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発明の名称 溶融金属めっき鋼帯の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−70664(P2007−70664A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−256700(P2005−256700)
出願日 平成17年9月5日(2005.9.5)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 高橋 秀行
要約 課題
さざ波欠陥の発生を防止し、表面外観に優れる溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法を提供する。

解決手段
鋼帯を、溶融金属めっき浴槽内のめっき浴に連続的に浸漬してめっきを行ったのちめっき浴から引上げ、めっき浴上方に設置したワイピングノズルからめっき鋼帯にワイピングガスを吹付けてめっき金属付着量を調整する溶融金属めっき鋼帯の製造方法において、ワイピングノズルの上方200mm超、1800mm以下の位置に補助ノズルを設け、該補助ノズルから鋼帯全巾に気体を吹付けてワイピングガスの上昇流に対するカウンター流を供給し、補助ノズルからのガス吹き付け部より上方の気体上昇流の流速を低下させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
鋼帯を、溶融金属めっき浴槽内のめっき浴に連続的に浸漬してめっきを行ったのちめっき浴から引上げ、めっき浴上方に設置したワイピングノズルからめっき鋼帯にワイピングガスを吹付けてめっき金属付着量を調整する溶融金属めっき鋼帯の製造方法において、ワイピングノズルの上方200mm超、1800mm以下の位置に補助ノズルを設け、該補助ノズルから鋼帯全巾に気体を吹付けてワイピングガスの上昇流に対するカウンター流を供給し、補助ノズルからのガス吹き付け部より上方の気体上昇流の流速を低下させることを特徴とする溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【請求項2】
補助ノズルから鋼帯全幅にガスを吹き付けて、ワイピングノズル上方500mm、1000mm及び1500mmの位置の気体上昇流の平均流速を22m/s以下にすることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【請求項3】
補助ノズルのスリットギャップをB、吹き付け圧力をP、またワイピングノズルのスリットギャップをB0、吹き付け圧力をP0、ワイピングノズルのスリットギャップB0と補助ノズルのスリットギャップBの比、B0/BをRdとしたときに、Rd≦2/3及びP≦0.2kgf/cmで、かつP/P0が下式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
Rd/6≦P/P0≦Rd
【請求項4】
補助ノズルの気体吹き付け方向は水平方向下向き角度が30°以上、80°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、さざ波と呼ばれる表面欠陥を防止し、外観に優れる溶融金属めっき鋼帯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鋼帯の強度、加工性、耐食性に優れた表面処理鋼帯として、溶融亜鉛めっき鋼帯、溶融亜鉛−アルミ合金めっき鋼帯、溶融アルミめっき鋼帯等の溶融めっき鋼帯が自動車、電気用品、事務用品、建築等の用途に幅広く使用され、その需要が急増している。
【0003】
一般に、溶融めっき鋼帯は連続溶融めっきラインで製造される。例えば、図1の連続溶融めっき装置を用いて溶融亜鉛めっき鋼帯を製造する場合、鋼帯1は、連続炉2で加熱焼鈍されて、表面を清浄、活性化され、機械的性質が調整された後、めっき浴への侵入に適した温度に調整され、スナウト3を経てめっき浴槽4内の亜鉛浴5中に浸漬され、亜鉛浴5中のシンクロールと呼ばれるパス周回ロール6により進行方向が変えられ、サポートロール7を介して上方に引上げられる。めっき浴槽4から引上げられる鋼帯への亜鉛付着量は、めっき浴槽4からの鋼帯1引上げ速度に比例して多くなるので、めっき浴槽4上方に配置されたワイピングノズル8から噴射するワイピングガスによって亜鉛付着量を所要の付着量に調整したのち、トップロール9を経由して常温まで冷却される。
【0004】
上記ワイピングノズル8のワイピングガスとして、従来、エア、窒素ガス等の常温圧縮ガスが多く使用されているが、時としてさざ波模様のような品質欠陥が発生する。この品質欠陥は、めっきの付着量ムラに起因しており、さざ波模様を防止する種々の提案がなされている。
【0005】
例えば、特許文献1には、メッキ浴の顕熱を利用して加熱したワイピングガスを用いて、さざ波模様を防止する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2などには、ワイピングガスに不活性ガスを使用して亜鉛の酸化を抑えることで、さざ波欠陥を防止する方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献3などには、ラインスピードやノズル−鋼板距離などの操業条件を最適化して鋼板のバタツキを低減することで、前述の欠陥を抑制する方法が開示されている。
【0008】
さらに、特許文献4には、めっき面にさざ波欠陥が存在しているめっき鋼帯に対して調質圧延を施し、調質圧延条件を最適化することでさざ波欠陥を消滅させる方法が開示されている。
【特許文献1】特開平6−116698号公報
【特許文献2】特開平2−197552号公報
【特許文献3】特開平11−236658号公報
【特許文献4】特開2002−60917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に開示される方法では、さざ波模様の発生を防止する効果も限定されたものであり、満足できるレベルではなかった。また特許文献2、3に開示される方法でも、さざ波模様の発生を防止する効果は満足できるレベルではなかった。そのため、これらの方法では、さざ波をある程度改善することは可能であったが、例えば自動車用途に使用できるような優れた表面外観は得られなかった。
【0010】
また、特許文献4は、本質的にめっき鋼板のさざ波模様そのものの発生を防止する技術ではなく、また調質圧延を行わないとさざ波欠陥を解消できないという問題があった。
【0011】
本発明の課題は、さざ波欠陥の発生を防止し、表面外観に優れる溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の手段は次のとおりである。
【0013】
(1)鋼帯を、溶融金属めっき浴槽内のめっき浴に連続的に浸漬してめっきを行ったのちめっき浴から引上げ、めっき浴上方に設置したワイピングノズルからめっき鋼帯にワイピングガスを吹付けてめっき金属付着量を調整する溶融金属めっき鋼帯の製造方法において、ワイピングノズルの上方200mm超、1800mm以下の位置に補助ノズルを設け、該補助ノズルから鋼帯全巾に気体を吹付けてワイピングガスの上昇流に対するカウンター流を供給し、補助ノズルからのガス吹き付け部より上方の気体上昇流の流速を低下させることを特徴とする溶融金属めっき鋼帯の製造方法(第1発明)。
【0014】
(2)補助ノズルから鋼帯全幅にガスを吹き付けて、ワイピングノズル上方500mm、1000mm及び1500mmの位置の気体上昇流の平均流速を22m/s以下にすることを特徴とする(1)に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法(第2発明)。
【0015】
(3)補助ノズルのスリットギャップをB、吹き付け圧力をP、またワイピングノズルのスリットギャップをB0、吹き付け圧力をP0、ワイピングノズルのスリットギャップB0と補助ノズルのスリットギャップBの比、B0/BをRdとしたときに、Rd≦2/3及びP≦0.2kgf/cmで、かつP/P0が下式を満足することを特徴とする(1)または(2)に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法(第3発明)。
Rd/6≦P/P0≦Rd
(4)補助ノズルの気体吹き付け方向は水平方向下向き角度が30°以上、80°以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法(第4発明)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガスワイピング後におけるさざ波模様の成長を抑制することで、従来法に比べてさざ波欠陥の発生を顕著に抑制でき、もって表面外観に優れた溶融金属めっき鋼帯を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に至った経緯とともに本発明について説明する。なお、本明細書では、さざ波模様のような品質欠陥を、単に「さざ波」または「さざ波欠陥」とも記載する。
【0018】
本発明者らは、まず高速カメラを用いて、さざ波模様の発生箇所とその程度を調査した。その結果、さざ波模様は、ワイピング直後は比較的小さいが、ワイピング部から離れるにつれて目立つようになること、すなわち、ワイピング部から離れるにつれてさざ波欠陥が成長することが分かった。特許文献1〜3は、ワイピング部またはその直後でさざ波模様がほとんど生成してしまうものとしてその対策を講じているが、前述の知見から、特許文献1〜3の対策があまり的を射た対策でないことが分かった。
【0019】
さらに検討を重ねた結果、溶融状態にあるめっき皮膜表面上の気体の流速の大小でさざ波模様の成長程度が異なることが分かった。これはベルヌーイの定理で表される流体の不安定性に起因すると考えられる。
【0020】
図2は、さざ波の成長メカニズムを説明するめっき皮膜表面近傍部分の気体の流れを説明する断面模式図である。さざ波は、付着量ムラに起因する凹凸状の欠陥であり、さざ波部分のめっき皮膜には凹凸が存在する。程度がひどいさざ波は、軽微なさざ波に比べて凹凸差が大きい。
【0021】
めっき浴槽から引上げられ、ワイピングノズルからガスを吹付け、付着量調整された鋼帯のめっき面にはワイピングガスのガス圧変動や板振動、噴流自体の乱れ等に起因して軽微なさざ波模様が生成する、すなわち、図2に示すように、めっき皮膜に付着量ムラに起因する凹凸がある。鋼帯に衝突したワイピングガスの一部は、ワイピングノズル上方を移動する鋼帯面に沿って上昇する。この上昇流は、めっき皮膜の凹凸の山部では流速が増加して圧力が減少し、一方谷部では流速が減少して圧力が増加する。ワイピングノズル上方ではめっき皮膜が溶融状態にあるため、圧力が減少する山部はより高く、一方圧力が増加する谷部はより深くなる。ワイピング直後比較的小さい凹凸であってもワイピング部から離れるとより大きな凹凸に成長する。気体の流速が大きい領域では、この凹凸の成長がより顕著になり、したがって、さざ波の程度がよりひどくなる。ワイピングガスの上昇流は、めっき皮膜が溶融状態にある領域で凹凸の成長に十分な流速を有するため、さざ波の発生は避けられないことになる。したがって、不活性ガスや加熱ガスを用いる従来技術の方法は、決定的な対策にならないことは容易に推定できる。
【0022】
さざ波の成長を鋭意検討した結果、溶融亜鉛の場合、ワイピングガスの上昇流の流速が速い領域が長いとさざ波の成長が顕著であり、ワイピングノズルの上方に補助ノズルを設けてワイピングガスの上昇流に対するカウンター流を供給してワイピングガスの上昇流の流速を低下させ、さざ波が成長する領域の長さを短くすることでさざ波の成長を抑制できることが明らかになった。この知見に基き、本発明に至った。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明は溶融亜鉛めっきを念頭において説明する。
図3は本発明の実施に使用する連続溶融めっき装置のめっき浴槽の上方に設置されるめっき付着量を調整するワイピングノズル(主ノズル)とワイピングガスの上昇流に対するカウンター流を供給する補助ノズルの配置を説明する模式図である。図3において、11は鋼帯(めっき鋼帯)、12はワイピングノズル(主ノズル)、13は補助ノズルである。図3では鋼帯11の一方の側にのみワイピングノズル12と補助ノズル13が配置されているが、通常の連続溶融めっき装置では、ワイピングノズル12及び補助ノズル13は鋼帯11の両側に配置される。
【0024】
本実施の形態では、ワイピングノズル12の上方に補助ノズル13を配置し、該補助ノズル13から鋼帯全巾にわたり気体を吹きつける。気体の一部は鋼帯に衝突後、ワイピングガスの上昇流に対するカウンター流となり、鋼帯面に沿って上昇する上昇流の流速を減少させ、さざ波の成長を抑制する。従来技術は、ワイピング後にさざ波の成長を抑制することを全く考慮していないため、ワイピングノズル12上方でさざ波が成長するため、さざ波を防止する上であまり芳しい結果が得られなかった。
【0025】
本装置では、めっき浴(図示なし)上方に設置したワイピングノズル12でめっき浴(図示なし)から引き上げられた鋼帯のめっき付着量を所要付着量に調整する。ワイピングノズルから吹付けるワイピングガスのガス種は特に限定されない。ワイピングガスは鋼帯面に衝突後その一部が鋼帯面に沿って上昇する上昇流となる。この上昇流の流速を低下させるために、ワイピングノズル12の上方に配置された補助ノズル13から鋼帯全巾にわたり気体を吹き付ける。気体の一部は鋼帯に衝突後、ワイピングガスの上昇流に対するカウンター流となり、鋼帯面に沿って上昇する上昇流の流速を減少させる。
【0026】
本発明では、補助ノズル13の鋼帯面への気体吹き付け位置(ノズル先端を延長した鋼板上での位置)と、ワイピングノズル12の鋼帯面への気体吹き付け位置(ノズル先端を延長した鋼板上での位置)との間隔(図3のL)は200mm超、1800mm以下とする。さざ波の成長を抑制する点からは、ワイピングノズル12と補助ノズル13の間隔を小さくして、鋼帯面に沿って上昇するワイピングガスの上昇流の流速が速い領域を短くすることが有利であるが、間隔Lが200mm以下になると、補助ノズル13からの気体がワイピングノズル12によるワイピングに影響を与え、スプラッシュ等が発生しやすくなる。間隔Lの上限は、厳密には鋼帯通板速度により異なり、低速では小さい値をとり、高速では大きな値でも良いことになる。ただし、実際にさざ波が問題になるのは鋼帯通板速度が150mpm以下の比較的低速時であり、この条件下では、1800mm以下にしないとさざ波が大きく成長してしまうためである。スプラッシュ発生およびさざ波を防止する観点から、間隔Lは、250mm以上1000mm以下がより好ましい。
【0027】
前記したように、溶融亜鉛に対して、補助ノズル13から気体を鋼板に吹き付けて、ワイピングガスの鋼板面に沿って上昇する上昇流の流速を低下させることで、さざ波の成長を抑制することができる。本発明者らの調査結果から、主ノズル上方500mm、1000mm及び1500mmの各位置の上昇流の流速(各v1、v2、v3)の平均値(算術平均、(v1+v2+v3)/3))が22m/s以下になるようにすると、さざ波を防止する効果が優れ、この流速が15m/s以下になるようにすると、さざ波を防止する効果がさらに優れることがわかった。これは、鋼帯面に沿って上昇する気体の流速が前述の速度以下では溶融状態にある亜鉛めっき層の凹凸は減衰し、一方前述の速度超では逆に凹凸が大きくなるためである。なお、各位置における上昇流の流速とは、図4に示す鋼板の板面付近の流速分布曲線の最大流速Vmaxであり、熱線風速計等で測定できる。
【0028】
補助ノズル13によってさざ波の成長を効果的に防止し、また補助ノズル13がワイピングノズル12のワイピング性に影響を及ぼすことを防止するには、補助ノズル13のスリットギャップをB、吹き付け圧力をP、またワイピングノズル12のスリットギャップをB0、吹き付け圧力をP0、ワイピングノズル12のスリットギャップB0と補助ノズル13のスリットギャップBの比、B0/BをRdとしたときに、Rd≦2/3及びP≦0.2kgf/cmで、かつP/P0は、下式を満足することが好ましい。
Rd/6≦P/P0≦Rd
このように限定するのは、補助ノズル13によるワイピング力がワイピングノズル12のワイピング力より大きくならないようにし、かつ補助ノズル13によってワイピングノズル12の上昇流に対向しうる気体の流れを生成するためである。すなわち、ワイピング力は、圧力にもっとも大きく影響されるので、補助ノズル13の圧力Pは小さい方が好ましい。ワイピングに影響を与えない補助ノズル13の圧力は、スリットギャップBにより変化するが、補助ノズル13の圧力Pが0.2kgf/cmを超えると0.5mm以上のスリットギャップBでは、ワイピングに影響を与えるようになる。補助ノズル13の圧力Pを小さくしても、補助ノズル13によってワイピングノズル12の上昇流に対向しうる十分な流れを生成させる必要がある。そのためには、補助ノズル13のスリットギャップBをワイピングノズル12のスリットギャップB0の1.5倍以上、すなわちRdを2/3以下にすることが好ましい。Rdが2/3超になると、補助ノズル13によってワイピングノズル12の上昇流に対向しうる十分な流れを生成させることができなくなるおそれがある。
【0029】
補助ノズル13の圧力Pのワイピングノズル12の圧力P0に対する比P/P0は小さい方が良いが、あまり小さすぎると、ワイピングノズル12による上昇流をせき止めることができなくなる。ワイピングノズル12による上昇流をせき止め、本発明で意図する効果を発現するには、P/P0をRd/6以上にすることが好ましい。この値は、さまざまなスリットギャップ比のノズルで実験を行い、導き出された。一方、P/P0がRdより大きくなると、補助ノズル13から吹き付けられる気体流量が大きくなりすぎて、ワイピングノズル12によるワイピングへの影響が避けられなくなり、スプラッシュ等が発生しやすくなる。したがって、P/P0はRdを超えないことが好ましい。
【0030】
さらに、本発明では、補助ノズル13からの気体の吹き付け方向(図3の角度θ)は、水平下向きに30°以上80°以下とすることが好ましい。気体の吹き付け方向が前記範囲内にあるとワイピングノズル12による上昇流をより効率的に防止することができる。吹き付け角度θが30°未満になると補助ノズル13で発生する上昇流の影響が大きくなり、さざ波が成長しやすくなる。吹付け角度θが80°を超えると、鋼帯への衝突圧力が小さくなり、ワイピングノズル12の上昇流を抑制することが困難となる。吹付け角度θは、45°以上80°以下がより好ましい。
【0031】
本発明によれば、ワイピングノズルでワイピング後にさざ波状欠陥の成長を抑制できるので、従来法に比べてさざ波状欠陥の発生を顕著に抑制し、表面外観に優れた溶融金属めっき鋼帯を製造することができる。また、既存設備においても補助ノズルを設置し、補助ノズルから吹付ける気体として、従来からあるエア供給源を利用可能であり、低コストで本発明を実現できる。
【実施例1】
【0032】
図3に示す亜鉛めっき浴槽の上方にワイピングノズル(主ノズル)12、その上方に補助ノズル13を設置した連続溶融めっき装置を用いて、厚さ0.7mm×幅1200mmの鋼板に溶融亜鉛めっき(浴温度:460℃)を行い、ワイピングノズル12でワイピング後、溶融状態にあるめっき表面に補助ノズル13から気体を吹付ける試験を行い、めっき層が凝固後のめっき表面のさざ波程度及びスプラッシュ発生の程度を評価した。
【0033】
なお試験は、ワイピングノズル12および補助ノズル13から吹き付けるガスとして常温の加圧空気を使用し、基本条件として、ワイピングノズル12のギャップB0は0.8mm、鋼板までの距離D0は10mm、ワイピングノズル12の圧力P0は0.46kgf/cm、浴面とワイピングノズルの間隔は400mm、補助ノズル13の鋼板までの距離D1は50mm、鋼板走行速度は120mpm、付着量は70g/mで一定とし、補助ノズル13の条件を種々変更した。また、ワイピングノズル上方500mm、1000mm及び1500mmの位置で、鋼板面に沿って上昇する上昇流の流速を熱線風速計で測定し、さらにその流速の平均値(算術平均値)を求めた。
【0034】
さざ波の程度は、粗さ計でめっき鋼板の表面粗さを鋼板通板方向に長さ50mm測定し、その測定値から鋼板自体のうねり成分を差し引くことで、めっき皮膜自体の付着量差を求め、その差を厚さに換算して次のように評価した。評価×は建材用途等の一般用途のみに適用可能な外観品質、△は自動車内板に適用可能な外観品質、○は自動車外板に適用可能な外観品質である。
×:1.5μm超
△:1.0μm超〜1.5μm以下
○:1.0μm以下
スプラッシュの程度は、製品欠陥率評価とビデオ観察結果に基き、試験No.1(従来例)を基準として次のように評価した。
○:スプラッシュ発生量が従来例と同程度またはそれ以下であったもの
△:スプラッシュ発生量が従来例に比べて若干増加したもの
×:スプラッシュ発生量が従来例に比べて大幅に増加したもの
試験条件、流速の測定結果、さざ波およびスプラッシュの評価結果を表1に記載する。
【0035】
【表1】


【0036】
本発明例は、いずれも、補助ノズルを使用しない試験No.1(従来例)及び補助ノズルを使用しても本発明範囲を外れる各比較例に比べて、めっき皮膜の凹凸量が少なく、さざ波の程度が軽微である。本発明例の内、第4発明範囲内のものは、第4発明範囲外のものに比べて、さざ波の程度がより軽微である。また第3発明範囲内のものは第3発明範囲外のものより、スプラッシュとさざ波の両方をより高度に防止できている。
【0037】
図5は、補助ノズル使用した場合、補助ノズルを使用しない場合のめっき外観写真の一例を示したものである。左側は補助ノズルを使用しない場合(試験No.1)、右側は補助ノズルを使用した場合(試験No.6)で、外観の濃淡の模様がさざ波である。左側の写真では、濃淡の模様が顕著であり、さざ波が明りょうに認められるのに対して、右側の写真では濃淡の模様が軽微で、さざ波が軽微であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、さざ波模様の発生を防止し、表面外観に優れる溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の連続溶融めっき装置の要部構成例を示す断面図である。
【図2】さざ波の成長メカニズムを説明するめっき皮膜表面近傍部分の気体の流れを説明する模式図である。
【図3】本発明の実施に使用する連続溶融めっき装置のめっき浴上方に設置するワイピングノズル(主ノズル)と補助ノズルの配置関係を説明する断面図である。
【図4】ワイピングガスの上昇流の流速を説明する図である。
【図5】補助ノズル使用した場合、使用しない場合のめっき外観の一例を示す図面代用写真で、左側の写真(a)は補助ノズルを使用しない場合、右側の写真(b)は補助ノズルを使用した場合である。
【符号の説明】
【0040】
1 鋼帯
2 連続炉
3 スナウト
4 めっき浴槽
5 亜鉛浴
6 パス周回ロール(シンクロール)
7 サポートロール
8 ワイピングノズル
9 トップロール
11 鋼帯(めっき鋼帯)
12 ワイピングノズル(主ノズル)
13 補助ノズル
21 めっき鋼板
22 めっき皮膜




 

 


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