオール及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸のフェノール性水酸基を、脂肪酸無水物でアシル化したアシル化物である、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記芳香族カルボン酸は、芳香族ジカルボン酸及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸である、請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
前記反応は、エステル交換反応である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ポリエステルは、液晶性ポリエステルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ポリエステルは、全芳香族ポリエステルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記反応が、溶融重縮合反応とそれに続く固相重合反応とからなっており、当該固相重合反応のみをマイクロ波照射下で行う請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法により得ることのできるポリエステル。
【請求項9】
フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸との反応により得られるポリエステルの熱安定性向上方法であって、
前記反応をマイクロ波照射下で行う方法。
【請求項10】
前記反応が、溶融重縮合反応とそれに続く固相重合反応とからなっており、当該固相重合反応のみをマイクロ波照射下で行う請求項9記載の方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族環骨格からなる液晶性ポリエステルは、耐熱性及び引張り強度に優れた材料として、近年、電気、電子分野で多用されている。
【0003】
このような液晶性ポリエステルは、例えば、パラヒドロキシ安息香酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸及び/又は4、4’−ヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオールのフェノール性水酸基に、無水酢酸を加えてフェノール性水酸基をアシル化して得られたアシル化物と、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸とをエステル交換反応させて製造されている。
【0004】
しかし、上記製造方法では、エステル交換反応に250℃以上の高温が必要であり反応時間も長時間となるため、種々の改良が図られている。例えば、特許文献1には、アシル化反応時に酢酸ナトリウム等の有機金属化合物を触媒として添加して反応時間を短縮させる方法が開示されており、特許文献2では、アシル化反応時にピリジン等の低沸点の有機化合物を触媒として添加する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平11−246654号公報
【特許文献2】特開平6−1836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記方法を採用した場合であっても液晶性ポリエステルの高温での熱履歴が大きく、熱劣化が生じやすい問題がある。このような熱劣化は、脂肪族系ポリエステルを得る場合に比較して、芳香族系ポリエステルを得る場合において顕著である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、高温における長時間の反応が要求されず、熱履歴の影響を少なくできるポリエステルの製造方法であって、芳香族系ポリエステルの合成にも適用できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸とを反応させるポリエステルの製造方法であって、上記反応をマイクロ波照射下で行う製造方法を提供する。
【0008】
本発明の製造方法においては、マイクロ波照射下でアシル化物と芳香族カルボン酸との反応を行うことから、反応時間を劇的に短縮可能である。したがって、反応温度として高温が必要な場合であっても短時間で反応を終了することができ、熱履歴を少なくできることから、熱劣化の少ないポリエステルを得ることが可能となる。
【0009】
このように反応時間が短縮される理由は必ずしも明らかではないが、原料化合物として用いられるアシル化物や芳香族カルボン酸の多くは電気双極子を持つ極性化合物(誘電体)であり、マイクロ波の照射により、このような極性化合物において誘電緩和に基づく発熱が生じていることが主要因であると推測される。また、マイクロ波は短時間で誘電体中に選択的に浸透する特長を有しており、このために反応速度の向上が可能になっているものと考えられる。
【0010】
通常のポリエステル化反応では反応容器からの外部加熱により原料化合物の昇温を行うが、本発明ではマイクロ波の照射により被加熱物自体を発熱源とすることができる。したがって、本発明のように高温加熱が必要な原料化合物を用いる場合であっても、加熱が過剰になることがなく、熱劣化が有効に防止される。また、異常な発熱が生じてもマイクロ波の照射を止めることにより温度上昇を簡単に防ぐことができ、異常反応の発生が低減される。更に、マイクロ波照射の場合、外部加熱の場合に比較して、反応容器内で反応物の温度差が生じ難いため均質性の高い反応物(ポリエステル)を得ることができる。
【0011】
このように本発明では、特定の原料化合物(フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸)を用いたこと、ポリエステル化の段階でマイクロ波照射により反応を促進させたこととが相俟って、上述したような種々の効果が得られる。
【0012】
本発明で用いるアシル化物は、芳香族ジオール及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸のフェノール性水酸基を、脂肪酸無水物でアシル化したアシル化物であるとよく、芳香族カルボン酸は、芳香族ジカルボン酸及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸であるとよい。このような原料化合物は反応のために特に高温が必要とされ、従来の製造方法では熱劣化が不可避であった。しかしながら、本発明の方法を適用することで、このような問題の回避が可能となる。
【0013】
本発明では、マイクロ波照射下でエステル交換反応を生じさせることが好ましい。また、生成するポリエステルを、液晶性ポリエステル及び/又は全芳香族ポリエステルとすることが好ましい。本発明の方法によればエステル交換反応を特に有効に短時間化でき、熱劣化のない液晶性ポリエステルや全芳香族ポリエステルを容易に得ることができる。
【0014】
フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸との反応は、溶融重縮合反応とそれに続く固相重合反応とからなっていてもよく、この場合、当該固相重合反応のみをマイクロ波照射下で行うことが好適である。反応が溶融重縮合反応と固相重合反応からなる場合、前者の反応によりある程度の高分子量化がなされ、後者の反応によりポリエステルの高分子量化が更に進むため、分子量の大きいポリエステルを得ることができる。従来の製造方法により分子量の大きいポリエステルの加熱を継続すると、分解反応が生じてしまうのに対して、固相重合反応時にマイクロ波を照射する本発明の方法では、反応物を高温に加熱した場合でも反応時間を短縮させることができる。このため、高分子量であるのみならず熱劣化が少ないポリエステルを得ることができる。
【0015】
上述した方法により得られるポリエステルは、従来の製造方法で得た場合に比べて流動開始温度が高い等、熱劣化が十分に防止されたものであり、高い性能が要求される電気・電子等の用途にも十分適用可能となる。
【0016】
上記本発明の製造方法は、フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸との反応により得られるポリエステルの熱安定性向上方法であって、上記反応をマイクロ波照射下で行う方法、として捉えることもできる。この場合において、フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸との反応を、溶融重縮合反応とそれに続く固相重合反応とから構成させ、固相重合反応のみをマイクロ波照射下で行うと、熱安定性を特に向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
高温における長時間の反応が要求されず、熱履歴を少なくできるポリエステルの製造方法であって、芳香族系ポリエステルの合成にも適用できる製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明において使用する原料化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸がある。
【0019】
フェノール性水酸基を有する化合物は、フェノール性水酸基を1つ有していても2つ以上有していてもよいが、反応性の観点からフェノール性水酸基を1つ又は2つ有することが好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物がフェノール性水酸基を1つのみ有する場合、カルボキシル基を更に1つ有していることが好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸が特に好ましい。
【0020】
芳香族ジオールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、アセトキシハイドロキノン、ニトロハイドロキノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホンが挙げられる。これらは単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0021】
これらの中で、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、又は、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホンは、入手が容易であるため好ましく使用される。
【0022】
芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸、メタヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−カルボキシジフェニルエ−テル、2,6−ジクロロ−パラヒドロキシ安息香酸、2−クロロ−パラヒドロキシ安息香酸、2,6−ジフルオロ−パラヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸が挙げられる。これらは単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】
これらの中で、パラヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の入手が容易であるため好ましく使用される。
【0024】
以上説明したフェノール性水酸基を有する化合物をアシル化するとアシル化物が得られる。アシル化物としてはアセチル化物が例示できるが、これに限定されない。
【0025】
アシル化は、フェノール性水酸基を有する化合物とアシル化剤とを反応させて得ることができる。アシル化剤としては、アシル無水物又はハロゲン化物が代表的である。アシル化剤中のアシル基は、アルカン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピバル酸等)等の脂肪族カルボン酸、パルミチン酸等の高級アルカン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸、フェニル酢酸等のアリール脂肪酸、から誘導することができる。
【0026】
アシル化剤としては脂肪酸無水物が特に好ましく、脂肪酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸が挙げられる。これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく使用され、無水酢酸がより好ましく使用される。
【0027】
芳香族ジオール及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸におけるフェノール性水酸基に対する脂肪酸無水物の使用量は、1.0〜1.2倍当量であると好ましい。脂肪酸無水物の使用量が、該フェノール性水酸基に対して1.0倍当量未満の場合には、アシル化反応時の平衡が脂肪酸無水物側にずれて、ポリエステルへの重合時に未反応の芳香族ジオール又は芳香族ジカルボン酸が昇華し、反応系が閉塞する傾向がある。一方、1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶性ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
【0028】
アシル化は、130〜180℃で15分〜20時間反応させて行うことが好ましく、140〜160℃で30分〜5時間反応させることがより好ましい。
【0029】
また、アシル化反応は触媒存在下及び/又はマイクロ波照射下で実施することが反応時間を短縮させる観点から好ましい。このような触媒は、通常、アシル化時に共存させ、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、触媒を除去しないまま芳香族カルボン酸とのエステル交換反応を行うことができ、反応操作を煩雑化することも極めて少ない。
【0030】
触媒としては、N,N−ジメチルアミノピリジンや1−メチルイミダゾ−ル等の窒素原子を2個以上含む複素環状有機塩基化合物が好ましく使用される。窒素原子を2原子以上含む複素環状有機塩基化合物としては、式(1)で表されるイミダゾール化合物が特に有用である。
【0031】
【化1】



(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシメチル基、シアノ基、炭素数1〜4のシアノアルキル基、炭素数1〜4のシアノアルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1〜4のアミノアルキル基、炭素数1〜4のアミノアルコキシ基、フェニル基、ベンジル基、フェニルプロピル基又はホルミル基を表す。)
【0032】
本発明において、上述したアシル化物と反応させる試薬は芳香族カルボン酸である。芳香族カルボン酸としては、カルボキシル基を1つ有するものでも2つ以上有するものでもよいが、良好な反応性を得る観点から、カルボキシル基を1つ又は2つ有するものが好ましい。芳香族カルボン酸がカルボキシル基を1つのみ有する場合は、水酸基を更に1つ有していることが好ましい。芳香族カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸又は芳香族ヒドロキシカルボン酸が特に好ましい。
【0033】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸、ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルケトン−4,4’−ジカルボン酸、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジカルボン酸が挙げられる。これらは単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0034】
これらの中で、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、又は、2,6−ナフタレンジカルボン酸が、入手が容易であるため好ましく使用される。なお、本実施形態においては、耐熱性及び耐衝撃性をバランス良く両立させる観点から、フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物及び芳香族カルボン酸の全量中、少なくとも5モル%以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸を含有させることが好ましい。
【0035】
本実施形態においては、フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸とを、マイクロ波照射下で反応させる。この反応は、好ましくはエステル交換反応であり、かかるエステル交換反応は、溶融状態で液晶性ポリエステルを得る反応(溶融重縮合反応)と、溶融状態で得られた液晶性ポリエステルを固相状態で熱を加えて重合を進め、高重合度のポリエステルを得る反応(固相重合反応)との双方を含むことがより好ましい。
【0036】
溶融状態でのエステル交換反応をマイクロ波照射下で実施する反応(溶融重縮合反応)については以下の通りである。すなわち、溶融重縮合反応は、マイクロ波照射下で室温から350℃の範囲で、0.1〜50℃/分の割合で昇温させながら実施することが好ましく、室温から350℃の範囲で、0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら実施することがより好ましい。エステル交換反応において高温でマイクロ波を照射することで、ポリエステルの製造の大幅な時間短縮が実現できるが、反応温度が350℃以上であると、ポリエステルの熱劣化が促進されるおそれがあるため、望ましくない。
【0037】
脂肪酸無水物でアシル化したアシル化物と芳香族カルボン酸とをエステル交換反応させる際には、生成物の生成が有利となるように平衡をずらすため、副生する脂肪酸や未反応の脂肪酸無水物は、反応中に蒸発させて系外へ留去することが好ましい。この場合、留出する脂肪酸の一部を還流させて反応器に戻すことによって、脂肪酸と同伴して蒸発又は昇華した原料等を凝縮又は逆昇華させ、反応器に戻すこともできる。こうすれば、例えば、析出したカルボン酸を脂肪酸とともに反応器に戻すことが可能である。
【0038】
エステル交換反応においては、マイクロ波の照射とともに触媒を併用することがより好ましい。これにより、反応時間を更に短縮することができる。この場合、使用する触媒としては、上述した式(1)で表されるイミダゾール化合物が好ましく、N,N−ジメチルアミノピリジン、1−メチルイミダゾール等の窒素原子を2個以上含む複素環状有機塩基化合物が特に好ましい。
【0039】
また、溶融状態で得られたポリエステルを固相状態で熱を加えて重合を進めて高重合度の液晶性ポリエステルを得る反応(固相重合反応)については以下の通りである。
【0040】
高分子量を有するポリエステルを得るためには、必要に応じて、溶融状態で得られたポリエステル(以下「プレポリマー」と呼ぶ。)について固相状態で熱を加えることにより重合を進めることができる。この固相重合においても、反応はエステル交換で進行することから、溶融重縮合反応と同様に、マイクロ波を照射することで固相重合時間を大幅に短縮することができる。プレポリマーをマイクロ波照射下で固相重合させるためには、得られたプレポリマーを粉末又はペレットとして、加熱すればよい。
【0041】
ここで、本実施形態におけるマイクロ波及びマイクロ波照射装置について説明する。「マイクロ波」は、30GHz〜300MHzの周波数(従って、波長が1cm〜1mに相当する。)を有する電磁スペクトルの領域の電磁波をいう。マイクロ波の種類としては通常2.45GHzが一般的に使用されるが、その周波数は特に限定されるものではない。また所要電力も特に限定されるものではなく、原料化合物の誘電特性、原料化合物の質量、供給量及びシステム効率にしたがって適宜選択する。本実施形態の方法では、従来のマイクロ波設備を使用することができる。
【0042】
大型のマイクロ波設備を使用する場合は、上部に石英ガラス又は耐熱ガラスの窓を設け、そこにマイクロ波の発振部を取り付けて反応器内にマイクロ波を照射してもよい。発振部への熱の影響が好ましくない時は、反応器から離して設置した発振部から金属の導管を通してマイクロ波を導くこともできる。マイクロ波の照射は、不活性雰囲気、例えば、窒素雰囲気下で行ってもよい。
【0043】
本発明の方法によりポリエステルが生じるが、このようにして得られるポリエステルとしては、光学的異方性を有する溶融相を形成し得る、芳香族環骨格からなる液晶性ポリエステルが好ましい。
【0044】
このような液晶性ポリエステルの特性は流動開始温度を測定することにより評価できる。ここで、流動開始温度とは、内径1mm、長さ10mmのダイスを取付けた毛細管型レオメーターを用い、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下において昇温速度4℃/分で液晶性ポリエステルをノズルから押出す場合に、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)を示すときの温度である。液晶性ポリエステルの流動開始温度は260〜400℃の範囲であることが耐熱性の向上という観点から好ましく、特に270〜390℃以下であれば耐熱性が高くかつ成形時のポリマーの分解劣化が抑えられるため好ましい。
【0045】
なお、以上説明した実施形態では、フェノール性水酸基を有する化合物のアシル化物と芳香族カルボン酸との反応(エステル交換反応)において、溶融重合反応と固相重合反応との両方でマイクロ波の照射を行ったが、これに限定されない。すなわち、溶融重合反応のみ、又は、固相重合反応のみをマイクロ波の照射下で行ってもよい。通常、加熱による固相重合反応においては、長時間の加熱によりポリエステルの分解が生じるおそれがあるが、マイクロ波照射によれば反応時間の短縮が可能であり、このような不都合を低減できる。したがって、マイクロ波の照射は、特に、固相重合反応で行うことが好ましい。
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸を911g(6.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを409g(2.2モル)、イソフタル酸を91g(0.55モル)、テレフタル酸を274g(1.65モル)、無水酢酸を1235g(12.1モル)仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、反応器内の混合物に、触媒として1−メチルイミダゾールを0.17g添加して、反応液を得た。得られた反応液を、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持したまま1時間還流させた。
【0048】
次いで、反応液から留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、2時間50分で320℃まで上昇する条件で昇温して、原料を重縮合させた。この昇温の間、反応液のトルクを監視し、トルクの上昇が認められた時点を反応終了と見なし、その時点の反応液から重縮合により生成したプレポリマーを取り出した。以上が「溶融重縮合反応」に相当する。なお、得られたプレポリマーの流動開始温度は255℃であった。その後、このプレポリマーを室温まで冷却した後、粗粉砕機で粉砕して、プレポリマーの粉末(粒子径は約0.1mm〜約1mm)を得た。
【0049】
それから、上記で得られたプレポリマーの粉末20gに対し、周波出力1700Wのマイクロ波を、室温の状態(約25℃)から5分間照射した。マイクロ波の照射は、業務用電子レンジNE−170(松下電器産業株式会社製、発振周波数2.45GHz)を用いて行った。こうして粉末状のプレポリマーを更に重合させて、芳香族液晶ポリエステルを得た。以上が「固相重合反応」に相当する。なお、この芳香族液晶ポリエステルの流動開始温度は280℃であった。
【0050】
(比較例1)
まず、実施例1と同様にして流動開始温度が255℃であるプレポリマーを得た。次いで、このプレポリマーの粉末20gを、イナートオーブンを用いて25℃から250℃まで5分かけて昇温した後(固相重合)、冷却して、芳香族液晶ポリエステル粉末を得た。この粉末の流動開始温度は255℃であった。
【0051】
(比較例2)
まず、実施例1と同様にして流動開始温度は255℃のプレポリマーを得た。このプレポリマーの粉末20gをイナートオーブンを用いて25℃から250℃まで1時間かけて昇温し、更に同温度で3時間保温させた後(固相重合)、冷却して、芳香族液晶ポリエステル粉末を得た。この粉末の流動開始温度は278℃であった。




 

 


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