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溶融鉄の精錬方法 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 溶融鉄の精錬方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−77416(P2007−77416A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−263218(P2005−263218)
出願日 平成17年9月12日(2005.9.12)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 鷲見 郁宏 / 松井 章敏 / 松野 英寿 / 奥山 悟郎 / 鍋島 誠司
要約 課題
精錬容器に収容された溶銑、溶鋼などの溶融鉄を精錬するに当たり、攪拌強度を大幅に変更させることのできる攪拌方法を用いて攪拌しながら精錬する精錬方法を提供する。

解決手段
溶銑中または溶鋼中に攪拌用ガスを吹き込んで前記溶銑12または溶鋼を攪拌しながら精錬するに際し、プラスチックを主成分とするプラスチック含有物質14を前記攪拌用ガスとともに吹き込む。この場合、前記プラスチック含有物質は、直径が1mm以下の粉粒体を50質量%以上含有していること、また、前記精錬は転炉を用いた溶銑の脱炭精錬であり、溶融鉄浴中の炭素濃度が0.5質量%以下の範囲で、前記プラスチック含有物質を攪拌用ガスとともに吹き込むことが好ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
溶銑中または溶鋼中に攪拌用ガスを吹き込んで前記溶銑または溶鋼を攪拌しながら精錬するに際し、プラスチックを主成分とするプラスチック含有物質を前記攪拌用ガスとともに吹き込むことを特徴とする、溶融鉄の精錬方法。
【請求項2】
前記プラスチック含有物質は、直径が2mm以下の粉粒体を50質量%以上含有していることを特徴とする、請求項1に記載の溶融鉄の精錬方法。
【請求項3】
前記プラスチック含有物質は、直径が1mm以下の粉粒体を50質量%以上含有していることを特徴とする、請求項1に記載の溶融鉄の精錬方法。
【請求項4】
前記精錬は、転炉を用いた溶銑の脱炭精錬または溶銑の脱燐精錬であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の溶融鉄の精錬方法。
【請求項5】
前記精錬は転炉を用いた溶銑の脱炭精錬であり、溶融鉄浴中の炭素濃度が0.5質量%以下の範囲で、前記プラスチック含有物質を攪拌用ガスとともに吹き込むことを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の溶融鉄の精錬方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、転炉などの精錬容器に収容された溶銑などの溶融鉄中に、プラスチックを攪拌用ガスとともに吹き込んでガス化させ、発生するガスによって精錬容器に収容された溶融鉄を強攪拌させつつ精錬する精錬方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶銑の転炉吹錬においては、上吹き酸素または底吹き酸素により、主として脱炭を目的とした酸化精錬が行われている。近年、この転炉吹錬においては、溶銑の脱燐や脱硫を目的とする溶銑予備処理プロセスの発達により、脱燐精錬の必要性が少なくなっており、転炉で必要とする副原料が減少し、転炉における生成スラグ量は従来に比べて大幅に低減している。例えば、溶銑予備処理によって溶銑の燐濃度を実質的に鋼製品の燐濃度レベルまで低減した場合には、転炉での脱炭吹錬における脱燐反応に必要な媒溶剤は溶銑トン当たり10kg(以下、「kg/t」と記す)以下となり、転炉におけるスラグの発生量をおよそ25kg/t以下に低減することが可能となる。尚、転炉において溶銑予備処理を行う場合もあるが、ここで述べる転炉吹錬とは、主として脱炭を目的とした酸化精錬工程、つまり脱炭精錬工程のことを指す。
【0003】
このような極小スラグ下での転炉吹錬では、例えばMn鉱石の溶融還元のように、Mnの酸化によるスラグへの移行が抑制されることから、酸素吹錬中、従来のスラグ量の多い場合に比べて、溶鋼への高いMn歩留りを得ることが可能となる。
【0004】
但し、転炉吹錬末期においては、溶銑中炭素濃度の低下に伴って脱炭速度が低下することから、酸素ガスの供給流量(「送酸速度」ともいう)を低位に変更し、酸素効率の低下を抑制しているが、脱炭速度の低下により必然的に増加する余剰の酸素ガス、または、鉄浴中炭素濃度の低下に起因する溶存酸素濃度の増加によって、スラグ中のトータルFe(以下、「T.Fe」と記す)の濃度が増加する。このT.Feの増加は、鉄歩留りの低下をもたらすのみならず、前述したMnなどの溶鋼に必要な元素の過剰な酸化をもたらすことから、必要成分の溶鋼への高い歩留りを得るためには、スラグ中のT.Fe濃度を可能な限り低位にし、必要成分の過剰な酸化を抑制することが重要となる。尚、T.Feとは、スラグ中の全ての鉄酸化物(FeO、Fe23 など)の鉄分の合計値である。
【0005】
そこで、転炉吹錬の末期においては、鉄浴中炭素濃度に応じて送酸速度の低減を行っている。しかしながら、送酸速度を脱炭速度に同期させて連続的に調整することは困難であり、経験に基づいて送酸速度を多段に変更する場合がほとんどである。そのために、スラグは、程度に差はあれども過酸化傾向になってしまい、スラグ中のT.Fe濃度の増加を余儀なくされている。特に、底吹きガスの主成分が不活性ガスであるような弱撹拌転炉でこの影響が大きい。
【0006】
従来、この問題を解決するべく、転炉吹錬末期に底吹きガス量を増量して強攪拌にし、スラグと鉄浴とを反応させてスラグ中のT.Fe濃度を低位に調整する方法が行われてきた。しかしながら、攪拌用ガスの供給量の可変幅には自ずと限界があり、また、多大のガス吹き込みは、ガス吹き込みノズルの寿命低下をもたらすなどの理由から、十分な撹拌力が得られていないのが現状である。
【0007】
このようなことから、酸素吹錬の状況に応じて撹拌力を大幅に変更することが可能な攪拌方法の開発が望まれていた。
【0008】
ところで、強制的にスラグ中のT.Feを低減させる方法として、例えば、特許文献1には、転炉吹錬末期に粒径5mm以下のコークス粒をスラグ中に1.5〜5.0kg/t吹き込む方法が提案されている。しかしながら、転炉吹錬の末期においては迅速な反応が必須であることから、細粒のコークス粒の吹込みが必要であり、設備が複雑になるうえに、コークス粒の反応遅れに起因して終点の溶鋼中炭素濃度の制御性に課題が残り、T.Feを低減させる方法として必ずしも好ましい方法とはいえない。
【0009】
また、特許文献2及び特許文献3には、転炉吹錬の末期に転炉内にプラスチックを供給し、供給したプラスチックによって転炉内のスラグを還元してT.Feを低減させる方法が提案されている。しかしながら、特許文献2及び特許文献3では、転炉炉口側からプラスチックを添加する或いは上吹きしており、スラグはプラスチックによって還元されて改善はされるが、プラスチックは上置き添加であることから、プラスチックの分解により発生するガスによる鉄浴の攪拌強化は期待できず、還元効率が十分に高いとはいえない。従って、T.Feを低減させるには更なる改善の必要性がある。
【特許文献1】特開平8−283817号公報
【特許文献2】特開2005−15891号公報
【特許文献3】特開2005−15892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、転炉吹錬における従来のスラグ中T.Feを低減する方法は必ずしも十分な方法とはいえず、新たなT.Feの制御技術の確立が急務となっていた。また、転炉を用いた溶銑の脱燐精錬においても、酸素吹錬の状況に応じたT.Fe濃度の制御が重要であり、新たなT.Fe濃度の制御技術の確立が望まれていた。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、転炉などの精錬容器に収容された溶銑、溶鋼などの溶融鉄を精錬するに当たり、攪拌強度を大幅に変更させることのできる攪拌手段を用いて溶融鉄を攪拌しながら精錬し、それによってスラグ中のT.Fe濃度を精錬時期に応じて所定の値に制御することが可能となるなど、効率的に精錬することのできる溶融鉄の精錬方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、撹拌力の必要な時期にプラスチック含有物を攪拌用ガスとともに溶融鉄中に吹き込むことによってプラスチックを鉄浴中でガス化させ、攪拌用ガス流量を大きく変更させることなく鉄浴への撹拌力を増大させうることを見出した。添加物質としては、揮発成分を含有する物質であるならば使用可能であるが、大部分が揮発成分であるプラスチックが特に最適であるとの知見を得た。この場合、プラスチックの種類についての制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの純物質でも或いは混合物でも構わず、また、産業廃棄物、一般廃棄物のプラスチックでも問題なく、更に、他の媒溶剤や炭材と混合して吹き込んでも効果は同様に得られるとの知見を得た。
【0013】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る溶融鉄の精錬方法は、溶銑中または溶鋼中に攪拌用ガスを吹き込んで前記溶銑または溶鋼を攪拌しながら精錬するに際し、プラスチックを主成分とするプラスチック含有物質を前記攪拌用ガスとともに吹き込むことを特徴とするものである。
【0014】
第2の発明に係る溶融鉄の精錬方法は、第1の発明において、前記プラスチック含有物質は、直径が2mm以下の粉粒体を50質量%以上含有していることを特徴とするものである。
【0015】
第3の発明に係る溶融鉄の精錬方法は、第1の発明において、前記プラスチック含有物質は、直径が1mm以下の粉粒体を50質量%以上含有していることを特徴とするものである。
【0016】
第4の発明に係る溶融鉄の精錬方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記精錬は、転炉を用いた溶銑の脱炭精錬または溶銑の脱燐精錬であることを特徴とするものである。
【0017】
第5の発明に係る溶融鉄の精錬方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記精錬は転炉を用いた溶銑の脱炭精錬であり、溶融鉄浴中の炭素濃度が0.5質量%以下の範囲で、前記プラスチック含有物質を攪拌用ガスとともに吹き込むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、溶銑などの溶融鉄中に攪拌用ガスとともにプラスチック含有物質を吹き込むので、吹き込まれたプラスチック含有物質中のプラスチックは溶融鉄の熱を受けて溶融鉄浴中でガス化し、発生するガスによって攪拌用ガス流量を変更しなくても、溶融鉄の攪拌力を大幅に増大させることができる。つまり、精錬中の任意の時期に溶融鉄の攪拌力を大幅に増大させることができるので、溶融鉄に対して効率的に精錬を施すことが可能となる。特に、溶融鉄浴中の炭素濃度が0.5質量%以下となる、転炉での溶銑の脱炭精錬の末期に、プラスチック含有物質を攪拌用ガスとともに吹き込むことで、スラグと溶融鉄との反応が促進されるなどによって、スラグ中のT.Fe濃度を大幅に低減させることが可能となる。その結果、鉄歩留りの大幅な向上、操業の安定化、有効成分の過剰酸化の抑制などが達成され、工業上極めて有益な効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について具体的に説明する。先ず、本発明に至った検討結果について説明する。
【0020】
溶銑の脱炭精錬中の転炉内挙動は、その反応挙動の違いから高炭素域(鉄浴中炭素濃度>0.6質量%)と低炭素域(鉄浴中炭素濃度≦0.6質量%)とに大別される。高炭素域では、供給される酸素ガスはほぼ全量脱炭に費やされ、酸素ガスの供給律速であることから、操業阻害が生じない可能な限り高い送酸速度で転炉吹錬が行われる。このような脱炭最盛期では、鉄浴中からの脱炭によるスピッティング発生などが顕著であり、撹拌力が大き過ぎると設備への地金付着が生じるため、攪拌力は低位に制御されることが望ましい。一方、低炭素域では、酸素ガスの供給律速から炭素の移動律速に変わり、酸素ガスの一部が鉄の酸化にも費やされるので、鉄の酸化を抑制して脱炭酸素効率を高める目的で、送酸速度を低減させている。しかしながら、前述のように、転炉吹錬末期におけるスラグ中のT.Feは過酸化状態、即ち平衡値と比較して高めに推移している。炉内のスラグ量が25kg/t以下、特に10kg/t以下となると、過酸化状態は顕著となる。
【0021】
このスラグ中のT.Feの上昇は、鉄歩留りの低下をもたらす。また、酸素吹錬後の脱酸剤も多量に必要となるため、脱酸剤コスト及び脱酸生成物の品質への影響も懸念される。更には、例えばMnのような溶鋼に必要な成分の過剰な酸化によるスラグ中への移行を抑制するためにも、スラグ中のT.Feを低位にすることが重要となる。
【0022】
このような過酸化傾向にある転炉吹錬の末期に、プラスチックを主成分とする物質を鉄浴中に吹き込むことにより、鉄浴中でのガス化を促進させ、吹錬阻害や吹き込みノズルへの悪影響を最小限にしつつ、撹拌の強化が可能であることが分かった。その結果、酸素吹錬終了時のT.Fe濃度を大幅に低減できることを見出した。
【0023】
ここで、鉄浴中で効率的にガス化させるためには、ガス化に要する時間が極めて重要になる。そこで、先ず、プラスチックのガス化挙動について調査した。
【0024】
高周波誘導炉にて炭素濃度が1質量%で、1500℃の溶融鉄を調製し、この溶融鉄中にプラスチック(ポリエチレン)棒を差し込んだ。その結果、プラスチック棒の差し込みとほぼ同時に、プラスチックのガス化による激しいボイリングが生じ、撹拌が強化することが確認された。
【0025】
次に、プラスチックを1000〜1500℃に加熱した固体鉄或いは溶融鉄に上置き添加し、添加したプラスチック全量がガス化に要する時間を測定した。測定結果の一例を図1に示す。添加したプラスチックは加熱した鉄の上で炭化水素系ガスに熱分解し、一定時間経過後に消滅した。但し、プラスチックの熱伝導度は小さく、平均粒径が6mm〜数cmのものでは、ガス化時間は十数秒〜数分となり、サイズの大きいプラスチックのガス化時間は極めて長いことが分かった。本発明のように鉄浴中に吹き込む場合、ガス化時間が長いと鉄浴中でガス化しきれず浮上してしまうため、撹拌力を効果的に得るためにはガス化時間は短いほうがよい。図1からも明らかなように、平均粒径が2mm以下の粉粒体になると熱分解速度が上昇し、数秒で速やかにガス化し、特に平均粒径が1mm以下になると瞬時にガス化するため、吹き込むプラスチック粒径は少なくとも2mm以下、好ましくは1mm以下とすべきであることが分かった。吹き込むプラスチックの全量が1mm以下の粒径である必要はないが、効率の観点から、約50質量%以上が1mm以下の粒径であることが好ましい。
【0026】
更に、プラスチック添加による撹拌強度向上の効果を確認するために、50kgの溶銑を収容する小型転炉を用いて溶銑の脱炭精錬を行った。吹錬前の溶銑は炭素濃度を4質量%、温度を1300℃に調整し、酸素ガスを100NL/minで上吹きした。溶融鉄の炭素濃度が約1.0質量%となった時点で上吹き酸素ガスを70NL/minに減少させ、精錬終点の目標炭素濃度を0.05質量%、終点の目標温度を1650℃として脱炭精錬を行った。その際に、転炉の底部に設置した攪拌用ガス吹き込み用の底吹きノズルから、攪拌用ガスとして20NL/minの一定量のArガスを鉄浴中に吹き込んだ。この攪拌用ガスを搬送用ガスとして、プラスチック粉を鉄浴中に吹き込んだ。
【0027】
使用したプラスチック粉は産業廃プラスチックを粉砕し、1mm以下に粒度調整を行ったものである。このプラスチック粉を、溶融鉄中の推定炭素濃度が約1.0質量%以下となった時点以降に、底吹きノズルから20g/minの添加速度で吹き込んだ。プラスチック粉の吹き込み開始と同時に浴面の揺動が激しくなり、強撹拌化が確認された。脱炭精錬終了後のスラグ中のT.Fe濃度は21〜33質量%であった。本実験の場合、プラスチックの分解によって生成する炭素による溶融鉄への加炭(炭素濃度の上昇)の影響はほとんど見られなかったが、プラスチックの添加量を増大させた場合には、溶融鉄への加炭効果も得ることができる。これに対して、プラスチックを添加しない場合には、精錬終点のスラグ中のT.Fe濃度は42〜53質量%であった。
【0028】
即ち、攪拌用ガスとともにプラスチック粉を溶融鉄中に吹き込むことで、転炉内の攪拌が強化され、スラグ中の酸化鉄と溶融鉄中の炭素とが反応する、及び、溶融鉄が強攪拌されることで上吹き酸素ガスの反応サイトに溶融鉄中の炭素が移動して脱炭反応効率が向上するなどから、精錬終点のスラグ中のT.Fe濃度を大幅に低減できることが分かった。
【0029】
同様に、プロパンガスをArガスに混合して吹き込む試験も行ったが、底吹きノズルの閉塞が生じ、実験は精錬の途中で終了した。これは、プロパンガスが分解する際に熱を奪うことから、底吹きノズルの先端部で溶融鉄の凝固が生じ、底吹きノズルが閉塞したものと思われる。プラスチックの吹き込みの場合には、プラスチックが鉄浴中に分散した後にガス化するため、底吹きノズルへの影響は少なかったものと考えられる。
【0030】
このように、プラスチック含有物質を溶融鉄中に攪拌用ガスとともに吹き込むことによって、攪拌用ガスの吹き込み条件を変化させることなく、強撹拌化が可能であり、スラグ中T.Feの低減が確認された。
【0031】
次いで、転炉における溶銑の脱炭精錬を例として、本発明を実際のプロセスに適用した場合について説明する。図2は、本発明を実施する際に用いた転炉型精錬設備の概略断面図である。
【0032】
図2に示すように、転炉型精錬設備1は、その外殻を鉄皮4で構成され、鉄皮4の内側に耐火物5が施行された炉本体2と、この炉本体2の内部に挿入され、上下方向に移動可能な鋼製の上吹きランス3とを備えている。炉本体2の上部には、精錬後の溶融鉄を出湯するための出湯口6が設けられ、また、炉本体2の炉底には、撹拌用ガスを吹き込むための底吹きノズル7が設けられている。この底吹きノズル7はガス導入管8と接続されており、攪拌用ガスとしてArガスなどの不活性ガスや窒素ガスなどの非酸化性ガス、更には炭酸ガスなどの弱酸化性ガスが、ガス導入管8を介して任意の流量で底吹きノズル7から炉本体2に収容された溶銑12に吹き込まれるようになっている。
【0033】
ガス導入管8から分岐したガス導入管8Aは、プラスチックを主成分とするプラスチック含有物質14を収容したディスペンサー9に接続され、ディスペンサー9を経由した後にガス導入管8に合流している。即ち、ディスペンサー9に供給された攪拌用ガスは、ディスペンサー9に収容されたプラスチック含有物質14の搬送用ガスとして機能し、ガス導入管8A及びガス導入管8を経由して底吹きノズル7からプラスチック含有物質14を溶銑12に吹き込むことができるようになっている。ガス導入管8には流量調節弁10が設置され、ガス導入管8Aには流量調節弁11が設置されており、攪拌用ガスを底吹きノズル7から直接吹き込むことも、また、ディスペンサー9を経由して吹き込むことも任意に調整することができるようになっている。
【0034】
このような構成の転炉型精錬設備1を用い、以下に示すようにして本発明を実施する。先ず、炉本体2に溶銑12を装入し、更に生石灰などの媒溶剤を装入し、次いで、底吹きノズル7から攪拌用ガスを溶銑12に吹き込みながら、上吹きランス3から酸素ガスを供給する。供給される酸素ガスと溶銑12の含有する炭素とが反応してCOガスが生成し、COガスが炉外に排出されることで溶銑12の脱炭反応が進行する。脱炭反応による発熱と、底吹きノズル7から吹き込まれた攪拌用ガスによって溶銑12が攪拌されることから、添加した媒溶剤は溶融してスラグ13を形成する。供給される酸素ガスによってMnなどの必要成分も酸化されてスラグ13に移行する。同様に、鉄も酸化されてスラグ13に移行する。
【0035】
スラグ13のT.Fe濃度が上昇する時期は、鉄浴中の炭素濃度が0.2質量%以下になった時点から急激に起こるので、T.Feの上昇が生じる期間にプラスチック含有物質14を吹き込めばよい。そのためには、T.Feの上昇が生じる前の、鉄浴中の炭素濃度が0.5質量%以下となった時点から、プラスチック含有物質14の吹き込みを開始することが効率的であり好ましい。
【0036】
前述のようにプラスチックの熱分解時間はプラスチックの粒度に大きく依存することから、可能な限り細かい粉粒体を使用することが好ましい。細かい粉粒体の場合には攪拌用ガスの気泡と同伴してしまうが、プラスチックのガス化温度は数百℃と低く、また、ガス気泡温度は瞬時に鉄浴温度近傍まで上昇するので、プラスチックのガス化には全く問題はない。また、プラスチック含有物質14の添加速度はプラスチック純分で0.05kg/min・t以上であれば効果が発現する。プラスチック含有物質14は、酸素吹錬の終点まで継続して添加することが望ましい。攪拌用ガスの流量は、酸素吹錬中一定であってもよいが、酸素吹錬の末期に増加させることで撹拌効果は更に高まる。
【0037】
ここで、プラスチックを主成分とするプラスチック含有物質14とは、プラスチックを50質量%以上含有する物質であり、プラスチックの他に、生石灰や蛍石などの媒溶剤、或いはコークス、石炭などの炭材を含んでいても構わない。また、使用するプラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアセチレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネートなどのほとんどの炭素及び水素を主体とするプラスチックを挙げることができ、2種類以上のプラスチックを混合して使用することも可能である。また、製品プラスチックであっても廃プラスチックでもよく、必要に応じてこれらを混合したものを用いることができるが、コスト面及び産業廃棄物の有効利用を図る観点からは廃プラスチックを利用することが好ましい。
【0038】
以上説明したように、本発明では、精錬中に溶銑12などの溶融鉄中に攪拌用ガスとともにプラスチック含有物質14を吹き込むので、吹き込まれたプラスチック含有物質中のプラスチックは溶融鉄の熱を受けて溶融鉄浴中でガス化し、発生するガスによって攪拌用ガス流量を変更しなくても溶融鉄の攪拌力を大幅に増大させることができ、その結果、溶融鉄に対して効率的に精錬を施すことが可能となる。特に、転炉型精錬設備1における溶銑12の脱炭精錬の末期にプラスチック含有物質14を吹き込んだ場合には、スラグ13のT.Fe濃度を大幅に低減させることが可能となる。
【0039】
この場合、酸素吹錬終了後においても、プラスチック含有物質14の添加を継続することによって、更なるT.Feの低減効果が得られる。また、鉄浴中の炭素濃度が0.5質量%を超える高い期間の酸素吹錬中にプラスチック含有物質14を添加すれば、撹拌力の増大とともに、分解によって生じた炭素により、スラグ13のフォーミングの抑制にも有効である。本発明はスラグ13と溶融鉄との強撹拌化が主目的であるため、炉内のスラグ13の量には制限はない。
【0040】
尚、上記説明では転炉型精錬設備1を用いた溶銑12の脱炭精錬の例で説明したが、転炉型精錬設備1を用いた溶銑12の脱燐精錬であっても、上記に沿って本発明を適用することができる。また、上記説明では精錬容器として転炉型精錬設備1を用いた例で説明したが、精錬容器は転炉型精錬設備1に限るものではなく、取鍋やトーピードカーなどの溶銑保持容器であってもよい。つまり、溶銑保持容器における溶銑の脱硫処理などにおいても、上記に沿って本発明を実施することができる。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明の実施例を従来例とともに示す。酸素ガスを上吹きし、攪拌用ガスを底吹きする上底吹き転炉内に約500kgの溶銑を装入して脱炭吹錬を行った。用いた溶銑の成分は、炭素:4.0質量%、Si:0.1質量%、Mn:0.1質量%とした。酸素吹錬初期に石灰系媒溶剤を添加し、炉内にスラグを少量生成させている。スラグの分析値から求められたスラグの塩基度即ちCaO/SiO2 は約2.5〜3.5であった。
【0042】
炉底に設置した底吹きノズルからは、溶湯の攪拌を目的としてArガスを毎分50NL程度吹き込んだ。送酸は上吹きランスにより行い、脱炭初期から脱炭最盛期にかけての送酸速度は1500NL/min、酸素吹錬末期では900NL/minとし、ランス高さなどの吹錬パターンは何れも同一とした。脱炭精錬の終了は溶鋼中炭素濃度が0.05質量%となった時点とし、到達温度は1650℃を目標とした。
【0043】
プラスチックの添加開始は、鉄浴中の推定炭素濃度が0.50質量%になった時点とし、吹錬終了まで添加を継続した。使用したプラスチックはポリエチレン粒を粒度調整して用いた。スラグ中のT.Fe濃度は、酸素吹錬終了時に炉内のスラグを採取して分析することにより求めた。試験条件及び試験結果を表1に示す。
【0044】
【表1】


【0045】
表1に示すように、プラスチックを吹き込まない従来例では、スラグ中のT.Fe濃度は36質量%以上であったが、本発明例では32質量%以下となり、本発明によってスラグ中のT.Fe濃度を大幅に減少させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】プラスチックのガス化に要する時間の測定結果を示す図である。
【図2】本発明を実施する際に用いた転炉型精錬設備の概略断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 転炉型精錬設備
2 炉本体
3 上吹きランス
4 鉄皮
5 耐火物
6 出湯口
7 底吹きノズル
8 ガス導入管
9 ディスペンサー
10 流量調節弁
11 流量調節弁
12 溶銑
13 スラグ
14 プラスチック含有物質




 

 


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