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鋼帯の製造方法 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 鋼帯の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−70665(P2007−70665A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−256701(P2005−256701)
出願日 平成17年9月5日(2005.9.5)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 佐々木 成人 / 高橋 秀行
要約 課題
鋼帯冷却開始温度が高い場合であっても、酸化物生成を抑制する作用が優れ、かつ冷却時の温度ムラによる鋼帯形状の劣化を防止できる鋼帯の製造方法を提供する。

解決手段
加熱処理工程と、加熱処理後に冷却する冷却工程を含む鋼帯の製造方法において、前記冷却工程は、アスコルビン酸化合物、またはさらにオキシカルボン酸を含む液体をスプレーにより噴射し、鋼帯を冷却する。前記液体中のアスコルビン酸化合物の含有量は、質量比で0.1%以上2%以下である。前記液体中のオキシカルボン酸の含有量は、質量比で0.1%以上3%以下である。
特許請求の範囲
【請求項1】
加熱処理工程と、加熱処理後に冷却する冷却工程を含む鋼帯の製造方法において、前記冷却工程は、アスコルビン酸化合物を含む液体をスプレーにより噴射し、鋼帯を冷却することを特徴とする鋼帯の製造方法。
【請求項2】
前記アスコルビン酸化合物を含む液体は、さらにオキシカルボン酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼帯の製造方法。
【請求項3】
前記液体中のアスコルビン酸化合物の含有量は、質量比で0.1%以上2%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼帯の製造方法。
【請求項4】
前記液体中のオキシカルボン酸の含有量は、質量比で0.1%以上3%以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の鋼帯の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼帯の表面酸化を抑制し、表面外観に優れる鋼帯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鋼帯の製造には連続焼鈍が用いられている。例えば、高強度鋼帯を製造する場合、鋼帯を加熱焼鈍後高速冷却して製造される。高速冷却手法としては、水浸漬法(例えば特許文献1等参照)等が行われている。しかし、この手法で鋼帯を高速冷却すると、鋼帯表面に酸化物が形成され、外観品質が劣化する問題があり、また、冷却時の温度ムラによって鋼帯形状が劣化する等の問題がある。鋼帯形状劣化等の問題は、水噴射ノズルの構造を改善することである程度改善できる(例えば特許文献2〜4等参照)が、外観劣化を防止できる程度に酸化物の生成を抑制することは困難であった。
【0003】
近年、鋼帯の耐食性を向上させるために、焼鈍後の鋼帯に溶融亜鉛めっきを施した高強度溶融亜鉛めっき鋼板も製造されるようになってきた。表面に酸化物が生成した鋼帯に溶融亜鉛めっきを施すと不メッキ等が発生し、表面外観が低下する問題がある。
【0004】
そのため、冷却媒体の水への添加剤を検討することで、酸化物の生成を抑制する技術が開示されている。例えば、特許文献5には、水溶性有機酸と水溶性有機アミンからなる金属冷却剤が記載され、さらに、前記水溶性有機酸は炭素数3以上の水溶性ジカルボン酸であり、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸等の飽和ジカルボン酸と、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸と、リンゴ酸、酒石酸等のオキシカルボン酸とが好ましい例としてあげられている。
【0005】
また、特許文献6には、有機酸又は無機酸を含む液体を用いて気液による噴霧冷却を行う技術が開示され、有機酸として、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、コハク酸等の直鎖脂肪族酸、及びクエン酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸等のオキシ酸、及びニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ソーダ等のアミノ酸が適当であり、無機酸としては硝酸、硫酸、塩酸などが適当であると記載されている。
【0006】
また、特許文献7には、α−アミノ酸を含有した水溶液を用いて気水冷却を行うことが記載されている。
【特許文献1】特公昭49−17131号公報
【特許文献2】特開昭51−73911号公報
【特許文献3】特開昭60−9834号公報
【特許文献4】特公昭63−14053号公報
【特許文献5】特開昭57−85923号公報
【特許文献6】特公昭57−47738号公報
【特許文献7】特開昭61−201736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述の特許文献5〜7で開示される技術は、酸化物生成を抑制する作用が安定して発現されず、特に、鋼帯の冷却開始温度が高くなると、酸化物生成を抑制する作用が不十分となりやすい。そのため、冷却後に生成した酸化物を除去するための酸洗処理が行われる。また、酸化物を含む冷媒中に鋼帯を単に浸漬した場合には、冷却中に鋼帯表面で膜沸騰状態となってしまい、冷却時に温度ムラが発生してしまうため鋼帯形状が悪化する等の問題もあるが、上記特許文献5〜7で開示されている技術では、鋼帯の形状に関して詳細な記載はされていない。
【0008】
本発明の課題は、前記問題点を解決し、鋼帯冷却開始温度が高い場合であっても、酸化物生成を抑制する作用が優れ、かつ冷却時の温度ムラによる鋼帯形状の劣化を防止できる鋼帯の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の要旨は次のとおりである。
【0010】
第1発明は、加熱処理工程と、加熱処理後に冷却する冷却工程を含む鋼帯の製造方法において、前記冷却工程は、アスコルビン酸化合物を含む液体をスプレーにより噴射し、鋼帯を冷却することを特徴とする鋼帯の製造方法である。
【0011】
第2発明は、第1発明において、前記アスコルビン酸化合物を含む液体は、さらにオキシカルボン酸を含むことを特徴とする鋼帯の製造方法である。
【0012】
第3発明は、第1発明または第2発明において、前記液体中のアスコルビン酸化合物の含有量は、質量比で0.1%以上2%以下であることを特徴とする鋼帯の製造方法である。
【0013】
第4発明は、第2発明または第3発明において、前記液体中のオキシカルボン酸の含有量は、質量比で0.1%以上3%以下であることを特徴とする鋼帯の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、アスコルビン酸化合物を含む液体、またはアスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を含む冷媒をスプレーにより鋼帯に噴射することで、鋼帯表面を酸化させないで均一に冷却することが可能であり、冷却後に酸洗等を行わなくても表面外観に優れた鋼帯が得られる。また、スプレーにより鋼帯へ均一に冷媒を噴射することにより、冷却速度が安定化し、鋼帯幅方向の温度ムラが小さくなるため、冷却により形状不良もほとんど発生しなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明者らは、酸化物の生成を抑制できる冷却方法について種々検討調査した結果、水冷の冷媒中(=水)にアスコルビン酸化合物を含有させることで、鋼帯冷却開始温度が高い場合であっても酸化物の生成を抑制する作用が優れ、また鋼帯形状を劣化させる問題も冷媒が水だけである場合に比べて大幅に改善できることを見出した。さらに検討した結果、アスコルビン酸化合物を含有する液体を用いて鋼帯を冷却する場合、冷却方法をスプレー冷却に限定することで、冷却時における鋼帯形状の劣化を極めて低いレベルに抑えることができることを見出した。
【0016】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0017】
本発明では、冷媒である冷却水にアスコルビン酸化合物、またはアスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を含ませることを限定する。これは以下の冷却試験結果に基づく。
【0018】
本発明者らは、窒素95%+水素5%の雰囲気(露点:−40℃)中で、850℃で1分加熱し、加熱した鋼帯に対して、種々のオキシカルボン酸、アスコルビン酸化合物を添加した冷媒(水)を用いて、鋼帯を冷媒中に浸漬冷却する冷却試験を実施し、酸化膜厚さの評価を行った。冷却中のサンプルの温度変化をCA熱電対で測定し、焼入れ開始温度は400℃〜800℃とした。酸化膜厚さの評価はGDS(グロー放電発光分析)で行った。使用したサンプル(板厚1.2mm×幅300mm×長さ150mm)の成分組成を表1に示す。
【0019】
【表1】


【0020】
使用した冷媒、冷却開始温度、冷却後の酸化膜厚さを表2及び図1〜5に示す。
【0021】
【表2】


【0022】
この冷却試験から、アスコルビン酸化合物は高温焼入れでもその酸化防止効果は非常に大きいこと、オキシカルボン酸は、高温焼入れでは酸化防止効果は小さいが、低温では十分大きいことが分かる。酸化量は鋼帯用途にもよるが100mg/m以上になると外観上問題になる場合が多く、この値を基準に考えるとアスコルビン酸化合物濃度は600℃以上の高温焼入れでは0.2%以上、600℃未満の低温焼入れであれば0.1%以上あれば十分であることが分かる。
【0023】
また、オキシカルボン酸単独でも酸化量生成を抑制する作用があり、冷却開始温度が500℃以下ではオキシカルボン酸単独でも100mg/m以下の酸化量に調整可能であることがわかる。しかし、その作用はアスコルビン酸化合物に比べて劣るため冷却開始温度が500℃超になると、鋼帯酸化物生成量を安定して100mg/m以下にできない。
【0024】
アスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を複合添加したものは、アスコルビン酸化合物単独添加の場合に比べて酸化量が僅かに増加するだけで低温域ではほぼ同程度の酸化量である。
【0025】
以上の結果から、本発明では、冷媒である冷却水にアスコルビン酸化合物、またはアスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を含ませることを限定した。
【0026】
アスコルビン酸化合物は例えばアスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、イソアスコルビン酸、イソアスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸カリウムなどであり、本発明では、冷媒に1種以上のアスコルビン酸化合物を含有させる。これらの物質は酸素との反応速度が非常に速いという性質を持つ。水冷による鋼帯の酸化は、冷媒と鋼帯の接触直後の非常に短い時間で進行すると考えられ、このことが、水冷による鋼帯酸化を効果的に防止する理由であると考えられる。また冷媒が蒸発して冷却開始前の高温の鋼帯と接触しても酸化物生成が少なくなると考えられる。この効果は、アスコルビン酸化合物以外の化合物を含む場合に比べて、特に冷媒による冷却開始時の鋼帯温度(焼入れ温度)が高い場合に顕著であり、例えば600℃以上の焼入れ温度の場合、オキシカルボン酸のみでは表面酸化が目立つのに対し、冷媒中にアスコルビン酸化合物を質量比で0.2%以上含めば、表面酸化を抑制可能である。
【0027】
鋼帯表面酸化を抑制するのに必要なアスコルビン酸化合物の濃度は焼入れ温度(冷却開始鋼帯温度)によって異なる。酸化防止のためには、アスコルビン酸化合物の濃度は600℃以上の高温焼入れでは0.2%以上、600℃未満の低温焼入れであれば0.1%以上で十分である。ただし、実際の操業では焼入れ開始温度が種々あるのが普通であるので、このような場合は、アスコルビン酸化合物濃度は前記濃度+0.1%以上の濃度に調整することが好ましい。鋼帯表面酸化を抑制する上で、アスコルビン酸化合物の濃度の上限は規定されないが、コスト面からは2%程度が好ましい。
【0028】
表面酸化状態は主に冷媒中に含まれるアスコルビン酸化合物の濃度でほぼ決定される。したがって、表面酸化状況をモニターし、モニターした表面酸化状況に応じて、アスコルビン酸化合物の濃度を調整すれば経済的である。この酸化状況をモニターする手法は、例えば、レーザーによる反射率測定や、蛍光X線法などの物理分析、あるいは画像処理法などが考えられ、その手法は特に限定する必要はない。
【0029】
本発明では、冷媒に、さらに1種以上のオキシカルボン酸を含有させることができる。オキシカルボン酸は例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸などであり、キレート剤の役割をする。このオキシカルボン酸は、鋼素地の溶解を促進させる作用と、溶解した鉄イオンをキレート作用により可溶性錯体に変化させる作用を持つため、鋼帯表面の酸化膜生成防止とともに、鉄イオンの鋼帯への再付着を防止する作用、すなわち鋼帯面へのスラジ等の再付着を防止する効果を持ち、また冷却能や酸化防止能力などの冷媒品質を長期間一定に保つ効果を持つ。その効果はオキシカルボン酸濃度が高いほど長時間保持できる。そのため、冷媒に、アスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を含有することで、より安価に安定して鋼帯表面の酸化物生成を抑制できる。
【0030】
冷媒中にアスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を含有させる場合、オキシカルボン酸の濃度は0.1%以上が好ましい。鋼帯表面酸化を抑制する上で、オキシカルボン酸の濃度の上限は規定されないが、コスト面からは3%以下が好ましい。アスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を複合添加する場合、両者の混合比は鋼帯の冷却開始温度を考慮して決定することが好ましい。すなわち、鋼帯の冷却開始温度が低いと反応速度が小さいので、酸素との反応速度が速いアスコルビン酸化合物よりも、キレート作用があり、かつ比較的安価なオキシカルボン酸の配合比を高める方が液寿命や経済性の点で有利である。逆に鋼帯の冷却開始温度が高い場合、酸化防止の観点で、酸素との反応速度が速いアスコルビン酸化合物の混合比を高める方が有利であり、表面外観を重視する鋼帯の場合は、アスコルビン酸化合物の混合比を高めることが特に有効である。
【0031】
オキシカルボン酸とアスコルビン酸化合物の最適な混合比であるが、これは、鋼帯の侵入板温で異なる。すなわち、500℃以下の低温ではオキシカルボン酸とアスコルビン酸化合物の混合比を8:2程度にする方が効果的である。これは、低温では反応速度が小さいため、酸素との反応速度が速いアスコルビン酸化合物よりも、キレート作用があり、かつ比較的安価なオキシカルボン酸の配合比を高めた方が液寿命や経済性の点で有利であるためである。逆に700℃以上の高温では、酸化防止の観点で、逆にオキシカルボン酸とアスコルビン酸化合物の混合比を2:8程度にした方が好適であり、表面外観を重視する場合は、特に重要となる。500〜700℃程度の中間の温度域では経済性と表面品質の観点から1:1程度が望ましいが、鋼帯の使用用途により変化させても良い。
【0032】
前述の浸漬方式による冷却試験では、高温の鋼帯を冷媒液(冷却水)中に浸漬冷却すると、冷却時に鋼板と冷却水との接触界面に不規則に蒸気膜が形成され、温度ムラが発生する問題があった。この温度ムラは、熱応力を発生させるため、鋼帯の反りを誘発し、形状不良を発生させ、さらには材質の不均一性の原因ともなるため、極力抑制させる必要がある。
【0033】
これに対し、鋼帯の両面に冷媒をスプレーにより噴霧して冷却した場合、鋼帯表面に常に新鮮な冷却水が供給されることで、不規則な蒸気膜の形成を抑制し、鋼帯をより均一に冷却することができ、それによって鋼帯形状の劣化を防止する作用が格段に優れることが分かった。そのため、本発明では、冷却方式をスプレー冷却に限定した。
【0034】
スプレー冷却方法については、市販のスプレーノズル、例えば噴射後の鋼板への噴霧形状が正方形状となる、角吹きスプレーノズルや噴射後の噴霧形状が楕円状となる、楕円ノズルを用いて鋼板の幅方向に均一に冷却水が噴射されるように配置し、鋼板の表裏面を冷却する方法や冷却水の噴射項がスリット状で鋼板の板幅と同等の長さのスリットノズルを鋼板の表裏面に対向させて設置し幅方向に均一に冷却する方法などが挙げられる。ノズルの噴射圧力、噴射流量については特に規定はなく、鋼板を所定の冷却停止温度とするために必要な冷却長が確保可能な範囲で設定すればよい。
【0035】
本発明によれば、アスコルビン酸化合物を含有した冷媒をスプレーにより均一に鋼帯へ噴射し冷却を行うことにより、鋼帯冷却開始温度が高い場合であっても酸化物の生成を抑制する作用が優れ、またスプレーにより均一に鋼帯へ冷媒を噴射させることにより、浸漬冷却時に起こる鋼帯形状を劣化させる問題点を解消できる。
【0036】
前述のアスコルビン酸化合物、オキシカルボン酸は、そのほとんどが食品添加を認められているなど安全性が極めて高く、生分解性に優れているため、特別な排水処理設備が不要であり、また酸洗やリンス工程などの後処理も不要であるため、設備コスト、ランニングコストの点からも有利である。
【0037】
本発明において、加熱処理工程は、冷間圧延鋼帯焼鈍炉(連続焼鈍炉)の再結晶焼鈍を行う焼鈍工程であってもよく、また焼鈍炉を備えた連続溶融亜鉛めっき装置の加熱焼鈍工程であってもよい。前記焼鈍炉は、加熱焼鈍工程の後方に過時効処理工程を有していてもよい。また、冷却工程は、再結晶焼鈍後の冷却工程であってもよく、過時効処理後の冷却工程であってもよい。
【0038】
冷却工程の後で溶融亜鉛めっきを行う場合、冷却工程は、めっき浴温より低い温度まで冷却し、その後加熱装置で鋼帯をめっき浴に浸漬させるのに適した温度、例えば450〜500℃程度の温度まで再加熱した後めっき浴に浸漬してもよい。また、冷却工程は、冷却終了温度を、鋼帯をめっき浴に浸漬させるのに適した温度まで冷却してめっき浴に浸漬させてもよい。溶融亜鉛めっき後、必要に応じて合金化処理を行ってもよい。
【0039】
以上述べたごとく、本発明によれば、冷却時の鋼帯表面酸化の問題や、温度ムラに起因する鋼帯形状不良を防止しながら、急速冷却を行うことが可能となる。さらに使用する物質も排水処理設備等が不要であり、特段の後処理も不要であるため、設備費やランニングコストを抑制することが可能である。
【実施例1】
【0040】
表1の成分組成を有し、板厚1.2mm×幅300mm×長さ150mmで形状が平坦なサンプルを、窒素95%+水素5%の雰囲気(露点:−40℃)中で、850℃で1分加熱した鋼帯に対して、種々のオキシカルボン酸、アスコルビン酸化合物を添加した冷媒(水)を用いて冷却試験を実施した。冷却方法としては、鋼帯の両面をスプレーにて冷媒で冷却する方法と、冷媒中に浸漬させる方法の2種類の方法にて試験を実施し、各冷却条件での冷却後の外観、形状を評価した。
【0041】
スプレー冷却は、図6に示すスプレー冷却装置を用いて、冷媒2をポンプ3で加圧し、サンプル(鋼帯)5の両面にスプレーノズル4から鋼帯面でのスプレー噴射圧力、水量密度がそれぞれ噴射圧力1.0kgf/cm、水量密度500L/(min*m)となるように設定した。スプレーの冷却面積は、サンプル5の全面を均一に冷却できるようにした。スプレー冷却の場合には、冷却開始温度となった時点で冷媒の噴射を開始し、浸漬冷却の場合は、冷却開始温度となった時点で、冷媒中へ浸漬させた。
【0042】
冷却後の形状は、図7に示すように、冷却後のサンプルの反り量(Δh)を測定することにより評価した。
【0043】
これまでの試験から、冷却後の鋼帯外観と酸化膜厚は良い相関があることが分かっているので、酸化膜厚さの評価は、冷却後の供試鋼帯の外観を目視観察して評価した。具体的には、予め準備した酸化膜厚が既知で酸化膜厚の異なる鋼帯と外観を比較して供試鋼板の酸化膜厚を評価し、酸化膜厚200mg/m以上は×、100mg/m以上200mg/m未満は△、50mg/m以上100mg/m未満は○、50mg/m以下は◎とした。
【0044】
各冷却条件での冷却後の外観、形状の評価結果を表3に示す。
【0045】
【表3】


【0046】
蒸留水のみの場合は、外観と形状がいずれも劣る。蒸留水にオキシカルボン酸を混合させた場合、外観は蒸留水のみに比べ外観は良好となるが、表層に微量の酸化膜が形成されるため、アスコルビン酸化合物のみの場合及びアスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸化合物を混合した場合に比べ外観がやや劣る。形状については、スプレー冷却では良好な形状が得られているが、浸漬冷却では形状が劣る。蒸留水にアスコルビン酸化合物を混合させた場合、蒸留水にアスコルビン酸化合物とオキシカルボン酸を混合させた場合、スプレー冷却では外観と形状がいずれも良好であるが、浸漬冷却では、外観が良好であるが、形状が劣る。
【0047】
浸漬冷却で形状が劣るのは、膜沸騰に起因する冷却ムラが局所的に発生してしまい、熱歪によりサンプルの形状が悪化したためであり、スプレー冷却では膜沸騰に起因する冷却ムラが抑制され、鋼板両面が均一に冷却されたためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、鋼帯冷却開始温度が高い場合であっても、酸化物生成に起因する外観不良を防止し、また冷却時の温度ムラによる鋼帯形状の劣化を防止して、外観と形状の良好な鋼帯の製造方法として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】鋼帯焼入れ開始温度800℃での冷媒溶質濃度と生成した鋼帯酸化量の関係を示す図である。
【図2】鋼帯焼入れ開始温度700℃での冷媒溶質濃度と生成した鋼帯酸化量の関係を示す図である。
【図3】鋼帯焼入れ開始温度600℃での冷媒溶質濃度と生成した鋼帯酸化量の関係を示す図である。
【図4】鋼帯焼入れ開始温度500℃での冷媒溶質濃度と生成した鋼帯酸化量の関係を示す図である。
【図5】鋼帯焼入れ開始温度400℃での冷媒溶質濃度と生成した鋼帯酸化量の関係を示す図である。
【図6】実施例で使用したスプレー冷却装置の概略図である。
【図7】実施例における冷却時の鋼帯形状の評価方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0050】
1 冷媒タンク
2 冷媒
3 ポンプ
4 スプレーノズル
5 サンプル(鋼帯)




 

 


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