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発明の名称 3−5族窒化物半導体積層基板、3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法、及び半導体素子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1855(P2007−1855A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2006−146071(P2006−146071)
出願日 平成18年5月26日(2006.5.26)
代理人 【識別番号】100077540
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 昌俊
発明者 上田 和正 / 西川 直宏 / 土田 良彦
要約 課題
複雑な工程を必要とせず、高品質の3−5族窒化物半導体積層基板、3−5族窒化物半導体自立基板及び高性能の半導体素子を容易に得ること。

解決手段
下地基板11上に無機粒子13を用いて選択成長により形成された3−5族窒化物半導体結晶14を備えて成る3−5族窒化物半導体積層基板1において、下地基板11と無機粒子13との間に3−5族窒化物半導体結晶14より結晶性の低い半導体層12を設ける。下地基板11の上に3−5族窒化物半導体結晶14より結晶性の低い半導体層12を形成し、半導体層12上に無機粒子13を形成してから選択成長によって3−5族窒化物半導体結晶14を形成した後、半導体層12において下地基板11を分離することにより、3−5族窒化物半導体自立基板を製造することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
3−5族窒化物半導体積層基板において、
下地基板と、
該下地基板上に設けられた無機粒子を用いて選択成長により形成された3−5族窒化物半導体結晶と、
前記下地基板と前記無機粒子との間に設けられた前記3−5族窒化物半導体結晶より結晶性の低い半導体層と
を備えて成ることを特徴とする3−5族窒化物半導体積層基板。
【請求項2】
前記結晶性の低い半導体層内に空隙を有する請求項1記載の3−5族窒化物半導体積層基板。
【請求項3】
前記無機粒子が、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、CrO2 、W、Re、Mo、Cr、Co、Si、Au、Zr、Ta、Ti、Nb、Ni、Pt、V、Hf、Pd、BN、及び、W、Re、Mo、Cr、Si、Zr、Ta、Ti、Nb、V、Hf、Feの窒化物から選ばれる少なくとも1種類の材料からなる請求項1、2又は3記載の3−5族窒化物半導体積層基板。
【請求項4】
前記結晶性の低い半導体層が、400℃〜700℃で成長されてなるInxGayAlzN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)バッファ層である請求項1、2又は3記載の3−5族窒化物半導体積層基板。
【請求項5】
前記結晶性の低い半導体層の膜厚が1nm以上200nm以下である請求項1、2、3又は4記載の3−5族窒化物半導体積層基板。
【請求項6】
下地基板上に3−5族窒化物半導体結晶を選択成長させて3−5族窒化物半導体自立基板を製造するための方法であって、
前記下地基板の上に前記3−5族窒化物半導体結晶より結晶性の低い半導体層を形成する工程と、
該半導体層上に無機粒子を形成してから選択成長によって前記3−5族窒化物半導体結晶を成長する工程と、
前記半導体層において前記3−5族窒化物半導体結晶と前記下地基板とを分離する工程と
を含むことを特徴とする3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法。
【請求項7】
前記分離する工程が、応力を加えて機械的に前記下地基板を剥離する工程を含む請求項6記載の3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法。
【請求項8】
前記分離する工程が、前記3−5族窒化物半導体結晶の成長後前記無機粒子材料及び又は前記結晶性の低い半導体層を化学的にエッチングする工程を含む請求項6記載の3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法。
【請求項9】
前記結晶性の低い半導体層を1nm以上200nm以下の膜厚とする請求項6、7又は8記載の3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法。
【請求項10】
下地基板上に3−5族窒化物半導体結晶を選択成長させて3−5族窒化物半導体自立基板を製造するための方法であって、
前記下地基板の上に前記3−5族窒化物半導体結晶より結晶性の低い半導体層を形成する工程と、
該半導体層上に前記無機粒子を形成してから選択成長によって前記3−5族窒化物半導体結晶を成長する工程と、
前記下地基板と前記3−5族窒化物半導体結晶との間において前記3−5族窒化物半導体結晶と前記下地基板とを分離する工程と
を含むことを特徴とする3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法。
【請求項11】
前記分離する工程が、前記3−5族窒化物半導体結晶を成長した後、雰囲気温度を降下させることによって前記下地基板を剥離する工程を含む請求項10記載の3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法。
【請求項12】
前記結晶性の低い半導体層を1nm以上200nm以下の膜厚とする請求項10又は11記載の3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法。
【請求項13】
請求項6、7、8、9、10、11又は12記載の製造方法により製造された3−5族窒化物半導体自立基板。
【請求項14】
請求項1、2、3、4又は5記載の3−5族窒化物半導体積層基板を用いた半導体素子。
【請求項15】
請求項13記載の3−5族窒化物半導体自立基板を用いた半導体素子。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−5族窒化物半導体積層基板、3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法、及び半導体素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3−5族窒化物半導体は、各種表示装置用として用いられている半導体素子の製造に用いられている。例えば、紫外もしくは青色の発光ダイオードやレーザダイオード等の発光素子や高出力又は高周波の電子素子の材料として、一般式Inx Gay Alz N(ただし、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表される化合物半導体(以下、3−5族窒化物半導体と略称する)が知られている。
【0003】
ところで、サファイアなどの基板上に、該3−5族窒化物半導体発光素子を形成する手法がよく知られているが、サファイアなど3−5族窒化物半導体とは異なる材料の基板を用いる場合、基板と3−5族窒化物半導体とは格子定数や熱膨張係数が異なるため、3−5族窒化物半導体のエピタキシャル成長後に高密度の転位が発生したり、基板に反りが生じて最悪の場合には割れの原因となる等の問題がある。このため、3−5族窒化物半導体基板上に、n型3−5族窒化物半導体層と、活性層としての3−5族窒化物半導体層と、p型3−5族窒化物半導体層とを有するダブルへテロ構造の3−5族窒化物半導体が提案されている。この半導体は低転位の3−5族窒化物半導体基板上に成長しているため、結晶性がよく、発光特性の劣化が抑えられた発光素子を与えることが開示されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、現在は3−5族窒化物半導体のバルク基板を工業的に安価に得ることはできない。
【0004】
このため、サファイア基板上に一旦3−5族窒化物半導体を成長した後、その上にSiO2 マスクを用いた選択成長を行うことにより結晶性の高い基板を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
また、サファイアなどの下地基板上に3−5族窒化物半導体を成長させ、その下地基板から独立した3−5族窒化物半導体を得る方法が提案されている。例えば、特許文献3には、下地基板上に一旦GaNを成長させ、その上にSiO2 ストライプを形成してから再度GaNを成長し、しかる後、SiO2 ストライプまで部分的にエッチングを行ってトレンチ構造を形成し、さらにGaNをその上に形成して表面を平坦化した後、トレンチ構造にエッチング液を導入してSiO2 ストライプをエッチングし、基板とGaN層を分離する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2000−223743号公報
【特許文献2】特開2002−170778号公報
【特許文献3】特開2001−53056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2による方法で、サファイア基板上に結晶性の高い3−5族窒化物半導体であるGaNを形成するためには、サファイア基板上に低温バッファ層を形成後、1000℃以上の高温でGaNを形成するいわゆる2段階成長方法を行い、該3−5族半導体積層基板を一旦半導体結晶成長装置から取り出し、該3−5族窒化物半導体層上にSiO2 ストライプマスクを形成し、再度半導体結晶成長装置に入れ、1000℃以上の高温において3−5族窒化物半導体を形成する必要がある。このように特許文献2に記載されている方法によれば、1000℃以上の高温が必要な結晶成長を長時間にわたって2回行わなくてはならない。また、特許文献3による方法を用いて、3−5族窒化物半導体基板を得るためには、レジスト露光等の工程を必要とするフォトリソグラフィー技術を用いてトレンチ構造を加工し、さらに、長時間かつ1000℃以上の高温でGaN結晶成長を3回に分けて形成することが必要なため、特許文献2及び3による方法では、コスト高で長い処理時間を要するという問題点を有している。したがって、安価で高性能の3−5族窒化物半導体発光素子を作ることができなかった。
【0007】
本発明の目的は、従来技術における上述の問題点を解決することができる3−5族窒化物半導体積層基板、3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法、及び半導体素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、3−5族窒化物半導体を成長させる基板(以下、下地基板と称する)上に高品質の3−5族窒化物半導体を積層した3−5族窒化物半導体積層基板(以下、3−5族窒化物半導体積層基板と略記する)を製造する方法について鋭意検討した結果、下地基板上に結晶性の低い層を先ず形成し、その上に無機粒子を配置後、3−5族窒化物半導体を形成することにより、容易に高品質の3−5族窒化物半導体層が得られるだけでなく、該3−5族窒化物半導体層が下地基板から剥がれやすくなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
請求項1の発明によれば、3−5族窒化物半導体積層基板において、下地基板と、該下地基板上に設けられた無機粒子を用いて選択成長により形成された3−5族窒化物半導体結晶と、前記下地基板と前記無機粒子との間に設けられた前記3−5族窒化物半導体結晶より結晶性の低い半導体層とを備えて成ることを特徴とする3−5族窒化物半導体積層基板が提案される。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、前記結晶性の低い半導体層内に空隙を有する3−5族窒化物半導体積層基板が提案される。
【0011】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明において、前記無機粒子が、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、CrO2 、W、Re、Mo、Cr、Co、Si、Au、Zr、Ta、Ti、Nb、Ni、Pt、V、Hf、Pd、BN、及び、W、Re、Mo、Cr、Si、Zr、Ta、Ti、Nb、V、Hf、Feの窒化物から選ばれる少なくとも1種類の材料からなる3−5族窒化物半導体積層基板が提案される。
【0012】
請求項4の発明によれば、請求項1、2又は3の発明において、前記結晶性の低い半導体層が、400℃〜700℃で成長されてなるInx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)バッファ層である3−5族窒化物半導体積層基板が提案される。
【0013】
請求項5の発明によれば、請求項1、2、3又は4の発明において、前記結晶性の低い半導体層の膜厚が1nm以上200nm以下である3−5族窒化物半導体積層基板が提案される。
【0014】
請求項6の発明によれば、下地基板上に3−5族窒化物半導体結晶を選択成長させて3−5族窒化物半導体自立基板を製造するための方法であって、前記下地基板の上に前記3−5族窒化物半導体結晶より結晶性の低い半導体層を形成する工程と、該半導体層上に無機粒子を形成してから選択成長によって前記3−5族窒化物半導体結晶を成長する工程と、前記半導体層において前記3−5族窒化物半導体結晶と前記下地基板とを分離する工程とを含むことを特徴とする3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法が提案される。
【0015】
請求項7の発明によれば、請求項6の発明において、前記分離する工程が、応力を加えて機械的に前記下地基板を剥離する工程を含む3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法が提案される。
【0016】
請求項8の発明によれば、請求項6の発明において、前記分離する工程が、前記3−5族窒化物半導体結晶の成長後前記無機粒子材料及び又は前記結晶性の低い半導体層を化学的にエッチングする工程を含む3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法が提案される。
【0017】
請求項9の発明によれば、請求項6、7又は8の発明において、前記結晶性の低い半導体層を1nm以上200nm以下の膜厚とする3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法が提案される。
【0018】
請求項10の発明によれば、下地基板上に3−5族窒化物半導体結晶を選択成長させて3−5族窒化物半導体自立基板を製造するための方法であって、前記下地基板の上に前記3−5族窒化物半導体結晶より結晶性の低い半導体層を形成する工程と、該半導体層上に前記無機粒子を形成してから選択成長によって前記3−5族窒化物半導体結晶を成長する工程と、前記下地基板と前記3−5族窒化物半導体結晶との間において前記3−5族窒化物半導体結晶と前記下地基板とを分離する工程とを含むことを特徴とする3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法が提案される。
【0019】
請求項11の発明によれば、請求項10記載の発明において、前記分離する工程が、前記3−5族窒化物半導体結晶を成長した後、雰囲気温度を降下させることによって前記下地基板を剥離する工程を含む3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法が提案される。
【0020】
請求項12の発明によれば、請求項10又は11記載の発明において、前記結晶性の低い半導体層を1nm以上200nm以下の膜厚とする3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法が提案される。
【0021】
請求項13の発明によれば、請求項6、7、8、9、10、11又は12の発明により製造された3−5族窒化物半導体自立基板が提案される。
【0022】
請求項14の発明によれば、請求項1、2、3、4又は5の発明による3−5族窒化物半導体積層基板を用いた半導体素子が提案される。
【0023】
請求項15の発明によれば、請求項13の発明による半導体自立基板を用いた半導体素子が提案される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複雑な工程を必要とせず、高品質の3−5族窒化物半導体積層基板、3−5族窒化物半導体自立基板及び高性能の半導体素子を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例につき詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明による3−5族窒化物半導体積層基板の実施形態の一例を示す層構造図である。3−5族窒化物半導体積層基板1は、サファイア等の材料から成る下地基板11上に、半導体層12、無機粒子13、3−5族窒化物半導体結晶14をこの順序に形成したものである。無機粒子13は3−5族窒化物半導体結晶14を下地基板11上に選択成長させるために設けられたもので、これにより結晶性の良好な3−5族窒化物半導体結晶14を下地基板11上に形成することができる。
【0027】
下地基板11上に設けられた無機粒子13を用いて選択成長により形成された3−5族窒化物半導体結晶14の結晶性をより改善すると共に、図1に示される3−5族窒化物半導体積層基板1から3−5族窒化物半導体結晶14を容易に分離して3−5族窒化物半導体結晶14を主体とした3−5族窒化物半導体自立基板を得る目的で、半導体層12が設けられている。半導体層12は、3−5族窒化物半導体結晶14に比べて結晶性の低い状態のものとして形成されている。ここでは、半導体層12はバッファ層として設けられている。
【0028】
半導体層12の結晶性が低いため、半導体層12内には、3−5族窒化物半導体結晶14の形成工程での加熱により生じた多数の空隙12Aが形成されている。これらの空隙12Aは無機粒子13と下地基板11とに挟まれた領域に多発する傾向を生じる。
【0029】
このような目的で設けられる半導体層12(以下、低結晶性半導体層12ということがある)の所要の機能を充分に果たすことができるようにするため、その材料はInx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)から成るのが好ましい。また、その成長温度は、400℃〜700℃の範囲であるのが好ましい。すなわち、低結晶性半導体層12は低温バッファ層として形成されるのが好ましい。
【0030】
この空隙12Aは低結晶性半導体層12の機械的強度を低下させるので、低結晶性半導体層12に小さな機械的歪力が生じる何らかの工夫をすることにより、下地基板11と3−5族窒化物半導体結晶14とを容易に分離させ、3−5族窒化物半導体結晶14を主体とした3−5族窒化物半導体自立基板を容易に得ることができる。
【0031】
3−5族窒化物半導体結晶14の表面14A上には、さらに、3−5族窒化物半導体による公知の構成の発光素子機能を有する半導体層15が形成されており、これにより、3−5族窒化物半導体積層基板1は3−5族窒化物半導体発光素子用基板となっている。この発光素子機能を有する半導体層15は、例えば発光層をp型層とn型層とで挟んだ、いわゆるダブルヘテロ構造とすることができる。
【0032】
したがって、図1に示される3−5族窒化物半導体積層基板1を用い、電極16、17を取り付けることで、図2に示されるような半導体発光素子を得ることができる。なお、図2では3−5族窒化物半導体結晶14がn型の伝導性を持ち、下地基板11を分離、除去した状態となっている。この場合、3−5族窒化物半導体結晶14が無機粒子13を含んでいることにより該半導体発光素子の発光特性の改善(輝度の向上)に役立つ。
【0033】
次に、図3を参照して、本発明による3−5族窒化物半導体積層基板及び3−5族窒化物半導体自立基板の製造方法の一実施形態について説明する。図3は、図1に示した層構造を有する基板の場合を例にとってその製造工程の一実施形態を示したものである。
【0034】
ここで用いることができる該3−5族窒化物半導体のエピタキシャル成長方法としては、種々の公知方法を挙げることができる。例えば、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、分子線成長法(MBE法)、あるいは有機金属気相成長法(MOVPE法)を単独で用いることもでき、また、単一の半導体基板において、それを構成する複数の半導体層の各層毎にこれらを適宜適用して組み合わせて用いることもできる。以下の説明においては、MOVPE法及びHVPE法を採用した場合について説明するが、本発明で用いる3−5族窒化物半導体のエピタキシャル成長方法がこれらに限定されるものではない。
【0035】
先ず、図3(a)に示すように、下地基板11を用意する。下地基板11は、高品質な3−5族窒化物半導体を得るための成長条件において安定な材料であることが好ましい。具体的には、サファイア、SiC、Si等を用いることができる。特にサファイアは、SiCやSiと比較して、該化合物半導体の結晶成長後の応力によるクラックの発生が少なく、本発明に好適に用いることができる。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、下地基板11の上に低結晶性半導体層12を成長する。ここでは、低結晶性半導体層12は3−5族窒化物半導体によるバッファ層である。低結晶性半導体層12は、Inx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で示される低温バッファ層とするのが好ましい。この場合、低結晶性半導体層12の膜厚が薄すぎると、結晶成長の核となる結晶が後の工程で3−5族窒化物半導体結晶14を高温で形成する際にエッチングにより蒸発し、3−5族窒化物半導体結晶14の結晶品質が低下する。また、低結晶性半導体層12の膜厚が厚すぎると、結晶成長の核となる結晶が多くなるため、3−5族窒化物半導体結晶14の結晶品質が低下する。したがって、低結晶性半導体層12の膜厚としては、1nm以上200nm以下が好ましく、10nm以上100nm以下がさらに好ましく、10nm以上50nm以下がより好ましい。低結晶性半導体層12の成長温度は、低い結晶性とするため、400℃〜700℃が好ましく、より好ましくは、450°〜600℃である。
【0037】
低結晶性半導体層12を形成した後、低結晶性半導体層12の上に無機粒子13を配置する(図3(c))。
【0038】
無機粒子は、酸化物、窒化物、炭化物、硼化物、硫化物、セレン化物、金属のような無機物を含む。無機物の含有量は、無機粒子に対して、通常50重量%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。半導体層中の無機粒子の組成は、自立基板を切断し、半導体層の断面をSEM−EDXにより分析することにより求めればよい。
【0039】
酸化物は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化亜鉛、酸化スズ及びイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)である。
【0040】
窒化物としては、例えば、窒化珪素、窒化硼素である。
【0041】
炭化物は、例えば、炭化珪素(SiC)、炭化硼素、ダイヤモンド、グラファイト、フラーレン類である。
【0042】
硼化物は、例えば、硼化ジルコニウム(ZrB2 )、硼化クロム(CrB2 )である。
【0043】
硫化物は、例えば硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウムである。
【0044】
セレン化物は、例えば,セレン化亜鉛、セレン化カドミウムである。
【0045】
酸化物、窒化物、炭化物、硼化物、硫化物、セレン化物は、それに含まれる元素が他元素で部分的に置換されていてもよい。酸化物に含まれる元素が他元素で部分的に置換されたものの例として、付活剤としてセリウムやユーロピウムを含む、珪酸塩やアルミン酸塩の蛍光体が挙げられる。
【0046】
金属としては、珪素(Si)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)が挙げられる。
【0047】
無機粒子は、上記の1つの無機物からなる粒子、またはこれらの混合物や複合化したものいずれであってもよい。無機粒子が1つの無機物からなる場合、無機粒子は好ましくは酸化物、より好ましくはシリカからなる。混合物としては、好ましくはシリカ粒子とシリカ以外の酸化物粒子の組合せ、より好ましくはシリカ粒子とチタニア粒子の組合せである。複合化したものとしては、例えば、窒化物からなる粒子上に酸化物を有するものが挙げられる。
【0048】
特にコロイダルシリカはスラリー状態でスピンコートなどで塗布する事が可能であるので、好ましい。W、Tiなどの金属を無機粒子13として用いると、水素あるいはアンモニアによる、金属上部に後で形成される3−5族窒化物半導体結晶のエッチング作用が大きくなり、そこに空隙を形成することができ、得られた半導体結晶が剥離しやすくなる。
【0049】
無機粒子13としては、加熱処理することで無機粒子となる粒子を用いることもできる。例えば、シリコーン樹脂粒子が挙げられる。シリコーン樹脂粒子はSi−O−Siの無機性結合を主骨格として持ち、Siに有機置換基を有する構造のポリマーであり、加熱処理により、シリカ粒子となる。
【0050】
本発明に用いる無機粒子は、形状が球状(例えば、断面が円、楕円であるもの)、板状(例えば、長さLと厚さTのアスペクト比L/Tが1.5〜100であるもの。)、針状(例えば、幅Wと長さLの比L/Wが1.5〜100であるもの。)又は不定形(様々な形状の粒子を含み、全体として形状が不揃いのもの。)であってもよく、好ましくは球状である。このため、無機粒子としては球状シリカがより好ましい。球状シリカとしては、単分散で、比較的粒径が揃ったものが容易に入手できる観点から、コロイダルシリカスラリーに含まれるシリカ粒子を用いることがより好ましい。
【0051】
ここで、コロイダルシリカスラリーとは、シリカの微粒子が水等の溶媒にコロイド状に分散したものであり、珪酸ナトリウムのイオン交換や、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)等の有機珪素化合物の加水分解等により得ることができ、球状のシリカ粒子が得られやすい。
【0052】
本発明に用いる無機粒子の平均粒径は、通常5nm〜50μm、好ましくは10nm〜10μm、さらに好ましくは20nm〜1μmである。平均粒径が5nm以上であれば、下地基板上に無機粒子を配置する工程において、無機粒子が2層以上重なりにくくなり、続く無機粒子を埋め込む3−5族窒化物半導体層の成長において、無機粒子を埋め込んで平坦に成長することが容易になるので好ましい。平均粒径が50μm以下であれば、無機粒子を埋め込む3−5族窒化物半導体の成長において、無機粒子を埋め込んで平坦に成長することがより容易になり、また前記半導体結晶層と前記下地基板とを分離する分離工程において、より分離しやすいので好ましい。上記平均粒径の範囲内において、粒径の異なる無機粒子を混合して用いても良い。
【0053】
ここで、平均粒径とは、遠心沈降法により測定した体積平均粒径をいう。遠心沈降法以外の他の測定原理による粒度測定、例えば、動的光散乱法、コールターカウンター法、レーザー回折法、電子顕微鏡等による粒度測定を使用した場合には、遠心沈降法との較正を行うものとする。具体的には、標準となる粒子の平均粒径を遠心沈降法及び他の測定原理による粒度測定を行い、相関係数を算出する。この相関係数の算出を好ましくは粒径の異なる複数の標準粒子について実施し、遠心沈降法で求められた粒径に対する相関係数をプロットすることで較正曲線を得ることができる。この較正曲線により、他の測定原理による平均粒径を較正することができる。
【0054】
無機粒子の形状及び平均粒径は、例えば、自立基板を切断し、半導体層の断面を電子顕微鏡により撮影し、得られた像から求めればよい。
【0055】
ここで、本発明における無機粒子を配置する工程として、無機粒子を配置するサブ工程(a1)と、次いで他の無機粒子を配置するサブ工程(a2)を行ってもよい。この場合、サブ工程(a1)で用いる無機粒子は例えばチタニアであり、サブ工程(a2)で用いる無機粒子は例えばシリカである。
【0056】
次に、下地基板11の上に無機粒子13を配置する図3(c)の工程を詳しく説明する。下地基板上に形成された低結晶性半導体層12の表面に無機粒子を配置する方法として、無機粒子13を媒体に分散させたスラリーを用いて、該スラリー中へ図3(b)の工程で得られた基板を浸漬させるか、又は該スラリーを該基板上に塗布や噴霧した後に、乾燥させる方法が挙げられる。該媒体としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、取扱い性や容易に入手できる観点から水が好ましい。また、該乾燥処理の際、スピナーを用いることもできる。
【0057】
無機粒子13の低結晶性半導体層12に対する被覆率は、走査型電子顕微鏡(SEM)で無機粒子13を配置した低結晶性半導体層12の表面を上から観察した際の測定視野内(面積S)におけるカウントされる粒子数Pと、粒子の平均粒径dにより、下記式で定義される。
被覆率(%)=((d/2)2 ×π・P・100)/S
【0058】
この被覆率は、特に限定されないが、好ましくは1%〜95%であり、より好ましくは30%〜95%であり、さらに好ましくは50%〜95%である。1%以上であれば、後述する下地基板11から3−5族窒化物半導体結晶14を剥離する工程(図3(f))で剥離が容易となる傾向があり、95%以下であれば、低結晶性半導体層12の有効表面積がより増え、3−5族窒化物半導体がよりエピタキシャル成長しやすくなる傾向があるので好ましい。
【0059】
下地基板11上に上述の如くして形成した無機粒子13は、半導体層をエピタキシャル成長して平坦化しやすいことから、1層構造、即ち単粒子構造であることが望ましい。例えば、無機粒子の90%以上が1層に配置される。半導体層をエピタキシャル成長して平坦化ができれば2層以上であってもよく、また部分的に無機粒子13が2層以上重なっていてもよい。
【0060】
また、1種類の無機粒子を少なくとも2層配置してもよいし、少なくとも2種類の無機粒子を別々に単層配置してもよい。チタニア粒子とシリカ粒子の組合せのように、少なくとも2種類の無機粒子を配置する場合、最初に配置する無機粒子(例えば、チタニア)の基板の対する被覆率は、通常1%以上、好ましくは30%以上であり、通常95%以下、好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下である。2番目以降に配置する無機粒子(例えば、シリカ)の基板の対する被覆率は、通常1%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上であり、通常95%以下、好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下である。
【0061】
無機粒子13を低結晶性半導体層12上に配置した場合、次に述べる3−5族窒化物半導体結晶14の成長時において、無機粒子13の無いところが成長領域Q(図3(c))となる。
【0062】
次に、エピタキシャル成長により、成長領域Qに3−5族窒化物半導体を成長させる。先ず、無機粒子13を配置した低結晶性半導体層12上にファセット構造14Aを形成しながら3−5族窒化物半導体を結晶成長させる(図3(d))。さらに、このファセット構造14Aを埋め込んで表面を平坦化した3−5族窒化物半導体を結晶成長させ、3−5族窒化物半導体結晶14を形成する(図3(e))。
【0063】
図3(d)、(e)に示す工程についてより詳しく説明する。低結晶性半導体層12は、Inx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)層によって形成するが、AlNが含まれていると分解しにくく、InNが含まれていると分解しやすいため,低結晶性半導体層12はInGaNが好ましい。特に半導体層12を低温で成長した場合、得られた半導体層12の結晶性を低くすることができる。このため、無機粒子13下の低結晶性半導体層12は結晶化あるいは成長雰囲気である水素ないしはアンモニアによるエッチング作用によって、低結晶性半導体層12内であって、特に、無機粒子13と下地基板11とに挟まれた領域に空隙12Aが形成される傾向を生じる。
【0064】
低結晶性半導体層12上に無機粒子13を配置した後、低結晶性半導体層12上に3−5族窒化物半導体のエピタキシャル成長方法に従い、原料ガス等を供給すると、3−5族窒化物半導体は、成長領域Qから結晶成長し(図3(d))、配置した無機粒子13を埋め込むようにして低結晶性半導体層12上に3−5族窒化物半導体が結晶成長する。3−5族窒化物半導体を無機粒子13をほぼ埋め込む程度にさらに結晶成長させる。そして、エピタキシャル成長により、無機粒子13が3−5族窒化物半導体に埋め込まれた状態となった上に、3−5族窒化物半導体をさらに結晶成長させることにより所要の膜厚の3−5族窒化物半導体結晶14が形成される(図3(e))。
【0065】
このように、無機粒子13を配置した低結晶性半導体層12上にファセット構造を形成しながら3−5族窒化物半導体を結晶成長させ、次にファセット構造を埋め込んで表面を平坦化した窒化物半導体を結晶成長させて3−5族窒化物半導体結晶14を形成する工程を有する製造方法が好ましい。その理由は次の通りである。
【0066】
低結晶性半導体層12上に無機粒子13を配置した後、成長領域Qでファセット構造を形成させる3−5族窒化物半導体の結晶成長を行い、この後、横方向成長を促進させることによりファセット構造を埋め込んで平坦化させるように3−5族窒化物半導体を成長させれば(図1(e))、ファセットまで到達した転位は横方向に曲げられるため、無機粒子13を3−5族窒化物半導体結晶14内に埋没させて含有させることができる。このとき、結晶欠陥を大幅に減らすことができる。また、ファセット構造を埋め込む成長を行うと、3−5族窒化物半導体結晶14中の無機粒子13上の領域には空隙部が発生する傾向を生じる。ファセットまで到達した転位は横方向に曲げられ、該空隙部により転位を終端することができるため、高品質の結晶を得ることが可能である。
【0067】
次に、3−5族窒化物半導体結晶14と下地基板11とを分離する分離工程(図3(f))について説明する。
【0068】
下地基板11を分離する工程の前に、3−5族窒化物半導体結晶14を支持基板(図示せず)に貼り合わせる工程を設けてもよい。この場合、支持基板としては、金属薄膜、高分子などの樹脂フィルムなど公知の薄膜が使用することが可能である。金属基板の場合は公知の方法により低温合金などを用いて貼り合わせることが可能である。また、樹脂フィルムを支持基板として用いる場合は熱硬化樹脂や光硬化樹脂を用いることができる。
【0069】
低結晶性半導体層12及び無機粒子13を上述の如く配置した下地基板11上に3−5族窒化物半導体結晶14を成長させる場合、無機粒子13下の低結晶性半導体層12が3−5族窒化物半導体結晶14成長時にエッチングされるため、下地基板11と3−5族窒化物半導体結晶14とは弱く接続された状態となっている。このため、3−5族窒化物半導体結晶14の厚さを十分に大きくすれば、内部応力又は外部応力が、この弱い接続となっている下地基板11と3−5族窒化物半導体結晶14との間の領域に集中的に作用しやすくなる。その結果、特にこれらの応力は、該領域に対する剪断応力等として作用し、この応力が大きくなった時に、下地基板11と3−5族窒化物半導体結晶14との接続部分が破断し、両者が分離する。このように、下地基板11と3−5族窒化物半導体結晶14との間での破断は、具体的には、下地基板11と低結晶性半導体層12との境界領域、低結晶性半導体層12と無機粒子13との境界領域、低結晶性半導体層12と3−5族窒化物半導体結晶14との境界領域、もしくは無機粒子13と3−5族窒化物半導体結晶14との境界領域、又はこれらの境界領域の中の複数の境界領域において生じる。
【0070】
3−5族窒化物半導体結晶14と下地基板11とを分離する別の方法として、応力を加えて機械的に分離する方法が挙げられる。該応力は、内部応力でも外部応力でもよい。具体的には、内部応力及び又は外部応力を下地基板11と3−5族窒化物半導体結晶14との間の領域に加える方法が挙げられる。該内部応力及び又は外部応力を当該領域に加えることにより、容易に下地基板11と3−5族窒化物半導体結晶14とを分離(剥離)することができる。
【0071】
内部応力を用いる方法としては、3−5族窒化物半導体結晶14成長後、3−5族窒化物半導体結晶14と下地基板11との熱膨張係数差に基く応力を利用して下地基板11を自然剥離する方法が挙げられる。具体的には、3−5族窒化物半導体結晶14の成長温度から室温に向けての冷却、室温から液体窒素等の低温媒体を用いた冷却、及び室温から再度加熱した後に液体窒素等の低温媒体を用いた冷却等を用いることができる。
【0072】
外部応力としては、3−5族窒化物半導体結晶14又は下地基板11の一方を固定して、他方に機械的な衝撃を加える方法が挙げられる。
【0073】
上記の方法により、下地基板11から独立した3−5族窒化物半導体結晶14を主体とする3−5族窒化物半導体結晶を3−5族窒化物半導体自立基板として得ることができる。
【0074】
下地基板11から分離した3−5族窒化物半導体結晶14の裏面は、無機粒子13を含有しているため、エッチングなどの化学的、あるいは研削や研磨等の物理的な加工処理によりこれを除去して下地基板11から分離した3−5族窒化物半導体結晶14を使用してもよい。例えばSiO2 などの酸化物は酸により除去可能である。この場合は、下地基板11に酸などのエッチング液が無機粒子13材料まで到達しやすいように予め下地基板11に溝もしくは貫通孔を設けても良い。3−5族窒化物半導体結晶14の形成後、3−5族窒化物半導体結晶14表面から貫通孔、あるいは溝を設けても良い。また、レーザなどの放射線を下地基板11と低結晶性半導体層12との界面付近に吸収させ、低結晶性半導体層12を部分的に分解させ、下地基板11との剥離を促進させてもよい。
【0075】
3−5族窒化物半導体結晶14のエピタキシャル成長方法としては、MOVPE法、HVPE法、MBE法などが挙げられる。MOVPE法を用いて低結晶性半導体層12又は3−5族窒化物半導体結晶14を結晶成長させる場合、以下のような化合物を出発原料として用いることができる。
【0076】
3族原料としては、例えばトリメチルガリウム[(CH3 3 Ga、以下TMGと記すことがある]、トリエチルガリウム[(C2 5 3 Ga、以下TEGと記すことがある]等の一般式R1 2 3 Ga(ここで、R1 、R2 、R3 は、低級アルキル基を示す。)で表されるトリアルキルガリウム;トリメチルアルミニウム[(CH3 3 Al、以下TMAと記すことがある]、トリエチルアルミニウム[(C2 5 3 Al、以下TEAと記すことがある]、トリイソブチルアルミニウム[(i−C4 9 3 Al]等の一般式R1 2 3 Al(ここで、R1 、R2 、R3 は、低級アルキル基を示す)で表されるトリアルキルアルミニウム;トリメチルアミンアラン[(CH3 3 N:AlH3 ];トリメチルインジウム[(CH3 3 In、以下TMIと記すことがある]、トリエチルインジウム[(C2 5 3 In]等の一般式R1 2 3 In(ここで、R1 、R2 、R3 は、低級アルキル基を示す)で表されるトリアルキルインジウム、ジエチルインジウムクロライド[(C2 5 2 InCl]などのトリアルキルインジウムから1ないし2つのアルキル基をハロゲン原子に置換したもの、インジウムクロライド[InCl]など一般式InX(Xはハロゲン原子)で表されるハロゲン化インジウム等が挙げられる。これらは、単独で用いても混合して用いてもよい。これらの3族原料の中で、ガリウム源としてはTMG、アルミニウム源としてはTMA、インジウム源としてはTMIが好ましい。
【0077】
5族原料としては、例えばアンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、t−ブチルアミン、エチレンジアミンなどが挙げられる。これらは単独で又は任意の組み合わせで混合して用いることができる。これらの原料のうち、アンモニアとヒドラジンは、分子中に炭素原子を含まないため、半導体中への炭素の汚染が少なく好適であり、高純度品が入手しやすい観点からアンモニアがより好適である。
【0078】
MOVPE法においては、成長時雰囲気ガス及び有機金属原料のキャリアガスとしては、窒素、水素、アルゴン、ヘリウムなどの気体を単独あるいは混合して用いることができ、水素、ヘリウムが好ましい。
【0079】
以上の原料ガスを反応炉に導入して窒化物半導体を成長させる。反応炉は、原料供給装置から原料ガスを反応炉に供給する原料供給ラインを備え、反応炉内には基板を加熱するためのサセプタが設けられている。サセプタは、窒化物半導体層を均一に成長させるために、通常は回転装置によって回転できる構造となっている。サセプタの内部には、サセプタを加熱するための赤外線ランプ等の加熱装置が備えられている。この加熱により、原料供給ラインを通じて反応炉に供給される原料ガスが成長基板上で熱分解し、基板上に所望の化合物を気相成長させることができるようになっている。反応炉に供給された原料ガスのうち未反応の原料ガスは、排気ラインより反応炉の外部に排出され、排ガス処理装置へ送られる。
【0080】
また、HVPE法を用いて窒化物半導体層を結晶成長させる場合、以下のような化合物を出発原料として用いることができる。
【0081】
3族原料としては、ガリウム金属を塩化水素ガスと高温で反応させて生成する塩化ガリウムガスやインジウム金属を塩化水素ガスと高温で反応させて生成する塩化インジウムガス等が挙げられる。5族原料としては、アンモニアが挙げられる。キャリアガスとしては、窒素、水素、アルゴン、ヘリウムなどの気体を単独あるいは混合して用いることができ、水素、ヘリウムが好ましい。以上の原料ガスを反応炉に導入して窒化物半導体を成長させる。
【0082】
また、MBE法を用いて窒化物半導体層を結晶成長させる場合、以下のような化合物を出発原料として用いることができる。
【0083】
3族原料としては、ガリウム、アルミニウム及びインジウム等の金属が挙げられる。5族原料としては、窒素やアンモニア等のガスが挙げられる。キャリアガスとしては、窒素、水素、アルゴン、ヘリウムなどの気体を単独あるいは混合して用いることができ、水素、ヘリウムが好ましい。以上の原料ガスを反応炉に導入して窒化物半導体を成長させる。
【0084】
図3(e)の工程終了後、3−5族窒化物半導体結晶14の上に別の3−5族窒化物半導体結晶を形成することもできる。この場合、3−5族窒化物半導体結晶14の上に更に無機粒子を配置させ、さらにファセット構造を形成し、ファセット構造を埋め込んで平坦化させればよい。この場合も、ファセットまで到達した転位は横方向に曲げられるため、無機粒子を窒化物半導体層内に埋没させて含有させることができる。このとき、結晶欠陥を大幅に減らすことができる。3−5族窒化物半導体層は、アンドープでも不純物をドープしてもよい。
【0085】
この3−5族窒化物半導体の成長は、MOVPEでもHVPEでもよい。応力による剥離を行う場合の3−5族窒化物半導体層の合計膜厚は、3μm以上500μm以下であり、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは、10μm以上65μm以下、さらにこのましくは、10μm以上45μm以下である。膜厚化により転位密度が低減される傾向にあるが、厚く積層するとそれだけ製造コストがかかるため、厚すぎるのは好ましくない。該3−5族窒化物半導体積層基板を冷却後反応炉から取り出し、下地基板と分離してから再度反応炉に入れn型コンタクト層、発光層、p型層を形成してもよい。
【0086】
また、3−5族窒化物半導体結晶が所定の厚さ形成された3−5族窒化物半導体積層基板上に、続けてn型コンタクト層、発光層、p型層を形成してもよい。その後、エピタキシャル基板を反応炉から取り出し、基板を除去し、これにより得られた窒化物半導体基板に公知の手段で電極を取り付け、発光素子とすることができる。
【0087】
n型コンタクト層は、発光素子の動作電圧を上昇させないために、n型キャリア濃度1×1018cm-3以上とし、かつ、1×1019cm-3以下とすることが好ましい。このようなn型コンタクト層は、成長温度850℃〜1100℃でのInx Gay Alz N(ただし、x+y+z=1、0≦x<1、0<y≦1、0≦z<1)結晶成長時に、n型ドーパントガス、あるいは有機金属原料を適当量混入させる公知方法により容易に得られる。n型ドーパント原料としては、シラン、ジシラン、ゲルマン、テトラメチルゲルマニウムなどが好適である。
【0088】
またIn、Alの混晶比が高いと特に低温では結晶品質が低下し、キャリア濃度が高くなるため、In組成は好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下である。また、Al組成は好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下である。n型コンタクト層はGaNであることが最も好ましい。
【0089】
前n型コンタクト層と発光層との間に、一般式Ina Gab Alc N(ただし、a+b+c=1、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1)で表される3−5族窒化物半導体層を設けてもよい。該3−5族窒化物半導体層は組成及び又はキャリア濃度の異なる多層構造であってもよい。
【0090】
n型コンタクト層の上に発光層を形成する。発光層は、障壁層である一般式Ina Gab Alc N(ただし、a+b+c=1、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1)と、井戸層である一般式Ina Gab Alc N(ただし、a+b+c=1、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1)からなる多重量子井戸構造としている。井戸層を多層にしてもよいが、少なくとも1つの井戸層があればよい。
【0091】
発光層と後述のp型コンタクト層との間に、一般式Ina Gab Alc N(ただし、a+b+c=1、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1)で表される層を有してもよく、該層はAlGaN層が好ましい。AlGaN層はp型、でもn型でもよく、n型である場合は、キャリア濃度は1×1018cm-3以下、より好ましくは1×1017cm-3以下、更に好ましくは、1×1016cm-3以下である。AlGaN層のn型キャリア濃度を低減させるためにMgをドープする。尚、p型コンタクト層とAlGaN層との間にAlGaN層より空間電荷密度の低いInd Gae Alf N(ただし、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦1、d+e+f=1)で表される層とを有してもよい。
【0092】
前記AlGaN層の上にp型コンタクト層を形成する。p型コンタクト層は発光素子の動作電圧を上昇させないためにP型キャリア濃度5×1015cm-3以上とすることが好ましい。より好ましくは、1×1016〜5×1019cm-3である。このようなP型コンタクト層は、成長温度800℃〜1100℃でのIna Gab Alc N(ただし、a+b+c=1、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1)結晶成長時にドーパント用原料ガスを適当量、混入させて結晶成長した後、熱処理をする等の公知方法により容易に得られる。
【0093】
p型コンタクト層は、Alの混晶比が高いと接触抵抗が高くなる傾向にあるので、Al組成は通常5%以下、好ましくは1%以下である。より好ましくはGaAlN、GaN、最も好ましくはGaNである。
【0094】
MOVPE法を用いて上記のような各層を成長させる場合は、以下のような原料から適宜選択し、これを用いることができる。
【0095】
3族のガリウム原料としては、例えば、トリメチルガリウム(TMG)、トリエチルガリウム(TEG)等の一般式R1 2 3 Ga(ここで、R1 、R2 、R3 は低級アルキル基を示す)で表されるトリアルキルガリウムが挙げられる。
【0096】
アルミニウム原料としては、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム等の一般式R1 2 3 Al(ここで、R1 、R2 、R3 は低級アルキル基を示す)で表されるトリアルキルアルミニウムが挙げられる。
【0097】
インジウム原料としては、トリメチルインジウム(TMI)、トリエチルインジウム等の一般式R1 2 3 In(ここで、R1 、R2 、R3 は低級アルキル基を示す)で表されるトリアルキルインジウム、ジエチルインジウムクロライドなどのトリアルキルインジウムから1ないし3つのアルキル基をハロゲン原子に交換したもの、インジウムクロライドなど一般式InX(Xはハロゲン原子)で表されるハロゲン化インジウム等があげられる。
【0098】
また、5族原料としては、例えばアンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1, 1−ジメチルヒドラジン、1, 2−ジメチルヒドラジン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、などがあげられる。これらは単独で、又は任意の組み合わせで混合して用いることができる。これらの原料のうち、アンモニアとヒドラジンは分子中に炭素原子を含まないため、半導体中への炭素汚染の影響が少なく好適である。
【0099】
p型ドーパントとしては、例えばMg、Zn、Cd、Ca、Be等があげられる。なかでもMg、Caが好ましく使用される。p型ドーパントであるMgの原料としては、例えばビスシクロペンタジエチルマグネシウム[(C5 5 2 Mg]、ビスメチルシクロペンタジエチルマグネシウム[(C5 4 CH3 2 Mg]、ビスエチルシクロペンタジエチルマグネシウム[(C5 4 2 5 2 Mg]などを使用することができる。Caの原料としては、ビスシクロペンタジエニルカルシウム((C5 5 2 Ca)及びその誘導体、例えば、ビスメチルシクロペンタジエニルカルシウム((C5 4 CH3 2 Ca)、ビスエチルシクロペンタジエニルカルシウム((C5 4 2 5 2 Ca)、ビスパーフロロシクロペンタジエニルカルシウム((C5 5 2 Ca)、又は、ジ−1−ナフタレニルカルシウム及びその誘導体、又は、カルシウムアセチリド及びその誘導体、例えば、ビス(4,4−ジフロロー3−ブテン−1−イニル)−カルシウム、ビスフェニルエチニルカルシウムなどを使用することができる。これらの原料を単独あるいは、複数混合して使用してもよい
【0100】
なお、本実施形態ではMOVPE法を用いた場合を説明したが、本発明はこの方法に限定されるものではなく、ハイドライド気相成長法(HVPE)、分子線エピタキシー(MBE)など他の公知の3−5族窒化物半導体結晶成長方法も用いることができる。
【0101】
本発明による製造方法は、例えば低温バッファのような結晶性の低い層の上に無機粒子を配置することを特徴としている。結晶性の低い層の上に無機粒子を配置して、3−5族窒化物半導体を横方向成長させ、無機粒子を埋め込むように成長することで、低転位の高品質の3−5族窒化物半導体結晶を得ることが可能となる。
【0102】
さらに無機粒子と基板との間に設けられた結晶性の低い半導体層が窒化物半導体を成長する間に結晶化あるいは雰囲気の水素ないしはアンモニアによってエッチングされ、下地基板とマスクの間の接合強度が弱まり、3−5族窒化物半導体が基板と剥離しやすくなり、熱あるいは機械的な応力による歪によって基板と3−5族窒化物半導体を剥離させることができる。
【0103】
また、レーザなどの放射線を下地基板と3−5族窒化物半導体あるいは無機粒子との界面付近に吸収させることにより、下地基板と窒化物半導体を剥離させ、高品質の3−5族窒化物半導体基板を得ることができるのである。あるいは、下地基板と窒化物基板を分離する際には、無機粒子材料ないしは結晶性の低い層を化学的に除去してもよい。
【実施例】
【0104】
以下、本発明を一実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0105】
(実施例1)
以下のようにして、図1に示す3−5族窒化物半導体積層基板1を作成した。下地基板11はサファイアのC面を鏡面研磨したものを用いた。エピタキシャル成長には常圧MOVPE法を用いた。1気圧で、サセプタの温度を485℃、キャリアガスを水素とし、キャリアガス、アンモニア及びTMGを供給して、厚みが約60nmのGaNバッファ層(低結晶性半導体層12)を成長した。
【0106】
一旦成長炉から、低結晶性半導体層12を形成して下地基板11を取り出し、コロイダルシリカを無機粒子13としてスピン塗布により低結晶性半導体層12上に配置し、再度成長炉に下地基板11をセットした。
【0107】
次に、3−5族窒化物半導体結晶14を以下のようにして形成した。先ず、反応炉の圧力を500Torrとし、サセプタの温度を1020℃にしたのち、キャリアガス、アンモニアを4.0slm、及びTMG20sccmを75分間供給して、アンドープGaN層を成長した。次に、反応炉の圧力を500Torrに保ったまま、サセプタ温度1120℃にして、キャリアガス、アンモニアを4.0slm及びTMG35sccmを90分間供給してアンドープGaN層を形成した。さらに反応炉圧力を500Torrに保ったまま、サセプタ温度を1080℃とした後、キャリアガス、アンモニア4.0slm、及びTMG50sccmを360分間供給してアンドープGaN層を形成した。最終的にアンドープGaN層は35μmまで成長させ、3−5族窒化物半導体結晶14とした。
【0108】
その後反応炉温度を1080℃から室温まで冷却して、下地基板11を反応炉から取り出した。これにより、下地基板11であるサファイア基板と3−5族窒化物半導体結晶14との間で剥離が生じ、サファイア基板から独立したシリカ粒子を含む窒化物半導体自立基板(GaN単結晶)を得た。
【0109】
(比較例1)
実施例1においてシリカ粒子を配置しない以外は実施例1と同様の操作を行い、GaN層を35μm形成した。GaN層のサファイア基板からの剥離は観察されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の一実施形態を説明するための層構造図。
【図2】図1の基板を用いて構成した半導体発光素子の一実施形態の層構造図。
【図3】本発明の方法の一実施形態を説明するための工程説明図。
【符号の説明】
【0111】
1 3−5族窒化物半導体積層基板
11 下地基板
12 半導体層(低結晶性半導体層)
12A 空隙
13 無機粒子
14 3−5族窒化物半導体結晶
15 発光素子機能を有する半導体層
16、17 電極




 

 


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