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発明の名称 炭酸固化体の水中沈設方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−75716(P2007−75716A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−266135(P2005−266135)
出願日 平成17年9月14日(2005.9.14)
代理人 【識別番号】100083253
【弁理士】
【氏名又は名称】苫米地 正敏
発明者 清水 悟 / 新井 久美 / 高橋 達人
要約 課題
未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体を水中に沈設した際に、鉄分やシリカなどの有効成分を効果的に溶出させる。

解決手段
炭酸固化体に水中で酸を生成する微生物を付着させ、この炭酸固化体を水中に沈設する。炭酸固化体に付着した酸生成微生物が生成する微量の酸により、炭酸固化体の有効成分が溶解され、これらが水中に効果的に溶出する。また、この有効成分の溶出は、酸生成微生物が生成する酸により少しずつ且つ長期間に亘って生じるため、水中への有効成分の供給が長期間持続する。
特許請求の範囲
【請求項1】
未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体に、水中で酸を生成する微生物を付着させ、該炭酸固化体を水中に沈設することを特徴とする炭酸固化体の水中沈設方法。
【請求項2】
炭酸固化体が鉄源又は/及び可溶性シリカ源を含有することを特徴とする請求項1に記載の炭酸固化体の水中沈設方法。
【請求項3】
水中で酸を生成する微生物が、硝化細菌、硫黄酸化細菌の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭酸固化体の水中沈設方法。
【請求項4】
微生物を含む溶液を炭酸固化体に含浸させることにより、微生物を炭酸固化体に付着させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭酸固化体の水中沈設方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体を水中に沈設するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼製造プロセスで発生するスラグの利材化方法の一つとして、粉粒状のスラグをこれに含まれる未炭酸化Ca(CaO及び/又はCa(OH))を利用して炭酸固化させることにより、ブロック化された炭酸固化体(石材)を得る方法が知られている(例えば、特許文献1,2)。この方法では、例えば、水分を添加した粉粒状のスラグを型枠に充填し、このスラグ充填層に炭酸ガス含有ガスを吹き込むことによってスラグに含まれる未炭酸化Caに炭酸化反応を生じさせ、この炭酸化反応で生成した炭酸カルシウムを主たるバインダーとしてスラグ充填層を固結させ、ブロック化された炭酸固化体を得るものである。このようにして得られた炭酸固化体を、特許文献1では藻礁用や魚礁用などの海中沈設用材料として、また、特許文献2では河川等の淡水系水域沈設用材料として、それぞれ利用するものである。
【0003】
【特許文献1】特許第3175694号公報
【特許文献2】特許第3175710号公報
【0004】
上記炭酸固化体の製造技術は、スラグやその他のCaO含有廃材を原料として利用できるため、資源のリサイクル化という観点から非常に有用なものである。また、製造された炭酸固化体を水中沈設用材料として利用した場合、海藻類の生育や水中生物の棲息に好ましい環境を提供するという面で、コンクリート製品に較べて優れた性能を有することが判っている。
【0005】
特許文献1,2には、鉄源や可溶性シリカ源(未炭酸化Ca含有原料に元々含まれているもの又は添加材として添加されたもの)が含まれる原料で製造された炭酸化固化体を水中に沈設した場合には、炭酸固化体内部の鉄源や可溶性シリカ源から鉄分やシリカ(珪酸)が水中に溶出し、この溶出成分(有効成分)が海藻類などの水中生物の栄養源となって、それらの生育に有効に作用することが示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、鉄源や可溶性シリカ源などを含有する炭酸固化体を単に水中に沈設しただけでは、ある程度の鉄分やシリカの溶出はあるものの、その溶出量は限られたものとなる。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、炭酸固化体を水中に沈設した際に、鉄分やシリカなどの有効成分を効果的に溶出させることができる水中沈設方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、水中に沈設された炭酸固化体から有効成分(海藻類などの水中生物の栄養源となる鉄分、シリカなどの成分)を効果的に溶出させる方法に関して、酸の作用で有効成分の溶出性を高めるという着想に基づき、以下のような検討を行った。炭酸固化体は全体に無数の微細な貫通気孔(炭酸固化体内部に存在する微細気孔であって、連続した気孔の2つ以上の末端が炭酸固化体表面に開口している気孔)を有しており、一般にその貫通気孔率は20〜60%(体積率)程度にもなる。そして、この微細貫通気孔内には水などの液体を容易に浸透させることができ、しかも孔が微細であるため一度浸透した液体は表面張力の作用により炭酸固化体内部に保持される。そこでまず、酸の水溶液を炭酸固化体(貫通気孔)に含浸させ、その酸により有効成分の溶出性を高める方法について検討を行った。しかし、この方法は、炭酸固化体に酸を直接使用するため有効成分が急速に溶出し、長期間に亘る持続的な溶出効果が期待できないことが判明した。そこで本発明者らは、炭酸固化体中にあって微量の酸を長期間に亘って有効成分源(鉄源、可溶性シリカ源など)に作用させる手段として酸生成微生物(水中で酸を生成する微生物)を利用することを着想し、その有効性について調査した。その結果、硝化細菌などの酸生成微生物を炭酸固化体に付着させておくことにより、酸生成微生物が生成する微量の酸により有効成分が適度に溶出され、且つその溶出作用が長期間に亘って持続することが判った。
【0008】
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体に、水中で酸を生成する微生物を付着させ、該炭酸固化体を水中に沈設することを特徴とする炭酸固化体の水中沈設方法。
[2]上記[1]の水中沈設方法において、炭酸固化体が鉄源又は/及び可溶性シリカ源を含有することを特徴とする炭酸固化体の水中沈設方法。
【0009】
[3]上記[1]又は[2]の水中沈設方法において、水中で酸を生成する微生物が、硝化細菌、硫黄酸化細菌の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする炭酸固化体の水中沈設方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの水中沈設方法において、微生物を含む溶液を炭酸固化体に含浸させることにより、微生物を炭酸固化体に付着させることを特徴とする炭酸固化体の水中沈設方法。
【発明の効果】
【0010】
炭酸固化体に付着させた酸生成微生物が生成する微量の酸により、炭酸固化体の有効成分(鉄分やシリカなど)が溶解され、これらを水中に効果的に溶出させることができる。しかも、このような有効成分の溶出は、酸生成微生物が生成する酸により少しずつ且つ長期間に亘って生じるため、水中への有効成分の供給を長期間持続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明法では、粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体に、水中で酸を生成する微生物(以下、“酸生成微生物”という)を付着させ、この炭酸固化体を水中に沈設する。炭酸固化体に付着させた酸生成微生物は、炭酸固化体の表面や内部で生存・繁殖し、酸を生成する。この酸により炭酸固化体中に含まれる鉄分やシリカなどの有効成分(鉄源や可溶性シリカ源などとして原料中に元々含まれているもの又は/及び添加材として添加されたもの)が適度に溶解され、水中に溶出する。ここで、酸生成微生物が生成する酸は微量であり、一方において、常に新たな酸が生成され続けるため、上記のような有効成分の溶出は少しずつ且つ長期間に亘って生じ、水中への有効成分の供給が長期間持続することになる。このように水中に溶出した鉄分やシリカなどの有効成分は、海藻類などの水中生物の栄養源となる。
【0012】
炭酸固化体に付着させる酸生成微生物としては、例えば、硝化細菌(ニトロソモナス属、ニトロバクター属など)、硫黄酸化細菌(チオバチルス属など)などが挙げられる。
ここで、硝化細菌(亜硝酸菌、硝酸菌など)の場合は、以下のような反応(硝化作用)が生じて亜硝酸や硝酸が生成される。
[亜硝酸菌]
NH(:アンモニア)+3/2O→NO(:亜硝酸)+HO+2H
[硝酸菌]
NO(:亜硝酸)+1/2O→NO(:硝酸)
また、硫黄酸化細菌の場合には、以下のような反応が生じて硫酸が生成される。
+HO+O→SO2−+2H
SO2−+HO→SO2−(:硫酸)+H
また、硝化細菌は、上記のようにアンモニアを亜硝酸、硝酸へと変換して生物にとって毒性の高いアンモニアを低毒化する作用があり、しかも、その働きにより生成した硝酸が海藻類の栄養源となる。
【0013】
酸生成微生物を付着させる炭酸固化体は、その構成成分として、鉄源、可溶性シリカ源、リン、カリウムなどの有効成分(すなわち、海藻類などの水中生物の栄養源となる成分)を含有するものである。ここで、可溶性シリカ源の可溶性とは水に対する溶解性をいう。有効成分はスラグなどの原料(未炭酸化Ca含有原料)に元々含まれているものであってもよいし、添加材として別に添加したものであってもよい。その詳細については後に詳述する。
【0014】
さきに述べたように、炭酸固化体は全体に無数の微細な貫通気孔を有しているが、この微細貫通気孔内には水を容易に浸透させることができ、しかも、炭酸固化体表面や微細貫通気孔内部の水のpHは8〜9程度の中性域であり、コンクリートのように高pH化することはない。したがって、炭酸固化体の表面や微細貫通気孔内部は、硝化細菌などの酸生成微生物の棲息環境として非常に好適なものである。
【0015】
酸生成微生物を炭酸固化体に付着させる方法は任意であるが、酸生成微生物を含んだ溶液(通常、水溶液)を炭酸固化体に含浸させる方法が最も簡便である。一般に微生物は集合体を形成しやすいが、例えば、酸生成微生物が含まれる溶液(好ましくは、酸生成微生物が高濃度に含まれる溶液)に炭酸固化体を浸漬する方法、或いは酸生成微生物が含まれる溶液(好ましくは、酸生成微生物が高濃度に含まれる溶液)を炭酸固化体に散布する方法を採れば、溶液は微細貫通気孔内に速やかに吸収されるので、酸生成微生物を炭酸固化体に容易に付着(含浸)させることができる。また、溶液をゲル化するなどして、溶液に適当な粘性を与えてもよい。溶液に粘性を与えるには、例えば、デンプン等の多糖類、ゼラチンや寒天等のゲル化剤等を用いることができる。
【0016】
さらに、酸生成微生物をゲル状の高分子体(例えば、デンプン、ゼラチン、寒天等)に混合し、これを炭酸固化体の表面に擦り込む方法を採ってもよい。特に、酸生成微生物が硝化細菌の場合には、硝化細菌は増殖速度が遅いため、炭酸固化体に十分に付着(繁殖)させるのに時間を要するので、この方法が有効である。
なお、酸生成微生物の生存率を高めるため、炭酸固化体に酸生成微生物を付着させる作業は水中沈設の直前に行うか、若しくは酸生成微生物を付着させた炭酸固化体を水中に沈設するまで保湿することが好ましい。
【0017】
炭酸固化体に酸生成微生物を含む溶液を含浸させるに当たっては、炭酸化処理したままの炭酸固化体に溶液を含浸させてもよいが、炭酸化処理したままの炭酸固化体内部には相当程度の水分(炭酸化処理に必要な水)が含まれているため、多量の溶液を炭酸固化体内部に十分に含浸させるには、炭酸固化体を乾燥処理してその内部の水分の一部又は実質的な全部を蒸発させた後、溶液を含浸させることが望ましい。炭酸固化体の乾燥処理は、雨水などの水がかからないような場所に適当な期間放置して自然乾燥させる方法でもよいし、加熱等により強制的に乾燥させる方法でもよい。
【0018】
炭酸固化体には、上述した酸生成微生物以外に、栄養塩を含む溶液を含浸させることができる。栄養塩としては、例えば、リン酸塩、硫化物(例えば、硫化鉄など)、窒素化合物などが挙げられる。
炭酸固化体に栄養塩を含む溶液を含浸させる方法としては、炭酸固化体を溶液中に浸漬する方法、溶液を炭酸固化体に散布する方法など適宜な方法を採ることができる。
【0019】
本発明では、以上のようにして酸生成微生物を付着させた炭酸固化体を、海藻着生材(基盤)、水質・底質浄化材、漁礁材、築磯用材などとして水中に沈設(設置)するものであり、これにより、さきに述べたように炭酸固化体から有効成分が長期間に亘って効果的に溶出することになる。
なお、炭酸固化体を沈設する水域は、海水域、淡水域(河川、湖沼などを含む)、汽水域を問わない。
【0020】
炭酸固化体を得る方法は従来公知の方法でよく、水分を含んだ未炭酸化Ca含有原料に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせることにより、未炭酸化Ca含有原料を固結させて炭酸固化体とする。一般には、型枠内に適度な水分を含んだ未炭酸化Ca含有原料を充填して原料充填層を形成し、この原料充填層内に炭酸ガス含有ガスを吹き込むことにより、原料充填層を炭酸反応により固化させ、炭酸固化体を得る。
【0021】
以下、炭酸固化体の好ましい製造条件について説明する。
未炭酸化Ca含有原料中に含まれる未炭酸化Ca、すなわちCaO及び/又はCa(OH)は、少なくとも固体粒子の組成の一部として含まれるものであればよく、したがって、鉱物としてのCaO、Ca(OH)の他に、2CaO・SiO、3CaO・SiO、ガラスなどのように組成の一部として固体粒子中に存在するものも含まれる。
【0022】
未炭酸化Ca含有原料としては、上記のように少なくとも組成の一部として未炭酸化Caを含むものであれば特に制限はないが、未炭酸化Caの含有率が高く、しかも資源のリサイクルを図ることができるという点で、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ、コンクリート(例えば、廃コンクリート)などが特に好ましい。一般に、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグのCaO濃度は約13〜55mass%、また、コンクリート(例えば、廃コンクリート)のCaO濃度は約5〜15mass%(セメント中のCaO濃度:50〜60mass%)であり、また、これらは入手も容易であるため、未炭酸化Ca含有原料として極めて好適な素材であるといえる。したがって、未炭酸化Ca含有原料の少なくとも一部が、また特に望ましくは主たる原料がスラグ及び/又はコンクリートであることが好ましい。
【0023】
鉄鋼製造プロセスで発生するスラグとしては、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグなどの高炉系スラグ、予備処理、転炉、鋳造などの工程で発生する脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造スラグなどの製鋼系スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、2種以上のスラグを混合して用いることもできる。
また、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグには相当量の鉄分(粒鉄などの鉄分)が含まれているが、スラグとしてはこの鉄分(地金)の回収処理を経たものを用いてもよい。
【0024】
また、コンクリートとしては、例えば、建築物や土木構造物の取壊しなどにより生じた廃コンクリートなどを用いることができる。
また、未炭酸化Ca含有材としては、上記のスラグやコンクリート以外に、モルタル、ガラス、アルミナセメント、CaO含有耐火物などが挙げられ、これらの1種以上を単独でまたは混合して、或いはスラグ及び/又はコンクリートと混合して使用することもできる。
これらの材料は必要に応じて細粒状に破砕処理され、原料として用いられる。
【0025】
未炭酸化Ca含有原料は、その全量が未炭酸化Caを含む固体粒子である必要はない。すなわち、未炭酸化Ca含有原料に含まれる未炭酸化Caの炭酸化によって炭酸固化体のバインダーとして十分な量のCaCOが生成されるのであれば、未炭酸化Ca含有原料に未炭酸化Caを含まない固体粒子が含まれていてもよい。
一般に、スラグなどには鉄源、可溶性シリカ源などの有効成分が含まれているが、添加材として、鉄源や可溶性シリカ源などの有効成分源となる固体粒子を配合してもよい。添加材としては、例えば、可溶性シリカ源(フライアッシュ、クリンカーアッシュなど)、鉄源(金属鉄、酸化鉄など)、リン源、カリウム源などが挙げられる。また、これら以外にも任意の成分(粒子)を適量、すなわち炭酸固化体の強度低下などを招かない限度で含むことができる。
【0026】
未炭酸化Ca含有原料の粒度にも特別な制限はないが、COとの接触面積を確保して反応性を高めるためには、ある程度粒度が細かい方が好ましい。また、未炭酸化Ca含有原料の粒度が大き過ぎると、原料粒子内部に炭酸化しきれないCaが残存するため、製造された炭酸固化体中の原料粒子が膨張崩壊し、亀裂などの原因となる場合もある。以上の観点から、未炭酸化Ca含有原料は実質的に(すなわち、不可避的に含まれる粒度の大きい固体粒子を除き)10mm以下、より望ましくは5mm以下、特に望ましくは3mm以下の粒度のものが好ましい。
【0027】
未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせるために使用される炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスとしては、例えば、一貫製鉄所内で排出される石灰焼成工場排ガス(通常、CO:25%前後)や加熱炉排ガス(通常、CO:6.5%前後)などが好適であるが、これらに限定されるものではない。また、ガス中のCO濃度が低すぎると処理効率が低下するという問題を生じるが、それ以外の問題は格別ない。したがって、CO濃度は特に限定しないが、効率的な処理を行うには3%以上のCO濃度とすることが好ましい。
【0028】
また、炭酸ガスの供給量にも特別な制限はないが、一般的な目安としては0.004〜0.5m/min・t(原料ton)程度のガス供給量が確保できればよい。また、ガス供給時間(炭酸化処理時間)にも特別な制約はないが、目安としては炭酸ガスの供給量が未炭酸化Ca含有原料の重量の3%以上となる時点、すなわち、ガス量に換算すると原料1t当たり15m以上、好ましくは200m以上の炭酸ガスが供給されるまでガス供給を行うことが好ましい。
【0029】
供給される炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスは常温でよいが、ガスが常温よりも高温であればそれだけ反応性が高まるため有利である。但し、ガスの温度が過剰に高いと混合原料の水分を乾燥させたり、或いはCaCOがCaOとCOに分解してしまうため、高温ガスを用いる場合でもこのような分解を生じない程度の温度のガスを用いる必要がある。
また、炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスは原料の乾燥を防ぐために加湿した状態で混合原料に供給されることが好ましい。このため混合原料にガスを供給するに当たっては、炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスを一旦水中に吹き込んで加湿又はHOを飽和させた後、原料に供給することが好ましく、これにより混合原料の乾燥を防止して炭酸化反応を促進させることができる。
【0030】
未炭酸化Ca含有原料が炭酸ガスと接触して炭酸化反応により固結するには、先に述べたように水分(原料粒子の表面付着水)が必要であり、このため必要に応じて原料に水分を添加する。通常、原料の含水率は3〜12%、好ましくは5〜10%程度とするのが適当である。
また、炭酸固化体は、未炭酸化Ca含有原料の予成形体を炭酸ガス雰囲気内に置き、炭酸ガスを予成形体外面から内部に浸透させるようにして製造することもできる。この場合には、未炭酸化Ca含有原料を圧縮成形などによって予成形し、この予成形されたものを炭酸ガス雰囲気内に置いて炭酸固化させる。
【0031】
炭酸固化体の形状は任意であり、立方体や長方体形状のほかに、例えば断面形状が円形、楕円形、三角形、四角形以上の多角形、星形など、或いは全体形状が球形状、楕球形、四面体以上の多面体形、円錐体形、柱状形、テトラポット形など、任意の形状とすることができる。また、型枠などを用いて製造された炭酸固化体を適当な大きさに破砕したものでもよい。
【実施例】
【0032】
(イ)試験条件
(1) 試験体として、製鋼スラグの炭酸固化体(発明例)、ゼオライト(比較例1)、成形物なし(比較例2)の3種類を使用した。炭酸固化体(発明例)とゼオライト(比較例1)については、硝化細菌の入った水溶液中に通気しながら1週間浸漬処理した。成形物なし(比較例2)については、硝化細菌の水溶液をそのまま使用した。
(2) 浸漬処理後の試験体(但し、比較例2では硝化細菌の水溶液)50mL(体積)を容積1Lのビーカーに移した。
(3) 溶存酸素量6mg/Lとした500mlのアンモニア水溶液(500mg/L)を上記(2)のビーカーに加え、25℃定温下で硝化試験を行った。
【0033】
(4)循環中のアンモニア水溶液中のアンモニア濃度と硝酸濃度の経時変化を計測し、各試験体の硝化反応に対する効果を評価した。
(5) アンモニア濃度はインドフェノール法で測定し、硝酸濃度は高速イオンクロマトグラフィー(HPLC)法で測定した。
(ロ)試験結果
試験結果を図1に示す。これによれば、炭酸固化体を用いた場合(発明例)の硝化反応が最も速く、炭酸固化体中で硝化細菌の増殖が進んでいることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1におけるアンモニア水溶液中のアンモニア濃度と硝酸濃度の経時変化を示すグラフ




 

 


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