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発明の名称 底質の浄化方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−75715(P2007−75715A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−266133(P2005−266133)
出願日 平成17年9月14日(2005.9.14)
代理人 【識別番号】100083253
【弁理士】
【氏名又は名称】苫米地 正敏
発明者 清水 悟 / 新井 久美 / 高橋 達人
要約 課題
水底の有機性堆積物を効果的且つ低コストで処理・無害化することができる底質の浄化方法を提供する。

解決手段
未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体に微細藻類を付着させ、この炭酸固化体を微細藻類の繁殖ベッドとして水底に沈設する。炭酸固化体は微細藻類の好適な棲家となり、微細藻類が捕食者から保護されつつ適正に繁殖することができ、このため微細藻類から放出される酸素が水底に潤沢に供給され、有機性堆積物を分解する好気性微生物を活性化させて有機性堆積物の分解を効果的に促進させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体に微細藻類を付着させ、該炭酸固化体を微細藻類の繁殖ベッドとして水底に沈設することを特徴とする底質の浄化方法。
【請求項2】
粒径100mm以下の炭酸固化体に微細藻類を付着させ、該炭酸固化体を水底に敷設することを特徴とする請求項1に記載の底質の浄化方法。
【請求項3】
炭酸固化体が小塊状又は/及び粗粒状に破砕された破砕物であることを特徴とする請求項2に記載の底質の浄化方法。
【請求項4】
微細藻類を含む水を炭酸固化体に含浸させることにより、微細藻類を炭酸固化体に付着させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の底質の浄化方法。
【請求項5】
微細藻類の栄養源となる物質を含有する溶液(但し、コロイド溶液を含む)を炭酸固化体に含浸させることにより、前記物質を炭酸固化体に付着させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の底質の浄化方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、沿岸海域や湖沼などにおいて有機性堆積物で汚染された底質を浄化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
港湾などの沿岸海域や湖沼では、生活廃水などの流入により水底に有機性物質が堆積し、底質や水質の環境汚染が引き起こされているところが数多く存在する。特に、有機性物質の堆積が多いところでは有機性物質の分解によりアンモニアが発生し、著しい環境汚染を引き起こす。
水底の有機性堆積物を処理する方法としては、有機性堆積物を物理的に取り除き、水底から取り出した有機性堆積物を燃焼処理や埋め立て処理する方法が考えられるが、このような有機性堆積物の処理は2次汚染を引き起こす恐れがあるため、その抑制手段も考慮した対策や技術が必要であり、全体的なコスト高となることから汎用的な方法とは言い難い。
【0003】
このような問題に対して、微生物の働きを利用した有機性堆積物の処理方法として、例えば、エアレーターを用いて水底に空気を吹き込み、好気性微生物の働きを促進させて有機物を処理する方法(特許文献1)が提案されている。
【特許文献1】特開平5−23694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の方法により広大な水域の水底に空気を吹き込むには、莫大な設備コストと運転コストが必要となり、実用化は困難である。
したがって本発明の目的は、水底の有機性堆積物を効果的且つ低コストで処理・無害化することができる底質の浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特許文献1のような人工の供給手段(エアレーターなど)を用いることなく、好気性微生物を活性化させるための酸素を水底に継続的に供給できる方法について検討を行い、まず、微細藻類を酸素供給手段として利用するという着想を得た。すなわち、微細藻類は光合成により酸素を放出するため、微細藻類を水底近くで繁殖させることにより、底質への酸素供給手段として機能させることができる。しかし、微細藻類は捕食者(主として動物プランクトン)により捕食されやすいため安定して増殖させることが難しく、一方において、極端に増殖させるとそれらの死骸がヘドロとなって堆積してしまうなど、底質への酸素供給手段として適正に機能させるには難しい面がある。本発明者らは、このような問題を解決すべく検討を重ねた結果、未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体に微細藻類を付着させ、これを微細藻類の繁殖ベッドとして水底に沈設することにより、水底において微細藻類が適正な状態で繁殖でき、酸素を底質に対して継続して安定的に供給できることが判明した。すなわち、微細藻類とその棲家としての炭酸固化体とを組み合わせることにより、人工的な供給手段を用いることなく底質に対して酸素を継続して安定的に供給し、好気性微生物の働きを活性化して有機性堆積物の分解を促進できることが判明した。
【0006】
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]未炭酸化Ca含有原料を炭酸化反応で固結させて得られた炭酸固化体に微細藻類を付着させ、該炭酸固化体を微細藻類の繁殖ベッドとして水底に沈設することを特徴とする底質の浄化方法。
[2]上記[1]の浄化方法において、粒径100mm以下の炭酸固化体に微細藻類を付着させ、該炭酸固化体を水底に敷設することを特徴とする底質の浄化方法。
【0007】
[3]上記[2]の浄化方法において、炭酸固化体が小塊状又は/及び粗粒状に破砕された破砕物であることを特徴とする底質の浄化方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの浄化方法において、微細藻類を含む水を炭酸固化体に含浸させることにより、微細藻類を炭酸固化体に付着させることを特徴とする底質の浄化方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの浄化方法において、微細藻類の栄養源となる物質を含有する溶液(但し、コロイド溶液を含む)を炭酸固化体に含浸させることにより、前記物質を炭酸固化体に付着させることを特徴とする底質の浄化方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、炭酸固化体が水底における微細藻類の好適な棲家となり、微細藻類が捕食者から保護されつつ適正に繁殖することができ、このため微細藻類から放出される酸素が水底に潤沢に供給され、好気性微生物を活性化させて有機性堆積物の分解を効果的に促進させることができ、水底の有機性堆積物を効果的且つ低コストに処理・無害化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
鉄鋼製造プロセスで発生するスラグなどのような粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を、炭酸ガス存在下で炭酸化反応により固結(炭酸固化)させた炭酸固化体が知られている。この炭酸固化体を製造するには、例えば、水分を添加した粉粒状の未炭酸化Ca含有原料を型枠に充填し、この原料充填層に炭酸ガス含有ガスを吹き込むことによって未炭酸化Ca含有原料に含まれる未炭酸化Caに炭酸化反応を生じさせ、この炭酸化反応で生成した炭酸カルシウムを主たるバインダーとして原料充填層を固結させ、ブロック化された炭酸固化体を得るものである。
【0010】
このようにして得られる炭酸固化体は、全体に無数の微細な貫通気孔(炭酸固化体内部に存在する微細気孔であって、連続した気孔の2つ以上の末端が炭酸固化体表面に開口している気孔)を有しており、一般にその貫通気孔率は20〜60%(体積率)程度にもなる。そして、この微細貫通気孔内には水などの液体を容易に浸透させることができ、しかも孔が微細であるため一度浸透した液体は表面張力の作用により炭酸固化体内部に保持される。
【0011】
本発明法では、上記のような炭酸固化体に微細藻類を付着させ、この炭酸固化体を微細藻類の繁殖ベッドとして水底に沈設するものである。上記のように炭酸固化体は全体に無数の微細な貫通気孔を有しており、この微細貫通気孔内には水を容易に浸透させることができる。しかも、炭酸固化体表面や微細貫通気孔内部の水のpHは8〜9程度の中性域であり、コンクリートのように高pH化することはない。さらに、一般にスラグなどを原料とする炭酸固化体は、微細藻類の栄養源となる有効成分(例えば、鉄分やシリカなど)を含んでおり、また、予めそのような有効成分を人為的に炭酸固化体に担持させておくこと(例えば、有効成分を炭酸固化体の原料の一部(添加材)として用い、或いは含浸などによって炭酸固化体に有効成分を付着させる)も容易である。したがって、炭酸固化体の表面や微細貫通気孔内部は、微細藻類の棲息環境として非常に好適なものであると言える。
【0012】
微細藻類は捕食者(動物プランクトンなど)により捕食されやすいため、一般に安定して増殖させることが難しく、一方において、極端に増殖させるとそれらの死骸がヘドロとなって堆積してしまうなどの難しい面があるが、炭酸固化体を水底での微細藻類の繁殖ベッドとした場合には、微細藻類は微細貫通気孔内を棲家にできるため捕食者による捕食から保護され、一方、過剰に増殖した微細藻類は微細貫通気孔外(すなわち、炭酸固化体表面)で捕食者に捕食されるため、死骸がヘドロとなって堆積してしまうなどの問題を生じることは少ない。しかも、微細貫通気孔内は、微細藻類にとって好適なpH環境であり且つ炭酸固化体から栄養源が常に供給される。このため微細藻類は、炭酸固化体の内部で適正な状態で増殖することができる。そして、このように炭酸固化体を棲家として繁殖する微細藻類からは光合成により生じた酸素が放出され、この酸素が底質に棲息する好気性微生物(ヘドロ分解菌)を活性化し、好気性微生物による有機堆積物の分解作用を促進する。
このように微細藻類とその棲家としての炭酸固化体とを組み合わせることにより、人工的な供給手段によることなく底質に酸素を継続して安定的に供給し、好気性微生物を活性化できる。
【0013】
炭酸固化体に付着させるべき微細藻類(所謂植物プランクトン)としては、例えば、珪藻類、ラン藻類、緑藻類、藍藻類、紅藻類、灰色藻類、クリプト藻類、渦鞭藻類、黄金色藻類、褐藻類、黄緑藻類、ハプト藻類、ラフィド藻類、ボーケリア藻類、ミドリムシ藻類、プラシノ藻類、車軸藻類等を挙げることができる。なかでも特に、付着性微細藻類である珪藻類、ラン藻類、緑藻類は好適に利用できる。
【0014】
本発明で使用する炭酸固化体の大きさ等に特段の制約はなく、また、形状についても、立方体や長方体形状のほかに種々の形状のものを用いることができ、また、不定形のものであってもよい。
また、炭酸固化体を微細藻類の棲家とし、そこで繁殖する微細藻類から底質(有機堆積物)に対して効率的に酸素を供給するには、比較的粒径の小さい炭酸固化体を水底に敷設する(敷きつめる)ようにすることが好ましい。具体的には、粒径100mm以下、すなわち100mmの網目の篩下に相当する小塊状又は/及び粗粒状の炭酸固化体を用い、この炭酸固化体に微細藻類を付着させ、水底に敷設することが好ましい。このような炭酸固化体の敷設は、水底にまばらに分布するような形態でもよいが、層状になるように敷設してもよい。
【0015】
なお、炭酸固化体の粒径が小さくなると潮流などにより流失するおそれが出てくるので、敷設水域の潮流などに応じて粒径を選択することが好ましい。一般には、潮流の速度は沖合いでは大きく、沿岸では小さい傾向があるので、これらも考慮して炭酸固化体の粒径を選択することが好ましい。なお、小塊状又は/及び粗粒状の炭酸固化体の粒径の下限は、敷設後の流失性などの観点から適宜選択されるが、一般には1mm程度とすることが好ましい。
ここで、粒径100mm以下の小塊状又は/及び粗粒状の炭酸固化体は、それ自体を小さい型枠などを用いて製造してもよいが、比較的大型の型枠などを用いて製造された大きい炭酸固化体を適当な大きさに破砕することにより、比較的容易に得ることができ、このような炭酸固化体の破砕物をそのまま用いることができる。炭酸固化体の破砕手段としては適当なクラッシャーなどでよく、また、必要に応じて破砕物を篩などを用いて粒度調整すればよい。
【0016】
炭酸固化体の微細貫通気孔は、微細藻類の棲家としてより好適なものとするため、5〜100μm程度の平均気孔径を有することが好ましい。これは、微細藻類の大きさが1〜100μm程度であるためである。
微細貫通気孔は、炭酸固化体を構成する未炭酸化Ca含有原料の粒子間の隙間により形成されるものであり、したがって、その気孔径は原料粒子の粒度に左右される。
【0017】
本発明で使用する炭酸固化体は、その構成成分として、微細海藻の栄養源となる成分(有効成分)を含有していることが好ましく、そのような有効成分としては、鉄源、可溶性シリカ源、リン、窒素源などが挙げられる。有効成分はスラグなどの原料(未炭酸化Ca含有原料)に元々含まれているものであってもよいし、添加材として別に添加したものであってもよい。その詳細については後に詳述する。
このような有効成分は、炭酸固化体の微細貫通気孔内で水に溶出し、微細藻類の栄養源になる。
【0018】
微細藻類を炭酸固化体に付着させる方法は任意であるが、微細藻類を培養した水を炭酸固化体に含浸させる方法が最も簡便である。例えば、微細藻類が培養された水(好ましくは、微細藻類が高濃度に培養された水)に炭酸固化体を浸漬する方法、或いは微細藻類が培養された水を(好ましくは、微細藻類が高濃度に培養された水)を炭酸固化体に散布する方法を採れば、微細藻類を含んだ水は微細貫通気孔内に速やかに吸収されるので、微細藻類を炭酸固化体に容易に付着(含浸)させることができる。また、デンプン等の多糖類、ゼラチンや寒天等のゲル化剤を用いて、微細藻類を含んだ水に適当な粘性を与えた状態で、炭酸固化体に含浸させてもよい。
さらに、微細藻類をゲル状の高分子体(例えば、デンプン、ゼラチン、寒天等)に混合し、これを炭酸固化体の表面に擦り込む方法を採ってもよい。
なお、微細藻類の生存率を高めるため、炭酸固化体に微細藻類を付着させる作業は水中沈設の直前に行うか、若しくは微細藻類を付着させた炭酸固化体を水中に沈設するまで保湿することが好ましい。
【0019】
炭酸固化体に微細藻類を含む水を含浸させるに当たっては、炭酸化処理したままの炭酸固化体に溶液を含浸させてもよいが、炭酸化処理したままの炭酸固化体内部には相当程度の水分(炭酸化処理に必要な水)が含まれているため、多量の溶液を炭酸固化体内部に十分に含浸させるには、炭酸固化体を乾燥処理してその内部の水分の一部又は実質的な全部を蒸発させた後、微細藻類を含む水を含浸させることが望ましい。炭酸固化体の乾燥処理は、雨水などの水がかからないような場所に適当な期間放置して自然乾燥させる方法でもよいし、加熱等により強制的に乾燥させる方法でもよい。
【0020】
また、炭酸固化体には、微細藻類の栄養源となる物質(有効成分)を含む溶液を含浸させることにより、その物質を予め付着させておくことができる。このような微細藻類の有効成分を炭酸固化体に付着させる工程は、通常、微細藻類を付着させる工程の前に行うが、場合によっては、同工程の後に行ってもよい。この有効成分としては、先に挙げた鉄分(Feイオン)、珪酸(珪酸イオン、微粒子シリカ)、リン酸塩、窒化物、硝酸塩、尿素などが挙げられる。具体的には、例えば、Feや珪酸を含有する有機化合物(例えば、有機酸、有機酸塩等)、無機化合物(例えば、金属酸化物、金属塩等)を水等の溶媒に溶解させ、或いは珪酸の場合には微粒子シリカを溶媒にコロイド状に分散させることにより得られた溶液を用いる。
炭酸固化体に有効成分を含む溶液を含浸させる方法としては、炭酸固化体を溶液中に浸漬する方法、溶液を炭酸固化体に散布する方法など適宜な方法を採ることができる。なお、溶液としては、水等の溶媒に有効成分を溶解させたものだけでなく、溶媒に有効成分を分散させたコロイド溶液を用いてもよい。
【0021】
本発明では、以上のようにして微細藻類を付着させた炭酸固化体を、有機性堆積物が存在する水底(微細藻類の光合成に必要な光が届く水底)に底質浄化材として沈設する。沈設の形態は任意であるが、さきに述べたように粒径の小さい炭酸固化体(例えば、炭酸固化体の破砕物)を水底に敷設するような形態が特に好ましい。このような炭酸固化体の沈設により、さきに述べたように炭酸固化体内部で微細藻類が繁殖し、微細藻類から放出される酸素が底質に供給されて好気性微生物を活性化させ、有機性堆積物の分解(底質の浄化)を促進させる。
なお、炭酸固化体を沈設する水域は、海水域、淡水域(河川、湖沼などを含む)、汽水域を問わない。
【0022】
炭酸固化体を得る方法は従来公知の方法でよく、水分を含んだ未炭酸化Ca含有原料に炭酸ガス存在下で炭酸化反応を生じさせることにより、未炭酸化Ca含有原料を固結させて炭酸固化体とする。一般には、型枠内に適度な水分を含んだ未炭酸化Ca含有原料を充填して原料充填層を形成し、この原料充填層内に炭酸ガス含有ガスを吹き込むことにより、原料充填層を炭酸反応により固化させ、炭酸固化体を得る。
【0023】
以下、炭酸固化体の好ましい製造条件について説明する。
未炭酸化Ca含有原料中に含まれる未炭酸化Ca、すなわちCaO及び/又はCa(OH)は、少なくとも固体粒子の組成の一部として含まれるものであればよく、したがって、鉱物としてのCaO、Ca(OH)の他に、2CaO・SiO、3CaO・SiO、ガラスなどのように組成の一部として固体粒子中に存在するものも含まれる。
【0024】
未炭酸化Ca含有原料としては、上記のように少なくとも組成の一部として未炭酸化Caを含むものであれば特に制限はないが、未炭酸化Caの含有率が高く、しかも資源のリサイクルを図ることができるという点で、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ、コンクリート(例えば、廃コンクリート)などが特に好ましい。一般に、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグのCaO濃度は約13〜55mass%、また、コンクリート(例えば、廃コンクリート)のCaO濃度は約5〜15mass%(セメント中のCaO濃度:50〜60mass%)であり、また、これらは入手も容易であるため、未炭酸化Ca含有原料として極めて好適な素材であるといえる。したがって、未炭酸化Ca含有原料の少なくとも一部が、また特に望ましくは主たる原料がスラグ及び/又はコンクリートであることが好ましい。
【0025】
鉄鋼製造プロセスで発生するスラグとしては、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグなどの高炉系スラグ、予備処理、転炉、鋳造などの工程で発生する脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造スラグなどの製鋼系スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、2種以上のスラグを混合して用いることもできる。
また、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグには相当量の鉄分(粒鉄などの鉄分)が含まれているが、スラグとしてはこの鉄分(地金)の回収処理を経たものを用いてもよい。
【0026】
また、コンクリートとしては、例えば、建築物や土木構造物の取壊しなどにより生じた廃コンクリートなどを用いることができる。
また、未炭酸化Ca含有材としては、上記のスラグやコンクリート以外に、モルタル、ガラス、アルミナセメント、CaO含有耐火物などが挙げられ、これらの1種以上を単独でまたは混合して、或いはスラグ及び/又はコンクリートと混合して使用することもできる。
これらの材料は必要に応じて細粒状に破砕処理され、原料として用いられる。
【0027】
未炭酸化Ca含有原料は、その全量が未炭酸化Caを含む固体粒子である必要はない。すなわち、未炭酸化Ca含有原料に含まれる未炭酸化Caの炭酸化によって炭酸固化体のバインダーとして十分な量のCaCOが生成されるのであれば、未炭酸化Ca含有原料に未炭酸化Caを含まない固体粒子が含まれていてもよい。
一般に、スラグなどには鉄源、可溶性シリカ源などの有効成分(微細藻類の栄養源となる成分)が含まれているが、添加材として、鉄源や可溶性シリカ源などの有効成分源となる固体粒子を配合してもよい。添加材としては、例えば、可溶性シリカ源(フライアッシュ、クリンカーアッシュ)、鉄源(金属鉄、酸化鉄など)、リン源、窒素源(尿素など)などが挙げられる。また、これら以外にも任意の成分(粒子)を適量、すなわち炭酸固化体の強度低下などを招かない限度で含むことができる。
【0028】
未炭酸化Ca含有原料の粒度にも特別な制限はないが、COとの接触面積を確保して反応性を高めるためには、ある程度粒度が細かい方が好ましい。また、未炭酸化Ca含有原料の粒度が大き過ぎると、原料粒子内部に炭酸化しきれないCaが残存するため、製造された炭酸固化体中の原料粒子が膨張崩壊し、亀裂などの原因となる場合もある。以上の観点から、未炭酸化Ca含有原料は実質的に(すなわち、不可避的に含まれる粒度の大きい固体粒子を除き)10mm以下、より望ましくは5mm以下、特に望ましくは3mm以下の粒度のものが好ましい。
【0029】
未炭酸化Ca含有原料に炭酸化反応を生じさせるために使用される炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスとしては、例えば、一貫製鉄所内で排出される石灰焼成工場排ガス(通常、CO:25%前後)や加熱炉排ガス(通常、CO:6.5%前後)などが好適であるが、これらに限定されるものではない。また、ガス中のCO濃度が低すぎると処理効率が低下するという問題を生じるが、それ以外の問題は格別ない。したがって、CO濃度は特に限定しないが、効率的な処理を行うには3%以上のCO濃度とすることが好ましい。
【0030】
また、炭酸ガスの供給量にも特別な制限はないが、一般的な目安としては0.004〜0.5m/min・t(原料ton)程度のガス供給量が確保できればよい。また、ガス供給時間(炭酸化処理時間)にも特別な制約はないが、目安としては炭酸ガスの供給量が未炭酸化Ca含有原料の重量の3%以上となる時点、すなわち、ガス量に換算すると原料1t当たり15m以上、好ましくは200m以上の炭酸ガスが供給されるまでガス供給を行うことが好ましい。
【0031】
供給される炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスは常温でよいが、ガスが常温よりも高温であればそれだけ反応性が高まるため有利である。但し、ガスの温度が過剰に高いと混合原料の水分を乾燥させたり、或いはCaCOがCaOとCOに分解してしまうため、高温ガスを用いる場合でもこのような分解を生じない程度の温度のガスを用いる必要がある。
また、炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスは原料の乾燥を防ぐために加湿した状態で混合原料に供給されることが好ましい。このため混合原料にガスを供給するに当たっては、炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスを一旦水中に吹き込んでHOを飽和させた後、原料に供給することが好ましく、これにより混合原料の乾燥を防止して炭酸化反応を促進させることができる。
【0032】
未炭酸化Ca含有原料が炭酸ガスと接触して炭酸化反応により固結するには、先に述べたように水分(原料粒子の表面付着水)が必要であり、このため必要に応じて原料に水分を添加する。通常、原料の含水率は3〜12%、好ましくは5〜10%程度とするのが適当である。
また、炭酸固化体は、未炭酸化Ca含有原料の予成形体を炭酸ガス雰囲気内に置き、炭酸ガスを予成形体外面から内部に浸透させるようにして製造することもできる。この場合には、未炭酸化Ca含有原料を圧縮成形などによって予成形し、この予成形されたものを炭酸ガス雰囲気内に置いて炭酸固化させる。
【実施例】
【0033】
炭酸固化体(本発明例)及び他の試験体(比較例)に対する微細藻類の付着性を調べるために、付着性微細藻類としてニッチア属を用いて、以下の条件にて試験を行った。
試験体としては、炭酸固化体、未炭酸化スラグ、ガラスビーズ(各々平均粒径3mm)を用いた。培養容器(30ml容積)に微細藻類の培養に一般的に使用されるギラード培地を15ml加え、試験体1gに対して微細藻類を終濃度10,000cells/mlになるように添加した。また、光量子量は50μE/m/secとし、日照時間:10時間、温度:15℃にて10日間培養した。培養後、各試験体を人工海水にて3回洗浄したものを微細藻類付着試料とした。各試料に付着した微細藻類は、超音波処理にて剥離し、計数を行った。微細藻類の計数方法は直接計数法にて行い、顕微鏡にて血球計算盤を用いた細胞数の計測を行った。
【0034】
その結果を以下に示す。炭酸固化体の微細藻類の付着量は未炭酸化スラグの約2倍、ガラスビーズの約3倍であり、炭酸固化体はpH等の点で微細藻類にとって好適な棲家(構造体)であることが判る。
[試験体] [微細藻類の付着量]
炭酸固化体 1,000,000 cells/ml
未炭酸化スラグ 600,000 cells/ml
ガラスビーズ 300,000 cells/ml




 

 


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